フォトアルバム

カテゴリ

最近のトラックバック

お気に入りリンク

« 2014年11月 | メイン | 2015年2月 »

2014年12月

2014年12月31日 (水)

パスカル・ドケ プルミエ・クリュ・ド・ラ・コート・ド・ブランNV ヴェルテュ(コート・ド・ブラン)

141230pascal_doquet最近のワインの傾向として、自らのワインにこだわりを持つ小さい造り手により注目が集まっている。シャンパーニュのレコルタン・マニピュラン(RM)への関心もその一環であるのだろう。

パスカル・ドケは今でこそ著名な造り手だけれども、その歴史は彼が独立した2004年以来だからわずか10年だ。それ以前も家族がワイナリーを経営していたが、化学肥料を用い量産主義であった手法に反感を覚えていたのだという。そして今や完全ビオロジックを実践、コート・ド・ブランでは主流のシャルドネにこだわることなく、粘土質の畑に適していると信じるピノ・ノワールも植えている。ただし、このプルミエ・クリュ・ド・ラ・コート・ド・ブランは、シャルドネ100%によるブラン・ド・ブラン。2002年と2004年に収穫されたブドウを用い自然酵母で発酵、2005年5月からの瓶熟を経て2010年7月19日に澱抜き、ドサージュは7g/l。

色はほんのりとグリーンがかった、張りのあるやや薄めのゴールドイエロー。泡は細かく全体から優しく立ち上る。香りはリンゴ、白い花、ホイップクリームのミルキーな感覚に加えて、クロワッサンの香ばしさも感じる。

アタックは柔らかく細かな質感の泡が舌先をくすぐり、その直後からストレートな柑橘系の酸が伸びてくる。ドライな果実味が直線的に迫り、切れの良さ、メリハリの効いた味わいの印象。熟成感、複雑さは中程度だが、シャンパーニュに求める特質をきっちりと備えており、冷やし加減では感じるドライさも、やや温度が上がってくるとよりクリーミーな印象が引き出され、後半を豊かに楽しむことができる。

余韻はしっかりしたほろ苦さがベースとなり、その上を滑るようにフレッシュな柑橘系の果実味が走りながら味わいを収束していく。

シャルドネ100%だがふくよかさを兼ね備えている柔らかい味わいに意外な印象をを受けた。最近の人気で普段は目にすることも少ない造り手となったが、機会があればもっと試してみたい。

【Wineshop FUJIMARU(アカデミー・デュ・ヴァン) 5,240円】

2014年12月29日 (月)

ドメーヌ・デュセニュー クローズ・エルミタージュ ルージュ2013 AOCクローズ・エルミタージュ

141229duseigneurclozesermitage自分が最も思い出深いワインを1本挙げることになれば、ワインにはまるきっかけともなったアラン・グライヨのクローズ・エルミタージュ1990を選ぶことになる。その濃密な果実味と、スパイスやハーブを漬け込んだかのような味わいは、それまでに飲んでいたワインとは全く異なり、当時の印象が今でも鮮烈に蘇ってくるほどのインパクトだった。

そしてそれ以来、そのワインを醸したシラーという品種にも魅かれ、数々のワインを試してきた。しかし、アラン・グライヨでさえも近年は当時に比べるとまろやかな造りに変わってきたように、ワインもまた世代の移り変わりとその時の一般的嗜好によって変わるものなのかもしれない。当時のワインを彷彿とさせる勢いの良さ、パワフルなシラーにはこのところ巡り合っていなかった。

その中で最近かなり近い味わいを思い起こさせてくれたのが、このドゥセーニュという造り手のクローズ・エルミタージュ。設立は1967年のワイナリーで、創立者のジャン氏は元々アルジェリアでブドウを栽培していたという。そしてそれ以来、当時はまだ確立していなかったが、ビオディナミに近い自然農法を実践して畑を開拓、2004年からは完全にビオディナミに移行して今に至っている。そして2007年からは1992年の世界ベストソムリエ、フィリップ・フォルブラ氏が醸造に参画しているとのこと。

色は濃密かつ凝縮度のある黒味の強いダークルビー。香りはスパイスが全面に出て、ジャーキー、生肉の獣香、マッチ箱、漢方薬の香りも感じられる。

口に含むと濃縮されたベリーの果実味と、伸びのある酸味が一挙に勇んで飛び込んでくる。その勢いに伍するタンニンはやや粗削りだが、その量と共に序盤のインパクトを支配。それらの展開がひと段落すると、一転して穏やかな甘みが果実味から引き出され、ベースにやや粉っぽさのある苦みが座りつつ、中盤の落ち着いた味わいへとつながっていく。

余韻は最後まで伸びやかな酸味がビターな苦みと密接に絡み合いつつ、なだらかな収束感を残しながら引いていく。

自分がクローズ・エルミタージュに対して抱いていたやや粗削りな印象、ボリューム感、スパイス感の3つを併せ持ったワインに出会えて、非常に嬉しい。これからの展開が楽しみなワイナリーの一つになった。Good JOB!

