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カテゴリ「ワイン フランス ブルゴーニュ」の127件の記事 Feed

2015年12月12日 (土)

ティエリ・エ・パスカル・マトロ ヴォルネイ サントノ プルミエ・クリュ2008 AOヴォルネイ 1erクリュ 

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ブルゴーニュの難しいところは、エチケット上ではわからない事実が多すぎるということもあるに違いない。例として、このヴォルネイもその一つ。

コート・ド・ボーヌの中央に位置するヴォルネイ村は赤、つまりはピノ・ノワールの産地だが、その南ムルソー村は白、シャルドネの産地として今に至っている。斯様にくっきりと村の境界線で栽培するブドウが分かれるものでもなく、やはりどこにもグレーゾーンは存在する。それがヴォルネイ・サントノという畑だ。

この畑、ヴォルネイを名乗るものの実際にはムルソー村の北端に位置し、白ワインであればムルソーの1級を名乗るが、赤であればヴォルネイ・サントノで1級を名乗る。表土自体は赤のみを造るヴォルネイ側からこの一帯にかけて石灰岩の上に小石交じりの赤土が広がる土壌であるから、ムルソーに位置してもこの地はピノ・ノワールを栽培するに相応しい、ということなのだろう。

マトロはムルソーに本拠を置く生産者なので、白ワインに秀でていると評価されるが、ボーヌの各村で赤も生産している。その一つがやはりムルソー村に位置するサントノでの赤ワイン。

色は赤みの強い、チャーミングさを感じさせるルビー色。香りはスミレ、ラズベリーに加えて、ややインクっぽさ、スパイス、シナモンを感じさせる。

アタックはみずみずしい酸味とともに、やや硬めの果実味がパワフルに迫ってくる。7年を経ても、まだ角が取り切れていないポテンシャル。低めの酸はやや甘めの果実味と調和し、全体では落ち着きと安定を感じさせる。中盤からかすかに覗く後味のくどさも感じられるが、それでも密度の濃い凝縮した味わいは、最後までしっかりと品格を保って終盤へと誘う。

余韻は熟したベリーの甘味がふくよかに広がり、リッチさを感じさせながら長めの後味を残しつつ引いていく。

まだまだキープしていけば、余計なものをそぎ落として収斂していきそうなポテンシャルを感じさせてくれた。本当はもっと置いておけばいいんだろうけど、飲みたい時に飲まないといつ飲む?と思うのもホンネなので、飲み頃は一番難しい命題だ。

【エノテカ グランフロント店(エノテカ)7,800円?】

2015年11月22日 (日)

ドメーヌ・ポンソ サン・ロマン キュヴェ・ド・ラ・メソンジュ2011 AOCサン・ロマン

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ブルゴーニュ有名ドメーヌものがかなりお高く感じられるようになったので、ボトルを購入してまで飲む機会というのは減った気がするが、それでもこういうあまり見ないもので値段も手ごろなのを見つけると、手を伸ばしてしまう。

ドメーヌ・ポンソと言えばモレ・サン・ドニを本拠とし、絶対的に赤ワインで有名な造り手だが、コルトン・シャルルマーニュといた白ワインももちろん手掛けている。最高にレア、といえばアリゴテで唯一のプルミエ・クリュを名乗れるクロ・デ・モン・リュイザンを単一所有している。いつかの機会にはぜひ飲みたいと思っているが、果たして?

このサン・ロマンはヴィラージュものだが、サン・ロマン村自体にプルミエ・クリュはない。コート・ド・ボーヌの村々からはやや西に奥まったところにあり、ムルソーとモンテリーの間、オーセィ・デュレスの村を抜けたところにある。標高が高く約400m、気温は低いが地形が複雑で風の通りを遮り、ブドウの成熟に十分な環境となっている。

色はややグリーンと粘性を感じさせる落ち着いたゴールド。オレンジ、青リンゴ、白い花、ヨーグルト、カスタードといった甘さを感じさせる香りがあるが、やや閉じ気味。

口に含むと溌溂としたスレンダー、かつ冷涼な酸に導かれて、均整の取れたやや細身の果実味が広がってくる。ジューシーでまとまりのある味わいはブルゴーニュらしい品格を備えており、ややドライで後半には辛みさえも感じるミネラリーな味わいが複雑さを感じさせる。

余韻は最後まで息を切らさない酸のフレッシュさを残しつつ、樽のシャルドネらしいリッチなふくよかさが浮遊感をもたらし、その味わいがゆっくりと昇華していく。

全体に過不足なくまとめ上げられた、大手の余裕を感じさせる1本。あまり樽々しいシャルドネよりも僕はおとなしめの味が好みなので、こういうワインのほうが安心して楽しめるし、グラスを重ねる楽しみも生まれる。クセのあるワインも好きだけど、たまには王道で余裕をかましていいですか?

【エノテカ大阪店(エノテカ)6,000円?】

2015年10月20日 (火)

ドメーヌ・ロシニョール・トラペ ボーヌ プルミエ・クリュ レ・トゥーロン2009 AOCボーヌ 1erクリュ

151019beaune1erlesteuronsブルゴーニュ好きの方でも、赤に関しては圧倒的にコート・ド・ニュイ、北に軍配を挙げる人の方が多いのではないだろうか。確かに重厚さ、複雑さの点ではそういう面もあるかもしれないが、比較的早い時期で、ピノ・ノワールらしい優美さとピュアな果実味をまずは楽しもうと考えれば、コート・ド・ボーヌこそがふさわしいと思う。

そのコート・ド・ボーヌの中心地、ボーヌはコート・ドールで最も広い畑を持ち、生産量も多い。ボーヌはブルゴーニュにおける重要な商業都市であり、名だたるネゴシアン、ドメーヌはこの街になんらかの活動拠点を置いているので、有名なドメーヌがこのAOCで出しているワインが悪かろうはずはなく、まずは安心して選択できる。

ロシニョール・トラペはジュヴレィ・シャンベルタンを本拠にしているが、ボーヌやサヴィニィ・レ・ボーヌにも畑を有する。2004年からブドウ栽培をビオディナミに移行した。1級畑であるトゥーロンはボーヌ市街地の西、標高225~250mの傾斜地に位置する。

色は赤みの強い若さの感じられる華やかなルビー色。香りは熟したベリーの甘い香りが顕著で、フランボワーズ、赤い花、リキュール、バックに黒糖も感じられる。

アタックは滑らかな質感を伴った、綺麗な細身の酸を伴う熟したベリーの果実味がストレートに迫ってくる。整った酒質はふくよかさと安定を感じさせ、厚み、複雑さの点では確かにニュイには一歩譲るところはあるものの、むしろこのヴィンテージで飲みごろに達しつつある気さくさ、それだけで済まない味わいの深み、骨格の確かさを感じさせるポテンシャルが好ましい。後半に広がるフルーティーさ、穏やかな甘みの節度ある広がりが味わいに更なる豊かさをもたらす。

余韻は心地よい果実の優しい甘さが低めの酸と密に調和しながら展開、そして雑味のない豊かな味わいを自然に散じるように締めくくる。

濃いめのブルゴーニュよりは、こうした綺麗系のブルゴーニュの方が飲み飽きせずにゆっくりと楽しむ事が出来て個人的には好きだ。このワインも自分好みにピッタリはまって、まずは満足のゆく味わいだった。

【エノテカ グラン・フロント店(エノテカ) 6,500円】

2015年9月24日 (木)

ディジオイア・ロワイエ シャンボール・ミュジニィ2010 AOCシャンボール・ミュジニィ

150923chambollemusignyワインは農作物であること、その事を身をもって体現している造り手として、この人ほど当てはまる人を僕は知らない。4年前の来日、とある酒販店に現れたとき、まさに畑からそのまま出てきたようなジャンパー姿には驚かされたが、拙い自分のフランス語での会話にも優しく答えてくれたその人柄にすぐさまファンになった。今でも少しひいき目で見てしまうところがあるものの、彼のワインには他にはない落ち着き、優しく寄せてくるような旨味の流れが感じられる。それはシャンボール・ミュジニィというテロワールにもよるものだろう。

3代目当主、ミシェル・ディジオイアがドメーヌを継承したのは1999年。ブルゴーニュで最も畑にいる時間が長い、と表現されることも多い彼の信条はワインは健全に熟したブドウの表現、であるということ。だから栽培面積も4.5haと小さいが、それは彼がブドウに神経を注げる最大範囲なのであろう。栽培は厳格なリュット・レゾネで、収穫後は選果台による選果を行い、天然酵母のみで発酵させる。赤ワインは木製開放槽で発酵させ、ノンフィルターでビン詰めを行う。このワインは村名クラスだが、樹齢は平均45年。

色は黒味の強い、凝縮感のある暗いルビー色。香りはザクロ、ラズベリー、カシス・リキュールの熟した果実香に加えて、ミントチョコレート、シナモンの甘いお菓子を感じさせる香りもある。全体的には甘さを連想させる香り。

アタックは肉付きのよい余裕のある熟したベリーの果実味がストレートに伝わり、その果実味に密に溶け込んだフレッシュで細かな酸が心地よく跳ねる。果実味が強い分、高めの酸を保つことで重さに陥らないバランスが好ましい。複雑さよりも率直な旨さで魅せる展開を貫き、中盤から後半にかけての安定感を支配する緻密なタンニン落ち着きを演出、コクのある豊かな味わいへとつながっていく。

余韻はピュアな果実味と柔らかな酸味のハーモニーが伸びやかに広がり、飲み飽きのしない旨味をたたえつつ、なだらかな斜面を下りていくような眺望感でフィニッシュする。

美味しいワインを飲むと不思議といろいろな表現が自然と浮かんでくるものだが、このワインもまさにそうだった。真に畑に情熱を傾ける人が育んだブドウのストレートな旨さを楽しもう、それ以外に何が必要か?それを問いかけるようなワインだった。

【ワインショップタカムラ(ヌーヴェル・セレクション)7,000円?】

2015年9月 6日 (日)

ニコラ・ルジェ ブルゴーニュ・アリゴテ レ・ジェネブレィ2011 ACブルゴーニュ・アリゴテ

150906bourgognealigoteまだまだ暑さを感じる季節だから、手元に白ワインは欠かせない。それもあまり重さのない、こだわりなく飲める、酸の引き締まったワインの方がフィットする。そうなるとフランスであればシャルドネよりも、ミュスカデ、アルザスの白、そしてブルゴーニュであればアリゴテあたりが選択肢。

アリゴテも以前に比べれば選択の幅が広がってきて、こうした有名人に関係するアリゴテも普通に手が入るようになったのは、価格の手ごろ感もあってまさにありがたい限りだ。

このアリゴテはニコラ・ルジェによる。名前で既にピンとくる方も多いだろうが、まさに名手エマニエル・ルジェの長男で、このアリゴテは2005年からリリース、その後経験を積むために階のアペラシオンから徐々に手掛けて、2011年からようやく村名AOC、ショレィ・レ・ボーヌが加わるところまで来たようだ。

このアリゴテはACブルゴーニュの区画をアリゴテ用にエマニュエル・ルジェが1985年に拓いた畑から栽培されたブドウを用い、ステンレスタンクで発酵、栽培・発酵共に極力人的介入を減らしている。この年の生産は1,400本。

色は輝きのある若い麦わら色の色調を帯びたゴールドイエロー。香りは強くないが、ライム、青竹、若いキウィのような青さ、酸味を連想させる香りが控えめに立つ。スパイス感も少々。

序盤はシャープな酸味が徐々に幅を広げ口の中を満たしていく印象。青い柑橘の皮のような苦みもアクセントになり、ボリューム感を感じさせる。中盤はややおおらかなグレープフルーツのような果実味が広がるが、バランスよくばらつかない酒質が好ましい。後半には充分な旨味も乗ってきて、緩やかな稜線を辿るかのような心地にさせられる。

余韻は程よい酸味と苦みの絡みが口の中を引き締め、クリアな後味を残して潔くフィニシュに至る。

以前持っていたアリゴテの酸の鋭さ、といった印象は、ここのところ嗜むアリゴテに関しては全く当てはまらなくなった。シャープな酸は残しつつ、ふくよかさとおおらかさを加えた味わいは、もはやシャルドネの下位、脇役に甘んじるのではなく、ブルゴーニュの白の個性の一翼と言えるのではないだろうか。

【R -the wine shop- (ヌーヴェル・セレクション) 3,000円?】

2015年8月 8日 (土)

ジャン・ポール・エ・ブノワ・ドロワン シャブリ グラン・クリュ ヴォーデジール2011 AOCシャブリ・グラン・クリュ

Chablisjeanpaulbenoit今日は毎年恒例の淀川花火大会。昨年は大雨の影響で中止となったが、この日も夕方から天気が急変、雷雨となったものの、かえって打ち水のような涼を呼んで、心地よい花火となった。

その花火と共にゆったりした夜を彩ってくれたのは、久々のシャブリ。初めてブルゴーニュの白を飲み始めたころから、白ワインのベースはやはりここにある。

ジャン・ポール・ドロワンを率いるのは当年40歳のブノワ・ドロワン。かつて父の代には樽の風味が強すぎるという評価があったようだが、彼のワインにそうした印象はなく、樽を使いながらも突出させないバランス感覚がうかがわれる。

色はねっとりした質感を感じさせる艶やかなゴールドイエロー。香りは蜂蜜、黄桃の甘いニュアンスと共に、レモン、ライムの若い柑橘もバックに感じられる。

アタックは思いのほか甘さを感じ、その後細身ながら推進力のあるな酸味が立ち上がる。酒質は全体にソフトかつマイルドで、バランスの良さが伝わってくる。そのリッチさに複雑さを加えてくるゴツッとしたミネラル感も中盤から現れ、シャブリらしい表現力を押し出す。やや厚み、インパクトという点では物足りなさも残るが、全体の調和は透徹しており、好ましい評価を崩すまでには至らない。

