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カテゴリ「ワイン フランス その他」の31件の記事 Feed

2015年11月14日 (土)

オーデックス・ジャパン&トゥルサン・フランス エスプリ 樹(ki)ブラン2014 AOCトゥルサン 

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 バロック、その耳に馴染む響きは美術の世界にあってこそだが、ワインにもその名を持つブドウがある。しかもそれはフランス、そしてそのブドウを主要品種とするAOCを持っている。その地は南フランスのトゥルサン、ここでそのブドウはかつて絶滅の危機に瀕しながら、一人のシェフとの出会いによって、その幸せな知る人ぞ尋ね来る隠者にも似た生活を送る今に至っている。

フランス南西部の温泉町、ウジェーヌ・レ・バンにある三ツ星レストラン、レ・プレ・ド・ウジェニーのシェフ、ミシェル・ゲラールがワイン造りを始めるにあたって着目したのが、この辺りに植わっていた地元品種のバロックだった。19世紀当初は病害に強い品種として栽培されていたが、20世紀に入って衰退し、2008年には112haと50年前に比べて約50分の1にまで落ち込んでしまった。しかしそのブドウに惚れ込んだゲラール氏によって、再び脚光を浴びつつある。このワインはインポーターであるオーデックスが現地企業と組んで生産するもので、2012年のヴィンテージではバロック40%、プティ・マンサン30%、ソーヴィニヨン・ブラン30%。

色は薄めのゴールドイエロー。香りはライム、オレンジの柑橘系の香りが主体的で、それに加えて乳酸、白い花、塩昆布の香りも感じられる。

口に含むとおおらかなアタック感、そこからじわじわと丸みのある好ましい果実味がゆっくりとしたペースで広がる。その果実味から染み出てくる落ち着いた酸味は、南のブドウらしく鷹揚だがしっかりした主張が感じられ、ふくよかな果実味のボディをまとめ上げるに相応しい弾力性をもって下支えする。中盤から後半にかけては複雑さこそ少ないものの、調和のとれた飲み飽きのしない優しい味わいが広がっていく。

余韻は後半からの展開そのままに、なだらかなスキー場の斜面を下るかのように自然な着地点を見出し、自然とフィニッシュする。

一言でいえばバランスの良いワイン、ということになるのだが、そのバランスの中にもしっかりした旨味、酸味の要素が感じられる。プティ・マンサンのボリューム感、ソーヴィニヨン・ブランのフレッシュさ、それを繋ぐバロックといったところだろうか。それでいて自然とグラスを重ねても負担感、飽きが来ないのがなにより。デイリーワインにふさわしい特質を備えたワインということなんだろうな。

【R -the wine shop-(オーデックス) 1,200円?】

2015年9月15日 (火)

ドメーヌ・ド・サン・ピエール アルボワ シャルドネ レ・ブリュレ2010 AOCアルボワ

150913domaine_de_saint_pierre_arboi最近フランスの中で最もホットな地域はジュラかもしれない。フランスのワイン地域では辺境のイメージがあるが歴史は古く、かつてはイタリアに向けてもワインを供給していたが、19世紀のフィロキセラ被害によりその生産は大きく衰えた。

しかし、その名も表すようにジュラ紀に遡るこの地の地質はワインにとっても好ましいようで、気候も春は涼しく夏は暑い、そのメリハリ故に最近はそのポテンシャルに着目するインポーターにとって競争の場ともなっている。

ファブリス・ドダンはこのドメーヌ・ド・サン・ピエールで働き、その後買い取って現在に至る。2002年からビオディナミに移行し、ピノ・ノワール、シャルドネ、そしてこの地の地ブドウであるプールサール、サヴァニャンでワインを醸している。

色はねっとりした質感を伴うオイリーなゴールドイエロー。香りはアプリコット、桃のシロップ漬け、アーモンドといった甘さを連想させるものに加えて、そのバックにはやや生姜、シナモンの香りも感じられる。

口に含むとたっぷりとした果実味に芯を通すすっきりした酸のインパクトをまず感じ、その後甘みのある熟したアプリコットの果実味が広がってくる。香りの印象よりもすっきりした味わいで、甘みと程よい苦みが品よく絡み合い、軽い塩味のミネラル感と共に複雑さを醸しだしつつ、中盤から後半はストレートな美味しさをしみじみと感じさせる。

余韻は最後まで息を切らさない酸味が中心を成し、その周りを囲むように熟した黄色の果実の甘みが寄り添いつつ、リッチな味わいを残して引いていく。

ブラインドで飲めば、おそらくブルゴーニュと答えてしまうだろうほどにリッチかつ繊細な味わいを時間と共に広げてくれる。敬虔さを思わせるエティケットとともに、豊かな心地にさせてくれる贅沢なシャルドネといえるだろう。Good JOB!

【wineshop recork(ラフィネ) 4,000円?】

2015年3月15日 (日)

ドメーヌ・プリウレ・サン・クリストフ ヴァン・ド・ペイ・ダロブロジー モンドゥーズ・トラディシオン2010 サヴォワ

150315mondeuse_prieuresaintchristop最近はフランスの土着ブドウにも関心が高まっている。このモンドゥーズもその一つに違いない。

モンドゥーズ・ノワールはDNA鑑定ではシラーと関係があるブドウのようで、主にフランスではサヴォア地区、サヴォアからも近いスイス、そしてカリフォルニアでも一部栽培されている。しかし、フランスにおいてはそれほど重要視されていたブドウではなかった。

しかし、プリウレ・サン・クリストフはこの土着品種モンドゥーズのポテンシャルに着目し、収量を制限、ビオディナミを実践することで、サヴォア最高のワインに仕上げたという。

色は透明度のあるダークルビー。香りは赤い小さな花、ラズベリー、ザクロ、ミントの清涼感もバックに感じる。

口に含むと冷涼だが丸みのあるピュアな酸味をまず感じ、その後すっくと突き抜けるような透明度の高い果実味が芯を成すように立ち上がる。甘みと旨味が緊密に絡む果実味は自然で、中盤の落ち着いた構成の中心を成し、思わず目を閉じたくなるような静謐を醸し出す。タンニンは細かめでしっかりあるものの、その存在感を隠すように寄り添うバランスの良さが後半の安寧へと誘う。

余韻は渋さの印象がやや強まりつつ、最後まで流麗で坂を駆け下りる時のような爽快感を伴ってフィニッシュに至る。

品種を隠して飲めば、ピノ・ノワールと間違えるであろうほどだ。モンドゥーズの個性というよりも、サヴォアでこのポテンシャルのワインを産みだすことに驚いた。まだまだフランスワインは知らないことばかりだな、Great JOB!

【ワインショップ リコルク(ラフィネ) 5,500円?】

2014年6月22日 (日)

ラ・ソルグ オモン・パイス2009 ヴァン・ド・ターブル(ラングドック・ルーション)

140622lasorgommonpaisたいていのワインはインターネットで検索すれば見つかるんだけれど、中には苦労する場合もある。このワインもそうしたものの一つだった。

作り手は最近自然派の中では聞く機会も増えたアントニー・トルテュル。彼が25歳の時から率いるネゴシアンがラ・ソルガで、南仏から樹齢の高いブドウを買い付けて、様々なワインを世に送り出している。とにかくそのエティケットが強力で、ランファン・テリブル(恐るべき子供たち)とか、フレンチワイン・イス・ノット・デッド(フランスワインは死んでいない)などのネーミングは一度見れば忘れがたい印象を与えてくれる。

さて、このオモン・パイスだが、その言葉の意味は推測だがオック語で「わが祖国」だと思う。元々南仏はオクシタニアと呼ばれていたが、この地では今では廃れたオック語を民族的資産として大切にしていると聞く。そしてこのワインのブドウはソーヴィニヨン・グリ100%、ソーヴィニヨン・ブランの変異種であり、徐々に栽培面積を増やしつつある。二酸化硫黄は無添加。

色は柔らかな質感のあるやや薄めの山吹色。香りはグレープフルーツ、キャラメルといった酸と甘みを感じさせる香りに加えて、セメダイン、ビニルの有機的香りが強く出ている。

