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2013年5月

2013年5月31日 (金)

ドメーヌ・ベル クローズ・エルミタージュ レ・ピエレル2009 AOCクローズ・エルミタージュ

130531domainebelle夏こそシラー。シラーという品種の個性は、実は夏こそピッタリくると思っている。暑い夏を乗り越えるスタミナを蓄える時はやはり肉なのだが、自分は肉を食べるときにはシンプルに胡椒を利かせて焼くのが好きなので、それに合わせるのはまず第一にスパイシーなシラーという事になる。

シラーに関してはフランスのトラディッショナルなタイプが好きだ。オーストラリアなどの、いわゆるシラーズはスパイシーさよりも果実味の厚みが主体で、品種は同じでもキャラクターはかなり異なる。フランスのシラーでも、よりリーズナブルで胡椒のニュアンスがしっかり出ているのは、クローズ・エルミタージュかもしれない。

ローヌの銘酒、エルミタージュを囲むように広がるクローズ・エルミタージュはローヌ北部の最大生産地区だから、生産者によって質がかなり異なる。このドメーヌ・ベルは1990年から生産者組合から独立し、自社でワインを醸造する。農法はリュット・レゾネ。

色は濃厚で凝縮感のある暗いルビー色。香りは干しプラム、胡椒、焼き芋、バニラ、カステラ。

アタックは柔らかな酸味がしなやかに舌先を包む。温かでほっこりした酸が心地よく、熟して密なベリーの果実味と調和し、上品な味わいを形作る。タンニンは緻密だが若干青さが残るものの、それも気になるほどではなく、むしろこのワインの個性、アクセントとして好ましく働く。中盤から後半にかけて広がる優しい甘みは、チョコレートのデザートを食しているような幸せな感覚を演出する。

余韻は完熟ベリーの、落ち着いた酸味を伴った甘みが広がり、雑味のない綺麗な味わいを残しながら引いていく。

シラーらしい野性味は少し抑え気味で、完熟ベリーの果実味を前面に押し出した印象。最近のローヌ北部のワインはこういうしなやかな印象のワインが多くなっているのも、最近の嗜好に合わせたものかもしれないが、自分としてはゴリゴリ押してくる野性的なシラーがスキかもしれないな。

【阪急百貨店本店 3,000円?】

2013年5月26日 (日)

シャトー・マスビュレル2002 AOCモンラヴェル

130526masburelフランスにもまだまだ知らないAOCがある。特にジュラ、南西地区、プロヴァンスなど、南フランスには日本で知られていないようなワインがたくさんありそうだ。

このワインも初めてのAOC。モンラヴェル。ボルドーを流れるジロンド川は北のドルドーニュ川、南のガロンヌ川が合流したものだが、そのうちのドルドーニュ川の上流にベルジュラックと呼ばれる地域があり、甘口ワインで有名だが、モンラヴェルはそのベルジュラックの西側、少し下流にある。この地域ではセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル種から甘口、辛口の白を生産しているが、モンラヴェルでは主に辛口を生産している。このシャト・マスビュレルはソーヴィニヨン・ブラン70%、セミヨン27%、ミュスカデル3%で仕込まれてる。

琥珀色に少し赤みが差したような色合いでディスクも少し厚め。粘性は中程度。香りはアーモンド、干し柿、シナモン、オロロソシェリー、セメダインのような工業系の香りも感じられる。

口に含んだ瞬間の酸は控えめで、しっかりした渋みを感じ、その後一呼吸置いて太い渋みと共に熟した丸みのある旨味が広がってくる。樽の要素が強く感じられ、色合いほどに粘性はなく、意外に細身のスレンダーな味わい。11年の年を経ているせいか、雑なところがなく、均整のとれた密な構成。中盤から後半にかけて広がる甘みと渋みの不思議なコントラストも個性的。

余韻は最後まで太く座る渋みが味わいを引き締め、そこに旨味が覆うような味わいが残り、繊細かつ堂々とした後味を展開しつつ引いていく。

色合いから予想したのとは違って酒質はさらっとしていたが、味わいは樽からくる渋さが全体を引き締めつつ、メリハリの効いたものだった。しかし、それでいてそれぞれの要素が勝手に主張せず、全体の調和を保っていたのは、11年を経て呑みごろになっているからなのだろう。こういう美味しいワインが眠っているのだから、フランスの地方ワインも奥深い。

【Wineshop FUJIMARU 2,000円?】

2013年5月25日 (土)

