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2015年12月

2015年12月31日 (木)

シャルトーニュ・タイエ キュヴェ・サンタンヌ ブリュットNV メルフィ(モンターニュ・ド・ランス)

151228chartognetailletジャック・セロス、その名は現代のシャンパーニュ界にあって最高峰の座を占めていることに異論はないだろう。そして、数多くの造り手がセロスの当主、「アンセルムの教え子」という修飾語付きで語られる。

若干32歳、アレクサンドル・シャルトーニュもまた、アンセルム・セロスに師事した造り手の一人だ。シャルトーニュ家の歴史は16世紀にまで遡り、メルフィもまたかつてはグラン・クリュに匹敵する産地であった。その名声を復活させるため、アレクサンドルは土壌、ひいてはテロワールにこだわり、徹底的な分析によって畑に最適なブドウを選び、今は単一区画・単一品種によるリューディ・シリーズを世に送っている。このオーソドックスなキュヴェは、シャルドネ50%、ピノ・ノワール50%により、ドサージュは5g/l。

色はややピンクグレーがかった、薄めのイエロー。泡は優しくゆっくりと立ち上がる。香りはライム、青リンゴ、はちみつ、ヨード、ややスモークの香りも感じられる。

口に含むと細かな泡の優しさとともに、ドライでピュアな果実味がストレートに迫ってくる。酸は柔らかく穏やかで、かつボディの膨らみは中程度なので、ややこじんまりとした感じは否めないものの、均整よくまとまり素朴さも感じさせる味わいは、負担感なく自然と体に染みわたってくる感覚。中盤から後半にかけて苦みがベースとなり、安定感をもたらす。

余韻は穏やかな甘さが口の中を薄皮で包むように広がり、最後までバランスの良さを保ちながらさわやかな柑橘の旨味を残してフィニッシュする。

均整の取れた味わいながら、アクセントとしてやや土っぽいニュアンスを残しているところが、テロワールを重視する彼なりのこだわりなのかもしれない。リューディ・シリーズもぜひ試しておきたいところ。

【wineshop recork(フィラディス)6,000円?】

2015年12月27日 (日)

シャルル・デュフール ビュル・ド・コントワール #3 エクストラ・ブリュットNV ランドルヴィーユ(コート・ド・バール)

151227charlesdufortシャンパーニュの3大産地はモンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブランであり、この3地域はシャンパーニュの中心都市であるエペルネ周辺に広がっている。しかし、昨今注目を浴びている第4の産地、コート・デ・バールは南に約100km離れ、そのすぐ南はシャブリが控えている。土壌も同じキンメリジャン、石灰岩土壌となる。

このコート・デ・バール、全体ではピノ・ノワールが優勢だが、ブルゴーニュに比べてやや寒冷な気候のため、シャルドネの栽培が難しいようだ。しかし、それでも造り手によっては白ブドウに果敢に挑戦しており、このシャルル・デュフールもその一人で、しかもピノ・ブランによるシャンパーニュを世に送って定評を得ている。

ビュル・ド・コントワール とは「カウンターの泡」という意味で、美味しさや快楽を皆で分かち合いたい、という思いが込められている。セパージュはピノ・ノワール55%、シャルドネ35%、ピノ・ブランが10%であり、2011年産のブドウを使用するが、2010年産の#2というキュヴェを40%ブレンドしている。マロラクティック発酵の後、澱引きをせずにそのままシュール・リー環境で9ヵ月間熟成、無清澄・ノンフィルターでビン詰めし、ドサージュは濃縮ブドウ果汁で5g/l。

色はややこもった感じのあるゴールドを帯びた濃い目のイエロー。泡は柔らかくゆっくりと立ち上る。香りは黄桃、カリンジャム、蜜、トースト、ブリオッシュ、シナモン、胡椒も感じられる。

アタックから充実感のある果実味とシナモン、酸化熟成のニュアンスをはっきりと感じる。泡はきめ細かく、濃い目の味わいに優しさと膨らみを与え、全体を調和する役割を果たしている。中盤から後半はややドライな味わいへと変化、その中でしっかりした苦み、ミネラル感が広がり、複雑さを表現する。

余韻は香ばしさと、すっきりした果実味がミネラル感とともに持続し、それらが自然に昇華して品の高いフィニッシュへと至る。

前半は充実の果実味で見せるが、中盤には苦み、ミネラルの印象がはっきりと感じられ、シャブリとの共通点を思わせる。これがテロワールというものの為せる業だろうか。フィニッシュの透明感ある味わいも素敵で、それぞれに豊かな表現力を示す。最近飲んだシャンパーニュでは出色の出来かも?Good JOB!

