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2014年5月

2014年5月31日 (土)

ヤン・アレクサンドル ブリュット・セレクシオンNV シャンパーニュ(モンターニュ・ド・ランス)

140531yannalexandreもう5月も終わりというのだから、月並みだけれど早いものだ。外は一挙に夏の気配を感じるようになってきた。その前には鬱陶しい梅雨もやってくる。ただ、この時期に適度に雨が降ってくれないと、農作物にも影響が出てくる。ブドウにとっても大事な時期がやってくるのだ。

今週1週間は個人的にしんどい週だったので、せめて週末の憩いにとシャンパーニュを。初めて飲む作り手だったが、決め手はこのシャンパーニュがピノ・ムニエであったこと。

ピノ・ムニエというブドウは幸せなブドウかもしれない。シャンパーニュではシャルドネ、ピノ・ノワールと肩を並べるが、スティルワインでは殆どその作品を目にすることはない。シャンパーニュという地でのみ、その真価を発揮するのだ。

ヤン・アレクサンドルが率いるアレクサンドル家は18世紀初めから19世紀中ごろまでは大手メゾンにブドウを卸していたが、1933年に自家醸造を開始、ヤン氏はその3代目にあたる。モンターニュ・ド・ランス地区の村、クールマにある畑は平均樹齢25年、ピノ・ムニエ45%、シャルドネ35%、ピノ・ノワール20%を栽培する。

このシャンパーニュ、ブリュット・セレクシオンNVはピノ・ムニエ65%、シャルドネ25%、ピノ・ノワール10%で造られ、リュットレゾネにより栽培されたブドウを手摘み、一番搾りのテート・ド・キュヴェのみを用いてステンレスタンクで発酵、複雑さを出すために一部古樽発酵のワインをブレンドしている。ドサージュは10g/lで、5年間の瓶熟の後出荷となる。

色はほんのりグレーがかった柔らかな印象のゴールドイエロー。泡は細かに繊細に立ち上がる。香りはタルト、バター、ピスタチオ、マッシュルーム、カマンベールのような白カビを思わせる香りも感じられる。

口に含むと柔らかいが筋の通った酸味と細かな泡が弾けるのをまず感じ、その後程よい甘さとドライな果実味が上品に口の中に座る。バランスの良い味わいの中に、かすかな苦みを伴ったアクセントのつけ方が突出せずに巧さを感じる。ピノ・ムニエらしい大らかさの全体像に、シャルドネの酸、ピノ・ノワールの深さを巧みに加えた、わかりやすく、かつ良く落としどころをとらた構成の印象。

余韻はしっかりした苦みの懐に抱かれながら、ドライな果実味がさっと昇華していくような感覚で、切れの良いフィニッシュに至る。

ボリューミーではないけれど、小品ながら味の勘所を良くとらえた愛すべき一品と言ったところだろうか。アッサンブラージュをすることの意味がよく理解できる、お手本的シャンパーニュだった。

【Cave de Terre淡路町店 4,380円】

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2014年5月24日 (土)

カーヴ・ド・ドナス ドナス2008 DOCヴァッレ・ダオスタ

140524alleedaostedonnas2008気温が上がってくると、赤ワインでも軽快なワインが飲みたくなる。その時北イタリアは一つの選択肢だ。その中で、ヴァッレ・ダオスタ州は魅力のある産地ではあるのだが、生産量が少なく、なかなか店頭に並ぶことが少ないのが悩みの種。

この州の珍しいところは、DOCがたった一つ、ヴァッレ・ダオスタしかないことだ。しかし、あまりに広範囲なDOCゆえに品種表示、地理表示も認められている。このドナスも、ネッビオーロ85%以上が課されている地理表示だ。

