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カテゴリ「ワイン イタリア ピエモンテ」の61件の記事 Feed

2016年1月13日 (水)

G.D.ヴァイラ ランゲ・フレイザ2008 DOCランゲ

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遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。スタンスは変えずにゆっくりと自己満足的にやっていきます。ブログなので、それが許されるかと(笑)

新年からいろいろ飲んでいたのだが、家呑みでのイタリアワインはこれが初呑み。ちょっとセラーで置いていたピエモンテのワインだけど、その理由も消極的で、わかる人であればフレイザ故のこと。

ピエモンテ土着品種の中でも、フレイザは軽め、弱発泡の作りが多いところだが、このワインに関しては値段も相応だった。だから買うには買ったのだが、やや使いづらさもあってしばらくセラーに置いていたのだが、この機をもって開けてみた。しかし、開けてみたら想像を全く超える味わいだった。やはりワインは奥深い。

G.D.ヴァイラはピエモンテで家族経営の作り手で、当然ながらバローロも醸すもののレパートリーは幅広く、バルベーラ、ドルチェット、その他ピエモンテで許される品種は栽培している。そしてその品種独特の味わいを重視しているところが、特徴。フレイザはピエモンテ州土着の品種で、通常は軽めのワインとして仕上げるところが多いはず、という印象だったが? 

色は濃密で黒々としたボリュームを感じさせる、深いダークルビー。香りはブラックベリー、スミレ、黒餡、墨汁、ややタールといった重さを感じさせる。

口に含むと濃密なリキュール的果実味と、その中にやや粗っぽく散らされた太めのタンニンが直後から迫ってくる。ただし、そのボリューム感も当初の印象からすれば、そのインパクトが収まればややスムージーな感じに素早く収束していく。当初のボリューム感に押されていた酸味も時間をおいて徐々にせり出してくるが、やや低めで落ち着きのある酸ゆえに全体の味わいを崩すとはなく、やや強めの前半から優しい中盤への自然な移行へとつなげる潤滑油的役割にはふさわしい。後半の熟したベリーの味わいはその厚みからすれば一見南のワインと思えるが、終始引き締まったボディが北ゆえの矜持を保つ。

余韻は中盤から広がる甘めの果実味がふくよかに広がるものの、細かなタンニンが適度にボリューム感を引き締めバランスを保ちつつ、厚みのある味わいを終始展開していく。

今まで何度かフレイザは飲んだことがあったけど、それとは全く別物の次元を表現した驚きのフレイザ。こういうのを飲むと、ワインって品種よりもやっぱり造り手なのかな、と思ってしまうのだが、そういう二元的な解釈で読めないところがワインの奥深さであり、素晴らしさ。ワインに限ったことではないけれど、この中間の表現にこそ真実があると思いつつ、今年も飲み続けていきたいと思います。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ(テラヴェール)6,000円?】

2015年9月13日 (日)

フラテッリ・セリオ・エ・バッティスタ・ボルゴーニョ バローロ カンヌビ2008 DOCGバローロ

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バローロ、一口に語られていた時代は終わり、今やバローロもクリュ、テロワールで表現されるようになった。その最高峰として著名なクリュはカンヌビだろう。

バローロの土壌は、約160億年前に遡るエルヴェツィアーノ期、約120億年前に遡るトルトニアーノ期、両時代に由来する土壌に大きく分類され、古いエルヴェツィアーノの方が力強いバローロを産み出すのだという。そしてDOCバローロのバローロ村で中心を成すカンヌービの畑では、この二つの土壌がぶつかり合い、複雑なニュアンスをもたらすとして、バローロ最高のクリュとして名声を誇っている。

フラテッリ・セリオ・エ・バッティスタ・ボルゴーニョはこのカンヌビに畑を所有する古くからのワイナリーで、創始者のフランチェスコはバローロ村の村長を務めた地元の名士でもある。そのワイン造りはクラシックな造りを守り、バリックを用いず50hlの大樽で発酵、オークの大樽で熟成させる。

色は暗めで、しっとりとした質感を持ったダークルビー。香りはフランボワーズ、バラ、スミレ、干し草、カカオ、塩昆布といった香りが交じり合う。

アタックはしっとりとした赤い果実味だが、直後から厳格なタンニンが上顎に張り付き、瑞々しい酸味とともに口の中を支配する。主張のあるタンニンはやや硬めではあるが緻密で、酸、果実との調和を徐々に整え、中盤の品格、安定感ある味わいへと姿を変える。後半の柔らかみ、剛直さが同時に表現される構成は、バローロの個性を十二分に感じさせる。

余韻は堅さもほぐれたタンニンの細かさがしっとりしたベースを形作り、それに誘われて滑るように広がる果実味がゆったりとした大河のようなニュアンスを残しつつ、フィニッシュする。

クラシックなバローロ、伝統的なバローロと聞いて即座に連想されるようなクラシックな味わいを表現しつつ、決してそれを墨守することない造り手の矜持が現れた作品。久しぶりに堂々とした教科書的バローロを飲んで、かえって新鮮な心地をもたらしてくれた、今はそんな気分だ。

【wineshop recork(中島薫商店) 6,800円】

2015年4月11日 (土)

ロベルト・ヴォエルツィオ ランゲ・ネッビオーロ サン・フランチェスコ・エ・フォンタナッツァ2012 DOCランゲ

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ネッビオーロというブドウは不思議なブドウだ。未だイタリア、ピエモンテ以外の場所ではその本領を発揮したワインに出会ったことはない。

ネッビオーロの特徴は豊かなアロマ、凛とした酸、そして時として粗ささえ感じる太いタンニン、このそれぞれが際立った特徴故に、ワインとしての完成品に導くことの困難さが容易に想像できる。それを安価に可能にすることはさらに難しい。だから、このブドウに関しては、どうしても保守的にならざるを得ない。

このワインを選んだ理由もそうだ。ロベルト・ヴォエルツィオはバローロ有数の作り手で、ステンレス発酵と樽熟成によるシンプルな醸造ながら、ブドウは無農薬で徹底した収量制限と輻射熱の利用による栽培により独特の果実味を表現する。だから、彼のワインは決して安くはない。このランゲでも、他の同等ワインに比べるとやや高価であるが、DOCランゲで彼の世界を体験できるのはありがたい。

色は落ち着きのあるやや薄めの暗いルビー色。香りはスミレの花に加えて、ラズベリージャム、チョコレート、バックにはスパイス。

口に含むと程よい熟したベリーの果実の甘みをストレートに感じ、その果実味の隙間をしっとりと濡らすような、主張を抑えつつやさしく寄り添う酸味とのコンビネーションが好ましい。その直後から徐々にアクセルを踏むように強さを増すタンニンは、やや粗さを感じさせるがベースをしっかりと構築して全体の酒質を保つ。全体にはまだこなれないところはあるもののそれも若さゆえで、ネッビオーロの3要素がしっかりと感じられつつ、知性と品格を表現するところが秀逸。

余韻は熟した果実の甘さがゆったりと広がり、心地よい安定感に包まれながらフィニッシュに至る。

粗さはすなわちエネルギー、情熱でもあり、決して一律にネガティブではないと思っているが、このワインもまさにそうした印象を改めて感じさせてくれた。ネッビオーロ、やっぱりいいですね。

【阪神百貨店梅田本店(日本リカー)4,500円?】

2014年2月 9日 (日)

ガヤ ロッシ・バス2012 DOCランゲ

140209rossibassイタリアワインを選んだ時、好んでシャルドネを飲もうとは思わないのだが、その例外がこのガヤによる名品。ガヤによるシャルドネの最上キュヴェはガヤ・アンド・レイだが、かなり値が張るのでこちらのものを好んで試す。

ガヤは言わずもがなのピエモンテの雄たる生産者。バルバレスコの赤は勿論イタリアワインの最高峰だが、白も生産量は少ないが作っており、このワインも「ロッシ」と「バス」という畑から作られたシャルドネによるワイン。

色は柔らかな質感のあるゴールドイエロー。香りは黄色い果実のニュアンスが豊かで、アプリコット、マンゴー、蜂蜜、焦がしバターといったやや重めの香りが強く放たれる。

口に含むと感触はやや冷涼だが丸みのあるゆったりとした酸味を感じ、そこからじりじりとにじり寄ってくるように迫る繊細な黄色い果実の甘味が現れる。旨みが最初から表面に出ず、徐々に口の中に押し出してきて、その酒質がやがて流線型のフォルムによって形となり、口中に描かれるような感覚。日本酒の味わいにも似た展開。中盤から後半は程よい樽香とミネラリーな苦みがアクセントとなり、安定感をもたらす。

余韻はいつまでも途切れることのない穏やかな淡雪のようなクッションを思わせる甘さの感覚が座りつつ、やがて自然に穏やかに抜けていく。

 イタリアのシャルドネは果実味か樽香のどちらかが強すぎて、バランスに欠けると感じる事が多いのだが、このロッシ・バスは自分が求める調和が見事に表現されている。熟成にも耐えるに違いないが、むしろ若いうちに楽しみたいワインであるし、それでもこれだけの表現力が備わっているところが、やはり雄たる者の余裕ということなのだろう。

【エノテカ品川店 7,800円?】

2014年1月 4日 (土)

ペッケニーノ ドリアーニ ブリッコ・ボッティ2008 DOCドリアーニ

131231doglianiブドウの中でドルチェットという名前ほど優しさ、柔らかさを思い起こさせるものはないだろう。すでにその名前から「ドルチェ(甘い)」と表現されているが、これは勿論ワインが甘いのではなく、食用として供された際の甘さを表現しているのだという。

糖度があるという事は、ワインとしてのアルコール度が上がり、ボリューム感が出ることを意味するが、正直なところドルチェットのワインからそこまでのボリュームを感じたことはないが、これは北部の気候で甘い果実に乏しい土地の感覚故だったのかもしれない。

ドリアーニというDOCGはあまり聞きなれないが、2011年にピエモンテ州のDOC、ドルチェット・ディ・ドリアーニとドルチェット・デッレ・ランゲ・モンレガレージを合わせて成立した新しいDOCGで、ドルチェット100%の赤のみに許される呼称となっている。

ペッケニーノはそのラベルからもわかるように、この地を本拠とする家族経営のワイナリー。オルランドとアッティリオのペッケニーノ兄弟はドルチェットから最良のワインを産みだすことで定評があり、このワインはわずか1haの区画、ブリッコ・ボッティという畑から生み出される。

色は紫が強くかかった濃いルビー色。香りはブルーベリー、スミレ、インク、 ドライフラワー。甘く濃密な香りが香ばしく放たれる。

アタックから濃密で熟したプラムの果実味が一挙に開いてくる。濁りのない繊細な酸は、熟したベリーの果実味と緻密に絡み合い、一体となって迫ってくる。タンニンの渋みも酒質に調和して丸く柔らか。中盤からは果実味が解けて現れる優しい甘みが弧を広げるように雄大になだらかに広がり、穏やかな味わいを展開する。

余韻はややタンニンの渋みが残るが、クリアな酒質が最後まで透徹し、抜けの良い甘みが心地よさを演出しつつ、なめらなに優しく引いていく。

ドルチェットの特性、押しつけがましさを出さず、それでいて緻密な甘みのニュアンスを見事に引き出している。飲み疲れしない味わいは、1日をゆっくり過ごす友として相応しいワインといえそうだ。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 4,000円?】

 

2013年11月 4日 (月)

パオロ・スカヴィーノ ヴィノ・ロッソ2010 ヴィノ・ダ・ターヴォラ(ピエモンテ)

131104paoloscavino11月に入っての3連休、さすがに冬の気配が色濃くなり始めた。ワインも赤ワインに相応しい季節になり、そして徐々にジビエにお目にかかる機会も多くなり、食事の選択に困る時間が増えそうだ。

家のみのワインも赤ワインが増えつつあるが、この日はイタリア、ピエモンテの赤。作り手はモダン・バローロの旗手、パオロ・スカヴィーノ。しかしこの赤ワインはヴィノ・ダ・ターボラ(テーブル・ワイン)にランクされるお手軽ワインだ。しかし、つくり手ゆえに、そんな簡単なワインであるはずがない。まだまだバローロとしては出せない若木からのネッビオーロを主体に、ピエモンテ土着のバルベーラ、ドルチェット、そしてメルローを混醸している。

手摘みで収穫されたブドウは除梗し、軽く破砕。そして醸しと野生酵母による発酵が温度管理されたステンレスタンクで行われる。その後に続くマロラクティック発酵と熟成もステンレスタンク。

色はボリューム感を前面に押し出すような濃密なダークルビー。香りはカシスリキュール、ブラックベリー、果実と並行して土、革、ビーフジャーキーの獣的な香りも放たれる。

口に含むと一瞬果実味の塊のようなパワフルさをまず感じるが、それを緩和するような新鮮なベリーの伸びやかな酸味が包みこむように調和を保つ。タンニンは若木ゆえか、やや軽い青み、えぐみも残るが、ワインのバランスを崩すまでには至らず、軽いアクセントとして心地よくも感じられる。中盤に広がる熟したベリーの旨味が豊かに流れ、素直に美味しいと感じる潔い構成が頼もしい。

余韻はベリーの旨味が柔らかくほどけて、このタイプのワインにありがちな甘みのくどさをいささかも感じさせずに昇華していくところが気持ちよく、程よい渋みと共にソフトな味わいを残しながら引いていく。

後付けの感想かもしれないが、バルベーラの酸味、ドルチェットの果実味、ネッビオーロのタンニン、その隙間を埋めるようなメルローといった構成が納得できるワインであるところが面白い。土着品種の単一ワインも面白いが、アッサンブラージュによって奥深さをワインに与えることもまた作り手の腕の見せ所なのだろう。

【パピーユ・ジャポネーズ 2,000円?】

2013年9月26日 (木)

