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カテゴリ「ワイン ドイツ 」の24件の記事 Feed

2015年10月12日 (月)

リンクリン ミュラー・トゥルガウ2014 Q.b.A バーデン

151012rinklin_muller_thurgau自然が人間にとってままならぬものであっても、それに抗する手段を放棄する事が許されぬ場合は、自然に適応する術へと努力の対象を移さざるを得ない。

その結果がハイブリッドと呼ばれるブドウと言えるだろう。ほとんどのブドウは自家受粉するが、異なるブドウ品種の長所を得ようとして異なる品種の花粉で受粉させることを異種間交配と呼ぶ。元々はヨーロッパ種のブドウにアメリカ産の抵抗力を備えさせるために始められたこの手法は、ドイツにおいて発展した。その一つの答えがミュラー・トゥルガウ、1882年にスイス人のヘルマン・ミューラーによって開発されたブドウと言える。リースリングとマドレーヌ・ロイヤーレとの交配品種だが、長くリースリングとシルヴァネールによるものと考えられてきた。

今日ハイブリッドによるワインで名声を与えられているものは殆どない。しかし、最近このミュラー・トゥルガウに関しては意欲的な造り手が日常で楽しめるワインを造ってくれるようになってきた。そのエリアも発祥国ドイツを始め、オーストリア、イタリア、そして今や日本でも見られる。甘さと香りの顕著なこの品種、安易に作ればただ甘ったるさの目立つワインになってしまいがちだが、最近この品種で作られるワインには綺麗な酸が感じられるようになったと思う。

リンクリンはドイツ最南端のバーデンを本拠にし、ビオロジックでブドウを栽培する。

色は薄めで張りのあるレモンイエロー。香りは甘い印象で乳酸飲料、マスカット、シロップ、チューインガム、桃の缶詰。

口に含むと冷たいがどことなくおっとりしたやや強めの乳酸系の酸がしっかりと感じられ、その直後からフルーティーな果実味がボリューム感を伴って広がる。酸と甘みのバランスが良く、甘みを広げすぎない引き締まったボディを表現し、もたつくことなく中盤を品よくまとめあげる。複雑さは少ないものの、全体に角のない味わいで後半の穏やかさを演出していく。

終盤は甘さを適度な距離感で包む酸の絡みを感じつつ、ふくよかさも残しながらやや長めの余韻を残しつつフィニッシュに至る。

普通に作るとやや甘さのべたつきを感じるこの品種も、造り手がそれをコントロールすることである程度リッチさも残し、そして特徴ともいえる華やかな香りをたたえたワインに仕上げることができる。トータルの栽培面積は減少気味だというが、そうした心得た造り手によって、まだまだこの品種のポテンシャルは表現される可能性があるに違いない。ハイブリッドにあって稀なる幸運に恵まれた一例と言えるだろう。

【WIneshop FUJIMARU(ラシーヌ) 2,000円?】

2014年12月14日 (日)

ラッツエンベルガー シュペートブルグンダー ブラン・ド・ノワール ゼクト ブリュット2006 ミッテルライン(ドイツ) 

141214ratzenberger今年のスパークリングワインの売り上げは好調のようだ。自分も泡は大好き。沸き立つ泡を観ていると、心沸き立つような思いにさせられるから不思議だ。確かにスパークリングにはそうした雰囲気を醸し出す力がある。

その中でも黒ブドウ、ピノ・ノワール主体のシャンパーニュを含めたスパークリングには惹かれてしまう。今回は珍しい、ドイツのゼクトでシュペートブルグンダーによるヴィンテージ・スパークリング。

ラッツェンベルガーはミッテルラインにおける有数の作り手で、ミネラル感あふれるリースリングの他に、瓶内二次発酵によるゼクトも作っており、熟成を経たクリーミーなワインを志向している。しかし、このワインはシュペートブルグンダー=ピノ・ノワールによる珍しいゼクト。

色はややグレーがかった、ほんのりセピアを帯びた質感のあるゴールドイエロー。泡は弱めだが、優しく緩やかに立ち上がる。香りは甘い熟したストロベリーの香りが全面に立ち、その中にサワークリーム、トーストの香りが感じられる。

口に含むと舌先に柔らかく働く、溶け込んだ細やかな泡が弾け、その後に丸みのある質感を伴ったベリーの優しい甘みと、しっかりした苦みの印象のある果実味が広がってくる。中盤では穏やかな酸味を残しつつ膨らみのある果実味が中盤に座り、クリーミーな泡がやや重さに偏りそうになる味わいを引き戻すようにバランスを取りつつ、終盤の穏やかな旨味へとつなげていく。

余韻はほろ苦い渋皮の印象をしっかりと残しつつ、柔らかな旨味のボリュームをゆっくりと減じながら引いていく。

いわゆるシャンパーニュのブラン・ド・ブランとは異なり、程よい甘みとしっかりした渋みを両方感じさせる独特の味わい。この独特さに好みは別れるかもしれないが、ドイツのスパークリング、いや、この造り手にしかなさそうな個性あふれる1本には違いない。

【ヘレンベルガー・ホーフ 4,200円?】

2014年11月16日 (日)

フリードリッヒ・ベッカー ムッシェルカルク リースリング2012 Q.b.a. トロッケン ファルツ

141116muschelkalkriesling2013白ワインにあって欠かせない特質はやはり酸であろう。しかし一口に酸と言っても、その表現には多くの要素がある。その中で自分が重視するのは酸の高低とスピード感。

酸の高低と言うものの、この場合は酸の量自体を言っているわけではなく、ワインの味わいにおけるストラクチャーの中でどの部分を占めるかということ、と理解している。その意味でスピード感と相関する部分があるが、一過性のものでなくワイン全体に感じる酸の印象があれば、それは重心の低いものとして表現すべきだろう。

そうした酸の印象の典型的な造り手として挙げるならば、まずはこのフリードリッヒ・ベッカーとする。愛らしいキツネのラベルが印象的なドイツの造り手は、いずれのキュヴェにおいても落ち着いた深みのある酸が感じられるワインを醸している。このムッシェルカルクは貝殻石灰岩の土壌から年産3千本の産出によるワイン。

色はやや緑がかった張りのあるレモンイエロー。ディスクは中程度。香りは控えめだがパッションフルーツ、マンゴーの熟した黄色系のフルーツの香りに加えてミント的なハーブ香、スワリングによりリースリング特有の石油系の香りが微かに顔を出す。