終盤は温かな果実の旨味が口の中に膨らみを残しつつ、ミネラル感が細く長くその軌線を描きながら、最後まで整ったフォルムを崩さずにフィニッシュに至る。

シャブリとしてよりもワインとしてこの調和感は心地よく、作り手の想いが率直に伝わってくる。この調和に何か個性的なものが感じられるようになれば、さらに評価は増してくるだろう。これからの深化に期待したい。

【Cave de Terre淡路町店(稲葉) 8,000円?】

2015年2月 4日 (水)

ヴァンサン・ドーヴィサ シャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨン2010 AOCシャブリ・プルミエ・クリュ

150203vancent_dauvissatブルゴーニュワインを飲むときは、しばしば手元に地図を置く。地図を置き、そのワインを産んだ畑を探し、地形をひもとくことで、そのワインをはぐくんだであろう情景を思い浮かべれば、その味わいの深淵を導き出すことができるのではないだろうか、と考えるのだが、そこは素人の知識では限界があるのでなかなか思うようにはいかない。

このワインはシャブリでも1級畑に位置づけられるヴァイヨン産。ヴァイヨンはシャブリの街から南西の海抜200-250mの斜面、東向きの畑で午前中に日照が当たることから、夜との気温差が一気に上がってくるので酸味と果実味のメリハリが効いた味わいになると想像される。

作り手は今やシャブリで最も著名となったといって差し支えのないヴァンサン・ドーヴィサ。ステンレスタンク派が占めたシャブリに敢えて小樽を用いたクラシックなスタイルでありながら、シャープさを失わないその味わいに、年を追うごとに人気は高まるばかり。

色は落ち着いてしっとりした質感が漂う澄んだ黄金色。香りは黄色い熟した果実、花梨、洋ナシ、シナモン、蜂蜜、ヘーゼルナッツに加えて湿った石灰の香りも感じられる。

口に含むと酸は思いのほか優しく穏やかなアタックを感じるが、その後はじっくりと染みてくるように凝縮感のある果実味がゆっくり広がってくる。皮についた実の部分の詰まった味わいを強く感じるが、決して甘みはくどくなく意外にさっぱりした切れの良さがあり、ボディの豊かさと味わいの繊細さを両立させているところが驚き。中盤からは丘を下るかのような鷹揚さから、後半のしっかりしたミネラル感へのアップダウンのある展開も楽しい。

余韻は一転して第九の第三楽章のような静けさに似た落ち着いた味わいと、時折垣間見せるミネラル感の抑揚が心地よく、長い膨らみを残しながらフィニッシュに至る。

語るべき要素が詰まっていても、それを表現できないもどかしさが残った、素晴らしい作品。これが年月を経たらどう変化するのだろうか。今開けたことを後悔してしまいつつ、今しか味わえないものを楽しめた充実感に満たされた矛盾を見せつけられたワインと言えそうだ。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU(大榮産業) 6,500円?】

2015年2月 3日 (火)

ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ マルサネ ラ・モンターニュ2011 AOCマルサネ

140101marsannay2015年に入って、すっかりブログの更新を怠っていた。その間特に体調が悪かったわけでもなく、ワインを飲まなかったわけでもないが、漫然とワインを飲んでしまっていたような気がする。反省も込めて、今年も再開。最近はこのブログも自分の備忘録として利用することが多いので、全くの私的感覚で楽に始めたい。

さて、遅ればせながら今年最初に選んだのは今最も気に入っている作り手の一人、シルヴァン・パタイユ。マルサネはロゼで著名な土地で、シルヴァンも勿論ロゼを作っている。そのロゼは繊細な果実味の中に微かなタンニン、細めの酸に導かれる後半のミネラル感のふくよかさが心地よい、マルサネ・ロゼの完成形といってもいい表現力を持っている。しかし、その流れをこのマルサネ・ルージュにも注ぎ込んでいる。

色は赤紫がかった落ち着きのあるルビー色。香りはブルーベリー、紫蘇、樽から来るロースト香、湿った土の香りも感じられる。

口に含むとまろやかな小ぶりの赤い果実の酸を感じ、そこから過度に熟していない適度な甘みを伴った果実味が、口の中にきっちりと収まる大きさで優しく広がる。果実味はクリアで雑なところがなく、細かで控えめなタンニンと調和し心地よい。ボディは中程度だが、内に秘めたエネルギーはしっかり感じられ、後半にはやや粗めのタンニンが顔を出し、ベースとなって味わいに奥行きを持たせる。

余韻は穏やかで腰の低い旨味が口の中に薄皮を張るようになめらかに広がり、そこからさっと溶けるようにその味わいをゆっくりと減じていく。

ボリューム感は控えめだが、中身は充実。やや小ぶりだからこそ、そこに詰め込まれた多くの要素をしっかりと感じられるのだと思う。気軽に、しかし落ち着いて深さも楽しめるワインと言えるんじゃないかな。

【Wineshop FUJIMARU(ラシーヌ) 4,800円?】

2014年10月27日 (月)

フィリップ・パカレ シャブリ プルミエ・クリュ ボーロワ AOCシャブリ 1erクリュ

141026chabrispacaletビオワインと聞いてまず思い出される造り手といえば、フィリップ・パカレということになるのだろう。2000年に入る頃から日本でも一気にその名前を知らしめた、今や影響度No.1の造り手になったといっても過言ではない。そしてその忘れがたいシンプルなエチケットは、どこにあってもパカレのワインとしての存在感を放つ。

といいながらも、自分はそれほどパカレのワインを飲む回数が多いわけではない。人気もあり価格も相応にするので、気軽に飲むという観点では難しい相手ということもある。だから、バーとかイベントでグラスで試す機会の方が多くなっている。

しかし、このワインに関してはパカレが醸したシャブリということで購入した。パカレというとエキス分の濃さが想像されて、そのパワフルさがややシャブリの感覚とは合わない感じがあったのだが、実際はどうだろうか?

色は乾いた感じのやや茶色がかったイエロー。ディスクは厚めで粘性が感じられる。香りは乾燥マンゴー、黄桃、リンゴの蜜、ヨード的なミネラル感もある。

アタックはしっかりした密度の濃い熟した果実感が最初から乗って来て、その後にやや舌先にチリチリとした刺激を伴う鋭角の酸味が、先に広がっていた果実味を掬うように底からせり上がってくる。動的な味わいの展開は、やはり他のシャブリとは異なる印象。しかし、中盤から広がってくるミネラリーさと、前半の大ぶりな味わいが収まった後の静寂のバランスがきっちりと着地点に入り、単に濃いワインとは違う側面を見せる。

余韻は前半とは違う穏やかさ、ふくよかさを感じさせつつ、だるさの来ない自然な味わいの昇華を見せながら引いていく。

自分が思うシャブリとは少し異なる味わいではあるが、一つのワインとして考えたときには個性的でありながら終幕の自然さを兼ね備えた、節度のあるワインと言える。パカレだからもっと暴れん坊を予想したのだけれど、これは意外な展開だったかな。

【Wineshop FUJIMARU(テラヴェール) 8,000円?】

2014年9月18日 (木)

ジルベール・ピック・エ・セ・フィス シャブリ プルミエ・クリュ ヴォグロ2012 AOCシャブリ 1erクリュ

140918gilbertpicq_chabris_premiercrいろいろな持ち寄りワイン会に出させてもらうが、シャブリを持ってくる人は案外少ない気がする。あまりにも有名すぎて、敬遠されるのだろうか。でも飲むごとに新たな発見がある、複雑さが秘められたワインだと思う。

そのシャブリも、造り手ごとの違いを感じるにはやはり1級畑以上を採りたい。ジルベール・ピックは1級畑としてヴォークパン、ヴォグロを所有しており、いずれもシャブリの中で一般的にトップクラスの評価を受けている畑ではないが、それも数haという小さな区画の中で、所有者も数軒という小ささ故なのかもしれない。

ジルベール・ピックは現在ディディエ、パスカル、マリリンの3兄弟で運営される家族経営で、このヴォグロは有機肥料を用いた畑で栽培されたブドウを手摘みし選果、自然酵母でステンレスタンクで時間をかけて発酵、樽は使わない。

色は緑がかったクリアで張りのあるレモンイエロー。粘性は中程度でディスクはやや薄め。香りはライムの青い柑橘香にバゲット、カシューナッツの乾いた香りが加わり、根昆布水のようなミネラルを感じさせる香りが全体を包む。

口に含むとクリアでややエッジの効いた酸がすくっと立ち上がり、その芯を染みあがってくるように細身の雑味のない果実味がタイトなボディを形成する。余談を挟ませないような無垢な味わいが心地よく広がり、それでいて硬さに偏らないバランスが保たれる。複雑さは中程度で、やや膨らみに物足りなさもあるが、年を経ればそのニュアンスも出てくるだろうか。終盤の程よい苦みのミネラル感も上質。

余韻はふくよかで繊細な滋味が広がり、その旨味が自然に解けるように柔らかくそのボリュームを減じていく。

清涼感とバランス感に満ちた、非常に綺麗なシャブリ。複雑さという意味ではややこじんまりした感覚だが、家族経営のワイナリーらしい全体に目を配らせた緻密さが感じられる。これもシャブリの一つの特徴といえるんだろうな。

【Cave de Terre淡路町店(稲葉) 4,000円】

2014年9月15日 (月)

ジャン・ポール・エ・ブノワ・ドロワン シャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨン2011 AOCシャブリ 1erクリュ

140915chabrispremiervaillon2011jeanブルゴーニュの白ワインは数々あるが、やはり好きなものを一つ上げるとすればシャブリになる。このワインに戻ってくると、ちょうどワインを飲み始めたころ、一つ覚えで飲み連ねた記憶とともに安心に似た子心地が感じられることもあるだろう。

しかし、そのシャブリも相当の造り手がそれぞれの志向と共にしのぎを削る激戦区になっているし、それだけに新たな発見がある地域でもある。この造り手も最近試飲会で気に入った造り手で、オーソドックスなミネラル感を巧く表現していた。

ブノワ・ドロアンは1975年生まれ。ドロワン家としては14代目当主だから、地域では古い造り手で、歴史も17世紀に遡る。ブノワ自身は1999年からワイン造りに参画、除草剤に化学薬品を使わず、シャブリの特質である酸を重視し、樽の風味をつけすぎないバランスを保つことに意を用いている。かつては樽を強く使っていた時代もあったというから、大きな転換だ。プルミエ・クリュのヴァイヨンには4haの畑を持っている。

色はグリーンがかった若々しい薄めのレモンイエロー。粘性、ディスクは中程度。香りはレモン、パッションフルーツ、ナッツ、風船、金属のようなタイトな香りも感じられる複雑さを帯びている。

口に含むと硬質で直線的な酸が鋭く伸び、その直後にミネラル感のある果実味が緊張感を伴って追いついてくる。やや気負いの感じられる味わいだが果実の凝縮度もあり、何よりシャブリらしい酸の主張がしっかりと備わっている。糖分は控えめで、バランスもとれており、後半には粉っぽさ、ややざらつく感じもあるががっしりとしたミネラル感が座り、ワインに複雑さをもたらす。

余韻は苦みのミネラル感がベースとなり、青い柑橘のフレッシュな果実味が昇華するような印象でフィニッシュに至る。

荒削りなところもあるが、最近飲んだシャブリの中では特に印象に強い味わいだった。何よりもシャブリ、と聞いて自分が想像する味わいに近いところを表現していると思う。好みはわかれるかもしれないが、僕は好きだな。

【Cave de Terre淡路町店(稲葉) 4,400円?】

2014年5月23日 (金)

バンジャマン・ルルー オーセイ・デュレス2009 AOCオーセイ・デュレス

140518benjaminlerouxauxeyduresses自分は特定の造り手にはあまりこだわっていない。それはこだわるほどにまだまだ飲む経験が足りてないからと思っているからで、集中するよりは広くいろいろな造り手のワインを経験したいと思っている。

このバンジャマン・ルルーもその一人だ。若くしてポマールの名手、コント・アルマンの醸造責任者になった彼だが、その仕事の一方で自らのブランドも手掛け始めた。そして、少しずつであるが色々な畑のブドウで彼のワインを造ろうとしている。これを最近の潮流としてミクロネゴスといい、大手で才能を発揮した有能な若手が、その実績によって投資家の後押しを受けて新たなワインを産みだす、ブルゴーニュの新たなビジネスモデルとして脚光を浴びている。その流れでも、バンジャマンはトップの一人だ。

オーセイ・デュレスはムルソーの西に位置し、知名度は低いもののリッチな白で有名だ。ムルソーの名声の陰に隠れてしまっているが、そのポテンシャルを信じたからこそバンジャマンはこの地のワインを醸したのであろう。

色は黄色がかった、光沢のあるつややかなゴールドイエロー。香りは甘くオレンジ、ビスケット、バニラ、マンゴー。バックにやや山椒のようなスパイシーさを感じる。

アタックは純度の高い緻密な熟した柑橘の味わいで、その中にフレッシュで温かみのある酸味と、程よい苦みのグリップ感を感じる。果実味と樽とのバランスが良く、飲んでいて抵抗感のない味わいが心地よい。凝縮感は中程度で、決して華やかなものではないが、全体に目配せした緊密な構成が感じられる。後半には程よい苦みがベースに座りつつ味わいを適度に引き締めるが、テンションは高めない。

余韻は蜜の甘みを感じさせつつ、その甘みが全体に溶けるような自然な流れの中で、柔らかく穏やかに昇華していく。

村名ワインでもあり、凝縮感のある味わいではないものの、味わいのコツをおさえた表現力のあるワインに仕上がっていると思う。13歳からワインに触れ始めた早熟の醸造家の今後にはやはり注目せざるを得ないな。