ドメニコ・クレリコ アルテ2007 DOCランゲ

130923arteイタリアのブドウ品種で好きなものを挙げろ、と言われればまず1位はネッビオーロだろう。他に例えようがないこの品種の個性は、繊細な果実味と重厚なタンニンが調和するところにある。その次にはネレッロ・マスカレーゼ、白のリボッラ・ジャッラ、ドルチェット、そしてバルベーラが来る。挙げてみると、3品種がピエモンテだ。

このクレリコが醸すランゲは、ネッビオーロ90%、バルベーラ10%による。このキュヴェ自体は初リリースが1983年というから、それほど新しいわけではない。しかし徐々にモダンさを増し、飲んでみてもネッビオーロ単体では表現しづらいしとやかな落ち着きのある果実味と酸味の調和がこのワインには感じられる。

色は赤みの強い、血のニュアンスも感じられる鮮やかなルビー色。香りはザクロ、プラム、スミレ、ユーカリ、シナモン、バックにはレザーの香りも感じられる。

口に含むと湿った稠密な酸と、落ち着いた重心の低い熟れた果実味が同時に入ってくる。雑味のない果実味はストレートで旨さが直線的に迫る。複雑さ、膨らみがは中程度だが、陽気で屈託のない味わいは飲んでいていささかも疲れを感じさせない。強さを感じさせつつも、重さのない甘みはジューシーで、後半の程よいデザート感覚を演出する。

余韻は優しい果実味がゆったりと広がり、穏やかな印象を残しながらさっぱりした味わいを漂わせつつ引いていく。

ネッビオーロのタンニンの凹凸を、バルベーラの果実味がうまく埋めて、そして全体のバランス感を見事に保っている。名手が品種の個性を知り尽くして産み出した銘酒の為せる技に素直に拍手を送りたい。

【阪神百貨店 5,000円】

2013年9月20日 (金)

マリオ・マレンゴ ネッビオーロ・ダルバ ヴァルマッジョーレ2010 DOCネッビオーロ・ダルバ

130911marengoネッビオーロ。このブドウには他に比べられない個性が備わっていると思う。このブドウから得られるワインには繊細な酸と共に、深みのあるタンニンが同居しており、長期熟成に耐えうるポテンシャルがある。

一方で若飲みの場合はその酸とタンニンが前面に出すぎて飲みづらい場合も多い。ネッビオーロ・ダルバの場合には、やはり信頼できる造り手を探す方がリスクは低そうだ。

マレンゴ家は19世紀から続くワイン造りの伝統を持ちながら、近年とみに評判を挙げた造り手で、その原動力はマリオ・マレンゴ、そして今は息子のマルコと妻のジニーによって運営されている。彼らはワインの成否は90%が畑で決まる、との信念によって畑を徹底管理する。

色はしっとりした質感のある柔らかなルビー色。香りはスミレ、ミント、イチジク、金属の香りも感じられる。

アタックはエッジの効いたシャープな若いベリーの酸が直線的に走り、そこから裾を広げるように赤い果実の若々しい旨味がじわじわと染みてくる。複雑さはあまり感じられないが、果実の旨味が素直に迫ってきて、雑味が全くない自然さが心地よい。中盤から座ってくるタンニンは繊細で緻密、若い果実味と密接に絡んで溶けあい、優しさの中に芯のある味わいを演出する。

余韻はタンニンの渋みが落ち着きをもたらし、そのを快活に滑るようなチャーミングな旨味を感じさせながら、柔らかになだらかに引いていく。

若いながらもバランスが良い味わいでネ、それでいてネッビオーロの個性をまとめ上げる力量はさすがの一言。やはりネッビオーロは造り手を人一倍選ぶ品種と言えそうだ。Good JOB!

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,500円?】

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2013年5月19日 (日)

カステッロ・ガビアーノ イル・ルーヴォ2010 DOCグリニョリーノ・デル・モンフェラート・カザレーゼ

130519grignolino経験則的にだが、グリニョリーノというブドウは不思議なブドウだと思う。ピエモンテで栽培されるが、赤ではネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェット、白ではアルネイスよりもかなり知名度で劣る。しかし試飲会等の機会では、後々の評価が高く出てくる。

自分が持つグリニョリーノのワインのイメージは、ブドウをそのままストレートにワインにしているというもの。若いベリーの甘酸っぱい果汁そのままに、伸びやかなタンニンと小ぶりだがかちっとしたタンニンを伴った、チャーミングなワインだ。そうしたわかりやすい味わいがストレートに訴えかけてくるのかもしれない。

カステッロ・ガビアーノ、ガビアーノ城はピエモンテ州の北部、アルバ地区やアスティ地区よりも北に位置する。畑は20haと小さいが、無農薬手作業のブドウからワインを醸す。

色は明るいルビー色で、魚の血の色に似た生っぽさを感じる。香りはザクロ、アセロラ、バラ、グミ、若くピュアな香りが放たれる。

口に含むと細かで伸びやかな若々しい酸が突き進み、その直後にベリーのまだ熟す手前の若々しいピュアな旨味が広がる。膨らみは大きくないものの、素直でクリアな味わいが好ましい。フォルムは引き締まり、内向的ながら旨味が詰まっており、単純ではない。酸味と旨味が交錯しながら、決して飛びぬけない緊張と均衡のバランスがエキサイティングな後半を展開する。

余韻は酸味の中に溶け込んだ細かな渋みが浮き上がるように広がり、意外にタニックな印象を残しながら、雑味を残さないベリーの旨味をゆっくりと減じつつ引いていく。

決して重厚ではないが、それ故にはっきりと迫ってくる獲りたて果実のピュアな旨味、しかしそれだけでは終わらない旨味の要素の調和が表現されている。グリニョリーノというブドウの魅力はそうしたもぎ立て、取り立て感に近いところにあるのかもしれないな。

【? 2,500円】

2013年2月13日 (水)

カ・ヴィオラ ドルチェット・ダルバ ヴィロット2010 DOCドルチェット・ダルバ

130209dolcetto中庸という表現は、往々にして否定的にとらえられないかもしれない。特に味わいの世界において、それは無個性として表現されうる。

ピエモンテにおけるドルチェットは、ブドウ品種において中庸という表現に最も近いものだと自分は理解していた。少なくともワインを知りたての時期にあっては。イタリアの銘酒中の銘酒、バローロを産み出すイタリアの至宝ネッビオーロ、どのワインにもない酸を伴う個性的なバルベーラに比べれば、ドルチェットはその主張はいかにも頼りない印象を持っていた。だから、ドルチェットを飲むことも少なかった、これまでは。

しかし、今や自分にとってドルチェットはそうした印象を払しょくして余りある存在となった。その上で重要な造り手がカ・ヴィオラだ。イタリア屈指のコンサルタント、ジュゼッペ・カヴィオラがピエモンテに設立したワイナリーで、標高約400mの畑から低収量のドルチェットによるワインを醸す。

色は黒味の強い暗めのルビー色。香りはプラム、スミレ、インク、ヴァニラ、香水のアロマティックな香りが強く放たれる。

口に含むと凝縮感のある詰まった果実味が漂い、その直後に内密に詰っているがボリュームは抑制が効き、そして細かだが存在感のあるタンニンが広がり、安定感をもたらす。充実したタンニンは密度はあるが、均整がとれて優しくなめらか。全体のバランスの中に、充実した落ち着いた味わいが詰っており、中盤から後半にかけては穏やかで滑らかな旨味が細く広く伸びてくる。

余韻は若干の硬さが残りつつも、無駄のない均整なボディを保ちつつ、最後まで静謐な印象を保ちながら緩やかに力を減じていく。

総じて穏やかな印象ではあるものの、それに甘んじない内に詰まった要素、それらが混然と調和して全体をまとめる構成の妙がしっかりと感じられる。派手さよりも実のある味わい、それがもっとも感じられる品種と感じられるからこそ、今の自分にとってドルチェットの魅力は増すばかりだ。

【阪神百貨店梅田店 2,980円】

2013年1月 4日 (金)

マッテオ・コッレッジア ランゲ・ビアンコ ジャポネーゼ2011 DOCランゲ

121231matteocorreggiaたまーにイタリアやフランスのワインで日本向け、と銘打ったワインを見かけることがある。個人的にはだから?という感じで特に興味があるわけではないし、むしろ商業的なものを感じてしまって逆に遠ざけてしまう方が多いかもしれない。

だから、好きな作り手がそうした企画物を世に送るという事に関しては複雑な想いもあるのだが、ここは素直に受け取って楽しませてもらうことにした。

マッテオ・コッレッジアはピエモンテ州のロエロでは日本で最も知名度が高い作り手となった、と言ってもはや過言ではないだろう。既に当主マッテオ氏は10年以上前に不慮の事故で世を去ったが、友人たちの支えもありながらその後はオルネッラ夫人をはじめ家族によって引き継がれて、リーズナブルな価格で高品質のワインを産み出している。自分にとっても、最も信頼感のおける作り手の一つだ。この白ワインはソーヴィニヨン・ブラン100%、ノンフィルターで作られている不思議なワインだ。

色は乳白色に濁りのある、質感が柔らかな薄めのゴールドイエロー。香りはグレープフルーツ、白い花、青ネギ、ヨーグルト、チューインガム、ゴムのような有機的な香りも感じられる。

口に含むと穏やかな乳酸飲料のような酸を感じ、その後にじっとりしたボリューム感のあるグレープフルーツのような甘みが広がるが、その甘みも中盤にはキレよく収束し、程よい渋さが優しく口を引き締める。全体に緩みのない味わいで、中盤には再び柔らかな甘みが戻ってくる。

余韻はすっきりした味わいと、ハーブの清涼感が漂い、フレッシュな飲み心地を残しながら穏やかに引いていく。

なぜこれが日本向なのかよく理解できないのだけれど、それを抜きにしてもソーヴィニヨン・ブランでこうしたワインを作るところが面白い。それにしてもランゲの白ってシャルドネも、ソーヴィニヨンもあり、確かリースリングもあるはずなのだが、また何とも融通無碍なDOC!

【Wineshop FUJIMARU 2,500円?】

2012年3月24日 (土)

アンツィヴィーノ ガッティナーラ2004 DOCガッティナーラ

120324gattinara酸というものはワインになくてはならない要素であるし、一言に酸と言っても色々な酸がある。これはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸といった化学的分類ではなく、味覚としてその酸をどう把握するかということにある。

酸の表現も太めの酸、細い酸、足の速い酸、じっくりと広がる酸、旨味のある酸、乾いた酸、爽やかな酸、思いつくままに挙げるといろいろなものがある。そしてこの酸を把握する、記憶にとどめることがワインを位置づける一つの大きな要素だと思っている。なぜなら、この酸をはぐくむのは産地、気候が大きいからだ。

北イタリアのピエモンテ州でも、さらに北に位置するアルプスの麓、ガッティナーラ。この地ではバローロと同様にネッビオーロ、この地ではスパンナとも呼ばれている品種から赤ワインが作られている。アンツィヴィーノはミラノでワインとは無関係の仕事をしていたオーナーが田舎で仕事をしたいと思ったことから始まったワイナリー。まだ10年そこそこのワイナリーだが、クラシックな造りで評価を上げつつある。

色はエッジにオレンジを感じる明るめで赤みのあるルビー色。香りはプラム、しおれた花、鉄錆、革、黒オリーブの香り。

口に含むと冷涼な酸がすーっと一直線に口の中に入ってくる。芯のある細めの酸だが、表面が滑らかで優しい舌触り。その中にタンニンと果実味が稠密にくるまれている。タンニンはボリュームは豊かだが、単なる渋さ、収斂感という感じにはならず、滑らかで質感のある厚手のシルクのような感覚で、豊かな味わいのベースを形作る。スレンダーなボディの中に色々な要素が詰まっているという感覚。

余韻は旨味のある酸が息を切らさず、最後まで手を抜かずに柔らかく広がり、熟した果実の甘みを優しく残しながらゆっくりと引いていく。

しっかりした酸が味わいの中心に座り、その周りを柔らかな旨味、果実味が幾重にも重なるようにしてできているような優しさと静謐感に満ちたワイン。決して著名ではない産地からこれだけのワインができる、イタリアワインの底深さを改めて考えさせられたワインだった。

【エノテカ・リ・ソッフィオーネ 4,000円?】

2012年3月17日 (土)

ライオーロ・グイド・レジニン グリニョリーノ・ダスティ リントゥルーゾ2010 DOCグリニョリーノ・ダスティ

120317grignolinoジャケ買いというのは、CDとか本の話を言うのかもしれないが、ワインでもあるんです。CDや本の場合は見た目の良さが大前提になるかもしれないけど、ワインの場合は勿論それもあるが、かえって見た目に拘らない朴訥さか、それともコテコテかの方が当たる場合が多いという経験則。もちろん、このワインもジャケ買いならぬラベル買いだが、当然後者(笑)。

ピエモンテでも北に位置するアスティは、冷涼な気候から生まれる締まった酸を活かしたワインを作っているが、バルベーラ、モスカート、ドルチェットが主体で、グリニョリーノはまだまだ国際的には非常にマイナーな品種だろう。一時は軽く酸が強い品種と言われていたが、造り手のライオーロ・グイド・レジニンはこの地で古木を有したしっかりした生産者だという。果たして?

