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2009年6月

2009年6月30日 (火)

ベルナール・モロー・エ・フィス サン・トーバン プルミエ・クリュ ガメイ2002

090602 赤だけじゃなく、白もボーヌに注目している。ただ、白の銘酒はムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェなどボーヌ地方に多く産出されている。そうなれば、価格も高いのはやむを得ないが、そんな地域の中でもあまり注目を浴びてこなかった地域がある。それがサン・トーバン。

この村の3分の2は1級畑に格付けされているからワインの品質は認められている。しかしモンラッシェの名を持つ地域に挟まれて、その名は広く知られることはなかった。けれどもようやくこの不遇だった地域に注目が集まりつつある。

アルベール・モローはシャサーニュ・モンラッシェに本拠を置くが、ボーヌ一帯で手広くワインを生産している。必ずしも絶賛されている生産者ではないが、さてどうだろうか?

色は照りがあり、表面に張り、緊張があるような硬い印象の黄金色。香りはカリン、ビワ、チューインガム、根昆布のようなヨードの香りも感じられる。

口に含むと少し酸化熟成を経たような香りがふくよかに広がり、直後に直線的で勢いのある酸が口の中心をまっすぐに突き進んでくる。メリハリがあり、中盤はミネラルの味わいが広がる。若干樽から来たニュアンスが重く感じるが、全体には活き活きした酸が味わいを引き締め、硬質な張りのある味わいを形作る。

余韻は香辛料のような香りを口の中に残しつつ、少しシェリーの印象も漂わせながら、最後まで酸とドライな味わいを保って引いていく。

決して上品な味わいではないけれど、主張のあるメリハリの利いた味わいは好感が持てる。そしてこの豊富なミネラル感は印象深い。2002年はブルゴーニュの白最高の年と評価が高いが、確かに色々な味わいの要素を感じとることができるワインだと思う。

【Marche北新地店 3,600円?】

紅茶のようなフリウリのロゼ ヴィエ・ディ・ロマンス チャントンス2005

090628 土曜日はアートクラブのカジュアルなワイン会に参加。そしていつものことながら、1本持ちこませてもらったのがこのワイン。

大好きなフリウリのワインだが、ロゼは初めてかも?造り手は最高の評価を得ているヴィエ・ディ・ロマンス。名前は「チャントンス2005」。ここの赤と白は何度か飲んだことがあるけれども、ロゼも造っているとは知らなかった。

しかしここのロゼ、メルロー100%で作っているのがさすがのこだわり。色は濃く紅茶のようだ。タンニンもロゼながらしっかりしており、赤ワインに近い味わい。香りはバラ、オレンジピール、ダージリンの甘い香り、残糖分は少ないドライな果実味、そして重心の低い酸がうまくそれぞれの味わいを繋いでいた。

このマンションに行く途中のグローリアスはこのヴィエ・ディ・ロマンスのワインをほぼ全種そろえているんだとか。このワインのほかにもう一本マルヴァジアを購入したけど、店主さんいわく抜栓して3日たたないと本当の良さがでないんだそうだ。うーん、難しいワインだけど、開けるのが楽しみ。

【グローリアス 4,800円?】

2009年6月28日 (日)

暗いだけではない 蟹工船

090627_5 最近ブームらしく、映画公開も予定されている「蟹工船」。昭和初期の労働運動弾圧の中で警察に拘引、虐殺された作者、小林多喜二の名前とともに、その作品名を知っている人は少なくないはず。そして自分もそうだったが、そうした暗さを敬遠して今まで読むことがなかった。

読み始めると予想通りに陰鬱な雰囲気が漂う。生地からあぶれて流れてきて、この仕事をするしかなかった工夫たちが劣悪な環境の中で働かされる。そして働かされて戻ってきた船室の中で交わされる雑多、猥雑な言葉。

