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カテゴリ「ワイン 日本 山梨」の14件の記事 Feed

2015年5月11日 (月)

勝沼醸造 甲州テロワール・セレクション 大和2013 山梨県甲州市勝沼

150510いろいろ日本ワインも飲んできたつもりだけれども、残念だが未だにお目にかかったことのない希少ワインもある。生産量が少ないから、発売されても昔からの御贔屓筋に優先的に配られるのか、殆ど幻に近い。それは今後も続くのだろう。

その一つに勝沼醸造のアルガブランカ イセハラがある。1937年から勝沼の地でワイン醸造を開始、長い努力の後に2000年に入ってそのワインは国際的な評価を得て、特にイセハラが2004年のインターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティションで銀賞を獲得した。その後甲州種のポテンシャルを突き詰めて、日本最高のワイナリーの評価を得て今に至っている。

このワインは勝沼よりも標高の高い大和町の畑で収穫された甲州によるワイン。砂礫質の土壌から、標高の高い分酸の高いワインに仕上がるという。

色は透明度の高い張りのある薄めのレモンイエロー。香りはやや控えめながら青い柑橘の香りがフレッシュに漂い、青リンゴ、青バナナ、ヨードのミネラル香もバックに感じられる。

口に含むと鮮烈な酸味とボリューム感のある柑橘の旨味が一挙に広がる。序盤のボリューム感が収まると、豊かな旨味の印象が過度に流されずに繊細な味わいを形作る。複雑さよりもストレートな果実の旨味で迫ってくる中盤から、しっかりした甘みが均整なフォルムを保ちつつなだらかに流れる後半へとつながる展開が心地よい。後半に現れるやや荒っぽいミネラル感もむしろアクセントとして好ましい範囲。

余韻は程よい甘みと香り高い柑橘のアロマが口の中に球体を作るかのように広がりつつ、ふくよかな印象をのこしながら優しいフィニッシュに至る。

甲州の中では味わいの各要素が強めに出ているワインだが、それが突出せずにバランスを保って飲みごたえのある味わいに仕上がっているところが素晴らしい。甲州という品種を知り尽くした造り手の自身に満ち溢れた一本と言えるんじゃないかな。

【R -the wine shop-(勝沼醸造) 2,500円?】

2014年8月16日 (土)

甲斐ワイナリー キュベかざまバルベーラ2012 山梨県甲州市塩山

140816kazamabarbera日本ワインでもヨーロッパ系の品種を目にする機会は多いが、それでもイタリアの土着品種となるとまだまだ少ない。新潟のカーブドッチがサンジョヴェーゼを造っているが、それも味わい的には軽快な造りで、イタリアのそれとはかなり隔たりがある印象だった。

サンジョヴェーゼと同じくイタリアの赤ワイン品種であるバルベーラを造っているのは甲斐ワイナリー。以前に神戸で開催されたメーカーズディナーでも当主の風間氏がその事に触れ、並々ならぬ熱意を示していた。そしてはじめて世に出されたこのワインは完熟したバルベーラを用いてわずかに617本。

色はやや曇った感じのある、暗めのルビー色。ディスクは薄め。香りはストロベリージャム、スミレ、ビニル、バニラ、ミント。

口に含むと滑らかで丸みを帯びた酸を感じるが、その酸が一呼吸置いて伸びやかに立ち上がってくる。その速度に追いついてこようとするように、穏やかな甘みを伴ったストロベリーの果実味が広がってくる。タンニンは少な目で全体では大きな味わいではないが、程よい厚みと澄んだ酸とのバランス感覚が良く、求心力がある。終盤にかけてもまろやかな果実味が品よくまとまり、好感の持てる安定感を保つ。

余韻は細めの甘みが細かなタンニンの渋みと密に絡みあい、そこに最後まで保たれた酸の印象が形を整えつつ、優しいフィニッシュに至る。

イタリアほど鮮烈ではないにしろ、バルベーラの持ち味である酸が日本という場でもキャラクターを示すところが面白い。そしてその個性を引き出しつつ、日本ワインの新たな挑戦をしっかりした形で示している。造り手の品種に込めた熱意が手に取るようにわかる一本には違いない。

【? 3,800円?】

2014年2月 6日 (木)

