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カテゴリ「ワイン イタリア 北部」の89件の記事 Feed

2015年8月29日 (土)

フォリチェッロ ボンベン2014 DOCモデナ

150829bombemようやく暑い夏も終わりに近づく。夏になると勢い泡の消費量が増えるのは仕方ないものだが、それでも無果汁の炭酸飲料は全く飲まなかった。コーラなど、口にしなくなって久しい。そう考えると久しぶりに飲んでみたい気持ちになるものだが。

泡でもその日の気分に応じて色々試してみるのだが、シャンパーニュばかりだと破産しかねないので、この日は軽快なイタリアの泡を。

エミリア・ロマーニャ州の古都、モデナで産出されるこの泡は、ビオロジックで栽培された地元品種モントゥー、この地ではモントゥーニと呼ばれることの多いブドウによる。元々はイタリア語でmolta uvaから由来する名前で、その名のようにこの地域で特に生産量の多かったブドウであったようだ。この生産者、フォリチェッロはこのモントゥーニを用いて瓶内二次発酵、酸化防止剤不使用の自然な造りを志向している。

色はやや乳白色の感がある穏やかな色調の薄いゴールド。香りは優しくオレンジ、白い花、やや有機的な香りも感じ、全体には控えめ。泡は注いだ瞬間以外は落ち着いている。

口に含むと溶け込んだ優しい泡がピチピチと弾ける感覚が好ましく、その直後にドライで残糖分の少ない、そしてベースに苦みの効いた味わいがストレートに迫ってくる。余計なものをそぎ落とした潔さが全面にみなぎり、複雑さ、余韻云々という表現を考えさせる暇を与えない。ただ心地よさ、素直さ、清々しさを感じでそれでいいではないか、という思いに好ましく屈服させられる。

フィニッシュに至るときにようやく控えていたやや粘る旨味、そして最後まで幅を利かせる苦みのミネラル感が現れて、単なる軽快なワインではない、という懐の深さを垣間見せてくれる。

序盤の軽快さから余韻の剛腹さに至る展開が久々に印象深かった。これが土着品種モントゥーニの力によるものか、造り手によるものかは判断がつかない。おそらくはその両者が幸福の下に出会った故の結晶と呼ぶことが、至って穏当ではあるが相応しいのだろう。

【R -the wine shop- (ヴィナイオータ) 2,500円?】

2015年5月10日 (日)

マッテオ・フルラニ シュル・リー・アルピノ2013 トレント(トレンティーノ・アルト・アディジェ州)

150510matteofurlani徐々に陽射しが強くなれば、自宅で消費するワインも徐々に白へと移行する。そしてその白の一部が泡となる。

泡の中で一番好きなのはシャンパーニュなのだけれど、さすがに高値。次の選択肢としてはイタリア各地に広がる珍しげなスプマンテだが、この一本は素朴なエチケットにまず魅かれて購入したもの。

簡素なエティケットだが、データは豊富。この地の古い品種を使用したスプマンテで、パヴァーナ、ヴェッルナッチャ、ラグリノ・ビアンカ、ヴェルデルバーラによる。この中でパヴァーナはヴェネト州パドヴァの名前に由来するブドウ。ラグリノ・ビアンカも北イタリア特有のブドウだが、特にDNA上ラグレインとの直接関係はない。製法は発酵が完了していない時点で瓶詰めを行い、瓶内に炭酸ガスを閉じ込めるアンセストラル法によるもの。栽培法はペルゴレ、標高720mの畑で9月末に収穫、フィルタリング、亜硫酸添加は行っていない。

色はやや濁りの残る、黄緑のニュアンスを帯びた薄い麦わら色。やや還元香を残るが、ライム、グレープフルーツ、バジルの青い清廉な香りが立ちあがる。泡は開けたては勢い良く、その後は仄かに立ち上がる。

アタックは軽やかな泡の優しさ、そしてジェノヴェーゼのソースのような旨味を持った爽やかさが広がる。引き締まったボディの中に青い柑橘の旨味がふくよかに詰っており、決して軽さだけではない質が感じられる。雑味の少ない味わいは中盤から皮の渋みがアクセントとなり、徐々に複雑さの印象を広げていく。

余韻はドライな味わいを見せつつ、爽やかな青い印象を口腔に広げながら優しくフィニッシュに至る。

久々に個性的な味わいのスプマンテに出会ったという感覚。これだけワインに強いバジルの印象を覚えたことは未だかつてなかったかも。今日の夜はジェノヴェーゼを作って合わせてみようかな。きっと合う事間違いなし。

【エーテルヴァイン(テラヴェール) 2,500円?】

2015年5月 4日 (月)

ステファノ・レニャーニ ルー・ガルー2013 サルザーナ(リグーリア州)

150504loupgarouヴィナイオータは日本のワイン業界において大きな影響を与えたインポーターであることは間違いないだろう。今やセレクトショップ的ワインショップで、このインポーターを扱っていない店を見つける方が難しい。特にイタリアワインにおいてはその影響は免れ難い。グラヴナー、ラディコン、サッサイアといった白ワインよりも黄ワインに近いワインを世に送り出し、その価値を認めさせた功績は大きすぎる。

ただし、それらのワインもいざ食事に合わせるとなると、正直なところ躊躇する場合が多い。あまりにワインの印象が強すぎて、料理との調和が保てるかどうか、見極めが難しいように思える。しかし、最近飲んだ中ではこの1本はその境界線を越えずに楽しめるワインだった。

イタリアワインでは主流とは言えないリグーリア州。その州で主要品種であるヴェルメンティーノを用いているこのワインを醸すのは、ステファーノ・レニャーニ。年産わずか4,000本という小規模生産者。1haの畑でヴェルメンティーノをビオ・ディナミ農法で栽培し、そのブドウを圧搾後5日間マセラシオンさせ、ステンレスタンクで発酵熟成、清澄は行わず、亜硫酸添加も最小限にとどめている。

色はややうす濁りで濡れた質感、オイリーさを感じさせる乾いた麦わら色。乾燥マンゴー、枇杷、アプリコットの甘い香りに加えて、ジンジャーの香りも加わる。

口に含むとねっとりした甘味をまず感じ、その直後にスマートで芯のある酸味がボディの中核を成すようにすくっと立ち上がる立体感が印象的。豊かな果実味はくどすぎず清冽さを保ち、芯を成す酸味に密に寄り添いつつ、序盤のオイリーな印象から中盤の清廉な味わいへと自然に展開していく。後半にはハーブの香りと共にやや苦みのあるミネラル感が広がり、複雑さとふくらみを見せていく。

余韻は穏やかな甘みが解けていくとともに苦みがしっかりと立ち上がり、細長い旨味を残しつつフィニッシュに至る。

オイリーな質感からは印象を裏切る、と言ってもいいくらい綺麗な味わい。リグーリアのワインはシンプル、ストレートという印象だが、その先入観を完全に覆してくれたワインだった。Good JOB!

【エーテルヴァイン(ヴィナイオータ) 3,200円?】

2015年3月14日 (土)

コルテフジア フランチャコルタ オルファノ ブラン・ド・ノワールNV ロンバルディア州 

150314orfano_blanc_de_noir色覚、味覚、嗅覚でワインを捉えるならば、スパークリングはそこに聴覚、触覚を加えなければならない。聴覚とは泡の音、触覚とは泡と舌が接する時の体感のこと。

この中で触覚においてシャンパーニュを超えるものは、いままでの経験ではなかなか出てこない。長期熟成の末に閉じ込められた細かな泡が舌に軽やかに接する瞬間、かつて飲んだ時の思い出がよみがえるような気にさせられる。

そのシャンパーニュに勝るとも劣らないと言えるのは、イタリアのフランチャコルタだろう。シャンパーニュに比べれば、市場に出回る数は圧倒的に少ないが、そうした状況を変えようとするインポーターもいる。大阪では曽根崎のフランチャコルタ専門バル、オッタンタセッテ(87)はまさにそうした開拓者だろう。このフランチャコルタはその店に立ち寄った際に、持ち帰ったもの。ブラン・ド・ノワールということで、ピノ・ネロ100%だとは思うが?

色は濃い目で、周縁にピンクを感じさせる艶やかな麦わら色。泡は細かで快活にテンポよく立ち上る。香りは焦がしバター、リンゴのパイ、軽いスモーキー感、ややジンジャーのスパイスと、バックには硬質なミネナルも感じる。

口に含むと細やかな泡が舌をしっとりと包む質感。果実味も穏やかで安定感があり、まろやかな酸味と調和してふくよかな味わいを展開していく。中盤から後半にかけてややグリップ感は欲しいと思うものの、全体の調和は崩れず温かみと優しさの印象を強めていくのは、イタリア的。

余韻はおおらかな果実味のふくらみが口の中に残り、最後にキリットした苦みと適度な浮遊感を持たせつつ、透明度の高い味わいで収束していく。

泡の細かさで魅せて、味わいはイタリアらしくおおらかでストレート。フランチャコルタとシャンパーニュを比較することもあるけれど、これは全く別のワインなのだから、気分に応じて選んでいくのが正解なんだろう。だからこれからは選ぶうえでの選択肢がますます広がっていくことに期待。

【オッタンタセッテ(フラテッリ トクヤマ)7,000円?】

2014年8月 7日 (木)

ディディエ・ジェルベル ジュー・ド・セパージュ2013 ヴィノ・ダ・ターヴォラ(ヴァレ・ダオスタ)

140807didiergerbelle仕事は真剣に取り組むべきものだが、その仕事を続けていく上では、時として自分も楽しむための何かは持っておきたいものだ。その心がいわゆる遊び心だと思う。その心を効かすことで、普通では考えが及ばなかったアイデアも時として浮かんでくる。これは自分の経験からも確かな事だ。

ワインもまさに同じなのだろう。一年間、畑から醸造所まで気の抜けない日々ばかり送ることを強いられれば、そのワインにもそうした雰囲気が現れるのではないだろうか。そうした息抜き、楽しみの中に造られるワインであれば、飲み手にとっても楽しめる要素が詰まっていることだろう。

イタリア北部のヴァレ・ダオスタ州はフランス国境でもあり、フランス語が通じる圏だと聞く。このワインの造り手、Didier Gerbelleもまさにフランス語そのもの。

そしてワインにつけられた名もJeux de Cépages(ブドウたちのあそび)、ゲヴュルツ・トラミネール、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエの3種、フランスでもアロマティックなブドウ3種を掛け合わせる、普通では互いに喧嘩しそうな試みを敢えてするところに面白さがある。まだ若い造り手のようだが、一筋縄ではいかなさそうだ。

色は張りのある、全体に若い麦わらの印象があるやや薄めのゴールドイエロー。香りはアロマティックでライム、ビニル、若草、ジェノヴェーゼソース、キウイといった、若さ、やや青さを想像させる香りが強い。

口に含むと強くはないがしっかりとした主張と芯のある酸がすっくと立ち、その芯をじわじわとにじり登ってくるように青い柑橘系果実のエキスが広がり、整った細身の現代的ボディを形成する。北のワインにありがちな緊張感を伴わず、味わいはなかなか複雑で、苦さ、青さ、華やかさが同時に感じられつつ、全体では適度な立体感を感じさせるバランス感覚を保つ。後半はやや青さのあるほろ苦さを伴った味わいが座り、その上を通り過ぎるようなフレッシュ感が常に口の中を清冽に保ち、飲み飽きないクリアな心地を演出する。

余韻はすっきりした透明度の高い味わいで、角の取れた柔らかい酸味を残しつつ、緩やかに優しく引いていく。

個性の強い品種を戦わせつつ、バランスを失わない一つの作品を造りあげるところが素晴らしい。遊び心による異種格闘戦で生み出された個性的ワインに完敗、Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU 3,000円?】

2014年5月24日 (土)

カーヴ・ド・ドナス ドナス2008 DOCヴァッレ・ダオスタ

140524alleedaostedonnas2008気温が上がってくると、赤ワインでも軽快なワインが飲みたくなる。その時北イタリアは一つの選択肢だ。その中で、ヴァッレ・ダオスタ州は魅力のある産地ではあるのだが、生産量が少なく、なかなか店頭に並ぶことが少ないのが悩みの種。

この州の珍しいところは、DOCがたった一つ、ヴァッレ・ダオスタしかないことだ。しかし、あまりに広範囲なDOCゆえに品種表示、地理表示も認められている。このドナスも、ネッビオーロ85%以上が課されている地理表示だ。

カーヴ・ド・ドナスはこの地の農家が集まって組織された協同組合で、このワインの品種はこの地ではピコテンドロと呼ばれるネッビオーロが85%、フレイザ、ネイレが15%で醸される。ネイレはヴァレ・ダオスタの土着品種で、ネレ・ディ・サン・ヴァンサンとも呼ばれる。印象的にはピエモンテで造られるネッビオーロよりは軽めの仕上がりを想像するが、果たしてどうだろうか。

色は黒味は強いが、全体の色調はやや薄い感のあるダークルビー。香りはクランベリー、鉛筆の芯、黒胡椒、ミントの香りも感じられる。

口に含むとこじんまりとした身振りながら、柔らかいジューシーな酸が舌先を包み、熟しながらクリアな果実味とともに口の中を満たす。細身のボディだが、フォルムはしとやかで丸みがあり、中盤からはネッビオーロらしい細かなタンニンが座り、安定感をもたらす。そして後半まで透徹したクリアな味わいは一貫し、心地よく涼しげな印象を残す。

