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2013年6月

2013年6月30日 (日)

アルジャーノ ロッソ・ディ・モンタルチーノ2010 DOCロッソ・ディ・モンタルチーノ

130630argianoあまりトスカーナ、というかサンジョヴェーゼを飲まない自分だが、ロッソ・ディ・モンタルチーノは好きなカテゴリーだ。ブルネッロは高くて頻繁には飲めないけども、ロッソなら同じ雰囲気を安く楽しめる。むしろ早飲みで楽しめるので、ブルネッロよりもこちらの方が好きかもしれない。これは痩せ我慢?

アルジャーノはトスカーナでも有数の作り手で、ブルネッロは勿論だが、カヴェルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラー、プティ・ヴェルドーによるソレンゴで新たなスーパータスカンの形を示した。このロッソは勿論サンジョヴェーゼ100%だが、手摘みのブドウをステンレスタンクで発酵させる。

色は黒味の強い、しっとりしたダークルビー。香りはスミレ、ミント、ザクロ、ドライフラワー、バックにはビターチョコの香りが感じられる。

口に含むと落ち着いた酸味にくるまれた、密度の濃いベリーの果実味が豊かに広がる。酸味は柔らかいが冷涼で、緻密なタンニンとの相性がよく、クールで洗練された味わい。中盤のふくらみは中程度だが、厚みはしっかり感じられる。後半にかけては酸味から主導権をバトンタッチしたタンニンが存在感を増してくる。

余韻はソフトで優しい果実の甘みを残しつつ、最後まで柔らかで心地よい飲み心地を演出しながらゆったりと引いていく。

酸味とタンニンのバランスが良く、ワインとして良くできている。少しおとなしい感じがなくはないが、どの料理にも調和しつつ豊かな飲み心地を演出させるワインを作り上げる、作り手の力量を感じさせるワインと言えそうだ。

【Cave de Terre淡路町店 3,000円?】

2013年6月29日 (土)

クロ・サロモン(ドゥ・ガルダン) ジヴリー プルミエ・クリュ クロ・サロモン AOCジヴリー 1erクリュ

130629givry_salomon_2ブルゴーニュはコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌ、いわゆるコート・ドール、「黄金の丘陵地帯」を中心に語られることが多いが、その南にもコート・シャロネーズ、マコネという地域があり、前者では赤、後者では白を中心としたワインが産出される。

コート・シャロネーズには、モンタニー、ジヴリー、メルキュレ、リュリー、ブーズロンといったAOCが存在し、モンタニー、リュリーとアリゴテで有名なブーズロンは白が優勢で、ジブリーとメルキュレは赤。ブーズロン以外は1級畑も存在する。この中ではメルキュレのワインは比較的古くから日本にも入っていたので、なじみが深い。僕もフェブレィというネゴシアンのメルキュレは以前良く飲んでいた。

そのメルキュレの南に位置するジヴリーはローマ時代からある古い村で、ボディの豊かなメルキュレのワインよりも柔らかな、よりデリケートなワインになると言われる。このドゥ・ガルダンは十字軍時代まで歴史が遡れる、この地で最も古い代表的なドメーヌだ。

色は黒味の強い、肉付きの良さを感じさせるしっとりしたダークルビー。香りは最初は少し控えめに熟したイチゴが香り、徐々に枯葉、革、鉄さびといった香りが現れ、バックには黒ゴムのような有機的香りが感じられる。

口に含むと細かでジューシーな酸を感じ、その後に滑らかな質感と共に柔らかい、イチゴの甘い果実味が舌の表面を包む感じで広がる。穏やかな飲み心地で、特別な個性を出すような抑揚、膨らみは抑えられ、全体のバランスを重視する洗練された印象。幾分切り込みに欠ける印象はあるものの、中盤はの落ち着いた果実味は、やがて後半のほのかな苦みへと繋がり安定感を増す。

余韻は繊細で透明度の高い旨味が爽やかに口の中を漂い、ボリュームを考えれば意外に長めの味わいを残しつつ、ゆっくりと引いていく。

メルキュレの肉質感と比べると、そのボリューム感を抑えつつ、より広さと深さを志向したような味わいと言えるだろうか。この落ち着いた味わいは、穏やかな休日を共に過ごすには格好のコンパニオンになるだろうな。

【Cave de Terre淡路町店 3,500円?】

2013年6月19日 (水)

ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ アロース・コルトン2010 AOCアロース・コルトン

130616aloxecortonワインを飲むにあたって思うのは、万遍なく飲むということ。そしてそれぞれの優劣ではなく、そのワイン自体の力、生産者の意図を感じることが大切だと思っている。飲み初めの当時は背伸びして、ブルゴーニュやボルドーを第一と考えて迎合もしたが、今はそうした呪縛もなく楽しめるようになったと自分なりに感じている。

それでもブルゴーニュ、ピノ・ノワールの魅力にはやはり諍えない。それほど、ピノ・ノワールという品種は蠱惑的なのだろう。古くも若くも、岸壁に孤高として立つような凛としたストラクチャーのあるこの品種は他に例えようのない魅力がある。

ジュヴレ・シャンベルタンを本拠とするドメーヌ・シャルロパン・パリゾは最近とみに人気が出てきた作り手で、今では約40AOCの畑を所有するという。値段も同じAOCでは他の作り手に比べると高いが、このアロース・コルトンは比較的低めの価格て楽しめる。

アロース・コルトンは、コート・ド・ニュイに接するコート・ド・ボーヌ最北に位置するグラン・クリュ、コルトンを構成する3村の一つで、ペルナン・ヴェルジュレス、ラドワ・セリニーよりも南に位置する。

色は赤みがありつつも濃密さと暗さをまとったルビー色。香りはオークがしっかり感じられ、ヴァニラ、カシス、土、胡椒、チョコリキュールの甘い香りも感じられる。

口に含むとピュアで芯の通った若いベリーの酸味があり、その直後からどっしりした存在感を示す熟した果実味ときめの細かいタンニンが広がってくる。序盤から中盤にかけてのフォルムの滑らかさと、現代的なクールな感覚が印象的。果実味は密度が高いが、スケール感が大きくなくやや内向的。しかし味わいの純度の高さと、全体を構成する引き締める酸を活かしてまとめあげる構成力は見事。後半は緻密なタンニンが、果実味のボリューム感に適したグリップ感を発揮し、まとめあげる。

余韻は熟したベリーの甘さが切れ良く昇華し、しっかりしたタンニンと酸味が口の中をリセットしつつ、長い穏やかな甘みがゆっくりと収束していく。

ボリューム感がありながら決して過度に走らず、味わいはで負担感なく体に浸透してくる感じがするのがシャルロパンのイメージなのだが、このワインもそうした共通点を持っていた。生産者の意図が素直に感じられるワインだったな。

【阪急百貨店梅田本店 5,000円?】

2013年6月17日 (月)

農楽蔵 ノラポン・エフェルヴェサン2012 北海道函館市

130616norapon今月のワイナートは自然派ワイン特集で、その中で生産者11人が語る自然派ワイン(ヴァン・ナチュール)という一節があり、ラピエールやピュズラの中にあってただ一人の日本人が採り上げられていた。それが佐々木賢氏で、北海道函館市で農楽蔵(のらくら)というワイナリーを立ち上げている生産者だ。http://www.nora-kura.jp/norakura.html

実は正直なところこの本を読むまで僕はその存在さえ知らなかった。ただ、偶然か彼の醸したワインを単にラベル買いのような状況で手にしていた。そこでこの日は彼のワインとはどういうものなのか、空けて試してみることにした。

自然派ワインは一時大きくもてはやされたが、その時もはっきりした定義はなく、自分も有機農法、農薬最小限、亜硫酸最小限、無添加無濾過といったくらいの漠然としたイメージしか持っていなかった。佐々木氏自身、自分の造るワインは自然派ワインというカテゴリーでは考えておらず、それを作るという事も目標には置いていないという。畑では多品目、多品種を植え、ワインのラベルにはその品種を表記しない。より自由に、先入観なくワインを飲んでもらうためのものだという。

このノラポン・エフェルヴェサンはザラジェンジェというブドウを使用し、野生酵母で発酵させている。シャンパーニュと同様の製法で作られるスパークリングワイン。

色は緑がかった柔らかい質感のあるゴールドイエロー。泡はしっかりと立ち上がりボリュームも感じられる。軽いマスカット香、オリーブオイル、パンケーキ、浅葱の香り。

口に含むと溌剌とした力強い発泡を感じる。酸味は丸みを帯びて柔らかく、それに寄り添う果実味はドライで、プロセッコに似た感覚を覚える。中盤は口の中いっぱいに広がるアロマティックな香りとともに、乳酸飲料的な甘みを中心とし、そこにエッセンス的に効いたほのかな苦みが隠し味となり、豊かな味わいを形作る。

