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2014年2月

2014年2月25日 (火)

ダヴィド・クートラ シャンパーニュ キュヴェ・プレステージ ブリュットNV ヴィレ・スー・シャティヨン(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ) 

140223davidcoutelasシャンパーニュは非常に難しいカテゴリーだ。造り手によってセパージュは勿論、醸造、樽使い、ドサージュの有無、そこに最近はビオの選択も加わってきた。

このダヴィド・クートラはその造りからするとかなりのこだわりの持ち主だろう。マロラクティック発酵をしないことはシャンパーニュの伝統を堅持することだろうが、5年から20年を経た樽を使うことで酸化熟成の味わいを持ち込み、シュル・リー、ノン・フィルター、そして畑はビオに移行中だという。その理念は昔ながらのシャンパーニュを造るという一点に集中される。

セパージュはシャルドネ59% ピノ・ノワール26% ピノ・ムニエ15% 。酸を活かすためにマロラクティック発酵はせず、最低5年の熟成。デゴルジュマン後は4~6ヶ月間ワインを休息させてから出荷 する。ドザージュは7~8g/L。

色は張りのあるやや濃いめのゴールドイエロー。香りはカラメル、アーモンド、カスタードクリーム、焦がしバター。

アタックから苦みの伴った重めの味わいと、その中心に位置する凛とした酸を感じる。泡は繊細で舌先でほどけるように柔らかく弾ける。中盤でも強靭な酸がすっくと立ち上がるように一本の芯を成し、その周りに集うように凝縮感のあるリースリングに似た味わいがやや緊張感と重みを感じさせるが、後半は徐々にそれも溶けつつ、柔らかな甘みの印象へとつながる。

余韻は強靭な酸が昇華した後に残る穏やかな甘みの心地よさをたたえながら、締まりのある味わいを締めくくる。

ボリューム感のある力強いシャンパーニュ。今はやや樽の強さが勝っているようにも思えるが、これからそれぞれの要素がこなれてくれば、楽しみな造り手になるに違いない。

【Cave de Terre淡路町店 6,000円?】

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2014年2月23日 (日)

見た目も鮮やか ヴェネト料理 Ombra(オンブラ)

既にお店は開店し、バールの方は2度ほど訪れていた靭公園の「Ombra」がようやくコース料理を提供できる体制が整い、初めてしっかりと食事をさせてもらった。                                   

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ヴェネト州の料理は、かつて香辛料の貿易で富を蓄えたヴェネツィア共和国の歴史を感じさせるスパイスの味わいと、見た目にもこだわる洗練さがあると思うが、この日のコース料理もそうした特徴をしっかりと感じさせる力作ぞろいだった。

前菜に出てきたイチゴとフォアグラのテリーヌは、デザートのドルチェと言われてもおかしくないし、パスタもヴェネト独特の手打ちパスタであるビゴリをはじめ3種、牛の頬肉を柔らかく甘めに煮込んだメインまで、独創的な料理で楽しませてくれる。

ワインもシェフのお勧めに従い、この日は6人で4本。特に最初のヴェネト土着品種、ドゥレッロの泡はシャルマ方式のスパークリングで、ドゥレッロの強い酸味を抑えた心地よい甘みを感じさせる面白い味わいだった。

厨房は北口シェフ一人で大変だと思うが、これから陣容が整うともっと自由にやりたいことをやってくれそうだ。靭公園界隈にまた一つ選択肢が増えた、と言えそうだ。

Ombra

西区靱本町1-7-18

06-7777-9993

水曜休

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2014年2月22日 (土)

マセッリア・スタルナリ コンテ・ディ・ガッルッチョ アリアニコ2009 DOCガッルッチョ

140222contedigalluccioイタリアワインは好きでもどちらかと言えば北派で、酸味が主体となって構成される味わいの方が好みだ。比べると南は果実味、熟したブドウの重量感が感じられる味わいの方が多い。それは品種によっても左右されるのだろう。

その南にあって最も重要で高く評価されている品種と言えば、第一にアリアニコが思い浮かぶ。この品種は南を感じさせる果実味と豊富なタンニンが印象的だが、銘酒タウラージでは両者の個性が均整なバランスを保ちつつ、豊かなフィネスも加えてくるポテンシャルを有する。