カーヴ・ド・ドナスはこの地の農家が集まって組織された協同組合で、このワインの品種はこの地ではピコテンドロと呼ばれるネッビオーロが85%、フレイザ、ネイレが15%で醸される。ネイレはヴァレ・ダオスタの土着品種で、ネレ・ディ・サン・ヴァンサンとも呼ばれる。印象的にはピエモンテで造られるネッビオーロよりは軽めの仕上がりを想像するが、果たしてどうだろうか。

色は黒味は強いが、全体の色調はやや薄い感のあるダークルビー。香りはクランベリー、鉛筆の芯、黒胡椒、ミントの香りも感じられる。

口に含むとこじんまりとした身振りながら、柔らかいジューシーな酸が舌先を包み、熟しながらクリアな果実味とともに口の中を満たす。細身のボディだが、フォルムはしとやかで丸みがあり、中盤からはネッビオーロらしい細かなタンニンが座り、安定感をもたらす。そして後半まで透徹したクリアな味わいは一貫し、心地よく涼しげな印象を残す。

余韻は程よい甘さが適度な浮遊感とともに口腔を満たしながら、穏やかに優しく引いていく。

印象とたがわぬ繊細かつ軽快な味わいだが、質もしっかり備わったワイン。少し冷やして夏のアクセントとして楽しむには適した赤ワインだった。

【阪急百貨店梅田本店 2,800円?】

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2014年5月23日 (金)

バンジャマン・ルルー オーセイ・デュレス2009 AOCオーセイ・デュレス

140518benjaminlerouxauxeyduresses自分は特定の造り手にはあまりこだわっていない。それはこだわるほどにまだまだ飲む経験が足りてないからと思っているからで、集中するよりは広くいろいろな造り手のワインを経験したいと思っている。

このバンジャマン・ルルーもその一人だ。若くしてポマールの名手、コント・アルマンの醸造責任者になった彼だが、その仕事の一方で自らのブランドも手掛け始めた。そして、少しずつであるが色々な畑のブドウで彼のワインを造ろうとしている。これを最近の潮流としてミクロネゴスといい、大手で才能を発揮した有能な若手が、その実績によって投資家の後押しを受けて新たなワインを産みだす、ブルゴーニュの新たなビジネスモデルとして脚光を浴びている。その流れでも、バンジャマンはトップの一人だ。

オーセイ・デュレスはムルソーの西に位置し、知名度は低いもののリッチな白で有名だ。ムルソーの名声の陰に隠れてしまっているが、そのポテンシャルを信じたからこそバンジャマンはこの地のワインを醸したのであろう。

色は黄色がかった、光沢のあるつややかなゴールドイエロー。香りは甘くオレンジ、ビスケット、バニラ、マンゴー。バックにやや山椒のようなスパイシーさを感じる。

アタックは純度の高い緻密な熟した柑橘の味わいで、その中にフレッシュで温かみのある酸味と、程よい苦みのグリップ感を感じる。果実味と樽とのバランスが良く、飲んでいて抵抗感のない味わいが心地よい。凝縮感は中程度で、決して華やかなものではないが、全体に目配せした緊密な構成が感じられる。後半には程よい苦みがベースに座りつつ味わいを適度に引き締めるが、テンションは高めない。

余韻は蜜の甘みを感じさせつつ、その甘みが全体に溶けるような自然な流れの中で、柔らかく穏やかに昇華していく。

村名ワインでもあり、凝縮感のある味わいではないものの、味わいのコツをおさえた表現力のあるワインに仕上がっていると思う。13歳からワインに触れ始めた早熟の醸造家の今後にはやはり注目せざるを得ないな。

【創酒タカムラ 5,000円?】

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2014年5月21日 (水)

ドメーヌ・ジャン・マルク・ブロカール シャブリ プルミエ・クリュ ビュトー2009 AOCシャブリ 1erクリュ

140518marcbrocardchablis1erbutteaux徐々に陽射しに厳しさを感じるようになってきて、日課のジョギングでも2時間走れば腕が真っ赤にほてる。確実に暑い夏が近づいているようだ。

