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2015年2月

2015年2月16日 (月)

L&Sシュルラン ブリュット・トラディシオンNV オーブ(コート・デ・バール)

150215cheurlinシャンパーニュと言えば、モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブラン、この3地域こそが重要というのが常識だった時代は既に過去のもの。今やシャンパーニュの南端、ブルゴーニュの北端に接するコート・デ・バールは最も注目される地となった。

コート・デ・バールのことを、オーブとも言う。オーブ県という行政区域に広がるブドウ栽培面積は今ではシャンパーニュの全栽培面積の4分の1にもなる。ここを本拠とするのはローズ・ド・ジャンヌ、ドラピエが著名だが、このL&Sシュルランもその一角に加わりそうだ。

この地域では古くからブドウ栽培を手掛けるシュルラン家、その一員でまだ30代のセバスティアン、ルーシー兄妹がビオロジックを推進しているのがこのドメーヌ。オーブはシャンパーニュでは南だがピノ・ノワール主体地域となっているものの、このドメーヌではフレッシュさを引き出すためにシャルドネの比率を増やしつつある。このシャンパーニュはピノ・ノワール70%、シャルドネ30%で、ドサージュは9g/l。

色はややグリーンを感じさせる、明るさを帯びた薄めのゴールドイエロー。泡は快活で、勢いよく立ち上る。レモン、ライム、グレープフルーツのフレッシュな柑橘の香りに加えて、ブルーチーズ、セルロイド、湿った石灰も感じられる。

口に含むと快活な泡が舌先を弾く。その直後からフレッシュな青さを感じさせる直線的な酸がすくっと伸びるように迫り、その後にドライな柑橘の果実味が広がってくる。そして中盤からはベースとなるしっかりしたほろ苦さ、ミネラル感が座ってくる。複雑さ、ふくよかさは中程度ながらストレートに迫ってくるピュアな味わい、すがすがしさが心地よく、後半に向けてもその印象を譲らない。

余韻はドライな果実味をキープしつつ、スマートかつバランスの良いボディ感を残しながら爽やかに昇華していく。

複雑さ、重厚さとは違った個性を表現しつつ、ブドウのフレッシュさでストレートに迫ってくる潔さが気持ちよいくらいに伝わってくる。若い世代が目指す真っ直ぐなシャンパーニュ、そのフレッシュ感はコース料理の幕開けには相応しい一本だな。

【Wineshop FUJIMARU天満橋店(ラシーヌ) 4,500円?】

2015年2月15日 (日)

クロッスリー・デ・ムーシ クロッスリー・デ・ムーシ2012 AOCオー・メドック 

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普段ボルドーワインを飲まない自分だが、決してボルドーが嫌いなわけではない。熟成を経たボルドーの馥郁とした香りと、舌を優しく包む滑らかな酒質は例えようのない豊かな満足感をもたらしてくれる。

しかし、日常のケースで飲む頻度がやはり飲む事は少ない。けれどもこのワインに関してはジャケットの綺麗さもさることながら、わずか1haの畑で女性二人がビオディナミを実践している、という背景が知的好奇心を誘った。

クロッスリー・デ・ムーシの設立は2009年で、ブドウ栽培は殺虫剤や鉱物質肥料を使用しない厳格な有機農法を実践している。2012年ヴィンテージのデータはないが、2011年はカベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロー20%、カベルネ・フラン20%のセパージュ。

色は深みのある、落ち着いた黒味を伴ったガーネット。カシス、ブラックベリーの熟した香りが放たれ、そのバックにはインク、ローズマリー、ほんのりとタバコも感じられる。

アタックは滑らかな酸味と熟したベリーの甘みだが、やがてやや硬さの残るタンニンによる渋みが徐々に掘り下げるように深みを演出してくる。非常にシルキーな舌触りが印象的で、複雑さは大きくないものの、ジューシーな果実の旨味と温かみのある酒質が好ましい。中盤から後半はしっかりしたベースも感じられ、安定した味わいを展開する。

余韻は優しい甘みの印象がふっくらとした味わいを残しつつ、前半にはやや硬さの感じられた渋みも昇華するように減じてきれいなフィニッシュに至る。

ボルドーでビオディナミを実践している造り手は少数派なのだろうが、ボルドーの伝統的かつ重厚な味わいとビオの目指す自然な味わいがイメージとしてなかなか相容れないところに、造り手の葛藤も生まれるのではないだろうか。しかしこのワインを飲んでみると、その両立する姿が見えてくるような印象はある。これからの展開が楽しみな造り手だ。