シャトー・ジュン 甲州2012 山梨県甲州市勝沼

140203chateaujunkoshu日本ワインの最近の傾向として、醸造責任者の名前を表に出したワインがある。これはワインに限らず、農作物全般で耕作者の写真やデータを出して、通常よりも特別な手間暇をかけているという事を伝えて、新たな付加価値を産み出しているのかもしれない。

このシャトー・ジュンはブドウの生産状況、醸造者を分けて記載しており、この甲州も勝沼の棚栽培、醸造者は志村和夫氏と明記されている。それはワイン造りが醸造家と栽培農家のコラボレーションということを、このワイナリーが信念としているのだろう。そしてそれぞれの農家から運び込まれたブドウから、子の葡萄であればどう造りべきかを考えた上でワインにしているという。この2012年ヴィンテージは、収穫を意図的に遅くしているそうだ。

色は硬質な透明感の強いライムイエロー。香りはライム、青リンゴ、ミント、杏仁豆腐。やや控えめだが、青めの香りが表に出ている。

口に含むと穏やかな酸味と、まろやかさを保った青い柑橘の果実味が柔らかく入ってくる。甲州というイメージからすると穏やか過ぎて拍子抜けを食らうほど、かなりゆっくりとしたアタックの印象。フォルムは強くないが、抵抗感なく入ってくる酒質が心地よい。甘めというほどは甘くない、ほんのりとした上品な旨味の印象が中盤から後半にかけてゆったりと広がる。

余韻は中盤の繊細な甘みがふわりと残るような印象をたたえつつ、ゆっくりとなだらかに引いていく。

甲州でこれほど抵抗感のないワインは初めてかもしれない。正直エッジの効いた甲州の特性が好きなので、このワインに当初は物足りない感じは持ったが、後半から余韻に至る柔らかな旨味は後からじわじわと迫ってくる、また違った力強さが感じられる。このワインを経たことで、甲州というブドウの多様性とポテンシャルへの新たなアプローチができそうだ。

【東急百貨店渋谷本店 1,995円】

2013年11月10日 (日)

甲斐ワイナリー かざま甲州 新酒2013 山梨県甲州市

131109kazamasinsyu11月はヌーヴォー、新酒の季節。酒に限らず、新しいものを食するというのは、生命力を体に取り入れるという日本人の知恵とも信仰ともいっていいところから遍くあるのだが、本家フランスのボジョレー・ヌーヴォーがここまで広まったのは、投下した資本を早く回収するといった経済的な面があって広まったもの。しかし理由はさておき、新しいものを飲むという事は正直気持ちがいい。

日本ワインでも新種が出回る季節になったようだが、まずは代表的な日本の品種、甲州種の新種を試してみよう。手に入ったのは甲斐ワイナリーの甲州。このワイナリーは、ドライに仕上げる甲州の中では優しいほんのりとした甘みを取り入れた造りで、全体のバランスを重視する。

色は硬質で日本酒を思わせるような、きらめく輝きを持ったライムイエロー。香りはライム、ハーブ、ミントの香りに、ヌーヴォーらしい青いバナナの香りが加わる。

口に含むと瑞々しく透明度の高い酸が浮き上がるように感じられ、その酸を支える柑橘の果実味が後を追うように広がる。ドライな感覚を埋めるような残糖のニュアンスが綺麗に味わいの凹凸を整え、既にヌーヴォーらしからぬ落ち着きを感じさせる。一見水のように入る飲み口から、しっとりした味わいを作り上げる構成も日本酒に似て、負担なく染み込むように体に入り、グラスを重ねる。

余韻もしっかりしたライムの清涼感溢れる果実味がしっかりと感じられつつ、若々しい飲み心地とともにさっぱりした味わいを残しながら引いていく。

新酒とはいえ、すでに新酒らしからぬ穏やかさ、落ち着きを持ったワインに仕上がっている。優しい甘みが新酒にありがちな刺々しさをカバーしているのだろう。バランス感覚を失わない良くできた、グビグビといってしいそうなワインだな。

【パピーユ・ジャポネーズ 1,800円?】

2013年8月10日 (土)

山梨マルスワイナリー ペティアン・ド・マルスNV 山梨県笛吹市

130810petillantdemarsここ1週間の暑さは異常なほどだ。こういう時期はワインよりもビールに嗜好が傾きがち。事実、金曜日以外は殆どビールを飲み続けていた。でも週末はやはりゆっくりとワインを傾けたいもの。

