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2012年6月

2012年6月24日 (日)

穏やかな空気が包み込む ピサロと印象派展

120609pisaroこのカエルはなんなのだろう・・・

兵庫県立美術館で開催されている「ピサロと印象派」展に行ってきた。カミーユ・ピサロは印象派の中心人物として名前は知られているが、その知名度ほど作品が日本人に好かれているとは言えない。モネの大胆さ、セザンヌの先進性、ルノワールの芳醇、ゴッホの狂気、いずれにも属さない中間を保った作品は、印象派の巨匠の展覧会の脇役として飾られるに甘んじることが多い。その彼の展覧会はまさに貴重な機会といえる。

確かにピサロの絵には毒がないかもしれない。その作品に対しても、胸を鷲掴みにされるような迫力を感じることはまずないだろう。しかし、色彩分割という印象派の理論がよくわかるその画風、緑青のような緑の点が奏でる清々しい風景からは穏やかな空気がこちら側に流れてくるような錯覚に襲われ、いつのまにかその大気に包まれてそこに立って同じ風景を共有しているような心地にさせられる。

大胆さという点ではモネに譲ると書いたが、実はピサロの筆致も対象をデフォルメし、形を失わせて点に昇華させて、それでいて全体から見ればそれがまさしく元の形を失っていないように見せる技を持っていた。最高傑作、ひろしま美術館所蔵の「パリのポン・ヌフ」はまさにピサロの秘めた力量が最大限に表現されている作品だ。

大型で良質の作品が集まっている美術展は、期待にたがわぬ充実の内容だった。すべてを観終わった時には2時間が経っていたが、疲労感は感じず、ただ一服の清涼剤のように爽やかな気持ちを感じさせてくれた美術展だった。

ピサロと印象派展

兵庫県立美術館

2012年6月6日~8月19日

2012年6月23日 (土)

フェッロチント カベルネ・ソーヴィニヨン2009 IGP(カラブリア州)

120623ferrocinto知名度調査をすれば、ワインの中で白品種といえば、シャルドネ。赤と言えばカベルネ・ソーヴィニヨン、という結果になるのは自明だろう。ただ、白は文句なし、といえ赤については異論が出るかもしれない。しかし、世界中に植えられて、ポテンシャルを持ったワインをその土地、その造りなりに生み出すポテンシャルはこのブドウ以外にありえない。

そのポピュラーさによってついつい敬遠してしまいがちだが、決してそうでもなく、特に重厚で深みのあるワインを飲みたいときには普通にこの品種主体のワインを選択する。しかしイタリアにあってはそれを躊躇する時も往々にしてあった。イタリアでは、そうした品種の先入観を時にして裏切る場合もあったからだ。品種よりも土地の力が強いのか、と思う場合が。

イタリア半島のつま先に位置するカラブリア州はワインは殆ど自己消費的な産地。わずかにガリオッポという土着品種によるチロという赤ワインを生産しているが、このワインはそんな風潮とは違う国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨン。カラブリア州とバジリカータ州の間に位置する山脈のふもとにあるワイナリーではぐくまれるワインは、その地形ゆえに寒暖の差が激しく、南イタリアと異なり雨量も豊富な場所だという。

色は黒味の強いどっしりした重みのある濃縮したルビー色。香りは黒胡椒、黒オリーブ、粘土、カカオ、鉛筆削りかす、バックに樟脳の香りも感じられる、重ための香り。

口に含むと最初はまろやかだが、徐々に押しを強めてくる果実味とアルコール感。しかしボリューム感は南の産地の印象ほどには攻めてこない、程よいまとまりのある味わい。そこにカベルネ・ソーヴィニヨンというよりもカベルネ・フラン的な青さが全体を覆うかのように広がってきて、中盤から後半にかけてのイタリアらしからぬ、不思議な青さが感じられる。

余韻はしまった果実味と、少し青さが感じられる香りと細かで中庸なタンニンがバランスを保ちつつ、南イタリアらしからぬ繊細さと控えめなボリューム感を残しながら、柔らかく優しく引いていく。

南イタリアのワインはどの品種でも濃厚で果実味の乗ったワインになるという印象だが、こちらはボリューム感を削いで、その分品種の個性を前面に出した味わいになっている。ステンレスタンクでの発酵、熟成100%を経ていることが、その味わいに大きな影響を与えているのだろう。予想を裏切ってくれたこのワイン、やはり飲んでみないと何事もわからないということかな?