しかし、このガッルッチョというDOCは初めての体験だ。カンパーニャ州とラツィオ州の境に位置し内陸、赤ワインはアリアニコ70%以上を要件とする。このワイナリーは2000年から家族経営の有機栽培を行っている。このワインはステンレス発酵、400リットルの比較的大きな樽で12か月の熟成を経ている。生産は全体で14,000本、このワインは4,000本と少ない。

色は深く暗めの濃密なダークルビー。香りは赤いバラの香りをまず感じ、その後にプルーン、カカオ、バニラ、革といった重めの香りが絡むように感じられる。

アタックはなめらかだが、やや冷涼な酸を感じ、その後にボリューム感を抑えた果実味とともに迫ってくる豊富なタンニンがしっかりした骨格を感じさせる。中盤の味わいは細い路地を抜けて視界が広がった時に感じるような、緊張感から解き放たれた伸びの良い黒いベリーの旨味が広がる。序盤は少し粗いと思ったタンニンも程よく昇華し、タイトなボディと調和しつつ、後半の落ち着いた味わいを奏でる。

余韻は均整のとれたタンニンと細めの果実味が密に絡みつつ、穏やかな弧を描くようにゆるやかに散じていく。

アリアニコと聞いて感じた印象よりもやや硬質で、しっかりした酸味を持っているが、やはりベースには濃密な果実味を持っている。それは内陸故に生み出される気候の影響であろうか。ガッルッチョ、発音はしづらいが覚えておいて損はないDOC。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,200円?】

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2014年2月18日 (火)

FAカップで雪辱! アーセナルvsリヴァプール戦

140216arsenal先日プレミアでのアウェイ戦で5-1で敗れて首位をシティに明け渡す結果となった直後は、しばらくは赤いものを観るのも嫌だった。それがアーセナルのユニフォームであるにせよ(笑)

しかし、すぐに雪辱を果たす機会が訪れた。FAカップの5回戦でエミレーツにリヴァプールを迎えた試合は先発がGKファビアンスキ、DFモンレアル、コシエルニー、メルテザッカー、ジェンキンスン、MFアルテタ、フラミニ、ポドルスキ、エジル、チェンバレン、FWヤヤ・サノゴ。

この日はアーセナルが前半15分にチェンバレン、後半48分にはそのチェンバレンからポドルスキへのパスが決まっての得点で試合を有利に運ぶ。しかし58分、エリア内でスアレスが倒され、与えたPKをジェラードに決められて1点差に詰め寄られ、そしてまた63分にチェンバレンが同じくスアレスをエリア内で倒したように見えたが、ここは審判ハワード・ウェブが取らず。ひやっとする場面が多かったが、この日のGKファビアンスキの好セーブによって接戦をものにし、準々決勝にコマを進めた。

同じ相手に、今度はホームで負けるわけにはいかなかったが、しっかりと締めてくれたことを素直に喜びたい。これでショックは払しょくできたはずだから、次のCL、現地19日バイエルン戦にも弾みがついただろう。タイトルの可能性に向けて必勝あるのみ!

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2014年2月16日 (日)

ドメーヌ・ドゥ・ロクタヴァン コンテス・A... サヴァニャン・ウイーユ レ・ヌーヴェル2011 AOCアルボワ

140215comtesseaジュラと聞いて思い出すのは、真っ先にジュラシック・パークかもしれない。しかし恐竜が大地の支配者であった大昔、その時代までさかのぼる地層がワインの畑の品質を現すこともある。ジュラ紀の地層を残す大地がコート・ドュ・ジュラ、フランスでは辺境に違いないが、それ故に今ホットな地域とも言える。

その地域で夫婦で起こしたワイナリー、ドメーヌ・ドゥ・ロクタヴァン。オクターヴという名前からして音楽的だが、このワイナリーのワインにはオーナーのアリスとシャルル夫妻が愛するモーツァルトのオペラに由来した名前が付けられている。このワインもコンテスA、フィガロの結婚のアルマヴィーヴァ伯爵夫人、ロジーナに由来するのだろう。浮気者の伯爵に翻弄され嘆きつつも明るさを失わない夫人の性格に何を投影したのだろうか。

サヴァニャンはジュラ地方で栽培されている品種で、有名なヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)にも用いられている。このワインはSO2無添加のノンフィルター。