余韻は程よい甘さが適度な浮遊感とともに口腔を満たしながら、穏やかに優しく引いていく。

印象とたがわぬ繊細かつ軽快な味わいだが、質もしっかり備わったワイン。少し冷やして夏のアクセントとして楽しむには適した赤ワインだった。

【阪急百貨店梅田本店 2,800円?】

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2014年1月12日 (日)

ヴィニャイ・ダ・ドゥリネ スキオペッティーノ ラ・ドゥリネ2010 IGT(フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州)

140110dulineschioppettino2_2イタリアの魅力は土着の品種にあるというのは信念だし、最近は手軽にいろいろな品種を楽しめるようになったのは嬉しい限り。しかし、それでも感嘆には触れることのできない、「暴れん坊」的な品種もある。自分にとってはフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のスキオペッティーノもその一つだ。

スキオペッティーノは別名リボッラ・ネーラというフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の土着品種だが、DNA検査の結果リボッラ・ジャッラの変種ではないことが明らかとなった。

語源がスコッピアーレ(爆発する)から来るように、口の中で爆発するような果実味とタンニンを伴うという印象があるスキオペッティーノ。この品種をうまく手なずけるには生産者の力量と度量が必要に違いない。ヴィニャイ・ダ・ドゥリーネは最近知った作り手で詳しくは知らないが、果たしてどのようにこの品種の特性を表現するだろうか。

色は魚の血のような赤身を強く感じるルビー色。香りはカシス、バラ、ドライフラワー、ローズマリー、インクを感じ、バックにやや粘質、土っぽさを感じさせる。

アタックは瑞々しい赤い果実のピュアな酸味が突き進み、その直後スレンダーな果実味が導かれる。フォルムがしっかり感じられ、細かだが互いにこすれるかのようにこなれないタンニン感は若干あるものの、緻密な構造の内部へ引き込まれるようなエネルギーを感じる。酸味と果実味のバランスは良いが、ベースに座る荒削りの渋みがこのバランスを巧く崩してワインに複雑さをもたらす。

余韻は再びピュアで透明度の高い酸が戻り、柔らかな果実味が舌の表面を流れるように粗さをなだめ、綺麗な旨味を残しつつ引いていく。

序盤のピュアさ、中盤は荒削りさから落ち着き、そして後半は再び静謐な味わいを展開する多面的な構成が、今まで飲んだ厚みで迫るスキオペッティーノとは違う展開、複雑さを感じさせた。土着品種の個性とポテンシャルを表現できる生産者の技量に脱帽。Good JOB!

【エーテルヴァイン岡崎店 4,000円?】

2013年10月31日 (木)

ヨーゼフ・マイヤー ラグレイン・リゼルヴァ2006 DOCシュド・ティロル

20131027josephusmayrワインによってはあまりにも大事に思う故に開けるタイミングを失する場合がある。しかし、どんなに残しても自分が飲まねばそれは宝の持ち腐れ。飲みたいときに飲むのもそのタイミング故だろう。

このワインもかなりセラーに残していたのだが、ふと飲みたくなって勢いで開けてしまった。アルト・アディジェの名手、ジョセフ・マイヤーのラグレイン。

ラグレインという品種は北イタリアにしては果実味が強すぎて、あまり好みではなかったのだが、このヨーゼフ・マイヤーのワインはそうしたものを超えたラグレインを産み出すと聞いていた。さて、実際はどうだろう?

色は濃厚な凝縮感の強いダークルビー。香りはシラーにも似たスパイシー感、生肉の印象が強く、プラム、スモーク香、腐葉土の香りが混ざり合うように感じられる。

口に含むと果実味、酸味、タンニンの一体となった濃厚な味わいがずっしりと感じられるが、その味わいは密にして繊細、細かな質感が全く口の中にまとわりつかず、見事に昇華していく。すべてが柔らかく溶け込み、独りよがりに主張しない。それでいて、調和の中にそれぞれの個性が読み取れる味わいが驚き。タンニンの渋みも細か、かつなだらかで、豊かかつ緻密な果実味を抱擁するように細部に染み込む。

余韻は過熟ではないベリーの繊細かつ上品な甘さが口の中に長く残り、その旨味が消えずにたゆたう大河のごときおおらかさで、優しくなだらかな地平線へと下る印象を感じさせながら引いていく。

北イタリアの赤ワインとは思えぬボリューム感と、北イタリアに思う繊細さを両立させた素晴らしいワイン。ラグレインという品種をここまで高貴なものに昇華させた造り手の凄味を感じさせた、久々に衝撃のワイン。開けてしまったことが後悔するほどだから、わかってもらえるだろうか?Great JOB!

【酒喜屋 5,000円?】

2013年9月24日 (火)

カ・ラ・ビオンダ ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・スペリオーレ カンポ・カサル・ヴェグリ2010 DOCヴァルポリチェッラ・クラッシコ・スペリオーレ

130915valpolicella有名な割には軽んじられている感のあるワインというものがある。イタリアで言うと、ヴァルポリチェッラはその一つではないだろうか。当然アマローネと呼ばれる陰干しブドウから造られる濃密なワインは別だが、普通のヴァルポリチェッラはソアーヴェとともに軽くて飲みやすいワインとして、カジュアルなイタリアンに氾濫していた。

ヴェネト州の赤ワインとしてヴァルポリチェッラは、コルヴィーナ・ヴェロネーゼが45~90%、ロンディネッラ5~30%、その他種類を25%まで含めることが許される。コルヴィーナという品種の名前はCorvo(カラス)に由来し、とある伝説による説と、その紫を帯びた黒い色から来ているという直接的な理由による説の二説がある。カ・ラ・ビオンダはヴァルポリチェッラでも最も優れた畑と言われている。

色は暗めで沈んだ印象のある深みのあるルビー色。香りはカシス、バラ、湿った炭、枯葉。

口に含むと熟したベリーの甘みを感じ、その甘みをまとめる緻密な酸が続く。タンニンは中庸で、果実味主体の味わい。果実味は凝縮感があり、突出したところがなくバランスよくまとまっている。甘みは濃すぎず、すっきりとした切れを持っているので、グラスを重ねても苦にならない。後半には熟した果実の旨味と、程よいタンニンが優しく寄り添うように展開する。

余韻は苦みと旨味が密接に絡み合いつつ、その後品の良いデザートのような甘味が窓を開け放ったかのように広がり、そして全てが昇華する潔さを感じさせてフィニッシュに至る。

濃厚な果実味を持ちながら後味の品の良さが両立している、メリハリの効いたヴァルポリチェッラだった。やはり後味の良さはワインの印象に大きな影響を与えるようで、その意味でこのヴァルポリチェッラはきっと深い印象を刻むに違いない。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,500円?】

2013年5月 7日 (火)

テルラーノ テルラン ピノ・ビアンコ ヴォルベルグ リゼルヴァ 2009 DOCシュドティロル(アルト・アディジェ)

130505vorbergピノ・ビアンコ、フランスではピノ・ブランはかなり過小評価されているブドウ品種だと思う。フランスでは本拠ともいえるアルザスでさえ、グランクリュを名乗れる品種はリースリング、ゲヴルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカだ。いずれも名前を聞いただけで特徴が思い浮かぶ品種だが、ピノ・ブランはそれが正直ないことも事実。穏やかで癖がない、そういう感覚が続いた。

しかし最近はこうした品種にこそ隠れた個性を見出す楽しみがあることに気が付いた。それはいろいろなワインを飲んできたこともあるのだろうが、ある程度年齢を経てきたことも理由なのかもしれない。落ち着いた時間を共に過ごすワインには、こうした気取りのない穏やかなワインこそふさわしいと思う。

テルランはアルト・アディジェでトップのワインを産みだす協同組合。その品質はブドウを厳選して格差をつけ、農家間でもより優れたブドウを生産することにインセンティブを与えた方法で裏打ちされている。畑は主に火山性土壌で、よりミネラル感を生み出すテロワールに恵まれており、このピノ・ブランはそのうちの単一畑、フォルベルグで栽培され、完熟したブドウを選別して醸造される。

色は少し粘性を感じさせる、輝きを帯びたゴールドイエロー。香りは白い花、オレンジ、幸水梨、青みのバナナの印象も感じさせる。全体に程よい甘い印象を感じさせるん香り。

口に含むと柔らかみと丸みを帯びた酸味が穏やかに広がり、繊細でドライな柑橘の果実味がまとまりよく躍動する。突出したものはなく、個性的という印象ではないが、内側からじわじわと湧き上がるエネルギーを感じ、中盤から後半にかけての太い苦みを構成するミネラル感が心地よく落ち着いた味わいを定着させる。

余韻は薄皮一枚で柔らかく、しかし幅広く広がる旨味が切れずに続き、穏やかな酸味が戻り現れリフレッシュしつつ、長い穏やかな坂道を下るかのような印象を残しつつ引いていく。

全体には綺麗で優しい印象だが、内に秘めたポテンシャルと充実したミネラル感はしっかりした存在感を主張する。時間と共にいろいろな面を気づかせてくれるワインだと思うので、休日1本でゆっくり時間をかけて向き合うワインとしては最適だろうな。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,600円?】

2013年4月24日 (水)

ピッコロ・エルネスト ガヴィ ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ  ロヴェレート2012 DOCGガヴィ

130420gaviイタリアは土着品種の宝庫だけど、それだけではない。その土着品種を支えてワインという作品に仕上げる、地元の献身的な生産者がいるからこそ、イタリアワインに芳醇かつ多様な、他国には見られない独自のワイン世界が広がっている。

イタリアワインの白にあって、ガヴィは有名だが質の上で一歩譲るという感があった。コルテーゼというピエモンテ州独自の品種で作られたワインは、かつてイタリアの白としてはソアヴェとともに代表選手であり、必ずイタリア料理店には置かれていたが、正直個性のない酸のある旨味の少ない安ワインという印象がぬぐえなかった。おそらく、かつて日本に入ってきたものがそうだったのだろう。しかし、その印象は自分の中で定着し、ガヴィを顧みることは久しくなかったが、最近ようやくその先入観を払しょくすべく戻ってきた。

ガヴィはピエモンテ州の南東、リグーリア州よりに位置し、コルテーゼ種による白ワインを算出する。ピッコロ・エルネストはこの地域の最良の地区、ロヴェレートで家族経営のワイナリーを営み、コルテーゼのみを栽培、この品種の特質を活かすため樽を一切使わず、ステンレスタンクによる発酵、熟成を行っているという。

色は輝きのある緑がかった薄めのイエロー。ディスクは中程度。香りはオレンジピール、ジェノヴェーゼソース、ドロップ、ミント。

口に含むとまろやかだが瑞々しさを伴った酸が感じられ、クリアな雰囲気を醸し出す。その後、爽やかな若い柑橘系の果実味が均整のとれたボディで広がり、豊かな旨味を引き出す。軽快なミネラル感がアクセントとなり、複雑さを与える。膨らみは大きくないが、ストレートな果実の旨味、クリアで透明感に満ちた味わいは心地よい。

余韻はクリアな果実味が余分な甘みを残さず、最後まで清々しさと程よいふっくら感を残しながら、キレよく後を引かずにさっぱり引いていく。

コルテーゼという品種には正直なところ目立った個性はないのだろうけれど、その品種を使いながらクリアな特質、素直な味わいを引き出して印象深いワインい仕上げてくるのは、この品種と共に生きると覚悟を決めた生産者の潔さが率直に現れているからなんだろうな。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 2,000円?】

2013年3月30日 (土)

イナマ カルムネール・ピゥ2010 IGT(ヴェネト)

130330inamacarmenereここ数年で最も知名度を高めたブドウ品種、それはカルムネールかもしれない。元々はボルドーで栽培されていたブドウで、カベルネ・フランとグロ・カベルネという品種の自然交配によって生まれた品種だが、ボルドーでは殆ど栽培されなくなった。今やこの品種が本領を発揮する部隊はチリ。

チリで栽培されていたメルローは実はカルムネールだったと言われるようになったのは、そう古い話ではない。しかしそれを逆手に取るように、チリでは今やカルムネールがチリ独自の品種としての評価を確立した。そして元々対コストで品質の高さを謳ったチリワインゆえに、日本でもカジュアルに楽しまれる中でカルムネールの名前も自然と浸透している。

他の国際品種と誤認されるカルムネールだが、実はイタリアのカベルネ・フランは多くのケースでカルムネールなのだという。しかし、このヴェネトの名手、イナマはカルムネールを前面に押し立ててこの赤ワインを世に出した。セパージュはカルムネール60%、メルロー30%、ラボゾ・ヴェロネーゼ10%。

色は深みのある湿った暗いルビー色。香りはカシス、ユーカリ、ローズマリー、鉛筆の削りかす、古樽の香りも感じられる。

アタックはバランスのとれた、丸みのある豊かな果実味。果実味は角の取れた優しい甘みがあり、そこに強さはないが穏やかな酸味が絡み、グミをほうばった時のような弾力性も感じられる。タンニンは控えめだが、このバランスの良い味わいと調和を保つボリューム感を持っている。全体にすべての要素が穏やかで、派手な主張こそしないが、時間とともに染みあがってくる旨味の感覚が心地よい。