口に含んだ直後の印象は意外と丸みを感じさせるが、その直後から細かだがボリューム感のある酸が殆ど残糖分を感じさせないドライな味わいと共に迫る。その後に太さを増して進んでくる酸がしっかりと中盤の骨格を整わせ、そしてその周囲に寄り添ってくるフレッシュな青めの柑橘系の果実味とともにスタイリッシュなボディを形作る。そして後半に感じる重心を低く落ち込ませるようなほろ苦さのミネラル感が、ワインに立体感を加える。

余韻は苦みのミネラル感がベースとなり複雑な印象を広げつつも、最後まで透徹する酸味が過度に重くなり過ぎない解放感を演出して、バランスを保ちつつ収束する。

全体としてはクリーンかつフレッシュなリースリングだけれども、しっかりと品種の個性を備えつつ複雑なニュアンス、しかもドライでありつつふくよかさを演出する名手ならではのワインと言えるだろう。こういうワインに出会うと、ついつい翌日の事を考えずにグラスを重ねてしまうから困りものだ。

【Cave de Terre淡路町店(ヘレンベルガー・ホーフ) 4,500円?】

2014年8月 2日 (土)

アンドレアス・J・アダムス リースリング トロッケン2011 ノイマーゲン・ドロン(モーゼル) 

140802afadam_riesling個人的に7月のしんどい時期を乗り切って、ようやくブログを書く余裕も出たが、暑さはそれに逆行して益々増している時期。再開の第一弾はやはりこの時期に欠かすことはできない白ワインの雄、リースリングとしよう。

ドイツワインというと、大阪ではヘレンベルガー・ホーフが輸入元としては第一人者であり、そのラインナップはドイツワインを味わう時は必ず目にすることになるものだが、このワインはラシーヌが輸入元であり、自分も初めて試す造り手になる。情報は少ないが、ブドウ栽培および醸造に至るまで、自然な造りを志向している若い造り手だそうだ。

色は全体にグリーンを帯びた、張りのあるゴールドイエロー。粘性はそれほど強くなく、ディスクは中程度。香りはパッションフルーツ、グレープフルーツ、パイナップルキャンディー。

口に含むと瑞々しくも柔らかい酸味とともに、凝縮感のあるふくよかな味わいが広がる。酸味と残糖分のバランスがよく、贅肉のないまとまったボディ。やや遅摘みを感じさせる果実の甘みが後半に自然にせり上がるように広がり、やがて苦みのミネラル感がきりっと終盤を引き締める。

余韻は苦みをベースにやさしい甘さが弾力感をもって広がり、雑味のない穏やかさを最後まで保って収束する。

酸味と甘みのバランスが整った、辛気くさいことを考えずに素直に美味しいと言えるワイン。上級キュヴェもいつか試してみたいものだ。Good JOB!

【Windeshop FUJIMARU 3,000円?】

2013年11月23日 (土)

シュテアライン&クレニッヒ 醸造所 ランダースアッカー・ゾンネンストゥール ジルヴァーナ・トラディション Q.b.A. トロッケン2012 フランケン

131123silvaner今年も残り1か月余りとなってしまった。巷ではクリスマスに関するイベントもぼちぼち始まっている。大阪でもスカイビルでは恒例のドイツクリスマスが始まった。

ドイツクリスマスには、大阪でドイツワインの輸入といえばここしかない、と言っても過言ではないヘレンベルガー・ホーフが毎年ワインの試飲と即売、そしてコップワインの販売を行っている。仕事場からも近いので、期間中はついつい立ち寄るので、この時期は比較的ドイツワインを飲む機会が多くなる。しかし、まだまだその量は少ない。やはり食事に合わせてドイツワインを、という機会が圧倒的に少ないからだ。店に置いている数も少ないので、そのあたりはなかなか改善しない。

ドイツワインの中では食事にも合わせやすいと思われるフランケンの辛口に至ってはなおさらだろう。思うに、この独特の形が保管しづらいからではないだろうか。しかし、これこそが伝統なのだが。

シュテアライン&クレニッヒ醸造所はフランケンでは小規模家族経営の醸造所で、ランダースアッカー村で除草剤、殺虫剤、化学肥料を使わずに栽培したシルヴァーナからこのワインは造られる。ドイツワインの格付けは糖度によってカビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼー、トロッケンベーレン・アウスレーゼと区分されるが、最近はこのような格付けに拘らず、畑、区域表示を重視した標記に変わりつつあるようだ。

色は張りのある明るい黄金色。ヨーグルトのような乳酸の香り、樽を感じさせる柔らかなバニラ香、白い花、金柑、乾燥フルーツの甘い香りを感じさせる。

口に含むと最初は穏やかだが、じわじわと染みてくる細かな酸が真っ直ぐに伸びてくる。透明度の高い酸に誘われた果実味は適度に緊張感を持ち、口に含んでいても常に張り、輪郭を感じさせるタイトなボディ感がある。中盤から後半はその緊張を解き放つように穏やかな旨味が広がり、柔らかなミネラル感が浮き上がって来てより立体感を増す。

余韻はほのかに塩っぽいミネラルの味わいがベースに座りつつ、心地よいクリアな味わいをゆっくりと減じながら引いていく。

シルヴァーナというブドウはフランス・アルザスでも造られるが、フランケンではより透明な酸と繊細で密な旨味が表現される。このワインもまさにそうした特質を備えているだろう。適した土地ではぐくまれ、愛されたブドウの幸せを体現しているワインと言えるだろうな。

【ヘレンベルガ・ホーフ 3,200円】

2013年11月12日 (火)

ヨハン・ヨゼフ・プリュム ヴェーレナー・ゾンネンウーア・シュペートレーゼ2006 モーゼル

131109yyprumドイツワイン、今最も過小評価されているワインであり、かつお値打ちなワインであるかもしれない。最近は赤も出てきているが、やはり本質は白、リースリングによる白であることに異論はないだろう。

しかし、誰もが最初はこの甘口とも言われるワインに魅了された時期があるはず。自分も「マドンナ」と言われたワインのわかりやすい酸と甘みによってワインの美味しさに誘われた。今でもあの頃の鮮烈な酸の印象が思い出される。