ドメーヌ・ド・レーグル・ア・ドゥー・テット コート・デュ・ジュラ プールサール2010 AOCコート・ドゥ・ジュラ

130525jura最近は少々おとなしくなったものの、土着品種への偏愛が衰えたわけではない。むしろイタリアに関しては以前ほどではなくなったが、その分フランス、スペインなどにある、土地由来で細々としぶとく生き残ってきた品種に興味が向きつつある。

スイス国境に近い山間のジュラ、ここはフランスワインでは決してメインストリームにある場所ではない。ブルゴーニュでは村ごとに細分化されているといってもいいAOCが、コート・デュ・ジュラではなんと約160村にまでまたがっているというほど大雑把なくくりに甘んじている。だから、この地区では生産者によっておそらくは品質もまちまちなのだろうが、その生産者の情報も乏しいのだから、買うのには相当の勇気が必要だ。

だからこのワインを選んだのも、まずはジャケ買い。ジャケットに描かれた双頭の鷲は、ハプスブルク家の紋章だがその中には良く見ると5つのブドウ。これはこのドメーヌ、その名もまさに「ドメーヌ双頭の鷲」があるジュラ地方由来の5つのブドウ品種、赤はプールサール、トルソー、ピノ・ノワール、白はサヴァニャンとシャルドネを表している。そして、このワインに用いられているのはプールサール。アルボア地区ではプピヤンとも呼ばれる品種だ。

色はロゼと言ってもいいくらいに淡い、ザクロの種のような明るいルビー。香りはストロベリー、ミント、ハッカキャンディー。

口に含むと伸びのある鮮烈な酸味が飛び込んでくる。その直後に予想外にしっかりしたタンニンの渋みが感じられ、それを越すと一転、滋味持った若いベリーの甘酸っぱさが穏やかに広がってくる。中盤から後半にかけてフレッシュな酸と、少し荒っぽいタンニンが不思議なボリューム感を産み、野太さを感じさせ、他の地域には感じられない個性的な味わいを形成する。

最後は透明度の高いベリーの甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、その後少し粘っこさのある旨味がどっしりと座りながら長い余韻を形成していく。

色とは対照的に味わいの要素がしっかりしており、しかも濃い印象を与えるのが意外だった。この鮮烈な酸と太いタンニンの調和、結構好きな人はいるかもね。あまり広く接する機会がないのは残念かも。

【エノテカ グラン・フロント店 3,000円?】

2013年5月22日 (水)

三条新町の新展開 アル・ヴィーノ

130520alvino1130520alvino2ワインに関しては家呑み率が多い自分かもしれないが、大阪にあまり自分がしっくりくる店がないという理由がある。でも、なぜか大阪以外の店はフィットするのは何故だろう?

このバルもその一つ。京都の三条新町、旧コチネッラに開店したワインバル、アル・ヴィーノは、食とワインで最も信頼すべき京都の友人に勧められたお店。

6時の開店直後からおつまみ+ワインのお得なコースで始めて、まずはフランチャコルタ。アンティカ・フラッタのシャルドネ100%によるフランチャコルタは、細かな泡と、柔らかな酸味がスムーズ。

グラスワインも6種開いていて、その中から定番ベナンティのエトナ・ビアンコから、ネッビオーロ、サン・フェレオーロのル・プロヴィンチャーレへ。

130520alvino3130520alvino4イル・プロヴィンチャーレはDOCランゲ・ロッソだが、ネッビオーロらしい骨太のタンニンと、鉄っぽい風味を持った複雑な味わいが表現されていて、ネッビオーロ派の自分も満足いく旨さ。このワインに合うように特別にパスタをアレンジしてもらい、、トマトソースベースも若干辛めにアラビアータ風にしてもらった。店主の浅田さんはサービスが長いそうだが、元々調理もしていたのでこういう嬉しい対応をしてもらえる。

ワインはいずれも状態がバッチリ、飲みごろにサーブされるのはさすがサービスの経験ゆえだろう。

京都には頻繁に行くけど、立ち寄りたい店が増えすぎて困る。京都の店のゆったり構えた焦らない雰囲気が大阪の店と違った個性で、それが自分に合っているのかもしれない。ワイン以外のお酒もありそうで、気軽に立ち寄れる感覚が嬉しい。このお店も今後のレパートリーの一つにしたいお店だな。

アル・ヴィーノ(Al Vino)

京都市中京区三条通新町西入ル釜座町14

075-241-0305

日曜休

2013年5月21日 (火)