監督はそうした工夫を容赦なく労働へと駆り立てる。支配者然した彼もまた、船を雇う資本家にとっては労働者に過ぎないのだが、この船では彼は確かに支配者だった。しかしその地位が脆く、自分たちとさして違わないあることに気が付きはじめた工夫たちはやがて集団行動をとる事で彼らに抗する術を知っていく。仲間の死、それが何もなかった事のように扱われるのを目にして、その死もまたやがて自分のものになりかねない事に気づいた彼らはついに直接行動に出る。そしてストライキを起こした彼らだったが、監督が密かに通報した軍によって簡単に鎮圧されてしまう。

ここまでであれば単に労働者の悲惨を綴ったものにすぎなく、後世に残るものにはならなかっただろう。それでも諦めない工夫達、彼らの経験がやがて次代の力となっていくという理想、そして彼らを直接搾取していた監督たちもまた搾取されるだけに過ぎなかった存在であることが明らかになっていく。最後にはそうした希望が読み取れるところに、この小説が読み継がれてきた力があるのだと思う。

蟹工船

小林多喜二著

岩波書店刊

500円(税別)

2009年6月27日 (土)

初体験ペルーワイン

初体験ペルーワイン
堂島のペルー料理店、クスコで食事。ペルー料理も勿論初めてだか、ペルーワインも当然初めてだし初耳。

この品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとマルベック。ということは、アルゼンチンに近いということか。

味はどことなくカツオだしみたいな味がバックにあって、上品とは言い難いが、土の印象が強い素朴さを感じさせる。田舎味って感じかな?

料理は案外あっさり。でもボリュームあって、満腹になった。香辛料はもっと効いても個人的にはいいけどね。

King of POP、突然の死

090627_2 昨日はこのニュースに驚かされた。マイケル・ジャクソンが突然の心臓発作で50歳での早すぎる死を迎えた。洋楽に関しては80年代から入った自分にとっては、やはりそうした時代の一線を歩んできたスーパースターだけにショックだ。

マイケルの弦をピッツィカートで弾くような声が大好きだった。ああいう声を出してみたいと真似てみたりもした。あのムーンウォークも学校でやってみたりした、そうした時代が彼の画像とともに蘇ってくる。ただし、英語のヒアリングの材料には全く役に立たなかった。何を言っているのかはその当時殆ど聞き取れなかった苦い記憶も。

マイケルを思い出すとき、必ずMTVで流れたビデオの場面が同時に頭に浮かんでくる。映像とともに生きることを宿命づけられた彼の生涯は、そうしたイメージが歳を重ねるごとに保てなくなってきたころから破綻の色を濃くしていった。そして今50年で彼の生涯が突然終わったことを知り、その死に何か不自然ではあるが、ある種必然的なものも感じずにはいられない。

それでもやはり彼の音楽は好きだった。そんな彼の曲の中で自分が好きだったベスト5。今日は久々にベストアルバムから聞いてみたい。

 5. Off The Wall (from ”Off The Wall”)

 4. In The Closet (from ”Dangerous”)

 3. Smooth Criminal (from "BAD”)

 2. Thriller (from ”Thriller”)

 1. I Want You Back (from ”Diana Ross Presents the Jackson 5” )

2009年6月26日 (金)

川村さんちのやぎみるく

090627 こういうのがあるんですね~ヤギのミルクだそうで。いかりに売っていたので試しに買ってみた。

山羊のチーズ、シェーブルは好きなんだけど、やっぱ食べ慣れていない人には独特の乳っぽさ、臭みは難しいかも。さてミルクはどうなんだろうか?

あれ?飲んでみたら予想したような臭みは全然ない。むしろ牛乳の方が香りが強いように思う。甘味とコクもあり、言われないと牛乳と区別がつかないだろうな。乳脂肪分は若干牛乳より低いようだけど、そんな感じも受けない。

フツーに飲めますね。これでカフェオレを作ったらどうなるんだろうか?山羊っぽい香りが出てくるんだろうか、興味津津。

まさかの敗退、スペイン連勝ストップ 止めたのはUSA

090626 アメリカ代表が準決勝進出を決めた時点で嫌な予感はしていたんだけど。。。その予感は現実のものとなってしまった。

コンフェデレーションズカップ準決勝、Aグループ全勝1位のスペインとBグループを1勝2敗で通過したアメリカとの対戦は、0-2でアメリカがスペインを完封勝ちする波乱の結果となった。これでスペインの連勝記録は15でストップ、無敗記録の更新はならなかった。