今では辛口、甘みを抑えたドイツの白も多いが、やはり美味しいと思うのは綺麗な酸とコクのある甘みがバランスよく調和したものだと自分は思っている。それを見事に表現する作り手がヨハン・ヨゼフ・プリュム。そしてその真骨頂がドイツの最高の畑と言えるヴェーレーナ・ーゾンネンウーアだろう。遅摘みのブドウからつくられるリースリングは自然酵母で繊細な味わいを引き出すべく2~3週間の低温発酵を行う。

色はねっとりした落ち着きを醸し出す濃いめのゴールドイエロー。香りはリースリングらしい鉱油の香りが感じられ、その中にマーマレード、黄桃、ビワといった黄色の果実の香りがふんだんに放たれる。

口に含むと鮮烈で伸びやかな酸味が感じられ、そこから幅広に導かれるように濃密な甘みを伴った木なりの果実の美味しさが広がる。果実味は刺々しさが全く感じられず、こなれて繊細で、かつそれでいて凝縮した旨味が深い。黄桃のような濃さのある甘みも、中盤からはほどけるように昇華し、くどさをいささかも残さない。すべての味わいの要素が濃さと繊細さを両立させているところが不思議かつ見事だ。

余韻は最後まで繊細かつ伸びやかな酸味がベースに座り、優雅で柔らかな甘みを漂わせながら、なだらかに芳醇な後味を長く残しつつ引いていく。

旨いという言葉は甘いから来ているともいうが、その事が納得できる綺麗な甘さをたたえたドイツワインの真骨頂。ドイツワインの魅力を再確認させてくれた1本だったな。Good JOB!

【伊勢丹大阪店 6,000円】

 

2013年2月15日 (金)

フリードリッヒ・ベッカー シャルドネ クヴァリテーツヴァイン トロッケン2011 ファルツ

130211beckerchardonnayドイツワインも最近は赤が多くなったとはいえ、やはり真っ先に想像するのは白ワイン。しかし、その白ワインでもシャルドネによるワインは殆どお目にかからない。たとえあったとしても著しく高価で、費用対効果を考えると、なかなか試す機会がなかった。しかし、最近このリーズナブルなシャルドネが出てきた。しかも作り手はファルツの名手、ベッカーとくれば、試さない手はない。

元々はファルツの協同組合を率いていた家の跡取りだったフリードリッヒ氏が独立して起こしたワイナリーだが、最初はその酸の高さゆえに理解を得られなかったという。しかし自分の信念にこだわった彼に時代が追いつき、そのこだわりは樽さえも自分が所有する森から産出しているという。

色は硬質の黄緑がかったやや薄めのレモンイエロー。香りはレモン、グレープフルーツ、ヨーグルト、消しゴム。

舌先にかすかなガスを感じ、その直後伸びのある角が取れた酸が突き進んでくる。思いのほか甘みも感じる、充実した若い果実味。味わいは透明感に溢れ、バランスよくまとまる。ボリューム感は控えめで、やや内省的な印象を持つが、後半には程よい塩味のミネラル感が広がり、複雑さと安定感を醸し出す

余韻はミネラルの苦みが舌を引き締め、旨味全体がほろほろとほどけるような感覚でその力を減じていく。

シャルドネだと思って飲んでいるが、もし言われなければ絶対にシャルドネとは思わないだろう。むしろリースリング、彼が醸すジルヴァーナーに近い。味わい自体は価格を考えれば全く文句はないのだが、やっぱりワインて不思議な飲み物だなと思わずにはいられない。

【カーヴ・ド・テール淡路町店 2,300円?】

2012年10月13日 (土)

フリードリッヒ・ベッカー ゲヴュルツ・トラミナー シュペートレーゼ トロッケン2009 プファルツ

121013gewurtzゲヴュルツ・トラミネールは思い入れのあるブドウだ。ワインというものがどれも同じものに思えた最初の頃、この白ワインの香り、味の特徴は衝撃的でもあった。ライチの香り、甘みの強い味わい、ほろ苦さ、どの白ワインと並べても、このワインだけは見分けることができるほどの際立った個性だった。店先にワインが多く並ぶ理由がこのブドウでわかった。

それ以来、ゲヴュルツ・トラミネールのワインは絶えずウォッチし続けているのだが、昨今はこのブドウも国際化を強め、ヨーロッパ以外でもますます多く見られるようになってきている。それでも、一番愛するのはアルザスのワインには違いないのだが。

ドイツのプファルツ地方はアルザスの北に位置する。日本ではラインガウやモーゼル、フランケンが有名だが、ドイツで2番目に大きな生産地である。ドイツでは比較的温暖な気候からは、アルコール度の高いワインが通年でも得られる特徴を有している。フリードリッヒ・ベッカーはこの地で早くから辛口のワイン、特に赤のシュペートブルグンダーに情熱を注いできたが、もちろん白ワインもリースリング、シルヴァーナ、そして今はシャルドネも生産している。そして今日は、このゲヴュルツ。

色はグリーンがかった、締まった印象のある硬質のイエロー。香りは特有のライチの他に、白い花、ドロップ、乳酸飲料、幸水梨の香りも感じられる。甘めの香りが強い。

最初は冷涼で鮮烈な酸味の勢いをまず感じ、その直後に細めのボディだが稠密な果実味が徐々にじわじわ力を増す。残糖分が少なく、すっきりしているのだが、単純に抜けるところがなく、口の中に程よい旨味とミネラル感を残す。中盤はソフトな質感で、穏やかな旨味とコクが展開し、落ち着いた心地を演出する。最後に残る、繊細なワインの味わいを邪魔しない微妙なバランスを保つ軽やかな苦みも、ワインに複雑さを与えている。

余韻はフレッシュでクリアな味わいを残しながら、最後まで息を切らせない低めのまろやかな酸が気持ちよく口の中をリセットし、飲み飽きさせない。

品種の個性を備えつつ、ボディは均整で細身を保っているところは、さすがドイツのゲヴュルツといえるところだろう。すっきりした味わいで、料理の邪魔もしないから、ゲヴュルツとして重宝しそうなワインに違いない。

【Cave de Terre 淡路町店 3,500円?】

2012年7月15日 (日)

フュルスト ピュア・ミネラル リースリング2009 QbA(フランケン)

120714purmineral今年の梅雨はしっかりした雨が降って、暑さも朝夕はあまり厳しくないから、夏の訪れはいつもより遅れるかと思っていたが、今朝ようやく初めてセミの鳴き声が聞こえてきて、確かに夏はやってきていることを実感した。