口に含むと推進力のある酸味と共に、じっとりとした甘みを含んだ果実味がストレートに広がり、柑橘系果実の皮の苦みの成分がベースに座ってやや粗さのある味わいを落ちつかせるように中盤を構成する。甘さは飲んだ当初はボリュームが突出しているように思ったが、中盤以降は想像とは違った緻密さと口どけの良さを感じさせる。後半に広がる穏やかで自然な甘みも心地よい。

余韻は穏やかでリッチな甘みの中に程よい苦みがアクセントなって、膨らみのある旨味を演出しつつ、穏やかにゆっくりとその力を減じていく。

飲んだ当初は少し味わいが厳しいかと思ったが、時間とともに柔らかさとその本質が明らかになってきた。自然派と呼ばれるワインに共通することだが、本当の味わいを知るには一定の時間が必要なので、飲み手にも相応の覚悟と忍耐力が求められるということなのだろう。

【Wineshop FUJIMARU 3,000円?】

2014年6月 8日 (日)

ゼリージュ・キャラヴァン ピク・サン・ルー ヴェルヴェ2009 AOCラングドック

140608zeligecaraventヴァン・ナチュールというカテゴリーがあるが、厳密な規定はない。ただ、イメージとしてできる限り自然の法則に任せて作ったワインという事のようだが、任せ具合は人次第で、薬を減らす、農薬を全く使わないの違いでさえ、時としてこのカテゴリーは曖昧模糊としたものとして包含してしまう。

だから、自分はあまりそこには重きを置かない。味覚だけが全てを説明する要素だと思うからだ。しかし、このゼリージュ・キャラヴァンは自然派でありつつ、美味なワインとして信頼している。

南仏ラングドックのワインはその温暖な気候ゆえにワインが重く鈍い味わいになりがちだが、この作り手のワインはその危険性を見事に回避している。白ワインで土着品種シャザンを用いた「アン・ポコ・アジタト」も芯の通った清々しい酸味とハーブの清涼な香りが同居した、特徴あるワインであったが、このヴェルヴェはシラー主体、違った5か所の畑で栽培された樹齢25年以上のシラーから造られている。

色は赤みの強い、その名の通りヴェルヴェットのような艶のある華やかなルビー。香りはベリージャム、カシスリキュール、パッションフルーツのような酸味の香りと、バックにはミントの清々しさも感じられる。

アタックは滑らかな丸みを帯びた酸味をリードに、濃密だが整った細身の果実味が後に続く。ボディは細身で抑制されており、その中でこぶりなベリーの自然な甘みと細かなタンニンがバランスよく交わり、作り手の細やかな神経が行き届いているよう。果実の旨味を中心とした表現だが、後半には程よいスパイシーさも現れ、アクセントになっている。

余韻は角の取れた自然なベリーの旨味全体が乱れることなく、自然に昇華しながら収束していく。後味に余分なものを残さない潔さも見事。

自然派ワインにはいろいろなものがあるけれど、その味わいの自然さ、収束の自然さをもってこのワイナリーほどそれを体現しているところを未だに知らない。このワインもその特徴を十二分に持っていた。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU 3,200円?】

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2014年2月16日 (日)

ドメーヌ・ドゥ・ロクタヴァン コンテス・A... サヴァニャン・ウイーユ レ・ヌーヴェル2011 AOCアルボワ

140215comtesseaジュラと聞いて思い出すのは、真っ先にジュラシック・パークかもしれない。しかし恐竜が大地の支配者であった大昔、その時代までさかのぼる地層がワインの畑の品質を現すこともある。ジュラ紀の地層を残す大地がコート・ドュ・ジュラ、フランスでは辺境に違いないが、それ故に今ホットな地域とも言える。

その地域で夫婦で起こしたワイナリー、ドメーヌ・ドゥ・ロクタヴァン。オクターヴという名前からして音楽的だが、このワイナリーのワインにはオーナーのアリスとシャルル夫妻が愛するモーツァルトのオペラに由来した名前が付けられている。このワインもコンテスA、フィガロの結婚のアルマヴィーヴァ伯爵夫人、ロジーナに由来するのだろう。浮気者の伯爵に翻弄され嘆きつつも明るさを失わない夫人の性格に何を投影したのだろうか。

サヴァニャンはジュラ地方で栽培されている品種で、有名なヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)にも用いられている。このワインはSO2無添加のノンフィルター。

色はややうす濁りのしっとりした質感を持ったイエロー。香りはビオ香が立つものの、黄桃、シロップ、キンモクセイ、蜜の甘い香りに、有機的なセルロイド、ヨードの香りもバックに漂う。

口に含むと外観からは意外な豊富で活力のある酸、そしてその直後から浸透力のある黄色い果実の穏やかな甘みが主体の果実味が、グレープフルーツに似た柑橘の苦みを伴って真正面からせりあがる。それぞれが主張しながら、攻撃性のない丸みに品格を感じさせる。それは確かに伯爵夫人の名にふさわしい品位を保ち、後半の押しつけのない甘さが一様に広がる静謐へとつながっていく。

余韻は全てが収まった後の心地よい穏やかな甘さの印象が満ちつつ、最後に戻ってくる柑橘の酸がクールな後味を演出して締めくくる。

ヴァン・ジョーヌの品種であるサヴァニャンだから押しの強い味わいだと想像したものの、最初から繊細で、しかも最後まで透徹した酸味の印象が全く予想とは違っていた。軽快で屈託のない味わいは、フィガロの結婚をまさに思い出させる楽しさに満ちていた。

【エーテルヴァイン岡崎店 3,500円?】

 

 

2013年5月26日 (日)

シャトー・マスビュレル2002 AOCモンラヴェル

130526masburelフランスにもまだまだ知らないAOCがある。特にジュラ、南西地区、プロヴァンスなど、南フランスには日本で知られていないようなワインがたくさんありそうだ。

このワインも初めてのAOC。モンラヴェル。ボルドーを流れるジロンド川は北のドルドーニュ川、南のガロンヌ川が合流したものだが、そのうちのドルドーニュ川の上流にベルジュラックと呼ばれる地域があり、甘口ワインで有名だが、モンラヴェルはそのベルジュラックの西側、少し下流にある。この地域ではセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル種から甘口、辛口の白を生産しているが、モンラヴェルでは主に辛口を生産している。このシャト・マスビュレルはソーヴィニヨン・ブラン70%、セミヨン27%、ミュスカデル3%で仕込まれてる。

琥珀色に少し赤みが差したような色合いでディスクも少し厚め。粘性は中程度。香りはアーモンド、干し柿、シナモン、オロロソシェリー、セメダインのような工業系の香りも感じられる。

口に含んだ瞬間の酸は控えめで、しっかりした渋みを感じ、その後一呼吸置いて太い渋みと共に熟した丸みのある旨味が広がってくる。樽の要素が強く感じられ、色合いほどに粘性はなく、意外に細身のスレンダーな味わい。11年の年を経ているせいか、雑なところがなく、均整のとれた密な構成。中盤から後半にかけて広がる甘みと渋みの不思議なコントラストも個性的。

余韻は最後まで太く座る渋みが味わいを引き締め、そこに旨味が覆うような味わいが残り、繊細かつ堂々とした後味を展開しつつ引いていく。

色合いから予想したのとは違って酒質はさらっとしていたが、味わいは樽からくる渋さが全体を引き締めつつ、メリハリの効いたものだった。しかし、それでいてそれぞれの要素が勝手に主張せず、全体の調和を保っていたのは、11年を経て呑みごろになっているからなのだろう。こういう美味しいワインが眠っているのだから、フランスの地方ワインも奥深い。

【Wineshop FUJIMARU 2,000円?】

2013年5月25日 (土)

ドメーヌ・ド・レーグル・ア・ドゥー・テット コート・デュ・ジュラ プールサール2010 AOCコート・ドゥ・ジュラ

130525jura最近は少々おとなしくなったものの、土着品種への偏愛が衰えたわけではない。むしろイタリアに関しては以前ほどではなくなったが、その分フランス、スペインなどにある、土地由来で細々としぶとく生き残ってきた品種に興味が向きつつある。