そうなってくると、家のみワインも赤モードから白モードへと徐々に変わってくる。この日は大好きなシャブリを。

ワインを飲み始めたころ、ブルゴーニュの白と言えばシャブリしか知らなかった。今はいろいろな土地のワインを飲むようになったが、それでもシャブリは思い入れのある産地だから、時としてこのワインを飲んで、昔を振り返り、自分の軸を戻す。

ドメーヌ・ジャン・マルク・ブロカールはジャン・マルク・ブロカールによってシャブリの重要ドメーヌに育ったが、次男ジュリアンによってビオ・ディナミの試みが始められて、今では180haの畑のうち100haがビオ・ディナミによるものだという。このプルミエ・クリュは、かつてモンマンと呼ばれた1級畑のうちの1区画(クリマ)で、最近はよりテロワールを伝えるために、知られた1級畑の名前よりもあえてこうした区画名を名乗るのだそうだ。

色はやや緑がかった、ぬくもりのある質感のゴールドイエロー。香りは白い花、グレープフルーツ、ピスタチオ、ヨーグルト。バックにややスモーキーな香りが感じられる。

アタックは冷涼だが緊密で隙のない滑らかさを感じさせる酸味が走り、その直後からフレッシュでスレンダーな果実味が、熟したマンゴー的な甘みも持ちつつ広がる。過熟によるものでないバランスよい酒質が好ましい。ミネラル感は強くないものの、後半にはシャブリ独特の苦みからくるグリップも感じられる。

余韻は爽やかな果実味が全体を昇華させるような切れの良い味わいを残しつつ、力み過ぎない穏やかな心地を最後まで感じさせてフィニッシュに至る。

シャブリとしては温厚で柔らかな部類に入るかもしれないが、余韻に至るときの締まった感覚はその特質を備えている。自分の白ワインの基準はやはりここにあると改めて実感。

【Wineshop FUJIMARU 6,000円】

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2014年5月18日 (日)

9年ぶりの戴冠は次へのステップ FAカップ アーセナルvsハルシティ戦

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最近アーセナルでのブログをさぼり気味だったが、今日は書かずにはいられない。FAカップ決勝戦、ハルシティ戦は3-2で勝利し、実に9年ぶりのタイトルを獲得、無冠時代、負の連鎖に終止符を打った。

しかし試合は決して楽ではなかった。序盤10分間で2点を失う展開に、かつてのカーリングカップ決勝でのトラウマが蘇ったのは事実だが、その不安は前半17分、カソルラのフリーキックがダイレクトにゴールに突き刺さった時点で消え去った。

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前半は1-2で折り返したものの、決定的なシーンの得点力が半端じゃないコシエルニーがサニャのコーナーキックを頭でネットを揺らし同点に追いつく。その後アーセナルが攻勢に出るが決定的なシーンを外し、決めきれない。そして延長に突入、その後半戦も緊張が続く中で均衡を破ったのは今季のアーセナルの成長頭、ラムジーだった。勝利を確信しつつも残り10分は長く感じられたが、ついにその時は訪れ、3-2の勝利は無冠の形容詞をついに払しょくする歓喜となった。

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長かったタイトルへの渇望を終えた喜びは何物にも替えがたいけれど、本当に欲しているのはシリーズ、そしてCLのタイトルだから、この国内タイトルは一つの過程だと思う。このタイトルでチームが新たなステップに進んだと思うので、来季が正念場になりそうな予感がする。最後にこの日は関西のグーナーが難波に集結、約30人がこの瞬間を共にした。皆さん、お疲れ様でした。来季のさらなる飛躍を確信しつつ、今シーズンを締めくくったを記念すべき、思い出深い一日となった。

 

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2014年5月14日 (水)

イル・モリーノ・ディ・グラーチェ キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ2005 DOCGキャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ

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イタリアワイン好きを自称しつつ、サンジョヴェーゼ派ではなかった自分だが、最近はこの品種に開眼しつつあるように思う。造り方によっては軽いワインにも重厚なワインにもなるニュートラルさはあるが、共通するのは透明な酸味とスムースなストラクチャー、その流れに身を任せれば素直に楽しめるイタリアらしいブドウだ。

このブドウが本領を発揮するのはやはりトスカーナ州であろう。トスカーナにあってキャンティ・クラッシコは古くからサンジョヴェーゼを栽培してきた地域にのみ許されるDOCGだが、その中でリゼルヴァはアルコール度が通常のクラッシコより高い12.5%が必要になる。

このワインは100%サンジョヴェーゼで、海抜300mから400mの丘にある畑から、1haあたり37hlに収量を抑えたブドウを手摘みで収穫する。その後27~28℃に保ちつつ20日の醸し発酵を経て、スロヴェニア産オーク樽と、1,2回使用したフランス産の小樽で11か月の熟成させる。

色は深みのある濃密なダークルビー。香りはプラム、カシスリキュール、ビターチョコ、ヴァニラで、甘みの印象を強く引き出す香り。

アタックは瑞々しい真っ直ぐな酸味が徐々に力を増し、その後こなれたタンニンを備えた純度の高いベリーの果実味が豊かに広がる。酸味、果実味共にピュアで透明度が高く、雑味を感じさせない。中盤は細かなタンニンが受け皿のように果実味を優しく支え、ふくよかなボリューム感を表現する。全体のバランスも整っており、乱れぬ構成は後半まで緩まない。

余韻は熟したブドウの甘みが適度な浮力を伴いつつ広がり、やがて空中で昇華するように自然なフィニッシュに至る。

整然とした味わいが印象的な緻密な構成のワインだが、気難しいところはなく、ストレートに楽しめるところがトスカーナ、イタリアワインたるゆえんだろう。これがサンジョヴェーゼに備わった魅力ということなんだろうな。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 2,800円?】

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2014年5月10日 (土)

ドメーヌ・ミシェル・アルノー シャンパーニュ グラン・クリュ ブリュット・ロゼNV ヴェルズネィ

140510arnouldroseお祝い事とか、転機にあたってシャンパンを飲みたくなるのは、華やかさにあやかっての景気づけという気持ちが多分にあるのだろう。この日も難関を控えて1か月を切ろうとする、自分への奮起のきっかけとして、この1本を開けることにした。

シャンパーニュにあってヴェルズネィはグラン・クリュに位置する村の中でもひときわ思い入れが深い。この村の8割以上はピノ・ノワールが栽培され、本来不利な北東斜面の畑でありながら、温暖な気候によってかえって酸のバランスが保たれた繊細な味わいを産み出す。

ドメーヌ・ミシェル・アルノーはそのヴェルズネィに本拠を置くRMで、このシャンパーニュもピノ・ノワール100%でありながら、あえてブラン・ド・ノワールとしない。それはヴェルズネィにあって「それは当然」とする矜持故だ。

このロゼは、瓶内二次発酵前に赤ワインと白ワインをブレンドする、アッサンブラージュ法によるもの。つまり、本来黒ブドウであるピノ・ノワールからあえて白ワインを作り、それを本来の赤ワインとブレンドすることによって生み出される。黒ブドウ100%であれば、圧搾によって色付けする直接圧搾法、果皮との接触期間を長めに保つセニエ法を採った方が楽なはずがだが、より手間がかかる手法をあえて採るところにこの作り手のこだわりがわかる。果皮からの抽出が強ければ、それだけ味わいに強さの印象が加わるはずだが、それをしないということは繊細な味わいを表現したいという事だと思われるが、さて?

