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2015年8月

2015年8月30日 (日)

ムルゴ ブリュット メトード・クラッシコ2009 シチリア

150830murgo2009一つのワインを集中的に飲むよりは、数を試す方が好みなので、ワインを買う時も複数買うような事は多くないのだが、それでも定番的なワインはある。このムルゴもその一つ。

イタリアのスプマンテとしては質の高さ、コストパフォーマンスでは一押しの部類に入るこの泡は、シチリア特有の土着品種、ネレッロ・マスカレーゼによる。いわば、ブラン・ド・ノワール。黒ブドウ系の泡が好きな自分にとっては、それだけでも魅力的なスパークリング・ワインだ。

エトナ山の麓でワイナリーを営むムルゴ、このスプマンテは温度調節可能なステンレスタンクで16℃で20日間発酵させた後、ステンレスタンクで8~9ヶ月間保管、その後18~26ヶ月間瓶内二次発酵が行われる。

色は輝きと張りのあるゴールドイエロー。泡は勢いよく、ボリューム感がある。ブリオッシュ、焦がしバター、クッキーの焼き菓子的香りに加えて、ナッツ、ホイップクリーム、キノコも感じられる。

アタックは泡のきめ細かさが舌先に感じられ、その後滑らかな酸味が柔らかく包むように広がる。その酸に抱かれる果実味はフレッシュで、ほのかな苦みはシチリアン・オレンジを連想させる。酸と果実味のバランスを保ちながら、後半は南のワインらしいおおらかさを表現して、ゆっくりと余韻につなげていく。

余韻はふくよかさ、浮遊感を残しつつ、少しコーヒーのようなビター感、焦がしたニュアンスを漂わせながらフィニッシュに至る。

南の黒ブドウの泡、と聞いたときに感じさせるような重さを全く感じさせず、酸味と果実味のバランスを保つところが素晴らしい。この価格でこの質、安心安定のお味、といったところかな。

【R-the wine shop- (ファインズ) 2,500円?】

2015年8月29日 (土)

フォリチェッロ ボンベン2014 DOCモデナ

150829bombemようやく暑い夏も終わりに近づく。夏になると勢い泡の消費量が増えるのは仕方ないものだが、それでも無果汁の炭酸飲料は全く飲まなかった。コーラなど、口にしなくなって久しい。そう考えると久しぶりに飲んでみたい気持ちになるものだが。

泡でもその日の気分に応じて色々試してみるのだが、シャンパーニュばかりだと破産しかねないので、この日は軽快なイタリアの泡を。

エミリア・ロマーニャ州の古都、モデナで産出されるこの泡は、ビオロジックで栽培された地元品種モントゥー、この地ではモントゥーニと呼ばれることの多いブドウによる。元々はイタリア語でmolta uvaから由来する名前で、その名のようにこの地域で特に生産量の多かったブドウであったようだ。この生産者、フォリチェッロはこのモントゥーニを用いて瓶内二次発酵、酸化防止剤不使用の自然な造りを志向している。

色はやや乳白色の感がある穏やかな色調の薄いゴールド。香りは優しくオレンジ、白い花、やや有機的な香りも感じ、全体には控えめ。泡は注いだ瞬間以外は落ち着いている。

口に含むと溶け込んだ優しい泡がピチピチと弾ける感覚が好ましく、その直後にドライで残糖分の少ない、そしてベースに苦みの効いた味わいがストレートに迫ってくる。余計なものをそぎ落とした潔さが全面にみなぎり、複雑さ、余韻云々という表現を考えさせる暇を与えない。ただ心地よさ、素直さ、清々しさを感じでそれでいいではないか、という思いに好ましく屈服させられる。

フィニッシュに至るときにようやく控えていたやや粘る旨味、そして最後まで幅を利かせる苦みのミネラル感が現れて、単なる軽快なワインではない、という懐の深さを垣間見せてくれる。

序盤の軽快さから余韻の剛腹さに至る展開が久々に印象深かった。これが土着品種モントゥーニの力によるものか、造り手によるものかは判断がつかない。おそらくはその両者が幸福の下に出会った故の結晶と呼ぶことが、至って穏当ではあるが相応しいのだろう。

【R -the wine shop- (ヴィナイオータ) 2,500円?】

2015年8月11日 (火)