攻めているのに点が取れないもどかしい状況が続く中で、相手のカウンター攻撃で隙をつかれて得点を失う。そこからもがくうちに後半またしても2点目を奪われて。。。チャンピオンズリーグの決勝戦のような展開になってしまった。

イタリアが来るよりもアメリカが来る方が不気味だった。ほとんど進出のチャンスがなかったアメリカだっただけにモチベーションは高い。守りも強いだけに、先取点を奪われればかなり厳しい戦いになることは予想できたけど、まさか負けるとは思わなかった。

これで決勝はブラジル対アメリカとなった。アメリカが最後まで旋風を巻き起こすだろうか、興味はその1点だ。

2009年6月25日 (木)

シャトー・プリウレ・リシーヌ1996 AOCマルゴー

090619もともとこのブログは飲んだワインの備忘録、ラベルリストを作る代わりに書いているのが発端。で、昔書いた記事を読み返してみて驚くのは飲み過ぎで「使い過ぎ!」と思うのはいたしかたないとしても、あまりのボルドーワインの少なさ。

ボルドーが嫌いなわけではないが、ボトルで買ってまでという意欲がわかないのも確かだ。エノテカに行けば結構なボルドーをグラスで味わうこともできる。

しかし、たまには1本くらい腰を落ち着けて飲んでみようかという事で、久々にマルゴーを。1996年のボルドー4級、シャトー・プリウリ・レシーヌ。

オーナーが変わるとワインが変わる。それはサッカーでも同じ事でやはり資本力は無視できない。このシャトーも1999年にオーナーが代わって以降、醸造家のデュルノンクールをコンサルタントに迎えてからの評判は高い。では、1996年のワインとは?

色は少し薄曇りで、しっとりとした湿り気のある暗いルビー色。エッジにはオレンジのニュアンスが現われて、熟成した雰囲気を持っている。香りはカシス、ココア、バニラ、革。全体にすっきした柔らかな香りを放つ。

口に含むと直線的で伸びのある若い果実系の酸が入ってくる。そしてその直後に粒子は細かいが全体的に少し角の残るタンニンを感じる。果実味は中程度で、当初予想したような凝縮した味わいは強く感じない。しかしなめらかさと品の良さ、そして後半へとつながる旨みの持続性を持っている。

余韻は最後まで息を切らさない酸と、思いのほか力のあったタンニンが下支えとなって、心地よい果実の甘みを程よく感じさせながらゆるやかに収束していく。

もう少しボリューム感があるのかと思っていたが、線は細めでなめらかなワインだった。昔、飲み始めの頃はこの味わいこそがワインそのもの、という理解だったが他の地方をさんざん経験した今となってはそんな昔には戻れない?しかしたまには戻ることも必要、と思わせてくれるボルドーらしいワインだった。

【Cave de Vin 6,000円?】

2009年6月24日 (水)

イメージとは違う世界へ 怖い絵3

090612 テレビ番組でも取り上げられて話題となった「怖い絵」シリーズの第3弾は、これが完結編となるようだ。著者にとってはまだまだ怖い絵の題材はあるのだろうけれど。

今回も表紙のような一見して不気味さ、恐ろしさが前面に出ている絵から、ゴヤが描いた虐殺の絵、ボッティチェリのヴィーナスなど幅広い題材が採られている。この本のいいところは難しい専門用語をほとんど用いることなく、易しい語り口で徐々にその絵画に潜む闇の世界を暴きだしていくところだと思う。