色は明るく輝きのあるサーモンピンク。泡は細かで快活に立ち上る。香りはイチゴ、フランボワーズが顕著だが、果実というよりジャムの印象で、バックには紅茶のニュアンスも感じられる。

口に含むと細かな泡が心地よく、その直後に芯のあるシャープな酸味が走り、そしてピュアな若いベリーの果実が颯爽と導かれる。ピノ・ノワール100%から印象されるボリューム感は抑制気味であるが、その分質が豊かで緻密。酸、果実味、渋味のバランスが細めでありながら整い、中盤から後半にかけても一糸乱れず安定感のある味わいを奏でる。

余韻はかすかな渋味をアクセントとしつつ、最後まで息を切らさないスマートな酸味が口の中をリセットして、ふくよかな果実味の浮遊感を保たせつつ、暖かいエンディングへと導く。

ピノ・ノワール100%となると甘みの強い味わいになりがちだが、それを防いでフィネスを保つのはさすが土地を知り尽くした造り手の技によるものだろう。ついつい杯を重ねて我を忘れそうな一品だ。Good JOB!

【Cave de Terre淡路町店 6,800円?】

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2014年5月 8日 (木)

ジローラモ・ルッソ エトナ・ビアンコ ネリーナ2012 DOCエトナ

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このところヘビー・ローテンション気味のジローラモ・ルッソだが、白は初めて。ネレッロ・マスカレーゼが好きなので、シチリアワインに関しては自然と選択は赤に偏りがちだが、白も試してみたいと思っている。

DOCエトナの白は、カリカンテ60%以上であることが法で定められており、カリカンテはシチリア固有の葡萄品種ではあるが、栽培地域は島の東部、カターニャ周辺に集中している。かつては収量も多かったが、徐々に減少傾向にあるとのこと。

このネリーナは単一のサン・ロレンツォ地区で栽培されたブドウを用い、カリカンテ70%、その他カタラット、ミネッラ、インソリア、グレカニコ、コーダ・ディ・ヴォルペで30%による。

色はやや黄緑がかった麦わら色。グレープフルーツ、ジャスミン、アプリコットの甘い香り。

口に含むとしっとりした質感の冷涼な丸い酸を感じるが、ボリュームは控えめ。酒質はおとなしく、優しい味わい。果実味はよくこなれて刺激が少なく、乱れのないフォルムが中盤にゆったりと構えて広がりを見せる。やや落ち着き過ぎの感があるが、後半は繊細なミネラル感が感じられる。

余韻は最後まで穏やかな味わいが透徹し、ふっくらとした甘みの体感を残しつつ、ゆっくりと引いていく。

落ちついた味わいは南のワインらしく、終盤にきっちりと感じられるやや苦みのミネラル感はエトナのテロワールも感じさせる。あまり複雑な感じではないが、素直においしいと感じられるワインには違いない。

【Wineshop FUJIMARU 4,000円?】

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2014年5月 4日 (日)

ナンニ・コペ テッレ・デル・ヴォルトゥルノ2010 IGTカンパーニャ

140501nannicope2010これから暑くなると、南イタリアの赤ワインを飲む機会は自然と減るかもしれない。シチリアのネレッロ・マスカレーゼはその酸とスマートな果実味で別格だが、やはり南の赤は夏に飲むには力が強すぎる。

という思い込みもあって、夏になる前に飲もうと思ったカンパーニャの赤ワイン。ただし、品種はカンパーニャ州でも土着の中の土着と言える、パラグレッロ・ネーロとカーサベッキア。

カンパーニャ州の北部、カセルタで土着品種の可能性に着目して、この2品種によるワイン、ただ1種類のみを世に送り出しているナンニ・コペ。作物なら何でも栽培できそうなほどの温暖な気候と肥沃な大地に恵まれるこの地では、大量生産できる品種で手っ取り早いワインが作られ北へと送られていたが、その流れは今や大きく変わり、今やナンニ・コペの思想、土地に根付いた品種を尊重することがイタリアワイン造りの主流の一つとなっている。

