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カテゴリ「ワイン ヨーロッパその他」の27件の記事 Feed

2015年4月26日 (日)

ジャン・フランソワ・ガヌヴァ アルボワ・シャルドネ ル・クロ2009 AOCアルボワ

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フランスワインでもジュラという地域はなかなか難しい地域だったと思う。AOCでも括りが包括的過ぎて、その味わいを事前に想像しづらく、持ち帰ったとしても情報面で制限があった。しかし、確実にその状況は変わりつつある。

ジャン・フランソワ・ガヌヴァはフランス本国でもジュラにおける有数の作り手として評価を確立した。長年ブルゴーニュのシャサーヌ・モンラッシェ、ジャン・マルク・モレの下で修業し、ジュラに戻ってからはビオ・ディナミ農法の下でブドウを栽培している。以前ヴァン・ジョーヌを味わったことがあるが、アタックのシェリー的酸化熟成から中盤のとろけるような角の取れた味わいへと自然に流れる構成に感銘を受けた。ヴァン・ジョーヌはジュラの地ブドウたるサヴァニャンによるものだが、このワインはシャルドネ。

色は落ち着きのある、粘性を感じさせるゴールドイエロー。香りはシナモン、シェリー香が顕著で、焦がしバター、ビニルの有機香も感じる。

口に含むと意外にしっかりした酸味がまず鋭角に、その後裾野を広げるようになだらかに広がってくる。その酸に包まれたねっとりした黄色い果実の熟した味わいが急速に力を増し、中盤のボリュームを形成する。ふくよかな甘さが広がるがべたつきはなく、舌の表面を流れる。それぞれの味わいの要素は強めだが、バランスが保たれ突出することなく、後半に現れる塩っぽさがワインにさらなる複雑さ、インパクトを与える。

余韻はタルトの食後感のような甘さと香ばしさの引象を漂わせつつ、甘みの膨らみがいつまでも残るような強靭さを感じさせながら収束していく。

ボリューム感を感じさせつつも、それが決して強すぎず節度を保って品格を表現しているところが素晴らしい。ジュラのシャルドネはやや重くなる傾向で敬遠していたが、このワインに関しては全くそのような要素はなく、かえってリッチさと品格の両立が感じられた。ゆっくりと味わいたい1本。Great JOB!

【Wineshop FUJIMARU(W) 4,500円?】

2014年5月 2日 (金)

ドメーヌ・スクラヴォス ネオス・イーノス・ブラン2013 ケファロニア(ギリシャ)

140501neoszakynthinoギリシャはかつてはヨーロッパ文化の源流とされていたが、今ではアキレス腱とも思われているかもしれないほど、その地位は大きく揺らいだ。

古代ギリシャ時代、文化の最先端を誇ったこの国もその後は歴史に翻弄され、ローマ帝国、ビザンティン帝国、その後はイスラム圏に属して、独立を回復したのは19世紀のことだった。独立はしたものの、特筆した産業を持たないこの国は自立できずに諸国の干渉を招き、脆弱な経済はついに2010年にヨーロッパ全体に波及する金融危機を起こすに至った。最近はEUの支援もあってようやく安定に入ったかのようだが、まだまだ不安の種は消えない。

そのギリシャ、観光以外に縁の遠い国に思えていたが、最近は自分の生活にもたまに顔を出している。一つはオリーブ、オリーブを原料とした石鹸、そしてこのワイン。

日本と同様に多くの島を持つギリシャだが、本土であるペロポネソス半島の西沿岸で最も大きい島がケファロニア島で、小さな畑を有しヴィオディナミによるワイン造りを続けているのがドメーヌ・スクラヴォス。この白ワインはギリシャ土着のザキンティノというブドウにより造られている。ブドウ名は発祥のザキントス島から由来するものらしい。

色はややうす濁りの、曇った薄めの山吹色。香りはアプリコット、パッションフルーツ、乾燥マンゴーといった甘酸っぱい香りがアロマティックに放たれる。

アタックは瑞々しいが丸みを帯びた酸味を感じ、後に続く果実味は酸味とバランスの良い甘みと仄かな苦みを伴ったグレープフルーツのような味わい。しっかりした甘味を感じるが、苦みとの絡みが巧妙で整っている。くどすぎない味わいが飲み飽きさせず、常に絶えない酸味と苦みの印象がワインに幅と安定をもたらす。大柄ではないが適度な複雑さがあり、懐豊かな後半も好ましい。

余韻はすっきりした甘味とコクのある酒質が穏やかに展開、最後まで息を切らさないピュアな酸味と相まって、ふくよかな味わいを残しながら柔らかに収束していく。

ビオでややうす濁りということもあり、かなり強い味わいを想像したが、予想に反して味わいは清廉で整った印象だった。ギリシャワインは殆ど飲む機会がないが、このようなワインがざらにあるのであれば凄いポテンシャルを秘めていると言って過言じゃあるまい。久々に印象深いワイン。ただ、このエティケットは読めないよ。。。Good JOB!

【エーテルヴァイン岡崎店 2,000円?】

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2014年4月 6日 (日)

アレキシ・ツイヘリシュヴィリ ルカツィテリ2011 グルジア(ジョージア)

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グルジア、英語で書くとGeorgiaと綴るこの国は、普通であればジョージアと読むべきであろう。この国名はソ連時代に強制されたものだそうで、大国の狭間で揺れ続けた国の歴史を物語っている。

しかし、ジョージアは世界で最も誇れる歴史も持っている。それは、この国がワイン発祥の地と呼ばれていることだ。そして、今再びこの国のワインが注目されつつある。そのワインはクヴェヴェリと呼ばれる甕で仕込まれているのだ。

クヴェヴェリと呼ばれる甕で作られるワインこそがジョージアの特徴と言えるだろう。ブドウをそのままクヴェヴェリに入れて土に埋め、自然酵母による発酵、半年ほど寝かせたのちに果梗、果皮を取り除いて作られるワインは、凝縮感のある、濁りを帯びた山吹色の特徴を持つ。

ブドウもジョージア固有の品種を用いる。このルカツィテリもブドウの外観の特徴によるもので、rkaが「ブドウの根」、tsiteliが「赤」を意味したものだ。成長は遅いブドウだが生産量が多く、寒い気候、フィロキセラへの耐性があることから、旧ソ連圏で広く栽培されている。

色は凝縮感のある、濁りを帯びやや茶色がかった柿の果肉のような色。香りはグレープフルーツ、薬草、枇杷、乾燥ローズマリーの香りも感じられる。

アタックはまろやかな甘みを感じさせるが、その直後から突き刺すように迫ってくる苦みの展開が、他に例えようのない個性的味わい。その苦みも直後のインパクトから思えば驚くくらいにあっさりと昇華し、口の中に残るのは穏やかで安定した繊細な木なりの果実の甘味の感覚。酸味はやや控えめだが、全体のバランスを整えるにはちょうどいいボリューム感。

余韻はややゴツゴツした所は残るものの、コクのある旨味が豊かに広がり、やがて細い道を一気に下るかのような収束感を示す。

イタリアではアンフォラを用いてワインを作る潮流が生まれたが、それ以前からこうした甕でワインを作る歴史がジョージアで受け継がれてきた。そしてその味わいはイタリアのそれと比べれば素朴、朴訥な感じは受けるが、その自然さ、ピュアさがストレートに迫ってくる。まだまだ秘められたポテンシャルがありそうな国だ。

【Wineshop FUJIMARU 3,390円】

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2012年7月28日 (土)

リッジヴュー フィッツロヴィア2009 (サセックス、イギリス)