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 2,000円?】

2012年6月19日 (火)

パヴェーゼ・エルメス ブラン・デ・モルジェ・エ・デ・ラ・サッレ DOCヴァッレ・ダオステ

120617blandemorgex最近はフランスや日本ワインに興味が移っていたけど、やはりイタリアワインも離れない。それでもトスカーナはあまり飲まずに、良くてピエモンテ、フリウリ、むしろそれ以外の州の未知の土着品種にばかり目が行ってしまうのは相変わらず。

このワインはフランス国境のアルプス地方にあるヴァレ・ダオスタ州の白ワイン。品種はこの州の主要白ブドウであるブラン・ド・モルジェ(フリエ・ブラン)で、おそらくはイタリアでもヴァレ・ダオスタ州でしか栽培されていない正真正銘の土着品種だ。この地方のブドウ栽培は特殊なペルゴラ方式で栽培され、ブドウは地面に低い場所に実を付ける。冷涼な気候であることから地面に蓄えられた熱をブドウに与えるために考えられた、この土地ならではの工夫だ。この地では昔から協同組合でのワイン造りが盛んだったが、このワインはパヴェーゼ・エルメスが3haの畑からわずか18,000本のワインを一貫生産している。

色は黄緑がかった若草の新芽のようなすがすがしい薄いイエロー。香りはライム、オレンジピール、キャンディ、ヨーグルト、バックにミントの香りも感じられる。

アタックはまろやかで細かな酸、その酸が細く伸びてきて芯をなし、その芯から染み出るような滋味のある繊細な青い柑橘系の果実味と、塩味のミネラル感が広がってくる。雑味がなく、クリアな味わいで、ボリューム感こそ小さいものの、口の中全体に浸透してくる強いミネラル感がワインに複雑さと安定感をもたらし、意外にふくよかな中盤を形作る。

余韻は最後まで浸透力を残すミネラルを繊細な酸味が包み込み、クリーンな印象を残しながら綺麗でキレの良いフィニッシュ感でしめくくる。

以前飲んだブラン・デ・モルジェはもっと酸の強い印象があったが、これは酸を和らげつつ、その一方でミネラル感を強めて、ワインとしての複雑さ、安定感を高めた印象だ。決してワイン造りに適さない場所でもあきらめずに質を高める、栽培家の努力と献身がバックに見える、そんないじらしいワインといえそうだ。この肩に力の入らない素朴なエチケットもいい感じ。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ 3,000円?】

2012年6月17日 (日)

静かなる怒りの表現 ジェームズ・アンソール展

120609ansoleベルギーという国は不思議な国だ。今の国家としての歴史はそれほど深くなく、200年に足りない国だが、日本にとってはベルギービール、そして絵画で大きな影響を及ぼしている。

ベルギーの画家として最も有名なのは奇想の画家マグリット、大きな目の女性が現れる非現実的なデルヴォー、そしてその後に来るのが仮面の画家、アンソールなのかもしれない。自分もそんな印象を持っていた。そのアンソールの絵画が、ベルギーの王立美術館改装に合わせて豊田市美術館に集められた。

赤を主調とした色彩で描かれた仮面の中にぽつんと正面をみつめる自画像はアンソールの代表作だが、彼の作品の印象は血の色にも似た生々しい赤だ。それ故にその絵を真正面に見ることを忌避するのかもしれない。人間は血を嫌う本能的なものが働くようだ。自分も赤を基調とした絵画を見るとき、本能的に不安感、そこを脱したいという感覚に襲われる。

アンソールも初期は印象派に似た大きなタッチで、当時の上流階級が好みそうな肖像画を描いていたが、徐々に斜に構えた、世間を嘲笑するような仮面を登場させる絵画を描き始める。しかし色彩は明るさを失わず、白と赤を基調とした中に細かく描かれた人物が複雑に絡む。その緻密さゆえに見る者は狂気を感じ、そして明るい色調の中に描かれた死の表現に、平穏な生活に満たされた自分にも訪れるかもしれない不意の破局への不安を思わせる。この不調和こそが彼の芸術を本能的に忌避する理由、そこに思わず惹かれる理由なのかもしれない。

ジェームズ・アンソール 写実と幻想の系譜

豊田市美術館

2012年4月14日~6月17日

2012年6月16日 (土)

エグリ・ウーリエ レ・ヴィーニュ・ド・ヴリニィ プルミエ・クリュNV (アンボネィ)