【創酒タカムラ 5,000円?】

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2014年5月21日 (水)

ドメーヌ・ジャン・マルク・ブロカール シャブリ プルミエ・クリュ ビュトー2009 AOCシャブリ 1erクリュ

140518marcbrocardchablis1erbutteaux徐々に陽射しに厳しさを感じるようになってきて、日課のジョギングでも2時間走れば腕が真っ赤にほてる。確実に暑い夏が近づいているようだ。

そうなってくると、家のみワインも赤モードから白モードへと徐々に変わってくる。この日は大好きなシャブリを。

ワインを飲み始めたころ、ブルゴーニュの白と言えばシャブリしか知らなかった。今はいろいろな土地のワインを飲むようになったが、それでもシャブリは思い入れのある産地だから、時としてこのワインを飲んで、昔を振り返り、自分の軸を戻す。

ドメーヌ・ジャン・マルク・ブロカールはジャン・マルク・ブロカールによってシャブリの重要ドメーヌに育ったが、次男ジュリアンによってビオ・ディナミの試みが始められて、今では180haの畑のうち100haがビオ・ディナミによるものだという。このプルミエ・クリュは、かつてモンマンと呼ばれた1級畑のうちの1区画(クリマ)で、最近はよりテロワールを伝えるために、知られた1級畑の名前よりもあえてこうした区画名を名乗るのだそうだ。

色はやや緑がかった、ぬくもりのある質感のゴールドイエロー。香りは白い花、グレープフルーツ、ピスタチオ、ヨーグルト。バックにややスモーキーな香りが感じられる。

アタックは冷涼だが緊密で隙のない滑らかさを感じさせる酸味が走り、その直後からフレッシュでスレンダーな果実味が、熟したマンゴー的な甘みも持ちつつ広がる。過熟によるものでないバランスよい酒質が好ましい。ミネラル感は強くないものの、後半にはシャブリ独特の苦みからくるグリップも感じられる。

余韻は爽やかな果実味が全体を昇華させるような切れの良い味わいを残しつつ、力み過ぎない穏やかな心地を最後まで感じさせてフィニッシュに至る。

シャブリとしては温厚で柔らかな部類に入るかもしれないが、余韻に至るときの締まった感覚はその特質を備えている。自分の白ワインの基準はやはりここにあると改めて実感。

【Wineshop FUJIMARU 6,000円】

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2014年3月11日 (火)

ドメーヌ・ロベール・シュヴィヨン ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ レ・ブースロ2007 AOCニュイ・サン・ジョルジュ1erクリュ

140311robertchevillonワインには良い年悪い年があり、やはり飲むのであれば良い年を選びたいものだが、一方で悪い年も飲まなければ、真の良い年の評価もできない。そして悪い年を苦労して仕上げる造り手の心にも触れることはできないと思う。

2007年はブルゴーニュにとっては良くない年と言わざるを得ないだろう。夏に曇りがちで、造り手によって大きな差が出たと言われる年だが、だからこそ信頼ある造り手のこのヴィンテージであれば、既に飲みごろにも達しているかもしれない。ニュイ・サン・ジョルジュの盟主、ロベール・シュヴィョンが手掛ける1級畑、レ・ブースロはヴォーヌ・ロマネ村に隣接する北にあるので、柔らかくしなやかなワインとなる傾向が強いと言えるだろう。

色は黒味が強くかかったダークルビー。香りは開いており、熟したカシス、カカオ、ビスケット、黒胡椒が感じられる。

口に含むと熟したベリーの果実味、繊細なタンニン、ヴィヴィッドな酸の印象が一度に現れ、リッチな味わいを感じさせる。序盤が収まった後のやや強い甘みと、ボリューム感に比べて果実味の凝縮感の弱さが見え隠れする点がヴィンテージ所以であろうか。しかし全体には調和を保ちつつ、全体のまとまった味わいでニュイらしい骨太感もかいまみせつつ、後半には角の取れた優しい落ち着き感を演出する。

余韻は果実味がほどけた後のふわりとした甘さが口の中に漂いつつ、やや引きは速いがタイトなフォルムを保ちつつ、品格あるフィニッシュで締めくくる。

全体のバランスは保ってニュイらしい重厚さも感じられるが、やや表面的に流れて実質の所が欠けた感じは否めない。しかしこれもヴィンテージの先入観があるから言えることで、もし考えなかったらそこまで否定的な評価が出てきたかは正直自信のないところでもある。実際に先入観を取り払えば十分美味しいと感じられるバランス感で、今を楽しむだけであればそれでいいのかもしれない。

【東急百貨店渋谷本店 6,720円】

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2014年1月24日 (金)

ダヴィッド・モロー サントネィ キュヴェ・S 2010 AOCサントネィ

20140124davidmoreauサントネィという地域はブルゴーニュ南端にあって、それほど知名度に恵まれた場所とはいえないだろう。しかし、南であれば太陽の光に恵まれてブドウは熟すポテンシャルを有するはずで、北の酸味、繊細さとはまた違った個性をワインに与えるに違いない。

今、この地で注目を浴びている造り手がダヴィッド・モロー。まだ若い彼が祖父から葡萄畑を受け継いだのは2009年だが、その前の年1年間はドメーヌ・ド・ロマネ・コンティで働いた経験を持つ。そのワイン造りはテクニックを排した素直かつ自然なものだ。キュヴェSはサントネィ中腹の村名畑、コルニエールとシャルムの水はけのよい畑に植えられた古木から造られる。

色は少しうす濁りの感があるルビー色。香りはやや閉じ気味だがラスベリー、チェリー、アセロラなど赤い小ぶりの果実の香り、その他にやや湿り土のニュアンスも感じる。

口に含むと瑞々しいベリーの酸味を感じ、それと同時に凝縮感がありつつも繊細さを保ったやや内向的な果実味が現れる。ボディは中程度だが、細かで密な重みのあるタンニンが味わいを重心の低いものにしている。真っ直ぐな味わいは好感が持てるが、やや単調で起伏に欠けるところはあるが、自然でピュアな旨味が率直に感じられる中盤から後半にかけての安らぎは心地よい。

余韻はふくよかな果実の甘みが穏やかに薄く柔らかく広がり、口の中に浮遊感を与えつつ、優しい後味を残して引いていく。

その言葉とおりテクニックを感じさせない率直な味わいは好感が持てる。まだ跡をついで1年のワインであれば、複雑さまで求めるのは早計だろう。これから年を経てどのように変わってくるか、これからが楽しみな造り手に違いない。

【エーテルヴァイン岡崎店 3,800円?】

2013年11月17日 (日)

ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ショレィ シャトー・ド・ショレィ2008 AOCショレィ・レ・ボーヌ

131117chorey平坦な畑が凡庸なワインを産むということになるのであれば、ブルゴーニュにおけるショレィ・レ・ボーヌはさぞ肩身の狭い地域だろう。ブルゴーニュの重要な畑がブルゴーニュの村々の南北を縦断する国道74号線の西の斜面にある中で、この村の畑は国道の東に位置することも、ますますその地位を貶める。

しかし、だからこそこの村のワインに昔から注目してきた。そうした不利にある場所からわざわざ日本に運ばれてくるワイン、名声に安堵しているワインに比べて、輸入元も力が入っていることが推して知られるからだ。

ブルゴーニュにあっては珍しくシャトーを名乗るシャトー・ド・ショレィは、この地にあっては最高のワインという評価が高い。ブノワ・ジェルマンが目指すワインはクリーンでビューティフルなビオワイン、ビオ・ロジックによる栽培でピノ・ノワールのポテンシャルを高める。

色は血のニュアンスも感じられる、黒味がかった暗めのルビー色。香りはフランボワーズ、アセロラの赤い果実の香りに加えてバラ、紅茶の香りがあり、ベースに少し粘土のような重い香りも感じられる。

口に含むと鮮烈な酸が真っ直ぐに突くように広がり、その酸に導かれる細めでスレンダーな若いベリー、小梅のような甘酸っぱい果実味が後を追う。若い味わいでそれぞれの要素は強いものの、掘り下げるような深みにやや欠ける感じはあるが、果実味は充実しており重みも感じられる。タンニンも重くはないが、果実味には適量と思わせる質感を備え、中盤から後半の味わいに落ち着きをもたらす。

余韻はやや鋭い酸味も和らぎ、穏やかなベリーの甘みが広がりつつ、細かなタンニンが演出する低い重心を保ちながら終局へと向かっていく。

ショレィのワインの特質がバランスの良さ、と思って飲めば、まずはその予想を裏切られる各々の要素の深さが印象的。この価格帯でこれだけ演出してくれる、造り手の想いがひしひしと感じられる、熱い一本と言えようか。

【ル・プティ・コンプトワール 4,200円】

2013年11月 9日 (土)

アニェス・パケ オーセイ・デュレス2010 AOCオーセイ・デュレス

131109agnespaquetワインの中で名前は重要で、読みにくい地名だと買う時に躊躇することがある。しかし、逆にそういう場所に魅かれることも確かだ。ブルゴーニュにもそういう場所がある。その代表的としてAuxey-Duressesがあるだろう。人によってはオークセイ・デュレスと呼ぶ人もいるが、フランス語的にはクスという発音よりもスと言った方が良さそうだ。

ブルゴーニュ南部、コート・ド・ボーヌでも中央に位置するオーセイ・デュレスはムルソーの西に位置する。赤が主流の村で1級畑も擁するが、日本での知名度はそれほど高くはない。しかし、日本でも有名なルロワはこの村を本拠地としているから、そのポテンシャルは推して知るべしだ。

アニェス・パケの両親はこの地に畑を持っていたが、他の耕作者に貸していた。その畑を売る段になって、アニェス・パケがワイン造りを始めようと思ったのは1996年。そこから農薬を極力減らす、実質的にはビロ・ロジックと言ってもいいリュット・レゾネ、優れた苗木を得るために畑に目を凝らすマスセレクション、醸造は自然酵母から行われている。このワインは平均樹齢25年のブドウから造られ、選果は2回の念の入れよう、新樽25%で12か月熟成、ノンフィルター、無清澄。

色はしっとりと濡れた印象のあるダークルビー。香りはブルーベリー、山葡萄、バラ、スパイス、熟した果実の香りが主体にだが、なめし革のような香りもバックに感じられる。

口に含むと、その瞬間は優しいが徐々に染みあがってくる浸透力の強い、ベリーの旨味に満ちた繊細で落ち着いた酸が心地よく広がってくる。果実味は穏やかで丸みを帯び、刺激を感じない柔らかさが口の粘膜を撫でるように広がる。温かみのある味わいが前面に満ち溢れ、若さ以上に熟成を感じる。味わいに寄り添うようなタンニンの細かさもワイン全体の調和を促す。中盤から後半へも穏やかな味わいが続きながら、決して緩まない構成が素晴らしい。

余韻も長く緩やかに続く切れ目のない熟した果実味が流れるようで、最後まで流麗なワルツのような心地を感じさせつつ引いていく。

村名ワインながら、その緻密な構成と充実した味わいで久々に文句なく旨いと感じたワイン。2010年のワインでありながら落ち着きを放ち始めたこのワイン、もう少し置いておいたらさらなるポテンシャルを発したのかもしれないが、今でも十二分に個性を発している。お見事、Good JOB!

【大阪高島屋 4,500円?】

2013年10月29日 (火)

ドメーヌ・ダルデュイ ラドワ レ・シャノ2010 AOCラドワ

20131026ブルゴーニュのAOCは難しい。ある村のワインが戦略的に隣の村のワイン名を名乗ったりして、決して地図のとおりの名前でワインを出さないことがある。

ラドワ・セリニィという村もその一つだ。その隣には誰しも名前は聞いたことのあるコルトン、コルトン・シャルルマーニュという特級畑を産むアロース・コルトン村がある。そしてこのラドワ・セリニィ村にもその特級畑があるのだ。だから、ラドワという名前を聞くことも稀と言わざるを得ない。

しかし、だからこそわざわざこの名前のワインを売り出しているところに価値がある。決して時流に流されない、表看板だけに頼らず自分のワインに自信を持っていないとできない、と思えるからだ。ダルデュイ家は2002年にネゴシアン部門を売却し、自社畑の生産に特化した。レ・シャノはモノポールで特級畑のコルトンを生み出す丘のふもと、標高250mのなだらかな南向きの丘に位置する。

色は紫がかった暗めのルビー色。香りはカシス、バラ、黒胡椒、カカオ、墨汁のような太い香りも感じられる。

口に含むと濃密な完熟ベリーの果実味と丸みのある酸味が一体となって感じられる。棘のない柔らかな表面と、稠密な酒質がバランス良くまとまる。複雑さは少ないが、ストレートに迫る果実の程よい甘みが柔らかな酸味と溶け合い、負担感なく染みてくる味わいが心地よい。タンニンも緻密で謙虚。中盤から後半にかけて穏やかに広がるジューシーな旨味も抱擁感があり、ゆったりした心地を演出する。

余韻はきめこまかなタンニンの渋みが土台を為し、滑るようなベリーの甘さとの二層構造が深みを奏でつつ、しっかりした味わいを残しながらなだらかに優しく引いていく。

ラドワというAOC、村名ワインとしての質を超えて、1級ワインとして出てもおかしくない質が感じられた。それでもわざわざ知名度の低い村名で出すところに、生産者の自信と矜持が備わっているというところだろうか。

【伊勢丹大阪店 4,000円?】

2013年10月24日 (木)

ドメーヌ・シェヴィヨン・シュゾー ブルゴーニュ・オー・コート・ド・ニュイ2011 AOCブルゴーニュ・オー・コート・ド・ニュイ

131021chevillonchezeauブルゴーニュワインを知るには、地図を共にする必要がある。村々の名前、その地形を想像しながら味わうことで、理解の助けになることがしばしばだ。しかし、それを許さない広域のアペラシオンも存在する。オー・コート・ド・ニュイもそうしたAOCの一つだ。