色はややうす濁りのしっとりした質感を持ったイエロー。香りはビオ香が立つものの、黄桃、シロップ、キンモクセイ、蜜の甘い香りに、有機的なセルロイド、ヨードの香りもバックに漂う。

口に含むと外観からは意外な豊富で活力のある酸、そしてその直後から浸透力のある黄色い果実の穏やかな甘みが主体の果実味が、グレープフルーツに似た柑橘の苦みを伴って真正面からせりあがる。それぞれが主張しながら、攻撃性のない丸みに品格を感じさせる。それは確かに伯爵夫人の名にふさわしい品位を保ち、後半の押しつけのない甘さが一様に広がる静謐へとつながっていく。

余韻は全てが収まった後の心地よい穏やかな甘さの印象が満ちつつ、最後に戻ってくる柑橘の酸がクールな後味を演出して締めくくる。

ヴァン・ジョーヌの品種であるサヴァニャンだから押しの強い味わいだと想像したものの、最初から繊細で、しかも最後まで透徹した酸味の印象が全く予想とは違っていた。軽快で屈託のない味わいは、フィガロの結婚をまさに思い出させる楽しさに満ちていた。

【エーテルヴァイン岡崎店 3,500円?】

 

 

2014年2月11日 (火)

フォリウム・ヴィンヤード ピノ・ノワール2012 マールボロ(ニュージーランド)

140211folium最近は日本人が世界各地で栽培したブドウによるワインが多く世に出てきた。ニューワールドはもちろん、本場フランスでも珍しくはなくなってきている。

ニュージーランドで最も有名な日本人のワイナリーはKUSUDAであろうが、このワインもラベルでは全く判別できないが日本人によるもの。そしてこれは意図的にそうしているのだという。

2010年に岡田岳樹氏がニュージーランド南島北東部、マールボロのブランコット・バレーで設立したワイナリーからソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールによるワインを産み出した。ブルゴーニュワインが好きだという岡田氏のワインは、果実味が強いマールボロのワインのイメージと比べると、繊細な酸味と果実味が特徴だという。それは、彼がワイナリーを開く前に、ロワールの雄たるアンリ・ブルジョワがニュージーランドで手がけるクロ・アンリ・ヴィンヤードで薫陶を受けたこととも繋がりがあるのだろう。

色はややスミレがかった落ち着きのあるダークルビー。香りはフランボワーズ、紅茶、赤シソ、塩漬けした桜の葉のような香りも感じられる。

アタックは冷涼で伸びのあるピュアな酸味と、重みのある果実味が一体となって染み出てくる感覚。抽出は強すぎず、そのボリューム感に相応な樽のかかり具合が上品さを演出する。均整のとれた旨みが中盤から緩やかに広がるが、無難な展開、グリップ感にやや物足りなさを感じる。しかし、誰からも好かれそうな包容力のある味わいが最後まで透徹し、後半のおおらかな安心感を演出する。

余韻はもたつきのない切れの良い甘味が心地よく、グラスを再度重ねたいという思いを引き出させながら、ピュアで細身な旨みを昇華させつつフィニッシュに至る。

久々にニュージーランドのピノを試したけれど、抑制のきいた味わいは好感が持てた。酸がしっかりあるその味わいは確かにブルゴーニュに近いが、細くともしっかりした主張のある甘味の印象はむしろアンリ・ブルジョワのサンセール・ルージュを思わせる特徴だった。両者のいいとこどりをすることで、これからの向上が期待できる造り手になりそうな気がする。

【Wassy's中之島店 3,500円?】

 

2014年2月 9日 (日)

ガヤ ロッシ・バス2012 DOCランゲ

140209rossibassイタリアワインを選んだ時、好んでシャルドネを飲もうとは思わないのだが、その例外がこのガヤによる名品。ガヤによるシャルドネの最上キュヴェはガヤ・アンド・レイだが、かなり値が張るのでこちらのものを好んで試す。

ガヤは言わずもがなのピエモンテの雄たる生産者。バルバレスコの赤は勿論イタリアワインの最高峰だが、白も生産量は少ないが作っており、このワインも「ロッシ」と「バス」という畑から作られたシャルドネによるワイン。