色は赤みが強く感じられる落ち着いた色調のルビー色。香りはザクロ、ラベンダー、ブドウの皮、胡椒パウダー。香りのボリュームは弱めだが、赤いベリー系のアロマを感じる。

口に含むと柔らかくまろやかな酸が次第にアクセルを踏むように直線的に上ってくる。刺激は少なく、ストレートな赤いベリーの酸味がまず口の中をリセットし、その直後に穏やかでチャーミングなベリーの旨味がグミキャンディーのようにまとまって広がる。タンニンは予想よりもしっかり、かつ太く程よいざらつき感からくる素朴さが好ましい。このタンニンがワインの酸味と旨味を抱擁するにはちょうどいいホールド感。ワイン自体の広がりは大きくないが、軽快な中盤を演出する。

余韻はしっかりした渋みとリターンしてきた爽やかな酸味が口の中で絡みつつ、抜けの良い軽快な味わいを残しながら引いていく。

一言でいえばチャーミングなワイン、と言うのだろうけど、がっしりとした収斂性のあるあタンニンがこのワインに一言では表現できない底深さを与えている。チャーミングさと奥深さの二面性、それをワインでもラベルでも表現しているとしたら、生産者の意図はまさにズバリと当たっていると言い切れる、癖になるワインだったな。Good JOB!

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 2,500円?】

2011年11月30日 (水)

マッテオ・コレッジア ロエロ ロッケ・ダンプセイ2004 DOCロエロ

111127roeroイタリア赤ワインといえば、まずはトスカーナ州とピエモンテ州。そしてピエモンテ州といえば、言わずと知れたネッビオーロだが、ネッビオーロといえばバローロ、バルバレスコを挙げても、ロエロを挙げる人はまずいない。「それ、白ワインでしょ?」と言われるのがオチだった。2、3年前であれば。

ロエロは確かにアルネイス種による花の香りがする優しい白ワインが有名で、歴史がある。しかしネッビオーロも17世紀以降から生産しており、土地の人には思い入れがあった。そして、昨今ようやくバローロらに肩を並べるDOCGに昇格し、はっきりとロエロがネッビオーロの産地であることが認められた。

マッテオ・コレッジアは1987年からワインを造り始め、ロベルト・ヴォエルツィオ、エリオ・アルターレの協力もあってロエロでネッビオーロによる熟成に耐えうる赤ワインを確立すべく力を尽くしていた。軽快なロエロのワインを樽熟成による複雑さ、それでいてロエロのキャラクターを失わないワインを志向していたが惜しくも2001年に事故で亡くなる。しかしその遺志を受け継いだオルネッラ夫人と子供たちによってワインが守られている。

ロッケ・ダンプセイは4haの畑から生まれるネッビオーロによるコレッジアのフラッグシップワイン。2005年にはリゼルヴァに昇格し、新樽18か月、瓶熟2年を経て送り出される。土壌は砂質に加え粘土も含まれる。

色は全体にオレンジがかった艶があり湿った感じのルビー色。香りは皮、ヨード、塩昆布、スミレ、プラムの香り。

口に含むと冷めた感じでするりと滑らかな酸味が舌先から広がり、引き締まった構造を持った、残糖分の少ないしっかりした酒質が感じられる。大柄ではないが、グリップの効いた味わいはベースに落ち着いたタンニンが演出する。まだまだこなれていないタンニンは開くのにもう少し時間がかかりそうだ。長期熟成のポテンシャルをうかがわせる、力強い味わい。

余韻は最後までどっしりと構えて力を緩めないタンニンが座り、そこにかぶさるように広がる柔らかな旨味が口の中でシルキーな質感を感じさせながら、ゆっくりゆっくりとその力を減じていく。

よくまとまったバランスの良い味わいだが、ネッビオーロらしいタンニンのグリップ感が引き立っている。ロエロという土地の特性は確かにバローロ、バルバレスコとは一線を画した新たな可能性を引き出しているようだ。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU 6,000円?】

2011年10月 3日 (月)

ロベルト・ヴォエルツィオ ドルチェット・ダルバ2008 DOCドルチェット・ダルバ

111001dolcettoもし赤ワインが苦手な方に何か薦める、ということであるならば、まずはわかりやすいピノ・ノワールか、イタリアであればこのドルチェットかな、と思っている。

ドルチェット、イタリア・ピエモンテ州の主力赤品種だが、ネッビオーロの個性とバルベーラの鮮烈な果実味の合間にあって中庸な感じがある。かつてのドルチェットの印象と言えば、酸とタンニン控えめで柔らかい果実味主体のこじんまりとした味わいだった。

しかし最近ではこの品種の可能性を知っている有数の造り手によるドルチェットが多く出回るようになり、改めてそうした先入観を持ってはいけないことを思い知らされるようになった。しかも価格も安く、こうした造り手の世界を気軽に味わえることも見逃せない。

一世を風靡したバローロ・ボーイズの旗手、ロベルト・ヴォエルツィオ。凝縮感の豊富なワインでイタリア・ワイン界の寵児となった彼のワインは、さすがにバローロクラスだと高くて気軽には味わえないが、このドルチェットは3千円台で手に入る。

色は艶やかで紫色の入った暗めのルビー色。香りはプラム、ドライフラワー、紫蘇、黒コショウ、枝を折った時のような香りがバックに感じられる。

アタックは柔らかくきめの細かい酸で、瑞々しさを感じる。タンニンは予想よりもしっかり感じられ、果実味は残糖分が少なく、無駄がなく引き締まった硬質な味わい。中盤への膨らみは中程度で、バランスのとれた凝縮感ある味わいを感じさせる。

余韻は予想外にボリューム感のあるタンニンが若干浮きあがるが、すっきりした果実の程よい旨みが漂い、爽やかに引いていく。

名手のドルチェットは予想外にタンニンがしっかり感じられるけど、このヴォエルツィオもまさにそうした一本。この世界を3千円台で楽しませてくれるドルチェットに感謝しなければ。ちょと過小評価されてても、このままでいいんです。楽しむ方にとっては。

【Wineshop FUJIMARU 3,302円】

2011年4月 1日 (金)

ニコレッロ ロエロ(ロッソ)・スペリオーレ ヴィーニャ・ポディオ1990 DOCロエロ

110401roeroネッビオーロというブドウは非常に気難しいブドウだ。まずは、イタリア・ピエモンテ以外で栽培しても、その魅力を発揮するとは言い難い。そういう意味では特定の土地に根付いてしまった土着中の土着品種と言っていいんだろう。

もうひとつ、若い時はタンニンのオバケのように硬い味わいで、その真価を発揮するには十分な時が必要だという事。若飲みするカテゴリーのものもあるが、それでさえ若い時に開けるとまだまだ熟成ポテンシャルを感じる場合が多い。そんなに長い時間を待てないイラちな飲み助にはつれないブドウだ。

しかし、その一筋縄でないブドウを作り続けるワイナリーの中にはそうした飲み助の気持ちを解ってくれて、その苦悩をかわりに引き受けてくれるありがたいところもあるようだ。このニコレッロもそうしたワイナリーの一つで、熟成したワインをリーズナブルな価格で提供している。このネッビオーロ産のワインは白ブドウで有名なアルネイスで作られるもので、1990年という良いヴィンテージでも安く売られているのは、比較的赤ではマイナーな場所から産まれたワインであることも大きく影響している。

色は暗く黒みの強い、焼けた感じのルビー色。香りはブラックベリー、アニス、薬草酒、黒オリーブ。

口に含むとまろやかだが厚みのある酸と、凝縮した密度の濃いタンニンが一気に現れ、タンニンが重量感を示しつつベースに退くと、落ち着いた果実味が口の中に渋さを中和するかのように広がってくる。中盤の広がりは大きくなく変化は小さいが、野太い味わいがどっしりした安定感を演出する。最後まで剛直なタンニンが主体の味わい。

余韻は粉っぽい渋さが少し粗さを残すが、最後は黒みのベリーの旨みを感じさせつつ、ゆっくりと引いていく。

20年を経ても失われない朴訥なタンニン主体の味わい。ロエロという場所で作られたネッビオーロでもこの味わいなのだから、本場バローロ、バルバレスコは20年でもまだ本来の味わいを表現するには短いのかもしれない。このかたくなさが好きなんだけど、本当に付き合いにくいブドウだな。

【阪急百貨店梅田店 3,500円】

2010年11月20日 (土)

ラ・カ・ノヴァ バルバレスコ モンテステファノ2000 DOCGバレバレスコ

101120barbarescoトスカーナvsピエモンテ、イタリア永遠の頂上対決。でも人気投票をすればおそらく圧倒的にトスカーナに軍配があがるだろう。ワイン以外にも、トスカーナという響き、ルネサンスの舞台といったものが大きく影響するはず。

それでも好きなのはピエモンテ。この地域だけでしか味わえないワインがいくつもある。ネッビオーロはその代表的品種だが、バローロを呑むことは結構あっても、バルバレスコって結構少ない。バルバレスコの方が若干格下に見られてしまうからだろうか?でもこの二つは全く異質のワインだと思う。

バローロとバルバレスコの違いは熟成期間がバルバレスコの方が1年短い。そして地域も違い土壌もやや砂がち。バローロよりもより柔らかな感じに仕上がるワイン。ラ・カ・ノヴァはこの地で伝統的な醸造法を採用、人為的な行為を極力加えず大樽熟成でワインを作る。この畑はバルバレスコでも石灰質な土壌で、樹齢は40年以上の古木から作られるワインだそうだ。

色は全体にオレンジを帯びた明るいガーネット色。香りはシガー、イチゴジャム、鉄、レザー、チョコレートムースの香り。全体的に甘さがを強く感じる香りが広がる。

口に含むと滑らかで刺激は少ないが、存在感のある酸。そこにくるまれた全体のボリューム感はあるものの粒子は細かいタンニン。その酸とタンニンが稠密に絡み合い、一つの味わいとして迫ってくる。

中盤は赤い果実の味わいがしっかり感じられ、瑞々しさが消えない酸が飲むたびに口の中をリセットし、爽やかな気分にさせてくれる。最初はそれほど重みを感じなかったタンニンも、徐々に口の中で重量感を増してくる。

余韻は若い酸味が息を切らさずに伸び、その後に不思議な塩っぽさが感じられ、軽やかな旨みを残す。

10年を経ても失わない若さ、その中に詰まった複雑な味わいの要素。パワフルではないが、内に秘めたものは複雑、こういうワインの方がじっくり飲むには楽しめる。そんな期待に違わぬワインだったな。

【? 5,000円】

2010年10月28日 (木)

アントニオーロ ガッティナーラ サン・フランチェスコ1995 DOCGガッティナーラ

101017gattinaraイタリアワインの巨頭、サンジョヴェーゼとネッビオーロ。何度も言うけど、自分はネッビオーロ派。他のブドウとは明らかに違う個性、オレンジのエッジを帯びた外観、充分な酸、タンニン、アルコール、内に秘めたものが飲んだ瞬間に爆発してくるようなパワーが感じられるからだろう。端的に行ってしまえば、解りやすいというのもあるだろうけど。

ネッビオーロと言えば、バローロ、バルバレスコとなってしまうが、勿論ピエモンテ州のその他の地域でも作られている。このワインの産地、ガッティナーラもその一つで、バローロよりも北、アルプスの麓に広がる産地で、冷涼でやせ気味の土地で育まれるブドウは自然と低収量になり、かつ元は海だったランゲの畑とは異なったキャラクターが生まれ、より繊細、ミネラル感に富んだワインとなるという。

アントニオーロはガッティナーラで約60年間ワインを造り続けてきた、この地では有数の造り手。約2週間と長めの醸し期間を置き、そしてこのフランチェスコの畑で採れたワインは300から500リットルのトノーと呼ばれる樽で熟成される。畑ごとに樽を変えて熟成するあたりがこだわりの強さを感じさせる。今は名だたるアントニオーロも90年代はあまり良い評価を得られてなかったそうだが、そのワインとは?

色は落ち着いた湿り気のあるルビー色。ネッビオーロらしいオレンジの印象はあまり受けない。香りはダークチェリー、クレヨン、粘土、黒コショウ、鉛筆。

口に含むと鮮烈で鋭角に舌先から登ってくる若いベリー系の酸。その酸が通り過ぎた後に存在感を示す、細かな粒子がそれぞれの角を均し、密に詰まった凝縮感のあるタンニン。鰹だしのようなコクのある味わいが中盤から広がり、後半には鉄っぽいミネラル感が現れ、重みのある味わいを展開していく。

終盤は最後まで息を切らさない赤いベリーの酸が口の中を引き締め、熟れた果実味と絡み合いつつ、柔らかな旨みを切らさずに長い余韻を形成する。

15年を経ているにもかかわらず、明瞭に表れる赤い果実の酸、その中に詰まった細かなタンニン。ネッビオーロの特徴を示しつつ、余韻に展開した確かなミネラル感が感じられrた。不調の時期でもこれだけのものを作っていたんだから、期待されていたレベルが相当高かったのかもしれないな。

【まるやま 7,980円】

2010年10月19日 (火)

ブリク・サッシ ガヴィ2008 DOCGガヴィ

101016好みに偏る傾向は否めないけど、それでも一応満遍なく、飲もうとはしているつもり。飲んでみないとわからないし、それぞれのワインにそれぞれの個性、良いところがあるから、あまり比較して優劣をつけるのは意味がない事だと思っている。

それでも、いつの間にかそのワインを軽く見ていることに気付かせられることがある。このガヴィもそうだった。

まだワインがこれほど一般的じゃなかったとき、イタリアの白ワインと言えば魚の瓶、ソアーヴェそしてガヴィくらいしか店にはなかった。そして時を経て豊富なワインが入ってくると、そうしたワインはいつの間にか飲む価値を自分の中で失っていった。でも豊富なワインが入っているという事は、そうした地域でも知られていなかった優れた作り手が入っているということ。売りにくくなったワインをあえて選んで入れるインポーターの熱も入っているかもしれない。

このガヴィはインポーターによると石灰質の泥灰土壌の畑で作られたワインだという。久々に飲むガヴィのワインは?

