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カテゴリ「政治経済」の3件の記事 Feed

2009年10月28日 (水)

交錯する経済学者 いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ

091020_2ケインズという名前は経済学とは無縁の自分にも時折耳にする名前だ。不況の折には需要を支えるために政府が公共投資を行うべき、そのケインズ理論を拠り所とした公共事業の不採算性が重くのしかっかっている日本。ケインズという名前は肯定否定様々な場面で取り上げられているようだ。

それに比べるとシュンペーターは殆ど馴染みのない名前だ。しかし実はこの2人の経済学者が現代社会に大きな影響を与えたのだと著者は語る。

シュンペーターが提唱した概念はイノベーション。それまでは静止した要素の関係で語られていた経済学の中に、内から発展させる要素である発展、技術革新、発見といった要素を持ち込んだのだという。それは今に生きる自分からすれば当たり前のようにも思えるが、経済学という学問の中では確信的な概念だった。経済学は数式に基づく理知的な世界のように思えるが、実はこうした概念というものが大きな要素を占めている世界のようだ。

しかし、この2人の経済学者だが不況に対するアプローチは大きく違う。ケインズは不況を悪と考え需要を高めるために政府の積極介入を主張した。しかしシュンペーターはイノベーションによるひずみを緩和させるために必然な時期として位置づける。この2人のスタンスが、その後の知名度の高さを決定づけた。不況に対する対策を求められる政府が、その製作の根拠として必要としたのは前者の理論だったからだ。

今も政治に影響を与え続けるケインズ。その批判者たるシュンペーター。同じ年に生まれて宿命づけられたかのような2人の経済学者が交錯するドラマとしても楽しめる本だった。

いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ 有効需要とイノベーションの経済学

吉川 洋著

ダイヤモンド社刊

1,800円(税別)

2008年5月25日 (日)

葡萄酒か、さもなくば銃弾を

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なにやら危険な雰囲気が漂う題名。だが、けしてサスペンス小説ではない。しかし扱う内容は小説よりもスリリングなものかもしれない。

著者は元NHKの海外特派員、手嶋龍一氏。ワシントン支局長としてアメリカ政治の節目の折にその分析を伝えていたのを思い出す。最近は「外務省のラスプーチン」と呼ばれた佐藤優氏との共著など、かなり積極的に執筆活動を続けている。

この本では著者が取材などで接した海外の政治家29人のエピソードを語っていく。今が旬のヒラリー・クリントン、バラク・オバマからジョン・F・ケネディ、キッシンジャーなど世界史の節目を飾った政治家、そしてあまり知りえなかった政治家まで幅広く扱っている。

これらの政治家に共通するのはやはり信念。その信念を達するために手に入れんとした権力への欲求。しかしそれに達するには多くの葛藤がやはりあったのだ。そしてその合間に見せる人間的側面。その姿は実際にウォッチし続けた者にしかわからないほどであったのだろう。そうでなければ政治家は務まらないだうから。

この本を読んで思ったのは、巨大な力で人智とは違う大きな力で動いているかのような国際政治も、やはり人、それも個人の影響が大きいのではないかということ。だからこそ国外では政治家に対する圧力、それは暗殺という最終手段が獲られることさえある。

日本国内にあってはそうした脅威にさらされることは最早ない。政治家達は既得権益の確保、喪失、それによる有権者の反応のみに血眼になっているからだ。そうした弛緩した状況に対する失望感が、この本のベースになっていると思える。

葡萄酒か、さもなくば銃弾を
手嶋 隆一著
講談社刊
328p
1,700円(税別)

2007年12月 2日 (日)

グリーンスパン回顧録 波乱の時代(上)

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やっぱ経済書は読むのに体力がいる。あと、回顧録も。人の生涯ってのは入り込むまでが難しい。

でもこの人の回顧録は読んでみたいと思っていた。アジアの通貨危機、同時多発テロ、アメリカの空前の好景気、ニューエコノミーともてはやされた時代、一貫してアメリカ経済の主要な地位を占めたFRB(米連邦準備制度理事)議長、アラン・グリーンスパンの回顧録「波乱の時代」。

上下巻からなる回顧録は、上巻が著者の回顧録、下巻は今後の経済についての著者の考えを述べているとの事だ。実は興味があるのは下巻なんだけど、まずは上巻でこれまでの著者の行動、考え方を理解しないと、ということで挑戦。

読んでいて意外に思ったのは、FRB議長という彼が長く占めた職責はそれほどの力を持っていないという事。慣例で兼任する連邦公開市場委員会 (Federal Open Market Committee, FOMC)の議長であることで、初めて金利政策を主導できるということだ。そして彼は「経済の神様」のように言われてきたが、実際には手駒自体はそうした金利操作とメッセージしかなかったという点。しかし彼はそうした限られた手段を用いつつ、現実的にアメリカ経済を誘導しようとした。

彼の特筆すべき点は、今までの議長と違ってグローバルな経済を視野に入れて行動してきたということではないだろうか。そうして数々の政権が移り変わる中で、一貫した独立した金融政策が行われるために行動した事、それが彼を「国際経済の番人」としてある種の個人崇拝の対象とさせたのだろう。本人が望む望まないに関わらず。

この上巻で面白いのはやはり時の政権、ニクソン、フォード、カーター、レーガン、ブッシュ、クリントン、そしてブッシュと続いた政権に対する彼の思惑だろう。彼のクリントンに対する高評価を思うと、大統領の資質とは何かということにも思いをせずにはいられない。

とにかく上巻ようやく読み終わったというのが実感。さて下巻はいかに?

波乱の時代〜わが半生とFRB〜(上)
アラン・グリーンスパン著
日本経済新聞出版社刊
375p
2,000円(税別)