余韻は雑味のないクリアなベリーの甘みが旨味へと昇華し、舌を薄く包むように優しく広がる後味が長く残りつつ、ゆったりとした余裕を保って引いていく。

イタリアの赤としては驚くほど抑揚の少ないバランス感を終始保つ。しかし、それは決して悪い意味ではなく、それぞれの要素をしっかりと感じさせつつ、統一を保った味を形作る至難の業を実現しているということ。それを可能にするカルムネールという品種のポテンシャルあってのことなのだろう。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,200円?】

2013年2月 7日 (木)

カステッロ・デッラ・サラ(アンティノリ) ブラミート・デル・チェルヴォ シャルドネ 2011 IGT(ウンブリア) 

130206castellodellasala先日このワイナリーのピノ・ノワールを飲んでその落ち着いた味わいが好印象だったけど、では白はどうなんだろうか、ということでシャルドネによるこのワインを選んだ。

このワイナリーにはもう一つ上の白があり、それがいわゆるフラッグシップ(旗艦)ワインなのだが、あえてスタンダードなこのワインを選んだ。自分としてはワイナリーの実力を測るには、フラッグシップよりもむしろその一段、二段下くらいのワインを試す方がいいと思っている。そうしたワインの質を測るほうが財布にも優しいし、ワイナリーの誠実なワイン造りを感じることができると信じるからだ。

このワインはウンブリア州でシャルドネ100%により造られる。発酵はステンレスとオーク樽を併用。

色は金属的な張りのある硬質なレモンイエロー。カスタードクリーム、ヨーグルト、青リンゴ、ユーカリ、バタークッキーの香りで、全体的に乳酸、甘めの香りが強く感じられる。

口に含むと瑞々しいフレッシュな酸が勢い良く伸びてくるが、刺々しさはなく、力はあるもののろやかさも兼ね備えた技巧の冴えを感じる。酸味のインパクトが収まった後は樽によるマロンのような香りと甘さの感覚が広がり、その甘さも均整がとれていて決して出しゃばらないキレの良さを持っているので、後半の味わいに重さを残さず穏やかな心地を演出する。メリハリのある華やかな味わいが楽しい。

余韻は樽からくる程よい苦みも座り、厚みのある味わいをしっかりと残しながら、最後まで幅のある味わいを展開して引いていく。

イタリアのシャルドネは細いか、厚いかのところで自分的にはあまりしっくりくるワインがなかったのだけれど、このワインは両方の良いところを兼ね備えて、全体の緊密な味わいを形成している。これで3千円以下だったら、上質のブルゴーニュよりも十分すぎるコスパだと思うな。Good JOB!

【エノテカ大阪店 2,940円】

2013年2月 6日 (水)

カステッロ・デッラ・サラ(アンティノリ) ピノ・ネロ2010 IGT(ウンブリア)

130206pinotneroイタリアワインの中で自分が興味を持っているのはやはり土着品種と呼ばれる地ブドウ。その多様な世界は、フランス、スペイン、ドイツにはない楽しさに溢れている。

だからと言って、決して国際品種によるイタリアワインの魅力を軽んじているつもりはない。ただし、そうした品種がイタリアで栽培されワインになると、いわゆる「品種の個性」と思っていたものよりも違う強さを感じることが自分にとっては多い。イタリアのカベルネがフランスのカベルネよりもサンジョヴェーゼに近く感じる場合もある。それもまたイタリアワインの魅力の一つなのかもしれないが。

ピノ・ノワールはイタリアではピノ・ネロと呼ばれる。このカステッロ・デッラ・サーラはイタリアでただ一つ海に面しないウンブリア州の標高約500mの土地から生まれる。ウンブリアと言えばオルヴィエートといった気軽な白ワイン、そして対極にあるタンニンの強いモンテファルコ・ディ・サグランティーノのイメージが強いが、この国際品種の赤ワインはどうだろう?このワインは一部の房を除梗せずにそのまま沈め、ステンレスタンクで醸しを行うという方法をとる。

色は紅茶のような赤みのあるしっとりしたルビー色。ラズベリー、干しイチジク、チョコレート、赤い花といった華やかな甘みの感じられる香りがよく出ている。

口に含むと完熟した甘いベリーの果実味を感じ、その中に密に詰まったタンニンが押し出してくるが決して突出しない。どっしりした質感があり、心躍らせるような抑揚は秘められているものの、落ち着きとバランス感で満ちた味わいは上品さを演出する。後半はビターチョコレートのような甘みと渋みの印象が広がる。

余韻は穏やかでまろやかな酸味と細かなタンニンが緩やかに口の中を引き締め、自然な甘みを残しながら、最後まで抑揚を抑えて整った味わいを徹していく。

ブルゴーニュのピノ・ノワールとは酸味の性質が大きく異なるので、飲んだ時の印象はやはり違った感じになるが、この整った酒質とデザートにも似た印象は一つの個性の表れでもある。落ち着いて向き合うことが求められる、ちょっとした気取りのエッセンスも必要なワインかもしれないな。

【エノテカ大阪店 4,935円】

2013年1月20日 (日)

メローイ フリウラーノ2008 DOCコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ

130120meroi実店舗でニッチなイタリアワインを探すとなると、大阪ではWineshop FUJIMARUを良く利用させてもらうのだが、京都となるとethelvine。しかしこちらの店舗は、以前は丹波口駅から歩いて15分ほどかかるのが難点だった。しかし、ようやく岡崎という美術展めぐりの後で寄るには至便の場所に第2号店がオープンし、その悩みも解消した。

このワインはそのethelvine岡崎店で購入したもの。メローイはフリウリの作り手として名前は聞いていたが、飲むのは初めて。低収量のブドウから、どちらかと言えば堅いフォルムを感じさせるフリウリとは異なる柔らかい風味のワインに仕上がるそうだが、さて。

色は落ち着いて全体に黄緑がかった薄めの麦わら色。香りはグレープフルーツ、ヨーグルト、柿、ビニルの有機質な香りもバックに感じられる。

アタックの酸は柔らかくこまやか。浸透力が強く、舌先から静かにしみとおる感覚が心地よい。ボリューム感は中程度で抑え気味、はっきりした輪郭を伴ったフォルムではないが、密に詰まった揺るぎのない構成力が感じられる。しとやかで上品な果実味。中盤以降は落ち着いた自然の旨味が広がる。

余韻はほのかな苦みがアクセントとなり、最後に現れる澄んだ酸に導かれ、穏やかな旨味
と共に緩やかに収束する。

フリウリのフリウラーノは硬質なワインというイメージだが、それを覆す穏やかな印象のワインだった。しかし、透明性の高い味わいはフリウリらしい共通の個性だと思うし、その意味ではこれもまた一つのフリウリの白故の表現なのかもしれないな。

【ethelvine岡崎店 3,500円?】

2012年12月 8日 (土)

ヴィニコーラ・ガリアルディ マルケ・ロッソ チリエジョーロ2009 IGT(マルケ州)

121208ciliegioloイタリアが土着品種の宝庫であることは言うまでもないが、その多様な品種の世界を気軽に体験することは簡単ではない。通常のワインショップであれば、トスカーナ、ピエモンテを主に扱うので、用いられる品種は限られてしまう。あまり知られていない地方の品種を探すことは、思いのほか根気のいる作業だ。

しかし、そうした世界を簡単にのぞかせてくれる場所が大阪にはある。土佐堀近くの「エノテカ・イル・ソッフィオーネ」はイタリア20州をくまなく揃える品揃えで、足を運べば必ず今まで体験しなかった品種に出会うことができる、欠くことのできない存在だ。

この日購入したのは、、緯度的にはトスカーナとほぼ同じであるが、こちらはアドリア海に面するマルケ州のワイン。品種はチリエジョーロ。

チリエジョーロはイタリアでも栽培の少ない品種だと思う。トスカーナ、リグーリア州でわずかに用いられるが、その他の州では初めて見た。イタリア語で「小さなチェリー」という名前からも、若く赤いベリーの果実味あふれる味わいが感じられる。トスカーナではサンジョヴェーゼの時にして強い酸味を和らげるために用いられたようだ。この作り手はマルケ州でも少し山側に入るマテリカで、この希少品種を造る。

色は濃縮感が強く感じられる暗いルビー色。香りはブラックベリー、丁子、昆布、腐葉土。湿ったニュアンスの香りが強く出ている。

口に含むと穏やかで控えめな丸みの整った酸味に、弾力性のあるグミのような質感のある、ほのかな甘みを伴った果実味が感じられる。タンニンは中程度だがこなれており、穏やかな酸味と、柔らかな果実味にマッチし、バランスよくまとまる。ボリューム感は中程度で迫力はないものの、刺激の少ない優しい味わい。

余韻は程よいベリーの甘みが広がり、最後まで優しい抑揚の少ない味わいを保ちつつ、なだらなか坂を下りていくかのように自然な感じで収束していく。

イタリアの赤は時として最初から果実味の大きさに圧倒されてしまうことがあるが、このワインは最初から最後まで自らを主張しすぎない、控えめな印象を持った。それでいて中身は充実し、最後には不思議な安息感をもたらす。ボリューム感のあるワインよりも、自分にはこういう控えめなワインの方が合っているかもしれないな。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 2,500円?】

2012年9月18日 (火)

イル・モンティチェッロ ポッジョ・デイ・マーニ コッリ・ディ・ルーニ ロッソ・リゼルヴァ2008 DOCコッリ・ディ・ルーニ

120915poggioいろいろ飲んだと思っていても、まだまだ新たな発見があるものだ。奥深さとヴァラエティの豊かさ、それと財布への優しさが両立するという点では、イタリアはフランスを遥かに凌駕するといってもいいんじゃないだろうか。

イタリアの中でもリグーリア州は、ワインに関してそれほど知名度があるというわけではない。それ以前にリグーリア州自体が日本にとって馴染みがない。その州都であるジェノヴァの名前のみが、歴史が好きな人ならかつてヴェネツィアと並んだ強国、そうでなければ「母を訪ねて三千里」のマルコの生まれ故郷として描かれたことで知られている程度かもしれない。

そのリグーリア州も、最近では白ワインを目にする機会が増えてきた。海に面した狭い州にあって潮風を受けて育ったブドウは、そのイメージもあって白ワインこそふさわしい。しかし、白ワインがあれば当然赤ワインもある。自明のことだが、それでもリグーリアの赤には久々に好奇心を掻き立てられた。

イル・モンティチェッロはジェノヴァの南東、トスカーナ州境に近いネーリ家による家族経営のワイナリーで、海からは8km、海抜約100mの南向きで粘土質の畑からブドウを栽培している。自然酵母のみを使った発酵でSO2も最低限に抑制し、より自然なワイン造りを志向している。この赤は60%サンジョヴェーゼ、残りはチリエジョーロ、ポッレーラ・ネーロなどリグーリア由来の土着品種によるもの。

色は濃厚で凝縮感のある黒味の強いダークルビー。香りは干しプラム、黒胡椒、ゴム、革、バックにユーカリの清涼感ある香りも感じられる。

口に含むと塊のようなどっしりした濃厚さ、甘さも感じさせるベリーの果実味があり、その後舌先を突くような刺激のある鋭い酸味がやってくる。その酸味も最初の刺激は一時的で、その後はまろやかさを増し、ボリューム感は程よく、しかし密度の高いタンニンと相まって、安定した酒質を形成する。中盤から余韻は前半の攻撃性は影をひそめ、波が引くような穏やかさを演出し、タンニンの渋みが黒いベリーの旨味に深みを与えつつ、ゆったりした果実味主体の味わいを展開する。

余韻はジューシーな酸味が戻り、口の中をリセットしつつ、ベリージャムを食べた後のような甘さの後味を残して、流れるようになだらかに引いていく。

リグーリアの赤ワインということで細身のワインを想像したが、どうしてどうして肉付きの良いどっしりした体格のワインだった。良い意味での想定外、まさに印象深いワインだった。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,200円?】

2012年9月12日 (水)

マレ・サレンゴ ノジオラ2009 DOCトレンティーノ

120912nosiola日差しは相変わらず厳しいものの、気温は徐々に低下傾向。少しづつだけど秋の気配を強めつつある感じがする。白ワイン中心から、徐々に赤ワインへとその嗜好も代わるのもまさにこの季節。しかし、まだまだ白ワインに頑張ってもらおう。

今日のワインは久々にイタリア土着品種。トレンティーノ・アルト・アディジェ州で栽培されているノジオラによるワインを。

ノジオラというと、ポイエル・エ・サンドリのものが有名で、良く見かける。自分も試したことがあるが、ストレートでシャープ、鋭角で切り裂くような酸と、はっきりしたミネラルの味わいが印象深かった。今回の作り手は初めてだが、自分の好きなインポーターである「W」が入れているワインということで、期待が高まる。