オリヴィエ・ジュアン モレ・サン・ドニ プルミエクリュ ラ・リオット ヴィエイユ・ヴィーニュ2008 AOCモレ・サン・ドニ 1erクリュ

130520moreysaintdenisプレミアも終わり、アーセナルはなんとか4位に入ってチャンピオンズリーグの出場権は得た。来季こそはタイトルを取って欲しいのだが、まずはオフシーズンの強化をどうするかが注目だ。

最低限の結果とはいえ、やはり4位入りはうれしいもの。ちょっと贅沢な気分を味わいたいのでブルゴーニュ、大好きなモレ・サン・ドニを。

オリヴィエ・ジュアンはモレ・サン・ドニを本拠とした作り手で、1999年にドメーヌを継承した。ジヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニィに挟まれたモレ・サン・ドニは、2村に比べると一段格下に見られがちだが、特級畑を5つ擁し、村の3割がその特級畑という質を誇る。

そのモレの1級畑は、特級畑のよりも斜面下部に位置しており、ラ・リオットも村の中心部、特級畑クロ・ド・ラ・ロッシュの南端に連なる。オリヴィエ・ジュアンの畑では樹齢も60年以上と古い。

色は濃密な暗い赤紫。香りはプラム、シナモン、胡椒、黒オリーブ。濃厚で甘みを強く感じるあ香りが放たれる。

口に含むと熟した濃厚な果実味とミネラル感がはっきりと感じられ、安定した味わいを序盤から形成する。ストレート、素直なベリーの旨味が中心に座り、タンニンも粒子が細かで酒質を邪魔しない。中盤からの膨らみはおとなしく、若干フラットな印象だが、透明度のあるクリーンな甘さが心地よく広がり、後半にはスパイシーさと辛さに似た不思議な味わいも現れ複雑さを演出する。

余韻は細かな酸とベリーの甘みが絡み、その甘みも切れ良く雑味を残さずに上品な印象を残して引いていく。

正直オリヴィエ・ジュアンのワインは過熟のイメージがあったのだけれど、このワインも確かに濃密ではあるがくどさが感じられないので、上品さを保っている。そしてそれぞれの味わいの要素が細かく、豊富なミネラル感がこのワインに複雑さをもたらしている。ジュブレの力強さ、シャンボールのしなやかさとはまた違う、モレのテロワールを表現しようとする作り手の一つの答えと言えようか。

【創酒タカムラ 7,000円?】

2013年5月20日 (月)

苦しみつつも4位フィニッシュ! ニューカッスルvsアーセナル戦

130519arsenalプレミア最終戦、3-5位は熾烈な戦いが最後まで続き、チェルシー、アーセナル、スパーズがそれぞれ勝ち点2、1差。アーセナルは勝てば自力で4位を確保できる最終戦はアウェイでのニューカッスル戦。前節は7-3で勝利しているが、油断はできない。

先発はGKスチェスニー、DFギブス、コシエルニー、メルテザッカー、サニャ、MFアルテタ、ラムジー、カソルラ、ロシツキー、ウォルコット、FWポドルスキー。

試合は0-0で前半を折り返した後半の52分、右サイドでサニャへのファウルで得たFKをウォルコットが蹴り、リバウンドをコシエルニーがボレーで決めてアーセナルが先制。その後苦しみつつ危ない場面も何とかしのいで、虎の子の1点を守り切ったアーセナルが4位を確保する勝利を挙げた。

正直今季の初めは4位入りも難しいかと思ったし、3月のスパーズとの直接対決に敗れたときはショックだったが、その後選手はモチベーションを維持して8勝2分、勝ち点26を積み上げて乗り切った。それに対してスパーズは5勝3分2敗、過密スケジュールも影響したか勝ち点は18にとどまった。

この試合のMOMは文句なくコシエルニーだろう。虎の子の1点を挙げたことは勿論、ソングが抜けてフィルターがなくなり、フェルメーレンの不調で不安定となった最終ラインを維持し続けた頑張りを称えたい。

今季を通して言えば、MVPは間違いなくサンティ・カソルラだろう。最多出場時間、チーム2位の12得点、アシストを加えれば最も得点に絡んだ選手となり、ファン・ペルシーの穴を少なからず埋めてくれたのは彼だった。巧いのにエゴがない、味方を活かすプレイは観ていても気持ちがいい。本当に素晴らしい選手だと思う。

今季の反省と来季への期待はまた別の日にして、とりあえずはこの勝利とスパーズを振り切った喜びに浸りたいと思う。皆さんお疲れ様でした。次は7月の来日戦です!

