フォトアルバム

カテゴリ

最近のトラックバック

お気に入りリンク

« 2014年5月 | メイン | 2014年7月 »

2014年6月

2014年6月22日 (日)

ラ・ソルグ オモン・パイス2009 ヴァン・ド・ターブル(ラングドック・ルーション)

140622lasorgommonpaisたいていのワインはインターネットで検索すれば見つかるんだけれど、中には苦労する場合もある。このワインもそうしたものの一つだった。

作り手は最近自然派の中では聞く機会も増えたアントニー・トルテュル。彼が25歳の時から率いるネゴシアンがラ・ソルガで、南仏から樹齢の高いブドウを買い付けて、様々なワインを世に送り出している。とにかくそのエティケットが強力で、ランファン・テリブル(恐るべき子供たち)とか、フレンチワイン・イス・ノット・デッド(フランスワインは死んでいない)などのネーミングは一度見れば忘れがたい印象を与えてくれる。

さて、このオモン・パイスだが、その言葉の意味は推測だがオック語で「わが祖国」だと思う。元々南仏はオクシタニアと呼ばれていたが、この地では今では廃れたオック語を民族的資産として大切にしていると聞く。そしてこのワインのブドウはソーヴィニヨン・グリ100%、ソーヴィニヨン・ブランの変異種であり、徐々に栽培面積を増やしつつある。二酸化硫黄は無添加。

色は柔らかな質感のあるやや薄めの山吹色。香りはグレープフルーツ、キャラメルといった酸と甘みを感じさせる香りに加えて、セメダイン、ビニルの有機的香りが強く出ている。

口に含むと推進力のある酸味と共に、じっとりとした甘みを含んだ果実味がストレートに広がり、柑橘系果実の皮の苦みの成分がベースに座ってやや粗さのある味わいを落ちつかせるように中盤を構成する。甘さは飲んだ当初はボリュームが突出しているように思ったが、中盤以降は想像とは違った緻密さと口どけの良さを感じさせる。後半に広がる穏やかで自然な甘みも心地よい。

余韻は穏やかでリッチな甘みの中に程よい苦みがアクセントなって、膨らみのある旨味を演出しつつ、穏やかにゆっくりとその力を減じていく。

飲んだ当初は少し味わいが厳しいかと思ったが、時間とともに柔らかさとその本質が明らかになってきた。自然派と呼ばれるワインに共通することだが、本当の味わいを知るには一定の時間が必要なので、飲み手にも相応の覚悟と忍耐力が求められるということなのだろう。

【Wineshop FUJIMARU 3,000円?】

2014年6月21日 (土)

カーサ・ダンブラ ペッレ・パルンモ2011 DOCイスキア(カンパーニャ州)

140619casadambraischia_2

イタリアに限ったことではないが、同じブドウが地方では異なる名称で呼ばれることは良くあることで、このブドウもまたその一つと言える。Per'e Palummo、綴りも難しいが、ペッレ・パルンモと呼ばれるこのブドウ、実はカンパーニャの主要品種、ピエディ・ロッソのこと。ピエディ・ロッソはカンパーニャ州の古い土着品種で、1世紀には既に文献に登場する。「赤い脚」と呼ばれるこのブドウは、黒ブドウ品種としてアリアニコに次ぐ栽培量をこの州では誇っている。アロマティックな香りの特徴から、よくブレンド用として用いられていたが、最近は単一でも目にするようになった。

DOCイスキアは島独特の個性を重んじ、赤はグアルナシア40~50%、ペッレ・パルンモ40~50%、その他品種を15%まで混醸できる。しかし、イスキア島の盟主、カーサ・ダンブラが醸すこのワインはペッレ・パルンモ、つまりピエディロッソ100%によるもの。

色は赤みの強い、ビロードのような質感を感じさせるルビー色。香りは花のエッセンス、ザクロ、アセロラ、ラベンダーのようなアロマティックさが前面に出ている。

口に含むと落ち着いた果実味の中に、紫蘇のような味わいが感じられる。タンニンは少なく、飲んでいて負担感のないおおらかな味わい。整えられたボディは凹凸が少なく、するりとのど元を流れる感覚が心地よい。複雑さは感じられないが、ストレートで雑味のない優しさが後半まで満ちている。

余韻は熟したベリーの甘みがほどけるように散じつつ、最後まですっきりした軽やかな味わいを保っていく。

南イタリアの赤に時としてあるような押しの強さは全く感じられず、するするとジュース感覚で飲めてしまう、気軽な赤ワイン。重いワインの合間にちょっとした息抜きにこういうワインが出てくると、変化がついて面白いだろう。変化球的な使い方ができそうなワインだな。

【タカムラ 2,200円?】

2014年6月19日 (木)

ベナンティ ノブレッセ メトード・クラッシコ ブリュット シチリア

140619benantiこのところ仕事が山場だったので、ゆっくりとワインに向き合う時間が取れなかったのだが、ようやく大きな山を越えたように感じたので、休日の一杯はイタリア、シチリアの泡とすることにした。