スイス国境に近い山間のジュラ、ここはフランスワインでは決してメインストリームにある場所ではない。ブルゴーニュでは村ごとに細分化されているといってもいいAOCが、コート・デュ・ジュラではなんと約160村にまでまたがっているというほど大雑把なくくりに甘んじている。だから、この地区では生産者によっておそらくは品質もまちまちなのだろうが、その生産者の情報も乏しいのだから、買うのには相当の勇気が必要だ。

だからこのワインを選んだのも、まずはジャケ買い。ジャケットに描かれた双頭の鷲は、ハプスブルク家の紋章だがその中には良く見ると5つのブドウ。これはこのドメーヌ、その名もまさに「ドメーヌ双頭の鷲」があるジュラ地方由来の5つのブドウ品種、赤はプールサール、トルソー、ピノ・ノワール、白はサヴァニャンとシャルドネを表している。そして、このワインに用いられているのはプールサール。アルボア地区ではプピヤンとも呼ばれる品種だ。

色はロゼと言ってもいいくらいに淡い、ザクロの種のような明るいルビー。香りはストロベリー、ミント、ハッカキャンディー。

口に含むと伸びのある鮮烈な酸味が飛び込んでくる。その直後に予想外にしっかりしたタンニンの渋みが感じられ、それを越すと一転、滋味持った若いベリーの甘酸っぱさが穏やかに広がってくる。中盤から後半にかけてフレッシュな酸と、少し荒っぽいタンニンが不思議なボリューム感を産み、野太さを感じさせ、他の地域には感じられない個性的な味わいを形成する。

最後は透明度の高いベリーの甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、その後少し粘っこさのある旨味がどっしりと座りながら長い余韻を形成していく。

色とは対照的に味わいの要素がしっかりしており、しかも濃い印象を与えるのが意外だった。この鮮烈な酸と太いタンニンの調和、結構好きな人はいるかもね。あまり広く接する機会がないのは残念かも。

【エノテカ グラン・フロント店 3,000円?】

2010年2月27日 (土)

ドメーヌ・レノワー スキャマンドレ2004 ACコスティエール・ド・ニーム

100227scamandre北新地のカーヴ・ド・ランジュは仕事場からの帰宅に寄れて、23時まで開いていて、しかも試飲もできるという願ってもないショップだから、最近実店舗で立ち寄る頻度が一番多い。充実しているのはブルゴーニュの上級キュヴェだが、手頃な価格帯のワインも扱っている。

今回はロゼの試飲会の時に立ち寄った際に購入した、南仏のワイン。新着の品でどれがお勧めかな、と聞いたときにこれが出てきた。ラベルがアートっぽく良い感じで、ラベルにつられた面もあるが、実はこれがある意味正しかった。

フランス南西部、コスティエール・ド・ニームでフランク・レノワー、ステファン・ビュレー、ピア・マリー・ブリッソンという3人が2000年に興したワイナリーで、2003年が初ヴィンテージ。http://www.fwines.co.jp/lineup/winery/fr_languedoc02/index.html

セパージュはシラー50%、カリニャン30%、ムルヴェードルとグルナッシュが10%ずつ。

このブリッソン氏が元々この地に住んでいてアトリエを構えているアーティストで、このラベルを担当したのだそうだ。こういう土の香りがする素朴なアートが自分は大好きで、ラベル買いしたワインにはずれなし、の鉄則があるのだが、さて?

色は焦げた色調を全体に帯びていて、色素量が詰まっている落ち着いた色合いのルビー色。曇った色合いで、フィルターをかけていないのだろうか。香りはカラメル、黒砂糖、鉄錆、乾燥イチジク、タールのような重い香りもバックに感じられる。

口に含むと意外なほど自然で滑らかなバランスの良い味わい。しかし時間をおくと味わいの要素が広がってくる。酸はまろやかで、旨みのきれいな果実味との調和がとれている。タンニンは細かく繊細だが、ボリューム感は中程度。もう少し下支えする感じがあった方が、グリップが強くなって良いとは思うのだが。全体にシラーらしいスパイシーさが表現されつつ、それをあまり強くなり過ぎないようカリニャンがコントロール、旨みとコクをムルヴェードルとグルナッシュで補うコンセプトだろうか。

余韻は熟したベリーの旨みがきれいに伸びて、そこにスパイス、鉄、土といった香りが包み込み、落ち着いた心地にさせながらゆっくりと引いていく。

初ヴィンテージから2年目でこれだけ充実したワインを作り上げるのには、正直驚いた。品格も感じさせながら、南仏らしい土地からのニュアンスも忘れない、とてもよくできたワインだと感服。Good JOB!

【Cave d'Orange 3,100円】

2010年2月 3日 (水)

マルセル・ラピエール ル・カンボン2007 ACボジョレー

100126 ガメイというブドウは気の毒なブドウ品種だ。言わずと知れたボジョレーのブドウだけど、それ故にかなり低い評価に甘んじている。

歴史的にもかつての中世フランスで、時のブルゴーニュ公がこのブドウを「収穫量が多くて品質の低い、忌まわしきブドウ」と言って栽培を禁止したということが伝えられている。

そんなガメイにも情熱を傾けている造り手はいる。有名どころでは帝王と呼ばれるジョルジュ・デュビュッフがそうだが、マルセル・ラピエールも負けてはいない。フランス自然派の巨匠であり、自然派と言うと名前がすぐに上がるフィリップ・パカレも彼の甥だ。このワインはラピエールが良い年だけに醸すキュヴェ。

色は明るめだが質感があるしっとりとしたルビー色。香りはスミレ、ブルーベリー、カモミーユ、黒オリーブ、若いボジョレーにあるバナナの香りはあまり感じない。

口に含むと、酸のボリュームはあまり感じず、柔らかい甘い果実味を豊かに感じる。アルコールは豊か。タンニンは控えめでまろやかだが、全体のバランスがよく揃い、角の立たないきれいな酒質が中盤まで続く。

余韻は最後に底力を示す存在感あるタンニンが、柔らかな果実味と相まってきれいな旨みを残しつつ、ゆっくり引いていく。

パンチと言うか、インパクトは最初感じないけれど、後々になって滑らかさ、きれいな旨さが引き立ってくる。そしてこれがガメイなの?と思わずにはいられない品の良さ。ブドウ品種のポテンシャルを引き出す造り手の見事さに感服だ。Good JOB!

【リカー・マウンテン 2,600円?】

2010年1月30日 (土)

トートワーズ・クリーク レ・ザムルー カベルネ・メルロー2008 ヴァン・ド・ペイ・ドック

100123tortoise_2デイリーワインで何飲んでいるかと言うと、やっぱり千円台の軽いワインが気軽でいいです。しかもいつ行っても売ってるところが楽でいい。

このワインもそうした一つ。フランス南部の地酒、ヴァン・ド・ペイ・ドックのワインで、愉快なカメのラベルもなかなか味がある。このワインはカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの混醸、いわばボルドー・タイプのワインだが、ボルドー物よりも果実味がありつつ、南にありがちな甘さのくどさが抑えられて、とてもバランス感覚に優れたワインだと思っている。

色は艶やかで華やかさを感じさせる明るめのルビー色。香りはカシスリキュール、チョコレート、タバコ、アメリカンチェリー。熟したベリーの香りを強く感じる。

口に含むと酸と果実味のバランスがよくやってくる。酸はしっかりしていて伸びがあり、口の中を一旦クリアにした後で、力強さは中程度だが重心の低い引き気味のタンニンが落ち着きをもたらす。

余韻はほのかな甘さと共に、細かな渋さの感覚が優しく残り、中くらいの長さを保つ。

千円代、場合によっては千円を切って売っている店もあるようだが、その価格帯でこれだけきれいな味わいを持って、しかも旨みも乗っているワインはそうないと思う。もしブラインドで出されるとそこそこいいボルドーとたぶん間違えちゃうんじゃないだろうか。そんな妙な自信のあるワインです。

【いかり大阪駅店 1,260円】

2009年10月 3日 (土)

ジャン・ミッシェル・ラグイブ マズィエール NV ヴァン・ド・ターブル・フランセ

091003 フランスワインの最下部にランクされるヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)。イタリアであれば、いろいろな制約を嫌ってわざとこのカテゴリーで出す、スーパー・テーブルワインが存在するが、フランスでは稀だ。やはり厳格で理屈っぽい事が好きなフランス人のお国柄なんだろうか?