色は艶やかで光沢のある初秋を思わせる麦わら色。香りはレモン、オレンジのかんきつ系の香りに加えて、白い花、セルロイド、浅漬けのような香りも感じられる。

口に含んだ瞬間はまろやかだが、徐々に浸透力を深め、じわじわと広がってくる細身ではあるが芯のある酸味が豊かに感じられる。ボディは軽めだが、酸味と旨味が緊密に絡み合い、、しっかりした外郭に、神経質に過ぎない味わいの要素がふっくらと収まっている。中盤から後半にかけて、しっかりした苦みのミネラル感がエッジを効かせるようにせり上がり、ワインに安定感をもたらす。

余韻は最後まで息を切らさず広がり続ける爽やかな酸味と、ミネラル感が最後まで感じられ、しっかりした旨味を残しながら、細くなだらかに引いていく。

ノジオラという品種の印象からすると穏やかな印象で、インパクトでは一歩譲るかもしれないが、内に秘めた味わい、旨味、そして北の産地を表現する力では十分なポテンシャルを秘めている。なによりも、この透明感のある味わいは、やはりアルプスに抱かれた清浄な産地の特質を表現して余りある。北イタリアの白ワインらしさに、マイルドさを加えたワインといった感じかな。

【Wineshop FUJIMARU 2,800円?】

2012年8月20日 (月)

フランツ・ハース ソッフィ ミュラー・トゥルガウ2010 IGT(イタリア アルト・アディジェ州)

120818haazこう自然派、自然な造りがもてはやされると、ブドウ品種もハイブリッド的な品種は迫害される運命になるのだろうか。

ハイブリッド、異なるブドウを人工的に掛け合わせて、特徴を引き出したブドウ品種は主にドイツで開発された。冷涼な気候が災いして、温暖な他国に比べて生産量で劣後していたドイツでは、病気に強く、かつ多産な品種を開発することが望まれた。1882年にミュラー博士によって開発されたこの品種は、リースリングとジルヴァーナ(シルヴァネール)を交配させたものだが、その生産性から瞬く間にドイツ全土に広まった。しかし、それと同時にドイツの白ワインを貶める結果にもなった。今では見向きもされなくなったリープフラウミルヒはまさにこのミュラー・トゥルガウによるもの。

しかし多様なワインを産みだすことが認められる現代にあっては、この悪役でさえその特質を引き出そうとする奇特な醸造家によって個性的なワインを産みだすことができるようになった。アルト・アディジェの有数の作り手、ドイツ系のフランツ・ハースが醸すこの白ワインはまさにその一例と言えるだろう。

色は濡れた感じの麦わら色。香りはマスカット、乳酸飲料、白い花、ライチ、アプリコット、桃缶といった、全般的に柔らかで甘い香りが感じられる。

第一印象からまとまりのある味わいで、突出した部分がない。酸は穏やかで重心が低い。果実味も糖分が控えめで、純朴な旨味が細やかに感じられる。控えめで派手さはないものの、涼風のごとく漂う香味と、舌の表面を撫でるように広がる滋味は心地よく、味わいの向こうに穏やかな山里の風景を感じるかのよう。中盤から余韻にかけて、ほのかな塩味のミネラル感が静かに広がってくる。

余韻は柔らかいミネラル感が口の中に球のように漂い、最後まで静かな音楽を奏でるような落ち着いた印象を残しつつ引いていく。

派手さはないが、抑制のきいた落ち着いた味わいはわかりやすい香味を伴って、だれにでも受け入れられる美味しさを保っている。イタリア、産地の涼しげな特質を活かした、純朴、質実剛健なワインといえるだろうな。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 2,800円?】

2012年8月14日 (火)

モレッティ・オメロ グレケット ウンブリア2011 IGT

120812grechetto夏真っ盛りの間、イタリアワインからは自然と遠ざかる傾向にある。

やっぱり白ワインの時期なので、フランスでもアルザス、ロワールとか白の銘醸地域、そして日本ワインといった白ワイン中心の地域に流れることが多い。イタリアワインは自分の中ではどちらかというと赤、という地域割りになっているし、白ワインでも好きな地域は味わいが深いので、あまり冷やさずじっくりと奥底まで楽しみたい、と思っているので、夏でも出番はそう多くない。

しかし、たまにはイタリアワインの白も楽しんでみたくなる時もあるので、今日は普段飲まないウンブリア州のグレケット種のワインを。これはインポータ、コスモジュンの試飲会で気に入ったワインを購入したもの。

モレッティ・オメロはウンブリア州で第二次世界大戦後に開かれたワイナリー。元々はオリーブ油の生産がメインだったようだが、ワイン造りにも取り組み、1992年からはビオ・ディナミ製法を実践、認証も取得している。

グレケット種はイタリアの土着品種で、その名からもわかるとおりギリシア由来の品種だ。主にイタリア中部の白品種として栽培されている。

色は茶色がかったしっとり感のある落ち着いた麦わら色。香りは乳酸飲料、メープルシロップ、セルロイド、マンゴー、キンモクセイ、甘いトロピカルな香りが強く出ている。

口に含むと香りとは異なるドライで酸化熟成のニュアンスがあり、最初からどっしりした強めの苦みがある独特の味わい。酸は細く抑え目だが、包容力があり、この不思議な味わいとのバランスが保たれている。ボリューム感は中程度で、湿った旨味が後半にじんわりと染みるように現れる。前半からミッドに至るまでも座る苦みが少々強すぎる感じはあるが、このワインのキャラクターに他とは比べようのない独自性を与えていることも事実。

余韻まで苦みが強く表れるが、味わい自体はすっきりしており、ふっくらした感覚を残しつつ、緩やかに引いていく。

これだけ苦みが感じられる白ワインを飲んだのは久々、という気がするくらい苦みの印象が強いワインだった。グレケット自体が決してこういうスタイルだとは思わないので、造りによるものだろうか。少々持て余した感があるけど、さすがイタリア、いろんな白ワインがあるということも改めて実感。

【Cave de Terre淡路町店 2,500円?】

2012年7月16日 (月)

ファルケンシュタイン ソーヴィニヨン2010 DOCシュドティロル・ヴァンシュガウ・ヴァル・ヴェノスタ

120716falkenstein7月15日、日曜日。ついに関西は梅雨が明けたような暑い夏の青空が広がった。暑い季節には涼しげな味わいのワインがピッタリはまる。そうなると、シャルドネよりも自分はソーヴィニヨン・ブランの方が好きだ。それもハーブの青い香りがしっかり立っているソーヴィニヨンが。

このイタリア、北のトレンティーノ=アルト・アディジェ州で造られるファルケンシュタインのワインは、その土地、気候の特性をストレートに抽出したワインで定評がある。

色はグリーンがかった深みのあるゴールドイエロー。香りは黄色い花、アプリコット、アーティチョーク、浅葱、黄桃やヨーグルトの甘い香り。

口に含むとまろやかで熟したマンゴーのような果実味、そのバックに豊かで丸みのある酸が寄り添い、ボリュームのある味わいを形作る。香り豊かで、凝縮したエッセンスの様な質感があり、中盤は甘みのしっかりした旨味が座る。厚みのある味わいだが、酸とのバランスが繊細に絡みあい、全体には抑制のきいた酒質を構成している。

余韻はほのかなミネラル感、苦みがアクセントとなりつつ、ふくよかな甘みを残しながらゆっくりと引いていく。

北イタリアのワインと聞いて想像するよりもボリューム感のある味わい。凝縮感がありつつ、しっかりソーヴィニヨン・ブランらしい青さも備わっている。すべての要素を凝縮して、なおかつバランスを取るところにこの生産者のしっかりした力量が感じられた。

【Cave de Terre淡路町店 3,500円?】

2012年7月 4日 (水)

エリオ・オッテン ピノ・ノワール2009 DOCヴァレ・ダオスタ

120701ottin夏だからと言って、赤ワインをほっとくわけにはいかないが、それでもどちらかといえば、優しくて酸味のある北の産地がよさそうだ。この日は北イタリア、アルプスの麓、ヴァレ・ダオスタ州の赤ワイン。この地は土着品種が多いが、今日はピノ・ノワールを。

ヴァレ・ダオスタ州のワインは殆どが地元消費で終わってしまうほど、生産量が少ない。今でも生産するワインの多くは協同組合によるものだが、エリオ・オッテンはその協同組合から独立して自らのワインを2007年から造り始めた。

このピノ・ノワールはブルゴーニュらしいキャラクターを表現しようと努め、ステンレスタンクで発酵、しかし手法はボルドーで用いられるルモンタージュ(発酵中に液を下から抜いて循環させ、抽出を促進する)、ローヌで用いられるデレスタージュ(発酵中に一旦液を写し、残った果皮を空気に触れさせて色素などの抽出を促進する)を用いている。

色は少しうす濁り感のある、明るめのルビー色。香りはストロベリージャム、カシスといった熟したベリーの香りが太く備わる。そのバックに、黒オリーブ、スパイスの香りが寄り添う。

口に含むと、フレッシュで甘酸っぱいベリーの酸味が一面に広がる。ブルゴーニュよりもドイツのピノ・ノワール(シュペート・ブルグンダー)に近い味わいで、イタリアのピノ・ネロのような厚みはそれほど感じられない。ピュアな旨味が豊富で、もたつきのないすっきりした味わい。複雑さは多くは感じないが、心地よいベリーの甘み、旨味がストレートに伝わってくる。

余韻は優しい繊細なタンニンが果実味主体の味わいを落ち着かせ、伸びやかな甘みと流れの優しい酸味が爽やかな心地を残しながら、ゆっくり穏やかに引いていく。

北の産地だが、その気候に反してしっかりした旨味が備わっている、作り手の思いが深く感じられるワインになっている。フレッシュさとジューシーさが前面に出た、チャーミングなワインだといえそうだ。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,000円?】

2012年6月19日 (火)

パヴェーゼ・エルメス ブラン・デ・モルジェ・エ・デ・ラ・サッレ DOCヴァッレ・ダオステ

120617blandemorgex最近はフランスや日本ワインに興味が移っていたけど、やはりイタリアワインも離れない。それでもトスカーナはあまり飲まずに、良くてピエモンテ、フリウリ、むしろそれ以外の州の未知の土着品種にばかり目が行ってしまうのは相変わらず。

このワインはフランス国境のアルプス地方にあるヴァレ・ダオスタ州の白ワイン。品種はこの州の主要白ブドウであるブラン・ド・モルジェ(フリエ・ブラン)で、おそらくはイタリアでもヴァレ・ダオスタ州でしか栽培されていない正真正銘の土着品種だ。この地方のブドウ栽培は特殊なペルゴラ方式で栽培され、ブドウは地面に低い場所に実を付ける。冷涼な気候であることから地面に蓄えられた熱をブドウに与えるために考えられた、この土地ならではの工夫だ。この地では昔から協同組合でのワイン造りが盛んだったが、このワインはパヴェーゼ・エルメスが3haの畑からわずか18,000本のワインを一貫生産している。

色は黄緑がかった若草の新芽のようなすがすがしい薄いイエロー。香りはライム、オレンジピール、キャンディ、ヨーグルト、バックにミントの香りも感じられる。

アタックはまろやかで細かな酸、その酸が細く伸びてきて芯をなし、その芯から染み出るような滋味のある繊細な青い柑橘系の果実味と、塩味のミネラル感が広がってくる。雑味がなく、クリアな味わいで、ボリューム感こそ小さいものの、口の中全体に浸透してくる強いミネラル感がワインに複雑さと安定感をもたらし、意外にふくよかな中盤を形作る。

余韻は最後まで浸透力を残すミネラルを繊細な酸味が包み込み、クリーンな印象を残しながら綺麗でキレの良いフィニッシュ感でしめくくる。

以前飲んだブラン・デ・モルジェはもっと酸の強い印象があったが、これは酸を和らげつつ、その一方でミネラル感を強めて、ワインとしての複雑さ、安定感を高めた印象だ。決してワイン造りに適さない場所でもあきらめずに質を高める、栽培家の努力と献身がバックに見える、そんないじらしいワインといえそうだ。この肩に力の入らない素朴なエチケットもいい感じ。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,000円?】

2012年5月 4日 (金)

イ・カンピ ヴァルポリチェッラ カンポ・チョットリ2009 DOCヴァルポリチェッラ

120504alpolicella人によると、自分はあまりまっとうなワインを好まずに、ニッチなところばかりに関心を寄せていると思っているらしいけど、そうでもないんです。たまにはこういう王道イタリアワインにも興味を示します。

ヴァルポリチェッラはイタリアワイン好きならば何度か耳にした名前だと思う。ヴェネツィアを擁するヴェネト州の著名なワインだが、そのカテゴリーは大きすぎて捉えどころがない。品種はコルヴィーナ、ロンディネッラ、ヴェロネーゼ、モリナーラなど土着品種の混醸で、割合はそれぞれのワインで異なる。造り方にしろ、干しブドウを用いた甘口のレチョート、レチョートを長期間樽熟成させ辛口に作ればアマローネ、アマローネに用いたブドウの搾りかすを再利用して造られるリパッソなど、その製法も多岐にわたる。