色は落ち着いていて湿り気のあるレモンイエロー。香りは若干弱めだが、ヨーグルト、ヤクルトの乳酸飲料の香りが前面に出て、そのバックにオレンジ、白い花、消しゴムの香り。

口に含むと、その瞬間はまろやかだが伸びを増してくる存在感のある力強い酸。その酸に溶け込んでいる甘みにはボリューム感がある。複雑さは少ないものの、味わいには幅があり、余韻にふくよかさを感じさせながら、心地よい渋さを残しながらゆっくりと引いていく。

久々に飲んだガヴィの印象は「こんなに甘かったっけ?」。甘さのボリュームと、それを受け止める酸の底力、ガヴィというワインのバランスの良さを見直すきっかけになったな。

【カーヴ・ド・テール淡路町店 2,000円?】

2010年10月13日 (水)

ルチアーノ・サンドローネ ネッビオーロ・ダルバ ヴァルマッジョーレ2001 DOC

100925nebbioloイタリアワイン界の両雄、と言えば、ピエモンテ州とトスカーナ州を挙げることに異存のある人はほとんどいないと思う。で、この2州と言う事になると、おそらく文化的なバックボーンもあってトスカーナに軍配を挙げる人は多いんじゃないだろうか。

でも自分は迷わずにピエモンテ。サンジョヴェーゼもそうなのだけれど、ピエモンテ固有の品種、ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェットといったこの地でしか本領を発揮できない頑ななブドウに愛着を感じる所が大きい。単なる土着好きなのかもしれないけれど。。。

ピエモンテといえば代表的なブドウはやはりネッビオーロだろう。そのネッビオーロの最高峰、バローロは勿論素敵だが、そんなにしょっちゅう高いワインも飲めないので、一段ランクは低いネッビオーロ・ダルバを。しかし作り手は今や飛ぶ鳥を落とす勢いの作り手、ルチアーノ・サンドローネ。

ワイナリーを興したのは1978年。最初は0.5haから始まったワイナリーも今では16haを超えている。近代的な醸造所を設立し、モダンなバローロ、果実味を重視しつつ、土地の恵みを最大限に生かしたワインを心がけているという。その彼のネッビオーロとは?

色は深みのある全体にオレンジがかったガーネット色。色素の量は十分あり、落ち着きを感じさせる。

香りは全体に甘く、干しイチジク、プラム、黒オリーブ、なめし皮の香りが強く放たれる。

口に含むと滑らかな舌触りで、酸はまろやか。しかし中に溶け込んだしっかりしたタンニンはネッビオーロらしくボリューム感にあふれているが、一粒一粒の粒子は細かく、ざらつく感じはしない。そのタンニンの隙間を埋めるかのような、若いベリーのしなやかな酸がまとまりをつくる。果実味は甘く優しい赤いベリーの味わい。後半にしっかりした渋さを感じさせる。

余韻は程よく熟した果実の甘みと、乾いた味わいが交錯しつつ、最後まで伸びてくる息の長い細かな酸が洗い流すようにやさしく口の中をリセットしていく。

確かに熟した果実の甘さ、柔らかで優しい味わいに満ちたワインだった。ネッビオーロ・ダルバでこのポテンシャルだから、バローロもさぞかし凄いことだろう。飲んでみたいワインがまた一つ増えたな。

【ワインショップ リヴ・ゴーシュ ?】

2010年7月22日 (木)

グラッソ・フラテッリ バルバレスコ ソリ・グランデ1999 DOCGバルバレスコ

100718barbarescoいろいろ土着だ、どうだとギャーギャー言っていますが、イタリアのブドウ品種でもし一番好きな品種を挙げろと言われれば、迷うことなくネッビオーロを挙げます。サンジョベーゼも嫌いではありませんが、比較対象になりません。根っからのネッビオーロ党です。トスカーナ好きの人とはこの点で一生相容れないかもしれないな。

華やかなトスカーナのサンジョヴェーゼに比べると、ネッビオーロは内向的なのかもしれない。しかし、若いころはゴツゴツした酸とタンニンの喧嘩しか感じない味わいが、熟成を経て全く違う調和に変わった所を目の当たりにした時、その感動は倍するものがある。それは人生の縮図という安直な表現さえも使って表現したいほどにストレートに伝わってくる感動だ。

グラッソ・フラテッリは100年以上の歴史を持つ伝統的な造り手。注意書きには清澄を行っていないため、飲む2、3日は立てて置いておくように書いてある。10年を経たバルバレスコだが価格は極めてリーズナブルだが、味わいは?

色は少し薄濁りの黒みがかった暗めのルビー色。エッジにはうっすらとオレンジの熟成感が感じられる色合いを帯びつつある。香りはプラム、ヨード、塩コンブ、墨、黒ゴムの香り。有機系の香りがバックに強く感じられる。

アタックは思いのほか優しいが、時を置いて赤いベリーの酸が垂直に舌先から上ってくる。しかし外形はまろやかで、刺激は少ない。果実味の凝縮感はあまり感じないが、下支えするタンニンは充実している。香りと比較すると味わい自体はまだ若い印象。中盤は懐の広いタンニンが広がり、その隙間を埋めるように細かな酸が包み込む。

余韻は最後にくっきりと現れるネッビオーロらしい存在感のあるタンニン、そのタンニンを引き際を心得たような案外伸びのある酸が押し戻し、メリハリのある張り合いを感じさせながらゆっくりと引いていく。

10年を経ているとは思えないほど若々しい酸、そこに溶け込みつつも存在感を示すタンニン。ネッビオーロのキャラクターがしっかり生きている。このメリハリがネッビオーロの持ち味であり、熟成を経てもその一線を譲らないところが、このブドウの愛すべき頑固さでもあるんだろうな。

【Cave de Terre淡路町店 3,800円】

2010年7月11日 (日)

チェレット ドルチェット・ダルバ ロサーナ2006 DOCドルチェット・ダルバ

100701ceretto最近戸惑っていることの一つに、ドルチェットとバルベーラの区別がつきにくくなってきた事がある。ドルチェットは一般的に味わいがおとなしく、バランスのいいワイン、という事が言われていたけど、どうも最近はそんなくくりで表現できなくなってきたような気がしてならない。

その大きな要因はアタックの酸の印象だと思う。ドルチェットでも勢いのある赤い果実の酸味が引き出されているワインが多くなって、最初の印象ではバルベーラと思えるようなものがある。違うとのは後半の展開だろうか。最初の勢いの割に、後半は一転してバランスの良さ、バルベーラの最後まである肉厚の印象とは違うものを感じる。おかげで今までは一様な感じでそれほど注目してこなかったドルチェットも、最近は面白いと思えるようになった。チェレットは言わずと知れたピエモンテ、アルバ地区の大手生産者。バローロ、バルバレスコの名品を手掛けるドルチェットは?

色は黒の強く出た落ち着いた暗いルビー色。香りはブルーベリー、黒コショウ、ミントの香り。

アタックはまろやかな果実味、そして一呼吸おいて勢いのいい直線的な若い酸が立ちあがってくる。タンニンは一つ一つの粒子は細かいが、全体となるときしきしした感じが残り、こなれるには時間が必要なようだ。前半の酸の勢いが落ち着くと、糖分の少ない締まった果実味が中盤に広がってきて、沈静した豊かなベリーの旨みを感じさせる。

余韻はまだこなれないタンニンが残るが、そのタンニンを覆うように負担感のない落ち着いた果実味が穏やかに広がって、終盤にきれいな味わいを残す。

少し粗い印象を感じるが、バランスの良さで知られるドルチェットだからむしろ個性と感じてしまう。おとなしい人よりも、少し癖のある人の方が後に記憶に残るようなものなのかもしれないな。

【Cave d'Orange 2,800円?】

2010年6月10日 (木)

バローロ プルノット2004 DOCGバローロ

100608brunotto サンジョヴェーゼよりも、ネッビオーロ派の自分だが、ネッビオーロの果実味主体の酸とがっちりしたタンニン、両極に分かれるはっきりした味わいが同居する他にない味わいが性にあってるとしか言いようがない。

様々なバローロがある中で、このバローロは価格がリーズナブル。伝統的なワイナリーだが、現在は販売、生産共にトスカーナの雄、アンティノリが手掛けている。

色は深みのある艶やかなルビー色。香りはチョコレート、胡椒、プラム、鉄さびのニュアンスも感じられる。

口に含むと、柔らかだが渋みもしっかりしたブラックチェリーのような甘みを感じる。タンニンは凝縮感があり、細かだが稠密。落ち着きと重心の低さを感じる。中盤は厚みはあるものの、序盤から展開してきた味わいが大きく変化することはない。メリハリに期待すると若干物足りなさはあるが、全体にはバランスのしっかりした味わいを構成している。

余韻は程よい甘さと、存在感のあるタンニンの名残がバローロらしい味わいを残しつつ、長くゆっくりと引いていく。

こじんまりとした観はあるが、バローロらしい特徴をしっかり備えて柔らかな味わいも感じられる、落ち着いたワインだと感じた。この日は青カビ、スティルトンとともにいただいたが、ブルーの塩味がバローロを飲むと甘さに変わり、チーズのコクが前面に出てくる。このマリアージュを楽しみながらの晩酌のひと時はまさに最高!

【Cave d'Orange 5,200円?】

2010年5月21日 (金)

アントニオーロ ユヴェニア ネッビオーロ2006 DOCコステ・デッラ・セシア

100508nebbioloネッビオーロはやはり難しいブドウだ。バルバレスコ、バローロクラスではその実力をいかんなく発揮してくれるが、それより下、ランゲ・ネッビオーロクラスになると、なかなか思った感じのワインに出会わない。タンニンと酸が強い品種の特徴が偏ってしまい、バランスが悪く感じられてしまう。

このワインは今まで聞いたことのないDOCで、コステ・デッラ・セシアという地域で造られるリーズナブルな価格のネッビオーロ。造り手のアントニオーロも初めて聞く名前だが、ピエモンテとスイスの境界、アルプス山脈のふもとにある小さな区画ガッティナーラを本拠地としている。ガッティナーラは知る人ぞ知るネッビオーロ銘酒の産地で、自分もなんどか美味しいワインに出会っているだけに期待できそうだ。

色は暗めの落ち着いたルビー色。香りはザクロ、ミント、塩コンブ、インク、鉛筆のような香りも感じられる。

口に含むと若いが柔らかさを伴った密度の濃い酸が舌を包み、その直後に充実感のある重ためのタンニンが襲い、そして酸とタンニンの隙間を埋めるかのように、熟した赤い果実のピュアな旨みが広がってくる。この味わいの展開は早いが、メリハリが効いていて心地よい。厚みは中程度だが、密度の濃い構成はこの価格帯のネッビオーロに期待するものをはるかに超えている。

余韻は強靭なタンニンにひけをとらない程よい甘さの果実味がうまくバランスしながら、ゆっくりと引いていく。

2千円台前半でこれだけネッビオーロの特徴を前面に出しながら、薄っぺらさがみじんもない充実度は素晴らしい。ガッティナーラというピエモンテでは決してメジャーでない産地の生産者故に為せる技なのかもしれないが、この価格でこれだけ楽しませてもらうのはこちらとしてもかなり申し訳ない思いで一杯。Good JOB!

【ニシノ酒店 2,400円?】

2010年4月11日 (日)

パオロ・スカヴィーノ バローロ ブリック・デル・フィアスク2004 DOCGバローロ

100411scavino 昨日は仕事がひと段落したので、今までの鬱憤発散で企画した鍋会。博多からモツを取り寄せての会だったので、集まったワインは白が多かった。

で、ホスト側の出すワインは赤ばっかり。そしてこの日は完全にアクセル全開で今まで開けようと思って開ける機会を失っていたワインを開放!

このバローロも3年前に正月に飲もうと思っていて飲めずに終わっていたワイン。言わずと知れたバローロ・ボーイズの最高峰、パオロ・スカヴィーノ。

渋くて酸が多い、という印象のバローロに新しい潮流をもたらしたスカヴィーノ。今のバローロは「伝統」と「革新」の二つの流れがはっきりと分かれていると思う。それは単に樽の使い方にとどまらない、ネッビオーロというピエモンテ独特のブドウをどのように形にするかという作り手の格闘だ。そしてスカヴィーノはロータリー・ファーメンターで種から抽出されるタンニンを取り除くなど、自分が信じる方法でワイン醸造設備を構築した。

このブリック・デル・フィアスクは彼のバローロの最高峰と言ってもいいだろう。畑は石灰質でコンクリートのような灰色の土壌で、そこに植えられた樹齢平均40年以上のブドウから生まれる。

色はどっしりと沈着した黒の強い濃厚なルビー色。香りはスミレ、シナモン、プラム、スパイス、アニスの香り。

口に含むとまずは穏やかな果実の甘さがやってくるが、その直後から厚みを増してそして圧倒的なタンニンが力を発揮し口の中に充満する。しかし、そのタンニンンも非常にこなれていて粒子が細かく密な存在。そのタンニンの隙間を埋めて、かつ覆う滑らかな酸。ボリューム感と充実感がうまく調和するバランス。

余韻は迫力ある味わいが収まった後に訪れる、繊細なミルクチョコレートのような甘さとやさしい旨みが長く残る。

いわゆる「バローロ」という言葉では表現できないワインだった。しかし、その特徴たるタンニンの厚みに果実味を加えた重層的な味わい。伝統を踏まえて新たな世界を切り開いた造り手の力を十二分に感じさせてくれるワインだった。

【? 18,000円】

2009年12月27日 (日)

ロアーニャ バルバレスコ パイエ2000 DOCGバルバレスコ

091226barbaresco1梅田茶屋町のサッカーショップ加茂に寄った。お目当てのバーゲンセール中だったアーセナルのプレゼンスーツは既にサイズが売り切れ。しかし昨シーズンとこれまでのゴールシーンを集大成したDVDが新たに発売されていた。これは迷わず購入。当面はこれでお腹一杯。