ブルゴーニュ全体のどの村からのワインでも名乗れるAOCブルゴーニュが最も広域のAOCならば、ブルゴーニュ・オー・コート・ド・ニュイはそれよりも生産地域は絞られる。ヴォーヌ・ロマネからニュイ・サン・ジョルジュの西に広がる幾つかの村々で生産されるワインがその呼称を名乗ることができる。

ドメーヌ・シュヴィヨン・シュゾーはニュイ・サン・ジョルジュを本拠とし、一級畑を5つ所有する本格的造り手。色は淡目だが詰った酒質に定評がある。

色は明るめでやや淡めの自然なルビー色。香りはイチゴ、チェリー、スミレ、赤い花のチャーミングな香りが支配的。

口に含むと瑞々しく、角が取れたピュアな酸味を感じる。自然なベリーの甘さを感じ、味わいは素直でストレート。酒質はミディアムから軽めで、タンニンも優しいボディを支えるには相応しい細かさでやや控えめ。凝縮感で強く主張するわけではないが、全体のバランスがよいので、否定的には感じない。中盤から後半は穏やかな渋みと果実味がきれいに調和し、透明度の高い落ち着いた味わいを展開する。

余韻は滑らかな果実味がすーっと抜ける切れの良い後味を残して引いていく。

決して主張が強いワインではないが、ピノ・ノワールらしい酸味と旨味をしっかり感じさせてくれる。そしてこの色の淡さは、昨今抽出が強すぎて味も濃すぎの濃厚ワインに比べれば、個人的にははるかに好感が持てる。 ピノらしい愛らしさが前面に出たワインと言えようか。

 【伊勢丹梅田店 2,800円?】

2013年10月22日 (火)

ドメーヌ・ルードヴィック・ベラン ペルナン・ヴェルジュレス レ・ベル・フィーユ ヴィエイユ・ヴィーニュ2010 AOCペルナン・ヴェルジュレス

131020ludovic_belin1週間海外出張で、その間はビールばかり飲んでいたので、帰国直後になんとも飲みたくなったのはブルゴーニュでした。

ということで、この日はブルゴーニュでもメジャーとは言えないペルナン・ヴェルジュレスの赤をチョイス。名前が言いにくいので、かなり損をしている地域だが、他の地域とは一線を画す個性的なワインを産みだすので、結構好きなワインだ。

コート・ド・ボーヌの最北端で、「コルトン・シャルルマーニュ」で有名なコルトンの畑の西側に位置するペルナン・ヴェルジュレスは、ピュアな果実味が魅力のボーヌ地区にあっては自分の中で異質な感じがするワインを産する。良く言えば個性的なのだが、不思議な土っぽさ、鄙びたイメージがあるのだ。村名ワインだが、畑名「レ・ベル・フィーユ」の名がつく畑は標高300メートルの丘の東向きの斜面に位置するので、太陽の力をしっかり受けたブドウが育つ環境にあるはずだ。

色は紫の強い暗めのルビー色。色調は濃い。香りはカシス、ブルーベリージャム、グミ、ハーブ、ユーカリのような清涼感も感じられる。

口に含むとしっかりした酸味が鮮烈に走り、その酸味に引っ張られて整ったボリューム感の、若いジューシーなベリーの果実味が広がる。酒質は複雑ではないけれども、スマートでスレンダーな旨味がしっかり感じられる。タンニンは中程度で、果実味とのバランスが取れている。中盤から後半には味わい的に昇華しないえぐみも感じられるが、土の印象を思わせる香りも出てきて、穏やかな心地を演出する。

余韻はタンニンの細かな渋味がしっかり座り、その中でピュアなブルーベリーの果実味がすべるように、なめらかに漂いつつ引いていく。

ペルナン・ヴェルジュレスらしい、酸味と土っぽさが両方備わったワイン。土地の個性をうまく表現したワインは万人受けしないかもしれないが、この個性は他のブルゴーニュでも一線を画すものに違いない。

【伊勢丹京都店 4,500円】

2013年10月11日 (金)

ドメーヌ・アンヌ・フランソワ・グロ ヴォーヌ・ロマネ クロ・ド・ラ・フォンテーヌ2008 AOCヴォーヌ・ロマネ

131011vosneromanee先々週の気温急変以来体調を崩して、お酒も控えめの状態だった。その後はとある熱帯地区を旅し、その後この日本の暑さ。今回は気温の変化がモロに体調に来た模様。

暑さも続いて缶ビール一杯の生活が続いたが、終末を迎えてようやく赤ワインを飲む余裕も出てきたので、久しぶりにグロ一族の王道ワインを。

ヴォーヌ・ロマネはブルゴーニュでも特級中の特級である6の畑が集う村である。ロマネ・コンティ、ラ・ロマネ、ロマネ・サン・ヴィヴァン、リシュブール、ラ・ラーシュ、ラ・グラン・リュと、そうそうたる面々。こんなワインたちにはそうそうお目にかかることはないだけに、自分にとっては既にその名前からして敬遠してしまう要素になる。しかし、村名でも、名だたる生産者のワインであれば納得できる品質であろう。このブルゴーニュを代表するグロ家の一員、アンヌ・フランソワーズ・グロの「泉」と呼ばれる畑は、村名ながらモノポール。

色は黒味の強い落ち着いたダークルビー。香りはブラックベリー、バラ、鉄、ゴム、ブラックペッパー。

口に含むと凝縮感と軽やかさが両立した、酸味と果実味の密なアンサンブルが感じられる。味わいはシンプルでチャーミングな甘酸っぱいベリーの旨味に満ちており、快活。複雑さ、膨らみの感覚よりも、率直でわかりやすい味で迫ってくるのが潔い。タンニンも、このピュアな果実味を抱擁するには抜群のバランス感、繊細さを備えており、全体の角のない、こなれた丸みのある味わいを形作る。

余韻も程よい渋みとピュアなブドウの甘さが密接に絡み合い、一体となった旨味を残しながら柔らかく軽やかに引いていく。

ブルゴーニュの赤を素直に美味しいと思える、そんなナチュラルかつエレガンスさを表現したワインと言えるのではないだろうか。負担感なくスルスルいけちゃうので、軽く1本開けちゃいそうな、危険な予感。

【Cave d'Orange北新地店 5,800円?】

2013年7月29日 (月)

リリアン・デュプレシ シャブリ・プルミエ・クリュ ヴァイヨン AOCシャブリ1erクリュ

130727lilianduplessis最近実はビールにはまっていて、箕面ビール、伊勢角屋といったクラフトビールを飲む機会がかなり増えてしまった。そのせいで、ワインのテイスティングの機会も少なくなっていたのだが、久々に白ワインと向き合ってみることに。

白ワインの中でもシャブリは自分として愛着が深い。飲み始めた当時は、フランスの白と言えば誰でも知っているのはシャブリくらいだった。今では多様化が進みすぎたせいか、かえってシャブリが軽くみられるような感じがあるのは残念。

一口にシャブリといっても、作り手作り方によって印象はかなり異なる。この作り手、リリアン・デュプレシはトラディッショナルだが、ブドウ栽培はビオロジック、この1級畑ではステンレスタンク発酵ののち、樽熟成を行っている。

色は滑らかな質感のあるゴールドイエロー。香りは少し酸化した時のリンゴ、カリン、ニッキ水、蜂蜜。

口に含むと滑らかさとシャープさを両立させた酸が勢いよく飛び出し、その後リッチな旨味を伴った果実味がゆったりとすそ野を広げてくる。ボリューム感は中庸だが、集中した味わいは口の中で主張をもって迫る。中盤から広がる繊細な苦みを持ったミネラル感が複雑さを演出し、そのミネラル感を程よく包む滋味の構造が心地よい。

終盤は最後まで息を切らさない芯のある酸味が引き締めつつ、シャブリらしいミネラル感の豊富な味わいをのこしながら長くゆったりと引いていく。

シャブリと聞いて思い浮かべる味わいを忠実に再現してくれる、堅実なワインと言えようか。決して大きな味わいではないけれど、この価格の1級畑で向き合えるだけの濃密さを備えているのは有難い。

【創酒タカムラ 3,500円?】

2013年6月29日 (土)

クロ・サロモン(ドゥ・ガルダン) ジヴリー プルミエ・クリュ クロ・サロモン AOCジヴリー 1erクリュ

130629givry_salomon_2ブルゴーニュはコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌ、いわゆるコート・ドール、「黄金の丘陵地帯」を中心に語られることが多いが、その南にもコート・シャロネーズ、マコネという地域があり、前者では赤、後者では白を中心としたワインが産出される。

コート・シャロネーズには、モンタニー、ジヴリー、メルキュレ、リュリー、ブーズロンといったAOCが存在し、モンタニー、リュリーとアリゴテで有名なブーズロンは白が優勢で、ジブリーとメルキュレは赤。ブーズロン以外は1級畑も存在する。この中ではメルキュレのワインは比較的古くから日本にも入っていたので、なじみが深い。僕もフェブレィというネゴシアンのメルキュレは以前良く飲んでいた。

そのメルキュレの南に位置するジヴリーはローマ時代からある古い村で、ボディの豊かなメルキュレのワインよりも柔らかな、よりデリケートなワインになると言われる。このドゥ・ガルダンは十字軍時代まで歴史が遡れる、この地で最も古い代表的なドメーヌだ。

色は黒味の強い、肉付きの良さを感じさせるしっとりしたダークルビー。香りは最初は少し控えめに熟したイチゴが香り、徐々に枯葉、革、鉄さびといった香りが現れ、バックには黒ゴムのような有機的香りが感じられる。

口に含むと細かでジューシーな酸を感じ、その後に滑らかな質感と共に柔らかい、イチゴの甘い果実味が舌の表面を包む感じで広がる。穏やかな飲み心地で、特別な個性を出すような抑揚、膨らみは抑えられ、全体のバランスを重視する洗練された印象。幾分切り込みに欠ける印象はあるものの、中盤はの落ち着いた果実味は、やがて後半のほのかな苦みへと繋がり安定感を増す。

余韻は繊細で透明度の高い旨味が爽やかに口の中を漂い、ボリュームを考えれば意外に長めの味わいを残しつつ、ゆっくりと引いていく。

メルキュレの肉質感と比べると、そのボリューム感を抑えつつ、より広さと深さを志向したような味わいと言えるだろうか。この落ち着いた味わいは、穏やかな休日を共に過ごすには格好のコンパニオンになるだろうな。

【Cave de Terre淡路町店 3,500円?】

2013年6月19日 (水)

ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ アロース・コルトン2010 AOCアロース・コルトン

130616aloxecortonワインを飲むにあたって思うのは、万遍なく飲むということ。そしてそれぞれの優劣ではなく、そのワイン自体の力、生産者の意図を感じることが大切だと思っている。飲み初めの当時は背伸びして、ブルゴーニュやボルドーを第一と考えて迎合もしたが、今はそうした呪縛もなく楽しめるようになったと自分なりに感じている。

それでもブルゴーニュ、ピノ・ノワールの魅力にはやはり諍えない。それほど、ピノ・ノワールという品種は蠱惑的なのだろう。古くも若くも、岸壁に孤高として立つような凛としたストラクチャーのあるこの品種は他に例えようのない魅力がある。

ジュヴレ・シャンベルタンを本拠とするドメーヌ・シャルロパン・パリゾは最近とみに人気が出てきた作り手で、今では約40AOCの畑を所有するという。値段も同じAOCでは他の作り手に比べると高いが、このアロース・コルトンは比較的低めの価格て楽しめる。

アロース・コルトンは、コート・ド・ニュイに接するコート・ド・ボーヌ最北に位置するグラン・クリュ、コルトンを構成する3村の一つで、ペルナン・ヴェルジュレス、ラドワ・セリニーよりも南に位置する。

色は赤みがありつつも濃密さと暗さをまとったルビー色。香りはオークがしっかり感じられ、ヴァニラ、カシス、土、胡椒、チョコリキュールの甘い香りも感じられる。

口に含むとピュアで芯の通った若いベリーの酸味があり、その直後からどっしりした存在感を示す熟した果実味ときめの細かいタンニンが広がってくる。序盤から中盤にかけてのフォルムの滑らかさと、現代的なクールな感覚が印象的。果実味は密度が高いが、スケール感が大きくなくやや内向的。しかし味わいの純度の高さと、全体を構成する引き締める酸を活かしてまとめあげる構成力は見事。後半は緻密なタンニンが、果実味のボリューム感に適したグリップ感を発揮し、まとめあげる。

余韻は熟したベリーの甘さが切れ良く昇華し、しっかりしたタンニンと酸味が口の中をリセットしつつ、長い穏やかな甘みがゆっくりと収束していく。

ボリューム感がありながら決して過度に走らず、味わいはで負担感なく体に浸透してくる感じがするのがシャルロパンのイメージなのだが、このワインもそうした共通点を持っていた。生産者の意図が素直に感じられるワインだったな。

【阪急百貨店梅田本店 5,000円?】

2013年5月21日 (火)

オリヴィエ・ジュアン モレ・サン・ドニ プルミエクリュ ラ・リオット ヴィエイユ・ヴィーニュ2008 AOCモレ・サン・ドニ 1erクリュ

130520moreysaintdenisプレミアも終わり、アーセナルはなんとか4位に入ってチャンピオンズリーグの出場権は得た。来季こそはタイトルを取って欲しいのだが、まずはオフシーズンの強化をどうするかが注目だ。

最低限の結果とはいえ、やはり4位入りはうれしいもの。ちょっと贅沢な気分を味わいたいのでブルゴーニュ、大好きなモレ・サン・ドニを。

オリヴィエ・ジュアンはモレ・サン・ドニを本拠とした作り手で、1999年にドメーヌを継承した。ジヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニィに挟まれたモレ・サン・ドニは、2村に比べると一段格下に見られがちだが、特級畑を5つ擁し、村の3割がその特級畑という質を誇る。