この日のワインは、暑い時期にはピッタリのスパークリングにした。山梨県産の甲州を用いた瓶内二次発酵によるもの。

本坊酒造は鹿児島で焼酎「桜島」を作るメーカーで、1960年に山梨の地にワイナリーを設立した。甲府市を中心とした5地区からのブドウを用いてワインを作っており、この微発泡のペティアンは毎年9~10月に甲府盆地で収穫された甲州葡萄から、フリーランジュースのみを用いて低温発酵後、瓶詰め(瓶内二次発酵)を行っている。

色は少し黄がかった薄い乳白色。香りは乳酸飲料、食パン、杏仁豆腐。グラスに注ぐ瞬間、勢いのよい細かな泡が表面を包む。

口に含むと柔らかで細かな酸が舌先をくすぐるようにはじけ、その後は残糖分をほとんど感じない、ライムのようなドライな果実味と、酵母に由来する丸みのある味わいが絡みあう。後半はプロセッコに似た乾いた味わいの中に、鉱物的なミネラル感が豊かに感じられる。

余韻はドライな味わいの中に、日本酒の後味に似たふくよかさを感じさせながら、さっぱりとした飲み心地を残して引いていく。

予想以上に細かな泡が溶け込んでいて、口に含んだ時のはじける感覚が心地よい。味わいは甲州らしくドライで、そこに日本酒のようなふくよかさが合わさって、個性的なワインとなっている。価格を考えればとてもお値打ちなワインと言えそうだ。

【パピーユ・ジャポネーズ 1,600円

2013年6月16日 (日)

塩山洋酒醸造 ザルツベルク甲州2012 山梨県甲州市

130615salzberg今年は梅雨を飛び越して夏がやってきた感じの6月。このまま雨が少ないと、野菜などの農作物が心配だ。いくら乾燥に強いブドウとはいえ適切な量の雨が降らなければ、大地の水分、養分、ミネラルを吸い上げてしっかりした果実
を実らせることはできない。

先日神戸で行われた日本ワインの会、甲斐ワイナリーと共にこちらの塩山洋酒醸造が参加されていたが、全ての出展ワインで最も印象に残ったのがこのワイン。ザルツベルクは、このワインが生み出された甲州市塩山をドイツ語読みしたもの。

塩山地区は今注目が集まる若手のワイナリーが集中しており、山梨の醸造家が結成した「アッサンブラージュの会」の主構成メンバーとして研鑽に励んでいると聞く。こちらの創業は昭和34年、1978年生まれの萩原弘基さんがワイン造りを行う。このザルツベルクは、ステンレス発酵させた甲州種に、樽熟成させたものをブレンドして造られているという。

色は薄めの硬質なレモンイエロー。香りはハーブ、パセリ、乳酸飲料、ハッカキャンディー、貝殻。

口に含むと瑞々しい青っぽさの残る酸味と、最初からしっかり苦みのあるミネラル感がすっとした細身のボディと共に広がる。その後は名前の通り塩っぽい味わいが、透明感のある酒質との対比でくっきりと浮かび上がる。若干苦みの印象が強い感じはあるが、全体にはフレッシュさと締まったボディが、若々しい鮮烈な飲み心地を演出する。

余韻は後半まで残るミネラル感が下支えしつつ、ほのかな酸味と相まってクリアなエキス分がゆっくりとほどけるように柔らかな後味を残しながら引いていく。

試飲で飲んだ際にも感じたしっかりした苦みの印象は、改めて飲んでみても感じられた。今はまだ粗削りな印象が残るけれど、このワインの欠くべからざる個性であるから、苦みを豊かに覆うような包容力を備えたワインに育ててもらいたいと思う。また次のヴィンテージを楽しみたいと思わせるワインだった。

【酒商熊澤 1,890円】

2013年6月 6日 (木)

機山洋酒工業 キザンワイン白2011 山梨県甲州市

130607kizansiro日本ワインは最近急激に盛り上がったので、どのワイナリーも新たにできたと考えがちで、実は自分もそう思っていた。しかし、どのワイナリーも規模は様々だが相当の歴史を持っている。