2013年5月19日 (日)

カステッロ・ガビアーノ イル・ルーヴォ2010 DOCグリニョリーノ・デル・モンフェラート・カザレーゼ

130519grignolino経験則的にだが、グリニョリーノというブドウは不思議なブドウだと思う。ピエモンテで栽培されるが、赤ではネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェット、白ではアルネイスよりもかなり知名度で劣る。しかし試飲会等の機会では、後々の評価が高く出てくる。

自分が持つグリニョリーノのワインのイメージは、ブドウをそのままストレートにワインにしているというもの。若いベリーの甘酸っぱい果汁そのままに、伸びやかなタンニンと小ぶりだがかちっとしたタンニンを伴った、チャーミングなワインだ。そうしたわかりやすい味わいがストレートに訴えかけてくるのかもしれない。

カステッロ・ガビアーノ、ガビアーノ城はピエモンテ州の北部、アルバ地区やアスティ地区よりも北に位置する。畑は20haと小さいが、無農薬手作業のブドウからワインを醸す。

色は明るいルビー色で、魚の血の色に似た生っぽさを感じる。香りはザクロ、アセロラ、バラ、グミ、若くピュアな香りが放たれる。

口に含むと細かで伸びやかな若々しい酸が突き進み、その直後にベリーのまだ熟す手前の若々しいピュアな旨味が広がる。膨らみは大きくないものの、素直でクリアな味わいが好ましい。フォルムは引き締まり、内向的ながら旨味が詰まっており、単純ではない。酸味と旨味が交錯しながら、決して飛びぬけない緊張と均衡のバランスがエキサイティングな後半を展開する。

余韻は酸味の中に溶け込んだ細かな渋みが浮き上がるように広がり、意外にタニックな印象を残しながら、雑味を残さないベリーの旨味をゆっくりと減じつつ引いていく。

決して重厚ではないが、それ故にはっきりと迫ってくる獲りたて果実のピュアな旨味、しかしそれだけでは終わらない旨味の要素の調和が表現されている。グリニョリーノというブドウの魅力はそうしたもぎ立て、取り立て感に近いところにあるのかもしれないな。

【? 2,500円】

2013年5月18日 (土)

シャトー・ラ・バロンヌ ルーサンヌ ヌメロ・ドゥー2011 ヴァン・ド・フランス

130519labaronneフランス、ローヌの品種の中でルーサンヌは最重要だけれど知名度は低いかもしれない。それはルーサンヌという品種が栽培しづらい、という生産者側の理由によるところが大きいように思う。

ルーサンヌはエルミタージュ、シャトーヌフ・デュ・パプといった銘醸白ワインだけでなく、コート・デュ・ローヌの白といった広く地域を包含するワインにも用いられてるが、単一で使われることは稀で、むしろ名前がよく似ているマルサンヌの方が多く、ルーサンヌは補助的に用いられることが多い。ローヌの白に共通するほっこりした酸の柔らかな味わいはマルサンヌに多くを由来するのだとすれば、ルーサンヌの個性は実はあまり把握できていないというのが実感だ。

このワインは南仏で徹底したビオロジック農法のワインを造るブルーノ・デュシャンのネゴシアンワイン。カリスマ的な人気で彼のワインは高価で取引されてしまっているが、このワインは彼の友人たちが所有する無農薬畑から造られるブドウで醸されるのでリーズナブル。ヌメロアン(No.1)はタンク発酵だが、このヌメロドゥーは樽発酵によるもの。

色は鼈甲飴のような粘質を伴う、薄い琥珀色。香りは乾燥アプリコット、オレンジピール、松脂、ワックス。有機的な香りが強く出ている。

口に含むとじっとりとした浸透力のある酸が直線的に染みあがってくる。そしてその酸に導かれて、熱帯フルーツ系の甘みと白ワインとしては強い収斂感を伴う苦みが絡み合い、ボリューム感のある味わいを展開する。中盤は豊かなアルコール感があり、若干苦みが強く出ているきらいはあるものの、色合いから想像するよりもバランスがとれており、太いコクと瑞々しい酸により明快な味わいが後半にかけて展開する。

余韻は最後までどっしりと座る渋みが若干粗さを感じさせるが、ドライフルーツを食した後のような凝縮感のある甘みを残しながら引いていく。

ワインとしてはまだ試行錯誤という印象で、料理と合わす場合のマリアージュが想像しづらいいところはあるが、ルーサンヌに対する先入観、酸が低くおおらかな味わいという印象とは全く違った味わいだった。こういうワインがあるから、品種の個性ってなんだろう?と思ってしまうんだよね。

【カーヴ・ド・テール淡路町店 3,000円?】

2013年5月17日 (金)