そのモレの1級畑は、特級畑のよりも斜面下部に位置しており、ラ・リオットも村の中心部、特級畑クロ・ド・ラ・ロッシュの南端に連なる。オリヴィエ・ジュアンの畑では樹齢も60年以上と古い。

色は濃密な暗い赤紫。香りはプラム、シナモン、胡椒、黒オリーブ。濃厚で甘みを強く感じるあ香りが放たれる。

口に含むと熟した濃厚な果実味とミネラル感がはっきりと感じられ、安定した味わいを序盤から形成する。ストレート、素直なベリーの旨味が中心に座り、タンニンも粒子が細かで酒質を邪魔しない。中盤からの膨らみはおとなしく、若干フラットな印象だが、透明度のあるクリーンな甘さが心地よく広がり、後半にはスパイシーさと辛さに似た不思議な味わいも現れ複雑さを演出する。

余韻は細かな酸とベリーの甘みが絡み、その甘みも切れ良く雑味を残さずに上品な印象を残して引いていく。

正直オリヴィエ・ジュアンのワインは過熟のイメージがあったのだけれど、このワインも確かに濃密ではあるがくどさが感じられないので、上品さを保っている。そしてそれぞれの味わいの要素が細かく、豊富なミネラル感がこのワインに複雑さをもたらしている。ジュブレの力強さ、シャンボールのしなやかさとはまた違う、モレのテロワールを表現しようとする作り手の一つの答えと言えようか。

【創酒タカムラ 7,000円?】

2013年4月10日 (水)

ドメーヌ・ミシェル・ラファルジュ ブルゴーニュ・ルージュ2009 AOCブルゴーニュ

130407lafarge_2ブルゴーニュは好きだけど、なにぶんお高くて。。。ブルゴーニュ全体をカバーするブルゴーニュというAOCはあるが、これが千差万別、作り手によって差が激しすぎて、予想がつかない。なかなか手を出しにくいカテゴリーだ。

信頼できる作り手のAOCブルゴーニュであれば安心できるのだけれど、そうなると価格に反映される。しかしこのワインは著名な作り手の割に価格は抑えられている。試すにしくはない、というところか。

ドメーヌ・ミシェル・ラファルジュはヴォルネイの有数の作り手。柔らかなタンニンと、フルーティなワインを志向し、若くても美味しいワインを世に送る。農法はヴィオ・ディナミで、収量を低く抑えてテロワールとラファルジュの個性を表現することを第一としている。そしてブルゴーニュや、ブルゴーニュ・パストゥグランも決して手を抜かない。特に後者は樹齢70年のブドウから造られているというから、一度試してみたいものだ。

色は薄めだが、澄んだ若々しさと落ち着きを感じる明るいルビー色。香りは紫蘇が顕著で、アセロラ、スミレ、胡椒、インクのような香りもバックに感じられる。

アタックは穏やかだが、芯のあるピュアなベリーの酸味を感じ、その後で若いフルーティなイチゴの甘さが広がる。適度に熟れつつ、若さも損なわないベリーの美味しさが満ちており、複雑な味わいではないものの、それを捨てて余りあるストレートな美味しさが伝わってくるところが素晴らしい。タンニンも細かで緻密。中盤から後半にかけて広がる優しい旨味も心地よい。

余韻はしなやかなシルクの質感を感じさせるフルーツの甘みが口の中に広がり、全体がほどけていくような感覚を残しながら、柔らかさを最後まで保ちつつ引いていく。

実はボトルに澱が大量に残り、落ち着くまで一日置いていたので濃いワインを想像していたのだが、飲んでみたら見事に予想を裏切り、棘のないしなやかな味わいで驚かされた。この静謐な味わいは、AOCブルゴーニュでは出色の高貴な味わいと言ってよさそうだ。Good JOB!

【伊勢丹大阪店 2,800円】

2013年1月28日 (月)

ジル・エ・カトリーヌ・ヴェルジュ ヴィエィユ・ヴィーニュNV ヴァン・ド・ターブル(フランス・マコン) 

130125verge_2Vieilles Vinges、古木から造られるワインという表示があると、かなりの確率で釣られてしまう。しかし、この表示自体にはなんら客観的な根拠は保障されない。生産者が古木としてしまえば、それで通用してしまう。だからワインの質をこの一句で測ることは危険だろう。

このワインもVieilles Vingesとあるが、しかしそれに加えてVin de Table de Franceとある。法的にはワインのカテゴリー上最下位にあるワインで、この表記はありえない。そしてさらにありえないことに、このワインが作られるブドウの樹齢は120年だという。

ジル・エ・カトリーヌ・ヴェルジュはブルゴーニュの最南端部、マコネの生産者で、ブドウに対するこだわりは際立っているという。ヴェルジュ夫妻は、AOCヴィレ・クレッセも名乗ることができる土地で、このワインはあえて何の制約も受けないヴァン・ド・ターブルにすることで、自分たちの造りたいものを表現している。ビオ・ディナミを実践することに加えて、徹底したSO2無添加、醸造にも人為的なものは極力避ける自然派の造りだ。

色は褐色をほんのりと帯びた、枯れた麦わら色。花梨、松脂といった粘質な香りに加えて、セメダイン、エナメル、ビニルの有機的香りが強く感じられる。

口に含むと酸味は後方に控えて、スプーンを舌に押し付けたときのような金属的な味わいの直後に自然な甘みがじんわりと前面に押し出てくる。今まで試したシャルドネのワインとは根本的に異なる味わいで、若干ビオワイン特有の香りが気にならないわけではないが、それ以上に抵抗感のない優しい甘みが体が欲するように染みてくる感覚が心地よい。

余韻はふくよかな甘みとカリンの香りが薄く広く口の中に広がり、時間を経てもすんなりとは力を緩めず、ようやく長い時間をかけて穏やかに減速していく。

ブルゴーニュとはいえ、ブルゴーニュとは全く異なる個性。これを表現するのであれば、ヴァン・ド・ターブルにせざるを得なかったのもうなずける。シャルドネでこういう世界を表現するとは、ワインというものは全く奥深い。。。

【ethelvine岡崎店 3,800円?】

2012年12月29日 (土)

パトリス・レオン シャンボール・ミュジニー ミレジム2004 AOCシャンボール・ミュジニー

121229patriceleon今年ももう年末になってしまった。振り返ると早いなぁと思ってしまうが、今年も相応に飲んできたような気がする。収めのワインは何にするかはまだまだ思案中。

仕事納めを記念してワインは、ゆったりしたブルゴーニュがいいかなと思ってこのシャンボール・ミュジニーを。作り手はニュイ・サン・ジョルジュの名手、ドメーヌ・ダニエル・リオンの長男、パトリス・レオンで、このワインはいわゆるネゴシアンもの。

ネゴシアンものといっても、パトリス・レオンの場合は契約農家に対して必要な品質上の支持を細かく与える。だから、むしろネゴシアンものといっても品質は高く、それでいて価格的にはそれほど高くならない点がありがたい。このワインは村名ワインだが、一級畑のブドウが使われている。

色は明るめのルビー色。エッジにほんのりとオレンジ色がかったニュアンスが現れている。香りはフランボワーズ、アセロラ、バニラ、スモーク香、黒胡椒、黒餡のような甘めの香りが感じられる。

口に含むと、クリアで熟した赤い果実の酸味の中に溶け込んだ細かなタンニンが感じられる。密度が高い味わいで、熟した果実の旨味は甘ささえ感じる。その甘みを伴った果実味のバックには、カツオだしのような旨味もしっかりと感じられ、シャンボールの繊細な味わいを予想すると、そのダイナミックさにいささか裏切られる。しかし全体の味わいは調和を崩さず、ブルゴーニュのピノ・ノワールらしい、活きた酸味と透明度の高い果実味のストラクチャーの中で展開する。

余韻は熟したベリーの甘みがデザート感覚のように広がり、穏やかな浮揚感を残しつつ、最後まで息を切らさない酸味のサポートを受けて、キレよく潔く引いていく。

口に含むと大きく膨らむ果実味、旨味の感覚はシャンボールらしいが、それにさらにパワーを加えたインパクトのある味わい。ネゴシアンものとはいえ、これだけの深みを演出できるのはさすがという感じだな。

【Cave d'Orange北新地店 5,500円?】

2012年12月 3日 (月)

デジオイア・ロワイエ ブルゴーニュ・ルージュ2010 AOCブルゴーニュ

121202bourgogne普段フランス語を話す機会はめったにないけど、先週の土曜日は珍しくフランス語の練習をさせてもらう機会が連続した。このワインの生産者、ミシェル・ロワイエ氏との会話、通りがかりで入ったガレット屋さん、そして夜のベレシュ氏とのメーカーズ・ディナー、となぜか連発だったが、言いたいことはそこそこ話せたのでまぁ、一安心。でも聞く方はさっぱりです、実は。

デジオイア・ロワイエはシャンボール・ミュジニーの作り手。当主のミシェル氏はこの日のイベントにいかにも農家という感じのジャンパー、フリースという出で立ちで現れた。人よりも多く畑に立ち、最悪の場合も考え、畑のためにはあえて農薬という選択肢も残す、リュットレゾネを実践する。このブルゴーニュ・ルージュは90%がシャンボール・ミュジニーの畑で栽培されるブドウで作られ、平均樹齢35年、50%をステンレスタンク、50%を1~3回使用の樽で12か月熟成させている。

色は紫色がかった暗めのルビー色。香りはブラックカラント、スミレ、黒オリーブ、メントール、ロースト香もバックに感じられる。

口に含むとまとまりのある密度の高い、赤いベリーの酸を感じる。その中に、細かではあるが、全体にはぎすぎすしたタンニンがあり、こなれるにはもう少し時間が必要なようだ。果実味は中程度だが内容はしっかりと感じられ、要素が密に詰まって、均整のとれた味わいになっている。中盤から後半にかけて、樽の要素と思われる少し乾いた味わいが広がる。

終盤は伸びやかな純度の高い酸とピュアな果実味、樽から来るのか主張の強い細かな渋味が相まって、厚みのある味わいを残しながら、長めの余韻を残しながら引いていく。

ミシェル氏が「シャンボールがAOCが上位に進むごとに、ボリューム感は控えつつ、より繊細度を増していく。それが他のAOCとは異なる点だ。」と語っていたが、シャンボールに関して自分が感じていた点をまさに言い当てていた。それであれば、このAOCブルゴーニュにボリューム感を感じるのも当然かな。上位キュヴェも楽しみたいけど、それはもう少し時間を置いて。

【創酒タカムラ 2,500円?】

2012年10月15日 (月)

ドメーヌ・フェヴレイ ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ クロ・ド・ラ・マレシャル2002 AOCニュイ・サン・ジョルジュ1er

121014nuitワインは結構飲んでいるつもりだが、高価なものを1本飲むよりは、手ごろに良いものを3本飲む方が性に合っているので、ブルゴーニュはボルドーの有名どころ、ヴィンテージ物はおそらく永遠に性に合わないんだろう。この辺りは凄すぎる人たちに任せておいて、たまの機会にお付き合いする程度でいいと思っている。

それでもたまには少し気取ったブルゴーニュも試してみたいときがある。これも比較的お手頃価格のブルゴーニュで、しかも1級畑、そして定評のある大手ネゴシアンであれば、まずさほどの心配はないはず。

ネゴシアンとはいうものの、このニュイ・サン・ジョルジュに本拠を置くこの大手が自社畑以外から生産するワインは、全生産量の3割に留まっているという。1級畑であるクロ・ド・ラ・マレシャルはニュイ・サン・ジョルジュの最南端で、ニュイ最大のモノポール(独占畑)として有名だが、元々はフレデリック・ミュニエの畑であった。2003年までフェヴレイに貸し出されていたが、今では契約終了により返還されている。コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの境界に位置するので、ワインはニュイの力強さよりも、ボーヌの果実味の柔らかさに近い味わいになるという。

色はしっとり湿った暗めのルビー色。香りはダークチェリー、鉄、カカオ、ドライハーブのような香りも感じられる。

アタックはまろやかな酸と、まだ若さを残すベリーの果実味が感じられる。その直後、タンニンの渋さがやってくるが、まだ硬さと少しのえぐみが残っており、昇華しきれていない。果実味の厚みは中程度で、強くはっきりとした主張をする収斂性のあるタンニンとのボリューム感が異なり、バランスを崩している。果実味に芯の強さがあればかなり良い感じになるのだが、いかんせん細めの印象は否めない。

余韻はタンニンが収まった後のチャーミングな果実味が残り、上品なアフターフレイバーをに漂わせながら閉じていく。

ニュイらしい力強さがしっかり感じられるが、その割にボディが細いので、それについていってない感じ。果実味に充実さがあればもう少し違った印象になったのかもしれないが、若干弱めだったのは残念かな。それでも価格帯を思えば結構なんだけど、期待値が高いから今日は辛めのコメントで。

【Cave d'Orange 5,500円?】

2012年7月 2日 (月)

ルイ・ジャド ムルソー・ブラニィ AOCムルソー 1erクリュ

011_27月に入って完全にワインは白モード。ゆったりした休日にはそれなりに風格のある白ワインをじっくりと味わいたいもの。この日はブルゴーニュの白の王道、ムルソーを。

ムルソーと言えばブルゴーニュの白でもリッチで、焦がしたバターの雰囲気を持った濃厚なワインというのが、ワインを飲み始めたときの印象だったが、最近はワイン全体の流れもあるのだろうか、果実味は残しつつ、やさしい口当たりの味わいにかわってきたような気がする。