そして前回もそうだったが、今回も一番恐ろしかった絵は「かわいそうな先生」と題された、イギリス、ビクトリア朝の上流階級の家庭の一場面を描いたものだった。

室内の椅子に家庭教師の若い女性が腰掛け、ベランダではこの家の娘で生徒でもあろう2人の少女が戯れている。それを床に座って眺めている少女がもう一人いるが、彼女もこの家の娘かどうかはわからない。この絵のどこが怖いのか?最初はまったく理解できなかったが、読み進めていくうちに当時の上流階級の家に必ず登場した家庭教師が置かれていた社会的不遇と将来への絶望が徐々に明らかにされていく。それを知った後にこの絵を眺めば、最初は生徒を暖かく見守っていたような彼女のまなざしが全く違うものに見えてしまい、再び前のような無垢な感傷には戻れない恐ろしさを知ってしまうのだ。

名画に違った世界があることを教えてくれるシリーズもこれで終了だが、おそらくは著者はまた違った形で絵画鑑賞の楽しみを教えてくれる機会を与えてくれるはず。それもまた楽しみだ。

怖い絵3

中野京子 著

朝日出版社

1,800円(税別)

2009年6月23日 (火)

ミゲル・トーレス マス・ボラス ピノ・ノワール2006 DOペネデス

090531ピノ・ノワール、これほどワイン好きを惹きつけるブドウ品種は他にないように思う。ワイン好きなら誰しも一度はこのブドウの魔力に取りつかれて、特にブルゴーニュの赤にハマってしまう時期がある。

ブルゴーニュをある程度飲めば、その次にはロワール、アルザス、カリフォルニア、ニュージーランド、最近ではチリ、オレゴンといった世界のピノ・ノワールをも試したくなるはず。しかし、そうした国々にあっても、あのワイン大国ではこの品種の評判をほとんど聞かない。それこそがスペイン。ただ、比較的冷涼な気候で本領を発揮するピノ・ノワールにとっては、夏は暑く乾燥する気候は決して好ましいものではないかもしれない。

しかしやはりそれでも造る生産者はいるものだ。それもスペイン有数の大規模生産者、ミゲル・トーレスだからうなづける。

ペネデスはバルセロナの南西に広がる地域だが、その中でも高地で海抜500メートル以上のこのマス・ボラスという畑は気温も低くピノ・ノワールを栽培するに適した場所になるのだという。しかし条件も厳しく10haの畑からは年産2万本しか生産されない。初めて体験するスペインのピノだが、さて?

色は華やかさのある艶やかなルビー色。香りはカシスジャム、黒蜜、ゴム風船、粘土、スモークチップの香り。

口に含むと若さのある爽やかな酸味を感じ、そしてそこに溶け込んだきめの細かいタンニンがあり、それを支える果実味がある。暑い土地とは対照的な、冷涼な地域の酸が活きた果実の味を感じる。ボリューム感は大きくないものの、爽やかでさらりとした旨みが心地よい。

余韻は柔らかくきれいなベリーの甘さがふんわりと広がり、バランスのよい印象を最後まで保っていく。

もっと厚ぼったいワインになっているのかと思いきや、予想外に涼しげで繊細なワインだった。物凄いパワーを感じるというわけではないけど、気候と土地をうまくコントロールした生産者の努力、技をうまく活かしたワインだった。スペインのピノもなかなかやるもんだ。

【Cave de Vin 4,500円?】

2009年6月21日 (日)

泣きまくり、でも嫌いじゃない ROOKIES -卒業-

090621 年がいもなく見てしまった。。。でもやっぱり見たかった。結末はわかりつつ、やはりあの雰囲気をもう一度味わってみたかった。

このドラマ、毎回見ていた訳じゃない。正月の再放送で見て、その時にかなりはまってしまった。クサイといえば、これほどクサイ展開はない。負けてる試合でも最後は満塁ホームランで逆転してしまうのだから。でも何故か感動してしまったのだ。覚めた目で見る反面、実は自分はこういうのが結構好きなんだと改めて思った。

映画も期待にたがわず、思わず突っ込みたくなるような場面が満載だ。最後には涙のシーンがこれでもかとやってくる。でもそんな確信犯的な展開にいつのまにか引き込まれていた。いつの間にか手に汗を握って応援していた。やっぱり本音はこういうエネルギッシュなわかりやすいのが好きなんだろうな。