最近山梨県でも注目の産地である甲州市塩山には、個性的なワイナリーが多い。この機山洋酒工業もその一つで、小さいワイナリーだが歴史は80年を数える。そしてここの農家でもあり醸造家でもある土屋幸三氏は、大阪大学出身から協和発酵での研究を経て、家業のワイナリーを継承した。

ここで作られるワインは種類を限定しているが、主力の白は甲州種から造られる。理想のワインは食事と共に楽しみ、かつ時間と共に変化するものと考える土屋氏は、甲州種の個性である酸をストレートに出すために、糖分は全て発酵させアルコールにし、澱との接触も長くはとらない。

色はピンクがかった、枯れた感じのする麦わら色。香りはグレープフルーツ、カリン、ハッカキャンディー、ミント。

口に含むと鮮烈でエッジの効いた酸味が突き進んでくる。しかしその酸は鋭いだけでなく厚みがあり、徐々にその包容力を増し、舌先を包むように浸透する。その酸にくるまれていた果実味は残糖分がほとんどなくドライ。しかしそのドライな味わいから浮き上がってくる質感のある旨味と、独特の渋みが複雑な後半を演出する。

終盤はドライだが、ふくよかで繊細な旨味とほのかな戻り酸が予想外にやさしい味わいを感じさせつつ、細く長い余韻を形作る。

酸味主体の味わいの中に、しっかりした旨味が閉じ込められた質感のあるワイン。単にフレッシュ、フルーティというだけに終わらない甲州種のポテンシャルがしっかりと感じられる。この表現力の多様さもまた、山梨という土地で最も愛されるブドウである所以なのだろう。

【酒商熊澤 1,300円?】

2013年6月 5日 (水)

甲斐ワイナリー かざま甲州 シュル・リー2012 山梨県甲州市

1306056月2日の日曜日、神戸元町の酒商熊澤でのイベントに参加した。こちらはワインショップであり、立ち飲み屋でもあるという非常に便利なお店で、しかもワインは日本ワインに特化しているという、自分にとっては極めて有難いショップだ。

このショップ兼立ち飲み屋さんの2階は「ボンゴレ」と言って、会料理を中心とした本格的な料理が楽しめる。今回のイベントはそちらで、山梨県甲州市のワイナリー、甲斐ワイナリーと塩山洋酒の醸造化を囲んでのメーカーズディナーだったが、約30人の日本ワイン好きが集まり、若い30代の醸造家とのワイン談義も楽しみながらの楽しい酒宴になった。

この甲斐ワイナリーのラベルにある「かざま」は、当主風間家の家名を冠したもので、古くは竹田家にまでさかのぼることができるほどの旧家だそうだ。

この日来ていた聡一郎氏は東京農大農学部出身で、ブルゴーニュで修行もし、その後山梨大学でワイン科学士にも認定されているそうだ。その聡一郎氏が語っていた言葉で印象的なのは、「甲州は少し甘さを残した方が美味しい。」というもの。このワインでは発酵終了後澱と接触期間を保つシュル・リーで、より旨味を引き出させる手法を採っている。

色は輝きのある薄めのレモンイエロー。香りはヨーグルト、貝殻、ビワ、ナッツ。

口に含むと瑞々しくフォルムのしっかりした鮮烈な酸味が広がるが、その酸味も刺々しさはなく口の粘膜を撫でるかのように、ソフトに浸透する。甲州としてはやや強めの甘みは残されているが決して媚びずに繊細な果実との調和を保ち、柔和にふるまう。序盤の酸が落ち着いた中盤から後半は、凪のような情景を思い起こさせる穏やかな旨味主体の味わいを展開する。

最後は優しい甘みが程よく残り、きれの良い味わいを見せつつさっぱりとした余韻で引いていく。

甲州は時として強い酸ゆえに、あまりにドライすぎて渇きを覚えることもあるけれど、このワインはそこを優しい甘みで補いつつ、新たな甲州の魅力を展開してくれる。それも甲州というブドウの可能性を引き出す醸造家のイマジネーション故と言えるだろうか。

【酒商熊澤 2,000円?】

2013年1月17日 (木)

アルプスワイン ジャパニーズ・スタイル・ワイン デラウェア2011 山梨県笛吹市一宮町

130113alpswineデラウェアと言えば、生食ブドウの代名詞で、ワインとしてはとても、という印象があったけど、今や日本ワインの代表的な品種としても取り扱われるようになった。そのワインの味わいは、若干攻撃的な酸に戸惑うことはあるものの、子供のころ食べたブドウの懐かしい味わいが感じられるところに魅力がある。