夏の到来とともにワインも完全白ワインシフト。どのお店で話を伺っても赤の売れ行きが止まって、白ワイン中心になっているとのこと。この時期は冷えた白ワイン、しかも酸味が乗ったワインを冷やして飲むに限る。

このワインはフランケンの生産者、フュルストによる「ピュア・ミネラル」と名付けたワインのリースリング版。フランケンはどちらかというとジルヴァーナ(シルヴァネール)によるワインが主力なのだが、こちらはあえてリースリングで作っている。ジルヴァーナの方はヴィンテージ違いだが既に試飲済み。

http://cesc22.blog.eonet.jp/default/2011/12/2010qba-7829.html

色はグリーンがかった、澄みきった清々しい若竹の先のような薄黄色。粘性は少なくさらりとした質感。ディスクはやや厚みがある。香りはパイナップル、干しマンゴー、ココナッツのトロピカルな香りが強く放たれ、そのバックにチョークの湿り気のある香りが感じられるが、全体には甘い香りが強い。

口に含むとまとまりのある落ち着いた酸味がじんわりと、しかし徐々に浸透力を強めながら広がってくる。他のドイツと異なり酸味の刺激性は少ない。ふくよかな中盤にはほろ苦いミネラル感が中心となり、豊かさを感じる。あまり張りつめた印象はなく、味わいの輪郭も柔らかで、後半にかけての複雑さは中庸だが、飲んでいて負担感がなく、体にやさしく染みてくる穏やかさが心地よい。

余韻はしっかりした苦みとミネラル感が座り、まろやかな酸味が口の中をリフレッシュして、すっきりした旨味を残しつつ、きれいなフィニッシュに至る。

他のドイツ地域とは異なり、酸味が走らず全体に抑制のきいた内向的な味わいになっている。そして中盤以降のしっかりしたミネラル感と、複雑さよりも透明感に重点を置いたであろう作り手の意図が反映された、まさしくピュアな旨味。すっきりした旨さが初夏にピタリとはまるワインと言えそうだ。

【Wineshop FUJIMARU 4,000円?】

2011年12月 3日 (土)

フュルスト ジルヴァーナ ピュア・ミネラル2010 Q.b.A トロッケン フランケン

111203silvaner_24このブログはワインティスティングの備忘録として使っているので、結構昔に飲んだようなワインも見ることができるのだけれど、それにしてもドイツワインの少ないことには驚いた。結構飲んでるつもりなのに、アップするのはこれが2年ぶり。

どんな人だって一度はあの酸味と甘さには惹かれるタイミングがある。一時市場に多く流されたマドンナ、リープフラウミルヒの味に白ワインの美味しさを感じた時期が僕にもあった。ただ、ほかにも芳醇な世界が広がっていることを知って、徐々にそこから遠のいた。

あのころに比べると、ドイツワイン自体が変わったのかどうかはわからないが、赤ワインが増えて、白ワインもより多彩で高品質なワインが多く登場している。このフュルストは、昔から骨太な味と独特の形の瓶で知られていたフランケンの著名な生産者。

フランケンのワインの特色は、他にはアルザス以外では殆ど注目されないニュートラルな品種ジルヴァーナ(シルヴァネール)を用いて傑出した辛口のワインを生み出している点だろう。決して主張しない中庸なこの品種がこの地域ではくっきりした酸とボディを持ち、深みのある味わいを引き出す。これはまさに土地とブドウ品種の相思相愛、マリアージュといってもいいだろう。

そのフランケンの主要な生産者5人が集まって結成した「トリアス」というグループを構成するルドルフ・フュルストは2003年にドイツ最優秀醸造家賞を受賞した。赤色砂岩の土壌の畑から力強いワインを生み出すことで定評がある。

色は黄緑がかった若々しい感じのする薄めのグリーンイエロー。香りはグレープフルーツ、ビスケット、山椒、ヨーグルト。

口に含むと硬質で張りのあるフォルムをまず感じ、純度の高い涼やかな酸には伸びのある力強さがある。残糖分はないはずだが、不思議に甘さを感じるのは果実味のボリュームゆえだろうか。アルコール感は低め(11.5%vol)なので、負担感なく染み込んでくる感覚。ベースにあるしっかりしたほろ苦さが味わいに落ち着きを与える。

余韻は塩っぽさとほろ苦さが残り、硬質な味わいの余韻が口の中に広がりながら、ゆっくりと引いていく。

最後まで残るほろ苦い感覚が印象的なワイン。シルヴァネールという品種がこの土地に出会ったからこそこの特徴を引き出されているのだろう。白ワインのピュアなうまさを存分に感じさせてくれた。

【ヘレンベルガー・ホーフ 3,600円?】

2009年11月27日 (金)

フュルスト ジルヴァーナ ピュア・ミネラル2006 QbAトロッケン

091123梅田のスカイビル恒例行事、ドイツ・クリスマスが今年も始まった。もうすっかりおなじみの冬の行事で、会社から帰り道にあるので時々寄り道してホットワイン、ソーセージ、ジャーマンポテト、スープなどを立ち食いしていくのも楽しみだ。

そしてドイツワインとなればここは外せない。ヘレンベルガー・ホーフさんも屋台を出してワインを直売している。試飲もできるし、コップ酒も500円で販売していて、これがなみなみと注がれるボリューム感だ。

その屋台で購入したのが、実は大好きなフランケンのシルヴァネール。ドイツ語読みならジルヴァーナか。フランケンでも最高の作り手で2003年に最優秀醸造家賞も受賞したルドルフ・フュルスト氏によるものだが、その名も「ピュア・ミネラル」というからさぞかしミネラル感があるのだろうか?

色は落ち着きのある枯れた感じの麦藁色。香りはおとなしく弱めで、石灰、黄桃の香り。

アタックは硬質で、すぐさま浸透力のあるエキス分が舌の表面からしみ込んでくる感じがする。塩っぽい味わいが特徴的で、ボリューム感はあまり感じないが、ほっこりとした柔らかさがある。微妙だがほろ苦さもあり、温野菜との相性がよさそうだ。

余韻はミネラル感がきっちりと残り、舌の表面に塩っぽさを残す独特の味わいが感じられる。最初よりも後半の方が確かなミネラル感を強く感じる。

味わいはおとなしいのに、でも中身は詰まっていて他のワインとは違う個性をしっかり持っている。シルヴァネールというつつましい品種が土地と生産者によってここまで個性的な味わいを持つことができるのが不思議だ。ミネラル感とはこういうものだ、と改めて理解できるワインだった。Good JOB!