で、そのDVDを見ながら気分良く酔うために開けたのは、2000年でそろそろ飲みごろになっていそうなピエモンテの、いやイタリアを代表するワイン、バルバレスコ。造り手はロアーニャ。

バルバレスコを本拠とする代表的な造り手で、昔から化学肥料を使っていなかったとのことだ。最近とみに人気が出てきて、よく見かける指紋が大きくクローズアップされたラベルのワインも彼の手によるもの。

色は落ち着いて艶のある華やかさも感じられるルビー色。香りは強く放たれていて、プラム、黒コショウ、いちじく、樹皮、ジビエの香りも感じられる。

アタックは予想外に滑らかで甘さもある。しかし直後に強力な伸びのある酸と、粒子は細かいが迫力のあるタンニンが突き抜け、甘苦いボリュームある味わいを形成する。ボディは強力というほどではないが、まとまりがありバランス感覚がいい。果実味、酸、タンニンとそれぞれの味わいは強力で主張があるが、角をそぎ落として協調しながら一つの味わいを形作っている。

余韻はタンニンの苦さをしっかりと残しつつ、果実の旨み、コクを感じさせながら、ゆっくりと引いていく。

バローロと比べると若くて早飲みの印象もあるバルバレスコだけど、さすがにグッド・ヴィンテージの2000年だけにボリュームが豊かでバローロに匹敵する味わいだった。この地でしか開花しないネッビオーロの魅力が十二分に感じられる骨太ワインだった。

【ワイン酒屋mista 6,300円?】

2009年8月21日 (金)

ベルテッリ サン・マルサン1998 ヴィノ・ダ・ターヴォラ(ピエモンテ)

090821 ワインとは葡萄ジュースを発酵させたもの、色々あるけど皆同じ、という先入観を取り払ってくれた品種は白はゲヴュルツ・トラミネール、そして赤はシラー。

前者と初めて出会った時はライチの華やかな香りと、とろみのある粘着性のある味わいに驚いた。そして後者には飲みやすいワインが上等と思いこんでいた自分に、肉厚、凝縮感、スパイシーさといった違った要素があることを思い知らされた。以来シラーは自分にとって一番思い入れのある品種となった。

だから、そのシラーがましてイタリアのピエモンテ州で作られているとあっては、そのワインを試さずにいられるだろうか?これはもう宿命的な出会いとしか言いようがない?

このワイン、ラベルによるとワイナリーは19世紀初めにこのピエモンテでフランス・ローヌの品種を実験的に栽培したのだという。現オーナーがワインを作り始めたのは1970年代からだそうだが、元々は医者だったアルベルト氏は自分が納得したワインを探求している。だから生産量もごくわずか。シラー100%のこのワインはフレンチオークの小樽で発酵熟成を経た後に瓶詰めされ、10ヶ月後の瓶熟後に出荷される。

色は濃厚で黒味、深みともに強くしっとりした艶を感じさせる暗いルビー色。香りはインク、皮製品、ビニルゴム、糊、黒コショウ、干しプラム、ラズベリー。どちらかというと、重さを感じさせる香りの中に、ハーブ、スパイスの香りが詰まっている。

口に含むときめ細かい粒子を含んだ果実味、その直後に果実味を支えるがっちりした厚みのあるタンニンが足早に駆け込んでくる。重厚さよりも鮮烈さを感じさせるのは、まろやかだがスピード感のある活きのいい酸が乗っているからだろう。序盤に感じた重さもその酸がきれいに洗い流し、残るのはブドウの皮の裏にあるような旨みと、口の中をスーッとさせるハーブ成分、胡椒の香り。

余韻はきめ細かいタンニンと、充実した息の長い酸が絡み合いながら、そこに野性味のある果実の旨みと相まって力強い味わいがしっかり居座りなかなか消え去らない。それでいてしつこさを全く感じることなく、充実した味わいを太く長く続けていく。

酸の印象もさることながら、この余韻の太さ、長さはどうしたことだろう?これだけ強ければ重々しさで嫌になる部分もあるはずなのに、そうした気配は飲んでいて全く感じなかった。シラーの特徴はしっかり感じさせながら、イタリアらしい個性も兼ね備えている。これぞイタリア生まれのシラーの理想形。Great JOB!

【? 4,500円?】

2009年5月16日 (土)

最高のバルバレスコ ピンコ・パリーノ ペリッセロ試飲会

090514_514日の木曜日は、ピンコ・パリーノにイタリアから生産者が訪れるという事でお邪魔した。今回はピエモンテの生産者、ペリッセロ社のオーナー、ジョルジョ・ペリッセロ氏。

ワイン造りは祖父の時代から始めたそうで、彼がその家業を継いだ後に畑を積極的に取得、今では35haの畑を有して、そこでネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェット、フレイザといった赤を中心にブドウを生産している。

かつてピンコ・パリーノのママさんが近辺のレストランで働いていた縁もあり、今回訪問が実現したんだそうで、そうした海外での縁の深さというものに羨ましさも感じる。短期間しかイタリアにいたことがない自分も地方の人たちの人懐っこさ、親切さ、明るさはとても印象深かった。長く住めばなおさらのことだろう。

ワインの方はバルベーラ、バルベーラとネッビオーロの混醸「ロング・ナウ」、そしてバルバレスコと飲ませてもらったが、いずれも香りが開いていて、酸も野太く、その中に甘さの果実味ときめの細かいタンニンが詰まっている。その後の展開は違うものの、それぞれのアタックには共通するものを感じた。やはり畑、風土の力によるものだろうか。

誰かの質問に対して彼は「自分は醸造家ではない、農民なんだ。」「やった事が全て足し算になるわけじゃない。だから土地の力を素直に引き出したいんだ。」といったような主旨のことを語っていた。確かに彼のワインには技巧的なものはさほど感じさせなかったし、複雑なニュアンスもあまり印象として受けなかった。まだ若いヴィンテージだったからかもしれないが、本来の果実が持つ力強さが幅広く押し出してくる、骨太な肉付きのいいワインだった。ネッビオーロは特徴の酸も感じられたが、それ以上に凝縮した果実の甘さが出ていて、今まで飲んだバルバレスコでこれほどの甘さを感じたものはなかったように思える。

090514_6  しかし、これと全く違う印象を受けたのはマグナムボトルの1997年、バルバレスコ「ヴァノトゥ」。南向きの畑で石灰質土壌、しかもバルバレスコ村、トレイゾ村、ネイヴェ村の異なる村にまたがって広がるその畑は、複雑な条件が交錯する。

そしてその環境がうなずけるように、香りからして今までの果実味主体の比較的わかりやすいものとは違う、獣、血のような野性的な香り、枯葉といった風土を感じさせる香りが風のように立ち上ってくる。口に含むと舌の上で柔らかく、抵抗感もなくふんわり、ほろほろと崩れていくような不思議な感覚が舌の上に残り、そしてビターチョコのようなほのかな苦さがある旨みが浮遊感を伴いつつ、なかなか消え去らない。余韻の長さがとても印象的で、まさに最高のバルバレスコといっても過言ではなかった。これは特別にジョルジュ氏が現地から今日のために蔵出しで送ってきたものだという。このような素晴らしいワインを飲めたことが本当に嬉しいし、稀有の体験ができた。

この日もイタリア語の説明を含めて、言葉が絶えることがなかったジョルジュ氏。本当に楽しんでワインを造っていることがよくわかるし、こうした生産者から生み出されるワインが素晴らしくないはずはない。やはりワインは人が作るもの、農作物だということを改めて再認識した。

2009年5月12日 (火)

パルッソ バルベーラ・ダルバ2006 DOCバルベーラ・ダルバ

090426草なぎ剛の事件が世間を賑わしているけど、それほど非難の声が上がらないのはやはり人それぞれ酒の上で失態を経験しているからだろうか?さすがに公衆の面前で素っ裸になったことはないけど、部屋に転がり込んでいつのまにかそういう状態で寝ていた経験はある。自分の場合極度に酔うと寝てしまうので、暴れる心配はないようだが、それでも気をつけないと。

でも、このところの出張続きの生活だから体はワイン欠乏症。ということで週末はこのイタリアらしそうな、王道ピエモンテのワインを。

パルッソはこの地で4世代にわたってワインを造っている古い生産者。夏の間にグリーン・ハーベストを行い収穫量を制限、慎重に選別されたブドウを穏やかにプレス、温度管理と監視の中で発酵を行っている。その醸造法からは優しそうなワインに思えるが、さて実際は?

色は濃い色調の落ち着きがあるルビー色。エッジは薄め。香りはプラム、シナモン、黒コショウ、鉛筆のような香りもある。

口に含んだときは案外穏やかな丸みのある酸。そこに粒子の細かいタンニン、サラサラした感じの糖分がバランスよく溶け込んでいる。安定感は感じるが、バルベーラに求めるような溌剌とした感覚はいささか少ない。カカオのような甘味も充実していて、上品ですごく滑らかなのだが、味わいが小ぶりで膨らみにかけるような気がする。中盤は品の良いビターチョコのような感覚が広がってくる。

余韻は柔らかい甘さが口の中に漂い、穏やかに収束しながら最後までまとまりの良い穏やかなワインという印象を形作っていく。

全体のバランス、滑らかさで言えば良くできたワイン。ただこのワインを飲んで感動できたかといえば?個々に欠点はないけれど、何か物足りなさが残ったのも事実だ。こうして書いていると文句ばかりつけているようだけど、全体の品質はものすごく高いし、バルベーラとしては最高レベルだと思う。それでも。。。と思うのはないものねだりなんだろうか?

【大丸ワイン祭りにて 3,200円?】

2009年4月11日 (土)

ガヤ ロッシ・バス2006 DOCランゲ

090410_2 北新地のカーヴ・ドランジュさんが1周年記念セールをしていたが、さすが新地、不景気とはいえ高いものから売れていくようだ。いつものセラーにはロマネ・コンティのボトルがズラーッと並んでいたが、ほとんどソールドアウト。さすが、持っている人は持ってます。。。

で、他にもいろいろお得なワインはあったんだけど、目移りしすぎて時間もなくなった(23時閉店)ので、一番飲みたかったこのワインをチョイス。

ピエモンテ、バルバレスコの雄、アンジェロ・ガヤが醸すシャルドネの白。この上にも「ガイア&レイ」も飲んだことあるが、樽の効いたクリーミーな香りとガツンとくる厚かましいくらいの味わいが好きだった。ガヤの白ワインは久々だが果たして?

色は薄めでレモネードのような若さを感じさせる薄黄色。香りは生キャラメル、ヨーグルト、蜂蜜、パイナップルの熱帯系フルーツの香り。

アタックは締まった感じで鋭角の勢いのいい柑橘系の酸が飛び込んできて、その酸がやがて程よい苦味を伴いつつ、柔らかな旨み、厚みのあるパッションフルーツ的な果実味につながる。香りほどの重さはない、鮮烈な酸が形作るメリハリの利いた味わい。以前飲んだときはもっと重さを感じたが、少し変わったんだろうか?

余韻は上品で長く、以前のムルソーに良く感じたようなリッチな蜂蜜のニュアンスを感じさせつつ、ゆっくりと息の長い旨みを漂わせていく。

厚みもありつつ、溌剌とした酸で引き締まった密度の濃い味わいはさすが、名手ガヤ。この絶妙のバランスはさすがとしか言いようがない。久々のガヤのシャルドネ、やっぱり安心して旨いと言える。

【カーヴ・ドランジュ 5,000円?】

2009年1月 9日 (金)

ドメニコ・クレリコ ドルチェット・ランゲ ヴィザディ2005 DOCランゲ

090107 イタリアの2大産地は今でもピエモンテとトスカーナであることは間違いないだろうけど、自分の好みは圧倒的にピエモンテ。トスカーナのワインも旨いんだろうけど、安めのワインにお得感がない。

その点ピエモンテ、バローロで名高い生産者がバルベーラやドルチェットといった品種でリーズナブル、かつ質の高いワインを作ってくれるので、生産者ごとの個性も気軽に楽しむことができるのがうれしいと思っているのだが?

このドメニコ・クレリコはいわゆる「バローロ・ボーイズ」と呼ばれる、新しい果実味に溢れたモダンなバローロを生み出している生産者達の中でも、その先駆者といっていい存在。彼のバローロを飲んだことがあるが、ネッビオーロらしい酸、幅広なタンニンに渡り合うだけの懐の深い果実の旨みがとても印象的だった。そんな彼のドルチェットだけに期待大だが?

香りは干しプラム、ダークチェリー、カカオ、ゴム、かすかにユーカリのようなスーッとする成分も感じる。

口に含むと最初は穏やかだが、その後急激に勢いを増してくる伸びやかな酸、それを追いかけてくる丸みのある果実味、そして最後には若干こなれていない感はあるものの、粒子自体は細かいタンニンがボリューム感を伴ってやってくる。この酸の伸びは、たぶんブラインドだったらバルベーラと間違えてしまうかも。ただタンニンの深みが若干浅いような気はする。

全体にメリハリがあって硬質な印象だ。ただし、味わいに幅広さを感じるが、深みは中程度。ここら辺がネッビオーロとは少し違う感じだ。

余韻はビターチョコのような甘苦さが口に広がり、ベースとなる旨みも滑らか。最後まで充実かつ安定した味わいを保ってくれる。

ドルチェットは落ち着いた中庸な味わいという印象があるが、このワインはボリューム感が際立つ、とても力のあるドルチェットだった。リーズナブルなワインにもその力を抜かない生産車の真摯な努力というものを感じずにはいられない。

【? 2,500円】

2008年12月14日 (日)

アルド・ビアンコ バルバレスコ2004 DOCGバルバレスコ

081214 左足の調子があんまり良くない。土曜日、日曜日とフットサルの試合を入れていて、間に合うかなと思ってたんだけど、痛みが残ったので残念ながらキャンセル。普通にジョギングなんかで走る分には大丈夫なんだけど、踏み込んだときにまたピキッとやってしまいそうで怖い。それと比例して体重も増加傾向...やはり入る分と出る分のバランスが崩れると、如実に現れるなぁ。

でもおかげで日曜日は特にすることもなくなったので、部屋の整理や、年賀状の準備ができた。その合間には実は前々日に開けていたバルバレスコ、バジルのパスタ、ゲビュルツで洗ったクサクサのウォッシュチーズを肴にしつつ一杯。

アルド・ビアンコはバルバレスコの最長老とも言われる作り手。2haの小さな畑から生み出されるワインが日本でしかもリーズナブルな価格で手に入ることはすごいの一言。大樽熟成、ノンフィルターのバルバレスコ、約1万本しか生産されないそのワインは輸出の手続きが煩わしいというだけの理由で人目に触れなかったのだとか?