それでもこの映画に深みを持たせているものは、丁寧に表現されたキャラクターの個性なのだろう。だからこそ彼らのがむしゃらな姿に素直に感情移入できたし、観終わった後に満足感が残ったんだと思っている。完結版としてもさいごまでやってくれた、そんな気分だった。

世界最強だ!スペイン、無敵の金字塔

090621villa 昔からスペイン代表チームの事を無敵艦隊と呼んでいたが、それは実は無敵ではない皮肉を込めたものだった。しかし、今の代表を呼ぶのにこれほどふさわしい形容詞はないし、そう呼ぶことに躊躇するはずもない。

コンフェデレーションカップ、スペイン代表はホームの南アフリカを2-0で沈めて、これで代表としての連勝記録を15とし、世界最高記録を樹立した。同時にAマッチでの不敗記録は35に伸ばして、ブラジルの持っていた最長記録に並んだ。

スペインはAグループ1位通過が決定したので、準決勝はBグループ2位との対決となる。Bグループはイタリアがエジプトに敗れて思わぬ苦戦、1勝1敗となり最終戦は既に2勝しているブラジルとの対決になる。

この南アフリカ戦でも先取点を挙げて突破口を開いたのは、ダビド・ビジャだった。今、世界で最高の決定力を発揮する2トップ、ビジャとフェルナンド・トーレスが日替わりで結果を出しているのだから、勝てないわけがない。

そしてこの試合で2点目を挙げたのはもう一人のフェルナンド・トーレスだった。フェルナン・ジョレンテ・トーレス、アトレティコ・ビルバオのFWはまだ24歳だが、身長1m93、体重88kgの体格を生かした空中戦が持ち味。昨年初めて代表に招集され、今年初得点を挙げたジョレンテが結果を出したのも今後の代表にとっては収穫だろう。

無敗記録更新がかかる準決勝の相手は、イタリアかエジプトか?たとえどちらにしろ、今のスペイン代表には死角はなさそうだ。

2009年6月20日 (土)

最高の女優の良質な演技 愛を読むひと

090620_2 日本でもベストセラーとなった「朗読者」の映画がようやく日本で公開された。2月にはケイト・ウィンスレットが6回目のノミネーションで遂にアカデミー賞主演女優賞を獲得したことでも話題となったが、遅すぎるくらいのタイミングだ。

公開初日は平日の昼間だったが結構なお客さんが来られていた。それもかなり年配の方が多かった。そんな中で、15歳を過ぎた少年と、ウィンスレット演じるドイツ人女性との情事が連続していく。

あらすじはさておいて、この映画でもケイト・ウィンスレットの演技は素晴らしかった。15歳の少年と肌を重ねるシーンが連続するこの映画が拒否感を受けずに品位を保てたのは彼女の抑制の利いた演技の賜物に違いない。彼女の最上最高の演技ではないかもしれないが、この映画に理解をもたらしたのは、やはり彼女の眼の演技、媚びるでもなくさりとて理解しようとする者全てを拒絶するでもない、自然な視線の運びが為せる業なのだろう。

一見リアリティがないものを現実にみせることのできる演技力、ケイト・ウィンスレットは確かにそれを持っているし、だからこそ批判も多かったこの映画が何故か抗いがたい魅力と人の関心を引き付けずにはおけない何かを発し続けているように思う。

2009年6月19日 (金)

サッカー尽くし BABBIBABBI サッカーとワインを語る会

090619_2ちよっと間があいちゃったけど、先週の土曜日はなかなかハードな1日だった。それもほとんどサッカー絡み。。。

午前中は昼からのウォーミングアップを兼ねたジョギング。いつもの通り淀川の河川敷をゆっくりと流していく。いつもは1時間以上はかけていくんだけど、あまりやると昼がつらくのなるのでそこそこで終了。

そして4時からは最初は昼から屋内フットサル場で5チーム対抗戦。いつもはコートの予約は2時間だけど、この日はチーム数が多いこともあって3時間。人数もそこそこ集まって、いつもより休憩時間は多かったがやはり時間とともに疲労がたまってきて最後はバテバテで終了。