【ヘレンベルガー・ホーフ 3,900円】

2009年10月 8日 (木)

リンゲンフェルダー ゲヴュルツトラミネール2006 ファルツQbA

090925ドイツワインは、今最も残念な境遇に置かれているワインなのかもしれない。かつてはやった甘口ワインの印象を未だに引きずっている。今出回っている殆どのドイツワインは、きりっとした辛口なのに。

ドイツワインのもう一つ、気の毒な点は殆どのワインが単一品種で作られているのに、地域表示がややこしいのでこれがまたとっつきにくい。昔ワイン・エキスパートの試験に挑戦した時も、ドイツが一番しんどかった。そして今ではほとんど忘れてしまっている...

しかし最近はそんな短所を克服すべく、表示をすっきりわかりやすくしたワインが出回るようになってきた。このワインもその一つ、ファルツ州のゲヴュルツ・トラミネール。

ファルツはフランス・アルザスの北に位置するドイツ最大級のワイン生産地域。QbAはカビネット以上のQmPに次ぐランクとなる、生産地域限定上質ワインのことを指す。アルザスで最も有名で質の高いワインを産むゲヴュルツだが、最近はドイツでもよく見られるようになった。

色は少し枯れた印象を受ける、茶色がかった渋めの麦藁色。香りはゲヴュルツらしいラ一の香りが豊かで、その他にヨーグルト、ママレード、ソーセージ、かすかに白檀のようなお香の香りも。

口に含むと滑らかで丸く穏やかな酸、その中にがっしりした苦みを含んでいる。苦味が十分広がると、その周りを包むように現れる熟す直前のトロピカルフルーツの甘味。味わいの展開は若干小ぶりだけど、品種の特性と考えられている要素はくっきりとした輪郭を持って現れてくる。甘味は中庸だが、かえって味わいは引き締まり好感が持てる。最初穏やかだと思った酸も以外に息が長く、最後まで下支えを崩さない。

余韻はほろ苦さを十分残しつつ、穏やかな甘味を心地よく感じさせながら、さっと潔く引いていく。とても軽快な飲み心地で後味のキレもすっきり。

アルコール度13%だけど、そうしたボリューム感はあまり感じさせない。北のワインらしい引き締まった味わいを保っている。ほろ苦さもちょうどいい。この価格帯でこれだけの要素があるから、大したものだ。でもこれが最後の1本でした...Good JOB!

【Cave de Terre 淡路町店 1,900円?】

2007年12月31日 (月)

ピノ・ノワール ファルツ2006 クロスター醸造所

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今年最後のワインになります。今年はイタリアワインを飲む事が多かったような気がするが、最後は素直に安くて気軽なワインを。

このワインはドイツのファルツ地方のピノ・ノワール。ドイツであれば通常はシュペートブルグンダーと呼ばれるはずだが、あえてピノ・ノワールと書くのは、EUでの販売を意識しての事か?価格は小売でわずかに千円。とすれば原価は3百円ほどだろう。ドイツのシュペートブルグンダはたいてい3千円以上の中で、こんな千円のピノ・ノワールは果たしていかに?

色は薄め、ロゼを少し濃くしたようなルビー色。香りはストロベリー、ミント、チューインガムの香り。

アタックはなめらかでやさしい酸。そして甘酸っぱさが口の中に広がる。タンニンは少なく、ストレートなブドウジュースの味わいだ。中盤のふくらみは小さく、複雑さはない。あくまで軽快、シンプルな味だ。

余韻も短め。ふくらみよりも自然でピュアな味わいを楽しむワインのようだ。

思ったよりも糖度があり、決して酸の立ったワインではなく、味わいもそこそこある。飲みやすく軽快という表現がよくあてはまるワインだろう。こういうワインが千円で、しかもドイツで生産されるのだから、温暖化とかグローバル経済とかいろんな要因も考えたくなる?

【創酒タカムラ 1,000円?】

2007年12月22日 (土)

シュペートブルグンダー ユンゲ・レーベン2004 フーバー

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今年も残すところわずか9日。クリスマスまであと3日。このクリスマス休暇中は人出も多いんだろうと思っていたら、あいにくの雨。

梅田のスカイビルで開催されているドイツ・クリスマス・マーケットも終わり間近になって人が多くなっていた。そこの屋台の中にドイツワインのインポーター、ヘレンベルガー・ホーフが直営店を出している。そこでの一本。

バーデンはドイツでも最南端の比較的温暖な地帯。かつての文献からこの地が昔からのピノ・ノワールの産地であったことを発見したベルンハルト・フーバーが醸造所を立ち上げて以来、彼の名はバーデンの第一人者として大きな評価を得るに至っている。このワインはまだ樹齢の若いブドウから作られ、3、4回使った小樽で約1年熟成したものだ。

色合いは暗く深みのあるルビー色で、エッジの色合いは少し薄め。香りはフランボワーズ、黒胡椒、鉛筆の香りがする。

アタックはさわやかで控えめな酸と、そこに溶けたみずみずしい若いベリーの果実味。タンニンは少ないが、こなれた旨みが口の中に広がり、ふんわりと穏やかな空間を作っていく。

余韻は甘さと渋みのバランス良い味わいが、長く残る。全体的に重厚さはないが、果実の甘さ、酸、渋さのまとまりある旨さが流れるように展開していく。難を言えばきれいにまとまり過ぎて凹凸というか、ひっかかるものがない点か。

じわじわと染み入るような感覚で、暖かい部屋で素朴な味わいの料理を囲みながら飲むには最適のワインかもしれない。穏やかな気持ちにさせてくれるワインだった。

【ヘレンベルガー・ホーフ 3,800円】

2007年8月11日 (土)

フランケン ランダーザッカー・ゾンネンシュトゥール シルヴァネール・カビネット2006 ヨゼフ・シュテアライン 

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午前中ジョギングに出たものの、この暑さ、結構コタエマシタ...最近屋内スポーツばっかりしてたんで、やっぱり屋外ものも適度にやんないとと反省。

そんなお疲れモードにはジンワリと効いてくるワインがいい。オススメはアルザス・リースリング、ミュスカデ、そしてフランケン・シルヴァネール。いずれも塩味、ミネラル風味を持っているので、疲れた体に染み込む様に入ってくる。