このもちろんネッビオーロ100%のワイン、最初開けた時は酸も強く、タンニンも粗く感じてあまりしっくりこなかった。しかし時間を置き2日経った今、その真価が分かるようになった。酸と果実味、タンニンが落ち着いてきて、とても滑らかな飲み心地を演出するようになってきた。

色は深く、赤黒といった感じの艶があるルビー色。エッジはやや薄め。香りは鉄錆、湿った土、ドライフラワー、プラム、バラの花の香り。

酸は滑らかになってきているが、タンニンはボリューム感と強烈な存在感があり、上顎全体に張り付く感じ。そしてタンニンに包まれた丸みのある果実味が、口の中にボールのように広がる。ふくらみのある味わいが口の中を押し広げるような感覚が心地よい。

余韻には充実したタンニンと、鉄っぽい香り、味わいが戻ってきて、複雑な味わいの構成を感じさせつつ、最後にはベースとなっていた伸びのある酸に乗った優しげなブドウの甘味の味わいがゆっくりとフェードアウトしていく。

ネッビオーロの特徴をしっかり体現している、少し頑固さも感じられるワインといえるだろうか。しかしそうした味わいも開けた直後よりも、しばしの時間を経た方が真価が明らかになるのかもしれない。ネッビオーロ、このブドウ、なかなか気難しい相手だけど、長く語り合えるだけの深さを持っていると言えそうだ。

【Wineshop FUJIMARU 5,800円】

2008年12月 6日 (土)

エリオ・アルターレ ドルチェット・ダルバ2006

081205 最近ドルチェットにはまっている。以前はバルベーラに比べると中庸というか、あまり個性的なものを感じなかった。しかし、そうした品種を改めて今飲んでみると、当時は感じなかった違い、ニュアンスの複雑さが心に残るようになってきた。これもやはり歳月のなせる業というものなのだろうか?

このドルチェットはいわゆる「バローロ・ボーイズ」として、新しいバローロの潮流を作りだしたエリオ・アルターレによるもの。柔らかい果実味をふんだんに引き出したその味わいは、マセラシオン、醸しの期間を短くして粗いタンニンを引き出すことなく、ソフトに仕上げていくことから生まれる。

このドルチェットは樹齢20~30年のブドウから得た果汁を2日間発酵、そしてステンレスタンクで8ヶ月間熟成させる。その造りから類推すれば、とてもしなやかでクリアなワインに思えるが実態は?

色は強靭で強さのある黒の強いルビー色。エッジまで稠密に色素が入り、濃縮ジュースのようだ。香りは乾燥イチジク、固型墨、輪ゴム、ビターチョコ、粘土、ブラックベリー。果実よりもゴムのような有機系の香りを強く感じる。

口に含むと酸はまろやかで中庸。しかしそこに溶け込んだ果実味のボリューム感、密度に驚かされる。それでいて落ち着きがあり、口の中で暴れるような奔放な要素は感じられない。若い旨さなんだけれど、それでいて老成も感じさせる、さながら「セスク・ファブレガス」のようなワインといえるだろうか?

中盤はビターチョコのような深みのあるタンニンが広がり、そして余韻は再び若いジューシーなベリーの酸味が戻ってくる。余韻に感じるタンニンはさすがに収斂感があり、まだ粗さを感じさせ、このワインを楽しむには時が至っていないという印象を思わせる。

若さを感じさせつつ、しかし全体ではまとまり、落ち着きた印象を感じさせ、しかも味わいのボリュームは豊か。まさに大人のドルチェット。ゆっくりとした時間を過ごすにはまさに恰好のワインといえるかも?さて、この他にも最近ドルチェットを買い込んだのだけれど、その違いはいかに。その感想はまた次回。

【ジェロボアム 3,600円】

2008年10月26日 (日)

パオロ・スカヴィーノ ランゲ・ビアンコ2006 DOCランゲ

081026_2 先日ストック用にパオロ・スカヴィーノのバローロを購入したが、そこにあまり目にしない白ワインがあった。あれ、スカヴィーノも白ワインを作るんだ、そう思ったら思わず購入。

パオロ・スカヴィーノは現代バローロのトップ・スター的存在として、おそらく今や最も知名度の高いワイナリーの一つではないだろうか。そんなスカヴィーノが生み出す白はソーヴィニヨン・ブランとシャルドネの混醸によるものだが、さて?

色は薄めで、ほのかな緑を帯びたレモン果汁のような薄黄色。香りはライム、白菜、アプリコット、ミント、ポワロ葱のような青さを感じさせる。

口に含むと舌先をチクッと刺す酸、その鋭角な酸がやがて幅広に広がり、その中に包まれてきた柑橘系の果実の甘さが広がってくる。その甘さも酸とのバランスが良く、べたつきを感じさせない。そして最初は柑橘系の若い鮮烈な味中心だったが、後半はほろ苦さを伴ったミネラル中心の味わいに変わっていく。この味わいがくっきりと二重構造のように感じられるが、移行は自然でその変化の度合いも面白い。

余韻は再び涼しげなハーブの香りが戻り、柑橘の酸が口の中を引き締めて塩っぽい味わいを残しながらゆっくり引いて行く。

青い鮮烈な香りが豊かでピエモンテの涼しさを旨く表現しつつ、そこに落ち着きのある旨さを加えた味わいのある、南国的要素も感じられるワインになっている。北と南の良い所をうまく組み合わせた技ありのワインといえそうだ。

【LIQUAR WORLD 2,880円】

2008年10月 9日 (木)

ロ・ゾッコライオ バルベーラ・ダルバ スクレ2004

081009 台湾での安グルメ旅も終了。物価の安さに驚いた。地下鉄は勿論、タクシーも安いのでかなり効率的に動ける。そして場所を選ばなければ、1品500円以下で結構楽しめるのが嬉しい。自分はホテル近くの大学周辺の店、あと定番の屋台ばっか廻ったけど、その中でも臭豆腐の店はあたりに「ドブ」のような臭さを放ってんだが、それでも食べてみたら案外フツーの木綿豆腐だった。結構旨いです。お試しあれ。

で、そんな店では定番の地元ビール、台湾ビールを楽しんでたわけで、一滴もワインは注入しなかった。食品の安い台湾もワインは安くなかったからね。そして家飲み赤ワインはやはりイタリアで始めよう!しかもいつ、どこで(たぶん阪神だった)買ったかも忘れてしまったようなワインから。

ピエモンテでも実力ある造り手ヴィラ・ラナータの「ロ・ゾッコライオ」はバローロの畑で作られ、バローロで醸造される。そして「スクレ」はそんなバローロで作られたバルベーラ。温度管理のもとで10日間の長期スキンコンタクトにより皮の周りにつまった旨みを抽出、発酵後は18ヶ月をフレンチ・オークの小樽で熟成させている。全てが伝統的な手法によりながら、その工程自体は近代的な管理、手法で再現しているというが、その実力は?

色は黒味の強い、深さを感じさせるルビー色。周縁まできっちりと色素が入っている。香りはバニラ、黒糖、紹興酒、カカオ、山椒といった重めの香り。果実よりもスパイス的な香りを強く感じる。

アタックは香りとは対照的な伸びやかな丸みのある酸。しかし刺々しさはなく、若干タンニンの堅さは感じるものの、それを上回る鮮烈な伸びやかな酸が好印象。その酸の中に細かなタンニンと果実の旨みがうまく並存し、荒ぶることなく口に収まる範囲で自己主張していく。ベリーの旨みも厚みがあって、この伸びのある酸を下からうまくキャッチして、味の骨格を形作る。そうした深みも感じさせつつ、バルベーラらしいスピード感、潔さもキッチリ表現してくる。

余韻は甘酸っぱい若いベリーの旨みと、若干の収斂感を伴う酸が絡み合いながら、もたつくことなく抜けの良い軽妙さを演出してこのワインを締めくくる。

深さを感じさせつつ、バルベーラに期待する抜けのよさ、疾走感を持ち合わせているこの構造が素晴らしい。一方を求めれば一方を失う、そんなジレンマはこのワインには全く感じない。深さと軽快さ、それを両立した姿がこのワインには感じられた。Good JOB!

【阪神百貨店? 3,200円?】

2008年9月20日 (土)

トリンケーロ グリニョリーノ・ダスティ2004

080919 東京のデパートのワインの品揃えはたいしたものだとつくづく思う。こればかりは大阪のデパートも全く太刀打ちできない。高いだけでなく、ヴァラエティに溢れている。

特に渋谷の東急はお気に入りのデパ地下ワインコーナーで、東京に行くと必ず時間を割いて行くんだけど、なんらか面白いワインがある。そして今回もそんな東急で見つけたワイン。

ピエモンテ、「ア・ユート」でおなじみのトリンケーロによるこのワインは品種グリニョリーノ。自分も初めて聞く品種だ。この品種こそ、ピエモンテ以外で栽培されることのない正真正銘の知られざるブドウだが、それもこれも栽培のしづらさ、成熟の難しさに原因があるようだ。そんなブドウをあえて作ろうとする生産者も凄いと思うが、実際の味はどうなんだろうか?

色は暗いルビー色。周縁まで色が入っているが、色素の薄まり具合、すなわちグラデーションの部分が広め。香りは未熟のストロベリー、デラウェアの皮の部分、ザクロ、消しゴム、工作用の粘土、柴漬けで、若い酸を思わせる香り、工業製品的な香りを強く感じる。

アタックは鮮烈な酸と荒削りなタンニンが一気に口の中に飛び込んでくる。とても直線的な味わいが舌の表面を突き抜けて喉の手前まで高速に押し寄せる。飲み干すと喉が熱くなるが、酸の強さによるものだろう。酸は強いが、厚めのタンニンがそれを幾分引き戻し、単に荒いだけでない一定の落ち着き感を与えてくれる。そのタンニンを薄く包み込むかのように、若いベリーの果実の旨みがしっかり感じられる。しかしそれもタンニンには対抗できず、後半はブドウの皮をかじった時のような渋さの感覚が支配的になる。それと同時に少々粘土的な重さを感じる香りが広がる。

酸は抜けがよく、終盤から余韻へは粗めだが厚みのあるタンニンと、黒ブドウ系の深さを持った旨みがうまくバランスをとって比較的長く続いていく。

酸、タンニン、果実味、それぞれ主張が強すぎてこなれていない感じはあるものの、それでも嫌気がささないのは不思議。その土地でしか飲めない土着品種、という事が飲む人間を寛容にする効果があるのかもしれないが、この「暴れん坊将軍」的な個性はとてもインパクトがあるし、僕自身は好感を持った。やさしくおとなしいワインよりも少々ぶっきらぼうな方が記憶に残る、他に例えようのない個性を持ったワインと言えそうだ。

【渋谷・東急本店B1Fワインコーナー 3,100円】

2008年8月17日 (日)

ロベルト・ヴォエルツィオ ランゲ・ネッビオーロ2005

080817 アーセナル、兎にも角にも開幕戦初勝利、長丁場のプレミアへの航海を祈るワインは、結構出し惜しみしていたワインを思い切って開ける事に。これを開けるんだから頼むよ、って感じです。

ピエモンテのワインといえばバローロ、バルバレスコ。そしてそのワインを作るブドウはこの地でしか実力を発揮しないネッビオーロだ。バローロ、バルバレスコは高価だけにその下、DOCランゲも飲んでみるのだが、やはり薄い感じ。薄いネッビオーロは酸と粗いタンニンが目立ってしまい、次に飲む気がしないというのが今までだったが、これは価格も違うだけに期待してしまう。

ロベルト・ヴォエルツィオはバローロで今や最高の生産者という評価を得てしまった。狭い面積に密植させて故意にブドウに負荷を与え、畑の深い位置の養分を取り込ませつつ、それでいて1本からのブドウの収穫はわずかに5~6房。徹底した低収量で、ブドウに凝縮した旨みを蓄えさせる。

色合いはネッビオーロらしからぬ深いルビー色。黒味も強く、ボルドーワインのようだ。ネッビオーロの特徴と思うオレンジのニュアンスも殆ど感じない。エッジまで稠密に色素が入って、外見だけで凝縮感を感じさせる。香りはビニル、カカオ、カスタード、カレー粉、オロロソシェリー、カラメル、湿った皮の野生的な香りもあり、複雑。

口に含むんだときは案外滑らか。しかし時を置かずに凝縮した果実実がいきなり四方八方に広がり、甘さを感じた口の中をそのすぐ後で強固ではっきりした主張のあるタンニンが追いかける。どっしりした重量感のあるタンニンは、その内側にザラメのような糖質を秘めていてボリューム感が大きい。それでいて野卑な所は全くなく、自然な甘さだけに切れがいい。時として濃いワインにありがちなべたつきを感じないのが不思議だ。