自力4位でいい アーセナルvsウィガン戦

130517arsenalプレミアも残すところあと2試合で、4位以内に入ってCL出場権を確保するしかないのは残念だが、最低限の結果は残したい。対戦相手はFAカップを制したウィガンとの試合で、エミレーツ最終戦を迎える。

先発はGKスチェスニー、DFギブス、コシエルニー、メルテザッカー、サニャ、MFアルテタ、ラムジー、カソルラ、ロシツキー、ウォルコット、FWポドルスキー。

FAカップ優勝から2日で残留を賭けたハードな試合を戦うとあって、ウィガンのモチベーションとフィジカルにかかった試合と言ってもよかったが、結果はアーセナルが4-1でこの戦いを制し、最終戦に5位のスパーズと勝ち点1を保った。これで最終戦、ニューカッスルとの戦いに勝てば、自動的に4位以内を確保することができる大きな一勝だ。

この試合ではポドルスキー2得点、ウォルコット1得点、ラムジー1得点となり、ラムジーは今季初得点で、後半以降は第3ラインで守備的な役割を担うことが多かっただけに、自分で角度のないところを決めたゴールはさぞかし嬉しかったことだろう。少年サッカーで得点を決めた選手のような感じで、微笑ましかった。

しかし、この試合の功労者は4得点すべてに絡んだサンティ・カソルラだろう。コーナーキック、横パス、縦パスと決定的なチャンスをお膳立てする能力の高さに今季どれだけ助けられたか、彼なしだったら今頃どうなっていたか考えただけで寒気がするほどだ。このところ疲れが見えたカソルラが調子を取り戻してきたこの流れは、最終戦に向けて大きな勇気になる。

残り1試合、勝って気持ちよく来日してもらいたい。それしか考えられないので、今から日曜日が待ち遠しい。

2013年5月12日 (日)

受け継ぐもの、受け継がないもの 狩野山楽・山雪展

130512kanou狩野派、日本絵画の歴史で必ず語られるこの一派の作品は、美術館は勿論、古い寺院の襖絵、屏風など至る所で目にする機会がありながら、実は最も縁遠い存在かもしれない。

狩野派の祖と言われる元信が室町幕府の御用絵師となり、以後時の権力者の寵愛を得つつ、江戸後期まで画壇のトップに君臨し続けた。その間に元信、永徳、探幽が現れたものの、時代が下るにつれて様式美に走り芸術性は失われ、琳派や反狩野派的な民間の画家におされていったというのが定説になっている。

今回国立博物館で紹介されるのは、狩野派でも京狩野派に連なる山楽、山雪だ。http://sanraku-sansetsu.jp/index.html

江戸狩野派が徳川将軍家の奥絵師として隆盛を極めたのに比べると、京狩野派は不遇な印象があるが、その境遇ゆえに江戸とは異なる画境に達していく。

狩野山楽は桃山時代最高の画家であった永徳の弟子であり、その豪放な画風を色濃く受け継いでいる。「龍虎図屏風」の右上隅から覗く龍の視線が、左下隅にて吼える虎の視線と対角に交差する構図はダイナミックだ。永徳の力強さを受け継ぎつつも、それを造形的に整理して行く過程が面白い。

その弟子である山雪になると、迫力は後退し、より造形面での技巧を誇るようになる。「老梅図襖」の自然を描きつつも自然界にありえないようにうねる枝は、苦しみに身悶えるような印象で、観ていて切なささえ覚える。

山楽、山雪の流れは、イタリア・ルネサンスが盛期から晩期に移行する時の表現変化に驚くほど似ている。それはマニエリスムで、ダ・ヴィンチ時代の解剖学的な人体図の描写が、唯美表現的に八頭身にまで引き伸ばされたフォルムに変わっていく過程と軌を一にしてる。京狩野派の顧客が公家衆を主にしていたことも、より「あそび」の要素を取り入れた洒脱な表現に向かっていくことを加速化したことだろう。

山楽・山雪の流れを観て、自分が観る上では圧倒的に山楽の画風が好きだが、一つの流派の境遇・変化をバックとして観たとき、山雪の斜に構えた画風も味わいが出てくる。ということは、この美術展における狩野派の流れを捉えるというコンセプトが、鑑賞者に伝わっているということなのだろう。

狩野山楽・山雪展

京都国立博物館(東山七条)

2013年3月30日~5月12日

2013年5月11日 (土)