120728ridgeviewついにロンドン・オリンピックが開幕した。しかし周辺ではあまり盛り上がっていない感じがあるけど、サッカーはスペインに勝って幸先もよし、4年に一度の祭典を自分なりに楽しみたい。

そんなイギリスだが、ワイン生産国としては日本ではまだ知名度が低い。しかし最近はその品質も高く評価され、少しずつだが店先にも表れるようになってきた。願わくば、もう少し価格帯が低く気軽に楽しめるようになればいいのだけれど。。。

リッジヴューは創設者が元々エンジニアで、コンピュータ関連の会社を興したが、その会社を売却してワインビジネスを始めた。元々イギリスでは気候が似通ったドイツで生産に適した交配品種を栽培していたが、シャンパーニュと同じシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエを用いたスパークリングの可能性を見出し、そして1990年代からその品質向上に取り組んできている。現在の生産規模は年産18万本だという。毎年セパージュは変わるが、2009年のフィッツロヴィアは完熟したシャルドネ50%、ピノ・ノワール28%、ピノ・ムニエ22%使用。

色は玉ねぎの皮のようなオレンジを帯びた、落ち着きのあるピンク色。泡は細かだが勢いよく、全体から力強く立ち上る。香りは熟れたイチゴ、梅、いちじく、カスタードが感じられる。

口に含むとグリップの効いたベリーの伸びのある酸味に、力強いタンニンが溶け込む。味わいはドライで残糖が少なく、飲みきると乾いた印象が広がる。軽快な酸に太めで地に足を付けたタンニンがリジッドな骨格を造り、立体感のある味わい。果実味にもう少し充実度があれば複雑味がより増すかもしれないが、中盤から余韻への抜けの良さは心地が良い。

余韻は腰の据わった充実感のあるタンニンが最後まで味わいを引き締め、飲みごたえを感じさせながら、ゆっくりとふくらみのある味わいを残しつつ引いていく。

シャンパーニュと全く引けを取らない、どっしりした質感をたたえたスパークリング。東京ではイギリスというカテゴリーでワイン会ができちゃうそうだけど、関西ではまだまだそこまでの事は聞かない。でも、こういうワインを飲むとそういう機会がないか探してしまう。なかったら自分でやっちゃおうかな?でも会費が問題だ。。。

【Wine Styles 5,600円】

2012年7月21日 (土)

キンタ・ダ・アヴェレーダ カサル・ガルシア ヴィーニョ・ヴェルデ DOCヴィーニョ・ヴェルデ(ポルトガル)

120721vinho梅雨明け以降、白ワインしか家では飲んでいない。この時期は冷蔵庫でキンキンに冷やしたビールか、白ワインしか飲む気がしないのが正直なところ。ならば、ガンガン冷やせる酸味の走った軽快な白ワインが重宝する。あまりこってりしたワインはいらない。

その意味でポルトガルの白、ヴィーニョ・ヴェルデは最適なワインかもしれない。その名も「若いワイン」で、若いうちに飲めるワインを志向し高い酸、微発泡ですっきりと楽しめる。この作り手はヴィーニョ・ヴェルデでも大手のもので、ブドウ品種はトラジャドゥーラ、ロウレイロ、アリント、アザルといった、まさにポルトガルの地葡萄。

色は黄緑がかった金属的な艶のあるゴールドイエロー。表面に微発泡がある。香りはチューインガム、グレープフルーツ、消しゴム、マスカットのような甘い香りが感じられる。

口に含むとすがすがしい鮮烈な酸を感じるが、刺激は少なく角が取れた丸みのある細やかな酸。発泡は細かく心地よい。思いのほかボリューム感があり、ドライだが青い柑橘系にある甘みもしっかりと感じられる。中盤に戻ってくるクリアな酸と発泡の感覚は、まさにレモンスカッシュそのもの。ほろ苦さも絶妙のアクセントになり、平板な飲みやすいワインに堕さないバランスを保っている。

余韻は息の長い酸とレモンの果実味が繊細に絡み、心地よい旨味を残しながらさっぱりと引いていく。

酷暑の季節にはこうした軽快だけど、しっかりした旨味のあるワインが気持ちいい。ヴェルデという言葉には緑という意味もあるけど、飲んでいて緑の光景が広がるような気がする、すがすがしいワインと言えそうだ。

【Wine Styles 1,200円】

2011年11月13日 (日)

ヴェッサ・ヴァレー・ワイナリー エニーラ2007 ブルガリア

11112enira最近ワイン関係のブログを更新してなかったけど、決して禁酒してたわけではありません。相応に飲んでいたんだけど、なかなかブログにアップする時間もなく...

この土曜日は久々に丸一日ゆっくりできたので、久々に家のみワインのご紹介。この日はヨーロッパでも最近注目を集めつつある東欧ブルガリアのワインを。

ブルガリアでこのワインを生産するのはナイペルク伯爵家。ナイペルク伯爵といえば、ナポレオンの二人目の妃、神聖ローマ皇帝フランツ2世(オーストリア皇帝フランツ1世)の娘、マリールイーズがナポレオン流刑後に貴賤結婚した相手で、彼との間には子供もなした。その末裔ということで、れっきとしたハプスブルク一門。ボルドーでラ・モンドットという凄いワインを世に送ったこの一家が新たにブルガリアでリーズナブルなワインを作ったのがこのエニーラ。

メルロ80%、カベルネ・ソーヴィニョン10%、シラー10%のセパージュで、除梗後厳しい選果を経て、コンクリートタンク発酵、フレンチオークの古樽でMLF、9ヶ月間の熟成を行っている。

色は黒みの強い厚みのあるダークなルビー色。香りはブラックベリー、蝋、黒オリーブ、クレヨン、ペッパーの香り。

口に含むとジューシーな酸に包まれた果実味とタンニンが一挙に開く。タンニンはまだ固さは否めないが、このボリューム感を包むだけの包容力、きめ細かさとベースの潜在力は感じられる。中盤は抑制のきいた程よい熟した果実の甘さ、そしてスパイシーな味わいが引き立たせて膨らみを感じさせる。

余韻は熟した果実味と甘みのバランスが良く、もたつきのないストレートなベリーのうまさが柔らかく口の中に漂い、最後まで綺麗な味わいを保ちながら引いていく。

最初からボリューム感のある味わいで中盤まで展開するから、もう少し抑揚を期待するところはあるけれど、それでも今まで飲んだ東欧のワインからすると隔絶した上手さ、手堅さを感じさせる。ボルドーワインの風味を凝縮しつつ、そこに少しスパイシーさを放り込んだような味わいだが、余韻はしっかり引き締まる。東欧も目が離せないね。

【? 3,500円】

ジューシーな果実味の中に、

2010年12月 6日 (月)

ジャン・ポール・リュダン ヴァランタン ウィユ・ド・ペルドリ2009 AOCヌーシャテル

101205neuchatel101205neuchatel2スイスのワインに対して、正直肯定的な印象は持っていなかった。比較的高値だし、品数も少ない。元々ワイン造りにそれほど熱心ではないのではないか、という思い込みもあった。

しかしスイスの気候自体は冷涼だし、チーズなどの酪農にも熱心であるから、ワインだって質がいいものもあるはず。そして先日のカーブ・ド・テール淡路町店でスイスワインの作り手、ジャン・ポール・リュダンのセミナーに参加し、その思いが確信に変わった。何種類かテイスティングさせてもらったが、シャルドネのフォルムの締まった味わいに感心させられた。その彼が作るピノ・ノワールによるロゼワインがこれ。