【パントリー新大阪店(モトックス) 3,200円?】

2014年12月25日 (木)

マリー・セシル リナトンデュ エクストラ・ブリュットNV ヴァレ・ド・ラ・マルヌ

141223marysessilelinattendue天の邪鬼的な性格が災いするのか、ワイン選択においても全うな道には行かず、少し変わった品種の方に魅かれる性向は変わることがない。こと、シャンパーニュに関してもその傾向はある。試飲会で数あるシャンパーニュの中で最も興味を惹いたのがこの一本。

全く知らない造り手で、インポーターも正直知らなかった。そうしたシャンパーニュで、ピノ・ムニエ100%であるから、いったいどういう事だろう?好奇心のみで試飲敷いた結果、購入まで導かれた理由はムニエらしからぬ酸の明瞭さだった。

ピノ・ムニエは今でこそ単一で用いられることも多くなったが、シャンパーニュにおいてはピノ・ノワール、シャルドネの補助品種的な立場に甘んじることが多かった。それはひとえに控えめな酸というこのブドウの特性が、単独で用いられる場合にシャンパーニュに対して求められるものを表現しきれなかったという事にあるのだろう。

しかしこのシャンパーニュに関しては全くそうした印象はなく、むしろ明瞭な酸がシャルドネによるブラン・ド・ブランに近かった。収穫は2008年から2009年に行われたブドウによるエクストラ・ブリュットでドサージュはわずか2g/l。女性の手による年産5,000本のシャンパーニュ。

色は張りのある艶やかなゴールドイエロー。泡は細かく快活に全体から立ち上る。香りは焼きリンゴ、ブリオッシュ、カスタードに加えて、ナッツ、トーストを感じる。

口に含むとシャープな酸が突き進み、快活な泡が弾けるストレートなアタックにたじろぐ瞬間を待たず、ドライな引き締まった若い柑橘の果実味へとつながる。のどが渇くような印象があり、次の一杯を促すような展開。やや硬さも感じさせるが、全体の率直な味わいはそれさえも好印象に変えていく。終盤のミネラル感とライム的酸の絡みもvividで頼もしい。

余韻はやや乾いた味わいを保ちつつ、そこを潤すような薄皮一枚のしなやかな旨味も残しながら、爽やかなフィニッシュに至る。

ピノ・ムニエ主体でここまで快活なシャンパーニュに出会ったのは、フランソワーズ・ヴェデル以来かもしれない。オーレリアン・ラエルトでさえも、ここまでドライな味わいには仕上げなかった。いや、ムニエ100%でこの味わいを仕上げるのは一体どういうことなのか。味わうごとに謎は深まる。

【阪急のワインフェア(アンディゴ) 4,900円】

2014年12月23日 (火)

エミリアーナ・ヴィンヤーズ ノヴァス ピノ・ノワール2011 カサブランカ・ヴァレー(チリ)

141223emikianapinotnoirこのブログでチリワインを取り上げるのは久々のような気がしたが、去年の4月以来。その後度々試してはいたのだが、今回ようやくその気になるワインに巡り合った。

そのチリワインだが、安くて美味い事は間違いないところで、自分も白ワインを中心に好きな作り手、たとえばコノスルなどを飲むことは少なくない。しかし、赤となるとかなり抵抗がある。やはり果実味が強すぎて、飲み飽きしてしまうのだ。

そのチリ産赤ワインの中でピノ・ノワールに関しては違った印象で敬遠してきた。、本来のチャーミングな酸味が消えてしまうか、酸が突出したバランスの悪いものになりがちだと感じていた。しかし、試飲してみたこのワインはそうした先入観を払しょくするに足るところがあった。