色は柔らかな質感のあるゴールドイエロー。香りは黄色い果実のニュアンスが豊かで、アプリコット、マンゴー、蜂蜜、焦がしバターといったやや重めの香りが強く放たれる。

口に含むと感触はやや冷涼だが丸みのあるゆったりとした酸味を感じ、そこからじりじりとにじり寄ってくるように迫る繊細な黄色い果実の甘味が現れる。旨みが最初から表面に出ず、徐々に口の中に押し出してきて、その酒質がやがて流線型のフォルムによって形となり、口中に描かれるような感覚。日本酒の味わいにも似た展開。中盤から後半は程よい樽香とミネラリーな苦みがアクセントとなり、安定感をもたらす。

余韻はいつまでも途切れることのない穏やかな淡雪のようなクッションを思わせる甘さの感覚が座りつつ、やがて自然に穏やかに抜けていく。

 イタリアのシャルドネは果実味か樽香のどちらかが強すぎて、バランスに欠けると感じる事が多いのだが、このロッシ・バスは自分が求める調和が見事に表現されている。熟成にも耐えるに違いないが、むしろ若いうちに楽しみたいワインであるし、それでもこれだけの表現力が備わっているところが、やはり雄たる者の余裕ということなのだろう。

【エノテカ品川店 7,800円?】

2014年2月 6日 (木)

シャトー・ジュン 甲州2012 山梨県甲州市勝沼

140203chateaujunkoshu日本ワインの最近の傾向として、醸造責任者の名前を表に出したワインがある。これはワインに限らず、農作物全般で耕作者の写真やデータを出して、通常よりも特別な手間暇をかけているという事を伝えて、新たな付加価値を産み出しているのかもしれない。

このシャトー・ジュンはブドウの生産状況、醸造者を分けて記載しており、この甲州も勝沼の棚栽培、醸造者は志村和夫氏と明記されている。それはワイン造りが醸造家と栽培農家のコラボレーションということを、このワイナリーが信念としているのだろう。そしてそれぞれの農家から運び込まれたブドウから、子の葡萄であればどう造りべきかを考えた上でワインにしているという。この2012年ヴィンテージは、収穫を意図的に遅くしているそうだ。

色は硬質な透明感の強いライムイエロー。香りはライム、青リンゴ、ミント、杏仁豆腐。やや控えめだが、青めの香りが表に出ている。

口に含むと穏やかな酸味と、まろやかさを保った青い柑橘の果実味が柔らかく入ってくる。甲州というイメージからすると穏やか過ぎて拍子抜けを食らうほど、かなりゆっくりとしたアタックの印象。フォルムは強くないが、抵抗感なく入ってくる酒質が心地よい。甘めというほどは甘くない、ほんのりとした上品な旨味の印象が中盤から後半にかけてゆったりと広がる。

余韻は中盤の繊細な甘みがふわりと残るような印象をたたえつつ、ゆっくりとなだらかに引いていく。

甲州でこれほど抵抗感のないワインは初めてかもしれない。正直エッジの効いた甲州の特性が好きなので、このワインに当初は物足りない感じは持ったが、後半から余韻に至る柔らかな旨味は後からじわじわと迫ってくる、また違った力強さが感じられる。このワインを経たことで、甲州というブドウの多様性とポテンシャルへの新たなアプローチができそうだ。

【東急百貨店渋谷本店 1,995円】

2014年2月 4日 (火)

今年行きたい美術展

自分の印象では去年はレオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロの三巨匠揃い踏み、絶対来ないと思っていたエル・グレコ、クリュニーの貴婦人と一角獣、フランシス・ベーコン展が記憶に残っているが、今年はどうだろうか。注目している美術展を挙げてみた。