コート・ド・ボーヌで最大の産地であるムルソー村、その97%が白ワインを産出している。プルミエクリュが固まる斜面地帯は石灰岩か泥灰岩を母岩とした土壌となっており、このブラニィはムルソーでも南のシャサーニュ・モンラッシェ村に接した場所で産出されている。

色は輝きの強い華やかな黄金色。香りは焼き立てのクロワッサンをまず感じ、そこに覆いかぶさるようなジンジャー、バックにはアーモンド、白コショウの香り。酸化熟成香も強く感じられる。

口に含むと全体ではふっくらとしているが、個々には稠密な酸をまず感じ、その酸に引き出されるバランスのとれた均質な果実味がやってくる。果実味はふくらみは中庸だが、しっかりした旨味がある。羽毛にくるまれたような優しさ、柔らかさを感じさせる中盤の心地よさがあり、全体として重厚さは強くは感じないものの、軽やかさの中に詰まった質感がこのワインに複雑さを与えている。

余韻は穏やかで細かな酸が戻り、シェリーにも似た酸化熟成の香りがふくよかに口の中に漂いつつ、切れの良い引き際を示しながら、やさしく緩やかに引いていく。

ムルソーと聞いて思い起こされるようなボリューム感はないものの、内向的なベクトルをもって味わいが密に詰まった、複雑さを兼ね備えたワイン。梅雨の中、家でゆっくり過ごして向き合うにはまさに適したワインと言えるだろうな。

【Cave de Terre 淡路町店 6,500円?】

2012年4月30日 (月)

ドメーヌ・ルーロ ブルゴーニュ・ブラン2004 AOCブルゴーニュ

120424roulotワインを飲み始めてかなりになるけど、同じ作り手、同じ場所でも造りはやはり違ってきていると思う。嗜好とは流行でもあるので、変わることを否定るするものではない。しかし、ムルソーなどは特に変わったと思うことしばしばだ。

飲み始めたころのムルソーは大柄で肉付きがよく、ヴァニラの香りが発散するようなワインだった。それがムルソーという土地のキャラクターだと思っていたが、やがてそれがオーク樽によるものだとわかり、そして厚着したようなワインを敬遠しはじめたこともあってムルソーからは離れて行った。

しかしムルソーも次第にオークの呪縛から解き放たれて、土地由来の真の個性を表現する動きが出てきた。その代表がコシュ・デュリであり、そしてこのジャン・マルク・ルーロもその一人だ。

ジャン・マルク・ルーロは元々演劇の道を志したが、お父さんの急死で82年に実家のワイン造りを継ぎ、そして今に至る。このブランはムルソーの畑に近接しており、そしてムルソーとほぼ同じ造り方で醸造されている。

色はつややかで表面に張りのある金属的なゴールドイエロー。香りはアプリコット、パイナップル、乳酸飲料、杏仁豆腐の香りも感じられる。

口に含むと直線的な酸が感じられ、それに率いられるようにミネラル感、ヨード的な旨味がしっかりと浸透してくる。スタイリッシュで、昔のムルソーに感じられたような重々しさは殆ど感じられない。中盤から余韻にかけて大きな膨らみはないものの、豊かなミネラルがワインに複雑さをもたらし、くどさのない心地よい味わいと調和して洗練された雰囲気を醸し出す。

余韻は程よい果実の旨味が細く低く染みわたり、綺麗で棘のない味わいを残しながらやわらかく引いていく。

エレガントなワインを作りたい、という造り手の意思を反映した、非常に綺麗なワイン。ふつうに楽しむには十分すぎる味わいだけど、彼がこのままの延長戦でムルソーを作ったらどうなるのだろうか?まだ試したことはないけれど、近いうちに飲んでみたい、そんな気分にさせられるワインだったな。

【Cave d'Orange 北新地店 4,000円?】

2012年4月29日 (日)

フレデリック・マニャン モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ リュショット

120427magnien4月は目が回るというほどではなかったが、忙しい月だった。いつもに比べるとワインの消費量も落ちていたように思う。冷蔵庫の中の缶ビール1本で済ませる日も多かったし、このGWは少しいいワインも飲んでみたい。

ということで、まず1本目はブルゴーニュでも自分が好きなアペラシオン、モレ・サン・ドニのプルミエを。

フレデリック・マニャンはモレ・サン・ドニを基盤とする一家の出で、新たなネゴシアンとしてのワインを生産している意欲的な醸造家だ。彼はテロワールという土地由来の特色、個性をワインに引き出す重要性を認識しているが、それを生産者による違いに依らないワインをつくるためにあえてネゴシアンとしてのワインに注力している。

色は落ち着いた深みのあるルビー色。香りはフランボワーズ、スミレ、スパイス、黒糖、ロースト香。

口に含むと熟した赤い果実のチャーミングな酸味が柔らかく浸透する。バランスよく刺激の少ない果実味が口の中にやさしく広がり、口腔を押し広げるような浮揚感を感じさせる。タンニンは控えめだが、密でしっかりしたベースがある。ボリューム感、複雑さに欠ける感じはあるが、まとまりの良さが穏やかな心地へといざなう。中盤から余韻にかけては、柔らかな果実の甘みが広がる。

余韻は熟したストロベリーの甘みが口いっぱいに広がり、デザート感覚のような心地を残しながら、長い後味を保ちつつ引いていく。

全体のバランスが取れていて、おそらく誰もが美味しいと思える味に仕上げられている。グイッと引き寄せるような力強さは感じられないが、そればかりだと疲れてしまう。こういう穏やかさが前面に出ているブルゴーニュも素敵に思える、休日のゆったりした時間を過ごすにはぴったりのワインじゃないかな。

【Cave d'Orange北新地店 5,000円?】

2012年3月14日 (水)

ドメーヌ・アンヌ・エ・エルヴェ・シゴー シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・シャルム2004 AOCシャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ

120312chamboleブルゴーニュの三大人気地区というと、ジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニーということになるんだろうか?ちなみに自分はモレ・サン・ドニ、ニュイ・サン・ジョルジュ、サヴィニ・レ・ボーヌあたりになりますが、これは価格的なものも多分に影響しております。。。

この三大人気の中でもシャンボール・ミュジニーは特にその名前の響きもあって、気品、優雅さという感じを受ける。事実、ブルゴーニュ北部のコート・ド・ニュイでは最も優しいしなやかなピノ・ノワールという評価を受けているようだ。北をモレ・サン・ドニ、南をヴージョに挟まれたこの地はボンヌ・マールとミュジニィという特級畑を擁し、そしてその特級以上の評価を受けることもあるレ・ザムルーズ(恋する乙女たち)をはじめとした多くの一級畑が広がる、まさに銘醸地だが人口はわずか300人だという。

ドメーヌ・エルヴェ・シゴーは歴史は19世紀中頃にさかのぼるということだが、評価は1996年頃から上昇し、未だ日本において著名とはいえないものの、無農薬栽培、グリーンハーベストによる収穫量の制限、新樽の仕様制限、無濾過瓶詰により品質を向上させている。この畑、シャルムは北のボンヌ・マール、南のミュジニィ、両特級畑の中間に位置する最大の一級畑で、その名「魅力」のとおり、繊細かつエレガントなワインを産むという。

色はしっとりした濡れた質感のある暗めのルビー色。香りはブラックベリー、黒胡椒、湿り土、スミレの香り。

口に含むとまとまりのある熟した果実味と滑らかできめの細かなタンニン。土のニュアンスが若干強く感じられるが、それをカバーするふっくらした果実味、柔らかな質感。調和した味わいはシャンボールらしい特徴と言えるが、もう少しストラクチャー、押しの強さがあってもいいだろうか。しかし、全体のまとまり、優雅さは素晴らしく、いささかの力みも感じない中盤から後半にかけての展開は、ブルゴーニュを飲むときの気分にふさわしい。

余韻は熟れた果実の甘さがふんわりと広がり、軽やかで長い後味を形作りつつ、ゆっくりと引いていく。

全体的によくまとまった、調和を重視したワインになっている。味わいの要素一つ一つに決してインパクトがあるわけではないが、飲んだ後に嫌な気分を残さない、親しみやすさを演出してくれるワインだった。ゆっくりと一本向き合うにはこうした派手さを嫌ったワインの方が好ましいともっているんだけどね。

【Cave de Terre淡路町店 6,500円】

2012年1月16日 (月)

ジャン・フィリップ・マルシャン ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエクリュ レ・ブード1996 AOCニュイ・サン・ジョルジュ1er

120114nuits_2今年もたぶんワインを飲み続けるんだろうけど、その主体となるのはピノ・ノワールにどうしてもなってしまいそうだ。シャンパーニュもブラン・ド・ブランより、肉付きとしっかりした酒質のあるブラン・ド・ノワールにより惹かれてしまう。

ピノ・ノワールといえば、やはりブルゴーニュだけど、自分の好きな地域はニュイ・サン・ジョルジュであり、モレ・サン・ドニ。この嗜好もおそらく変わらないんだろうな。

そのニュイの中でもこのワインの畑は一級畑でレ・ブードというが、ニュイ・サン・ジョルジュという地域は町とその中を流れる川を挟んで南北に分かれ、北はヴォーヌ・ロマネ、南はボーヌへとつながる。このレ・ブードは最北端に位置し、その北はすぐヴォーヌ・ロマネの畑になる。ヴォーヌらしい上品な厚みのあるワインになりそうだが、どうだろうか?

色は周縁に熟成感を漂わせた褐色味を帯びたルビー色。香りはカシス、土、バジル、アールグレイの香り。

口に含むと柔和な酸味が広がり、滋味豊かな薬草成分のような味わいが広がる。スモーキーサとスパイシーさが融合し、複雑さが感じられるが、果実味が少し細い感じ。しかし、全体には薬草的な味わいが勝っているため、若干バランスの偏りも感じさせる。若干のざらつき感もある。後半はしなやかな旨味が広がり、隠れていたタンニンの渋みもしっかりと顔を出し、落ち着きを与える。

余韻は繊細な程よい甘みが伸びやかに引き出され、その味わいを保ちながらゆっくりと引いていく。

熟成感もあり、しなやかな酒質もあるが、もう少し味わいの厚みがあればと思う。1996年でこのレベルのワインとしては少しピークも落ち気味なのかもしれないが、

2011年10月 2日 (日)

アレクサンドル・ジュヴォー プレティー2009 ヴァン・ド・ターブル

111001jouveauxようやく夏の気配も遠のき、季節は秋の色を濃くし始めた。家の近くの公園では早くも金木犀の香りが漂っている。攻撃的で肌を刺すような日差しの痛さはなくなり、漂う空気も肌を撫でるような優しさを感じる。

なんて、事を言ってみたくなるような秋が到来。ようやく少し濃そうなワインとも向かい合うことのできる心の余裕ができてきた。で、外観からいわくありげなこのワインを。

ブルゴーニュのシャルドネなんだけど、なぜかヴァン・ド・ターブルのカテゴリーに落ちている。このワインの作り手、アレクサンドル・ジュヴォーはブルゴーニュで2001年にワインを作り始めて、人為的な介入を極力しない農法、醸造法でワインを作っている。当然手摘み、天然酵母での発酵醸造、そして瓶詰め前の澱引き、濾過もしない。ブドウの木は樹齢70年を超えている。

色は少し薄濁りの感じがある黄色。グラスの表面に発泡がある。香りは少し茶色がかったリンゴ、カリン、松ヤニ、シナモンの香り。

口に含むとかすかなガス感があり、酸は当初はまろやかだが、徐々に鮮烈さを増し舌の表面を包んでいく。甘みは強くなく、ベースにグリップの効いたほろ苦さを感じる。ミネラル感が豊かで、膨らみ感は少ないものの、落ち着きのある浸透力の強い味わいが、地平線を見通すかのように中盤にかけて穏やかに広がってくる。

余韻はミネラル感主体の苦みがしっかり備わり、戻ってきた酸がまろやかな一面を見せつつ、口の中をリセットして綺麗な後味でしめくくる。

想像では暴れん坊で、かなり濃い味かと思ったんだけど、予想に反して非常に穏やかで柔らかな旨みのあるワインだった。造り手は決して売るには有利にならないこういうワインをどうして造り続けるんだろう? ワインのカテゴリーってなんなのか?そんな事を考えずにはいられない個性のあるワインだった。

【Wineshop FUJIMARU 3,123円】

2011年6月13日 (月)

ジャン・マルク・ブロカール シャブリ2009 AOCシャブリ

110611brocrd名前忘れたけど、新大阪駅の地下1階のスーパー、結構重宝している。成城石井の系列だと思うんだけど、東京日帰り出張で21時くらいに戻ってきたときにまだ開いていて、ワインも結構あるので冷えているのを買って帰ると、約20分で帰宅した頃には晩酌用にはいい温度になっている。勿論アテも一緒に購入。

そういう場合はやっぱり白ワインになるけど、このワインもその時に購入したもの。村名シャブリだが、造り手は名手、ジャン・マルク・ブロカール。

栽培面積180haの大手となったこのドメーヌ、今はジャンが引退して若い息子のジュリアンが引き継ぎ、ビオディナミ農法に変えた。ブルゴーニュでも最大のビオディナミによる生産者だという。

色は黄緑がかった張りのある硬質なレモンイエロー。香りはレモン、リンゴ、栗、潮のニュアンスがバックに漂う。

口にすると表面の舌触りはまろやかだが、芯の通った酸が勢いよく突き進んでくる。その芯に導かれてやってくるフレッシュな果実味。角の取れた酸味が心地よく口の中に広がる。ベースにしっかりした苦みとミネラル感。バランスの良く取れているが、個々の味わいは明瞭に感じられる。

余韻はキレの良い酸がもたつきを感じさせず、口の中をリセットして潔くさらっと引いていく。

酸、果実味、ミネラル感といった要素はきっちり感じさせつつ、バランス良くまとまっている。そして、この中でははっきりしているんだけど、まろやかさも併せ持った酸が非常に印象的。村名でこれだけの物を作り上げるんだから、上級キュヴェもどうなのか?と興味持っちゃうね。Good JOB!