しかしフランスにもそうしたカテゴリーの枠にはまらないワインは存在するようだ。このワインは南フランス、ピレネー山脈の北、スペイン国境の地でグルナッシュ・ブランから作られるワイン。100年前と全く変わらない方法で作られているということだが、実際にはどんな方法なのだろうか?

色はくすんだ質感の強い、飴色を帯びた湿った麦藁色。香りはニッキ、べっ甲飴、みたらし団子、酸化した蜂蜜、アップルパイのような甘さを感じる香り。

口に含むと、最初の酸は控え目でまずシロップのような甘味がやってくる。しかしその直後に隠れていた温かみのある酸がその甘みをキャッチするように現れ、野放図に甘さが口の中に広がることを抑止する。おおらかだが、ちゃんと抑制の利いたボディ。中盤は、序盤の味わいとそれほど変化することはないが、心地よい甘みがふくよかさを増して口の中に漂い、カスタード系のお菓子を食べている時のような印象を感じさせる。

余韻は最初のボリューム感に比べるとこじんまりとしているが、酸化熟成のニュアンス、デザートを食べた時の食後感のような味わいがきれいに残り、やさしい旨みをたたえつつゆっくりと引いていく。

甘いだけではなく、やさしい酸がうまくこの南のワインのバランスを保っている。複雑さよりも大地の恵みをそのまま醸したような安堵感にあふれた、まさに地酒というフレーズがふさわしいワインのようだ。

【Wineshop FUJIMARU 3,500円?】

2009年9月 4日 (金)

マ・ド・ジャニーニ ル・タン・デ・ジタン シラー NV ヴァン・ド・ペイ

090812gitanssyrah ラベルでワインを判断するのもどうかと思うんだけど、このラベルはどうだろう?いいおっさん二人が腕を組んで、一人は楽器を弾き、もう一人は歌を歌っているんだろうか、楽しげにブドウを踏んでいる。

ラベルからもわかるように、このワインはビオワイン。ラングドック地方でビオディナミ農法による古木のブドウからワインを造っている。この生産者のワインとしては色違いの赤のラベルの方が有名だが、そちらのブドウはカリニャン。こちらはシラー種によるものだ。以前カリニャンのワインも飲んだが、イチゴのような果実味が充満した味わいだった。シラーはどうだろう?

色は明るめのルビー色で、周縁部は色が薄め。香りはデラウェア、カシスジャム、グミ、風船、ゴム、黒コショウの香り。スパイシー感よりも、ジャムのような甘さを伴った果実の香りが強い。

口に含むと、思いのほか穏やかで酸味も控えめ。味わい自体も序盤は抑えたものだが、ゆっくりと若いベリーの熟す手前の果実味が立ちあがってくる。ボリューム感は小さめで、ラングドックのワインとしては軽めの仕上がり。スムースな飲み口で軽快な味わいだが、若干インパクトに欠ける感は否めない。あまり膨らみ、起伏が感じられないので、飲み心地は悪くないけどどうもひっかかりが弱いのだ。

余韻もそれほど強くなく、序盤からあまり変わる事なく展開してきた若い果実味主体の味わいがゆっくりとそのまま減衰していく。余韻の長さは中より短い程度。

価格を考えれば、十分に良くできていると思うし、詰まった果実味もある。何よりスムースで自然な飲み心地は飲んでいて気持ちがいい。でも、シラーとして考えるともう少し力強い、記憶に残る荒々しさが感じられた方が好みなんだけどね。

【大丸梅田店 1,500円?】

2009年8月29日 (土)

シャトー・デ・ゼサール ブラン2008 AOCベルジュラック・セック

090812 夏になると、少し青っぽい食べ物がおいしくなる。ナス、キュウリetc...夏野菜はどれも香りが命。

ワインだってこの季節は清々しい香りを持ったものがいい。そうなると、やはり最初に選択肢に入ってくるのはソーヴィニヨン・ブランってことになるだろうか。あの独特の、セロリのような青さを感じさせるワインが何とも夏らしい。

このワインはソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのセパージュで、ボルドーと同じだが、フランス南西部のベルジュラックで作られるワインだ。石灰質の土壌による畑で作られ、ステンレスタンクでの低温発酵により作られている。

色は少し乾いた印象の、枯れ始めた麦藁色。香りはセルロイド、ニッキ、熟れたバナナ、ミント、白ネギ、甘さを感じさせる香りのバックに程よくハーブ的な青い香りが底支えしている。

口に含むとボリューム感、少し貴腐感もある甘みが感じられるが、けっしてしつこくなく、その直後にさわやかでまろやかな酸がうまく包むように広がって、味わいをまとめる。その酸とともに、ソーヴィニヨン・ブランらしい青い香りがふんわりと鼻腔まで上がってきて、とてもさわやかな心地が感じられる。この地方のワインは普通なら甘さが舌にまとわりつく感じが取れず、kグラスを重ねる気が失せてくるのだが、酸がしっかりあるので不思議と飲み飽きがしない。

余韻はボリューム感が収まった後に残るしっかりとしたミネラル感が味わいのメリハリをきっちりと印象付け、そして最後には再び抑制されつつもトロピカルさのある甘さが戻って収束する。

ボリューム感とフレッシュ感が同居する、よくできたワイン。南のワインはボリューム感が先行するワインが多いけど、このワインは酸もしっかり活きていて、北のソーヴィニヨンのニュアンスも残している。いわばひと瓶で二度おいしいワイン?Good JOB!

【大丸梅田店 1,500円】

2008年12月 4日 (木)

ドメーヌ・ロレ レトワール シャルドネ 2003 AOCレトワール

081201_4  歳とったな、と感じること。怪我の治りが遅くなったこと、白髪が多くなったこと、そして味覚が変わったなと思うこと。

このワインもまた、そうした歳月を感じるワインとなった。産地はフランスのジュラ地方。スイス国境のこの地方は今でこそ決してメジャーなワイン産地ではないが、かつてフィロキセラという害虫がヨーロッパのブドウに壊滅的打撃を与えるまでは、この地方はフランス有数のワイン産地だった。

そんな地域のワイン飲み始めの頃に飲んだことがある。そのシャルドネの記憶はひどいものだった。ヒネたぬか漬けのような香りが鼻について、とても飲めずに諦めた。しかし時を経た今、そんなワインに再び対峙する時、どんな思いを抱くものなのだろうか。

「l'etoile(星)」という夢のある名前を持つAOCから生み出される白ワイン。この地では「vin joune(黄ワイン)」と呼ばれる独特の風味を持ったサヴァニャンという品種によるワインが有名だが、このワインはシャルドネ100%。そしてドメーヌ・ロレはこの地域では大手の近代的な設備を備えたドメーヌだ。

色合いは艶があり、表面の照りも張りがある硬質な薄黄色。香りはシナモン、ハッカ、セメダイン、松ヤニ、ミントガム、シェリー酒のような酸化熟成香が強い。

口に含むと最初まろやかに感じるが、直後に突き刺さるような直線的酸が広がり、その後にエスニックな香辛料の香りとシェリーの味わいが膨らんでくる。この酸化熟成の味わいがなんとも心地よい。そしてベースにある程よい甘みを感じさせる旨みに繋がっていく。その旨みは懐の深い奥行きのある味わいだが、けっしてもたつきはなく、案外すっきりした後味へと自重しつつ展開する。

最後の余韻はほろ苦さを伴いつつ、まさしくシェリー、オロロソのような後味、放置して酸化したリンゴのような酸味も感じさせる。そんな複雑な味、香りの要素が絡み合いながら、長い余韻を演出していく。

適度なボリューム、そして酸化熟成の味わい、かつての上質のブルゴーニュはこんな味だったと思う。今ブルゴーニュで失われつつあるものが、今でもこの辺境の地では生きている。そしてかつては嫌悪した風味も今はいとおしく感じられる。年月というものもまたワインを味わうエッセンスとして重要なものなのかもしれない、そんなセンチメンタルなものを思わせてくれるワインだった。

【ジェロボアム 3,000円】

2008年8月24日 (日)

ドメーヌ・ド・モンラベッシュ ヴィオニエ ヴァンド・ペイ・ドック2006

080824_4 で、5大シャトーを飲んで陶酔しきったワイン酒屋mistaなんだけど、その試飲で一番印象に残ったのは、実はこのヴァン・ド・ペイのヴィオニエ。試飲価格はなんと30円で、一番最初に飲んだのだが、そういったこともあるのかもしれないけれどもかなりインパクトが強かった。この価格で、これだけヴィオニエのいい所を引き出しているとは!