120616eglyジメジメとした梅雨真っ盛りの最近は、休日も外出がおっくうになりがち。しかもEURO2012が始まってしまったので、平日に撮りだめしておいたサッカーの試合観戦に時間を費やしてしまう。

一試合2時間はかかる長丁場にゆっくりと向き合うには、この季節泡物についつい目が向いてしまう。それもゆったりした気分に合わせるには、どちらかというと酸よりもやわらかな果実味を試したい。

言わずもがなのシャンパーニュ名手、エグリ・ウーリエのピノ・ムニエ100%によるシャンパーニュ。ピノ・ムニエはシャルドネ、ピノ・ノワールに比べて後手に回っていた品種という印象が強かったが、最近はむしろシャルドネの酸、ピノ・ノワールの果実味の両方を持ちつつ、それをさらに掘り下げた味わいと、特徴的な柔らかさが心地よく、お気に入りのシャンパーニュになっている。

色は輝きのあるつややかなゴールドイエロー。泡は力づよく、大きめで勢いよく立ち上る。香りは黄色く熟した果実、リンゴ、焼き菓子、カラメルの香り。

口に含むと舌先をくすぐり、ほどける優しい泡の感覚があり、そして丸みのある穏やかな酸が感じられ、その後豊かな果実味がふくよかに広がるが、程よい渋みによって引き締められ、味わいに抑制をもたらす。酸、果実味のバランスは良く、味わいの厚みがあり、ボリューム感豊。ただ、若干最後に残る甘さの感覚にくどさが感じられ、中盤から後半にかけての抜けに僅かなもたつき感が残る。

余韻は穏やかな酸味が最後まで残り、口の中をリフレッシュしつつ、甘さを伴った果実味の豊かさが膨らみ、ボリューム感の印象を最後まで漂わせながら長い時間をかけて残りながら引いていく。

ピノ・ムニエ100%とは思えないボリューム感に驚かされた。最初はドサージュ(加糖)が多いのかと思ったが、果実本来の力だという。ムニエでこれだけ厚みのあるシャンパーニュを作るとはさすがのエグリ・ウーリエ。休日をゆったりと過ごすには文句なしの一本でした。

【Cave de Terre淡路町店 5,980円?】

2012年6月13日 (水)

奥野田葡萄酒醸造 桜沢オークシャルドネ2010 山梨県甲州市

120609okunodaついに関西も梅雨入り、じめじめとしつつ、徐々に暑い夏が近づいている。暑さが人一倍苦手な自分としては、ワインも早めに赤から白ワインに移行して、せめてクールな気分で暑気を払いたい。

この時期は味わいも繊細な日本ワインが絶対に合うと思う。そんな時に頼りにするのは難波のワインショップ、les PAPILLE JAPONAISEだ。小さなお店の中にぎっしりとひしめく数々の豊富な日本ワイン、この中でムラッ気の多い自分の思いつきに的確にアドバイスしてくれる荒槇さんは、実際に飲んだ印象で薦めてくれるから信頼できる。

このワインもそのうちの1本で、山梨県で平成元年に発足した奥野田ワイナリーが、その後の農業の人手不足、遊休農地の活用、そして若手の就業促進など、その時の社会情勢と農業を取り巻く環境に対応しながら、平成10年に農業生産法人として夢郷葡萄研究所を設立して今に至っている。自社農園で生産したシャルドネをオーク樽で発酵、半年の熟成を行っており、ワインの底にはきらめく酒石酸が現れる。

色は程よく黄金色がかった少し薄曇りのイエロー。香りはオレンジ、梨の芯、ブリオッシュ、杏仁豆腐、ヨードの香りもバックに感じられる。

口に含んだ瞬間は丸みがあるが、その後勢いよくエッジをとがらせて進んでくる鮮烈な酸味が印象的。その後は一転穏やかな旨味と、明確なミネラル、塩気の含む味わいが口の中にしっかりと広がってくる。ボディは堅牢で、強すぎない酒質の中に味わいの要素が稠密に詰め込まれている。中盤から終盤はリッチなドライフルーツの甘みと、ベースの程よい苦みが座り、豊かな印象を形成する。

余韻は酸味とミネラル感がふくよかに広がり、切れの良い味わいが口の中をリセットしつつ、豊かな旨味を残しながらゆっくり穏やかに引いていく。

強すぎず、さりとて弱すぎず、バランスの良い酒質のなかに複雑でリッチな旨味が溶け込んでいるという印象。シャルドネという品種をここまでもってくる日本ワイン、生産者の力量に改めて敬服の念を抱かずにはいられない、そんなワインでした。Good JOB!