ルイナール ブラン・ド・ブラン ブリュットNV

150811ruinartblancdeblancbrut小規模醸造家、レコルタン・マニピュラン(RM)のシャンパーニュも好きだけど、やはり大手の実力も素晴らしいと思う。長年研さんを重ねて高い品質を保ちつつ、納得性のある価格で安定供給を果たしてきた伝統はなかなか崩すことはできない。

その大手の中でもルイナールはさらに高いランク付けがなされる作り手といってもいいだろう。2013年のLa Revue de Vin de la France誌では20位にランクされ、年産2.5百万本を世に送っている。今はLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下だが、シャンパーニュは独立して生産、シャルドネ・ハウスと呼ばれた伝統を保っている。

このブラン・ド・ブランは勿論シャルドネによるものだが、モンターニュ・ド・ランスとコート・ド・ブラン、2つの産地のシャルドネを用いている。マロラクティック発酵を行い、やや酸を和らげる造り。

色は清々しい若草のようなグリーンを帯びたレモンイエロー。香りは若めの色調とは対照的に落ち着いた熟成香があり、焦がしバター、熟成を始めたチーズ、カラメルに加えて、湿った石灰、海藻、後半にはややスパイシーさも感じさせる。

口に含むと、直後からしっかりした苦みをベースにした酸味と果実味が幾重に折り重なるストラクチャーを感じる。味わいの輪郭が明確に感じられ、そのフォルムに包まれたミネラリーな果実味はふくよかでリッチ。そして上品さという形容が見事に当てはまる味わいの芯を成すのはシャープで緻密な酸。考えつくされた緻密な構成に息を飲む瞬間が後半に訪れる。

余韻は最後までベースに座る骨太の渋みがさらに懐を広げ、その中でフレッシュな酸が再び躍動し、観客からアンコールを欲するかのような想像を抱かせながらフィニッシュに至る。

重厚でありながら繊細、その矛盾しそうな特徴を1本のシャンパーニュに的確に表現するところは、大手の伝統と余裕の為せる業だろうか。暑い夏の休日を共にする相手としてこれほど相応しいシャンパーニュはないかもしれない。

【エノテカ グランフロント大阪店(エノテカ) 10,000円】

2015年8月 8日 (土)

ジャン・ポール・エ・ブノワ・ドロワン シャブリ グラン・クリュ ヴォーデジール2011 AOCシャブリ・グラン・クリュ

Chablisjeanpaulbenoit今日は毎年恒例の淀川花火大会。昨年は大雨の影響で中止となったが、この日も夕方から天気が急変、雷雨となったものの、かえって打ち水のような涼を呼んで、心地よい花火となった。

その花火と共にゆったりした夜を彩ってくれたのは、久々のシャブリ。初めてブルゴーニュの白を飲み始めたころから、白ワインのベースはやはりここにある。

ジャン・ポール・ドロワンを率いるのは当年40歳のブノワ・ドロワン。かつて父の代には樽の風味が強すぎるという評価があったようだが、彼のワインにそうした印象はなく、樽を使いながらも突出させないバランス感覚がうかがわれる。

色はねっとりした質感を感じさせる艶やかなゴールドイエロー。香りは蜂蜜、黄桃の甘いニュアンスと共に、レモン、ライムの若い柑橘もバックに感じられる。

アタックは思いのほか甘さを感じ、その後細身ながら推進力のあるな酸味が立ち上がる。酒質は全体にソフトかつマイルドで、バランスの良さが伝わってくる。そのリッチさに複雑さを加えてくるゴツッとしたミネラル感も中盤から現れ、シャブリらしい表現力を押し出す。やや厚み、インパクトという点では物足りなさも残るが、全体の調和は透徹しており、好ましい評価を崩すまでには至らない。

終盤は温かな果実の旨味が口の中に膨らみを残しつつ、ミネラル感が細く長くその軌線を描きながら、最後まで整ったフォルムを崩さずにフィニッシュに至る。

シャブリとしてよりもワインとしてこの調和感は心地よく、作り手の想いが率直に伝わってくる。この調和に何か個性的なものが感じられるようになれば、さらに評価は増してくるだろう。これからの深化に期待したい。

【Cave de Terre淡路町店(稲葉) 8,000円?】