試飲価格30mlで30円だから、25杯取りとして750円。そしてその通り、ボトル価格はこのブログに紹介したワインでは最低価格の630円なんだけど、本当に立派な質を持っていると思う。安酒のヴィオニエにありがちなお化粧くささ、甘ったるさ、野暮ったさが感じられない。それでいて特色であるほろ苦さがしっかりあるのだ。これはボトル買いしてゆっくり楽しむべし、と迷わず購入。

色は薄めで全体に緑がかった黄色。香りは甘くヨーグルト、乳酸飲料、クレヨン、ジャスミン、ライチの香り。

口に含むとまずはするっと入ってくるまろやかな酸。その後にしっかりしたほろ苦さが広がる。そしてその苦さが口の中に行き渡った時点でドライだけれど程よい甘みを伴った旨みが伸びてくる。凝縮性はさすがに少ないが、くどさ、押し付けがましさは微塵もない。このしっかりした苦味があるので、「水のようにするするいけるワイン」とは一線を画している。飲んでいても一瞬、口の中に留まる感覚を引き起こす。噛ませるワインと表現できるだろうか。ただ飲料水のように飲み下すのでなく、一度は口の中で含ませて反芻(?)させるだけの主張を持っているのだ。

余韻もきれいで、程よい甘さの感覚と共に底力のある苦さとふんわりとした白い花を思わせる香りが広がり、割合長めに漂っていく。最後まで楽しませてくれる力を持っているようだ。

コンドリューやカリフォルニアのような凝縮性はないが、凡百の厚化粧的ヴィオニエに比べればなんて好感の持てるワインだろうか。600円でこれだけ楽しめるヴィオニエがあるとは、恐れ入った。これだけ安いとこのご時勢、農家はどれだけ苦労しているんだろうと余計な心配を思わずしてしまうほどだ。最近の高値主義を反省するワインともなった。脱帽です、Great JOB!

【ワイン酒屋mista 630円】

2008年5月24日 (土)

ドメーヌ・ボールナール アルボワ・ピュピヤン ラ・シャマード2005 AOCアルボワ

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イタリアほどに注目は集まらないけど、どっこい、フランスにも土着の品種はいくらでもあります。特に国境地帯、頑固(?)な生産者が信念に基づいてブドウを作っているような場所にあっては。

フランス・アルボワ。スイスとの国境であるジュラ地域で作られるこのワインの品種はプールサール種。この品種は発芽が早いので、高原地帯であるこの地域を時折襲う春の霜に弱い。そして収量も多くないので、難しい品種とも言える。

しかしそんな品種だからこそ、生産者が大切に扱って、その結果いいワインが生まれるというものなのだろう。放っておいても育つような場所から素晴らしいワインが生まれないように。

フィリップ・ボナールは元々この地域の組合の醸造責任者だったが、1988年に独立し自らのワインを手がけはじめた。少人数のスタッフと共に収穫は手摘み、畑で選果、ビオ・ロジック農法を実践している。

このワインに用いたプールサール種のブドウは樹齢45年。ステンレスタンクで3週間の長期マセラシオンの後、自然酵母で5週間の発酵を行う。

色は薄めの明るいルビー色で、若干のくもりを感じさせる。エッジは薄め。香りはストロベリージャム、赤いバラ、ドロップ、アメリカンチェリーなど、甘酸っぱい感じの香り。ベースに若干の鉛筆、湿った土のような香りも感じさせる。

アタックの酸はそれほど強くなく、案外にまろやか。中盤は殆ど残糖を感じさせずクリアな味わいで、タンニンも強くはないが、このワインを形作る上での質感はしっかりと感じられる。そして舌の先端から中央付近で展開した味わいが徐々に表面を包み込んでいくかのような感覚。果実味のボリューム感も大きいとはいえないが、飾りのないじんわりとした優しさが伝わってくる。

余韻はパワフルではないが、きれいな旨み成分が口腔を満たし、小さな花のような微かな香りを伴いつつ、柔らかに引いていく。

主張するほどの特徴はないのかもしれないが、口に含んだときの優しさ、そして最後まで微塵の刺々しさを感じさせない柔らかな作り。この優しいワインを楽しむためには穏やかな時間が何よりも必要なのかもしれない。落ち着いてワインと対話できる環境と共に。

【Wineshop FUJIMARU 3,490円】 

2008年5月18日 (日)

JLF ニャンニャン VDT NV

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ワインに限らず自然派、ビオって言葉はかなり宣伝文句になる。確かにピュアな果実の旨みとか、飲みやすさ、少しガスを含んだ軽やかさが感じられるが、一方で独特の香り、刺々しさもあって必ずしもビオ=いいワインという方程式には納得しかねる思いだ。

それでもやはりビオワインを飲む機会が多くなっているのは、生産者がそうした回帰志向、薬品に頼らない本来の土の力、自然の力を最大限に生かした生産に注力している結果なのだろうと思う。

そんな自然派の中にあって、最先鋭ともいえる3人の生産者が力を結集したデイリーワインが出た。その名も「ニャンニャン」。

JLFのJは「新井順子(J.A.)」、Lは「レティシャー」、Fは「フレデリック・コサール」からとったもの。そして「ニャンニャン」はブドウ品種カリニャンにちなんだ名前だ。

新井順子氏はロワール、フレデリック・コサール氏はブルゴーニュが本拠、だからこの南仏由来の品種からなるワインは南仏に本拠を置くレティシャー女史によるものだ。それをコサール氏が醸造責任者、新井氏がプロデュースしたコラボレーションの結果だが、さて?

色は濃厚で落ち着きのある暗めのルビー色。香りはブラックペッパー、スモーク香、湿り気のある革、プラムの香り。

アタックは微かに舌先をくすぐるガス、そしてピュアな絞りたてのブドウの甘いジューシーな旨さ、その後にまだ粗いゴツゴツした収斂感がやってくる。アルコール感はあまり感じず、若いブドウジュースを飲んでいる感じだ。

中盤から余韻もそれほど膨らみは感じず、序盤の若さがそのまま並行していくような感じで、ただ若々しい好感の持てるブドウ本来の甘さを展開していく。最後に残るやさしい果実の甘さも心地よい。

お酒というよりも、ブドウの味わいを素直に表現したような製品になっている。カリニャン自体はブレンド、大量消費用の品種としてあまり重要視されてこなかったが、そんな品種も造り方次第で魅力を表現できることが十分理解できるような作りだ。でもワインとしてはどうなんだろうか。お酒っぽくないので、ガブガブ飲めてしまうから後が怖いかも。

【mAAn 1,800円?】

2008年2月19日 (火)

シャルドネ テロワール・デ・ディノソール2005 ヴァン・ド・ペイ・ドック

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フランスワインなんだけど、らしくないラベル。その名も「恐竜の大地」。南フランスのこの地にはかつて7000万年前、恐竜アンペロザウルスがいたそうだ。体長20mのこの恐竜の化石が出てくることもあるのだとか。

そうした化石も見つかる赤土の大地からこのワインが生まれる。ヴァン・ド・ペイということだが、生産者はいたって本格的なワイン作りを行っており、農薬を極力使わないリュット・レゾネ農法を実践、品種は土地のポテンシャルを確信して白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールを栽培している。

色は枯れた感じのある麦わら色。黄ばんだ紙のような印象。香りはヨーグルト、白いドロップ、チューインガムの香り。

最初の飲み口は程よい酸と甘さを感じ、その後で舌の表面から奥へとしみこむような塩っぽさ、ミネラル感を感じる。程よい味わいは、南仏にありがちな甘ったるさを感じさせない。まとまった控えめな味わいは飲んでいても心地よく、飲みあきない。

懐の深さといったような要素には欠けるが、それはこのワインの魅力を損ねるものではない。あくまでクリアでやさしいのみ心地、ステンレスタンクで発酵しているのではないかと思うが、この清涼さこそがこのワインの持ち味であり、そこに加わるミネラル的味わいとのバランスも素敵。

余韻もほっこりした塩っぽさが口の中に温かみを残してくれる。

クリアだけど後味はほっこり、洗練上品とはまた違った魅力を十分感じさせてくれるワインだ。アンペロザウルスは草食獣だったようだが、そうしたイメージにふさわしく落ち着いた味わいで、ラベルもとても愛らしい。この価格にして十分な旨さをたたえている。Good JOB!