ジャン・ポール・リュダンはフランス語圏、フランス国境ジュラ地域と接するヌーシャテルに本拠を置く。ウィユ・ド・ペルドリは「鶉の目」という意味だが、本物を見た事がないけど、このワインの色が鶉の目の色に似ていることからそうした名前がつけられている。

色はアセロラ果汁を薄めたような、暗めの血の印象があるロゼピンク。香りはイチゴ、ドロップ、赤い花の香り。香りに複雑さはないが、凝縮した果実の香りが感じられる。

口に含むと穏やかで丸い酸、その中に瑞々しい若いベリーの味わい。酸と果実味のバランスが良く取れており、ベースの甘みも十分ある。タンニンは少ないが、後半に穏やかな味わいを引き締めるには十分な量。中盤から後半に広がる、若いベリーの食後感のような酸と甘みの絡みも心地よい。

余韻は軽い苦みが口の中を程よく引き締め、その後で熟したイチゴを食べた時のような味わいが優しく広がり、潔くさっと引いていく。

強いワインではないが、旨みはしっかり感じられる。スイスワインの可能性を十二分に感じさせてくれるワインだったな。

【カーヴ・ド・テール淡路町店 2,980円】

2010年5月16日 (日)

モヴィア ルナー2007 ゴリシュカ・ブルダ(スロヴェニア)

100505lunar_2ここのところ、イタリアの白というか、黄色系のワインに御無沙汰だったので、久々に濃さげなワインを開けてみた。産地はスロヴェニア、と言っても北イタリア、フリウリに隣接した地域だからキャラクターはかなりイタリアワインに近いはず。品種もフリウリの地場品種、リボラ・ジャッラ。

スロヴェニアを代表する造り手、モヴィア。18世紀から同地でワインを作り続けている伝統を持ち、この「ルナー」は地中に埋めた容器にブドウをそのまま投入、破砕も行わずに自然にブドウ自体の重みでつぶれて、勿論自然酵母による発酵を待つ、という全く自然に任せたワイン造りを行っているのだそうだ。しかし、そんなんで本当にワインができるということが少々理解できないんだけど、昔はこんな感じで造るのが当たり前だったのかもしれない。

色はこもった感じのある薄曇りの山吹色。香りはシナモン、カリン、セメダイン、タイヤ。

口に含むと丸みを帯びたゆったりした酸から入り、その酸がほどけると、その中からほろ苦さを伴った優しい旨みが現れる。ボディは細いが、味わいの軸は安定しぶれがない。中盤からは腰を据えたしっかりした苦みが現れてくるが、それも後半に再び広がってくる残糖分が殆どない贅肉をそぎ落としたような旨みに取り込まれていく。

余韻は品の良い、雑味のない味わいが、細く長く続いていく。

確かにラディコンのワインとキャラクターが良く似ているが、それらに比べると少しボディを細くして、旨みの芯をより強く表現させたような味わい。スロヴェニアのワインのポテンシャルと、やはり彼の地のイタリアとの親和力を感じさせるワインだったな。

【Cave de Terre淡路町店 4,500円?】

2010年1月23日 (土)

コンソルツィオ・ヴィニ・ティピチ・ディ・サン・マリノ テッサノ・ディ・サン・マリノ リゼルヴァ2005

100120tessanoジムでは2時間以上じっくりと汗を流す。1時間はクライム・マシン、残り1時間はトレーニング、そして風呂に入って、家に帰ればワインで晩酌。全然意味ない!って批判が飛んできそうですが、これをしないと太る一方なので。。。

で、今日の晩酌のお伴は久々に初めて体験する国からの赤ワイン。その国はサン・マリノ共和国。四方をイタリアに囲まれたアドリア海側の高台にあるこの国は、実は世界最古の共和国なんだそうだ。しかも国連にも加盟している。言語はイタリア語だから、イタリア文化圏であるけど、複雑な歴史の中で独立を保ってきた人々はさぞかし誇り高いことだろう。

このワインはサンジョヴェーゼが最低50%、残りは国が認めた品種だが、輸入元のサントリーいわくカベルネ・ソーヴィニヨンということだ。

色は濃厚で落ち着いているが、黒みはそれほど強くなく、ベルベットのような質感のあるルビー色。香りはブルーベリー、スミレ、インク、クレパスの香り。

口に含むと、穏やかで柔らかい酸味と、繊細な甘さを持った若いベリーの果実味が舌先からじっくりと広がる。そしてそれを細いがしっかりとした存在感のある詰まったタンニンが追ってくる。膨らみよりも、舌の面に添うように低く広がってくる優しい味わいが心地よい。ボリュームは小さいが、飲んでいて疲れない柔らかさ、しとやかさが印象的だ。

余韻も繊細な旨みが息長く、最後まで低さを保ちつつきれいな味わいを続けていく。

爆発するようなパワー、高揚するような湧き上がる力はないけれど、押しつけがましさのない優しい味わい、内に秘めた旨みを感じさせてくれるワインだ。小国乱立し、それらも消え去ったイタリアの中で、今も独立国の歴史を保っているサン・マリノという国のワインにふさわしい味わいと言っていいんじゃないだろうか。出る杭は打たれる、の譬えもあるし、打たれなかったからこそ現代までその歴史を伝えることができたのだから。

【Cave de Vin 4,500円?】

2009年12月 3日 (木)

ユルチッチ・ゾーンホフ グリューナー・フェルトリーナー レゼルヴ2005

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オーストリアワインは完全に日本に根を下ろしたようだ。和食に合わせる白ワインには、必ずと言っていい程グリューナー・フェルトリーナーが取り上げられている。しかし、かつてはドライなキリッとした味わいが多かったこのワインも、様々な味わいが楽しめるようになった。

インポーターの資料によると、ユルチッチ兄弟はTraditionsweingüter Österreich(オーストリアの伝統あるワイナリー組合)の創立メンバーであり、主に原生岩と黄土質の土壌からなる土地に、75ヘクタールのブドウ畑を所有している。1970年代から、肥料は堆肥または緑肥のみを使用し、2006年からは有機農法に転換し、すべてのブドウ畑で有機栽培を行っているとのこと。

色は粘性の感じられる熟れた感じの黄色。香りは黄桃、杏、ゴム、蜂蜜、ドライフルーツの香り。

口に含むとまろやかな酸とねっとりした黄色い木なりの果実の甘みを感じる。ボリューム感がいったん収まると、ミネラリーな旨みが舌の中心に残り、それが放射状にゆっくりと広がっていく。

余韻は広がった旨みが力強く伸び、口の中にふんわりとした甘みを残し、長く続いていく。

見た目からは強い甘みを予想したが、実際は程よい甘みと深い滋味がうまく絡んだ味わいだった。こうしたポテンシャルがあるからこそ、オーストリアワインが日本に根付いたんだろうな。

【Cave de Terre淡路町店 5,800円?】

2009年11月19日 (木)

ブリギット・アイシンガー グリューナー・フェルトリーナー ハーゼル2007

090806vertriner 別に和食とワインを合わせる必然性は全くないと思っている。やはり和食の最高の伴侶は日本酒以外には考えられない。それも大吟醸じゃなくて、山廃あたりの純米酒くらいが最高だ。

でもあえて合わせるならば、日本古来の甲州、そしてオーストリアのグリューナー・フェルトリーナーがまずは最初の選択肢に入ってくる。どちらも残糖分が比較的少ない、ありふれた表現ではあるけれども「辛口」のワインだ。

この造り手に関しては詳しい情報はないけれども、ワイナリーのHPによると中程度の高さの南向き斜面の畑で1992年から極力農薬の使用を抑えて生産しているようだ。このワインはマセラシオンなしとの事。