どっしりしたタンニンは攻撃的だが、攻め一本ではない。ある程度押したら、一気に引いてやさしいアマローネ的なほろ苦さを残してあとは果実の旨みにバトンタッチする。この展開が段階的でなく、なめらかに展開するだけにほとほと参ってしまう。ランゲだけに、少々の粗さはあるが、それだってこの展開の中ではほほえましいアクセントに思えてしまう。余韻は旨みの強い果実味が口の中に広がり張り付いて、なかなか消えない。強靭な味わい、酸と果実味の絡み合いが最後まで続いていく。この長い余韻、力強さがネッビオーロの本領、底力なのだろう。

ランゲ・ネッビローロなのに普通のバローロ以上の存在感を示してくれた。ランゲでこれほど色の濃いワインは初めてだったし、これほど強靭なネッビオーロもなかなかお目にかかることはなかった。もっと熟成させたらさぞかし美味いワインだっただろう。こんなワインをあけちゃったんだから、今年のアーセナル、本当に頼むよ~

【LIQUAR WORLD 6,000円?】

2008年5月26日 (月)

フラテッリ・レヴェッロ ドルチェット・ダルバ2005

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暑くなってきたので、重厚なワインよりもフルーティで軽やか、あまり気取らずに楽しめるワインにシフトする時期。これを自分は「ワインの衣替え」なんて呼んでたりする。

赤も当然カベルネやシラーよりも、少し冷やしても楽しめる品種に。まず思いつくのが、ガメイ、ピノ・ノワール、イタリアであれば北のバルベーラやドルチェット。特にドルチェットは酸も中庸なので少し冷やし加減からゆっくりと楽しむにはいい品種だと思う。

このドルチェットは、フラテッリ・レヴェッロのもの。名前はそのままズバリ、「レヴェッロ兄弟」。カルロとロレンツォの兄弟によるワイナリーで、いわゆる「バローロ・ボーイズ」の一員としてフルーティなバローロを世に送っている。

このドルチェットはステンレスタンクで5日間マセラシオン、醸造熟成もステンレスタンクと、クリアでピュアな果実味を大切にした醸造法を採っている。

色合いは落ち着きのある暗めのルビー色。エッジまで稠密に色素が詰っている。香りはプラムジャム、黒胡椒、乾燥イチジク、わずかだがバジルのような香りも。

口に含むと穏やかで乳酸飲料のようなまろやかな酸が放射状にまんべんなく広がっていく。やがてその中に含まれていた慎みのあるベリーの旨みが口の中で弾けて、さわやかな甘さ、涼しげな酸っぱさが調和した果実味を形作る。ただそのボディは比較的細く、繊細。しかしその繊細な旨みが余韻につながり、ゆっくりとフェードアウトしていく。

インパクトという点ではそれほど強くはないが、酸、旨み、タンニン、余韻といった味わいの要素がバランスよくまとまっている。そして何よりピュアで果肉をそのままほおばったような感覚。フルーティでやさしいドルチェットの魅力をそのまま表現したワインといえるんじゃないだろうか。

【LIQUAR WORLD 2,580円】

2008年4月19日 (土)

ジョバンニ・カノーニカ バローロ パイアガッロ2003

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イタリアワイン界の「人見知り王子」ネッビオーロ、その雄バローロ。有名な割には使い勝手が難しい。抜群のタンニン、そしてそれとタメを張るシャープな酸に対抗するには、料理もそれ相応のものがいる。そしてこちらもついつい手が出せずに...

それでもバローロ、その響きは一種憧れにも似て何故か惹き付けられてしまう存在だ。そのバローロも今はいろいろなスタイルができて、ひとくくりでは表現できなくなっている。いわゆる「バローロ・ボーイズ」の台頭もあり、バローロは古典派、中間派、革新派などといったカテゴリーに勝手に区分されている向きもある。

Xzyjs5oq_sこのジョヴァンニ・カノーニカはどこにカテゴライズされているのか知らないけど、1984年が初ヴィンテージとそう古くはないワイナリー。ネッビオーロにかける情熱は深く、良くない年はバローロとして出さずに桶売りしてしまうほど。最近の生産も5〜6000本と少ない。しかしそれでも価格が手ごろなのは「バローロを皆に飲んでもらいたいんだ。」いやはや凄い覚悟、恐れ入りました...


色調は紅茶のような品のある色。魚屋で目にする血の色、そんな感じといったらいいだろうか?エッジは薄い色だが、オレンジを帯びてグラデーションがきれいだ。香りは干しプラム、ブルーベリージャム、カカオ、塩昆布、カスタード、バックに砂鉄のような金属系の香り。

口に含むとまずは直線的に入ってくる酸、そしてそれを追うかのように放射状に広がる幅広のタンニン、決して重く固いものではなく、果実の皮に自然と含まれる細かでほろ苦いタンニンだ。だから収束も早く、その後に残るはほのかな甘さを漂わせた若いベリーの味わい。ミッドも舌の横にタンニンの収斂感を感じさせつつ、自然な甘さを伴ったピュアな果実味。

余韻は以外にさわやなかミンティーさが感じられ、ハッカのような清涼感を残しつつ、ゆっくりと旨みが引いていく。

バローロ、というかネッビオーロの面白さはこの味わいの構造がくっきり感じられるところではないだろうか。最初に酸がやってきて、その後にくるどっしりとしたタンニンを持ち上げて口の中に広げ、そして後に残るはしっかりとした凝縮感のある旨み。

そんな構造がしっかり感じられながら、あくまで自然にバトンタッチしていく妙味。重厚さを求める強豪(?)には少し物足りないかもしれないが、深みのない自分にはこうした自然に楽しめるバローロのほうが合ってますです...

【Wineshop FUJIMARU 7,080円】

2008年1月12日 (土)

ランゲ2004 ポデリ・アルド・コンテルノ

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仕事場からの帰り道にある百貨店、阪神、阪急、大丸にあってイタリアワインの品揃えがいいのはダントツに阪神。そして展開も速いのでたまに眺めると意中のワインに出会える確率が高い。

このワインもそうした一つ。作り手はポデリ・アルド・コンテルノは1969年にワイナリーを創立。伝統的な長期間の発酵による重厚なバローロよりも、より果実味を生かした柔らかでフレッシュなバローロを作ろうとしてきた。

そのコンテルノがピエモンテの土着品種、フレイザに着目して作ったのがこのワイン。フレイザは歴史が深く、16世紀には記録が見られる。従来は軽い発泡性のワインとして作られていたが、次第に有力な作り手がこのブドウから新たなワインを作り始めている。

色は深く落ち着いたルビー色。エッジは薄め。香りはプラム、クランベリー、鉄サビ、スイカの香り。

アタックは直線的な酸。その周りに細かなタンニンがあるが、それほど幅の広さは感じられない。甘酸っぱく若い果実の味わいと、柔らかなタンニンが舌の全体をくるむような感覚。若いネッビオーロと展開は似ている。ただ、ネッビオーロにあるオレンジの色合いはないし、タンニンの広がり、強靭さは感じられない。やっぱり違うか?

余韻はさわやかで淡い果実の旨みを感じる。強靭さはないが、ピュアで軽やかな甘さが細く長く続く。

爽やかで快活なワイン。若い果実の旨みは十分感じられる。でも価格を考えると、なかなか難しい所ではあるかな?ワイン自体はとてもピュアで若々しいワインでありました。

【阪神百貨店 3,700円】

2007年12月15日 (土)

ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェラート2006 カシーナ・タヴィン

B9cl1hot 名前も聞いたことのない品種のワインを買う時って結構ビクビクする。このワインもそうだった。ピエモンテの品種といえばまずネッビオーロ、次バルベーラ、ドルチェット、そしてモスカート、アルネイス、ガヴィのコルテーゼくらいまでが一般的のはず。

このワインはルケという品種で殆ど知られていない。イタリアでもピエモンテでのみ栽培されている。この品種に着目したのは若い女性醸造家、ナディア・ヴェッルーア。

低温で醸した後に上蓋をせず開放したまま発酵。若干の亜硫酸は使うものの、バリックを使った発酵というこだわった醸造法に挑戦している。まだまだ実験の過程のようだが、そのこだわりは今後に期待させてくれる醸造家といえるだろう。

色は赤みの強いルビー色で血の色合いを持っている。刺身にしたたる血の様な印象だ。香りは鉄サビ、ドライフラワー、カラメル、シナモン、カモミールの香り。甘く開いた香りだ。

アタックは甘酸っぱい果実味と伸びやかで細かな酸、そしてベースになるおおらかなタンニンが同時に感じられる。酸とタンニンのバランスがよく、まとまりのある味わい。ボリューム感は中程度だが、その中に味わいの要素が満遍なく詰め込まれている感じだ。

2006年と若いワインだが、香りが開いているので飲むたびに鼻腔まで甘い香りが沸き立ってくる。余韻も旨み、コクを保ちつつやさしい味わいが長く残る。

自然に体に染み込んで来るというのは、こういう感覚なんだろうか。ルケというマイナーな品種からここまでの旨さを引き出してくる、ワインはやはり人が作るもの、という確信を強くするそんなワインだった。GOOD JOB!

【増村酒店(cantina VINOVINO)3,380円】

2007年12月 2日 (日)

バルバレスコ2003 プロドゥットーリ・デル・バルバレスコ

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今年も12月に入ってしまった。そして間もなくブログ解説1年を迎える。こうして書き綴ってくるといろいろ飲んだというよりも、金使ってるナァという感慨の方が大きかったりして。

今週は正月の準備と所用で実家に帰っていた。そして明日からの仕事ということもあり気合を入れるために、バルバレスコをチョイス。ただ、それにしても価格は低めのものからといういつものスタンスは変わらず。

プロドゥットーリ・デル・バルバレスコという名前からも察しがつくとおり、バルバレスコの生産者組合によるワイン。しかし高い品質に対する評価は高い。

シンプルなバルバレスコは平均25年樹のブドウを用い、30度で15日間と長いマセラシオン、その後は大樽で2年の熟成、そして6ヶ月の瓶熟で出荷されている。

香りはヴァニラ、甘草、キャラメル、カカオ、赤いバラ、ベリー系のリキュールの香りで、甘さを思わせる香りが強い。色は明るめのルビー色でエッジは中程度。

アタックは穏やかな酸だが、すぐに細かだが渋さ、収斂感の強いタンニンがやってくる。しかしベースに程よい甘さ、コクが感じられるので、まろやかさの印象が強くそうしたタンニンの攻撃があまり気にならない。収まりの良い範疇で味わいを楽しめる。

堂々とした味わいではなく、舌の中心線辺りで展開するこじんまりとした味わいだが、決して物足りないとは思わない。酸とタンニン、果実味、旨み、いずれもお互いをジャマせず、それでいて十分特性を感じ取れるだけの主張は読み取れる。味わいの骨格がキッチリできているんだろう。

余韻は甘酸っぱい果実の味わいが細く残っていく。若干収斂感が強いのは仕方ないか。

バローロがもてはやされる中で、バルバレスコは最近話題に上らず亜流のような扱いを受けている気がする。しかしピュアなネッビオーロの特質を知るにはバルバレスコのほうが適しているような気がする。酸とタンニン、甘酸っぱい果実味の共演、それがシンプルに交錯しているお値打ちワインだと思った。

【阪神百貨店 3,500円?】

2007年11月18日 (日)

バルベーラ・ダルバ フェッリオーネ2005 ディエゴ・コンテルノ

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百貨店のワイン売り場もいろいろなタイプがある。梅田では品揃えも価格帯のバラエティも阪神百貨店がダントツ。時に通常置かない品もこそっと置いてあって、それが珍品である事が多いから、時折チェックしないといけない。

阪急はドイツワイン以外あまり面白くないし、気を引くワインに出会うことも少ないのでだいたいパス。

最後の大丸だが、ここは結構クセモノ。品数は阪急、阪神よりも少ないが、置いてある品のアベレージは高い。そしてここもたまにチェックすると面白そうなワインに出会う確率が高い。

そんな大丸で出会ったバルベーラ。イタリアワインらしくないファンタジックなイラストのラベルに気が引かれた。作り手はディエゴ・コンテルノ。最初はヤフーでもヒットせず、どんな作り手かもわからなかったが、バローロの作り手、コンテルノ・ファンティーノの作り手だったディエゴが独自にワインを手がけた品のようだ。家族経営の中で作り出したこのバルベーラはわずか年間7,000本の生産、こういうワインを日本で目にするのもすごい縁を感じてしまう。現地のHPも家族の写真つきで温かみを感じる。

色は濃く暗めのルビー色。ブドウの皮そのまま漬け込んだような色で、周縁部までしっかりと色が入っている。香りは甘いベリージャム、タバコ、プラム、シロップの香り。

アタックはフレッシュで伸びがある酸が印象的。その中に細かくしなやかなタンニンが溶け込んでいる。酸とタンニンのバランスが良く、口の中でフレッシュな果実実が広がる。中盤のふくらみは大きいものではないが、若く甘酸っぱい果実の旨みが心地よい。軽快でもたつきのない、きれいな作りのバルベーラだ。

余韻も果実の旨みが程よく残り、酸も刺激を残さずしなやかにフェードアウトしていく。

角の取れたまろやかな味わいの中にバルベーラの特徴である伸びやかな酸を溶け込ませている。バルベーラというブドウ品種をよく知っているからこそできるまとまりのあるワイン作り。休日の落ち着いた時間にはぴたりとはまるワインだった。大丸さんに感謝。

【大丸梅田店 2,730円】

2007年11月16日 (金)

レ・タラーニェ1999 トリンケーロ

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最近トリンケーロに凝ってます。ピエモンテのドルチェットの名手だが、さすがどのブドウを扱っても味わいのあるワインを造ってくる。ピエモンテの信頼できる作り手No.1だ。

その彼が醸すドルチェット。実際にはドルチェット95%で、メルローを5%混醸している。柔らかで酸もおだやかなドルチェットに、やはりなめらかなタイプのメルローをブレンドする意図がよくわからないのだが、果たして?