【Cave de Terre淡路町店 1,200円?】

2008年2月 2日 (土)

トートワーズ・クリーク メルロー・カベルネ2006 ヴァン・ド・ペイ・ドック

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帰りが遅くなったときによるのはまず第一が成城石井。ここは遅くなるとお惣菜が割引になるのでうれしい。その次は普通のコンビニ。そしてず〜っつとさがっていかり。高級食材かどうか知らないけど、単品が高いんだよね。

ワインもいろいろあるんだけど、寄ること事態が少ないので買うこも殆どない。この日はたまたま気が向いたので寄ったついでに安いのを1本。

フランスにしてはえらく軽い雰囲気のカメのイラストが目立つ。産地は南フランス、オック地方のヴァン・ド・ペイ。このヴァン・ド・ペイは安いんだけど質もまちまち、当たるも八卦、当たらぬも八卦の世界。

このワイン自体はアメリカのワイン雑誌、「ワイン・スペクテーター」でも高評価を受けている。ただこの雑誌、かなり業界寄りの評価をするという批判があるだけに、そこは注意が必要。

香りはカシスリキュール、プラム、チューインガムの香り。アタックは粗めのタンニンと濃厚なベリーの味わい、しっかりした酸が同時にやって来て、口の中ではじける。舌の横が絞られるような感覚を覚える。最初の味わいからすると、中盤は思いのほか細い印象。果実味は比較的早く収まってしまい、酸とタンニンが口の中に取り残されてしまう感じだ。

余韻はあまり強くはない。タンニンの感覚と酸味が口の中に漂いつつ、次第に消えていく。

最初の果実味はなかなか厚みがあって飲みごたえを感じさせる。しかし後半の物足りなさは否めない。ただし千円で買えるワインとしては十分な味わいがあるんだから、あまり厳しいコメントをするのは野暮ってものかもしれないな。

【いかりJR大阪店 1,155円】

2008年1月27日 (日)

フランジー2006 AOCルーセット・ド・サヴォア ドメーヌ・リュパン

Mexhsbta フランスでもあまりお目にかからない地域の代表格、サヴォア。チーズではトム・ド・サヴォアで有名だけど、そこで生産されるワインは殆ど売り場に出てこない。かろうじて「黄ワイン」、ヴァン・ジョーヌくらいだが、それは高価。

そんな中で比較的安価なこのワインに惹かれた。産地はルーセット・ド・サヴォワ。白ワインのみのAOCで、ブドウはアルテッセ、ルーセットとも呼ばれる品種。原産地はキプロス島らしく、中世の時代にこのフランス・スイス国境地域に持ち込まれたという。

色は茶色のニュアンスを帯びた黄色。枯れ始めた麦わら色のようだ。香りはリンゴ、銅、ヨーグルトの香り。若干酸化熟成的な香りもある。

アタックはリンゴジュースのような適度な酸と、コクと塩っぽさが同居する旨み感がある。柑橘系の苦味もしっかりあり、いろいろな味わいの要素を感じることが出来る。

中盤はすこし平板な感じはあるが、溶け込んだ旨みが舌の表面一杯に広がる。余韻に現れる無骨だがしっかりした苦味と金属質な堅さが普通のワインとは違った趣で、なかなか面白い。

洗練さとは違うが、旨みとコクが詰った味わいには好感が持てた。こんなワインが入ってくるんだから、インポーターの人の中には物好きな人も多いなと思う。それを買うほうも買うほうだけど...

【mAAn 2,000円?】

2008年1月19日 (土)

ヴィオニエ2006 ヴァン・ド・ペイ・ドック ドメーヌ・カザル・ヴィエル

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週末風邪をひいて、ようやく持ち直してきた。最近えらく差寒い日が続いたので、暖房をかけたまま寝たのがいけなかった。のどを痛めてそこからやられた模様。皆さん注意してください。

ようやく飲める体調にはなってきたが、まだ鼻が利かない。特に飲むと血行が良くなって、鼻づまりがひどくなるんだよね〜。だから今回は香りのコメントはナシです。

でもヴィオニエだからいい香りなんだと思う。このワインは南仏ラングドック、サン・シニャンという地域で栽培されているヴィオニエから作られた。本来この地ではシラーによる赤ワインが多く作られているんだけど、ヴィオニエも最近はかなり人気だ。ただ、暑い地域で作ると元々酸が乏しい品種だけに暑っ苦しいだれたワインになりがちだが。

飲むと思いのほか酸がしっかりと感じられる。そのあとはヴィオニエに特徴のほろ苦さ、そしてその苦味がアクセントとなって甘さと柔らかな旨さを引き立たせてくれている。

余韻は心地よい苦味とやさしい甘さが心地よく、長さはそれほどではないが軽やかで爽やかな旨さを十分に感じさせれくれる。

ラベルが中世の写本のようで味がある。こういう凝ったラベルも最近なかなかない。それ以上にヴァン・ド・ペイのヴィオニエにありがちな行き過ぎた幸水の香り、鈍重な甘さとは全く無縁の旨さに感動。これはうまくできてます。

【Cave de Terre淡路町店 2,000円】

2008年1月17日 (木)

ル・ルージュ・ド・ラゼロール2005 ミネルヴォワ レイモン・ジュリアン

2ojpvdkc フランスワインもイタリアほどではないがマイナー的な品種は結構ある。それを探すとなればまずは南フランス。

しかし名前が知られていない事と、栽培面積は決して比例しない。フランスで最も多く栽培されている品種は今でも白はユニ・ブラン、赤はカリニャン。日本人にはいずれも殆どなじみのない品種で、大量生産に向く収量の多い品種だ。

サンソーもまたかつてはそうした大量生産向きの品種として南フランスで栽培され、かつてはフランス第4位の面積を誇ってもいた。

レイモン・ジュリアンはミネルヴォアの栽培家で、伝統はあるが評価は低いこうしたカリニャン、サンソーを用い、極力化学肥料を使わないリュットレゾネ農法、昔ながらの樹の枝を組み合わせて作ったフィルター、年代モノの圧搾樹の使用など、端から見たら?と思える伝統的醸造法でワインを作っている。このワインはサンソー100%で、かなり珍しいワインだ。

色は濃厚で深みのある煮詰めたジャムのようなルビー色。香りはかなりスパイシー、粒胡椒、スモークチップ、ビターカカオ、ビーフジャーキーの香り。かなり獣的な香りだ。

味わいはまず甘酸っぱい果実の酸味を感じ、その後で凝縮した甘さがやってくる。しつこさはなく、まとまりのある穏やかな甘みだ。タンニンも充実しており、ほどよい苦味と果実の甘さのバランスが心地よい。中盤の膨らみは大きくないが、自然で快活な果実味が十分に詰まっている。酸がしっかりとあるので、味わいが引き締まり決してダレない。

余韻は柔らかで繊細なほどよい甘さが口の中に残り、心地よい。

全体に果実味が緊密なよくできたワインだと思う。サンソーという品種のポテンシャルを信じた醸造家がその秘めた力を十二分に引き出した例と言っても言いすぎじゃない。ホントにうまいわ、このワイン。Good JOB!