このデラウェアは日本屈指のワイン産地である山梨県勝沼の隣、一宮地区で醸される。作り手のアルプスワインは創業1962年と古く、年間生産量も20万本を超えており、この地域のワイナリーとしては比較的大きな部類に入る。ジャパニーズ・スタイル・ワインと銘してつくられるワインは、醸造方法をシンプルにすることで品種の個性を前面に押し出そうという試みによるもの。

色は薄めのレモンイエロー。香りは生食のデラウェアの皮の香りが顕著に感じられ、グレープフルーツ、ライムの柑橘の香りが重なる。

口に含むと舌先を突く鮮烈な酸味が突き進み、その酸が口の中を引き締めた後でデラウェア特有の甘みが広がる。口の中に含んでいる間中、鼻孔に上がってくる香りの要素が強く、凝縮したアロマが強く解き放たれる。複雑さはないが、ストレートなブドウの強さ、表現力が強く感じられる。ただし、やはり酸の強さがこのワインの味わいにおいては突出しており、酸に弱い人には難しいかもしれない。この酸が後半に飲み疲れを催す感は若干否めない。

余韻は最後まで力を緩めない酸味と、ブドウの甘さが絡み合いつつ、最後まで若々しい味わいを残しながら引いていく。

確かに品種の個性を存分に引き出したワインではあるが、この酸味と香味に釣り合う料理があるかと問われると若干躊躇する。ただ鮮烈な酸味であるだけに、普段ワインとは合わないようなサラダ、酢の物などと合わせてみても面白いかもしれないな。それにしてもラベルのヴィンテージ「2014」はご愛嬌?

【酒商熊澤 1,580円】

2012年11月12日 (月)

旭洋酒 ソレイユ千野甲州2011 山梨県甲州市

121111kousyuu週末の雨が恨めしい。濡れるのを思うと外出も手控えてしまうし、そうなると勢いストックのワインの中で気が晴れるような、かつゆっくりと向き合えるワインを選んで、時間をかけて楽しみたくなる。そんな時は味わいの強いワインよりも、じわじわと染みだすような滋味のあるワインを選びたい。赤であれば、イタリアのドルチェット、フランスのシルヴァネール、そして日本では甲州。

旭洋酒は日本ワインの中でも特色のある作り手だと思う。ここのワインを飲むと、他のワインにはない、表現は適切ではないかもしれないが土っぽさが感じられる。特に甲斐ノワールには牛蒡の雰囲気が感じられ、決して好みの味わいではなかったものの、その強烈な印象は今でも鮮烈に残る。

このワインは標高570mの南向き粘土質斜面で育てる甲州種によるもので、肥料農薬を抑え、この畑のブドウのみで作られた果汁をフレンチオーク樽で発酵させている。

色はうっすらとグリーンがかった、薄めのレモンイエロー。香りはライム、レモン、青リンゴの爽やかな香りに、ほのかな甘さを感じさせる桃、コンポートの香りも感じられる。樽から由来するであろうマロンの香りも柔らかくバックに漂う。

口にすると純度の高い透明な酸が、角を少し削いで丸くした適度な質感と共に感じられる。伸びやかな酸にくるまれたクリアな旨味は、程よくボリューム感、ふくよかさを伴い、ノンフィルターの特徴をうまく引き出している。瑞々しさが行き渡り、そのバックにほのかな苦み、軽やかなミネラル感が味わいに重心、立体感をもたらし、中盤の膨らみを演出する。

余韻は最後まで透徹した味わいの中に、乳酸の後味のようなミルキーさが感じられ、予想外に旨味の粘りが強い印象を残しつつ、穏やかに緩やかに引いていく。

甲州のすっきりした味わいを損なわない程度に、樽の絶妙なかけ方によって複雑さを与えたバランスの良さが光る。クリアな味わいは何杯飲んでも呑み飽きない。ついつい1本軽く開けてしまいました。Good JOB!