香りは甘苦さを思わせる香りで、カカオ、ヨード、ブラックベリー、ドライフラワーの香りがある。色合いは紫を帯びた暗いルビー色。

アタックは予想外の酸の強さ。そしてその後で若くまだ酸っぱさの残る果実味がプワーっと口の中に広がる。タンニンも思いのほかしっかりした苦味があるが、黒い果実の甘苦さの延長線上にあるもので、重厚さとは少し違う苦味だ。

余韻も果実のフレッシュさとほろ苦さを残してやさしく引いて行く。重々しさはあまりない。あくまでフレッシュさがこのワインの持ち味のようだ。

ドルチェットって酸控えめで穏やかなワインという印象だったが、最近飲んでるドルチェットはいずれもきっちりした酸があり、フレッシュな味わいはバルベーラととても良く似ている。こういうのを飲むと、やっぱ土地の持つ力というものを意識せずにはいられない。

【WINESHOP La Terre 3,800円?】

2007年11月14日 (水)

バルベーラ・ダスティ ストリカ2002 アルフィエロ・ボッファ

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あと数十分でボージョレ解禁。ワインバーではお祭り騒ぎなんだろうな。でも自分はいつもあまりこのお祭り騒ぎに興味がわかない。翌日ゆっくり楽しむ方が性にあってる。

それと今年はやっぱり割高だなぁ。少し凝ったボージョレなら4千円近い。いろんなショップから案内が来るけど、正直ボトルで買うまでの気がしない。貧乏タレですが明日以降グラスで楽しませてもらいます〜

だから今日も変わらずスタンスで。今日もバルベーラなんだけど、アルバ産じゃなくてアスティを。

バルベーラの二大産地といえばアルバかアスティ。知名度で言えばアスティのほうが若干上かもしれない。バローロ、バルバレスコという銘醸地域を含むアルバに比べると、その北に位置するアスティはかなり広範な地域を包含している。だからバルベーラもまたアルバのほうが高級的な見方がある。

しかしもともと活き活きとした酸が特徴のバルベーラ。北の産地の方がその特性をくっきりと現すとも思えるが、はたしてどうか?

アルフィエロ・ボッファ氏はすでに60歳を超えている。25haを越える畑を所有しており、比較的大きな規模の醸造者だ。畑を細分化し、発酵に用いるのは野生酵母、収穫量を低く抑え健全なブドウのみを使用している。2002年は上級のキュベに回すワインも全てこのスタンダードなバルベーラ・ダスティとしてしまったそうだ。

色合いは明るい、濃い紅茶のようなルビー色。周縁は薄め。
香りはバラ、プラム、イチゴ、若く甘酸っぱさを感じさせる香り。

アタックは鮮烈で伸びやかな酸が印象的。その中に若い果実の甘酸っぱい味わいが溶け込んでいる。タンニンは強くないが、若い味わいとのバランスが取れて、しなやかに溶け込んでいる。

余韻は若いベリーを食べた後の甘酸っぱさそのままの果実味あふれる味わい。おだやかに染みてくるやさしさを感じさせてくれる。

メリハリの利いたバルベーラだ。バルベーラらしい溌剌とした酸を感じさせながら、中盤は落ち着いた繊細な旨み、そして終盤は染み入るい味わいと甘酸っぱい果物の味わいの調和。派手さはないが堅実にブドウと土地の持つ力をワインの中に表現する、古老の醸造家の内に秘めた情熱を思わずにはいられないワインだ。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU 2,200円?】

2007年11月10日 (土)

ア・ユート!2005 トリンケーロ

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全体が遊び心に満ちたワイン、それがフツーのワインであるはずがない。

ピエモンテでバルベーラを扱えば右に出るものはないのではないか、と思うトリンケーロ。そこから現れたこの白ワインは二重三重の遊び心から生まれたものだ。

まずはネーミング。インポーターのヴィナイオータの方が息子さんである遊人(ゆうと)君の名前を覚えてもらうために、イタリア語の「助けて!(Aiuto!)」と「遊人に(A Yuto)」をかけたものにちなんでいる。

そしてラベル。黒地にただ白抜きでシンプルに書かれている。スタイリッシュでイタリアらしい洗練されたデザインだ。

最後はブドウ。2005年は白ブドウが不作で、単一でワインを作っても少なすぎると判断したエツィオ・トリンケーロが数種のブドウを混ぜてワインを造ってしまった。そしてこのワインはアルネイス60%、シャルドネとマルヴァシアが20%でできている。

さてワインの色は驚くほど褐色味を帯びていてまさに琥珀色。シェリー酒のアモンティリャードやオロロソのようだ。香りはマロングラッセ、カラメル、アプリコットジャム、ドライフラワーの香り。

酸はまろやかでやさしい。そしてしっかりしたほろ苦さとコクのある旨さが口の中に広がる。果実味と苦さ、旨さが調和している。それぞれが補い合ってこのワインのまとまりを形作っている。全体にある酸化した味わいと香りがこのワインのバックボーンになり複雑さを与えている。ふくよかさとやさしさに満ちたワインだ。

余韻は穏やかでアプリコット、イチジクの甘い香りと味わいが口の中にふんわりと広がる。

このワインはまさにブレンド(アッサンブラージュ)による調和の賜物だ。アルネイスの華やかさ、シャルドネの上品さ、マルヴァジアのトロピカルな香気が突出せずにお互いを助け合っている。たとえ偶然の産物だとしても、こんな偶然を生み出したのはまさに醸造家の感性だ。その感性に感嘆せずにいられない。

【Wineshop FUJIMARU 2,600円】

2007年11月 8日 (木)

ドルチェット・ダルバ ロケッテヴィーノ2005 ジャンニ・ヴォエルツィオ

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ラベルで得するワインもあれば、損するワインもある。このワインなんかはおそらく得の方だろう。花の絵はちゃんとした画家さんに書いてもらっているそうだし、それでいてスタイリッシュなラベルはとても見栄えがする。

しかし、それだけではない。この作り手、ジャンニ・ヴォエルツィオもなかなかの評価を得ている。元々はヴォエルツィオ家という作り手があって、兄弟のロベルトとジャンニが継承したのだが、やがて路線の違いもあって袂を分かった。

兄のロベルトはモダン・バローロを作る、いわゆる「バローロ・ボーイズ」として押しも押されぬ第一人者になった。そのバローロは今では最も高価なものとなっている。

その評価には一段譲るものの、ジャンニもまた少量生産で細部まで手を入れたワインを造っていると評価が高い。パワフルな兄ロベルトのワインに比べ、弟はエレガントと評されるが果たして?

色は濃厚で、凝縮した色調の赤みの濃いルビー色。エッジまで細密に色が入っている。香りは甘くラズベリー、イチジク、クランベリー、ドライフラワーのような乾いた香りもある。

アタックはまず濃厚な果実味とすぐにそれを追い越す若々しい酸。しかしその酸も突き刺すような酸ではなく、甘酸っぱい若いベリー系の酸だ。タンニンはまだ荒く渋みを感じる。渋みが強いので、ドルチェットと知らずに飲んだらカベルネ系と間違うんじゃないかと思う。

硬質の酒質でまだぎこちないところが多い。余韻も甘さとタンニンの収斂感が個別対応、という感じでまだまだまとまった味わいには至っていないか。

全体にはチグハグ感は否めない。ドルチェットらしい優しさ、穏やかさはあまり感じられず、ポテンシャルを出そうとしているがまだまだ角が取れていないという印象だ。でも個々のボリューム感はドルチェットらしからぬ底力を思わせてくれる。楽しむにはいま少し落ち着かせる時間が必要なワインなのかもしれない。

【阪神百貨店 3,500円?】

2007年10月21日 (日)

ヴィーニャパルメ2004 トリンケーロ

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いろいろ飲んでいると、「えっ、これがあの品種なの?」と思うようなワインに出会うことがある。産地が違う場合は当たり前の話なのだが、同じ地域で作っていて味わいが全然違う場合のインパクトはかなり強い。

アルネイスはイタリア北部、ピエモンテ州の白ワイン用土着品種。花のようなほのかな甘い香りと、程よい酸を持っているが、あまりボリューム感のあるワインにはならない。迫力のある方が好きな自分にとってはあまり飲む機会がなかったワインだ。

アスティ地区のバルベーラでは最高の作り手の評価を得ているトリンケーロ。家族経営のワイナリーであり、以前は広い畑を所有していたが、全てに目配せするためにその規模を縮小していったという。そのワインは非常にみずみずしく、かつ凝縮味にあふれている。既に2種試したが、いずれも秀逸なものだった。
http://blog.kansai.com/cesc22/207
http://blog.kansai.com/cesc22/237

「土地が複雑だから、単一品種でも複雑なワインが出来る」
と当主が語ったそうだが、さて?

色合いは濃厚で琥珀色のようだ。香りは伊予柑、シナモン、酸化を感じる香りがある。

アタックの酸は穏やかだが、その後で塩味を含んでアモンティリャード・シェリーのような芳香とふっくらした旨さの膨らみが感じられる。この味わいと程よい酸のバランスが整っていて、そこに若干のほろ苦さも加わりながら、穏やかながらもその中にしっかりと濃密な複雑さを感じさせてくれる。余韻はスムースで苦味もなく、さわやかに引いていく。

穏やかなワインという印象を持っていたアルネイスだが、作り手によってこれほど表現が変わってくるものなのか。ボリューム感は控えめだが、その中に含まれる味わいの要素は複雑。緻密に作り上げた工芸品のようだ。さすがトリンケーロ、いい仕事しますね〜これに合わせて食べたカルボナーラとの相性もGoodでした。

【WINESHOP FUJIMARU 2,600円】

2007年10月 8日 (月)

ドルチェット・ダルバ バルトゥーロ2004 カ・ヴィオラ

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実家からの帰り、大丸のイタリア展に寄ろうかと思ったら、今日が最終日で6時まで、もう片付けてました...

仕方なく阪神百貨店に寄り道。大阪の百貨店でワインの充実度でいえばまずダントツはここ。しかもたま〜に珍しいものも置いてあって、回転も速い。続くのは大丸、ここもたまに掘り出し物が眠っている。阪急はその点やっぱ保守的だな。あまり面白みの無い品揃え。行く頻度もこの順序です。

で、阪神に行って買って来たのはこれ。残り1本でした。やっぱ知ってる人多いなぁとつくづく思う、カ・ヴィオラ。

イタリアワイン界で代表的なワインコンサルタント、ジュゼッペ・カヴィオラがオーナーを務めるワイナリー。バローロ地区にある畑で徹底的な収量制限、夏にグリーン・ハーベストを行い、1本の木に実らせるブドウを制限している。樹齢は約50年、ドルチェット100%のワインだ。

色はとても濃厚で、紫の色合いが強く出ているルビー色。凝縮感があり、エッジまで色素がしっかりと入っている。香りはブラックチェリー、ヴァニラ、カシス、カスタード、パイのような香りがある。

アタックはドルチェットと思って飲むと驚かされるしっかりした酸。しかし鮮烈ではなく、落ち着いた丸みのある酸だ。その中にしなやかな果実の甘みと、ベースをやさしく支える細かなタンニンがある。このタンニンは味わいを下支えするほどの力は無いが、味わいを引き締める役割を果たしている。味わいのバランスが良く、果実を口にほうばって楽しむかのような感じだ。ピチピチとした旨みが心地よい。

ミッドのふくらみは中庸で、そのままやさしく穏やかに引いていく。余韻はかすかな果実の甘さ。

まとまりつつ、確かなボリューム感もある。ただ何か、心に引っかかるようなインパクトを持ったワインではない。でもドルチェットの良さが「でしゃばらない」ことだと思えば、それを崩さずボリューム感を演出するこのワイン、与えられた中で最大限の仕事をしているといえるのかもしれない。

【阪神百貨店 3,500円】

2007年10月 2日 (火)

バルベーラ・ダルバ ジェピン2002 アルビーノ・ロッカ

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ようやく涼しくなってきた。これを書いている時点で巨人はマジック1なんだけど、ヤクルトに1点ビハインドだ。なんとか5年ぶりの祝杯を挙げさせてくれよ〜

景気づけではないが、今日はすこし上等のバルベーラを。最近は本当に力強い真剣勝負のバルベーラが広く手に入るようになったと思う。一昔前はバルベーラってフォンタナフレッダの安い版しか見なかったような?

アルビーノ・ロッカは今やピエモンテ、特にバルバレスコで秀逸な生産者としての評価を不動のものにした。有機農法、収量の制限により濃縮した果実の力あふれるワインを産み出し、なお新たな技術的な改良にも積極的だという。

このバルベーラ「ジェピン」は単一の畑で樹齢25年のブドウから生産されている。

色は濃厚で、暗めの深いルビー色。清澄、フィルターはかけていないのか、底が見えない。周縁部にもしっかり色素が入っている。重さを感じさせる色合いだ。香りはベリージャム、ヴァニラ、ビターチョコ、タバコと甘さを感じさせる香りが強い。

アタックは伸びやかな酸で、まずは舌の表面に鮮烈な酸がいっぱいに広がる。若干強さも感じるが、その後で黒ブドウ系の果実の濃密な味わいが広がり、それを支えるタンニンも細かく溶け込んで心地よい。スケールは大きいが、味わいの要素は緻密だ。

樽で熟成させているようだが、それほど強い樽の影響は感じない。余韻も繊細な果実の旨みがきれいに後を引いていく。酸と味わい、渋さのバランスが素晴らしい。

酸もしっかりして快活、それでいて旨みもあり、それを支える繊細なタンニン、バルベーラというブドウの特徴をこれだけきれいに引き出しているワインもなかなかない。これは確かにGood JOB!

【ワイングロッサリー 3,200円?】