【阪神百貨店 2,300円?】

2007年11月 8日 (木)

レ・カルシネール2005 ドメーヌ・ゴビー

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昨日はアンフォラさんの所でも話していたのだけど、フランスワインに限らず、全体にワインが高くなっている気がする。航空運賃やユーロ高もあるのだけれど、一番効いているのはやはり蔵元、というかワイナリーの蔵出し価格自体が高くなっているようだ。

そんな中でまだまだ探せば安くておいしい物は手に入るはず。ボルドーやブルゴーニュが難しいとなれば、まだまだ未知の土地、スペイン国境なんかはどうだろう?

この白ワインはヴァン・ド・ペイ・デ・コート・カタラン。カタランとはすなわちスペインではカタルーニャだ。カタルーニャに連なるこの地で最近特に名声が高まっているのがドメーヌ・ゴビー。彼もまたビオ・ディナミ農法の信奉者だ。

その情熱は自らの畑を細分化し、それぞれの環境に合わせた手入れをする労力を惜しむことはない。そしてこのワインはそのような地からミュスカ50%、シャルドネ30%、マカブー(マカベオ)20%のアッサンブラージュで生まれる。

色は緑の色調を帯びる黄色。香りはライム、マスカット、青草、ミントの香り。青さを感じるさわやかな香りだ。

アタックの酸は意外にまろやかで、レモンよりもライムに似た酸だ。青さを感じさせるさわやかな酸。そして柑橘系の果実の味わいと、塩っぽさを感じる。先ほどの酸とドライな果実味、程よいミネラルさがうまくバランスしている。

余韻は強くはないが、青い果実の香りと味わいがふんわりと口の中に残っている感覚が穏やかに続く。

南仏ワインはその恵まれた気候ゆえに放っておいても味わいの強い、悪く言えばべったりした味わいのワインになる。そんなワインも多い中で、このワインはそうした鈍重さに陥らず、軽やかでさわやかな味わいを保っているのは作り手の努力によるものだろう。知らなければ南仏のワインとは思えない、みずみずしさを感じさせる爽やかワインだ。

【Wineshop FUJIMARU 2,830円】

2007年10月11日 (木)

キュヴェ・ロリジナル2005 クロ・ド・ロリジンヌ

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ワインをラベルだけで選ぶなら、やっぱイタリアワインかな。シンプルながらデザイン感覚にあふれたラベルはかっこいい。フランスにもクールなラベルはあるが、時たま「こいつ、売る気あるのか?」と思うようなものも。

このワインもそんなものの一つ。この「タコ」おじさんに惹かれて買う奴が果たしているのだろうか。ま、これ書いてる本人はそうなんだけど。

実はこのラベルの人物こそ、このワインの産みの親マーク・パリオ氏。彼が南フランスに開いたワイナリー、クロ・ド・ロリジンヌでは土地の持つ力を最大限に生かすため、ビオ・ディナミ農法とロバによる耕作を実践している。

このワインは樹齢33年のミュスカ・プティ・グラン50%、同100年のマカブー48%、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリから作られる。マカブーはスペインではマカベオとして白ワインの主要品種だ。さて、どんなワインか。

色は以外にスッキリした緑がかった黄色。つややかで照りもある。香りはターメリック、香辛料、月桂樹、ドライハーブの香りが豊か。

アタックは思いの外するっと滑らかに入ってくる。その後まずは厚みのある酸を感じ、それが収まると口の中を引き絞られるかのような苦味、そして柑橘系の果実味が徐々に立ってくる。そして最後にはトーストのような香ばしさが口の中に残る。しっかりした苦味成分は余韻まで後を引く。

南仏ワインだが、酸はきっちり乗っているし、味わいのボリュームもある。ただ展開する味わいは悪く言えばガサツ、よく言えば奔放だ。飲み手が理解する間を置かずに次へ次へと走り去る。

でもそれを含めて面白い味わいのワインだと思う。フツーに飽きた時の牽制球的な使い道をすると面白いかな。このタコボーズも眺めてると結構可愛く見えてくるのは僕だけか?

【ワインショップ ラ・テール 3,200円?】

2007年9月30日 (日)

ヴァン・ド・ペイ デュ・ピュイ ドーム ピノ・ノワール・ブラン(NV)ヴァン・ド・カリエール

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ボルヴィックと言えば絶対思い出すのがミネラルウォーター。スッキリした水で、あまり個性は感じないので僕はあまり飲まない。同じフランスならエヴィアンの方が好き。

そんなボルヴィックで生産されるワインがあった。ボルヴィックはフランス中央部で、ワインの生産地としては著名なところではない。このワインもAOCではなくヴァンドペイだ。しかし品種はなんと白にも関わらずピノ・ノワール。しかも自然派ワインだそうだ。

この生産者はこの地で昔から酪農とともにブドウの生産、醸造も行っていて、酵母は野生のもの、醸造法は難しいことなしの昔からの方法で行っているそうだ。果たしてどんなワインなのか?

色はセピアを帯びた濃い目の薄茶色。香りは花梨、ニッキ水、ハッカキャンディー、幸水ナシ。甘い香りだが、すこし酸化した香りがする。

アタックは柔らかで、酸はあまり強くない。シロップのように舌触りがヌルッとした感じだが、粘着性はない。その後穏やかな甘さとほろ苦さが口の中に広がる。酸が穏やかなため味の焦点が定まらないきらいはあるが、ジワッと広がる素朴な味わいはなかなか他のフランスワインにはないものだ。

余韻はやさしい甘みが口に残るが、酸に乏しい分余韻のキレの良さは若干欠ける点がある。

未開の産地のワインは洗練されたすっきりしたワインでは決してなかった。でも香りも味もなかなか個性的で、たしかに素朴な味わいがしんなりと体にしみこんでくる感覚だった。こんなワインが入ってくるんだから、自然派ブームもたいしたもんだ。

【ワインショップ・グラシアス 2,500円?】

2007年9月 6日 (木)

ラングロール ニュル・パール・アイユール2006

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やっぱ「限定!」「ここしかない!!」ってものには弱いなぁ。ワインにもそんな感じの限定キュベのようなものがたまに出回っていたりする。

このワインの名前もまさしく「他にはない」って意味。ラベルの真ん中にあるトカゲの下、赤い丸は「日の丸」を表しているんだそうだ。このワインは最近南フランス、ラングドックで注目を集める生産者、ラングロールが手がけた日本限定のワインだという。

このワインを生んだ畑は樹齢110年という古木を有する畑から生まれた。このワインを手がけたエリック氏の持論は、「痩せすぎるほど痩せた土地での葡萄栽培は味わい深く繊細な赤ワインが出来る」というもの。さて、どんな味わいだろうか。

色は黒味の強いルビー色。色合いは濃く凝縮感が強い。表面の照りも健康的な感じを思わせる。周縁部までキッチリ色が入っている。香りはヨーグルト、カシス、カカオの甘い香りがある。

最初の飲み口は舌先をペタッと何かで押し付けられたのような感覚があり、その後で舌の表面をアルコール感がブワーッと広がっていく。酸はまろやかだと思ったが、しかし広がりの中でボリューム豊かな酸とタンニンが溶け込んでいたことを思い知らされる。

ボリュームは豊かなのだが、甘さ、果実味がとても繊細。南フランスのワインにある一種のしつこさは全く無い。口の中に含むと自然な果実の甘さが広がり、そして広がっていく。その広がりがとても洗練されていて、まとまりがある。しなやか、やわらかという表現がこれほどマッチする感覚はなかなかない。

余韻は前半のふくらみに比べると少しか細い印象はある。しかしその繊細さは決して頼りないものでなく、このしなやかなワインのフィニッシュにふさわしく、微妙な心地よいコクを残しつつ、細くゆっくり消えていく。

南フランスのワインにありがちな「これでもか、これでもか」的な重厚さとは全く対照的にあるワインだ。インパクトは大きくないが、本当に大地の恵みのやさしさを感じさせてくれる、これから秋の夜長にゆっくり楽しむには最適のワインかもしれない。これは久々Good JOB!