  • ラファエル前派展 -英国ヴィクトリア朝絵画の夢- 森アーツセンターギャラリー 1月25日~4月6日
  • ザ・ビューティフル -英国の唯美主義 1860-1900- 三菱一号美術館(東京) 1月30日~5月6日 
  • アンドレアス・グルスキー展 国立国際美術館 2月1日~5月11日
  • アンディー・ウォーホール展 森美術館(東京) 2月1日~5月6日
  • 幻想の画家ダリとフランス近代絵画の巨匠たち -諸橋近代美術コレクションより- 滋賀県立近代美術館 2月8日~3月30日
  • 印象派を超えて -点描の画家たち- 愛知県美術館(名古屋) 2月25日~4月6日
  • ボストン美術館 ミレー展 名古屋ボストン美術館(名古屋) 4月19日~8月31日
  • 南山城の古寺巡礼 京都国立博物館 4月22日~6月15日
  • ヴァロットン展 -冷たい炎の画家- 三菱一号美術館(東京) 6月14日~9月23日
  • バルテュス展 京都市美術館 7月5日~9月7日 京都市美術館
  • こども展 -名画にみるこどもと画家の絆- 大阪市立美術館 7月19日~10月13日
  • デフュイ展 あべのハルカス美術館 8月5日~9月28日
  • ホイッスラー展 京都国立近代美術館 9月13日~11月16日
  • 菱田春草展 東京国立近代美術館(東京) 9月23日~11月3日
  • ジャン・フォートリエ展 国立国際美術館 9月27日~12月7日
  • ウフィツィ美術館展 東京都美術館(東京) 10月11日~12月14日
  • 日本国宝展 東京国立博物館平成館(東京) 10月15日~12月7日
  • だまし絵Ⅱ 兵庫県立美術館 10月15日~12月28日
  • フェルディナンド・ホドラー展 兵庫県立美術館 2015年1月24日~4月5日

個人的には初の回顧展となるバルテュス、好きな画家としてのフォートリエ、デュフュイ、ヴァロットンが楽しみだが、今年も面白いアート探索ができそうなラインナップと言えそうだ。

2014年2月 3日 (月)

イ・ヴィニエーリ イ・ヴィニエーリ ロッソ2011 IGT(シチリア州エトナ)

140201ivigneri多様なイタリアワインを彩る土着品種たち。その中で自分が最も愛する葡萄を挙げろと言われれば、まずはネッビオーロなのだが、それに伍して劣らざるものはネレッロ・マスカレーゼ。

シチリアを代表する葡萄の座の首位、と言ってもいいくらいの昨今だが、このブドウの魅力はシチリアという南イタリアの日差し厳しい地にあって、エトナという傑出した火山性土壌の助けを借りつつも、決して失われない純真な赤い果実の酸味にあると思う。それが時としてピノ・ノワールとともに語られる理由なのだろう。

そしてネレッロ・マスカレーゼがその特質を最大限に発揮する唯一の地、エトナにあってこの 葡萄の魅力を最大限に表現すべく努力してきた一人が、サルヴォ・フォーティ。コンサルタントとしてエトナのワイナリーを指導する傍ら、自らが主宰する集団、イ・ヴィニエーリを率いてワインを作り始めた。それは伝統に根差した造りで、エトナに伝わるパルメントと呼ばれる、多層構造の上から破砕、発酵、熟成を一気に行うシステムを用いることで、EUの規制に触れようともそのコンセプトを堅持する姿勢にも表れる。

色は凝縮感に満ちた、濃密なダークルビー。香りはラズベリー、革、湿り土、漢方薬のような香りも感じられる。

口に含むと密でジューシーな酸味と、しっかりしたフォルムのあるやや硬めの果実味が絡み合う。若さ故の粗さはありつつ、同時に重心の低い存在感のあるタンニンが安定感をもたらして、全体の味わいを落ち着かせている。中盤は最初の圧倒されるボリューム感とは対照的に、細かなタンニンと絡みながら繊細な甘さが顔を出し、綺麗な甘みと共に穏やかな味わいを展開していく。

余韻は熟したベリーのデザートを食しているようなチャーミングな甘さがすっきりと昇華しつつ、安定感を保ちながら長い後味を残してゆるやかに収束していく。

最初のインパクトを思うと最後までボリューム感で押すのか、と思いきや、終盤は果実味が溶けて解けていく繊細さを実感させる複雑な構成。その主体を担うのはやはりネレッロ・マスカレーゼという稀有なシチリア固有の葡萄のポテンシャルだろう。葡萄と生産者の幸せなマリアージュが産み出した個性的なワインというべきか。

【エーテルヴァイン岡崎店 4,500円?】

2014年2月 2日 (日)