090619_3その後はおなじみ、南心斎橋のイタリアン、BABBIBABBIのイベントに向う。今回はチャンピオンズリーグの優勝予想をした人限定参加のイベント。

御存じの通り優勝はバルセロナだったが、自分の予想は勿論アーセナル。そりゃ、これしか選択の余地なしなんだが、マンチェスター・ユナイテッドにしようか、と心の中の悪魔も囁いたのは事実。。。結局バルサが優勝してくれたので、恰好がついた。アーセナルにとっては残念な結果に終わったけど、決勝戦であれだけ素晴らしい攻撃を見せてくれたチームが一番優勝するのにふさわしいのは間違いない。

0906193この日はワインも相当あいたんだけど、殆ど味について語る場面はなかったような。。。最初のカヴァ、スペインの白アバダル、チリのシラー、グルナッシュやらまでは覚えているんだけど、だんだんあやふや状態に。。。飲んだ種類はBABBIBABBI店長のブログを見てもらいましょう。

http://blogs.yahoo.co.jp/babbibabbi2007/27721596.html

ワインを飲みながらサッカーを語っていくが、やはり知っている人の知識って半端じゃない。自分は見る方に興味を持ち始めたのは3、4年前なので全く太刀打ちできなかった。そんな中集まった人たちの投票で最強チームを決めることに。結局こんな感じになった。

                ルーニー    イブラヒモビッチ

       ジダン                              C・ロナウド

                   遠藤        ジェラード   

  ロベルト・カルロス    ファーディナンド   カンナバーロ  セルヒオ・ラモス

                      ブッフォン 

そして最後はいつもの通り1本だけ自分のオマケワインという事で持ち込ませてもらった。今回は味よりも、ヨーロッパチャンピオンにふさわしいワインという事でセレクトした。

090619_4 ブルゴーニュ、コート・ド・ボーヌの北、ペルナン・ヴェルジュレス村の白ワイン特級畑、コルトン・シャルルマーニュ。この地にわずか0.2haの畑を持つラルール・ピオ社の2000年ヴィンテージのワインだった。

もちろん、シャルルマーニュとはかつてのフランク王国国王、800年にローマで戴冠したカール(シャルルマーニュ)大帝のこと。彼がこの地に畑を持ち、この地の赤ワインを愛したが、或る時自慢のひげがワインにつかり染まってしまったため、それ以来赤ブドウから白ブドウに植え替えさせられたというエピソードが残っている、伝説もあるワイン。ヨーロッパの覇者となった勝者に一番ふさわしいワインだと思った。

香りはとても繊細でシェリー香が漂い、口に含むと焦がしたような芳香とともに、少し間を置いてまろやかな酸と滋味のある旨みがゆっくりとしたペースで広角に広がってきた。大帝のワインとしては力強さが満ちているというわけではないが、戦いの合間に体を休める心地を演出するには、この自然な浸透力が逆にふさわしいように思えた。

こうして飲みきった後は、二次会で信濃橋のウルトラカフェに行ったらしいがここらあたりでもう記憶が飛びはじめ、このあとのピンコ・パリーノに至っては何を飲んだかさえ記憶がなかった。こうして終電5時まで続いた宴はなんとか終了。次に目が覚めた時には自宅のベッドで寝ていたのは奇跡?

2009年6月18日 (木)

モンティノーレ・エステート パーソンズ・リッジ ピノノワール2006 ウィラメッテ・ヴァレー(オレゴン)

090606_2 最近マイ・ブームは再びピノ・ノワール。気温も上がってきて、ピノを味わうにはちょうどいい季節と勝手に思っているんだけど?

ピノ・ノワールの素敵さはどんな場所でも失う事のない透徹した酸にあると思っている。だからこの酸が与えてくれる景色が失われれば、自分としてはどんなに重厚なものでも魅力的には思えない。

アメリカでもそうした特性を備えてくれているのはやはり北の産地なのかもしれない。オレゴン州、そこはピノ・ノワールに適した土地として、ブルゴーニュのメジャーなネゴシアン、ドルーアンもこの地でワインを造っている。このワイナリーはそんなオレゴン州でビオディナミ農法による生産を行っているが、さて?