【酒商熊澤 3,000円】

2012年6月13日 (水)

奥野田葡萄酒醸造 桜沢オークシャルドネ2010 山梨県甲州市

120609okunodaついに関西も梅雨入り、じめじめとしつつ、徐々に暑い夏が近づいている。暑さが人一倍苦手な自分としては、ワインも早めに赤から白ワインに移行して、せめてクールな気分で暑気を払いたい。

この時期は味わいも繊細な日本ワインが絶対に合うと思う。そんな時に頼りにするのは難波のワインショップ、les PAPILLE JAPONAISEだ。小さなお店の中にぎっしりとひしめく数々の豊富な日本ワイン、この中でムラッ気の多い自分の思いつきに的確にアドバイスしてくれる荒槇さんは、実際に飲んだ印象で薦めてくれるから信頼できる。

このワインもそのうちの1本で、山梨県で平成元年に発足した奥野田ワイナリーが、その後の農業の人手不足、遊休農地の活用、そして若手の就業促進など、その時の社会情勢と農業を取り巻く環境に対応しながら、平成10年に農業生産法人として夢郷葡萄研究所を設立して今に至っている。自社農園で生産したシャルドネをオーク樽で発酵、半年の熟成を行っており、ワインの底にはきらめく酒石酸が現れる。

色は程よく黄金色がかった少し薄曇りのイエロー。香りはオレンジ、梨の芯、ブリオッシュ、杏仁豆腐、ヨードの香りもバックに感じられる。

口に含んだ瞬間は丸みがあるが、その後勢いよくエッジをとがらせて進んでくる鮮烈な酸味が印象的。その後は一転穏やかな旨味と、明確なミネラル、塩気の含む味わいが口の中にしっかりと広がってくる。ボディは堅牢で、強すぎない酒質の中に味わいの要素が稠密に詰め込まれている。中盤から終盤はリッチなドライフルーツの甘みと、ベースの程よい苦みが座り、豊かな印象を形成する。

余韻は酸味とミネラル感がふくよかに広がり、切れの良い味わいが口の中をリセットしつつ、豊かな旨味を残しながらゆっくり穏やかに引いていく。

強すぎず、さりとて弱すぎず、バランスの良い酒質のなかに複雑でリッチな旨味が溶け込んでいるという印象。シャルドネという品種をここまでもってくる日本ワイン、生産者の力量に改めて敬服の念を抱かずにはいられない、そんなワインでした。Good JOB!

【les PAPILLE JAPONAISE 3,360円?】

2011年11月22日 (火)

新巻葡萄酒 甲州2011 山梨県(一宮町)

111120日本ワインがすっかり定着したようで、あちこちで飲む機会が増えて今や珍しいという感じはすっかりなくなった。でも、まだレストランなどで目にする機会は少ないかもしれない。

食事に合わせる鉄則として、その土地の料理にはその土地のワインを合わせるというのがあるけど、日本ワインも和食に合わせる選択肢として今後増えてくるんだろう。その代表格は伝統的かつ最も可能性を広げつつある甲州だろう。

その名の通り、山梨県を主として栽培される甲州は、古くから日本にあった土着品種ながらDNA鑑定の結果ヴィティス・ヴィニフェラ種であることが判明した、太古の歴史の中でヨーロッパから伝えられた品種。その可能性に着目した栽培家達が苦労の末、今やヨーロッパに逆輸出されるほどに引き上げた。新巻葡萄酒は勝沼に隣接する一宮町で小規模な家族経営で運営しているワイナリー。

色はグリーンがかった薄めのレモンイエロー。香りはライム、蕗、グリーンハーブ、森の入浴剤のような強い芳香を放つ。

アタックは残糖分の少ないドライな味わいだと思った直後、しっかりした旨味の乗った柑橘系の果実味と透き通った強めの酸がアクセルを一気に踏むように広がってくる。若干まだ強めの酸は刺激感があるが、その酸が行き渡ると、その中に包まれていたドライなライムの味わいが広がり、その果実味の充実感が中盤にゆったりした質量感を感じさせる。

余韻は最後まで気を抜かない酸が鮮烈な味わいを引っ張り、軽快な後口を残して潔く引いていく。

酸の強さは感じられるが、その後に控えた果実味は充実してストレートな青い柑橘系の果実の旨さを楽しませてくれる。天婦羅とか、太刀魚を焼いたような、酢橘が欲しくなる料理と合わせてみたいな。あ、天婦羅食べたくなってきた。。。

【成城石井梅田店 1,800円?】

2011年1月17日 (月)

旭洋酒 甲斐ノワール2009 山梨県(山梨市)

110116kainoir来週久しぶりに自分の企画、日本ワインによる会を開くことにしているので、日本ワインに関する情報を収集中。知識だけでなく、味も知っておかなくてはという事で、最近タイムリーに開店したWineshop FUJIMARUの3号店、Les Papille Japonaiseにもちょくちょく通っている。

そこで見つけたのが聞いたことのない品種のワイン。甲斐ノワールとはこれいかに?