色は張りのある若い麦藁色。香りは甘いシロップ、セルロイド、ミルクキャラメル、白コショウのニュアンスも感じられる。

口に含むとインパクトは不思議と甘さのボリュームを感じる。酸はまろやかで突き出す感じがなくふくよか。最初のインパクトが収まると、やはりグリューナーらしい骨太の残糖が少ない、輪郭の強固な硬い味わいが支配的になる。

余韻は再び品のいい繊細な甘さの感覚が戻り、程よいながら主張のある苦味をベースにしながら心地よい旨みを息長く続けていく。

最初飲んだときはベタ甘に感じたけど、1日置いて飲んでみたら全く印象が違った。オーストリアが育んだ最強品種、その懐も深く一朝一夕に理解するのは困難なようだ。

【Cave de Terre淡路町店 3,000円以下?】

2009年10月29日 (木)

ヒードラー グリューナ・フェルトリーナー マキシマム2005 オーストリア

091027_6最近オーストリアワインの勢いがいいようだ。特に白、グリューナ・フェルトリーナーはすっかり根をおろして知名度も獲得した。きりっとした辛口、すだちのような香りが和食にフィットしやすいという事も手伝っているんじゃないだろうか。もちろん、オーストリアワインに早くから着目した伝道者の意欲が原動力になっているし、大阪ではCave de Terreさんがまずは第一人者だと思う。

そんなグリューナ・フェルトリーナーも実はスレンダーな辛口というだけのものではない、という事を思い知ったのは、心斎橋のイタリアン、リット・マルブル・トレで開いていたフェルトリーナーをいただいた時だった。その時、そのワインの濃厚な味わいに度肝を抜かれた。こんなワインもあるのかと。

ヒードラーの「マキシマム」はグリューナ・フェルトリーナーを用いているが、普通とは違い極端に遅摘みされたブドウで作っている。そのワインと再び会ったのはやはりCave de Terreさんだったが、さて?

香りは甘く缶詰の黄桃、キンモクセイ、ビニル、消しゴム、白コショウの香りも感じられる。

アタックはトロピカルフルーツのような甘さを感じるが、直後に鋭角の活力ある酸が舌の表面を絞るかのように浸透してくる。この酸が最初のボリューム感をうまく統制して引き締まった味わいにしている。かすかに苦味も感じられるが、ゲビュルツほどの存在感はない。やはり酸がこのワインのまとめ役だ。

余韻は程よい甘さが口の中に漂い、それを支えるように最後まで力を落とさない酸がトロピカルでありながら爽やかでもある味わいをきっちりと形作って、ゆっくり引いていく。

甘さもあり、それでいて爽やかもある。このバランス感を保つ作り手の技量が十二分に発揮されたワインだと思う。フェルトリーナーという品種と、オーストリアワインの底力、なかなかやりますね~。Good JOB!

【Cave de Terre淡路町店 3,200円?】

2009年10月 2日 (金)

エディ・シムチッチ デュエット2004 ゴリシュカ・ブルダ(スロヴェニア)

090918duet最近完全にクロアチア、スロヴェニアのワインにハマっている。店頭には少なくても、通販なら結構見つかるので、いろいろ試しているが、やはり北イタリアのニュアンスを多分に持っている。気候もあるだろうけど、やはりかつては同じ国、ハプスブルク王朝の影響下にあった歴史の影響は大きいんだろう。

この地では国際品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネが栽培されているが、これはつい最近のことではなく歴史は古いそうだ。エディ・シムチッチのこの「二重唱(デュエット)」はメルロー80%、カヴェルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン10%ずつによるもの。この地の国際品種による赤ワインとは?

色はくすんだ粒子感のある、しっとりした濃いルビー色。香りは皮、タール香、ユーカリ、ドライフラワー、黒ゴム、酸化した油の香り。

口に含むと鋭角の若いベリーの酸が舌先から伸びやかに広がる。その中には凝縮したプラムの果実味が詰まっているが、同時に獣、有機的な香りが鼻腔に広がる。この香りは特徴的で、好き嫌いが別れるかもしれない。タンニンは細かいが、詰まっていてしっかりとした重量感もある。中盤に広がる果実味は甘味が程よく感じられる。

余韻は終始伸びやかで豊かな酸がベースとなり、プラムの程よい甘さとうまく絡み合いながら、涼しげで綺麗な後味を残しつつ引いていく。

メルローらしい柔らかさにカベルネのタンニンがうまくバランスしているが、この獣、油脂的な香りが凄く特徴的だった。万人が旨いというかどうかは分からないが、この個性はこの地のワインのポテンシャルを十分に感じさせてくれた。

【葡萄酒蔵ゆはら 3,990円】

2009年9月18日 (金)

クライ・ビエーレ・ゼミエ マルヴァジーア・スウェッティ・ヤッコブ2007  (クロアチア)

090917アーセナルのチャンピオンズ・リーグ、グループリーグ第1戦は良くも悪くもエドゥアルド・ダ・シゥヴァが目立った。1点目の失点、そして逆転の3点目を演出した彼はブラジル出身だが、クロアチアに帰化して代表としても活躍している。正直クロアチアに関してはこうした情報しかつい最近まで持っていなかった。そしてワインに関しては全く無知。

しかし東京のKyoyaさんで飲んだクロアチアのワインがとても素敵だったので自分でも買ってみた。作り手はクライ・ビエーレ・ゼミエ。トリエステから40キロとイタリアにも近い土地からは、マルヴァジア・イストリアーナという土着品種から白ワインを生み出す。低収量で収穫は手作業、除草剤や化学肥料は使わずに醸造も自然酵母を使っており、あくまで自然の力でワインを作ろうという姿勢がうかがえる。

色はべっ甲飴に茶色を差したような琥珀色で、ねっとりした粘性を感じさせる艶と張力を感じる。香りはビワ、オレンジの皮、リンゴ、紅茶、八ツ橋のような香り。

口に含むと、穏やかだが広がりのある酸と、そこにほろ苦さを含んだミネラル豊かな旨みが腰の低い落ち着きのある味わいを構成する。攻撃的ではないが、じっくりと染みてくる浸透力の強さを感じる。

余韻は最後までボリューム感よりも幅広の酸がベースとなり、そこに品の良い甘さが加わって、さらりとした舌触りとともに優しく息の長い後味を形作り、そしてゆっくりと収束していく。

派手でもなく、溌剌でもないが、落ち着いた腰の低い味わいを感じさせるワイン。クロアチアという土地を訪れたことはないが、そこに感じる郷愁を体現しているのかもしれない。素朴な旨さをたたえた隠れた土地の隠されたワインといえそうだ。

【葡萄酒蔵ゆはら 3,180円】

2009年9月12日 (土)

エディ・シムチッチ シャルドネ・リゼルヴァ2005 ゴリシュカ・ブルダ(スロヴェニア)

090909我ながら興味がおかしな所に向いたもんだと思う。しかし、そこに向かうには確信があった。ここのワインは絶対に美味しいぞ、と。

スロヴェニアはイタリアの隣国だが、正式に独立したのは1991年、ユーゴスラビアとの連邦を解消したことによるものだ。歴史的には15世紀以降はハプスブルグ家の所領となり、隣のフリウリ州をふくめてこの地域はオーストリアの影響を強く受けた。文化的にイタリアとは違った色を感じるのもそのためだろう。

エディ・シムチッチはこの地で100年以上昔からワインを作っている。現当主アレックス氏は収穫量を極めて落とし、ブドウの木1本につきワイン1本だという。収穫は完熟するまで待って手摘み、フレンチ・オークでの発酵を行っている。レゼルヴァは24ヶ月の熟成の後に清澄、濾過せずにビン詰めし、さらに24ヶ月の瓶熟成の後に出荷しているそうだ。スロヴェニアのシャルドネは初体験だが、どうか?

