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2015年10月

2015年10月23日 (金)

ペリエ・ジュエ グラン・ブリュットNV エペルネィ

151023perrierjouetgrandbrutシャンパーニュは好きだけど、恥ずかしながらいわゆるトップ・キュヴェといったものを殆ど飲んだことがないという弱点がある。ボトルに直接描かれた花で印象的なペリエ・ジュエのベル・エポックもその1本。ボトルで買えば2万円を超すので、おいそれとは手を出せない。

それでも飲みたいとなれば、普通のキュヴェで我慢するしかないので、これを選んでみた。

アッサンブラージュはピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ40%、シャルドネ20%。ピノノワールが力強さを与え、ピノ・ムニエがそれをやや緩和しつつフルーティーさを加え、そしてシャルドネで溌剌とした酸でアクセントをもたらす、そんなコンセプトのようだ。

色は清々しいほのかに新緑のニュアンスを感じさせるレモンイエロー。泡は細かに優しくゆっくりと立ち上る。香りは黄桃、バニラ、焦がしバター、ブリオッシュ、ヘーゼルナッツ。

口に含むと柔らかく繊細な泡が舌先をくすぐるように弾け、その直後から若々しい酸味を伴った厚みのある果実味が押し寄せる。味わいは均整でバランスがとれており、甘みは個人的にはやや強く感じるものの、その調和を崩すまでには至らないギリギリの構成の妙を感じる。後半からは芯のある酸に支えられた豊かな甘み中心のまろやかさが口の中に広がり、膨らみと穏やかさをもたらす。

余韻は後半からのふくよかさを伴いつつ、繊細な甘さと細かな酸が交錯し、螺旋を描くように長い軌道を描いていく。

第一印象では、全体の調和が取れた非常に良くできたシャンパーニュだと感じた。通常のキュヴェでこれだから、旗艦のベル・エポックではどうなんだろう?飲む機会が訪れることを期待しつつ...

【成城石井(ペルノ・リカール・ジャパン) 6,900円】

2015年10月20日 (火)

ドメーヌ・ロシニョール・トラペ ボーヌ プルミエ・クリュ レ・トゥーロン2009 AOCボーヌ 1erクリュ

151019beaune1erlesteuronsブルゴーニュ好きの方でも、赤に関しては圧倒的にコート・ド・ニュイ、北に軍配を挙げる人の方が多いのではないだろうか。確かに重厚さ、複雑さの点ではそういう面もあるかもしれないが、比較的早い時期で、ピノ・ノワールらしい優美さとピュアな果実味をまずは楽しもうと考えれば、コート・ド・ボーヌこそがふさわしいと思う。

そのコート・ド・ボーヌの中心地、ボーヌはコート・ドールで最も広い畑を持ち、生産量も多い。ボーヌはブルゴーニュにおける重要な商業都市であり、名だたるネゴシアン、ドメーヌはこの街になんらかの活動拠点を置いているので、有名なドメーヌがこのAOCで出しているワインが悪かろうはずはなく、まずは安心して選択できる。

ロシニョール・トラペはジュヴレィ・シャンベルタンを本拠にしているが、ボーヌやサヴィニィ・レ・ボーヌにも畑を有する。2004年からブドウ栽培をビオディナミに移行した。1級畑であるトゥーロンはボーヌ市街地の西、標高225~250mの傾斜地に位置する。

色は赤みの強い若さの感じられる華やかなルビー色。香りは熟したベリーの甘い香りが顕著で、フランボワーズ、赤い花、リキュール、バックに黒糖も感じられる。

アタックは滑らかな質感を伴った、綺麗な細身の酸を伴う熟したベリーの果実味がストレートに迫ってくる。整った酒質はふくよかさと安定を感じさせ、厚み、複雑さの点では確かにニュイには一歩譲るところはあるものの、むしろこのヴィンテージで飲みごろに達しつつある気さくさ、それだけで済まない味わいの深み、骨格の確かさを感じさせるポテンシャルが好ましい。後半に広がるフルーティーさ、穏やかな甘みの節度ある広がりが味わいに更なる豊かさをもたらす。

余韻は心地よい果実の優しい甘さが低めの酸と密に調和しながら展開、そして雑味のない豊かな味わいを自然に散じるように締めくくる。

濃いめのブルゴーニュよりは、こうした綺麗系のブルゴーニュの方が飲み飽きせずにゆっくりと楽しむ事が出来て個人的には好きだ。このワインも自分好みにピッタリはまって、まずは満足のゆく味わいだった。

【エノテカ グラン・フロント店(エノテカ) 6,500円】

2015年10月18日 (日)

ジャクソン キュヴェNo.737 エクストラ・ブリュットNV ディジー(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ) 

151018jacquesson737安定、とは時と場合によって良い印象と悪い印象の双方を表現する可能性があるが、シャンパーニュにとって安定とはまさにその存在価値、raison d'etreであるように思う。通常はノン・ヴィンテージとして世に送り出されるこの稀有のワインは、その歴史故に許されたassembrageの技術によって、北方の変転極まりない気候をもってしても揺るがない品質を保ってきた。そして今のシャンパーニュの隆盛を確固としたのである。