ベナンティはシチリアでも好きな造り手の一人だ。気候に任せると厚みの勝ったワインになりがちのシチリアにあって、フィネスの表現をよく心得た造り手だと思う。

シチリアの土着品種カッリカンテは主にエトナ地方で栽培され、この地を本拠とするベナンティも白ワインの主要品種としているが、この泡はカッリカンテから始めて作られた泡だという。90%によるもの。樹齢80年以上の古木から年間約4,500本の少量生産で、伝統的な瓶内二次発酵によるもの。

色は輝きのある、やや黄緑がかったゴールドイエロー。泡はやや大粒で、力強く立ち上る。白桃、オレンジ、レモンドロップ、ヨーグルトの甘さを感じさせる香り。

口に含むと細かな泡が優しく舌先を突き、そして砕ける感覚が官能的。繊細で柔らかな酸と、程よい果実味のバランスが良く、豊かな味わいを中盤に広げていく。香りから連想した甘さの印象は、その本質のドライさによって覆され、後半に感じられるシャンパーニュとは異なる温かみのある旨味によって再び産地の個性が想起される。

後半から続いた膨らみのある味わいが終盤の締まった味わいにつながる連携に無駄がなく、長く繊細な余韻を伴って心地よい収束に至る。

当たり前だがシャンパーニュとは異なった味わいの展開を描きつつ、そしてフィニッシュまでにはそれに劣らない構成の妙を表現するところが憎い。シチリアの底力を表現しうる泡と言えようか。

【Wineshop FUJIMARU 4,000円?】

2014年6月 8日 (日)

ゼリージュ・キャラヴァン ピク・サン・ルー ヴェルヴェ2009 AOCラングドック

140608zeligecaraventヴァン・ナチュールというカテゴリーがあるが、厳密な規定はない。ただ、イメージとしてできる限り自然の法則に任せて作ったワインという事のようだが、任せ具合は人次第で、薬を減らす、農薬を全く使わないの違いでさえ、時としてこのカテゴリーは曖昧模糊としたものとして包含してしまう。

だから、自分はあまりそこには重きを置かない。味覚だけが全てを説明する要素だと思うからだ。しかし、このゼリージュ・キャラヴァンは自然派でありつつ、美味なワインとして信頼している。

南仏ラングドックのワインはその温暖な気候ゆえにワインが重く鈍い味わいになりがちだが、この作り手のワインはその危険性を見事に回避している。白ワインで土着品種シャザンを用いた「アン・ポコ・アジタト」も芯の通った清々しい酸味とハーブの清涼な香りが同居した、特徴あるワインであったが、このヴェルヴェはシラー主体、違った5か所の畑で栽培された樹齢25年以上のシラーから造られている。

色は赤みの強い、その名の通りヴェルヴェットのような艶のある華やかなルビー。香りはベリージャム、カシスリキュール、パッションフルーツのような酸味の香りと、バックにはミントの清々しさも感じられる。

アタックは滑らかな丸みを帯びた酸味をリードに、濃密だが整った細身の果実味が後に続く。ボディは細身で抑制されており、その中でこぶりなベリーの自然な甘みと細かなタンニンがバランスよく交わり、作り手の細やかな神経が行き届いているよう。果実の旨味を中心とした表現だが、後半には程よいスパイシーさも現れ、アクセントになっている。

余韻は角の取れた自然なベリーの旨味全体が乱れることなく、自然に昇華しながら収束していく。後味に余分なものを残さない潔さも見事。

自然派ワインにはいろいろなものがあるけれど、その味わいの自然さ、収束の自然さをもってこのワイナリーほどそれを体現しているところを未だに知らない。このワインもその特徴を十二分に持っていた。Good JOB!

【Wineshop FUJIMARU 3,200円?】

続きを読む »

2014年6月 1日 (日)

コレクターの審美眼 夢見るフランス絵画展

140601yumemirukaiga今日まさに終ろうとしているが、これまで鑑賞してきた印象派の作品とはまた違った感覚で楽しめる美術展だった。それはこの企画がコレクターの収集した作品によって占められているからだ。

今日まで兵庫県立美術館で開催されている、このフランス印象派からエコール・ド・パリの時代までを概観する美術展、作品数は71点でやや少なめだが、それぞれの作品の完成度が高く、大型のものが多いため、少ないという印象を全く受けない。そして何よりも素晴らしいのは色彩の鮮やかさにある。

印象派の作品の多くはフィルターにかかったような朦朧とした印象を受けるのだが、今回の作品はそのような感覚を全く払拭して、戸惑うような色の煌めきで迫ってくる。形態が光の中で混然と溶けるようなモネの作品でさえそうだ。普段感じられない緊張感、光と形のせめぎあいのような感覚に戸惑いさえ覚える。

色彩の美しさは保存状態にも依るのだろう。ルノワールの赤、デュフィの蒼、そしてブラマンクの灰色、深緑でさえ輝きを感じさせる。そこに明確な形態が加わり、それぞれの作品を見るたびに網膜に無理やり刻まれるような痛ささえ感じるほどだった。

普段公にされない作品群、再び観ることはあるのだろうか。しかし、それ故にしっかりと目に焼き付けておこうと思った、珠玉の美術展だった。

夢見るフランス絵画 印象派からエコール・ド・パリへ

2014年4月12日~6月1日

兵庫県立美術館

続きを読む »