色は黄色の色素が強い、しっとり感のある落ち着いた黄金色。香りはリンゴ、梅酒、花梨、パイナップル、ハチミツ、缶詰フルーツのシロップ。軽い焦がした樽の香りが程よく乗っている。

口に含むと、まろやかで熟した粘性がしっかりある印象。酸は控えめだが、その中心には芯の通った伸びの強さを感じさせる。ボリューム感はやや抑えぎみだが、そこに備わっている微妙な苦みを伴った熟した甘みがとてもきれいで、中盤への味わいをしっかりと形作っている。

余韻は中盤から滑らかに続く綺麗な甘みが時間をかけてゆっくりと収束しつつ、息の長い味わいを残していく。最後に残る塩味の余韻も面白い。アルコール度が14%あるとは思えないほどの繊細な味わいだ。

程よく樽のニュアンスを持ちつつ、透明感のある酒質は北イタリアの白ワインに共通するものを確実に持っていた。やはりこの地のワインには抗いがたい魅力があるようだ。また一つ、開けてはならない扉を開けてしまったのかも?

【葡萄酒蔵ゆはら 4,400円】

2009年9月11日 (金)

ドゥヴェリ・パクス ヤネス2007 シュタイェルスカ(スロヴェニア)

090910dveri素晴らしいワインとの出会いは、情熱を持った輸入者の方との出会いでもあることを改めて感じた。

イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州で固めたワイン会をしようと思っていた時に、東京のKyoyaさんでクロアチアのワインを飲む機会がありその質の高さに驚いた。その時にもっと幅を広げて今まで試した事のない地域も楽しみたいと思って、無理やり「ハプスブルク家の残したワイン達」と銘したワイン会に方針転換。かつてオーストリア・ハンガリー帝国の領域であったクロアチア、スロヴェニア、ハンガリーを含めてワインをセレクトすることにした。

その過程、スロヴェニアのワインを探している時に出会ったのが、株式会社ラネットさん。

http://slovenia-wine.com/

素敵なHPに誘われ、そこに掲載されていたワインを入手する為にメールで問い合わせをしたら、何と翌日から海外出張でだとか。そんな忙しい時にも関わらず社長さん自ら直接電話をくださり、こちらが小売りという商売的には全く魅力がない相手だというのに親切に対応してくださった。そしてその電話でもスロヴェニアワインの素晴らしい魅力についていろいろ教えていただいた。今回もスロヴェニアに立ち寄られるそうだが、ぜひとも一度直接素晴らしい世界をご教示いただきたいものだ。

今回注文したワイン以外にサンプルとして送っていただいたワインがこの白ワイン。ソーヴィニヨン・ブラン25%、リースリング30%、フルミント20%、ヴェルシュ・リースリング25%によるもの。DVERI PAXとは「平和の神への扉」との意味で、スロヴェニアの東部、ハンガリーに近い地で13世紀までさかのぼることのできるワイナリーだという。このワインは砂混じりの粘土質の土壌で作られたブドウの果汁をステンレスタンクで発酵熟成、直接瓶詰めしている。

色は黄緑がかった、清々しい若草を感じさせるグリーンイエロー。香りは柑橘系の香りが強く、ライム、グレープフルーツ。ヨーグルト、それに白菜、青葱、といった野菜の香りをバックに感じる。

口に含むと清々しく純度の高い酸が舌先を突き、その後ほのかなな甘さを持ったさらりとしたエキス分が口の中に軽快に広がる。全体の酒質は控え目で粘性も少ないが、味わいはしっかり感じられ、塩っぽいミネラリー感も持っている。最後に鼻腔にふわっと立ち上る白菜をちぎった時のような香りも印象的。

余韻はボリューム的には控え目なものの、決して弱くはない。程よい旨み感が持続し、最後まで息を切らさない清冽な酸が口の中を引き締めて、綺麗な後味を形作る。

軽快でフレッシュなワインだが、中にはしっかりとしたミネラル感、旨みを感じ取ることができた。スロヴェニアという決して知名度が高くない国のワインを見込んで日本にもたらしてくれる方々の努力に感謝せずにはいられない。Good JOB!

【株式会社ラネット -】

2009年5月19日 (火)

フランツ・ヒルツベルガー ローテス・トール フェーダーシュピール グリューナー・フェルトリーナー2006

090503 オーストリアとオーストラリア、この紛らわしい名前を持つ両国は地理的にも歴史的にもかけ離れた存在だろう。ヨーロッパの中心に位置し、かつてはイスラムとの最前線として歴史の舞台の中心でもあり、ハプスブルク帝国の本拠地でもあったオーストリアだが、つい最近までワインにあっては決して間違えることはなかった。オーストラリアが圧倒的に量では勝っていたからだ。

しかし近年オーストリアワインの日本における評価の向上は本当に目覚ましい。でもそれは最近になって質が向上したというのではなく、ようやくその質を理解できるだけの材料が日本に入ってきたということなのだろう。それを早くから見抜いていたインポーターの方々の努力によって。

そのオーストリアワインの中でも中心となるのは、今やこの国の個性とも言うべき存在となったブドウ品種のグリューナー・フェルトリーナー。そしてオーストリアワインでの有数の作り手と呼ばれるフランツ・ヒルツベルガーも、急峻な畑でこの品種を育てている。

色は少し薄濁りの黄色。エッジは中程度。香りはライム、ビニル、青ネギ、生キャラメルのような甘い香りもバックに感じられる。青さと甘さがうまく絡み合った香りという印象。

口に含むと引き締まった苦味をたたえた旨みと、スレンダーで硬質の引き締まった酸が相まって口の中に広がってくる。ミネラル分も豊かで、決して甘くはないのだがボリュームが豊かなので、甘味を強く感じる。ボディがふくよかで、厚み、浸透力のある味わいだ。中盤もほろ苦さの感覚がきっちりと残りつつ、フレッシュな若く青さの残る柑橘系の味わいが口の中をリフレッシュしていく。

余韻はミネラルの味わい、ライムのフレッシュさが交差し、息の長いフレッシュな酸による爽やかな心地をゆったりと続けていく。

ドライなのに甘味のボリュームを十二分に感じさせてくれて、それでいて酸も活きがいいワインが多いオーストリアのグリューナ・フェルトリーナだが、このワインはそれに加えて深さ、浸透力を強化したような印象だ。このワインの実力を感じるためには冷やすよりも常温で試すべきだろう。だからこそ、常温で放置してもそこそこ大丈夫な今の季節がこのワインの真価を測る絶好の機会だ。Good JOB!