【R -the wine shop-(サンフォニー) 4,200円?】

2015年2月11日 (水)

アンドレ・ボーフォール ブリュット・レゼルヴNV アンボネィ(モンターニュ・ド・ランス)

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フランスで最も伝統を守っている、という勝手な印象を持っているシャンパーニュだが、勿論そうした先入観は禁物となっているほどに新しい造り手、自然派というやや大くくりのカテゴリーで呼ばれる造り手も徐々に頭角を現しつつある。

その先駆者して、アンドレ・ボーフォールを挙げる人は多いのだろう。ビオディナミを厳格に取り入れ、うどん粉病、ベトカビ病のために用いられる硫黄、硫酸銅さえも使用することがない。薬の代わりにアロマテラピーに用いられるオイルを使用するという彼の農法は、自らの体調に照らして体に悪いものを排除するという徹底ぶりだ。このブリュット・レゼルヴはピノ・ノワール主体。

張りのあるゴールドの色合い。泡はしっかりした粒が快活に立ち上る。漢方薬のような不思議な香りを伴いつつ、肉厚の果実、ミント、シナモン、洋ナシのコンポート、マロングラッセ。

アタックから甘みを感じる、太めの果実味に勢いの良い泡の体感が絡み、シャンパーニュとしてはややとまどうボリューミーな展開。しかし放埓さはなく、角を立てない酸味がうまく果実味をまとめ、品性を与えつつ穏やかな中盤へと流麗なフォルムを見せながら導く。後半にやや甘みの強さを感じるものの、全体を崩すほどの印象は与えない。むしろ他にない個性としてみれば好ましく、後半のデザート感覚に似た甘みの広がりへとつなげていく。

余韻は後半の甘みがそのまま残り、個体の果実をほうばるような実体感を演出しながら、飲みごたえを実感させつつ収束していく。

他に比べて一段上を行くボリューミーさだが、それがけっしてくどさにならない一線を保っているところに秀逸さを感じさせる。ぐいっと飲み干すことがなかなかできない質感だけに、ゆっくりした時間で向き合う余裕も必要なシャンパーニュだな。

【ワインショップ・リコルク(ジャパンインポートシステム) 6,500円?】

2015年2月 7日 (土)

ラエルト・フレール レ・ボーディエール ロゼ・ド・セニエNV シャヴォ(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ) 

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年末はかなりシャンパーニュを飲む機会があった。シャンパーニュのティスティングは他のワインよりも色、味、香りの要素をとる場合に集中力が必要になってくる。それは使われるブドウが主にシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの組合せという限られたものであり、そこからさまざまな造り手のさまざまな手法の手がかりを探っていくところにあると思っている。しかし、それ故に知的好奇心も湧いてくる。

色々試す場合でも同じ造り手が様々な手法を試している場合の方が比較はしやすい。そのニーズに応えてくれているのが、ラエルト・フレール。手ごろな価格も魅力なので、最近自宅では最も消費度の高い造り手になっている。このロゼは樹齢50年以上の古木、ピノ・ムニエからセニエ法により造られ、最低4年間の熟成を経てから出荷されている。

色は濃いめの若干オレンジを帯びたサーモンピンク。泡は開けた直後はしっかり出るが、その後は弱めで、微かに細々と立ち上る。イチゴの熟した香りが顕著で、それに続くようにバラ、キャンディー、紅茶の甘い香りに誘われる。

アタックはしっかりかつ柔らかく発する泡から、残糖の少ないドライな果実味とベースの低い渋みの印象で、ピノ・ムニエの印象を裏切るような展開に戸惑う。中盤はセニエ法からは想像しづらい濃い色調から納得させられる太い印象のタンニンがどっしりと座り、やや軽快感、フルーティーさがもう少し欲しいと感じるところはあるが、要素は稠密で複雑、後半に至っても安定したくどさのない自然な味わいを展開していく。

余韻は赤い果実の味わいが自然で切れ良く流れていくが、しっかりした渋みがアクセントとなりつつ、重厚感を演出しながら引いていく。

もう少しムニエらしいかろやかさ、ふくよかさが引き出されてもいいかな、という印象はあるものの、単に色付けだけではなくブドウの旨味がたっぷりと感じられるところはさすがだ。ロゼというよりも赤に近いシャンパーニュといったところかな。

【ワインハウスタカムラ(ラシーヌ) 6,500円?】

2015年2月 4日 (水)