しかし、それだけでは多くのワイン愛好家を魅了し続ける事は出来ない。それぞれの造り手が工夫を凝らして独自色を打ち出し、固定のファンを獲得してきた。その意味でジャクソンはあえてシャンパーニュの伝統とは一定の距離を置いた、ヴィンテージの変化に重きを置いた造りを志向しているようだ。

エティケットに示された独特の番号は異なるアッサンブラージュを示しており、これが737回目という意味。この時は主として2009年のブドウを用いつつ、2008年のヴァン・ド・レゼルヴを30%使うことで厚みを加えている。シャルドネ43%、ピノ・ノワール27%、ピノ・ムニエ20%。

色はややグリーンがかった張りのあるゴールドイエロー。泡は細かく優しく穏やかに品よく立ち上る。香りは鉄っぽさ、鉱物質のミネラル感とともに、リンゴ、焦がしバター、蜂蜜、シナモンを感じる。

口に含むと熟成感のある落ち着いた果実味の厚み、その厚みを優しくカバーするように柔らかで繊細な泡が包み込む構成を感じる。やや酸化のニュアンスは帯びつつも、全体のフォルムに凹凸がなくバランスのとれた味わいは、体に素直に浸透する心地よさで、熟成感を帯びたシャンパーニュにありがちな押しつけがましさを全く感じさせない。後半に広がる抑制の効いたボリューム感に、ミッドから現れるほのかな苦みがアクセントとなって、ふくよかな味わいを奏でる。

余韻は焦がしたリッチな香りが柔らかに口の中に広がり、その中を滑るように若々しい酸とピュアな果実味がきりっと潔く切れ上がる。

重厚さと繊細さをいとも簡単に同居させているように見せるところが、歴史ある造り手の技といえるだろう。しかし、キュヴェごとに味わいを試してみたい、と思わせる愛好家の好奇心をくすぐることも忘れない憎らしい戦略。ジャクソン、恐るべし。

【Cave de Terre淡路町店(ヴァン・パシオン) 7,000円?】

2015年10月15日 (木)

アルタ・アレーリャ ブルエル ブルット・ナトゥーレ2013 DOカヴァ(カタルーニャ州)

151014bruel正直に告白するならば、自分にとってカヴァはティスティングの真剣な対象としては向き合ってこなかった。手っ取り早く泡が楽しみたいときに気が向いたら買う、その程度でしか考えてこなかった。それが昨年スペイン、カタルーニャを旅行したころからやや変化し、色々なカヴァを楽しむようになった。ただし、その時もややシャルドネ、ピノといった国際品種の多いものだったように思う。

スペインワインにあって、日本人に最も知られたワインでリオハに伍するものはカヴァ以外にはないだろう。そして、その品種はマカベオ(ビウラ)、シャレロ、パレリャーダが主力だが、それぞれのブドウの個性はそれほど強くない。これらの単一、もしくはそれに近い品種構成のスティルワインを飲んだ時も、顕著な違いを感じることは稀だ。敢えて言えば酸のシャレロ、旨味のマカベオ、それを中和させる柔らかみのパレリャーダと言ったところか。

このカヴァはシャレロ100%で亜硫酸無添加、ドサージュ無し。バルセロナから北に20kmのアレーリャ村の高地にある、という意味だろうか、アルタ・アレーリャという1991年設立の比較的若いワイナリーによる野心的なスパークリング。そして製法は瓶内二次ではなく、メトッド・アンセストラル、タンクで出来たワインを酵母と砂糖と一緒に瓶詰めし、酵母と糖を加えることなく瓶の中で発酵をが終了させる。自然な造りを推し進めた末の彼らなりの結論と言えるだろう。

色はほんのりとグリーンがかかった張りのある健康的なレモンイエロー。泡は細かで力強く全体から沸き立つように立ち上る。香りは青リンゴ、ライム、やや鉄っぽさ、錆を感じ、後半はすりおろしリンゴ、花梨も感じられる。

口に含むと柔らかでクリーミーな泡、そしてしっかりした酸味とふくよかさと若さを兼ね備えた青い柑橘の果実味を同時に感じる。泡のふくよかさが残糖の少なさからくるドライ感を和らげ、全体のバランスを保つ。常にフレッシュさを演出する酸のキレの良さは中盤からも飲み飽きを感じさせず、後半に顔を出す苦みのアクセントが複雑味を加えてくる構成が巧み。

余韻は苦みが収まった後のやや乾いた印象が次の一杯を欲するように広がり、薄皮のような旨味をたたえつつ切れ良く締めあがる。

ノン・ドサージュから来る渇きの印象をクリーミーな泡でカバーすることで、全体にくどさのないシンプルさ、それでいて複雑さも加わる多層的味わいを巧みに表現している。カヴァの中では決して安くないカヴァではあるが、それに見合うだけの質感を備えていると言える。

【Wineshop FUJIMARU(ラヴニール) 3,500円?】

2015年10月12日 (月)