パラグレッロ・ネーロとカーサ・ベッキアは遺伝子的に関係がある品種のようだが、この2種類のうち前者を主体とする。温度を抑えてステンレスタンクで発酵、その後はフレンチオークの大樽で熟成させる。

色は深い赤をたたえた、落ち着きのあるダークルビー。香りはフランボワーズ、ブラックチェリー、黒胡椒、ローズマリー。

口に含むとジューシーでストレートな赤いベリーの酸が滑り込んでくる。その酸に導かれた果実味は熟しながら、柔らかさ軽やかさを失わない。そしてその果実味に寄り添うような控えめながら細かで密なタンニンがワインを軽やかなだけでない、奥深いものにしている。中盤から後半にかけて、酸と果実味、タンニンが一体になった味わいが整然と座って、エレガントな味わいを演出する。

余韻は後半からのエレガントさをたたえつつ、雑味のないクリアなベリーの後味を残しながら、最後まで流麗さを尽くしてフィニッシュに至る。

南のワインでありながらフレッシュで軽快な味わい、しかし軽薄には陥らない質を十二分に備えている。カンパーニャの新たな魅力を発揮しているワインと言って差し支えはないだろうな。Good JOB!

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,800円?】

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2014年5月 2日 (金)

ドメーヌ・スクラヴォス ネオス・イーノス・ブラン2013 ケファロニア(ギリシャ)

140501neoszakynthinoギリシャはかつてはヨーロッパ文化の源流とされていたが、今ではアキレス腱とも思われているかもしれないほど、その地位は大きく揺らいだ。

古代ギリシャ時代、文化の最先端を誇ったこの国もその後は歴史に翻弄され、ローマ帝国、ビザンティン帝国、その後はイスラム圏に属して、独立を回復したのは19世紀のことだった。独立はしたものの、特筆した産業を持たないこの国は自立できずに諸国の干渉を招き、脆弱な経済はついに2010年にヨーロッパ全体に波及する金融危機を起こすに至った。最近はEUの支援もあってようやく安定に入ったかのようだが、まだまだ不安の種は消えない。

そのギリシャ、観光以外に縁の遠い国に思えていたが、最近は自分の生活にもたまに顔を出している。一つはオリーブ、オリーブを原料とした石鹸、そしてこのワイン。

日本と同様に多くの島を持つギリシャだが、本土であるペロポネソス半島の西沿岸で最も大きい島がケファロニア島で、小さな畑を有しヴィオディナミによるワイン造りを続けているのがドメーヌ・スクラヴォス。この白ワインはギリシャ土着のザキンティノというブドウにより造られている。ブドウ名は発祥のザキントス島から由来するものらしい。

色はややうす濁りの、曇った薄めの山吹色。香りはアプリコット、パッションフルーツ、乾燥マンゴーといった甘酸っぱい香りがアロマティックに放たれる。

アタックは瑞々しいが丸みを帯びた酸味を感じ、後に続く果実味は酸味とバランスの良い甘みと仄かな苦みを伴ったグレープフルーツのような味わい。しっかりした甘味を感じるが、苦みとの絡みが巧妙で整っている。くどすぎない味わいが飲み飽きさせず、常に絶えない酸味と苦みの印象がワインに幅と安定をもたらす。大柄ではないが適度な複雑さがあり、懐豊かな後半も好ましい。

余韻はすっきりした甘味とコクのある酒質が穏やかに展開、最後まで息を切らさないピュアな酸味と相まって、ふくよかな味わいを残しながら柔らかに収束していく。

ビオでややうす濁りということもあり、かなり強い味わいを想像したが、予想に反して味わいは清廉で整った印象だった。ギリシャワインは殆ど飲む機会がないが、このようなワインがざらにあるのであれば凄いポテンシャルを秘めていると言って過言じゃあるまい。久々に印象深いワイン。ただ、このエティケットは読めないよ。。。Good JOB!

【エーテルヴァイン岡崎店 2,000円?】

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