ヴァンサン・ドーヴィサ シャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨン2010 AOCシャブリ・プルミエ・クリュ

150203vancent_dauvissatブルゴーニュワインを飲むときは、しばしば手元に地図を置く。地図を置き、そのワインを産んだ畑を探し、地形をひもとくことで、そのワインをはぐくんだであろう情景を思い浮かべれば、その味わいの深淵を導き出すことができるのではないだろうか、と考えるのだが、そこは素人の知識では限界があるのでなかなか思うようにはいかない。

このワインはシャブリでも1級畑に位置づけられるヴァイヨン産。ヴァイヨンはシャブリの街から南西の海抜200-250mの斜面、東向きの畑で午前中に日照が当たることから、夜との気温差が一気に上がってくるので酸味と果実味のメリハリが効いた味わいになると想像される。

作り手は今やシャブリで最も著名となったといって差し支えのないヴァンサン・ドーヴィサ。ステンレスタンク派が占めたシャブリに敢えて小樽を用いたクラシックなスタイルでありながら、シャープさを失わないその味わいに、年を追うごとに人気は高まるばかり。

色は落ち着いてしっとりした質感が漂う澄んだ黄金色。香りは黄色い熟した果実、花梨、洋ナシ、シナモン、蜂蜜、ヘーゼルナッツに加えて湿った石灰の香りも感じられる。

口に含むと酸は思いのほか優しく穏やかなアタックを感じるが、その後はじっくりと染みてくるように凝縮感のある果実味がゆっくり広がってくる。皮についた実の部分の詰まった味わいを強く感じるが、決して甘みはくどくなく意外にさっぱりした切れの良さがあり、ボディの豊かさと味わいの繊細さを両立させているところが驚き。中盤からは丘を下るかのような鷹揚さから、後半のしっかりしたミネラル感へのアップダウンのある展開も楽しい。

余韻は一転して第九の第三楽章のような静けさに似た落ち着いた味わいと、時折垣間見せるミネラル感の抑揚が心地よく、長い膨らみを残しながらフィニッシュに至る。

語るべき要素が詰まっていても、それを表現できないもどかしさが残った、素晴らしい作品。これが年月を経たらどう変化するのだろうか。今開けたことを後悔してしまいつつ、今しか味わえないものを楽しめた充実感に満たされた矛盾を見せつけられたワインと言えそうだ。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU(大榮産業) 6,500円?】

2015年2月 3日 (火)

ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ マルサネ ラ・モンターニュ2011 AOCマルサネ

140101marsannay2015年に入って、すっかりブログの更新を怠っていた。その間特に体調が悪かったわけでもなく、ワインを飲まなかったわけでもないが、漫然とワインを飲んでしまっていたような気がする。反省も込めて、今年も再開。最近はこのブログも自分の備忘録として利用することが多いので、全くの私的感覚で楽に始めたい。

さて、遅ればせながら今年最初に選んだのは今最も気に入っている作り手の一人、シルヴァン・パタイユ。マルサネはロゼで著名な土地で、シルヴァンも勿論ロゼを作っている。そのロゼは繊細な果実味の中に微かなタンニン、細めの酸に導かれる後半のミネラル感のふくよかさが心地よい、マルサネ・ロゼの完成形といってもいい表現力を持っている。しかし、その流れをこのマルサネ・ルージュにも注ぎ込んでいる。

色は赤紫がかった落ち着きのあるルビー色。香りはブルーベリー、紫蘇、樽から来るロースト香、湿った土の香りも感じられる。

口に含むとまろやかな小ぶりの赤い果実の酸を感じ、そこから過度に熟していない適度な甘みを伴った果実味が、口の中にきっちりと収まる大きさで優しく広がる。果実味はクリアで雑なところがなく、細かで控えめなタンニンと調和し心地よい。ボディは中程度だが、内に秘めたエネルギーはしっかり感じられ、後半にはやや粗めのタンニンが顔を出し、ベースとなって味わいに奥行きを持たせる。

余韻は穏やかで腰の低い旨味が口の中に薄皮を張るようになめらかに広がり、そこからさっと溶けるようにその味わいをゆっくりと減じていく。

ボリューム感は控えめだが、中身は充実。やや小ぶりだからこそ、そこに詰め込まれた多くの要素をしっかりと感じられるのだと思う。気軽に、しかし落ち着いて深さも楽しめるワインと言えるんじゃないかな。

【Wineshop FUJIMARU(ラシーヌ) 4,800円?】