【Cave de Terre淡路町店 3,380円】

2009年2月28日 (土)

ハンガリーワインの可能性は? 若きヴェニンガー氏に聞く

090227 帰国明けの27日の夜は、ラテール淡路町店で開かれたハンガリーワインのセミナーにお邪魔した。

ハンガリーというと、以前は甘口のトカイワインか、牛のマークの赤ワインくらいしか店頭に並ぶことはなかった。そしてその品質もそれほど良いものとは思えなかった。かつて社会主義国だった時代には、歴史的な評価が高かったトカイはその名前にあぐらをかいて、単に外貨獲得の手段として「売ればいい」的な過剰生産を続けてその価値を落としていった。

しかし、今再びこの地のポテンシャルに脚光があたりつつある。そしてその先頭に立とうとしているのが、若き生産者、フランツ・ラインハルト・ヴェニンガー氏。まだ28歳の若さだが、世界各国でワイン醸造を学んだ後、オーストリア国境近くのワイナリーを率いている。

昨今の優秀な生産者同様に彼もまたビオディナミを実践している。とかく占星術的な側面が注目されて、怪しげな生産方法として懐疑的な見方もされるビオディナミ。自分も全面的に信頼しているわけではないが、そうした生産者が他の生産者よりも天候、土壌、地勢といったワイナリーを取り巻く環境要素に深い注意を払っているのは事実で、そうした事が結局彼らのワインを豊かなものにしているのではないかと理解している。

彼はこの地域の伝統品種であるケクフランコシュも勿論だが、メジャー品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラー、メルロー、ピノ・ノワール、ピノ・ブランといった品種によるワインに力を入れている。そしてそれらのメジャー品種によるワイン、品種の個性も勿論だが、それに加えて独特のキャラクターも備えていることが試飲してみるとよく理解できる。

彼のワインの共通項は、浸透力のある涼やかな酸だと思う。それはきつい酸という意味ではない。飲んだときはそうでもないが、一瞬タメを作った後で掘り下げてくるような活性力のある酸がとても印象的だ。彼はセミナーの中で常に「ピュア」という単語を使っていたが、冷涼な気候を反映した率直なキャラクターがこの酸の中に自然に表現されている。

しかし単に酸だけではない。メルローも深いタンニンがあって素晴らしいのだが、特にシラーは他のワインにない個性を持っている。確固としたスパイスのニュアンス、詰め込まれたスモーク、ドライフラワー、鰹節、なめし皮のような香り、そしてコクのある鰹だしのような旨みが強く感じられ、複雑な味わいを構成している。この味を人が好むか否かはわからない。万人向けではないだろう。しかし僕は独特のキャラクターを持ったこのワインに驚かされたし、今でも記憶が鮮明に戻ってくる。忘れられないワインの一つになっていることは事実だ。

セミナーやセミナーの後で彼と直接話をすることができたが、彼の信条は畑の力を信じてあまり手を加えない、そしてそんな畑から生まれるブドウのポテンシャルを最大限引き出して、ピュアなワインを造りだすことだ。そしてそれに加えて、ハンガリーワインの可能性を引き出すもうひとつの要素を教えてくれた。

「今じゃハンガリーにも多くの競争相手がいるんじゃない?」

「そうなんだ。ハンガリーには多くの優秀な生産者が出てきている。彼らとの競争が自分たちにとっても良い影響をあたえてくれるんだ。」

「そうしてハンガリーワインを高め合っているんだね。これからも君のいいニュースが聞ける事を願っているよ。」

彼の若さとともに、ハンガリーワインの今後に注目せずにはいられない。

2009年2月11日 (水)

ヴェニンガー ソプロニ・ケクフランコス スペルン・スタイナー・セレクション2002

090208 ハンガリー。ヨーロッパにおいても異質の香りが漂う土地。多くの民族が激突した土地であり、近世ではキリスト教とイスラム教の角逐の場となった。そうした宗教的な争いが収まると、ハプスブルク家の支配をよしとせず、オーストリア=ハンガリー二重帝国を形成、ヨーロッパの主要列強としての地位を占めたが、二回の世界大戦を経てその地位は失われていった。

そんなハンガリー、決して日本にとってゆかりの深い国とは言い難いが、実は自分にとってはとてもなじみの深い国。昔、子供の頃切手の収集に熱中していた頃、この国の切手も集めていた。理由は発行種類が他の国よりも多かったという単純な理由。

そんなハンガリー、ワインに関しては甘口のトカイ、そして雄牛のラベルのワインくらいしか知識がなかった。しかし最近はその肥沃な大地の特徴を生かした優れたワインが徐々に市場に出つつあるという。そしてこのヴェニンガーもそうした意欲的なワイナリーの一つのようだ。

このワインはそんなヴェニンガーの上級品で、ハンガリーでは固有品種と考えられているケクフランコスによるもの。ケクフランコスはオーストリアではブラオフレンキッシュと呼ばれ、オーストリアで第2位の栽培面積を誇っている。発芽は早いが成熟が遅いという難しい品種だが、それを克服できる極めて狭い地域でそのワインの実力が発揮されるというが、果たして?

色は明るさは中程度だが、深く沈んだ湿り気のあるルビー色。香りは砂鉄、湿った土、干しプラム、黒胡椒、塩昆布の香り。

アタックに若い山ブドウのような鮮烈な瑞々しい酸を感じる。そしてその直後、上顎に張り付くような強靭なタンニンがやってくるが、そのタンニンの粒子は細かく充実している。若干収斂感のある苦味が残るが、まだ若い故で時とともに収まってくるものなのだろう。中盤はビターチョコやポートにも似た力強い甘苦い味わいがボリューム豊かに広がり、口を押し上げこじ開けるような感覚を覚える。

余韻も若いベリーの酸が戻り、そこに乗ってくるアマローネにも似た甘く図太い味わいが太く長く続いていく。

骨太でしっかりしたストラクチャーがあるワイン。緻密かつ充実したタンニンの力強さが、このワインに深みを与えている。しかし太さだけでは収まらない、気品のある果実味。ハンガリーのポテンシャルを十分に理解させてくれるワインであることは間違いない。

【Cave de Terre 淡路町店 5,800円?】

2009年2月 1日 (日)

ガイヤーホーフ グリューナー・フェルトリーナー ホッハー・ライン2007

090201 先日飲んだオーストリアの最も著名なワインとされるニコライホーフのグリューナ・フェルトリーナー。最も忠実にビオディナミを実践している当主クリスティーネ・サースのワインは、時間とともに力強さが現われてくる厚みのあるワインだった。そして彼女には妹がいる。ならば、妹のワインも飲みたくなるのが人情というものではないか?

イルゼ・マイヤーが主宰するガイヤーホーフは有機農法によるブドウ栽培をおこなっている。姉のようにプレパラートを使うビオディナミの呪術的な側面は疑問視しているようだ。姉よりも現実的な性格なのかもしれない。しかし彼女もワインを自然な方法で作り上げる情熱は負けていない。リスク承知での自然発酵、自然酵母、温度管理は行うことはあるものの、その他はあくまで自然の力にワインを委ねようとする。

色はほんのりと緑を帯びた、柔らかみのある薄黄色。香りはとても甘く粘着性があり、乳酸飲料、チューインガム、白い花、蜂蜜、グレープフルーツの香り。

口に含むとまずはピリピリとした酸の刺激を感じるが、時をおかず充実したマスカットにも似た甘さがやってくる。その甘さもしっかりはしているが、べたつきがなく旨みと言い換えてもいいような自然さ。柔らかな旨みが口の中に広がるが、ミッドに現れるほろ苦さがさらにこの旨みに複雑さを与え、きっちりとした輪郭を形成、凝縮した味わいに引き締める。

余韻はかすかな苦みとともに、フレッシュさと柔らかい甘さが心地よく広がり、そして息の長い旨みを感じてゆったりと引いていく。

甘さも十分感じさせるが、後味は極めてすっきり。これだけきれいなワインはなかなかお目にかかるものではない。グリューナ・フェルトリーナーというブドウのポテンシャルを感じるにはふさわしいワインではないだろうか。これはおそらくどんな人でも美味しいと思うのではないか。姉妹対決、気楽に味わえるという意味では妹さんのワインに僕は軍配をあげたくなった。Great JOB!