【今井商店(ヌーヴェル・セレクション)6,053円】

2015年12月25日 (金)

フランシス・ブラール ブラン・ド・ブラン ブリュット・ナチュレNV 

151224francisboulardクリスマスの夜は、何故か気取って、少々スノッブ的でも構わずに身を委ねたい。そんな夜だからシャンパーニュの、ちょっと気になる造り手と相対してみる。お供のミュージックは、ラヴェル「夜のガスパール」。

フランシス・ブラールはまだ日本では著名度が低いかもしれないが、フランス本国ではその評価はすさまじいものがある。価格は40ユーロ以下だが、その品質は名だたる造り手と既に伍するほどだ。2010年に父、レイモン・ブラールの3人の子供がそれぞれ独立、フランシスは娘デルフィーヌとともにビオディナミを実践、わずか年産25,000本ではあるが、フランシス・ブラールの名の下で自然なまでのシャンパーニュを世に送り出す。

このブラン・ド・ブランはシャルドネ100%、75%は2011年、残りは2009年、2010年のブドウをベースとし、ドサージュはなし。マロラクティック発酵を行う。

色は澄んでいて張りのある、明るめのゴールドイエロー。泡は細かめでやや弱い。香りは当初キノコ、土っぽさが感じられたが、その後フレッシュさのあるライム、グレープフルーツとともに、カマンベールの白カビチーズのニュアンスが広がる。

アタックは細かくクリーミーな泡が舌先をくすぐるように弾け、その後ストレートでエッジのきいた酸が疾走し、その後ドライな果実味が訪れる。引き締まったボディだが果実味に凝縮感があり、その均衡はどちらかに偏ればバランスが崩れそうな、ともすれば危うい印象を受けるものの、その緊張を過ぎたころから後半に向けて酸に裏打ちされたボリューム感が内から湧き出るように膨らみを伴って広がる景色が、安らぎに満ちて心地よい。

余韻は終盤まで芯を通した酸をくるむように、薄皮の旨味が螺旋を描いていく立体感を感じながらフィニッシュに至る。

ブラン・ド・ブランらしい酸とともに、繊細さとふくよかさを両立する果実味の密な絡み合い。秀逸な造り手の今後をぜひとも楽しみたいところだが、年産25,000本というところが悲しくも悩みの種?

【今井商店 7,400円】

2015年12月20日 (日)

シャルル・エルナー セドゥクシオン2002 エペルネイ(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)

151220ellnerseduction2002シャンパーニュといえば、小規模なブドウ栽培者兼醸造者でもあるRM、レコルタン・マニピュランが脚光を浴び続けているが、当然シャンパーニュの歴史を作ってきた大手もまた、自社畑でのブドウ栽培によってRMのコンセプトを取り入れてきた。ネゴシアン・マニピュラン、NMは元々外部のブドウ栽培者からブドウを買い付けて醸造していた会社を指したが、最近はその定義もブドウ買いプラス自社栽培ということになっている。

このシャルル・エルナーもNMだが、その規模は大手に比べればかなり小さいものの、それでも年産約100万本だから、クリュッグ(約50万本)よりも大きい。エペルネィ近郊でシャルドネが50%、残りピノ・ノワールとピノ・ムニエを栽培し、フレッシュさを残すためマロラクティック発酵はせず、ヴァン・ド・レゼルヴは樽で熟成させる。ワイン自体魅力的だが、それを更に増すのは乾杯の気分を煽る、素敵なエティケット。華やかさの観点ではペリエ・ジュエのベル・エポックに勝るとも劣らないと思っているのだが?

色は全体に濃い目の色調で、茶色がかったゴールドイエロー。泡はやや弱めながら、可憐にゆっくりと立ち上る。香りは変色しかけたリンゴ、カラメル、幸水梨、焦がしバター、カカオ、枯葉のような土っぽさのニュアンスも感じられる。

口にすると、細かな泡の感覚とともに、熟成した果実味が細かな酸に包まれ、穏やかに、しかし力強く迫ってくる。スタートからの滑らかさが絶妙で、均整の取れたバランスは年月を経て余計なものを削ぎ落してきた故のものだろう。ボリューム感、グリップは中程度ながら、中盤から後半にかけて感じられるスパイシーさ、渋みが複雑さをもたらし、表現力を豊かなものにしている。

余韻はやや全体に濃い目の味わいがナチュラルに昇華して、予想外に優しく温和。程よい甘みが優しい浮遊感を醸しつつ、柔らかに長い斜面を下るように収束していく。

前半は濃い味わいだが、後半はそれが自然に解けていくような感覚で、後味もすっきりして何杯でもいけそうなシャンパーニュ。ヴィンテージの楽しさと熟成感がこの値段で楽しめるのはありがたい限り。