甲斐ノワールはカベルネ・ソーヴィニヨンと日本で造られた交配品種、ブラック・クィーン種を交配させた日本独自のブドウ品種。このワインはその甲斐ノワール80%に、メルロー20%をブレンドしている。

旭洋酒は山梨県でご夫婦が開いたワイナリーで、ご主人が醸造、奥さんが栽培を担当しているそうだ。甲州をはじめ、ピノ・ノワール、メルロー、この甲斐ノワール、マスカット・ベリーA、そしてシラーまで栽培している、意欲的なワイナリー。ここのワインは洞爺湖サミットの夫人夕食会で供されたというから、その質も高いことがうかがえる。

色は濃縮ジュースのように濃い紫色。香りは熟したプラム、杉、牛蒡、土の香り、ピーマンの青さも感じられる。

口に含むと熟した山ブドウのような味わい。酸はまろやかで滑らか。ソフトでするりと喉元を過ぎていく心地よさ。飲み進めると口の中に土の香りが広がってきて、この独特の香りに若干抵抗もないではないが、それもまた独特の個性。タンニンは中程度、ソフトな果実味で中盤まで飲ませる。

余韻はジューシーな味わいが続き、最後に少し青さが感じられつつも、土の香りも残しながらゆっくりと引いていく。

全体的にはボルドー的な味わいだが、農作物、という印象を強く意識させる土っぽい雰囲気を多分に感じさせるワインに仕上がっている。普段飲んでいるワインと比較すると若干抵抗があるかもしれないが、こういう独特の世界も面白いと思うな。

口に含むと

2010年11月26日 (金)

サントリー登美の丘ワイナリー 登美の丘2008 (山梨県)

101125tominooka最近日本のワインに注目が集まっているようだ。自分も嫌いじゃなかったけど、ここまで注目されるような要素は感じていなかった。いいワインだけれど、正直価格が高い。同じ価格帯であれば、他の地域のワインの方がポテンシャルが高い、と思い込んでいたのは事実。

しかしワイン造りで伝統の浅い土地で自分が美味しいと信じるワインを作り上げる事がいかに難しいことかは理解できる。そしていま、その困難を克服したワインが一斉にその活躍の場を広げようとしているのは、ワイン好きに取っては単純に嬉しいこと。

日本ワインの先駆の一つであるサントリーが明治時代から開いた山梨県、登美の丘ワイナリー。この地で醸される赤ワインは、メルロ47%、カベルネ・フラン31%、カベルネ・ソーヴィニヨン17%、プティ・ヴェルド5%の堂々たるボルドータイプ。ワイナリーのHPによれば、2008年は7月中旬までは天候に恵まれ順調に生育が進んだが、8月以降は雨の日が続き、収穫期に入った9月下旬以降は雨がほとんどなく好天に恵まれたため、果実は全般的に健全で房が小ぶりのぶどうが収穫できたとのこと。こうした詳細なデータも嬉しいが、さて実際は?

色は少し薄濁り感のある、山ブドウ的な赤紫色。香りはチョコレート、プルーン、バニラ、黒糖の甘い香りが開いている。

口に含むと若いベリーの純粋な酸が舌先から伸びやかに広がってくる。活きのある酸だが、刺激が少なくまろやか。若々しい果実味が口の中に広がると、その後に柔らいタンニンが現れる。強い酒質ではないが、調和のとれたふくよかな味わい。

余韻はしっかりした甘みが感じられ、全体に穏やかな味わいが最後まで続いていく。

刺激の少ない、バランスのとれた落ち着いた味わいが印象的。日本のワインと言う形容詞を抜きにしてもとても美味しいワインだと思う。日本もウィスキーだけじゃないんだね。嬉しく期待を裏切ってくれたワインだった。

【Cave de Vin 3,500円】