痛痒い感覚が心地よい フランシス・ベーコン展

Dsc_0159不思議な画家だとつくづく思うし、なぜ彼の絵にこれほど魅せられているのかも上手く表現はできない。これがなぜ美しいのか、というのも的確には伝えられない。しかし、やはり最も好きな画家の一人には違いない。

フランシス・ベーコン。彼の大規模な展覧会が東京で開催されているので、ようやく実物大でまとまって彼の作品を鑑賞する機会を得た。

http://bacon.exhn.jp/

彼の作品では、描かれる対象は著しく歪み、蒸発するかのように物質的な形態を失っているが、それが元来何を描いていたかは理解することができる。具象と抽象の狭間で、より具象寄りの絵画と言えようか。

彼の絵画で特徴的なのは、より大型の作品が多いことに加えて、同じ対象を繰り返し描いていること、「習作」と題しながら実は本作の場合が多いこと、そしてそれは後期の作品は赤とピンクが支配的な色調になっていることだろうか。

特に赤とピンクは、彼の作品のイメージにもなっている。その赤は血のニュアンスを帯びた赤、さながら傷ついた者が何かにすがりつこうとして壁に血をなすりつけた様な印象を与えるし、ピンクは切り刻んだ肉体のような質感を帯びている。かれの絵を見ていると、体全体が痒くなってくるような感覚を覚えるのはそのためだろう。

この痛痒い感覚はちょうど恐怖映画を見たときの感覚にも似ている。しかし似て非なるのは、恐怖映画が単に切り刻まれて終わって何も残さないのに、彼の作品を鑑賞した後には、一種独特の爽やかさが残るところだ。

空間に溶けて実態を失う過程のような彼の作品を続けざまに見ていると、実態というものの儚さを感じると同時に、生命の輪廻、実体あるものが崩れて形を失い、そして個々の粒子が再結合して命を構成して形を取り戻す繰り返しまでもが見えてきた。そして何より、このように一瞬にして蒸発して消えてしまうというのは、案外気持ちの良いものかもしれないという、一種の清々しささえ覚えた。

作品数は少なめだが、神経の細部、痛点まで刺激してくる彼の絵画表現が満喫できる美術展だった。

フランシス・ベーコン展

東京国立近代美術館

2013年3月8日~5月26日

2013年5月 7日 (火)

テルラーノ テルラン ピノ・ビアンコ ヴォルベルグ リゼルヴァ 2009 DOCシュドティロル(アルト・アディジェ)

130505vorbergピノ・ビアンコ、フランスではピノ・ブランはかなり過小評価されているブドウ品種だと思う。フランスでは本拠ともいえるアルザスでさえ、グランクリュを名乗れる品種はリースリング、ゲヴルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカだ。いずれも名前を聞いただけで特徴が思い浮かぶ品種だが、ピノ・ブランはそれが正直ないことも事実。穏やかで癖がない、そういう感覚が続いた。

しかし最近はこうした品種にこそ隠れた個性を見出す楽しみがあることに気が付いた。それはいろいろなワインを飲んできたこともあるのだろうが、ある程度年齢を経てきたことも理由なのかもしれない。落ち着いた時間を共に過ごすワインには、こうした気取りのない穏やかなワインこそふさわしいと思う。

テルランはアルト・アディジェでトップのワインを産みだす協同組合。その品質はブドウを厳選して格差をつけ、農家間でもより優れたブドウを生産することにインセンティブを与えた方法で裏打ちされている。畑は主に火山性土壌で、よりミネラル感を生み出すテロワールに恵まれており、このピノ・ブランはそのうちの単一畑、フォルベルグで栽培され、完熟したブドウを選別して醸造される。

色は少し粘性を感じさせる、輝きを帯びたゴールドイエロー。香りは白い花、オレンジ、幸水梨、青みのバナナの印象も感じさせる。全体に程よい甘い印象を感じさせるん香り。

口に含むと柔らかみと丸みを帯びた酸味が穏やかに広がり、繊細でドライな柑橘の果実味がまとまりよく躍動する。突出したものはなく、個性的という印象ではないが、内側からじわじわと湧き上がるエネルギーを感じ、中盤から後半にかけての太い苦みを構成するミネラル感が心地よく落ち着いた味わいを定着させる。

余韻は薄皮一枚で柔らかく、しかし幅広く広がる旨味が切れずに続き、穏やかな酸味が戻り現れリフレッシュしつつ、長い穏やかな坂道を下るかのような印象を残しつつ引いていく。

全体には綺麗で優しい印象だが、内に秘めたポテンシャルと充実したミネラル感はしっかりした存在感を主張する。時間と共にいろいろな面を気づかせてくれるワインだと思うので、休日1本でゆっくり時間をかけて向き合うワインとしては最適だろうな。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,600円?】