【創酒タカムラ 3,000円?】

2007年8月15日 (水)

アルボワ グラン・エルヴァージュ ヴィエーユ・ヴィーニュ2003 ジャン・リケール

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フランスワインの産地といえば、ブルゴーニュ、ボルドー、ロワール、ローヌ、プロヴァンス...そしてジュラという地域が出てくるのはおそらく最後の最後じゃないだろうか。

スイスとの国境に近いジュラ。このワインにとってその中心であるアルボワは実はワインにとって生産量以上に重要な歴街なのだ。この街でフランス人の科学者パスツールがアルコールの発酵のメカニズムを発見したのだ。

その街で最も有名なワインは「黄ワイン」ヴァン・ジョーヌだ。そしてそのワインは殆どここでしかお目にかからない品種、サヴァニャンから生まれる。

ジャン・リケールはブルゴーニュのネゴシアン、ヴェルジェの共同経営者で、1997年以降は自分の名前で独自のワインも生産している。

色は明るい麦わら色。確かに若草のような色調はあまり感じさせず、落ち着いた色合いだ。香りは酸化熟成した香り、ニッキ水、シェリー、シナモンの香りがする。

味わいは鋭い酸が特徴だ。その後で時間がたって黄色くなったリンゴのような味わいを覚える。ほろ苦さがけっこう強い。しっかりした酸と共に口の中を引き締める。後味はシェリー、それもアモンティリャードを飲んだ後の印象に似ている。かなりクセのある味わいだ。

あまり飲みつけていない人には正直しんどいのかもしれない。酸のハツラツさと味わいの熟成感、新しさと古さの両方を感じさせる二層構造の味わいはなかなか他に例えようがない、本当に個性的な味わいだ。

シェリー好きにはわかってもらえる味わいだ。久々におもしろいワインに出会ったと思う。フランスでは異色のワイン、こんなのワイン会に出してみたら何人くらい賛同してくれるだろうか?リスク覚悟で次回やってみようかな。それも楽しみ。

【創酒タカムラ 3,500円?】

2007年7月21日 (土)

マ・デ・ブレッサード キュベ・エクセレンス2002 AOCコスティエール・ド・ニーム

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暑くなるとたまにはコッテリしたものが無性に食べたくなるように、なんか重た〜いワインを飲みたくなるときもある。で、久々にしっかりスパイシーなシラーが飲みたくなったので、この南フランスのワインにすることにした。

コスティエール・ド・ニームという地域、日本では殆ど知名度がないのではないだろうか。ゴッホで有名なアルルの北西、フランスでも南の地域にあるこのAOC。普通に考えれば重厚というよりも重たいワインになる。

このドメーヌはこのAOCでも有数の造り手。歴史は古くないが、二代目のシリル・マレが引き継いで以降もその評判は落ちることがない。

色は黒みがかかった深い赤。深い色合いで、しっかりした酒質を感じる。香りはカシス、スパイス、杉の香りがある。

アタックの酸はおとなしめだが、タンニンはしっかりしている。果実味もしっかりしており、アルコール感とあいまってリキュールのような感覚だ。南フランスのワインにしてはきれいな酸がミディアムの果実味とタンニンをきれいに持ち上げて、口の中にボリューム感を際立たせてくる。べったりとした押し付けがましさはみじんもなく、果実味とスパイシーさが絡み合って、見事な調和を形作っている。

余韻もきれいで伸びやか。最後の鼻腔に残るカシスの香りも気持ちがいい。ボリューム感と上品さ、双方を兼ね備えた余韻だ。

実はこのワイン、飲むのはもう数回になる。今のフランスワインで3千円以下で買うことの出来るシラーとしては、個人的にベスト3に入ると思っている。シラーの魅力を感じてもらうにはまずはオススメの1本だ。

【阪神百貨店 2,800円】

2007年5月15日 (火)

コート・ド・プロヴァンス ドメーヌ・ソラン キュヴェ・トラディシオン2001

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プロヴァンスのワイン、何年ぶりだろう!!甘ったるくて奥深さにかけるワイン、と自分の中では位置づけてきた。でもやっぱりそういう思い込みは禁物だと思い知らされた。

札幌から大阪に帰ってきて、まず寄るのはやはり伊丹空港のグラシアス。残念ながらバーは閉まっていたので、仕方なくワインを物色。ここのソムリエ、有山氏にいろいろ聞いている流れでオススメしてもらったのがこのプロヴァンス。

フツーならあまり興味がわかないプロヴァンスだが、このワインには魅かれた理由がある。まずいわゆる有機栽培。そして生産者の本拠が肉付きの厚いワインを造るバンドール。そして比較的シラーの割合も多いこと。

ドメーヌ・ソランは1992年からというからそれほど古い作り手ではない。コート・ド・プロヴァンスとバンドールというAOCの境界で12haを所有する。セパージュはグルナッシュ45%、シラー35%、カリニャン15%、ムルヴェードル5%。このデータからはぽってりしたアルコール分の強いワインを想像していた。

色は黒味の強いルビー色。すごい凝縮感で縁までぎっしりと色が詰まっている。しかし香りはそれほど重くなく、ミントの香り、ユーカリ、カシス、干しブドウ、コショウの香りがある。

アタックは滑らかで、驚いたのはこのワイン、カベルネじゃないの?と思ったくらいボルドータイプの上品な飲み口だった。酸もあり、その中にやさしいタンニンがくるまれている。ボルドーと違うといえば、甘苦い味覚と、タンニンを酸が持ち上げるようなふくらみの感覚に若干乏しいところだろうか。でも知ってるからいえることなので、たぶんブラインドではわかんないだろう。

タンニンはまだゴツゴツ感がある。しかしこの味のバランスは何なんだろうか。4種類のブドウがバランスよくそれぞれの長所、グルナッシュのボリューム感、シラーのスパイシーさと酸、カリニャンの軽快感、ムルヴェードルの重厚さがバランスして、それぞれを補ってこのワインの上品さを形成している。

余韻もボリューム感があり、若干は苦さも残るが之くらいの荒さは産地のことを考えればかえって好ましくも思える。口の中に残る収斂感もご愛嬌に思えてしまう。

まさにブレンドの力、ワイン界のゴレンジャーならぬヨンレンジャー!?やっぱ飲まずキライはいけないなぁ。このワインは素直にオススメに従って大正解でした。

【グラシアス大阪空港店 2,415円】

2007年2月10日 (土)

ル・ニ・ドゥ・マ カリニャン ヴィエィユヴィーニュ2005

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カリニャンほど評価の低いブドウもない。世界で最も生産されているワインは赤で言えばカリニャン、白はトレッビアーノ(ユニブラン)だ。どちらも収穫量が高いので、手っ取り早く「量」を作りたい場合は都合がいい。で、ブレンド用の大量生産ワイン向けとなる。

トレッビアーノはまだいい。イタリアではそこそこ評価のあるワインを生産し、フランスではワインよりも蒸留されてコニャックの主要原料となり、役割がある。でもカリニャンは?ただの嫌われ者に終わり、畑から引っこ抜かれる運命なのか?

しかし最近はやる気のある南フランスの生産者がこのカリニャンを前面に押し出したワインを造っている。このワインもそうした一つか。

香りはプラム、コショウ、重たい感じでゴムのような香りあるか。アタックはそれほど強力ではない。もっと口の中で爆発する感じと思っていたが、おとなしめでスルッと入ってきた。

タンニンも中庸。南のワインだから酸も少ないので、バランスは取れている。まとまっているが、まとまりすぎという気もする。口の中を広がらない。舌の中央を駆け抜けていく感覚だ。ボリューム感に欠けるということなのか。

余韻も長くはないが、きれいに引いていく。全体にきれいなワインだ。カリニャンでも作り方でこんなにきれいなワインになるんだ、ということを理解させてくれる。

でもこのワイン、南フランスなんだよね。照りつける厚い太陽の中、パワー爆発ってワインができる土地柄ならば、この品種の個性を理解できる作り方のほうが親近感が持てる。だからちょっと違和感がぬぐえなかった。おいしいワインではありますが。

【購入データ 1,300円くらい Wineshop FUJIMARU】