【フランスワイン専門店ラ・ヴィネ 7,500円】

2015年12月16日 (水)

ステファン・コキエット ラ・キュヴェ・デ・クレ ブラン・ド・ノワール ブリュト グラン・クリュNV シュイイ(コート・ド・ブラン) 

151213coquietteblancdenoirシャンパーニュの中では、ブラン・ド・ノワールもしくは黒ブドウ、すなわちピノ・ノワールかピノ・ムニエ主体のものが好みなので、白主体の造り手が時としてこうしたブドウで挑戦しているキュヴェがあると、思わず手を伸ばしてしまう。このシャンパーニュはまさにそうした挑戦の一つだろう。

シュイイはシャルドネ主体の生産地であり、このステファン・コキエットも父の時代はシャルドネのみで勝負していた。しかしステファンの代になってからピノ・ノワールに挑戦、このシャルドネはアイ村のピノ・ノワール100%によるものだから、グラン・クリュを名乗る。

色はややグレーがかったゴールドイエロー。泡は細かでひそやかに優しく立ち上る。香りは焦がしバター、茶色くなりかけたリンゴ、ブリオッシュ、カカオといった甘みと熟成を感じさせる香りが顕著。

口に含むと柔らかだが快活な泡が弾け、その直後にしっかりしたカカオのような苦みを伴う太めの果実味が迫ってくる。特徴的な苦みがベースに座り、味わいに安定感と複雑さをもたらし、中盤から後半にかけては凝縮感が適度にほどけて安らぎを感じる甘みのニュアンスが広がり、リッチな心地を演出する。

余韻は黒い果実のじっとりした甘みが細く長く広がり、そしてその旨味がゆっくりと自然に昇華していく。

ブラン・ド・ノワールらしい骨太の味わいを持ちながら、それに叶う酸味によって決して鈍重に陥らないバランス感覚が素敵。日本ではまだ広く名が知られていない生産者かもしれないが、注目度大。

【ワインハピネスコレクション(i-wine Happiness)7,000円?】

2015年12月13日 (日)

ステファン・コキエット カルト・ドール ブリュットNV シュイイ(コート・ド・ブラン)

151212coquiettecartedorシャンパーニュは大好きだが、やはり高価なものなので、選ぶ際には価格を第一に考えてしまう。その価格にしろ、安ければいいというわけではなく、定評のある造り手を中心にそのオーソドックスなキュヴェを普段は選んでいくことになる。

低価格帯のシャンパーニュでも品質の高い造り手は多いが、このステファン・コキエットもその一人だろう。エペルネに隣接し、グラン・クリュと評価されるシュイイを本拠にしており、当初は父の会社でワインを製造していたがm、1993年から瓶詰めを開始、今でも年産約5万本の小規模なRMだ。ブドウはシャルドネとピノ・ノワールのみを栽培し、このスタンダード・キュヴェであるカルト・ドールもアイおよびマロイ・シュル・アイ地区のピノ・ノワール67%、そしてシュイイ地区のシャルドネ33%によるもの。樹齢は45年、ドサージュは5g/l。

色は照りのある明るめのレモンイエロー。泡は細かに柔らかく立ち上る。香りは青リンゴ、ドライフルーツ、白桃、やや苦みを予感させるハーブ香、カモミール。

口に含むとクリーミーな泡が舌先で弾け、その直後溌溂としたストレートな酸が飛び込んでくる。充実度のある果実味は安定感をもたらし、穏やかな甘さで口の中を満たす。構造はややフラットで、膨らみも中程度だが、質感は十分あり、後半に向けてはピュアで透明度の高い味わいが程よいミネラル感のグリップによって優しく、しかし鮮明に浮かび上がる。

余韻はややドライな渇きを覚えつつ、落ち着きのある柔らかな甘みと細めの酸が螺旋を描くように流れ、クリアな後味に収斂していく。

スケール感は価格帯を考えればやや小ぶりではあるが、それゆえに負担感のない味わいが心地よく、果実味の凝縮感と品格、独特のシルキーさも印象深い。食事を通して使うよりも、アペリティフとしてその能力を十二分に発揮してくれるであろう、珠玉の一品というところかな。

【ワインハピネスコレクション(i-wine Happiness) 6,200円】

2015年12月12日 (土)