2013年5月 6日 (月)

ゴッホに至る苦闘 ゴッホ展 空白のパリを追う

130505作品量も多いからだろう、結構開催される機会の多いゴッホの美術展だが、やはりそのたびに訪れてしまう。ゴッホ独特のうねる、鑑賞者を鷲掴みにするような描写は、他の絵画にはない力強さ、魅力を感じてやみつきになるだから仕方がない。

今現在京都で開催されているゴッホ展を鑑賞したが、この美術展ではゴッホ全盛時代を彩る名作に至るまで、オランダからパリの時代にゴッホがいかに独自の絵画を生み出すに至ったかを中心に構成されている。だからどちらかというとゴッホ自体を見せるというよりも、いかにしてゴッホがその画境に到達したのかを考えさせるコンセプト展の印象が強かった。

その性格上、見慣れた色彩が溢れるようなゴッホの絵画は少なく、自らが絵筆をとった当初の暗めの色調から、当時の画家に衝撃を与えた印象派の明るい色彩を取り入れ始めた過程が読み取れる。ゴッホの売れる絵画を生み出そうとした苦闘、それは痛々しささえ覚えるほどだ。

ただし美術展としては小粒な印象は否めない。初期の作品はゴッホの恵まれない境遇もあってか小品が多く、それを見せるために多くの補足資料、パネルで量的に増やしているという印象は拭えなかった。過程を見るのも大事だとは思うが、だからこそ最後には彼が到達した、アルル時代のいわゆるゴッホ的な作品も展示してほしかったが、最後までらしい作品は無く、長い説明を延々と聞かされて、ではその最終結果がないのでは、構成面でも物足りなさは残った。

それでもゴッホ展となれば大量の集客が見込めるので、この日の会場も大勢の観客で混雑はしていた。しかし、その状況でこれだけ細かい説明をしていては、一作品の前に滞留することを余儀なくされ、鑑賞者全体にコンセプトを伝えることが果たしてできているかは疑問だ。

正直なところ消化不良に終わった美術展だった。

ゴッホ展 空白のパリを追う

京都市美術館

2013年4月2日~5月19日

2013年5月 5日 (日)

負けるわけにはいかない QPRvsアーセナル戦

130505arsenalいよいよCL出場枠を賭けた3チームの争いが熾烈を極めてきたプレミア。我がアーセナルは順位的には圏内とはいえ、残り試合を考えればまずは残り試合を落とすことはできない。この日は既に降格が決まったQPR戦。

先発はGKスチェスニー、DFモンレアル、コシエルニー、メルテザッカー、サニャ、MFラムジー、アルテタ、カソルラ、ロシツキー、ウォルコット、FWポドルスキー。

試合開始早々1分もたたないうちにアルテタの縦パスから一閃、フリーのウォルコットが難なくシュートを決めて先制はアーセナル。これでこの試合かなり楽に観戦できると高をくくってしまったのだが、試合は予想もしない膠着状態に陥ってしまう。

この日のQPRはモチベーションが落ちていると思っていたが、さすがにホームゲームで守備の意識が最後まで切れなかった。アーセナルの選手が攻め込んだ場合でも数的優位を絶対に作らせない。こうなると、アーセナルの今季の悪い点、攻め手がなくなり、パスを出すうちにカットされるような状況が見られるようになる。後半はかなり危ない場面もあったが、両チームGKの攻守もあって、試合は0-1でアーセナルが逃げ切り勝ち点3を積み上げた。

ジルーの出場停止もあり、ポドルスキーのCF起用だったが、機能しているとは言えなかった。確かにシュートは強烈だが、そこに至るまでの各所のプレイが他の選手と連携するようには見えなかった。カソルラも少々疲れがたまっているのか、この試合ではいいところが感じられなかった。

試合内容はかなりさびしい内容ではあったが、あえて良い内容を探すとすれば、MF2列目のアルテタ、ラムジーの安定感だった。ラムジーはこの試合は当たりの弱さもまだ感じられたが、運動量の豊富さがこの試合でも活きていたと思う。今のチーム事情ではこのポジションが最適と思える。

とにかく勝ち点3を積み上げるしかないアーセナルにとって、最低限の仕事をしたと思えるような試合だった。この日は久々にハイバリーナイトでの観戦だったので、もっと盛り上がってほしかったのだけれど。。。

2013年5月 2日 (木)

マルケス・デ・ムリエタ カペッラニア2007 DOCリオハ

130501riojaサッカー、文化、絵画、いろいろな面でスペインは大好きな国の一つだけど、ことワインに関しては最近まで全く無関心だった。元々ブドウ品種の違いにこだわっていたせいもあり、イタリアほどは品種の数が多くないと思っていたこともあって、あまり興味が向かなかったが、ようやく先入観の呪縛から逃れたという事だろうか?