後半は乳酸のまろやかな旨味が収束しながら、口の中に乾いた感覚を残しつつ切れの良い余韻を展開する。

サラジェンジェという品種はここ以外に用いている例を知らないが、このワインではとても豊かな表現力を示していると思う。確かに生産者の意図として品種ではない、ワイン自体を評価して欲しいという思いが込められた一本というべきだろう。

【パピーユ・ジャポネーズ 3,000円?】

2013年6月16日 (日)

塩山洋酒醸造 ザルツベルク甲州2012 山梨県甲州市

130615salzberg今年は梅雨を飛び越して夏がやってきた感じの6月。このまま雨が少ないと、野菜などの農作物が心配だ。いくら乾燥に強いブドウとはいえ適切な量の雨が降らなければ、大地の水分、養分、ミネラルを吸い上げてしっかりした果実
を実らせることはできない。

先日神戸で行われた日本ワインの会、甲斐ワイナリーと共にこちらの塩山洋酒醸造が参加されていたが、全ての出展ワインで最も印象に残ったのがこのワイン。ザルツベルクは、このワインが生み出された甲州市塩山をドイツ語読みしたもの。

塩山地区は今注目が集まる若手のワイナリーが集中しており、山梨の醸造家が結成した「アッサンブラージュの会」の主構成メンバーとして研鑽に励んでいると聞く。こちらの創業は昭和34年、1978年生まれの萩原弘基さんがワイン造りを行う。このザルツベルクは、ステンレス発酵させた甲州種に、樽熟成させたものをブレンドして造られているという。

色は薄めの硬質なレモンイエロー。香りはハーブ、パセリ、乳酸飲料、ハッカキャンディー、貝殻。

口に含むと瑞々しい青っぽさの残る酸味と、最初からしっかり苦みのあるミネラル感がすっとした細身のボディと共に広がる。その後は名前の通り塩っぽい味わいが、透明感のある酒質との対比でくっきりと浮かび上がる。若干苦みの印象が強い感じはあるが、全体にはフレッシュさと締まったボディが、若々しい鮮烈な飲み心地を演出する。

余韻は後半まで残るミネラル感が下支えしつつ、ほのかな酸味と相まってクリアなエキス分がゆっくりとほどけるように柔らかな後味を残しながら引いていく。

試飲で飲んだ際にも感じたしっかりした苦みの印象は、改めて飲んでみても感じられた。今はまだ粗削りな印象が残るけれど、このワインの欠くべからざる個性であるから、苦みを豊かに覆うような包容力を備えたワインに育ててもらいたいと思う。また次のヴィンテージを楽しみたいと思わせるワインだった。

【酒商熊澤 1,890円】

2013年6月15日 (土)

絵巻の魅力に溢れて ボストン美術館 日本美術の至宝展

130615boston今日時点で会期を残すところ2日となったこの美術展、さぞかし今日は混雑していることだろう。自分は平日の午前に訪れたが、それでも残り1週間を切っていたこともあり、かなりの人が鑑賞に来ていた。

ボストン美術館の日本美術コレクションは素晴らしいとは聞いていたが、実際目の当たりにしてその質の高さには驚かされた。ポスターにある曽我蕭白のまとまったコレクションをはじめ、尾形光琳、伊藤若冲、長谷川等伯といった江戸、桃山のビッグネーム、そして室町、鎌倉、平安といった時代を網羅した名品が続く展示はまさに題名に偽りないものだ。

しかし、この日の目当てはやはり日本美術を代表しながら海外流出を余儀なくされたニ大作、「吉備真備入唐絵巻」と「平治物語絵巻」であった。

吉備真備は学者でありながら最後は右大臣まで上り詰めた人物で、彼が遣唐使を務めたときに数々の難題に遭いながら、空を飛ぶまでの超能力を駆使し切り抜けて、 無事日本に帰るまでの活躍を描いたのが「吉備真備入唐絵巻」だ。描写は洒脱にして生き生きとし、囚われた高楼から脱出して空を飛ぶ場面、課せられた問題の答えを盗み聞きする場面などは、他の雅な絵巻物とは個性を異にする。それ故に日本では残らず、他国に流出したのだろうか。

そして「平治物語絵巻」は、平治の乱で平清盛と源義朝・藤原信頼が戦った場面を描き、特に三条殿夜討の場面で、燃え盛る屋敷を前に警護の北面武士が武者に首を切られる場面は、数多くの歴史本で採り上げられるほどだ。その地獄の業火のような激しい炎の描写と、首を切られる武士の苦悶と、首を切る武者の無慈悲な表情の対比は見事としか言いようがない。