このヴァルポリチェッラはブドウはコルヴィーナ80%、ロンディネッラ10%、クロアティーナ5%、オセレタ5%によるが、30%のブドウは陰干しブドウの搾りかす、つまりリパッソを使用。ステンレスタンクで発酵後、6か月の間ステンレスタンクで熟成させている。

色はアメリカンチェリーの皮のように赤く鮮やかだが、しっとりした湿り気も感じる落ち着いたルビー色。香りはイチゴジャム、スミレ、パッションフルーツ、工作粘土のような重みのある香りもバックに感じられる。

口に含むと瑞々しい赤い果実の酸がまろやかさを保ちつつ、開放感とともに広がる。酸は抜けがよく、刺激の少ない熟したベリーの旨味を伴い、タンニン分は少ないが存在感はあり、軽快な味わいを引き締めるには十分な役割を果たす。香りのボリュームに比べて、味わいはそれほどジャムっぽくなく、抑制が効いている。その分ボリューム感、複雑さには欠けるが、バランスの良さ、洗練された旨味、何よりもチャーミングな果実味がこのワインの持ち味。リパッソで引き出された甘みとコクも程よく、このワインにアクセントを与えている。

余韻はベリーの洋菓子を食べた直後のような甘酸っぱさの味わいが心地よく広がり、爽やかな甘みを残しつつ、口の中を撫でるように優しくあっさりと引いていく。

香りのボリュームに比べて味わいはバランスよくまとまり、造り手の意図がよく感じられるワイン。飲んでいて負担感なく染み込んでくる感覚は心地よい。気軽に飲めて、しかも味わいがあるイタリアワインらしい特質を備えたワインと言えそうだ。

【エノテカ イル・ソッフィオーネ 3,500円?】

2012年3月12日 (月)

ラ・カステッラーダ リボラ・ジャッラ2005 DOCコッリオ

120311kastelladaこのところ、若干イタリアワイン以外に興味が向いていたけど、やはり好きなものは好きで、こういうお得感のあるものがあると目が向いてしまいます。

先週大阪日本橋、Wineshop FUJIMARUさんの二階をお借りして日本ワインのワイン会を開催したんだけど、もちろんそれだけじゃおさまらず、一階のワインショップを物色して購入したのがこのワイン。

ラ・カステッラーダは今までも何度も飲んだことがあるし、フリウリの生産者とては有名すぎるほどだが、価格も相応するためボトルで、ということはあまりなかった。しかしこの2005はヴィンテージもあまりよくなく、かつユーロ安の影響で安く仕入れられたということで、値ごろ感もあったので即購入。

リボラ・ジャッラはイタリア、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の土着品種で、酸の強さが特徴だという。この酸をうまく利用したのが最近の潮流となっている赤ブドウと同様に果皮を一緒に漬け込みながら発酵させる醸し発酵の技術で、酸を和らげつつ、果皮に含まれる豊富なうまみを引き出すことにより、独自の白ワインの世界を築いた。その一翼がこのラ・カステッラーダ。

色は少しうす濁りの湿り感のある山吹色。香りはママレード、熟したメロン、梅酒、キャラメル、消しゴム、ほうじ茶の香り。

口に含むと穏やかで低めの酸がゆっくりと入ってくる。導入部がいったん収まった後に、とろりとした質感とともにしっかりした苦みのニュアンスが感じられる。ボリューム感は控えめだが、内容の詰まった味わいで、目を閉じると薄霧の中に包まれた森のようなイメージが浮かんでくる。中盤でのメリハリ感はないが、後半部になるに従ってじわりと広がる滋味、ミネラル感が味わいに深みを与えていく。

余韻は程よい苦みがベースとなり、品のある旨味が薄く柔らかに口の中に広がり、そしてあっさりと引いていく。

色ほどにボリューム感はないけれど、それがかえってバランス感を高め、内向きの味わいに向き合う受け手の余裕を持たせてくれる。悪い年なのかもしれないが、その年なりに個性を秘めたワインを作り上げる生産者の苦労もしのばれる、そんな事にも気を配らせてくれる落ち着いたワインでした。

【Wineshop FUJIMARU 3,800円?】

2012年2月13日 (月)

ドナス ドナス・ナポレオン2007 DOCヴァレ・ダオステ

120206nebbiolo_2最近大阪も立ち飲みでワインを出してくれるところが増えた。自分もたまに行くけど、そういうところで飲むのは結構ボルドーが多い。自分の家飲み用に買うことが稀なので、そうした機会にはボルドーに目に行ってしまう。週末の休日もクロ・デ・マルキ2007をチョイス。サン・ジュリアンらしいバランスの良さがとても美味しかった。

でも、やはり買ってくるのはこういうワイン。。。阪神百貨店で珍しく目にしたレア、マニアックな赤は北イタリア、ヴァレ・ダオスタ州のネッビオーロによるワイン。地域は同じだけど、ヴァレ・ダオスタでもやっぱり作ってたんだ!

イタリアの北端、アルプスのふもとに位置するヴァレ・ダオスタ州のワインは、生産規模も小さく量も少ないようだが、もともと地域、フランスの影響も受けてきた土地柄だけに好みの要素が詰まった地域で注目している。その地の約80軒の農家によって組織された協同組合によるワインは、傾斜45度という急峻な畑で機械が使えない場所なので、いまだに個々の農家による手摘みのブドウを使うしかない。このナポレオンはネッビオーロ100%によるワイン。

色は暗めの濃いルビー色。香りはカシスジャム、蝋、粘土、黒胡椒。

... アタックは滑らかでまろやかで湿った酸と黒い熟したベリーの果実味が重なり合ってやってくる。北の産地を思えば不思議なくらいに熟した柔らかい旨味。タンニンもネッビオーロとしては抑え目で、むしろボルドータイプのワインを思わせる均整のとれた味わい。若干ふくらみ、抑揚に欠ける感じはあるものの、バランスの良さは好感が持てる。

余韻は戻りのこなれた酸が口の中をリセットして、最後に果実本来の旨味を引き出しつつ、さらりとした感覚を残しながら引いていく。

いわゆるネッビオーロのワインとは少し違う、湿った感覚のあるワインだったし、熟した果実味の太さも感じられた。ヴァレ・ダオスタなんでもう少し細いワインだと思ったんだけど、いい方に裏切られたかな(笑)。

【阪神百貨店 3,150円?】

2011年3月21日 (月)

ヴィエ・ディ・ロマンス フロールス・ディ・ウイス2008 DOCフリウリ・イソンツォ

110319florsdiuis震災に遭われた方々にはお見舞い申し上げます。こうしてワインを飲むのも申し訳ない気持ちはあるけれど、この一杯がいただけることを感謝しつつ、ワイングラスを傾けさせていただきたいと思います。

しばらくきれいな白ワイン(?)を飲んでいなかったような気がしたので、久々にフリウリの名手、ヴィエ・ディ・ロマンスのワインを。このワインはフリウリ独特の品種、マルヴァジア・イストリアーナ48%、フリウラーノ31%、リースリング・レナーノ21%のアッサンブラージュ。発酵はステンレスタンク、熟成もステンレスタンクでシュル・リーというクリアな造り。

色は薄めの緑がかったイエロー。香りはヨーグルト、グリーンハーブ、白い花、ジャスミン、バックにライチの香りも感じられる。

口に含むと硬質でしっかりした輪郭を感じさせるクリアな酸。ボリューム感は大きくないが、引き締まった酒質で残糖分も少なく、乾いた味わい。しかし旨みはふくよかで、徐々に心地よい苦みへと変わっていく。

余韻は太い苦みがベースに座り、そこに最後まで伸びる細く爽やかな酸味が重なって、きれいな味わいを残しながらゆっくりと引いていく。

予想かつ期待通りのクリアな味わいの中に、複雑な旨みも感じられる。フリウリらしい個性的なワインだったな。

【阪急百貨店 3,800円?】

2011年3月 8日 (火)

アンスティテユート・アグリコレ・レジョナル ヴァン・ド・プレヴォ2007

110228prevo北イタリアは土着品種の宝庫だけど、それだけじゃない。国際品種、シャルドネなどのブドウも栽培されている。しかし、そうした品種も育つ場所が違うと不思議にその土地に根差したブドウに寄るワインと風味が似通ってくるから不思議なもの。

このアオスタ州の農業学校でもカベルネ・ソーヴィニヨンによるワインを作っている。しかし、その造りにおいてもモットーは土地の個性を生かしたクリーンな味わい。北イタリアのカベルネ・ソーヴィニヨンとはどのような味わいになることだろうか?

色は赤みが強くでている明るめのルビー色。香りはブルーベリー、ピーマン、インク、赤い花の香り。

口に含むと瑞々しい若いベリーの酸味と程よい甘さ。口に広がる香りに若干青さを感じる。タンニンは中程度のボリューム、果実味の優しさとバランスよくまとまる。中盤はこじんまりとしているが、クリアな味わい。

余韻は繊細で素直な果実の旨みがきれいに残り、細く長く続いていく。

カベルネらしいタンニンの強さはあまり出てこず、青さを少し残しつつクリアなアオスタらしいワインに仕上げている。複雑なワインではないけれど、飲んでいて負担感のないピュアな味わいが楽しめるところが好感が持てるワインだな。

【酒喜屋 3,450円】

2011年3月 7日 (月)

ダニエーレ・ピッチニン モンテマグロ2008 ヴェローナIGT

110306danielepiccinin最近ちょっとブル、シャンパン回帰ぎみというか、昔手当たり次第に飲んでいたワインを今飲んだらどう感じるだろうか?という事を思って飲んでみたけど、やはり昔に比べると自分の中にベースがそれなりに出来ていて、記憶と比較しながら特徴も理解できるし、何よりもよりワインに対して向き合う余裕が生まれている。その事が時に初めて相対するようなワインでも楽しむことができるようになっているんだと思う。やっぱワインも場数だよね。

で、久々にイタリアの土着もやってみないと、ということでダニエーレ・ピッチニンが土着中の土着、ドゥレッラ100%で作ったワインを。

ラ・ビアンカーラの愛弟子、ダニエーレ・ピッチニンのワインは2006年が初ヴィンテージ。まだ若い醸造家だが、ヴェネト州のヴェローナ北東、標高300mから450mの畑で、この酸が強いといわれるドゥレッラをメインに、シャルドネ、ピノ・ネッロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどを栽培している。さて、このドゥレッラ100%のワイン、開栓直後は瓶から漂うその香りに思わず「ウッ!」と顔をそむけてしまったが、少し置いてからのティスティングでは?

色は乾燥アプリコットのような茶褐色。ただし色の割には粘性は感じない。香りは焦がしたバター、アプリコット、金粉、バックにライムの鮮烈な香りも感じられる。

口に含むと思いのほかまろやかなアタック、その直後輪郭のはっきりした鮮烈な酸が鋭角に進んでくる。味わいはドライで残糖分は少ないが、果実味はしっかり感じられる。細身のボディだが、その分締まっていて決して痩せているわけではない。強い酸に負けないだけの味わい、ミネラル感から来る複雑さ、柑橘の皮の部分にあるようなオイリーなコクも備わっている。

余韻は最後まで力を緩めない勢いのある酸がこのワインの味わいを主導し、その酸がようやく引き際を悟った時にふわっと広がる夏ミカンの甘みが心地よく、最後に柔らかな旨みを残していく。

最初の香りと鮮烈な酸は正直どうか?と思ったけど、不思議と刺激は少なくグラスを重ねるごとにはまっていくから面白い。ドゥレッラという酸の強いといわれる品種だけで勝負して、ワインに仕上げていく醸造家のこだわりを十二分に感じるワインだな。

【葡萄酒蔵ゆはら 2,900円】

2011年2月18日 (金)

ボルク・サンドリーゴ(ドドン) フリウラーノ2006 IGT(フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア)

110210dodonfuriulanoフリウリでも名前自体が印象深いボルク・ドドン。去年あたりは結構買うのも難しかったけど、今年は結構出回っているようで、何本かまとめ買いしてしまった。こことアオスタの農学校のワインは安くても旨みがしっかりあるので気に入ってます。

で、そのボルク・ドドンのスタンダードなフリウラーノ。実はスタンダードの割に今まで飲んだことがなかった(ひょっとしたらグラスで飲んだことあるかも!?)ので、今回も楽しみで真っ先に開けてしまう。そして期待に違わぬ枯れた山吹色の液体が出てきたら、不思議とテンションもあがるんだけど?