【les PAPILLE JAPONAISE 3,360円?】

2012年6月 9日 (土)

4年ぶりの祭典! EURO2012開幕。

120609euroスペイン戴冠からもう4年、月日のたつのは早いもので、決勝ドイツ戦での感激、トーレスの決勝ゴールから既にそれほどの長い月日が経っているのが信じられない。ということは自分があまり変わっていないということでもあるわけで。

ついに始まったEURO2012、今年はポーランドとウクライナの共同開催で、まず開幕戦はポーランドの首都、ワルシャワでの地元ポーランド対お騒がせギリシャとの対決で始まった。去年の夏にポーランドを訪れたときは盛り上がりにもかけて、グッズもあまり目にしなかったが、さすがに本番となると力も入るだろう。満員のスタジアムの中での対戦は1-1ドローに終わったが、切り替えの早い面白い試合だった。

この日ポーランド代表には我らがアーセナルの守護神、スチェスニーが登場していたが、後半相手選手を倒したことでレッドカードを受けてしまい退場。次の試合も欠場となり、残念な結果になった。その後のロシア-チェコ戦はロシツキーがチェコの先発で、そしてゼニトに去ったアルシャビンがロシアの先発で登場したが、結果は4-1でロシアが圧勝した。

7月1日の決勝まで約3週間、世界最高峰のサッカーを見ることができる4年に1度のお祭り、寝不足の日が続きそうな予感がするが、優勝候補はやはりスペインだろうか。しかし連覇が難しいのは歴史が証明している。2004のギリシャのような、思わぬ伏兵が現れないともかぎらない。予想の出来ない結果が待っているかもしれないが、一試合一試合が楽しみだ。

2012年6月 2日 (土)

サディ・マロ シャンパーニュ プルミエ・クリュ ブラン・ド・ブラン ヴィエイユ・レゼルヴ ブリュットNV (マルヌ)

120602malot徐々に気温上昇して、通勤スタイルは今週はついにジャケットも放棄してクールビズ満開になった。真夏に向けて少しでも負担を軽くすべく久々にダイエット、2か月でなんとか6キロの減量にも成功し、もうちょっと頑張ってみようと思う。

そんな季節感を反映してか、飲むワインも赤から白、泡物へと確実に移行中。そしてこの日は安くカニが手に入ったので、そのお供にシャンパーニュを。

サディ・マロは4世代続くマロ家による家族経営のワイナリーで、農薬の使用を抑えたリュット・レゾネ農法によりブドウを栽培している。このシャンパーニュは2007年産のブドウを80%用い、残りはアッサンブラージュ用に各年のブドウで醸したワインを残したヴァン・ド・レゼルヴを用いている、シャルドネ100%のブラン・ド・ブラン。

色はすがすがしいグリーンを帯びた薄めのゴールドイエロー。泡は繊細で、細いがはっきりと立ち上る。

香りはライム、青リンゴのクリーンな青さを感じさせる香りが立ち上がる。やがてヨーグルト、サワークリームのような乳製品の香りも出てくるが、全体には青い柑橘系の香りが支配的に力強く出ている。

口に含むとアタックはまろやかだが徐々にアクセルを踏むように勢いを増す力強い酸。新鮮でフレッシュな味わいで、直線的だが質感もしっかり感じられる酸が前半の味わいを形作る。中盤にかけての膨らみはほどほどだが、しっかりした骨格と稠密な果実味がまとまりのある味わいをもたらす。全般に行き渡る酸味がもたらすグリップも効いていて、心地よい。願わくばもう少しのミネラル感、舌に染み込むような浸透力が加味されればいいのだが。

余韻は少し酸の粘りが気にかかるものの、厚みある果実味がしっかりと座りつつ、フレッシュさを口の中に残しながらゆっくりと引いていく。

ブラン・ド・ブランは実は自分は少々苦手の範疇なのだけれど、酸は角が取れて柔らかくなっているし、果実味の充実感もあるからこのシャンパーニュは抵抗感なくいただけた。最近はブラン・ド・ブランでもノワール的な味わいの物も多いし、カテゴリーで分けること自体にあまり意味がなくなっているのかもしれないな。

【Cave d'Orange 北新地店 4,870円】