エミリアーナはチリで1986年に設立された、まだ若いワイナリー。チリにおいては先進的に有機栽培、またはビオディナミを実践しているという。このノヴァスシリーズは首都サンティアゴから北西に約100km、太平洋に迫った地域に位置するカサブランカ・ヴァレーで有機栽培されたブドウから造られる。日中は温度が上がり糖分が上がっても、夜間そして朝は太平洋からの風と、発生する霧によって冷やされるため、それに見合った明瞭な酸を持ったブドウが産みだされるため、チリにおいてもブドウ栽培に最も適した場所とされる。

色は全体に紫がかった、やや濃いめのルビー色。フランボワーズ、濃いめに淹れた紅茶といった甘さを感じさせる香りに加えて、鉄、オークがバックに感じられる。

口に含むと生き生きとした赤い果実のまだ熟す少し手前の酸味がすっくと伸びるのを感じ、その後にチャーミングな程よい甘さを持った生きのいい果実味が連なってくる。アルコール度は14%だが、それを感じさせない繊細な味わいで、幅も中程度。飲み飽きしない程度のボリューム感を保ち、タンニンも調和を乱さない程度の量を保って、抑制が効いている。やや後半に苦さが突出してくる感じはあるものの、全体の好印象を覆すほどではない。

余韻も素直な果実の甘さが自然に広がり、最後までフレッシュさとメリハリ感を保ちつつなだらかに引いていく。

チリのピノ・ノワールに関する苦手意識を払しょくさせてくれた、記念すべき1本になった。全体の味わいはカリフォルニアに近いが、それよりもリッチ感は抑えて、優しく酸味の効いた味わいになっている。デイリーに楽しむには格好の1本といえるんじゃないかな。Good JOB!

【阪急のワインフェア販売(ワイン・イン・スタイル) 1,800円?】

2014年12月17日 (水)

フェルミエ カベルネ・フラン2011 新潟県新潟市

141217fermiercabernetfranc_2

ワインは農作物、それを作る者は農民。そうした思いがストレートに伝わってくる名前としてフェルミエは相応しい。フランス語で農民という意味のこの名を冠するワイナリーを新潟に開いたのは、しかしかつては証券会社で働いていた方だという。そのギャップもまた、このワイナリーの無二の個性を導いているのだろう。日本ワインにおいて、自分が最も愛するワイナリーの一つだ。

新潟のワイナリーと言えば、カーヴ・ドッチが先鞭であろうが、フェルミエを起こした本多氏もそこから学び、カーヴ・ドッチに隣接する場所に畑を開いた。越前浜と呼ばれるその地は佐渡島の対岸で、砂利質の水はけのよい土壌は降雨量の多い新潟でブドウを栽培するには適しているだろう。そしてその地で植え始めたブドウはカベルネ・フランとアルバリーニョというこだわり。

全体に紫を帯びた、なめらかな色調のルビー色。香りはフランの特徴と言えるやや青さを感じさせる香りが全面に立ちつつ、スミレ、ブルーベリー、鉛筆の削りかす、ミント、新緑のすがすがしさ。

アタックはピュアですっくと立ち上がるクリアな赤い果実の酸味、その後細身だがしっかりした密度を感じさせる果実味が、繊細なタンニンとともにゆっくりと広がってくる。タンニンは細かだがボリューム感があり、中盤からはしっかりしたベースを形作る。その上にビロードのクロスのように流麗な旨味が広がり、穏やかで心地よい終盤へと導く。

余韻は渋みと旨味の綺麗な絡み合いが演じられる間にフレッシュな酸が再び戻ってきて、クリアな後味を残しつつフィニッシュに至る。

教科書で習うようなカベルネ・フランの特質がここまで日本の地で明瞭に表現できるということに今更ながら驚かされる。いや、どのヴィンテージでも最初にこのフランを飲んだ時の印象は覆らない。価格は高めだがその理由と価値がある、日本において世界に誇ることのできる、ヨーロッパ系ブドウ品種の赤ワインに違いない。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU 4,800円?】 

2014年12月14日 (日)

ラッツエンベルガー シュペートブルグンダー ブラン・ド・ノワール ゼクト ブリュット2006 ミッテルライン(ドイツ) 

141214ratzenberger今年のスパークリングワインの売り上げは好調のようだ。自分も泡は大好き。沸き立つ泡を観ていると、心沸き立つような思いにさせられるから不思議だ。確かにスパークリングにはそうした雰囲気を醸し出す力がある。