フリウリの代表的品種、フリウラーノ100%。平均樹齢17年と若めの木から作られるワインは自然酵母で発酵、セメントタンクで熟成される。

色は枯れた薄めの山吹色。香りはドライフラワー、セメダイン、真鍮、枇杷、柚子、全体に有機的な香りが前面に出ている。

口に含むと表面はまろやかだが、その実芯のある硬質な酸が現れ、その後に枇杷のような甘さを持った柔らかな果実味が広がってくる。内に詰まった厚みのある味わい。中盤に広がる柚子のような柑橘類の酸味が戻り、程よい苦みがバックで支える。

余韻は爽やかな酸味を伴った果実味をベースの苦みが支えつつ、柔らかな後味を残して引いていく。

有機的な香りと柑橘系の味わいが無理なく同時に表現されているところが不思議だ。この技はイタリア、フリウリでしか表現されない個性といえるのかもしれない。ドドンのワインは濃くて癖があるけど、このワインは癖はありつつも清々しい酸味が出ていて気軽に楽しめるワインといえそうだ。

【MARUYAMA 2,480円】

2011年2月10日 (木)

アンスティテュート アグリコーレ レジオナル プティ・ルージュ2009 DOCヴァレ・ダオステ

110206petitrouge最近日本ワインとかブルゴーニュに目が行きがちだけど、イタリアワインも勿論好きです。最近仕入れたワインも殆どイタリアワイン、しかもその内5本はこの作り手。

アンスティテュート・アグリコレ・レジオナル、いわば農業学校産のこのワインはラベルには読めないけど情報がいっぱい詰まっている。北イタリア、アルプスの麓ヴァレ・ダオスタ州でブドウを栽培する学生によるワインは、採算よりも彼らの経験を積むために忠実に作られたワインであるからこそ、信頼が置ける。この赤ワインは、ヴァレ・ダオスタ独自の土着品種、プティ・ルージュ85%と、バッカ・ロッサ15%によるもの。標高670mの畑で作られ、28度に管理された環境下で16日の発酵を経ている。

色は赤みがかった明るめの艶やかなルビー色。香りはアセロラ、バラ、少しオイリーな香りも感じられる。

口に含むと繊細で粒子の細かな酸がまろやかに舌の表面を浸透してくる。そして柔らかい果実の甘みが程よく広がると、その直後に強くはないが存在感、締まりのある稠密なタンニンが現れる。ボリューム感は大きくないが、収まりのあるグリップ感が心地よい。

余韻は若いベリーにある甘酸っぱさが広がり、そして程よい甘みが伸びてきて軽やかな味わいを締めくくる。

北のワインだしそれほど強い味わいではないけれど、内に秘めたグリップ、浸透力は真剣に向き合うに不足ないポテンシャルを感じる。北の大地で学生が真面目に作り醸したワイン、それが余すところなく表現されたチャーミングなワインだな。

【酒喜屋 2,180円】

2010年11月21日 (日)

マルコ・サーラ ウン・ピクリット・ダル・シエット

101120marcosaraはっきり言います。世間一般高級ワインと呼ばれているワインよりも「土着」と形容詞の付いているようなワインの方が大好物です。そういうワイン会があればホイホイ行くんだけど、やっぱり大阪ってあまりないよな。そういう所は東京の方が裾野が広いとつくづく感じる。

土着品種の宝庫、イタリアにあってもフリウリはその最たる州。そしてこの品種もそのフリウリでしかおそらくは栽培されていないであろう土着中の土着、ピクリット。どういった品種かは全く解らないが、このボトル500mlということで、甘口に仕上げられていることは想像できる。

マルコ・サーラはコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリの最先端に位置し、畑はポンカと呼ばれる泥灰土が主体で森に囲まれているそうだ。そして葡萄はこの地独自の品種であるピコリット、ヴェルドゥッツォを栽培している。

色はねっとりとした質感を帯びた濃い目の麦藁色。香りは桃の缶詰、アプリコットジャム、バラエッセンス、甘い香りが全面に放たれている。

口に含むとねっとししたエキス分、その直後に濃密な糖分が感じられるが、濃密なのにくどさがまったくなく、舌触りもやさしく、かつ舌離れもあっさり。果実のシロップ漬けのような濃厚な味わいが口の中に広がるが、後味は極めて軽快で爽やか。この対照、メリハリが強烈な印象を残す。

余韻もきれいな甘さがほどよく包む穏やかな酸味とクロッシングし、上品なまさしくドルチェと呼ぶにふさわしい味わいを残しつつ、やさしく引いていく。

甘口ワインは最初の甘さが消えた後のくどさに戸惑う事が往々にしてあるけど、このワインに関しては全くそのような印象は受けなかった。甘さ十分なのに、後味すっきり。こんなワインをまとめあげる醸造家の力量にただただ脱帽。Great JOB!

【酒喜屋 4,095円】

2010年11月 2日 (火)

マリオ・スキオペット フリウラーノ2008 DOCコッリオ

101031furiuranoここんところブルゴーニュの赤に回帰していたけれど、何故か再び北イタリアに関心が向いてきた。寒くなって本当ならばしっかりした赤に行くべきなんだろうけれど、そうならないのが天の邪鬼なところでして。。。

で、いろいろなサイトで知らない造り手を探していたところ出会ったのが、名前がブドウっぽいこの造り手。スキオペットって、フリウリのスキオペッティーノって品種と何か関係ありそうな予感。。。

マリオ・スキオペットがワイン作りを開始したのは1965年。『良いワインとは大地の誠実な表現であり、またそのワインを造る人の誠実さの表れでもある。そしてそれらは人々の自然に対する大いなる尊敬に基づいてのみなしうる』という父の遺志を受け継いだ子供たちが今もフリウリの地で透明感にあふれたワインを造り続けているという。

色は緑がかった、ねっとりした質感のある麦藁色。香りはグレープフルーツ、ビワ、ライム、ハーブの香り。

口に含むとスプーンを舌に押し付けたような感覚の明確なフォルムと金属的な味わいを感じる。その堅固な殻が破れると、丸みを帯びた酸、柑橘系の果実の旨み、そしてしっかりした渋みが同時に現れる。この渋みが明瞭で、このワインの味わいを引き締め、落ち着きと複雑さを表現している。

中盤から余韻までこのグレープフルーツにある苦みにも似た味わいがベースとなり、穏やかな旨みをたたえつつ、最後まで息を切らさないまろやかな酸と絡みながらゆっくりと優しく引いていく。

明瞭なフォルム、外郭を感じさせるところが、いかにもフリウリ、しかもフリウラーノの特徴を表現していると思う。この地で生き延びてきた品種の良いところを表現できる造り手の技を感じさせるワインだったな。Good JOB!

【酒喜屋 3,400円】

2010年9月13日 (月)

エミリオ・ブルフォン ピクリット・ネーリ2009 ヴェネツィアIGT

100911_3前に飲んだモレ・サン・ドニでラベル買いについて触れたけど、その典型的なワインがこのわいん。キリストの最後の晩餐と思しき図像が素朴なタッチで描かれている。このラベルだけでも買い、って感じだった。

ワインはフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア産で、聞いたことのない品種、ピクリット・ネーリ。土着品種の多いフリウリでも、絶滅に瀕した品種をげんだいに復活させているという造り手のエミリオ・ブルフォン。その愚直なまでの功績が認められて2010年には表彰もされたんだそうだ。このラベルはその絶滅しかけていた品種が保たれていた場所の近くにある教会に由来しているという。オーク樽での熟成は2カ月と言う事で、フリウリ酸となればすっきりした味わいを想像するが、教会に守られた品種の味わいとは?

色は濃厚で色素が詰まっているルビー色。香りはカシスリキュール、スパイス、鉄、ドライフラワー、干しブドウ、バニラの香り。

口に含むと甘さの強い濃密な果実味と、それをうまく包む繊細な酸が一緒にやってくる。熟した果実の味わいだが、甘みの節度が保たれ、ありがちなべたつく感覚が全くない。細かな酸が果実味を上手くまとめ、非常に旨みのある、ボリューム豊かな味わいが長く中盤を支配する。

余韻はニューワールドのメルローのようなタンニンはそれほど強くないが果実味がしっかり感じられ、力強い旨みをゆっくりと残しつつ引いていく。

色の濃密さでまず驚かされたが、それ以上に味わいのボリュームと、それをうまくまとめる細かな酸のバランスにびっくり。これほどのポテンシャルを示す品種が絶滅しかけたなんて信じられない。そしてその品種を掘り起こしてこれほど優れた品格を再現した造り手の素晴らしさに感銘。久々のGreat JOB!

【酒喜屋 2,500円】

2010年9月 1日 (水)

ボルゴ・デル・ティリオ コッリオ・ロンコ・デル・キエーザ2007 DOCコッリオ

100831ようやく長い2カ月が終わった。仕事上の一つのヤマを越え、どうやらここしばらくの出勤して、帰って寝るだけの生活からは少し軌道修正できそう。ま、仕事した分お給料はそこそこいただけるので、文句を言う筋合いではないけれど。。。

ほっとして、久方ぶりに早く帰ってきた夜に開けたのは、これも久々、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアのワイン。最近この州のワインは濁り系の勢いが良いのかもしれないが、こちらはその流れにはあまり与していないようだ。

イタリアでもスロヴァキアに近い地区に位置するコッリオ。この地でワインを造るボルゴ・デル・ティリオは日本では赤ワインでまず評価を勝ち取ったが、そうしたワイナリーの白も呑んでみたいと思うのが人情?このワインはこの地方の土着品種、フリウラーノを単独で醸した、フリウリらしいワインだと思うが、さて?

色は全体にうっすらと黄緑を帯びている、輝かしいイエロー。香りは乳酸飲料、ライム、白い花、消しゴム、青野菜。

口に含むとふんわりとして丸みがあるが、後から力が沸いてくる勢いのある酸がやってくる。その後にしっかりしたほろ苦さを伴いつつ、きれいな潤いのある果実味。しかしこのワインの特徴は中盤から余韻まで消えない、重心低く崩れない塊のような渋さ。この渋さが重しとなって、ワインに複雑さを与えているようだ。

余韻まで響き渡る重厚で詰まった渋みが味覚の大半を支配し、そこに清々しい酸味と程よい甘さを伴った旨みが寄り添い、長い時間口の中に印象的な味わいを留まらせる。

中盤から現れて影の主役を譲らないほろ苦さが印象的で、なかなか脳裏を離れない。こうしたワインを形して市場に出す造り手の素晴らしさには感動するしかないか。

【Wineshop酒喜屋 6,300円】

2010年8月17日 (火)

レ・ヴィーニェ・ディ・ザーモ メルロー2006 DOCコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ

100815_2北イタリア、フリウリの魅力は白ワインだけじゃない。赤ワインもある。土着品種ならば、レフォスコ、スキオペッティーノ、ピニョーロ。しかし、土着品種だけでなく、国際品種も盛んだ。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローといった赤ワインもよく見かけるようになってきた。しかしこれは最近のことではない。オーストリア経由で100年以上も前から植えられてきた伝統があり、それが他の地域とは少し状況が異なっている。

レ・ヴィーニェ・ディ・ザモは本業は家具製造会社。1978年からワイン造りを始め、今では大手に成長した。この作り手も白が6割を占めるが、赤も定評のある作り手で、大手らしく幅広いワインを手掛けている。この作り手のメルローは初めて飲むが、どうだろう?

色は濃密で黒の強い暗めのルビー色。全体にしっかりした粘性を感じる。香りは赤い熟した果実の香り、ベリージャム、ドライトマト、黒いゴムの香りもバックに感じられる。

アタックは熟した密度の濃い、若い果実の酸が強く感じられる。アルコールの厚みは十分あり、その中に細かなタンニンが稠密に溶け込んでいるが、タンニン自体の収斂性はそれほど強くない。 外郭はそれほど張り詰めた感じは受けず、程よい丸みを帯びて、ゆったりした酒質を形作る。

余韻は酸とタンニンが落ち着いた後にやってくる、品のいいベリーの甘さが口の中に広がり、穏やかにゆっくりと引いていく。

メルローのキャラクター、ボリューム感と穏やかなタンニンがきれいに表現されている。しかし、北の割に結構分厚い果実味は意外だった。北イタリア、フリウリのポテンシャルはやはり高いものがあるな、と改めて実感。

【阪神百貨店 3,500円?】

2010年7月10日 (土)

ボルク・ドドン ヴェルドゥッツォ・フリウラーノ スコドヴァッカ2003

100704verduzzoボルク・ドドンのワインが正統派と思っている人はまずいないだろう。当主であるデニス・モンタナルの畑ではワインだけじゃなく、小麦、とうもろこしなどの作物も栽培されているという。いや、それらは彼にとって等価なのだろう。自然な形の農業の中の一つのオプションとしてブドウ栽培があるにすぎないのかもしれない。

フリウリのワインの形として確立した感のある、土着品種を用いた化学薬品なし、自然酵母発酵、SO2制限、ノン・フィルターによるワイン。それを突き詰めた形のワインが、まさにボルク・ドドンと言えるかもしれない。

ヴェルドッゥツォはフリウリでもそれほど多くない品種で、果皮は厚くタンニンを含む、実は酸も高い品種だという。普通に造るとどぎついワインになりそうなこの品種を遅摘みで作り上げたボルク・ドドン。ヴェルドゥッツォの2003年の生産はわずか1,700本で、その内2本が自分の家にあるというのも不思議な感じだ。そしてこの希少ワインをいつ開けようかと思っていたが、スペインの準決勝進出と、自分の新天地(?)着任を記念して、思い切って開けることに。

開けてグラスに注ぐと驚きの紅茶色というか琥珀色。若干薄濁りの色調。香りはローズマリー、生姜、アプリコットジャム、セメダインのような有機系の香りもバックに感じられる。

口に含むとシェリー、オロロソのような甘さと、香辛料を漬け込んだかのような苦さを同時に感じる。そして穏やかで優しい、決して強くはないが主張のある酸が味わいを引き締める。粘着性のある旨みが中盤はどっしりと口の中を支配し、香草の香りが鼻腔をくすぐる。甘さの感覚は既に失われ、中盤から後半にかけては旨みと渋みが絡みあい、どんどんと浸透力を増して舌の奥まで染みわたる感覚。

余韻は白ワインではありえないタンニンの力強さをひしひしと感じつつ、息を切らさない旨みがなかなか消え去らず、長い味わいを残していく。

口にした時は感じなかったボリューム感が時間を追うごとに内から湧き上がってくる不思議なワイン。典型的な白ワインであるはずもないが、しかしこのエネルギーには大きく魅かれるな。やっぱ自分、変態チックなワインの方が好きかも知れない。Great JOB!