絵巻をここまでじっくり鑑賞した美術展は今まで他になかったかもしれない。これだけで1時間以上を費やしかなりの疲労を覚えたが、最後にその疲労を解き放ってくれたのは曽我蕭白の龍の屏風だった。豪放でありながら、ユーモラスささえ感じる龍の表情は他に例えようがない。その大きさとともに、爽快な心地にさせてくれる大作だった。

もっと早く来てじっくり鑑賞すればよかったと思うとともに、このような素晴らしい作品が国外に流出してしまっていること、二つの残念さが残る美術展になった。しかし、だからこそ必ず思い出にしっかりと残る美術展にもなることだろう。

ボストン美術館 日本美術の至宝

大阪市立美術館(天王寺公園内)

2013年4月2日~6月16日

2013年6月 6日 (木)

機山洋酒工業 キザンワイン白2011 山梨県甲州市

130607kizansiro日本ワインは最近急激に盛り上がったので、どのワイナリーも新たにできたと考えがちで、実は自分もそう思っていた。しかし、どのワイナリーも規模は様々だが相当の歴史を持っている。

最近山梨県でも注目の産地である甲州市塩山には、個性的なワイナリーが多い。この機山洋酒工業もその一つで、小さいワイナリーだが歴史は80年を数える。そしてここの農家でもあり醸造家でもある土屋幸三氏は、大阪大学出身から協和発酵での研究を経て、家業のワイナリーを継承した。

ここで作られるワインは種類を限定しているが、主力の白は甲州種から造られる。理想のワインは食事と共に楽しみ、かつ時間と共に変化するものと考える土屋氏は、甲州種の個性である酸をストレートに出すために、糖分は全て発酵させアルコールにし、澱との接触も長くはとらない。

色はピンクがかった、枯れた感じのする麦わら色。香りはグレープフルーツ、カリン、ハッカキャンディー、ミント。

口に含むと鮮烈でエッジの効いた酸味が突き進んでくる。しかしその酸は鋭いだけでなく厚みがあり、徐々にその包容力を増し、舌先を包むように浸透する。その酸にくるまれていた果実味は残糖分がほとんどなくドライ。しかしそのドライな味わいから浮き上がってくる質感のある旨味と、独特の渋みが複雑な後半を演出する。

終盤はドライだが、ふくよかで繊細な旨味とほのかな戻り酸が予想外にやさしい味わいを感じさせつつ、細く長い余韻を形作る。

酸味主体の味わいの中に、しっかりした旨味が閉じ込められた質感のあるワイン。単にフレッシュ、フルーティというだけに終わらない甲州種のポテンシャルがしっかりと感じられる。この表現力の多様さもまた、山梨という土地で最も愛されるブドウである所以なのだろう。

【酒商熊澤 1,300円?】

2013年6月 5日 (水)

甲斐ワイナリー かざま甲州 シュル・リー2012 山梨県甲州市

1306056月2日の日曜日、神戸元町の酒商熊澤でのイベントに参加した。こちらはワインショップであり、立ち飲み屋でもあるという非常に便利なお店で、しかもワインは日本ワインに特化しているという、自分にとっては極めて有難いショップだ。

このショップ兼立ち飲み屋さんの2階は「ボンゴレ」と言って、会料理を中心とした本格的な料理が楽しめる。今回のイベントはそちらで、山梨県甲州市のワイナリー、甲斐ワイナリーと塩山洋酒の醸造化を囲んでのメーカーズディナーだったが、約30人の日本ワイン好きが集まり、若い30代の醸造家とのワイン談義も楽しみながらの楽しい酒宴になった。

この甲斐ワイナリーのラベルにある「かざま」は、当主風間家の家名を冠したもので、古くは竹田家にまでさかのぼることができるほどの旧家だそうだ。

この日来ていた聡一郎氏は東京農大農学部出身で、ブルゴーニュで修行もし、その後山梨大学でワイン科学士にも認定されているそうだ。その聡一郎氏が語っていた言葉で印象的なのは、「甲州は少し甘さを残した方が美味しい。」というもの。このワインでは発酵終了後澱と接触期間を保つシュル・リーで、より旨味を引き出させる手法を採っている。