【新大阪駅地下のスーパー 2,500円?】

2011年6月11日 (土)

ドミニク・ガロワ ジュヴレ・シャンベルタン プルミエ・クリュ レ・グーロ AOCジュヴレ・シャンベルタン 1erクリュ

110610galloisアジア方面に海外出張に行く事も多いけど、その度にワインが恋しくなる。超高級ワインは置いてあっても、気を惹くようなワインはそうそうお目にかからない。負け惜しみに聞こえるかもしれないけどね(笑)。

日本に帰ってきて久々に飲んだブルゴーニュは、ジュヴレ・シャンベルタンの若手の旗手、ドミニク・ガロワ。シンプルだが、山吹色とグレーのコントラストがきれいなラベルも魅力的な作り手だ。

ブルゴーニュの数ある村の中でも最も知名度の高いジュヴレ。それだけに、造り手によって差が激しいのも事実だが、このドミニク・ガロワは小規模で、決してガチガチのビオ生産者ではないところが非常に好感のもてる造り手で、自分は大好きだ。

ビオワインに関しては特に否定するものでもないが、ビオだから正しい、ビオしか扱わないという向きには僕は違和感を覚える。ドミニク・ガロワはシェフ出身で、100年の歴史があるドメーヌを継承しても、昨今のビオ偏重の流れに乗らずに、農薬は使用量を抑えるが、決して否定することはない。その時の状況に応じて柔軟に判断していく。それでもブドウの品質を選ぶ姿勢は厳格で、厳しい選別を経たブドウによりワインを醸す。

レ・グーロの畑はジュヴレ村でも北端に位置し、標高300m以上とこの村でも最も高い場所に位置する。特級畑は南にあるが、北側の畑も個性的で評価が高いが、さて?

全体にレンガ色がかった、落ち着いた感じのルビー色。香りはフランボワーズ、黒オリーブ、スパイス、ゴム、ロースト香もベースにしっかりと感じられる。

口に含むと外郭はまろやかだがジューシーな酸が鮮烈に走り、充実し、かつきれいな果実味が感じられる。果実味はチャーミングで若々しい赤いベリー主体だが、要素が稠密に詰まり、そこに細かなタンニンが寄り添い、繊細だがボリューム感のある味わいを形作る。グリップはそれほど強くないが、チャーミングさとベースの安定感がうまくミックスし、両立している。

余韻は綺麗なベリーの酸味と甘みが口の中に広がり、雑味のない旨みを幅広に残しつつ、やさしくゆっくりと引いていく。

ジュヴレの銘酒にあるようなグリップの強さ、迫力には一歩譲るのかもしれないが、ピノ・ノワールに求めるピュアな果実味主体の味わいをバランスよく演出する造り手の技、意思を感じさせる。やっぱいい仕事しますわ、ドミニク・ガロワ。

【Cave d'Orange 7,350円】

2011年4月17日 (日)

ヴィルジル・リニエ・ミシュロ ブルゴーニュ・ルージュ2008 AOCブルゴーニュ

110416michelot一番苦手なワインのジャンルを問われれば、間違いなくブルゴーニュを挙げる。

この世界はスコッチにも似て、深さを極めればきりがない。その多くを把握するのは、普通のワイン好きには困難だが、本当にブルゴーニュを愛する人はその困難を克服して自分のものとしている。それを目の当たりにしてしまうと、この世界は自分のような者には能力的にも経済的にも無理と思ってしまう。

それでも好きなものは好きなので、広すぎる世界を絞って向き合うのが最良の策かもしれない。自分にとっては、今はニュイ・サン・ジョルジュとモレ・サン・ドニがその対象となっている。

ヴィルジル・リニエ・ミシュロはモレ・サン・ドニを本拠とする40代前半の若い作り手で、彼が3代目となるドメーヌの当主だ。1995年にこのドメーヌを引き継いで以来、濃厚主義とは一線を画すしなやかなワインを志向した。この2008のブルゴーニュはモレ・サン・ドニ村の南、シャンボール・ミュジニー村にある畑で醸したワイン。

色は湿った感じのある落ち着いた軽めのルビー色。香りはスミレ、サクランボ、スパイス、土の香り。

アタックの酸は穏やかで若干低め。その酸が若くストレートだが、クリアなベリーの果実味の隙間を埋めるように浸透する。タンニンは粒子は細かいが、総量は思いのほかどっしり。バランスが良く、抑揚こそ小さいもののシンプルに美味しいと思わせる味わいを中盤にかけて展開する。

余韻は程よい甘さをクリアな酸味がうまく引き締めて、おとなしいが主張はしっかりある味わいを残しつつ、ゆっくりとそのボリュームを減じていく。

おとなしいという表現が否定的に取られる危険性をあえて犯してでも、このワインを飲んで思うのはまさにその大人しさ、しかしその黙して語らない中に秘めた熱さ、複雑さが十分に感じられる。作り手のポテンシャルと意図が表現された見事なACブルゴーニュだと思った。Good JOB!

【パピーユ・ジャポネーズ 3,160円】 

2011年3月 2日 (水)

ドメーヌ・エレスツィン ジュヴレ・シャンベルタン1er ラ・ペリエール AOCジュヴレ・シャンベルタン 1erクリュ

110227heresztyn好きなブドウ品種はシラー、シラーと言っているものの、ピノ・ノワールは別格なのかもしれないな。今まで飲んできたものを見ていると、かなりピノ系の比率が多いことに気がつく。思えばワインに最初にはまったのはシラーだけど、そこからピノ・ノワールを彷徨った時期が結構あった。そこからボルドー、そしてやはり今はどちらかと言うとピノ系に落ち着いている。

ブルゴーニュの中でも好きな地域はモレ・サン・ドニや、ニュイ・サン・ジョルジュだが、今日は珍しく王道ジュヴレを。

ジュヴレ・シャンベルタンに本拠を置くドメーヌ・エレスツィンは、その名称からもポーランド系という事がわかる。フランスとポーランドの関係は歴史上も結構あり、ヴァロア王家のアンリがポーランド王に推戴されて後に兄の死と同時にフランスに舞い戻ってアンリ3世として即位、ルイ15世の妃はポーランド王の娘、そして皇帝ナポレオンが惚れた最も有名な愛人はポーランド人のマリアだったりして、その関係は昔から深いものがあったようだ。

ドメーヌ・エレスツィンは1993年からジュヴレでワイン造りを始めた新興のドメーヌ。高温発酵で色素を抽出し、浸漬は3週間、発酵は酵母無添加、14~18ヶ月をオーク樽で寝かせて熟成させる。

色は全体にうっすらとオレンジがかった明るいルビー色。香りは華やかで、スモーク香、鹿肉、香木、カシスリキュールの香り。

アタックはピュアな酸と緻密なタンニンが溶け合う、こなれた感覚。その後に角の取れた丸みのある果実味が小さな塊のように迫ってくる。外郭をくるむ酸は柔らかくとても伸びやか。ボリューム感は中程度だが、密度があり、旨みもしっかり感じられる。酸、タンニン、果実味のバランスも良い。もう少しグリップがあるとさらに深みが感じられるかもしれないが。

余韻は静寂を感じさせる落ち着いて広がりのある旨みと柔らかな甘さが続き、長くゆっくりと引いていく。

あまり名の知られていないドメーヌだけど、非常に真面目で目の行き届いた造りをしていることは感じ取れる。ジュヴレらしい厚みを持たせつつ、味わいはクリアで優しい味わいを目指すこのドメーヌは注目株かもしれないな。

【Cave d'Orange 7,500円?】

2011年2月 4日 (金)

ドメーヌ・ド・ペルドリ ニュイ・サン・ジョルジュ1erクリュ オー・ペルドリ AOCニュイ・サン・ジョルジュ1erクリュ

110228perdrixAOCニュイ・サン・ジョルジュ、この地域は一口に同じに扱えない難しいところがある。まず、この地域はニュイ・サン・ジョルジュ村とプルモー・プリセ村の二村が包含されている。そしてニュイ・サン・ジョルジュ村はモーザン川を挟んで南北に分かれ、北は隣接するヴォーヌ・ロマネ村、南がいわゆるニュイ・サン・ジョルジュらしい力のあるワインが生まれるという。

このドメーヌ・ド・ペルドリの畑、オー・ペルドリは南、プルモー・プリセ村に位置する1級畑で、標高250m。畑のほとんどをこのドメーヌが所有し、ブドウは100%除梗、発酵中にピジャージュ、ルモンタージュは行わない。

色は黒みの強い凝縮感のあるルビー色。香りはダークチェリー、アールグレイ、スモーク香、湿った粘土の香りがベースに感じられる。

口に含むと詰まった果実味、甘みのボリューム、まだ粗さのあるタンニンがほぼ同時に現れる。果実味の凝縮感が強力で、がっちりした構造。濃密な果実の味わいは熟成のポテンシャルを感じさせるが、まだこなれておらず、中盤以降口の中に収斂感がやや残る。酸が大きな味わいをまとめ切るにはまだ力不足の感じ。

余韻は少しざらつき感が残るが、果実の甘みが豊かに残り、力強い味わいを長く残しつつ引いていく。

正直今飲むには早すぎた、という感じ。勿論それは覚悟の上で、このドメーヌのポテンシャルを知りたいという思いがあったから開けたんだから、この結果は仕方ない。しかし予想外にボリューム感のある味わい。このワインが熟成するには少なくとも20年は必要かもしれないな。

【Cave d'Orange 9,000円?】

2011年1月 5日 (水)

ジャン・グリヴォ ニュイ・サン・ジョルジュ レ・シャルモワ2005 AOCニュイ・サン・ジョルジュ

110103grivotお正月最初の赤ワインは、王道ブルゴーニュの王道造り手による、好きな産地ニュイ・サン・ジョルジュから。

ブルゴーニュでも最高の知名度を誇るヴォーヌ・ロマネ村。その地でフランス革命以前からワインを作っていたというドメーヌ、ジャン・グリヴォ。本拠であるヴォーヌ・ロマネ村の南に隣接するニュイ・サン・ジョルジュ村にも畑を所有している。

ニュイ・サン・ジョルジュはその中央を流れるモーザン川の北、南で特徴が分かれる。北はヴォーヌ・ロマネに続く土壌の地域であり、酒質もヴォーヌ・ロマネに近い。そしてこの川の南がいわゆるニュイ・サン・ジョルジュらしい果実味のある、少し野性味の感じられるワインを産出する地域であり、レ・シャルモワの畑はこのモーザン川の南河岸に広がる標高約250~300mに位置する、村名畑。

色は濃密でしっとりと濡れた感じのある暗めのルビー色。香りはブラックカラント、深煎りコーヒー、墨、胡椒、スモーク香。

口に含むと瑞々しい山ブドウ的な若い果実の酸。そこに溶け込む、細かで密だが全体ではまだ硬さが感じられるタンニンの充実度。果実味は凝縮感があり、落ち着きが感じられる。スケールは大きくないものの、骨太でどっしりした肉づきの良い酒質で中盤にかけて力強い味わいを形作る。

余韻は強めのタンニンと、充実した果実味が最後まで太めの味わいを演出しつつ、長い後味を残していく。

強い味わいだけど、けっして外向きに走らない抑制力が働いて、まとまりのあるワインにしている。本拠ではないし、一級・特級ではないけれど、産地の個性を反映した肉づきのいい味わいをきっちり造ってくるから、さすがはジャン・グリヴォ。信頼のおける造り手に違いないな。

【Cave de Terre淡路町店 ?】

2010年12月25日 (土)

ドメーヌ・フランソワ・ラヴノー シャブリ プルミエ・クリュ モンテ・ド・トネール AOCシャブリ 1erクリュ

101223chablis最近復権の兆しあるシャブリ。かつて白ワインの代表格で名前が売れ過ぎていただけに、色々なワインが楽しめるようになると、かえってその知名度が仇となってしまっていた気がする。そしていつしか酸の刺々しい、酸っぱい白ワインといった印象も持たれて、敬遠されるようにもなった。確かに一時そんな薄っぺらいシャブリをよく見かけた。

しかし、そのシャブリも今では多くの優れた生産者によって、より多様なスタイルが楽しめるようになった。そして、その生産者の知名度で一、二を争うのはヴァンサン・ドーヴィサとフランソワ・ラヴノーだろう。

共に樽の使い方で定評のある作り手だが、ラヴノーの方がより長く樽熟を行う。そして樽は古樽の比率が多く、カーヴで瓶熟もさせる。2003年はブルゴーニュの白にとっては厚かった気候の影響で難しい年になったが、さて?