形態が溶ける過程 ターナー展

140201turnerジョゼフ・ターナーは英国の画家でも特異な存在と言えるだろう。アカデミックな絵画から印象派への橋渡しをした画家として、自分の中では理解しているのだが、何故彼はそうした所に行きついたのだろうか。いや、自身は意識せずに至ったのであろうか。

神戸で開催されているこの美術展は、ターナーが床屋の絵の上手な息子として絵画に目覚める初期から、美術学校で伝統的な絵画を会得し、そして英国美術界の第一線に君臨しつつ、最終盤で印象派の魁のような表現を見せる複雑な画業が概観できる。

彼への印象は鮮やかな黄色と、渦巻くような色彩のうねりの中に形が溶け込んでしまう後期の絵画が鮮烈だが、その生涯に生み出された作品の大部分は正確なデッサン力、建物の細部まで表現する細かな観察眼に裏打ちされている。その代表作として初期の月夜を描いた作品は、月の光が水面に妖しく輝いて映り、狂気さえ感じさせる真実味を持って迫ってくる。そんな彼が何故晩年に黄色に全てが溶け込む前衛的な作品を描いたのだろうか。

しかし、後期の作品にしても良く見てみれば構図の確かさは失われていない。形ははっきりと明示されないまでも、そのフォルムの原型はその姿をとどめ、明るい色彩はその形態を覆ってその在るべき姿を引き出している。彼の作品と印象派の作品を観て明らかに違うのはその点だろう。立ち止まって無意識のうちに色彩に注目するのか、フォルムなのかと問われれば、ターナーはふり返って見れば明らかに後者であった。

ターナー自身が絵画に革命を起こすつもりは微塵もなかったであろう。しかし、彼の色彩感覚、ダイナミックな動きを絵画に留めるために用いた破天荒な筆遣い、それ故に形態を色彩の中に溶けこませることさえ否としなかった独創性は、確実に新しいものを求める芸術家の想像力を刺激したに違いない。

新しい表現の橋渡しを行った古典的な画家は、長く形が優越してきた絵画の世界に、華々しく色彩の優位を告げた先駆者であったのだろう。

ターナー展

2014年1月14日~4月6日

神戸市博物館 

 

2014年2月 1日 (土)

山崎ワイナリー ケルナー・ドライ シュル・リー2011 北海道三笠市

140201yamazakikerner日本ワインはまだまだ飲む機会も少ないので、まずは手当たり次第という感じで飲んでいるのだが、その中でも好みのワイナリーは徐々にできつつある。北海道で言えばこの山崎ワイナリーをまずは筆頭に挙げたい。

人気の高まりか、以前に比べると入手も難しくなってきたようだが、それでも店頭に並べばついつい手に取ってしまうその魅力は、やや強い感じはするが他とは一線を画す冷涼でクリアな、北海道の大地を思い起こさせる酸味のキャラクターにある。

このワインはドイツの品種ケルナーを用い、発酵後に醸造過程で生じた澱とともにしばらくの間静置させるシュルリーの手法によって仕上げる。シュルリーは最近では甲州種でも良く用いられており、澱に含まれる成分が分解し旨味を与えることから、ワインに深みをもたらす。

色は緊張感のある、やや黄緑がかった澄んだレモンイエロー。香りはライム、ミント、フレッシュハーブ、浅葱、パッションフルーツ、鮮烈な酸を思わせる柑橘のストレートな香が放たれる。

口に含むと冷涼でやや刺激のある鋭い酸味が舌先を突き、その後でスレンダーな青い柑橘の果実味が広がる。豊かな酸味が口の中を引き締めるが、中盤は繊細な旨味とほろ苦いミネラル感の緊密な調和が感じられる。やや酸が立った感じはあるものの、全般を通して味わいはクリアで、ブドウの味わいがストレートに伝わってくる印象。

余韻は最後まで透徹するクールな酸味が中盤の味わいの終焉と共に再び口中をリセットし、ミンティーな清涼感を残しながら引いていく。

ケルナーはややもするとくどさを感じることもあるが、このワイナリーの特色である酸と、シュルリーによる程よい旨味によって、ワインは繊細さを保ちながら程よいふくよかさを表現している。この品種の特質をよく研究しつくした生産者の新たな表現といえるだろうな。

【東急百貨店渋谷本店 2,730円】