その中でも黒ブドウ、ピノ・ノワール主体のシャンパーニュを含めたスパークリングには惹かれてしまう。今回は珍しい、ドイツのゼクトでシュペートブルグンダーによるヴィンテージ・スパークリング。

ラッツェンベルガーはミッテルラインにおける有数の作り手で、ミネラル感あふれるリースリングの他に、瓶内二次発酵によるゼクトも作っており、熟成を経たクリーミーなワインを志向している。しかし、このワインはシュペートブルグンダー=ピノ・ノワールによる珍しいゼクト。

色はややグレーがかった、ほんのりセピアを帯びた質感のあるゴールドイエロー。泡は弱めだが、優しく緩やかに立ち上がる。香りは甘い熟したストロベリーの香りが全面に立ち、その中にサワークリーム、トーストの香りが感じられる。

口に含むと舌先に柔らかく働く、溶け込んだ細やかな泡が弾け、その後に丸みのある質感を伴ったベリーの優しい甘みと、しっかりした苦みの印象のある果実味が広がってくる。中盤では穏やかな酸味を残しつつ膨らみのある果実味が中盤に座り、クリーミーな泡がやや重さに偏りそうになる味わいを引き戻すようにバランスを取りつつ、終盤の穏やかな旨味へとつなげていく。

余韻はほろ苦い渋皮の印象をしっかりと残しつつ、柔らかな旨味のボリュームをゆっくりと減じながら引いていく。

いわゆるシャンパーニュのブラン・ド・ブランとは異なり、程よい甘みとしっかりした渋みを両方感じさせる独特の味わい。この独特さに好みは別れるかもしれないが、ドイツのスパークリング、いや、この造り手にしかなさそうな個性あふれる1本には違いない。

【ヘレンベルガー・ホーフ 4,200円?】

2014年12月 6日 (土)

ピラミッドヴァレー・ヴィンヤーズ グロワーズ・コレクション カルヴァート・ヴィンヤード ピノ・ノワール2009 セントラル・オタゴ(ニュージーランド南島)

141206pyramidvallevineyardピノ・ノワールは世界各地で栽培されていて、最近では南仏やチリからもたらされた千円台のワインも珍しくはない。しかし自分にとって飲んでみて確かに一杯目くらいは飲めるのだが、それ以上なかなか進めないことが多い。南仏のそれは芯となる酸が不足し締りがない、チリは酸はあるのだがボディが薄い、という印象がある。

これもピノ・ノワールに限ったことで、その他の品種は全く別の話だ。とにかくこの品種の難しさは、飲み手にとっても常に付きまとう問題である。だからピノ・ノワールに関してはある程度保守的、地域的にも酸が出やすい場所を選んでいくことになる。

ニュージーランドはピノの産地でも既に評価が定まった場所と言えるだろう。その中にあってセントラル・オタゴはニュージーランドを構成する北島、南島のうちの後者、しかもその最南端にある生産地で、ブドウ栽培地としても南半球の南端極限と言われている。

ピラミッドヴァレー・ヴィンヤーズは2000年に設立、ブルゴーニュで醸造学を学んだオーナーがビオディナミ農法でブルゴーニュを模範としたワインを造っている。今は畑を所有しているが、その昔借りた畑でブドウを栽培してワインを造っていたときの名残りがグロワーズ・コレクション。

色はやや曇りのある深みを帯びたダークルビー。香りは程よいヴァニラの樽香とともに、フランボワーズ、イチゴジャム、紫蘇、ドライフラワーの華やかな香りが漂う。

口に含むとクリアで軽やかな味わいの中で、芯のある低めの酸がすっくと立ち上り幹を成す。その幹を上がってくるように軽妙な果実味がせり出し、繊細ながら量のあるタンニンをベースにしながら緻密なボディを形成していく。中盤にやや強みの甘みを感じさせるものの、その甘みも後半には自然と昇華し、豊かな旨味の印象へと転化しつつ、穏やかな夕暮れの情景を思わせるような安定へと誘われる。

余韻は穏やかなベリーの甘みがにじみ出てくるように染みわたり、ブドウの美味しさを十二分に感じさせながらデザートを味わう心地に満ちつつ、収束に至る。

ジャミーに陥らない酸味を保っているところ、そしてその中に幾重もの味わいの要素が重なっている構成が素晴らしい。ニュージーランドのワイナリーの中でもまずは屈指の造り手であり、自分としても大好きと胸を張っていえる造り手の一人だ。

【Wassy's中之島店(ラック・コーポレーション) 4,500円?】