【? 5,000円?】

2010年5月31日 (月)

アンスティトゥ・アグリコル・レジョナール プティ・ルージュ2007 DOCヴァレ・ダオスタ 

100530petitrouge 間もなくワールドカップも始まるけど、日本代表パッとしないなぁ。そんなに代表に対して思い入れはないんだけど、やっぱり捨てきれない者はある。日本人だからね。でも、このワールドカップは引き続きスペインをイチオシで応援します。

でもワインは、スペインよりもイタリアが好きなのは事実。徐々に暑さも増している中で、すっきりした北のワインが飲んでいて気持ちいい。

ヴァレ・ダオスタはアルプスの麓、イタリア最北部のワイン産地で必ずしもメジャーな地域ではないが、最近は多くのワインを目にするようになってきた。このワインは農業学校の学生が栽培したブドウによるワインだから、生産にかかるコストが抑えられているし、土着からメジャー品種までいろいろな品種を実験的に栽培していたりしてヴァラェティに富んでいる。自分の中でとても注目している生産者だ。このプティ・ルージュはヴァレ・ダオスタ州の土着品種。

色は紫を帯びた明るめのルビー色。濃い色合いではないが、色素が細かく稠密に入っている印象で、深みも感じる。香りは甘くイチゴジャム、赤い花、フランボワーズの香り。

アタックは柔らかい若い果実味。酸はまろやかで穏やか。インパクトは強くないが、薄くはない。内向きなキャラクターながらも、しっかりとした芯を感じさせる。繊細な味わいの中に、それにバランスした厚みもあり、序盤よりも中盤のじわじわ染みてくる味わいが心地よい。

余韻は熟したイチゴを食べた後の甘さと酸の程よい調和が感じられ、長くはないが心地よい清涼感を残す。

最初から最後までイチゴの感覚がストレートに伝わってくる、とれも愛らしいワインと言えるだろうか。凄いインパクトのあるワインではないけれど、そうしたワインがすべてではないと思うし、飲んでいて負担に感じない自然さが何より欲しくなる場合もある。穏やかな心地にさせてくれるワインだと思う。

【酒喜屋 2,200円】

2010年5月12日 (水)

コルテレンツィオ ラフォア ソーヴィニヨン2007 DOCアルト・アディジェ

100508sauvignon ラベルもまたワインを買うときの重要な要素であることは間違いない。素朴なラベル、古さを意識させるラベル、素っ気ないラベル、いろいろあるけど、その時の気分次第で良くも悪くも見えてしまう。

このワインのラベル、北イタリアのワインにしてはド派手で、一瞬クリムト?いや「魔笛」の夜の女王?と思えるような不思議なもので、一目見たときから凄いインパクトがあった。

アルト・アディジェの生産者組合であるカンティーナ・プロドゥットーリ・コルテレンツィオ。広大な土地で生産しているが、統制の取れた生産体制の下で優れた単一品種によるワインをリーズナブルな価格で送り出しているアルト・アディジェの代表的な生産者だ。その広大な畑でも最良の条件を誇る畑「ラフォア」から生み出されるソーヴィニヨン・ブランによるワイン。

色は緑がかった清々しいレモンイエロー。香りはソーヴィニヨン・ブランらしいハーブ、青草、白菜、それにグレープフルーツ、ライムの香り。

口に含んだ当初は柔らかさを感じるが、徐々に勢いを得て伸び良く広がっていく酸。その中に感じられるほろ苦さがインパクトに残る。果実味にもう少し厚み、グリップ感が欲しい感じは残るが、全体のバランスはよく、品種の個性を活かしつつ上品な味わいに仕上げている。

余韻は程よい苦み感が重しとなって、ゆったりした味わいを残していく。

北の産地のソーヴィニヨン・ブランに欲しいものをきっちり備え、かつ刺々しさをうまくおさえて品のある味わいに作り上げている手腕は素晴らしい。ただ、もうひと押し何かが欲しい、という印象は残ったな。

【Cave de Terre 4,200円】

2010年4月10日 (土)

ケラーライ・トラミン ウルバン2005 DOCスュド・ティロル・アルト・アディジェ

100410urban 昨日のブログでも紹介したとおり、北新地のワインショップ、Cave d'Orange が2周年を迎えて3日間のセール中。このワインショップの本領発揮はブルゴーニュとモルトだけど、実はイタリア、ニュー・ワールドも購入心をくすぐる品が少ないながらある所がいやらしい?

2周年の記念にいつもより2割引きの品も多数選ばれているが、その中に含まれたイタリアのワインはアルト・アディジェとサルディーニャ。これは絶対にN村氏に仕組まれた罠だろうか?ならば意図的に嵌ってやるまで。

ケラーライ・トラミンはアルト・アディジェ州では知らない者はない、1898年に設立された共同組合。そこで醸されるラグレインはこの州特有の土着品種だ。

色は黒が強い、濃厚な深い色合いのルビー色。香りはプルーン、スミレ、クレヨン、ブラックベリーの、少し湿り気を感じる香り。

口に含むと甘みをしっかりたたえた果実の凝縮味がやってくる。酸は伸びがあるが、刺激を感じさせないまろやかさを備えている。タンニンは果実の皮を噛んだときのような味わいがインパクトにあったが、後半は案外あっさりと引いて、黒コショウ、カシスのような味わいを残したワインが再びそのポテンシャルを表す。

余韻は弱くはないが、強情ではないタンニンと、その上に乗った熟した果実の味わいがピュアでとても素敵な味わいを思い出させてくれる。

北イタリアらしい活きた酸を備えつつ、中盤はその酸がまろやかさを備えて次の皿へと誘ってくれる。でも、商売抜きにしてこのワイン、ラグレインのポテンシャルを発揮知れた販売元さんには感謝するしかないね。

【Cave d'Orange 3,920円)20%引きI

2010年3月31日 (水)

レ・ドゥエ・テッレ サクリサッシ・ビアンコ2006 DOCコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ

100320dueterre北イタリアは、イタリアでありながら何処となく自分たちが持つイタリアのイメージと異なる物を持っていると感じる。それは歴史的にこの地域がハプスブルク家、神聖ローマ帝国の勢力圏に属していた時期が長いという事が大きい。そしてワインもまた、多くのイタリアとは違う個性を持っている。

この地域で魅力的なのはやはり白だと思う。アルプス山脈の麓、冷涼な気候が育む酸の透徹とした味わいは、イタリアでもこの地域独特のものだろう。そしてその個性が最も色濃く表れる地域がこのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州なのではないだろうか?

レ・ドゥエ・テッレ、スロヴェニア国境にあるこの小さなワイナリーから生み出されるこの白ワインは、この地域の土着品種フリウラーノ、リボッラ・ジャッラにピノ・ビアンコを混醸している。「聖なる石」と呼ばれる畑は、かつて教会の遺跡が出土した事に由来するのだそうだ。

色合いはまったりとした質感を持つ、深みのある茶色がかった黄色。香りはグレープフルーツ、マンゴー、ママレード、キンモクセイ、バックにミントの香りも感じられる。

口に含むと、おだやかでねっとりした酒質。ほどよい甘みを伴いつつも、芯の通った緊張感のある酸が舌の中心を突き進んでくる。伸びのある酸だが、角が取れていてやさしく広がってくる包容力のある酸。中盤は繊細だが凝縮された、中身が詰まっている旨みが少しずつ殻を破るかのようにその真価を現す。口にするたびに感じられる酸化熟成の香りも程よくアクセントとなって、このワインに複雑さを加味している。

余韻は滑らかな酸に裏打ちされた、浸透力のあるミネラリー感。ボリュームは大きくないけれども、滋味と形容すべき染みてくる味わいが広がり、また再びグラスを傾けたいと思わせる。

爆発するようなスケール感ではないが、どんどん引き込まれていく深さを備えたワインだと思う。伸びやかだが決して刺すような攻撃的ではない酸もこの地ならではのものだろう。心に浮かぶ土地の個性を現実に表現する造り手の思いも感じられる。飲んでいて穏やかな気持ちにさせてくれるワインだと思った。Good JOB!

【? 6,000円?】

2010年1月14日 (木)

ペトルッサ スキオペッティーノ2003 DOCコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ

100111最近はブルゴーニュに再びハマっているけど、イタリアワインはもちろん大好き。特に酸がきれいで、果実味が充分のワインはなおのこと。

北イタリア、フリウリ州は白ワインが有名だけど、むしろ自分の中では赤ワインに注目している。特に土着品種、スキオペッティーノは最近特に知名度も上がってきているようだ。

スキオペッティーノは、スコッピアーレ(爆発する)という言葉に由来するという。食べると口の名で爆発するくらいジューシーという意味だというが、そこまではなくても酸がしっかりあり、深い果実味を備えた凝縮度の高いワインという印象を持っている。それも造り手によるのだが、このペトルッサはパオロ&ジャンニ兄弟による小規模なワイナリーだ。

色は暗く深みのあるルビー色。香りはカシス、粘土、墨、黒コショウといった重めの香りが強く出ている。

アタックはまろやかだが、時を置いて放たれるように筋のある酸が舌先から奥に向かてすっと伸びてくる。その酸に率いられるかのように、甘さのほどよいカシスエキスのような果実味が幅広に広がってくる。タンニンは少し固さもあるが、果実味を引き締めるボリューム感を保ち調和を乱さない。

余韻には再び柔らかい熟したベリーの酸味が戻り、抜けが良く口の中にきれいな旨み、程よい甘さの印象だけを残していく。

「爆発する」という名前を持つブドウから造られたワインだが、どちらかというと内向きのワインで抑制が効いた印象だった。しかしただ閉じこもるだけではない、中身の詰まった凝縮度の高いワインだった。フリウリの赤ワインに求めるものをきちんと備えた。まさにお手本のようだったな。

【酒喜屋 5,500円】

2009年11月17日 (火)

ヨーゼフ・マイヤー シャルドネ2007 シュド・ティロル(アルト・アディジェ)

091114_2かつてのイタリアはドイツの影響下にあった。フランク王がローマ皇帝の戴冠を受けてから、多くの皇帝たちがイタリアをその影響下に収めるべく力を費やしたが、イタリアは次第に独自の道を歩み始め今に至った。しかし地理的に近い北イタリアは今もドイツの影響を残している。

このアルト・アディジェの白ワインもそうした雰囲気を残している。ラベルはドイツ語とイタリア語の併記、そして造り手の名前もヨーゼフ・マイヤー。彼の祖先はオーストリア、インスブルックの政治家で、女帝マリア・テレジアにこの地でのブドウ畑の開墾を命じられたという由緒ある家系だそうだ。

アルト・アディジェはイタリア最北の地帯で、単一品種で作られるワインが多い。この白ワインもシャルドネによるものだが、さて?