ヨゼフ・シュテアラインは7.5haとかなり小規模な作り手だが、フランケンでは最高の作り手といってもいい。年産7万5千本、そんなワインが日本、この大阪にふんだんに入ってくるのはナンと言っても茨木市にあるドイツワインの伝道者的存在、ヘレンベルガー・ホーフ社のおかげだ。
http://www.tia-net.com/h-hof/index.html

香りは結構ミルキー。ヨーグルト、白い花、桃の香りがある。色は黄緑の印象が強い、硬質感のある黄色。若々しさを感じさせる色合いだ。

アタックにかすかなガスを感じる。2006年ということでまだ若い印象だ。酸はまろやかで、その後塩味をともなったドライな味わいが口の中に広がる。果実の甘さも感じるが、重たくはない。全体的に硬質で直線的な味わいだ。舌の表面に広がって、それがジーンと舌の奥へと染み渡っていく。

余韻は中くらいで、ミネラル的な余韻が薄く長く続いていく。決して刺激的にあらず、優しく染み渡るのみ心地だ。

ゆっくり飲みつつ、ジンワリと体に染み渡る感覚。対話できるワインだと思う。日本酒で言うなら男酒。これで価格がもう少しお手ごろならば言うことなしなんだけどね〜

【阪神百貨店 2,900円】

2007年6月24日 (日)

シュペートブルグンダー ファルツ トロッケン2005 アプフューラー・フリートリッヒ・ベッカー

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今日はホントによく降った。京都はかなり雨脚が強かったが、梅田駅を降りたときには帰るときには阪神のユニフォームを着たファンともすれ違った。え?こんな日に甲子園で試合が出来たのか?ちょっと驚き。結果は...残念でした。しかしダルビッシュはいいピッチャーになりましたなぁ。今の実力は日本一ちゃうか?単に成績以上の魅せるプロらしい選手だと思う。

で、今日は更新しすぎなんだけど、ここのブログは旅先でちゃちゃっと携帯で更新できるのがいい。列車の待ち時間なんか有効活用。更新しているうちに列車が来るので、イラチの自分にはあっているのだ。で、ズカズカ投稿。粗製乱雑のきらいもあるが、まぁ更新してナンボなのでご容赦。

ようやく帰宅してゆっくりしようと飲み始めたワインは最近とみに気に入っているドイツのピノ・ノワール、シュペートブルグンダー。そしてその最良の作り手、目印は「キツネのマーク」のフリートリッヒ・ベッカーのワイン。

現在醸造所を仕切るのは、若き26歳のフリートリッヒ・ヴィルヘルム・ベッカー氏。ドイツ人らしからぬパッションにあふれた人らしい。そしてそんな性格を反映してか、ワインも鮮烈な味わいに満ちている。

色合いは黒味の強いルビー色。非常に濃い。エッジまでしっかり色が入っている。香りもなかなかスパイシー、コショウ、鉄、プラムの香りが華やかに香る。

酸は穏やかで、タンニンもそれほど強くはない。しかしミッドの果実の旨みが何ともいえない滋味にあふれている。決して強力に畳み掛けてくるわけではないが、やさしく、やわらかにつつみこんでくるような、じんわりとした味わいだ。

余韻もなめらかな果実、ベリーのうまさがジワーっと口の中に広がる。確かに全体的には中庸なのかもしれないが、酸、タンニン、ボディそれぞれが控えめに主張しつつバランスを保つ、そんなある意味「いじらしい」ワインといえる。

雑味がないので、何杯でも飲めてしまう。何も考えず楽しめる、ピュアなワイン。「困ったときにはキツネのマーク」、こう覚えておいてもらっても、あながち損はないのでは?

【阪神百貨店 3,000円?】

2007年5月20日 (日)

トラウトヴァイン カイザーシュトゥール シュペートブルグンダー トロッケン2004

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落ち着いてゆったりと時間を過ごしたい時は、あんまりでしゃばらない、全てを受け止めてくれる人と一緒に過ごしたい。ありゃ?えらい感傷的な出だしになったぞ!?

そんなええもんじゃなく、飲みすぎた後の迎え酒も落ち着いた優しい味わいのものがいい。今日は昼間から飲みすぎて、すっかり爆睡をかまして起きた11時頃、冷蔵庫にジュース類も一切なく、じゃぁ飲むしかないやん、と思って飲みだしたのがこのドイツのピノ・ノワール。

最近ドイツのピノ・ノワール、いやシュペートブルグンダーの進歩はホントめざましい。ブルゴーニュのようなおおらかな膨らみと余韻の複雑さにはかなわないが、ピュアな果実味と繊細としか言いようのない滑らかさは独特の世界を持っている。難点は価格。若干高めの価格にならざるを得ないのは、その冷涼な気候と起伏の多い地形で苦労しながら作っていることを考えればやむを得ないのだが...

このワインも香りが華やか。シソ、カシス、ミントのようなすがすがしい香りが広がる。色は決して薄くはない、明るめのルビー色。

口に含むと、すがすがしい酸とミンティーな香りが広がる。タンニンはやはり強くはないが、酸と調和したほどよい渋みを感じさせてくれる。ボリュームは小さいので、最初のミンティーさがすぐに余韻へと直結していくような感覚だ。

複雑さはなく、最初のすがすがしさがそのまま余韻へと繋がっていく、悪く言うと一本調子の感がなくはない。でもその後に続く余韻のはかなさ、か細さには何故か惹かれるものがある。時にはこうしたワインに触れたくなることがあるのは、やっぱ年取った証拠かな?

【阪急百貨店 3,500円?】

2007年5月 4日 (金)

ゲオルグ・ブロイヤー シュペートブルグンダー ルージュ2004

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赤ワインの品種で一番好きなのは?僕はシラーなんだけど、やっぱ多くの人はピノ・ノワールって答えるんだろうなぁ。果実味があるし、きれいな酸とタンニンのバランスはわかり易いし。

ピノ・ノワールといえばブルゴーニュ、究極はロマネ・コンティ。そのブルゴーニュも今ではやる気のある作り手が一杯いて大変なことになっているし、正直ついていけない。職業じゃないんで、そんなに覚えられません。

でもブルゴーニュ以上に大変になっているところがある。それはドイツ。そこではシュペートブルグンダー、遅摘みのブルゴーニュ品種と呼ばれている。

以前ドイツのピノ、いやシュペートブルグンダーは淡い色調のか細いワインと思われていた。しかし最近は違う。ニューワールドのピノとは全く違う、繊細さを保ってかつドイツらしい特徴を備えたワインが目白押しだ。そしてその代表格がこのゲオルグ・ブロイヤー。