ティエリ・エ・パスカル・マトロ ヴォルネイ サントノ プルミエ・クリュ2008 AOヴォルネイ 1erクリュ 

151212volnaymatrot2008

ブルゴーニュの難しいところは、エチケット上ではわからない事実が多すぎるということもあるに違いない。例として、このヴォルネイもその一つ。

コート・ド・ボーヌの中央に位置するヴォルネイ村は赤、つまりはピノ・ノワールの産地だが、その南ムルソー村は白、シャルドネの産地として今に至っている。斯様にくっきりと村の境界線で栽培するブドウが分かれるものでもなく、やはりどこにもグレーゾーンは存在する。それがヴォルネイ・サントノという畑だ。

この畑、ヴォルネイを名乗るものの実際にはムルソー村の北端に位置し、白ワインであればムルソーの1級を名乗るが、赤であればヴォルネイ・サントノで1級を名乗る。表土自体は赤のみを造るヴォルネイ側からこの一帯にかけて石灰岩の上に小石交じりの赤土が広がる土壌であるから、ムルソーに位置してもこの地はピノ・ノワールを栽培するに相応しい、ということなのだろう。

マトロはムルソーに本拠を置く生産者なので、白ワインに秀でていると評価されるが、ボーヌの各村で赤も生産している。その一つがやはりムルソー村に位置するサントノでの赤ワイン。

色は赤みの強い、チャーミングさを感じさせるルビー色。香りはスミレ、ラズベリーに加えて、ややインクっぽさ、スパイス、シナモンを感じさせる。

アタックはみずみずしい酸味とともに、やや硬めの果実味がパワフルに迫ってくる。7年を経ても、まだ角が取り切れていないポテンシャル。低めの酸はやや甘めの果実味と調和し、全体では落ち着きと安定を感じさせる。中盤からかすかに覗く後味のくどさも感じられるが、それでも密度の濃い凝縮した味わいは、最後までしっかりと品格を保って終盤へと誘う。

余韻は熟したベリーの甘味がふくよかに広がり、リッチさを感じさせながら長めの後味を残しつつ引いていく。

まだまだキープしていけば、余計なものをそぎ落として収斂していきそうなポテンシャルを感じさせてくれた。本当はもっと置いておけばいいんだろうけど、飲みたい時に飲まないといつ飲む?と思うのもホンネなので、飲み頃は一番難しい命題だ。

【エノテカ グランフロント店(エノテカ)7,800円?】

2015年12月 6日 (日)

ホッフキルシュ マキシマス ピノ・ノワール2009 ヘンティ(ビクトリア州) 

151206hochkirchpinotnoir2009あまり飲んでない印象かもしれないが、実はオーストリアのワインではシラーズよりもピノ・ノワールが好きなので、結構飲む機会はあるし、実際に買い求める事も多い。ただ、それほど安くはないので、その場合にはかなり選り好みをしてしまう。

オーストリアでも南部は緯度も低く、その中にあってヴィクトリア州は地形が南にせり出し、対岸がタスマニア島であることから、気候は冷涼な地区が多い。その冷涼さがピノ・ノワールに欠かせない芯のある酸を産み出す。だから、ヴィクトリア州、タスマニア州のワインは自分にとってツボにはまるワインというわけだ。

ホッフキルシュはメルボルンから西300kmに位置するハミルトンに位置し、1990年設立。1997年からはビオディナミに移行した。このピノ・ノワール、マキシムスは全て手摘みで収穫、野生酵母酵母により開放発酵槽で醗酵された後、4週間のマセラシオンを行い、フレンチオーク(25%新樽)に移され18ヶ月間熟成される。このキュヴェは最高のブドウが収穫されたときのみつくられ、2009年以降はリリースされていないそうだ。

色は濃密でしっとりとした質感のあるやや薄濁りのルビー色。香りは大地を最初から思わせる粘土のような重みを感じ、その後ラズベリー、紫蘇、黒胡椒が放たれる。

口に含むと、引き締まった果実味の中に芯のある酸味が中心を成し、拡散させない味わいのまとまりが感じられる。豊かな果実味には甘みの印象も伴うが、決して重々しさはなくチャーミングで節度の取れたボディ感。タンニンも細やかで、中盤から後半への意外なほどの抜けの良さが心地よい安堵感をもたらす。

余韻は細いがしたたかな酸が中軸を担い、その周りをソフトに包む落ち着いた甘みが長く残りつつ、優しく昇華していく。

凝縮感はあるがそれが負担感のない程度で収まっており、節度と品格をしっかりと保っている。オーストラリアの良いとこどりを表現したピノ・ノワール、休日にふさわしいリッチな気分を存分に感じさせてもらったかな。

【wineshop recork(kp Orchard Co.)5,000円?】