リンクリン ミュラー・トゥルガウ2014 Q.b.A バーデン

151012rinklin_muller_thurgau自然が人間にとってままならぬものであっても、それに抗する手段を放棄する事が許されぬ場合は、自然に適応する術へと努力の対象を移さざるを得ない。

その結果がハイブリッドと呼ばれるブドウと言えるだろう。ほとんどのブドウは自家受粉するが、異なるブドウ品種の長所を得ようとして異なる品種の花粉で受粉させることを異種間交配と呼ぶ。元々はヨーロッパ種のブドウにアメリカ産の抵抗力を備えさせるために始められたこの手法は、ドイツにおいて発展した。その一つの答えがミュラー・トゥルガウ、1882年にスイス人のヘルマン・ミューラーによって開発されたブドウと言える。リースリングとマドレーヌ・ロイヤーレとの交配品種だが、長くリースリングとシルヴァネールによるものと考えられてきた。

今日ハイブリッドによるワインで名声を与えられているものは殆どない。しかし、最近このミュラー・トゥルガウに関しては意欲的な造り手が日常で楽しめるワインを造ってくれるようになってきた。そのエリアも発祥国ドイツを始め、オーストリア、イタリア、そして今や日本でも見られる。甘さと香りの顕著なこの品種、安易に作ればただ甘ったるさの目立つワインになってしまいがちだが、最近この品種で作られるワインには綺麗な酸が感じられるようになったと思う。

リンクリンはドイツ最南端のバーデンを本拠にし、ビオロジックでブドウを栽培する。

色は薄めで張りのあるレモンイエロー。香りは甘い印象で乳酸飲料、マスカット、シロップ、チューインガム、桃の缶詰。

口に含むと冷たいがどことなくおっとりしたやや強めの乳酸系の酸がしっかりと感じられ、その直後からフルーティーな果実味がボリューム感を伴って広がる。酸と甘みのバランスが良く、甘みを広げすぎない引き締まったボディを表現し、もたつくことなく中盤を品よくまとめあげる。複雑さは少ないものの、全体に角のない味わいで後半の穏やかさを演出していく。

終盤は甘さを適度な距離感で包む酸の絡みを感じつつ、ふくよかさも残しながらやや長めの余韻を残しつつフィニッシュに至る。

普通に作るとやや甘さのべたつきを感じるこの品種も、造り手がそれをコントロールすることである程度リッチさも残し、そして特徴ともいえる華やかな香りをたたえたワインに仕上げることができる。トータルの栽培面積は減少気味だというが、そうした心得た造り手によって、まだまだこの品種のポテンシャルは表現される可能性があるに違いない。ハイブリッドにあって稀なる幸運に恵まれた一例と言えるだろう。

【WIneshop FUJIMARU(ラシーヌ) 2,000円?】

2015年10月 4日 (日)

農楽蔵 ラロ スプマンテ アロマティコ2013 北海道函館市

010日本ワインのトップ生産地を挙げろ、と言われればまずは山梨、長野というところに異論はなさそうだが、その次となると意見は分かれるだろう。その候補として北海道はまず最有力に違いない。冷涼な気候と広大かつ比較的安価であろう土地は、新たなブドウ畑の開拓地としてのポテンシャルを十分備えている。

その冷涼な気候を活かしてか、現在の北海道においてワインは白が優勢の様だ。そしてその白も、やや香りを効かせてアロマティックに仕上げる造り手が多い。品種もケルナー、シャルドネ、ミュラー・トゥルガウ、ナイアガラに加えて、最近はゲヴュルツ・トラミネール、ソーヴィニヨン・ブランも見られるようになってきた。

函館で自然なワインを造り続ける農楽蔵も、この2013のスパークリングにはナイアガラに加えてケルナーを混醸した。ケルナーはドイツ発祥の品種で、スキアーヴァ・グロッサとリースリングを交配させることで1929年に産まれた。ドイツでは栽培量では5指に入るほどの隆盛を誇っている。リースリングに比べて酸は少ないが香りが強いので、冷涼な北海道には適しているのか最近日本ではポピュラーな品種となってきた。

色はややうす濁りのレモンイエロー。泡は弱めで優しく全体から仄かに立ち上る。香りは食用ブドウ、ライム、浅葱、チューインガム、ビニル。

口に含むと軽やかな泡が弾け、その直後から残糖の少ないドライかつピュアな果実味が、舌を薄皮で包むように優しく広がる。ナイアガラ由来の香りが口腔にふくよかに広がり、その下で展開する味わいは細身で膨らみは小さいながらもしっかりした旨味があり、バランスよくまとまる感覚が好ましい。

終盤は味わいよりも香りの余韻で魅せ、涼風の如く爽やかな酸味が最後まで切れずに柔らかな果実味との螺旋を描きつつ、フィニッシュする。

アルコール9%の軽やかさも手伝って、アロマティックだけども繊細な味わいに仕上がっている。ブドウが育った土地を想像させるには十分のニュアンスに富んだ、心地よいスプマンテだった。

【Wineshop FUJIMARU 2,000円?】