彼らが所有する畑はフランスのブルゴーニュと同じ石灰質土壌。これはドイツでも少ない。土壌のポテンシャルがある以上、ここで造り方を極めれば、いいワインが出来ないはずはない。

このピノ・ノワールはブロイヤーの最もスタンダードなワイン。香りは正直青い。細く若い枝を折ったときの鮮烈で青い香りが強い。あとはプラム、セメダイン、ミントの香りがする。まだまだ若々しい、こなれていない香りという実感だ。しかし色は結構濃く、黒味を帯びたつややかなルビー色だ。

アタックは甘みも感じるほど柔らかだが、その後ゴツッとしたタンニンが鮮烈な酸に包まれて襲ってきて、口の中で破裂し広がる。ボリュームが豊かで、少々荒っぽいくらいだ。

余韻は比較的短め。収斂性のある舌を横から引き締めるようなタンニンは長く感じられるが、コク旨みの余韻はそれほど長く続かない。

全体でいえば、ドイツワインの赤として考えるとボリューム、ふくらみが豊かだが、まだピノワインとしてはこなれていない感じは否めない。果実味とタンニンのバランスがどうもしっくりこないのだ。果汁の潜在力は十分感じるので、あとはこれに官能的なバランス、シルキーさを足しこんでいけるかどうかだと思う。

でもドイツワインのピノは最近すごいなぁ。温暖化も影響しているのかもしれないが、ボリュームにはホント、驚かされます。

【阪急百貨店 3,800円?】

2007年3月24日 (土)

ケーニッヒシャフハウゼン シュペートブルグンダー2004

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3月24日はドイツワインのインポーター、ヘレンベルガー・ホーフさんの年2回の試飲会だ。千円で40種以上のドイツワインが試飲できるということで、前回行ったときは4時間くらい粘ってへべれけになった。

最近はドイツワインも選択の幅が広がったと思う。赤ワインはシュペートブルグンダー、つまりピノ・ノワールで価格帯も5千円くらいするがとてもベリーのウマミ豊かなワインが多く入ってきている。

そして白ワイン、リースリングやミュラー・トゥルガウだけじゃない。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランもみかけるようになった。でも白ワインはやっぱりシャルドネもドイツで作ると土っぽい塩気のあるフランケンのシルヴァネールに似てくるから不思議だ。

で、今回はバーデン産のシュペートブルグンダーを。

ケーニッヒシャフハウゼンは協同組合だがバーデンでも有数の作り手との評価を得ている。そして360haとバーデンでも大きな作付面積を誇っている。

さてワインだが、色はなかなか黒みがかかたった渋めのルビー色だ。落ち着いた色調で、一瞬濁ってるのか?と見間違えるほどしっとりとした質感を備えている。

香りは甘いストロベリージャム、ラベンダー、ハッカ、ぺっパーの香りがする。甘いやさしい香りがぽわっとグラス一面に広がってくる。

アタックはやさしい。ジュースを飲んでいるような感覚で酸も少なめだ。しかしただ甘いだけではない。繊細なタンニンとじわっとしたウマミが口の中を広がる。

タンニンが少ない分、ボディは弱く感じる。余韻も頼りないと感じるかもしれない。でもコクのあるうまみが口の中に薄皮を張るがごとく広がる。飲んでいても心地よい。このじわっと広がるうまみがシュペートブルグンダーの特質じゃないだろうか。

全体には繊細なワインで、インパクトに欠けるかも知れない。でもこのじんわりとしたウマミのあるワインって貴重だと思う。ただ難点なのはこういうワインに合う繊細なドイツ料理ってなんだろう?と思う点。鶏肉を煮込んだ料理なんかに合わせてみたいなぁと思った。力強い料理にはやっぱビールかなぁ?

2007年2月22日 (木)

フランケン ノルトハイマー フェーゲライン シルヴァーナー トロッケン 2004

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さきほどのバッフスのシルヴァネール版。フランケンならシルヴァネールを旨くつくってこそ、という勝手な思い込みがあるので、本道を試してみた。

香りは結構ヨーグルト、乳酸の香りがはっきり感じられる。マスカットの香りもある。

酸はやはり控えめで、ボディも強くはない。全体におとなしく、口に含んでもあまり発散しない。おだやかな塩っぽさが感じられ、少し苦さを伴っているが、これがシルヴァネールの特徴だと思っている。

飲み下した後は、一枚塩っぽさを感じさせる膜が口の中を包み込んでいるような余韻を感じさせる。良くも悪くも中庸、しかしこのワインが凡庸なワインと一線を画させているのは、他のワインにはないこの微妙な心地よい苦味を含んでいることではないかと思う。

あまり印象に残るワインではない。でもいいんじゃないかな、たまにはこういうほっこりした、微妙な味わいのあるワインを楽しむことがあっても。ドイツらしい、使い古された表現ながら朴訥な味わいのあるワインだと思う。

【購入データ 1,800円 新大阪駅の地下のスーパー】

フランケン ノルトハイマー フェーゲライン バッフス ハルプトロッケン2004

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どっしりしたワインよりも、たまには中庸なほっこりしたワインで癒されたいときがある。手がかかった料理よりも、塩気だけで食べる粉ふきいものような世界。そんなワインが、自分にとってはフランケンのシルヴァネールなのだが、このワインはバッフスという品種のフランケン産。

バッフス、ギリシャ神話の「酒の神」の名前を冠したこのブドウは、ドイツでは非常に多いクロッシング、掛け合わせ品種の一つ。代表的なのはミューラー・トゥルガウで、リープフラウミルヒなどにも用いられ、マスカットのような香りはあるが、味わいが単調なきらいがある。

で、僕自身どうもこういうクロッシングのワインはあまり好きではなく手が伸びることは少ないのだが、たまにはということで。

バッフスはシルヴァーナとリースリングの交配品種にさらにミューラー・トゥルガウを掛け合わせた品種だそうだ。こういう品種を開発するのは、ドイツが日照量に恵まれずワイン生産の北限に近いため、生産量を高めることが目的だったようだ。

で、このワイン、香りはマスカット、甘いシロップのような香りが非常に顕著だ。味わいは酸は控えめだが、それほどしつこくない程よい甘みを伴い、思いのほか締まった印象を受ける。口に含むと、鼻の中を白い花の香りがふんわりとあがってくるような感じがあった。