色は若干緑がかったすっきり感のある薄めの黄色。香りはバナナ、乳酸飲料、白い花、青リンゴの香り。

口に含むとまずなめらかな甘みを感じる。そのあとじんわりと迫ってくる柔らかく穏やかな酸。北という印象の割にはそれほど鮮烈ではなく、丸みを感じる。凝縮した感じではないが、落ち着いた甘みが広がり、かすかなほろ苦さがその甘みを終盤に引き締める。味わいの膨らみは小さいものの、綺麗な飲み心地を感じさせる。

余韻は繊細な程よい甘さが口の中に広がり、優しく長く続いていく。

壮大ではないけれど、温かみと優しさ、息の長さを感じさせるワイン。饒舌ではないけれど、中身は詰まったそんな感覚が感じられるこのワインは、確かに北イタリアのワインに求める特質を保っているようだ。

【酒喜屋 3,600円】

2009年9月24日 (木)

ヨシュコ・グラブナー リボッラ・ジャッラ アンフォラ2001 IGT

090924_5 巨人が本拠地東京ドームで、2位の中日に3連勝、苦しめられたチームの目の前で3連覇を決めてくれた。最後は守護神クルーンで締めたけど、今日は先発オビスポがよく辛抱して7回まで投げてくれた。育成枠から上がってきた選手が一生懸命に投げ抜いた姿には少なからずジーンときた。

そのお祝いで、本当は開けるつもりなかったけど、連休終了という事で思い切って良いワインを開けてしまった。

グラヴナーはフリウリ・ヴェネツィア・ジューリアで最高評価を受けている生産者。今でこそ彼が生み出したスタイルはこの州のワイン造りでは定着しているけど、この醸し発酵という白ワインとしては他とは異なる手法を導入した当時は、賛否の否の意見の方が強かったそうだ。

リボッラ・ジャッラという品種はこの地の土着品種としては酸が強い。それを生かしながら、果皮の旨みを最大限に引き出すために赤ワインと同じように皮と接触させながら発酵させる醸し発酵の手法を考え出した。そして次に行ったのはこのワインの名前、アンフォラ(壺)、土で焼かれたこの容器の中で発酵させることだった。自分が正しいと思えば実践するこの生産者の集約がここにあるのかもしれない。

色は飴色のように濃い、茶色を強く帯びた、うっすらと濁りを持つイエロー。香りはカミツレ、オレンジママレード、梅酒、カラメルの香り。

口に含むと丸みのある酸。その中に凝縮した旨みが詰まっていて、口に入れた瞬間に広がってくるが、攻撃的ではなくしなやかさを持っている。舌の横側から締め付けるようなタンニンの力強さが顕著。甘さのインパクトは小さいが、それぞれの要素が深いので、輪郭をきっちりと感じることができる。それらをうまくつなぎとめているエキス分の柔らかさと、バランス感。

余韻はしっかりある苦味の感覚が口の中を引き締め、息の長いシルキーな旨み、滋味の成分が大きく広がり、繊細なボリューム感を保ちつつ、ゆっくりと収束していく。

これだけ苦味がしっかり前面に押し出ている白ワインは他に考えられない。今やこれがフリウリの一つの潮流にもなってしまった。そしてイタリアの白ワインを他の国とは違う個性的なものにしている。先駆者といえる生産者が作り上げた世界は確かに複雑なものだった。

【葡萄酒蔵ゆはら 8,120円】

2009年8月 3日 (月)

ケラーライ・トラミン ヌッスバウマー2007 DOCスュード・ティロル・アルト・アディジェ

090803 数あるブドウ品種の中で力強さ、個性の強さを問われれば、この品種がまず第一に頭に浮かんでくるはずだ。ゲビュルツ・トラミネール。

このワインを初めて飲んだとき、ワインというものがブドウによってこれほど違うものかと思い知らされた。誰もがそうした感想を思うはずだ。そしてそれはおそらく、アルザスのワインとして。

この個性の強い品種も最近は多くの産地で栽培されるようになってきた。しかし実際は北イタリアが原産のようだ。その北イタリア、アルト・アディジェ州の主要な生産者、実はこのブドウ品種の名前にもなっているトラミンが生産するゲヴュルツの最高峰がこのヌッスバウマー。ケラーライ・トラミンはこの地の農家による協同組合だが、100年以上の歴史を誇っている

色はほんのりと緑がかった、鮮烈で張りのある黄色。香りはゲビュルツらしいライチの香りがふんだんに放たれている。そして甘いヨーグルト、セルロイド、魚肉ソーセージのような香りも感じられる。

口に含むとねっとりとした酒質、過熟した黄色い果実の甘さが前面に押し出てくる。しかし酸も綺麗に伸びてきて、強靭な甘さと対抗できる底力がある。そして味わいとともに口の中に広がってくるキンモクセイのような黄色い可憐な花のふくよかな香りと白コショウのスパイシーさ。強さを持ちながら、決して押しつけがましいところが全くなく、バランスを保ちつつ大きく広がっていく。

終盤は甘さと酒質のボリューム感がひととおり収まった後に現れてきた重心の低い苦味が味わいを引き締め、そしてそこにかぶさるように再びやってくるトロピカルな甘さと最後まで息の長い酸が力強い味わいを形作り、息の長い余韻を形作っていく。

味わいが強いのに、全く角がなく何杯でも飲めてしまう爽やかさを兼ね備えている。ゲビュルツの濃い個性を持ちつつも、後味はさわやか。さすが、ゲビュルツの最高峰と言われるだけの事はある。納得の品質だ。Good JOB!

【Cave d'Orange 4,400円?】

2009年7月17日 (金)

ヴィエ・ディ・ロマンス ディス・クミエリス マルヴァジア・イストリアーナ2006 DOCフリウリ・イソンツォ

090704 北浜と天満橋の中間にあるワインショップ、グローリアスは場所的には難しい地点にある。最寄駅から歩くと10分、て距離は都会の便利さに慣れた人間にとっては結構な障壁だ。

しかしそれを克服すれば素晴らしい世界が待っている。品揃えも豊富で、イタリアワインが特に充実している。平日の夜はカウンターで試飲もできるそうだ。この近辺に勤務している人にとってはさぞかし楽しいスポットだろう。

そしてなんといっても出色なのは、フリウリの最高の作り手、ヴィエ・ディ・ロマンスのワインをほぼ完璧に網羅している点。しかもヴィンテージ違いごとに揃えているのだから恐れ入る。

このマルヴァジア種から作られるワイン、店の人からは開けた当初が一番飲みづらく、二、三日目が丁度いいと教えられた。マルヴァジアは小アジア、今のトルコ原産の最古のブドウ品種で、ギリシアがヨーロッパ各地に植民都市を作って海洋国家として繁栄した時に各地に伝播した品種だが、さて味は?

外観は黄色が強く、張りが強い硬質な印象を与える黄金色。ディスクは厚め。粘性は控え目。香りはホワイトアスパラ、ミント、カスタード、アップルパイ、甘さの中に青い草、ハーブの香りを感じる。

口に含むと、意外におとなしめで粘性もあまり感じない。一呼吸置いて、繊細な苦みとともに涼しげでスレンダーな酸がゆったりと舌の先から上ってくる。そしてそれが通り過ぎた後に残されるじんわりとしたミネラル、コクのある旨み。最初からどっしりした味わいではなく、ゆっくりと時間をかけて現れてくる。線は細く控え目ではあるが、強さは感じられる。

余韻もキメがこまかく息の長い酸が最後まで中心に座りつつ、後味に微妙な甘さを残しながら、細く長く続いていく。

ボリューム感よりも、内向きの繊細な味わいを楽しむワイン。今回は冷やさず、ほぼ常温で楽しんだがおそらく正解だっただろう。いつもの通り冷やせばこのキャラクターは消えてしまったに違いない。ただでさえ涼しい印象を持つ北のワインなのだから、冷やさなくても十二分にそうした気分は味わうことができるのだから。

【グローリアス 4,800円?】

2009年6月30日 (火)

紅茶のようなフリウリのロゼ ヴィエ・ディ・ロマンス チャントンス2005

090628 土曜日はアートクラブのカジュアルなワイン会に参加。そしていつものことながら、1本持ちこませてもらったのがこのワイン。

大好きなフリウリのワインだが、ロゼは初めてかも?造り手は最高の評価を得ているヴィエ・ディ・ロマンス。名前は「チャントンス2005」。ここの赤と白は何度か飲んだことがあるけれども、ロゼも造っているとは知らなかった。

しかしここのロゼ、メルロー100%で作っているのがさすがのこだわり。色は濃く紅茶のようだ。タンニンもロゼながらしっかりしており、赤ワインに近い味わい。香りはバラ、オレンジピール、ダージリンの甘い香り、残糖分は少ないドライな果実味、そして重心の低い酸がうまくそれぞれの味わいを繋いでいた。

このマンションに行く途中のグローリアスはこのヴィエ・ディ・ロマンスのワインをほぼ全種そろえているんだとか。このワインのほかにもう一本マルヴァジアを購入したけど、店主さんいわく抜栓して3日たたないと本当の良さがでないんだそうだ。うーん、難しいワインだけど、開けるのが楽しみ。

【グローリアス 4,800円?】

2009年6月15日 (月)

リヴィオ・ニコリーニ ネグラ・ピッコラ2004 ヴィノ・ダ・ターヴォラ

090528 ジャンシス・ロビンソンという人がいる。彼女の著作は理論的で正確な情報源であり、文庫本で出版された「世界一ブリリアントなワイン講座」は最高のガイドブックだと思っている。

その彼女の著作の中でもブドウ品種について書かれた「Vines, Grapes&Wines」は詳しさ、世界の品種を網羅した内容の豊富さで、未だにこれ以上の書籍を知らない。日本語訳がないのが残念だが、この本のおかげでメジャー以外の品種の面白さを知ったと思っている。

そんな本にも書かれていない品種もあるもので、このワインのピッコラネグラ種もそうした超マイナー品種のようだ。フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州でもスロヴェニア国境に位置するワイナリーの地名はカルソ、そして秋吉台カルストから連想されるように石灰質の土壌から生み出されるワインはミネラル分が豊富になるという。

色は少し濁りのあるロゼを若干濃くしたような、というよりロゼに近い明るいイチゴジュースのような色。グラスに注いだ瞬間強い発泡があるが、その後は泡もなくなり外観上はスティルワインと変わらなくなる。

口に含むと舌先に強いガス感を感じる。その後イチゴのような甘酸っぱさが広がり、その後軽いタンニンの収斂感が口の中を引き締める。味わいは若くまだ熟しが足りないベリーの果実味で、複雑味はないが軽快で活きのよさを感じさせる。口に含むと感じる粘土のような香りが鼻に残るところが好みを分けるかもしれない。

余韻は細く伸びやかな酸が戻ってきて、口の中に木イチゴの食後感のようなさわやさかをふわっと残しつつ引いていく。

個性的な味わいという程のインパクトはあまり感じないが、若いブドウをそのまま詰め込んでワインにしたような野性味、自然さを十分感じることができる。すなおにブドウをお酒にしたようなワイン、そんな表現が一番当てはまりそうだ。ただ、価格を考えると選ぶには難しいワインではあるかな?

【Wine&Food MARUYAMA 4,980円】

2009年6月 6日 (土)

クロアット クラス ソーヴィニヨン・ブラン2005 DOCフリウリ・グラーヴェ

0905220 以前に北イタリアの土着品種ワインと料理のマリアージュを探る会、なんてのを実現した後、調子に乗って次は何?と考えた時にまず頭に浮かんできたのはフリウリのワインをメインにしたワイン会。

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州はオーストリアとスロヴェニアに国境を囲まれていて、歴史的にもオーストリア領だったからイタリアでも異質の地と言われる。だからこそ土着品種だけでなく、国際品種でもあるカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどが多く栽培されていて、土地の気候環境の影響を受けて他にはない個性を得ている。

このワインは当地の第一人者、ミアーニのエンツォ・ポントーニ氏が始めた新プロジェクト。氏が栽培、醸造を一手に行いつつもリーズナブルな価格を維持している。しかし収穫量も少なく、彼の人気も高いことから手に入れることはなかなか難しい。

色は強く緑がかった落ち着きのある黄金色。香りは青草、ライム、ミント、ポワロねぎといった青さを感じさせる香りが強い。

口に含むと張りのある直線的な酸、そこにハーブの青い香りが協力に結びついている。口の中に広がる清々しい芝の上に寝転がった時に感じたような香り。味わいは太さよりも、鮮烈でさわやかな青い柑橘系の味わいが主体。香りからの想像に近い味わいが広がる。

余韻も爽やかな酸と青い香りが口をリフレッシュしつつ、さわやかさを残しながら引いていく。

温暖化の影響なのかは分からないが、最近フランス、ロワールでも青いハーブの香り、昔の個性が失われつつらるように感じる。しかしそうした特性を未だに保っているのはさすが、フリウリたるゆえんだろうか?やはりフリウリのワインは奥が深い。。。

【? 4,200円?】

2009年6月 1日 (月)

パラスコス・エヴァンジェロス カイ2005 ヴェネツィア・ジューリアIGT

090512kai 北イタリアでも、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のワインに特別思い入れがあるかもしれない。ただ、この地域は他のイタリアに比べるとかなり異質な地域だ。それは歴史的にもイタリアよりオーストリアの支配下にあった時代が長かったという事情も一因としてあるかもしれない。

この地域には多くの土着品種が栽培されていて、クリアなものから濃い系のものまで、個性豊かなワインが揃っている。

このワインもラベルから異質だ。ギリシャ文字を大きく描いたこのワインの名前は「カイ」、これは今ではハンガリーの伝統的甘口ワイン、トカイと混同するためその名前が使えなくなった「トカイ・フリウラーノ」 にちなむ名前だとか。ギリシャ人のパラスコス・エヴァンジェロス氏がこの地の先駆者グラブナー、カステッラーダなどの影響を受けて、2003年からは亜硫酸無添加でワインを造っている。

色は梅酒のような赤味の入った薄オレンジで、ほんのりと濁りがある。香りは柿、枇杷、ドライフラワー、火薬のような香りも感じる。

アタックは色から受ける印象よりも鮮烈で透明感のある酸、その後でイースト、酵母の香りが広がり、硬質でミネラルの味わいが立ってくるが、強靭というほどの強さは持たず、上品さを保つ範囲でとどまっている。

余韻にしっかり現れてくる柑橘系の若い酸味。そして口の中にナッツを食べた時のような味わいが広がりつつ、心地よいほのかな苦みも感じさせながらゆっくりと収束していく。

色や澱の具合からするともっと強靭で押しの強い味わいを想像したが、以外に繊細でまとまりのある味わいだった。適度な荒さも感じさせながら、全体のバランスはうまく調和させているところが感銘的。土着品種を使いつつ、全体は上品さを失わないワインという意味ではお手本のようなワインではないだろうか。

【エーテルヴァイン 4,500円?】