そのスペインワインでも、赤より今は白に興味が向いている。だから、今日のワインはリオハでもテンプラニージョではない、ビウラによる白ワインを。

リオハではビウラ(Viura)だが、広くはマカベオの名で呼ばれている。元々はカタルーニャ地方のブドウで、その後はピレネーを超えてフランス・ルーション地方でも栽培されるようになった。

マルケス・デ・ムリエタは創立1852年というから、既に150年を超えたリオハ有数の作り手で、創立者は元々スペイン系ボリビア人であったが、軍人の道を歩み功を立て侯爵位を得、その後ワイン生産を始めた。。現在の所有者は別の家系だが、伝統を守りつつ、広大な300haに及ぶ自社畑による自社栽培のブドウから肉付きのよいアルコール豊かなワインを産みだすことで定評がある。このカペッラニアはビウラ100%で、オークの古樽による18か月の熟成を経たもの。

色は輝きのある水飴のようなねっとりした質感を帯びた黄金色。香りはシェリーでもアモンティリャード、マロングラッセ、セメダイン、木材。

口に含むと角が取れているが推進力のある酸が飛び込んできて、その直後にふくよかなシェリー香とともに、落ち着きのある酸化熟成の味わいが懐深く、じわじわと押し込むように広がる。複雑味が豊かで、口の中で変化する趣きが楽しい。後半にかけての低い重心を保つように働く苦みがより味わいのふくよかさを演出する。

余韻はシェリー酒の甘みと爽やかな酸味が緊密に絡み合って調和した味わいをもたらし、強い香ばしさを残しつつ長い後味を形作る。

酸味と酸化熟成の味わいは不思議なくらいシェリーと酒質を同じくするものだが、アルコール度が低い分だけより丸みを帯びた豊かな雰囲気を醸し出す。リオハ最良の白の個性が十分に感じられるワインに違いないな。

【エノテカ グランフロント大阪店 3,500円】

2013年5月 1日 (水)

スラブ民族の誇り ミュシャ展

130429アルフォンス・ミュシャはアール・ヌーヴォーという日本人にとって人気のある時代の中で語られる芸術家であり、美しい女性を配したわかりやすいポスターで人気のある画家だが、その表面的な美しさにのみ焦点が当たりやすく、必ずしも芸術としての正当な評価で鑑賞されているとはいえないところがあった。

頻繁に個展が開催される画家ではあるが、現在六本木、森アーツセンターギャラリーで開催されているミュシャ展は、チェコ出身であるミュシャの芸術家としてのバックボーン、民族史的な流れの中で見ていくというコンセプトが出色であった。彼が一世を風靡したポスターだけでなく、油彩画が多く取り上げられている点も、これまでの美術展とは異なる特色だった。

19世紀末はパリが消費文化に沸き、ショー・ビジネスが大衆文化の大きな潮流になった時代だが、その中でポスターは芸術家が世に出るための一手段として世に大量に流出し始めた。ポスターは観客の興味をまずは引かなければならない中で、彼の描く女性像は第一印象は綺麗で、流麗な曲線を多用したその姿は、時代を的確に表現し、あっという間に人気画家へとミュシャを押し上げた。

名声と安定した基盤を得たミュシャはその後も多くのポスターを世に出すが、一方で描いた油絵は華やかな大量消費向けの世界とは一線を画す、よりチェコ民族としての誇り、苦難の歴史への共感といった点により焦点が当たっている。これらの油絵を見ると、ミュシャの芸術が単に表層的なものではなく、民族の苦難の歴史が色濃くその芸術に反映されていることが読み取れる。そして、それらの要素がミュシャのポスターに陰翳と深みをもたらし、時代を超えて共感できるものを表現して、消費されるだけのポスターであるにもかかわらず、彼の芸術が後世にまで評価されるに至った大きな理由であることが理解できる。

大量消費に沸いた19世紀末のパリ、そこでも消費されずに残ったミュシャの芸術は、民族というものの意味が更に意味を持って問いかけられている現代でこそ、その深みがより理解できるのかもしれない。

ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展-パリの夢 モラヴィアの祈り

森アーツセンターギャラリー

2013年3月9日~5月19日