色は輝きのある薄めのレモンイエロー。香りはヨーグルト、貝殻、ビワ、ナッツ。

口に含むと瑞々しくフォルムのしっかりした鮮烈な酸味が広がるが、その酸味も刺々しさはなく口の粘膜を撫でるかのように、ソフトに浸透する。甲州としてはやや強めの甘みは残されているが決して媚びずに繊細な果実との調和を保ち、柔和にふるまう。序盤の酸が落ち着いた中盤から後半は、凪のような情景を思い起こさせる穏やかな旨味主体の味わいを展開する。

最後は優しい甘みが程よく残り、きれの良い味わいを見せつつさっぱりとした余韻で引いていく。

甲州は時として強い酸ゆえに、あまりにドライすぎて渇きを覚えることもあるけれど、このワインはそこを優しい甘みで補いつつ、新たな甲州の魅力を展開してくれる。それも甲州というブドウの可能性を引き出す醸造家のイマジネーション故と言えるだろうか。

【酒商熊澤 2,000円?】

2013年6月 2日 (日)

3か月待ちも納得 トラットリア・イル・ピスタッキオ 

最近の大阪イタリアンは郷土料理ブーム、各州の料理に特化したリストランテが流行りではあるが、ここまで徹底したお店はないかもしれない。

昨日初めて訪れたJR茨木駅近くの「トラットリア・イル・ピスタッキオ」、待つのが嫌いな自分が3か月待ちを厭わずに予約したほどの人気で、今最も予約がとりづらいリストランテかもしれない。それもそのはずで、シェフ1人で切り盛りし、お客の数も8人までという小規模なリストランテなのだ。

130601pista1130601pista2_2130601pista3この日は4人だったので、シェフの勧めに従い前菜、パスタ2種、メイン2種をまずは注文し、その最初の前菜はシェフのお任せで供された。まずはブルスケッタから、その後小皿4品が出てきた。今の季節は魚介メニューという事で、マグロ、エビ、イワシが並ぶが、いずれも塩味がしっかりしている。

前菜はこれでおしまい、と思いきやまだ後3皿出てきて、この前菜の時点で結構なボリューム感があり、腹の方は6分目くらいになってしまったので慌ててメインで頼んでいたカジキマグロと鯛のうち、鯛を外すことにした。

130601pista4130601pista5_3130601pista6パスタは雲丹のパスタ、魚介のクスクス、そして最後のメインにマグロの身を巻いて詰め物をしたインヴォルティーニ。

クスクスはフランス料理と思っていたが、元来アラブ由来のものなので、アラブ文化の影響を色濃く受けたシチリアに根付いているのは考えてみれば当然なのだ。この料理はシチリアの西、トラパニの名物だそうで、トラパニで修行されたシェフには思い入れのある料理なのだろう。インヴォルティーニも、外側はパリッとしているが、中は柔らかさを残すように優しく火を入れてあった。

料理全般には最初の前菜以外は塩も抑え目で、とても食べやすく仕上げられている。そしてどの料理にもシェフのこだわり、隅々まで目を行き届かせている感覚がうかがえた。シェフ一人で調理もサーブもこなしているが、8人というお客数も自分ができる最大限以上の無理をせず、その中でより良いものを作ろうという気持ちを反映させたものだろう。料理も待たせることなく、適切な感覚で提供される。シェフ一人のお店にあっては、これはなかなかできることではない。

130601pista9130601pista10_2130601pista11そしてもう一つ、ワインもすべてシチリア産で統一している潔さ。その中でこの日飲んだプロセッコの泡は、本場ヴェネトのプロセッコはドライすぎると感じていた自分にとって、柑橘の甘い香りと柔らかな旨味がとても心地よかった。フラッパーとのロゼもチャーミングな酸味の飲み口だが後味はグリップ感があり、魚介中心のメニューに良く調和した。

そして最後、シチリアの食後酒としては外せないのはマルサラだが、自分が好きなマルサラの作り手、フローリオが置いてあった。芳醇な酸化熟成の香り、柔らかな酸味と後から染みるように押し出してくる自然な甘みが、食後のひと時を満ち足りた気分にさせてくれた。最後はグラッパ、ジビッボ種とネロ・ダーヴォラ種の呑み比べだが、白品種のジビッボはハーブの香り、赤品種のネロは花のエッセンス、ヴァニラのアロマティックな香りが特徴的だった。

隅々まで妥協しないこのリストランテの空間だけは、確かに大阪ではなくシチリアそのものかもしれない。

トラットリア・イル・ピスタッキオ

大阪市茨木市西中条町2-12(JR茨木駅すぐ)