【創酒タカムラ 2,500円?】

2009年1月20日 (火)

ニコライホーフ グリューナー・フェルトリーナー スマラクト2002

090118 ワイン世界を席巻するビオディナミ。有機農法に加えて、自然の力をさらに取り入れるために、天体の運行に従った農作業、そしてプレパラートと呼ばれる特別に調合した調剤を畑にまいて、星や土壌の力をブドウに引き出そうという、魔術的な要素も感じられる農法だ。

特にプレパラートと呼ばれる調剤は、牛の糞を角に詰めて土中に埋めたものなどをほんの少し畑にまく程度。本当にこれが役に立つのか甚だ疑問だが、実際にこれを真剣に実践している農家が多いことも事実。そしてそんなビオディナミを世界で初めて採用したワイナリーがこのオーストリアのニコライホーフ。

ニコライホーフを主宰するのはクリスティーネ・サース。そしてその妹のイルゼ・マイヤーもまた有機農法を実践している「ガイヤーホーフ」の当主だが、彼女でさえプレパラートには否定的。しかしサース夫人は厳格にビオディナミを実践し、子供にも予防接種を受けさせないほど生活の中に取り込んでいる。まさに彼女はビオディナミの信奉者であって最強の実践家でもあるのだ。そのワインとはいかに?

色はねっとりとした粘着感のある黄色。密度が濃く、安定感がある。香りは干し芋、オレンジの皮の砂糖漬け、伊予柑、カモミール、ママレード、とても甘いねっとりとした香りが強い。

口に含んだときは水のように刺激も少なく拍子ぬけ、といった感じだったがその直後から味わいが急激に膨らみ始める。角は取れているがしっかり芯のある太めの酸がぐっとせり出してきて、やがて裾野を広げつつまろやかな旨みへと変わっていく。その旨みは稠密で粒子の一つ一つが丸さを帯びているかのように刺激のない、口の中を撫でさするような柔らかさ。広がりは勿論、ミネラル感を多く含んでいる旨さが舌の中にも染み渡ってきて、それが長く持続する。少し酸化熟成のニュアンスも加わりつつ、味わいに終始温かみというものを感じるのが特徴的。

余韻は柔らかさと深みのある温かな味わい、そして戻ってきた幅広な酸がそれをゆったりと包む込むような感覚が長く続いていく。

農法の如何は別にして、確かにこのワインの充実した味わい、柔らかさ、ふくよかさはオーストリアのグリューナ・フェルトリーナーとしては出色だと思う。飲んでこれだけゆったりした気分を演出してくれるワインもなかなかない。どんな作り方にしろ、飲む方にとってはおいしければいいんだから、このワインは理屈抜きで確かにおいしいと思います、ハイ。

【Cave de Vin 5,800円の2割引】

2008年11月 8日 (土)

ヴェニンガー ケークフランコシュ ショプロン2006

081108_2 Cave de Terre淡路町店でイタリアのノヴェッロを楽しんだ後に購入したのは、ハンガリーの地ワイン。品種はケークフランコシュ。一時は良く見た雄牛のラベルのワイン、「エグリ・ビカベール」の主要品種でもある。

ハンガリーワインのポテンシャルはこの造り手のシラーでも十分堪能した。その造り手がハンガリーの代表赤ワイン品種で醸すワインとは一体どういうものなのか、興味津々。

産地ショプランはハンガリーの北西、オーストリアの国境で赤ワインを主に産出しているが、そのワインとはいかに?

香りはおがくず、プラム、鰹節、黒胡椒、強い凝縮した香りを放つ。色合いは確かに血のような赤みの強い、濃厚なルビー色。

口に含むと若々しいブドウジュースのような直線的酸が入ってくる。そしてその後にはやはり若い、ブドウの果皮を噛んだ時のような渋さがやってくるが、深みはなくベースといった感じのタンニンではない。そのタンニンが比較的短時間で収束すると、コクのある旨み、鰹だしのような味わいがやってくる。

余韻はここまで伸びてくる細長い酸が予想外だったが、その酸に乗っかるように若い果実の旨みが広がって、涼やかな印象を締めくくる。

深さはないけど、なかなか旨みがしっかりしていて面白い味わいだと思った。ハンガリーワインのポテンシャルを十分感じつつ、そして他にはない個性も持っている、印象深いワインだといえる。

【Cave de Terre淡路町店 2,500円】

2008年7月20日 (日)

ヴェニンガー シラー・ソプロン2004

080720_2 四ツ橋線肥後橋駅と本町駅の間にあるカーブ・ド・テールさんは、仕事帰りに立ち飲みベースでワインが飲みたくなったときに立ち寄るポイント。以前は夙川の本店にも寄っていたが、こっちができてからはこちら専門。

ただ、オーナーさんの趣味もあってシャンパーニュ、オーストリアの品揃えは異常なくらい手厚いが、イタリアは...そして自分が好きなシラーもあまり御気に召さないようで店頭に並ぶ機会がなかった。

しかしようやくお眼鏡にかなったシラーが最近棚を飾るようになってきた。そんなシラーの中で最もお気に入り、お勧め物がこの品。ハンガリー産のシラー。

ソプロンはハンガリーと言ってもオーストリアに程近い場所。ウィーンからは約70キロ、1時間も車で走れば到着してしまう。しかしこんな地域でシラーを作っているとは未だかつて聞いたことがない。ドイツやオーストリアでもまずは皆無。それがハンガリーなのだから不安を抱えつつ賞味...

色は重みのある深いルビー色。周縁部まで稠密な色素が入っている。香りは黒胡椒、セメダイン、カレー粉、アメリカンチェリーといった、スパイシーさと有機的な香りが複雑に絡み合う。

口に含むと直線的で伸びのある酸、そこに溶け込んだ細かだがしっかりとしたタンニン、バックにあるスパイシーさが同時に入って展開していく。予想外に最初のボリューム感が強い。そしてその味わいを形作る充実した果実の旨み。それら個々の味わいがただ奔放に広がるのではなく、お互いをサポートしつつ一定の法を越えない範囲でキープしていく。若干固めのタンニンだが、柔らかな酸がそれを包んで不快感を与えない。

この節度こそがワインの味わいにあって上品かつ印象深いワインとなるかどうかの判断基準だと自分は思っているのだが、このワインにはまさしくそれがある。複数の味わいを汲み取るだけの余裕を飲む者に与える度量、懐の深さがあるかどうか、そこにこそワインの質があると思う。

余韻は旨みを蓄えたブドウ果汁の清涼感と充実感。えぐみを感じさせず、やわらかにしなやかに消えていく。

正直な所、これほどの充実感があるシラーを中欧で作れるとは思っていなかった。これだけのものができるなら、何故今まで誰も作らなかったのか?インドのシラーを飲んだときの衝撃と同じくらいの驚きがこのワインにはあった。ハンガリーワイン恐るべし。今後の展開に期待せずにはいられない。Great JOB!