ボリューム感は少なく余韻も長くはない。しかし飲んでいて軽快で、かつ華やかな気分にさせてくれるワインだ。フランケンのワインにある塩っぽさもバックに感じられ、産地の特徴も感じさせてくれる。

なかなかうまく作ってあるワインだ。白ワインの酸がキライな人にも、楽しく飲んでもらえる素地があると思う。ラベルのユーモラスな鳥達もなかなか味がある。交配品種でも飲まずギライはいけないな、と思わせてくれたワインだった。

【購入データ 1,800円 新大阪地下のスーパー】

2007年2月11日 (日)

ダオテルマン2004ザンクト・ラオレント

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ドイツワインってどうしてこんなに名前の表記が難しいんだろう。この辺りも売るには損してるところだ。だからこのワインも表記が正しくないかもしれない。もし誤りを指摘していただければうれしい。

このワイン、ドイツワインとしてはまだ珍しい赤ワイン。最近シュペート・ブルグンダー(ピノ・ノワール)はよく見かけるようになったが、こちらはフランス読みならサン・ローラン、ドイツ語ならザンクト・ラオレントとするんだろうか?いずれにしても初めての品種だ。

元々はフランス・アルザス地方で栽培されていたが、次第に廃れて今ではオーストリアと一部ドイツで栽培されている。なかなかいいワインを作る品種だったが、発芽が早いために初春の霜にやられやすい、という農家にとっては困った性質があり、次第にはやらなくなったようだ。こういう品種をわざわざ作ろうとする農家が変なワインをつくるはずはない。よほどの偏屈か、やる気のある作り手にちがいないのだ。

で、ワインのほうだがドイツの赤ワインにはない色の濃さだ。香りも甘く、カシスのジャム、おがくず、どちらかというとカベルネ・ソーヴィニヨンに近い。この品種、ピノ・ノワールの突然変異種と考えられているそうだが、あまりピノ系の感じは受け取れない。

アタックはそれほど強くないが、口に含むと酸とタンニンのバランスが良い。まろやかで、肉付きの強さは感じないが上品、ドイツワインにない性質で少し驚き。このタンニン、舌の横を引き締めるような感覚は、ドイツワインにないものだ。

余韻は若干短めか。でも心地よい後味を感じさせるし、口の中に残る果実香は結構後を引く。飲みあきはしない。

たぶんブラインドで飲んだら、これをドイツワインと指摘できる人は殆どいないだろう。こういうワインを作り続ける農家がいることにも敬服するが、それをわざわざ輸入するインポーターのやる気もたいしたものだ。たま〜にこういう当たりにめぐり合うから、デイリーワイン探しはやめられない。

【購入データ 2,500円? 阪神百貨店】

2007年1月30日 (火)

RvB ソーヴィニヨン・ブラン トロッケン2005

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フランケンで失敗してもへこたれてはいけない。コチラはファルツという地方の白ワイン。珍しいのはソーヴィニヨン・ブランのワインということ。

ソーヴィニヨン・ブランはいわずと知れたフランス品種。ボルドーの白や、ロワールのサンセール等で造られ、東の横綱シャルドネなら、西はソーヴィニヨン・ブランだろう、という存在。

フランスだけでなく、今では全世界で作られている。ただしドイツは空白地帯。なぜだろうとずっと思っていた。この品種の特徴である青草のようなすがすがしさ、と鮮烈な味わいは北の比較的寒冷、涼しい気候で本領を発揮する。ならばなぜドイツで作らないのか?理由はよくわからない。知っている方ぜひ教えてください〜

で、このワインはどうか?香りはソーヴィニヨン全開だ。サンセールで感じる若草、露を含んだ芝から湧き上がるような青い香りがふんだんに感じられる。青ねぎ、白菜を手でちぎったときの香り、いずれにしても若々しい香りだ。果実で言うとライムかな。

で、口に含むと酸はさすがに鋭い。しかしその中に結構甘みも感じられる。アルコールは12%、結構ある。冷涼なドイツではなかなか作る方も難しいんだろう。

ライヒシュラット・フォン・ブール(発音あってるかな?)はファルツでも有名かつ優良な作り手。ラベルの獅子のエンブレムが特徴的で、それとわかる。ファルツは最近いろいろ革新的な作り手が、従来にないドイツワインを作っている注目の産地。ラインガウなど昔から有名でブランドになっているところと違い、ファルツの生産者は品質勝負のため非常にいいワインが入ってきている。

このワインでも最近の「ファルツ産ハズレなし」傾向は確かめられた。価格も安いし言うことなし。2,000円台のワインはたまに外すから、こういうのに会うとよけいうれしいんだ。ディリーワインのストックが1個増えた。

でも結構直線的な酸だから、「キライ」って人も多いだろうとは思う。そのあたりは人それぞれということで。

【購入データ 1,800円 ボン・ルパ心斎橋店】

ランデルザッカラー ゾンネンシュトゥル シルヴァーナー カビネット トロッケン2005

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ドイツワインのイヤな所は名前が長いことだ。ただでさえ記憶力減退のところに、この名前。メモを取る気も失せる。従ってよかったワインでも殆ど再注文の機会はない。だからドイツワインについては一向に進歩しない、自分にとって永遠のブラックホールなのだ。

結局形でわかり易いフランケンに手が伸びる。しかしたいがいのフランケンは高い。ミューラー・トゥルガウで造ったものは千円台で安いが、飲みやすさはあっても面白さに欠ける。滋味と表現したら良いのか、なんとも言えない酒の旨味に欠けるのだ。

シルヴァーナはあまり際立った特徴のない品種。酸も控えめだが、どことなく塩っぽさがあり、旨い作り手のワインではそれが微妙な旨味となって、素朴な味わいを醸し出す。

このフランケンは、カビネットにしては1,700円と安い。香りは青リンゴ系か。果実系の香りだが、あまり際立った特徴はない。

アタックは酸も穏やかでスルッと入ってくる。そしてここで塩っぽさが...来ると思ったら来なかった。飲みやすいがボディも細く平板。悪く言うと薄まった感じだ。

一方通行で、何も感じさせてくれないままに通過されてしまったような感じ。たまたまなのかどうかはわからないが、フランケンの無骨さは殆ど感じられない。

そりゃないよなぁ。低価格帯だからいたしかたないとしても、あまりにもつれない態度じゃないっすか?

【購入データ 1,700円 ボン・ルパ心斎橋店】