色はねっとりした質感のある黄金色。香りは蜂蜜、サワー、石鹸、白い花、オレンジの香り。シャブリにしては甘さを感じる香り。

口にすると酸はまろやかで若干大人しめ。その直後時間をおいてミネラル感の詰まった冷涼な酸味が舌の表面を巻くように広がってくる。酸がひと段落すると、舌の表面から浸透する塩っぽい旨みが感じられる。若干グリップの力強さに物足りなさを感じるが、全体のバランスは良く整えられている。

余韻はしっかりした渋さとミネラル感を残しつつ、穏やかな酸味が口の中を引き締めて、さわやかな印象とともにゆっくりと引いていく

シャブリらしい硬質な味わいを持ちつつも、若干酸の締まりという点では緩さが感じられる所に2003年の気候の難しさがあるのだろうか。しかし、全体の味の構成は見事にまとめられているし、この樽の上品な使い方も好感が持てる。こうなれば違うヴィンテージも飲んでみないと、真価はわからないだろうな。

【葡萄酒蔵ゆはら 9,800円?】

2010年12月 1日 (水)

ドメーヌ・ド・ラルロ ニュイ・サン・ジョルジュ レ・プティ・タルロ AOCニュイ・サン・ジョルジュ

101128lepetitarlotブルゴーニュの中で好きな地域を挙げろと言われても、たいして飲んでいないのでわからないのだが、それでもニュイ・サン・ジョルジュは思い入れのある地域には違いない。知名度はあるのに、さほど人気があるわけではない。しかし酒質は文句ない、といういい意味での不均衡さに魅かれているのかもしれない。

ドメーヌ・ド・ラルロはそのニュイ・サン・ジョルジュを本拠として最近とみに知名度を上げた作り手。元々保険会社のアクサが買い取った畑から始まったドメーヌだが、ドメーヌ・ド・デュジャックで仕事をしていたジャン・ピエール・ド・スメを迎えて、今では1973年生まれ、若いオリヴィェ・ルリッシュがその責を担っている。2003年以降畑は全てビオ・ディナミ、醸造においては可能な限り除梗せず、全房で仕込んでいる。

プティ・タルロはドメーヌ・ド・ラルロがプレモー村に所有する一級畑のモノポール、クロ・ド・フォレ・サン・ジョルジュの若木から作られる村名ワイン。ニュイ・サン・ジョルジュの南に位置するプレモーだが、ワインにその名が現れることはなく、この村のワインはニュイ・サン・ジョルジュを名乗ることが許されている。実はこのプレモー村にペルドリやダニエル・リオンといった名だたるニュイの作り手が集結しているのだから不思議。

色は少し薄濁りだが、明るめのルビー色。香りはチェリー、山ブドウ、グミ、ハーブミント。

アタックは意外に滑らかな酸。その後で若い小ぶりな果実味と、まだ硬さが否めないタンニンが押し寄せてくる。果実味は凝縮感があり、若いベリーの詰まった味わいが感じられる。ざらつき感があるのは、まだまだ開けるのが早かったせいだろう。ボリューム感は大きくないものの、ほどよい広がりがあり、ベースとなる渋さの力強さ、重量感が頼もしく、熟成のポテンシャルが感じられる。

余韻は穏やかで、酸の後に控えていた甘みが膨らみ、心地よい充実感を感じさせつつ、ゆっくりと引いていく。

早く開けたのだから、若さと未熟さゆえの粗さは承知の上だが、それでもその粗さがインパクト、魅力と感じつつ若いなりに飲ませてくれる。作り手の意図するところが十分発揮されたワインと言えるのかもしれないな。

【Cave d'Orange 5,220円】

2010年11月27日 (土)

ルロワ ブルゴーニュ・ルージュ2000 AOCブルゴーニュ

101127leroyワイン飲み初めのころ、ルロワにはよくお世話になった。昔住んでいた場所に比較的近い難波高島屋が扱っていたワインだし、当時ブルゴーニュワインの美味しさにはまっていたこともあり、何度か手にした記憶がある。それも大分昔のことだが。。。

あの当時はそれほど高いという印象はなかったが、今ではルロワはブルゴーニュの作り手の中でも高価な部類に入る。普通のブルゴーニュ・ルージュでも5千円近い。すぐに手を出すには敷居が少し高いかもしれない。でも2000年ならどうだろうか?久々にルロワのワインを体験してみる気が沸いた。普通のブルゴーニュ・ルージュなら躊躇するところかもしれないが、ルロワであれば大丈夫なはず。

色はしっとりと濡れた質感のある暗めのルビー色。香りは甘く熟したベリー、ビスケット、黒糖、赤身の肉の生さも感じられる。

口に含むと若いがまろやかな酸。舌先に活きのいい刺激も感じる。果実の甘みも充実しており、濃厚ではないがしっかりした存在感のある旨みをたたえている。幅広いという感じではなく、まとまった印象だが内に秘めたものは深い。凝縮感があり、若々しい酸、程よい甘みの果実味、繊細なタンニンがきれいに調和して、統一のとれた味わいを形作っている。

余韻は最後に重量感を示すタンニンが最終楽章のフィナーレのように広がり、その後は若いベリーの甘さが優しく広がって、柔らかく味わいを纏めて行く。

正直、AOCブルゴーニュのレベルに留まるような器ではないないな、と思った。しかも10年を経ても全然古さを感じず、かえって瑞々しさを覚える。今がまさにこのワインは飲みごろに達したのかもしれない。さすがルロワ、その実力は時間と共に現れるものなんだろうな。Good JOB!

【Cave d'Orange 4,220円】

2010年9月11日 (土)

モレ・サン・ドニ2004 ドメーヌ・デュジャック ACモレ・サン・ドニ

100911ワインでもラベル買い、って言葉があるけど、それはラベルの雰囲気を気に入って、造り手にはこだわらず買うって場合が多い。もう一つ、ブランド買いってのが確かにあって、好きな造り手、好きな地方を好んで買う場合がある。

地方で言うならば、名前の響きってのも一つの要素ではあるだろう。特に聖人の名前が入っているような地域で崇高そうで、飲んでもおごそかな気持ちになれそうだ。サン・テミリオン、ニュイ・サン・ジョルジュ、そしてこのモレ・サン・ドニ。

サン・ドニというとパリの守護聖人で、殉教して斬首された自分の首を持って立つ図像があまりにもインパクトが強い。そのイメージとは対照的に、今一つ日本では存在感がない。ジュヴレやシャンボール、ヴォーヌ・ロマネに一歩も二歩も譲る。そうした所もあまのじゃく的には魅かれる所なのだが。。。

ドメーヌ・デュジャックはモレ・サン・ドニの名門。しかし初ヴィンテージは1968年でそう古くない。そこから創業者ジャック・セイスが今では揺るぎない名声を獲得した。

色は明るめだが、落ち着いた質感を保つルビー色。香りはブラックベリー、漢方薬、粘土、ローズマリー、スモーク香を感じる。

口に含むと低めの落ち着いた酸。そして甘みが豊かな果実味がやってくるが、若干気になる青野菜の茎の部分のような味わい。まだ硬いという事だろうか。酸と果実味のバランスは取れていて、刺々しさは全く感じない。しかしあまりに綺麗過ぎて、抑揚なくするりとすり抜けられて行くような物足りない感覚も残る。

余韻は繊細なタンニンの渋さとともに、穏やかで節度を保った旨みが細く長く残り、ゆったりとした心地にさせられる。

酸、果実味のバランスが取れた綺麗なワイン。モレ・サン・ドニはバランスの良さというイメージを持っているが、それに違わぬワインだと思う。ただ、もうひとひねり、引き込ませてくれるだけのポテンシャルがあればな、というのが実感だな。ま、村名ワインだからあまり高望みするのも何なんだけど。。。

【? 8,000円?】

2010年8月25日 (水)

ドメーヌ・パヴロ サヴィニ・レ・ボーヌ ブラン 2007 ACサヴィニ・レ・ボーヌ 

100822savigny夏のシャルドネはこってりタイプよりも、比較的スッキリした、スレンダーなタイプの方が好みだ。そうした好みからすると、オーストラリアやチリといったニューワールドのものよりも、本場ブルゴーニュのものの方がいいかもしれない。

ドメーヌ・パヴロはサヴィニ・レ・ボーヌを本拠とし、17世紀からワインを造り続ける伝統的な造り手。

色は輝きのある、グリーンがかった薄めのレモンイエロー。透明感がある。香りはライム、青リンゴ、バナナ、ビスケットの香り。甘さよりも、若い柑橘の香りがよく出ている。

口に含むと細身の柑橘系の酸がすっと舌先から奥の方へと延びて行く。鮮烈だが、まとまった凝縮感のある酸が清々しい。味わいはこぶりだが、酸とミネラル感、きれいでジューシーな果実味はうまく絡んでバランス良く展開する。あまんり粘性はなく、さらっとした酒質。

余韻は程よい塩っぽさのあるミネラル感を残して、強すぎない味わいをゆっくりと引き締めていく。

ボリューム感よりも繊細さ、ミネラル感を感じさせてくれる、きれいな味わい。しかし中身はちゃんと詰まっているところがブルゴーニュらしい由縁。夏のシャルドネにはぴったりといったところかな?

【Cave d'Orange 5,000円?】

2010年8月15日 (日)

ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン シャブリ2007 ACシャブリ

100815ようやくプレミアが開幕。開幕戦のマンチェスター・シティvsトッテナム戦、どちらもキライなチームで、しかもアーセナルにとっては油断のならない相手ではあるけれど、さすがにいい試合だった。攻守の展開の早さはしびれるくらい。0-0のスコアレスに終わったけど、見どころはいっぱいあった。願わくば今日の真の開幕戦、アーセナルが敵地でリバプールを破りますように。。。

最近ワインは近場のお店でしか買ってないので、あまり開拓もできず、休日出勤も多くなりネット購入もままならず。そんな中、珍しく早帰りのデパートで見つけたワインがこれ。

ジュブレ・シャンベルタンの造り手、フィリップ・シャルロパンが新たな挑戦としてシャブリに参入して初ヴィンテージがこのワイン。テロワールを重視し、骨格のしっかりしたワインを造り続けるシャルロパンがシャブリで造ったワインとはどのようなものなのか、興味津津。

色は濃さのある艶やかな黄金色。香りは甘さを感じるバナナ、シナモン、サワークリーム、十円玉のような金属的、錆っぽい香りもバックに感じられる。

口に含むと鋭角の酸が舌の中央を突き進むかのように染みてきて、その裾野が舌の表面を薄皮を巻くように広がる。浸透力のある酸が印象的。若干攻撃的で角があり、好みは分かれるかもしれないが、自分の中ではこの能動的な酸は頼もしく感じる。

酸の中に溶け込んだエキス分は稠密で、頑固なほど重量感がある。舌の横側を引き絞るような収斂感があるが、それもまた個性とも思える。終盤になってくっきりと浮き上がるミネラル感、塩っぽい味わいが酸と絡みつつ、長い余韻を形作る。

シャルロパンらしい稠密な味わい、そしてシャブリらしいミネラル感を引き出した、個性あふれるワインに仕上がっている。多少まだ粗削りな感じはするが、これくらいの方が自分にはちょうどいい。名手の新たな挑戦は成功の道を歩むに違いない。Good JOB!

【阪神百貨店 3,500円?】

2010年8月 4日 (水)

アルベルト・デ・ソウサ ムルソー レ・ミエラン2006 ACムルソー

100731meursaultムルソー。ブルゴーニュの白ワインでは知名度でシャブリに次ぐかもしれない。しかもこってりした濃厚な味わい、樽を利かせた香り、そうした重厚なイメージが先行している。

しかし伝統はやがてそれに抗するがごとく、革新的な造り手を産む。その流れは最も伝統的と言えそうなムルソーとて例外ではないようだ。かつてイメージしていたような濃厚なムルソーではない、ミネラル感を重視する造り手が多く生まれてきている。

この造り手がそうなのか、データは手元にない。畑のレ・ミエランは最も低い地域にある、村名ワインしか名乗れない場所にある。詳しいところはわからない造り手だが、ムルソーらしいか否か?

色は張りのある光沢を放つ黄金色。香りはパイナップル、アーモンド、消しゴム、セルロイド人形、ニッキ水。

口にすると刺激の少ないまったりとした甘みを感じさせる味わい、しかし直後に不意を突かれるように伸びてくる新鮮で直接的な酸味。その酸に溶け込んでいる染みいるようなミネラル感。インパクトのある要素が落ち着いた後に残る幅の広いミネラル中心の味わいが印象的。

余韻は最後まで息を切らさない芯のある酸が果実味、酸化熟成的な味わいを伴いつつ、きれいな後味を残す。

ムルソーらしいか、と問われれば、自分の中のこってりムルソーってイメージとは全く違う味わい。ただ、樽を利かせて、バターの香りふんだんなムルソーの方が少なくなってきているのかもしれない。そういう先入観を抜きにすれば、この浸透力のあるシャルドネはとても魅力的だな。

[Cave d'Orange 5,000円?】

2010年7月 4日 (日)

ヴァンサン・ジラルダン クロ・ド・ラ・ロッシュ ヴィエィユ・ヴィーニュ2000 ACクロ・ド・ラ・ロッシュ

100702clodelarocheワールドカップの強豪同士の試合はさすがに質が高い。休日の夜のサッカーのお伴は、その質の高さに付き合うように少しいいワインを飲みたくなる。でもコスパもやはり無視はできない。

ヴァンサン・ジラルダンはそんな中で信頼できるネゴシアン。どちらかというと白ワインで評価の高い彼だから、赤は若干過小評価されているようにも思える。このワインも2000年のグッド・ヴィンテージな割には結構お安く、お得だと思ったワイン。10年を経ていい飲みごろになっていると思うのだが。

クロ・ド・ラ・ロッシュはモレ・サン・ドニ村の中の特級畑。ロッシュは「岩」という意味で、石灰岩の多い畑で産出するワインはミネラルの深さを予想させるが、果たして?

色は濃密で、細かな色素が詰まった凝縮感を感じさせる、暗めの黒みがかったルビー色。香りは皮、土、コショウ、ブラックベリー、ミネラリーさを感じさせる香り。

口に含むと充実した熟れた果実の甘さを感じる。酸はこなれて上品で、果実味に寄り添い、包むように広がってくる。タンニンは細かで優しい。甘さがありながら決してくどくない味わいが心地よい。グラン・クリュという名前から予想する大きな味わいではないが、堅実な味わいの骨格の中に深い旨みが感じられる。すっきりした味わいは負担感なく体にしみて行く感じ。

余韻は調和のとれた穏やかな甘さがデザートのように広がり、堅さとは無縁のしなやかさを感じさせつつゆったりと引いていく。

大きな味わいではないけれど、稠密で中身のある味わい。10年の時を経て角も取れた質の高い味わいをこの値段で感じさせてくれるのだから十分満足。

【阪神百貨店 10,500円】