【Cave de Terre 淡路町店 4,800円?】

2008年2月 3日 (日)

シャトー・ベラ リースリング2003(スロヴァキア) エゴン・ミューラー

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未だ距離感がある中欧。しかしかつてはハプスブルク家が君臨した神聖ローマ帝国にあって、ただ一つ王国として存在したボヘミア(ベーメン)。今は国が二つに分かれたが、チェコ・スロヴァキアとして多くの文化を発信した伝統ある地域だ。

ワインよりもビール、それも今の日本で最も親しまれている黄金色のビール、ピルスナー圏だけにワインに関しては不毛の地域かと思っていたが、ドイツワインの名手、エゴン。ミューラーがこの地にワイナリーを開いてリースリングを世に送り出した。食事にあうリースリング、それがコンセプトらしい。

ワインの色は落ち着いた枯れた感じもかもしつつある黄色。香りはセルロイド、ハーブ、白い花、マロンの香り。

アタックは伸びやかでキレのある酸。そして思いのほかボリューム感のある味わい。かすかに感じさせる甘さが、シャープな酸と絶妙のバランスで、どちらもでしゃばることなく相まっていて心地よい。香りも繊細、最後に残る塩っぽさ、ミネラル感もこのワインの全体の味わいに調和している。爆発的なものではないが、手中に収まる範囲でそれぞれの要素を確実に感じさせてくれる。

余韻はミネラル的味わいと酸が収まった後の収斂感が口の中を引き締め、次の一口へと誘う橋渡しをうまく演出してくれる、そんな感じだ。

確かに食事しながら飲んでいると、口の中に残る味わいを流して引き締め、違う皿へと興味を誘ってくれる絶好のガイド役を果たしてくれそうだ。この価格帯で言えば、むしろドイツのリースリングよりも複雑味、後引く繊細な旨みのような成分は上を行っているかもしれない。スロヴァキアワイン初体験、これは見事な出来でした。

【Cave de Terre淡路町店 2,800円】

2008年2月 1日 (金)

アラゴネス2003(ポルトガル)ジョアン・ポルトガル・ラモス

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最近大阪の本町周辺、淡路町に開店したCave de Terreの品揃えはかなり「変」である。ワインの品揃えがかなり「偏って」いる。ボルドー、ブルゴーニュもあるが、それより多いのはオーストリア、グリューナ・フェルトリーナだけで10種類近くはあるか。それとポルトガルワインも最近多い。その割にシャンパーニュはメチャ豊富...

自分は既に本道を外れているので、こういうチョイスができる店のほうがありがたいのだが、それにしてもという感じだ。これで小売として成り立つのか?どうでもいいんだけど心配になる。

ということで、今日はそこから選んだポルトガルワインを。ポルトガルワインは土着品種主体の生産と、国内向けの嗜好に合わせてきたために世界的なフルーティなワインという潮流に乗り遅れ、孤立を深めてしまった。しかしその不利な点が今や利点となって、最後のワインの秘境として大きな興味を惹きつつあるようだ。

このワインが生産されているのは、ポルトガル南東部の内陸、スペイン国境に接したアレンティージョ地方。ブドウ栽培はまだ少ないが、温暖で乾燥した土地は実はブドウ向き。最もポテンシャルが高いと目される産地の一つだ。そしてかつては醸造コンサルタントであったJ・P・ラモス氏がこの地で自らワイナリーを開き、ポルトガルワインの実力を世界に問うワインを作り出したのは1997年からだ。このワインは品種「アラゴネス」を全面に出しているが、アラゴネスとはいわゆるテンプラニーリョで、このワインもテンプラニーリョ100%。

香りはターメリック、ビターチョコ、干しブドウ、ヴァニラの香りで、甘い樽の香りが感じられる。アタックは滑らかな酸と果実の甘さがうまくバランスしている。緊密なタンニンがこの旨みの要素をくっきりと際立たせて、そしてするりと口の奥へと運んでいく役割を果たしている。スペインのテンプラニーリョよりも酸が穏やかでなめらか。重厚さという点では本家に譲るが、まとまりと品のよさ、そしてジューシーさではこちらに軍配を上げてもよさそうなくらいだ。

余韻ビターカカオのほろ苦さと黒糖のような甘さがしっかりと感じられるが、しつこさは全くない。口の中に旨みが一枚膜を作ったかのような感覚が長く続いていく。

月並みな表現だけれども、やはりバランスのいいワインだ。それでいてしっかりとした旨みもあり、飲んでいて全くしつこさを感じさせない。じっくりと飲み下しながら、それでいてついついグラスを重ねてしまう。やはりポルトガル、今後ポテンシャルの高いワイン産地として出てきそうな予感。

【Cave de Terre 淡路町店 3,600円】

2008年1月 6日 (日)

フレイ・ジガンテ2005(ピコ島醸造共同組合)

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ワインのノートを取るときは地図を参照するけど、地図でも見つけられない場所はまずないのだが、この島は苦労した。場所はポルトガルのピコ島。しかし無名というには相手が悪すぎる。なにせ彼の地はユネスコの世界遺産に指定されている。しかも文化遺産としてブドウ畑文化の景観が指定されているのだから。

ピコ島はポルトガルといっても、ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の中間にある島だ。島全体が火山のような島で、ピコ山は標高2,351m。火山といえばシチリア島を思い出すけど、島の規模は全く違う。約50分の1だからその急峻な傾斜が想像される。しかも周りには何も隔てるものはない絶海の孤島。厳しい気候、環境にある島であることは間違いない。

そんな環境でブドウを作り続けてきたのは、大航海時代の歴史の賜物であり、その歴史はまさに15世紀まで遡ることができる。それ以来、孤島ゆえの潮風からブドウを保護するために築いた「クラウ」と呼ばれる石垣を作ってまでワインを作り続けてきたこの地で作るブドウはアリント、ヴェルデーリョ、テランテス種。

いずれもポルトガルの土着品種で、アリントはポルトガルでも最高品種と考えられ、暑い地域でも酸を保つことができる。ヴェルデーリョはマデイラ酒の主要品種、そしてテランテスもかつてはマデイラで栽培されていたが現在は細々と植えられているのみの希少品種だ。

さて香りは緑の色調を帯びた若々しい黄色。香りはライム、ミント、歯磨き粉、その若い香りの周囲にはふんわりとしたニッキ水のような香りが漂う。

アタックはトロピカルフルーツの甘さと、幅広な酸。最初からボリュームのある味わいだ。そしてそのボリューム感にかくれていたかのような主張のあるほろ苦さが現れる。

ミッドはこのほろ苦さが主張して、舌の横っ面が少し痛くなる。荒削りな味わいだが、ベースになる酸がしっかりしているので、味わいを引き締める。これだけの暑い産地でこの酸を産み出すとは、ある意味驚きだ。

余韻はほろ苦さは長く続き、そしてトロピカルフルーツの甘さが戻ってきて、なかなか面白い。残り香もミントの香りが強く漂う。

日本とはあまりにも遠くはなれた小島で営々と作られ続けたブドウ、そしてワインとの出会い。素晴らしいワインは決してボルドー、ブルゴーニュ、イタリアだけではない。そんな思いを改めて強く感じるワインだった。Good JOB!

【Cave de Terre 淡路町店 3,200円?】

2007年2月10日 (土)

ルスト&ローヌ グリューナーフェルリーナー2005

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最近評価上昇でよく目にするようになってきたオーストリアのグリューナーフェルトリーナー。初めて飲んだときは、正直あまり印象に残らなかった。ドライだがイマイチ旨味にかけるような感じがしたから。

このワインは最初ラベルのきれいさと雰囲気に魅かれた。香りはそれほど強くはない。ライム、シャブリに似た感じのミネラル的な香りがあるが、捕らえにくい。

アタックは酸もおだやかで、まろやか。前には感じなかったすがすがしい飲み口だった。「お、グリューナーフェルトリーナーってこんなにおいしかったっけ?」と正直見直した。自分が好きな塩っぽい旨味も十分感じられた。ソーヴィニヨン・ブランのような個性爆発というものではないが、スッキリした青い果実の感覚が全体にあり、これはこれでおいしいと思う。

余韻は長くはない。でも心地よいスーっとした旨味が口の中に残る。この感覚は生野菜サラダを食べたときに似ている。だからサラダや生春巻きなんかの生野菜を生かした料理によさそうだ。

グリューナーフェルトリーナー、今回は見直しました。でもこの長い名前は何とかできないだろうか。入力するのが面倒。どなたか略称があるのなら教えてください...

【購入データ 2,100円くらい? 成城石井梅田三番街店】