口にして最初に意表を突くのは塩っぽさの印象。その直後に鋭角の引き締まった酸が現れれて、きれいに伸びあがってくる。甘さも十分感じられるが、抑制が効いていて若い酸の包容力にきちり収まる範囲で広がってくる。タンニンは細かく繊細で最初は控え目だったが、徐々に力を得て太く全体を下支えしてくる。

余韻は程よい甘みがふくよかに広がり、力を得たタンニンが最後まで豊かな包容力を発揮しながら全体の味わいを引き締めつつ収束していく。

果実味も豊かだが、なによりこの冷静で筋の通った酸が味わいにゆるぎなさを与えて、キャラクターの深みを演出している。ブルゴーニュ以外でこれだけ語らせてくれる、また酔わせてくれるワインを産み出してくれる場所は他にないんじゃないだろうか。正直そう思わせてくれるワインだった。Good Quality!

【Cave d'Orange 4,000円?】

2009年6月17日 (水)

交錯する物語 1Q84

090617q84 ようやく村上春樹氏の新刊を読み終えた。既に1、2巻合わせて100万部を突破したとか。そうだろうな、普段小説を読まない自分みたいなのも買ってるんだから。。。

1984年ころを舞台背景とした小説だが、内容は決して現実的なものではなかった。2人の主要な人物を中心とした物語が交互に語られていき、やがてそれらが交錯し始めて組み紐のように一つの物語へと組み立てられていく構成のうまさに、後半は読むスピードも加速していった。

前半は正直乗り切れなかったが、後半2巻目はあっという間に読み上げてしまった。サスペンス小説などでは結末が知りたくて文体を味わう時間も惜しんですっ飛ばして読んでしまうことはあるが、そうした状況に陥ってしまった。もっと一言一言を味わって読むべきものかもしれない。そうすればあちこちに散りばめられたもの、言葉、ヒントといったものを感じ取ることができたはずなのに。

そういう意味で読み終えた瞬間、自分で消化できないものが数多く残った小説だった。これは完結した作品なのだろうか、前半に提示された主題的なキーワード、登場人物に意味が与えられたのだろうか。高速で引っ張られ連れまわされ続けて、ある瞬間ふと見知らぬ空間に置き去りにされてしまったような気分に陥ってしまった。

4月から始まったこの小説の世界は9月で幕を閉じる。残された10月から12月に語られるものがあるのかどうかも含めて、もうしばらくこの本とは向き合う時間が必要なようだ。

1Q84<ichi-kew-hachi-yon> 

村上春樹著

新潮社刊

Book1<4月-6月> Book2<7月-9月> 共1,800円(税別)

2009年6月16日 (火)

味の濃い野菜料理をワインで ベジキッチンやまつじ

090616 週末に飲み過ぎて、胃腸もかなりグロッキー状態だったがようやく癒えてきたので、あまり負担にならない料理を楽しみたいと思い、京阪中の島線を利用して北浜のこのお店に。

八百屋さん直営のカフェバールということで、30種類の野菜をメインにした料理を提供してくれる。もちろん併設した売り場では野菜や自然食品の数々を直売していて、野菜は勿論、お惣菜類も持ち帰りも可能だ。

この日は旬菜の蒸し焼きとパスタから1品ずつ選んだ。蒸し焼きはしめじ、アスパラ、加賀きゅうり、とうもろこしなどが入り、それぞれの野菜を一品一品説明してくれる。蒸し焼きなので甘みも濃く、味もさっぱり。

合わせたワインはシチリアの白とソアーヴェ。どちらもミネラル分が濃く、酸がしっかり感じられるワインで野菜の繊細な甘味をうまくキャッチし、かつほのかな苦みを少しアクセントとして浮かび上がらせてくれる。この日はグラスワインも赤白泡あわせて10種用意されており、普通に楽しむには十分だ。価格も安めなのがうれしい。

090616_2冷製のパスタも、ボリュームがあってカボチャ、ゴーヤなどの野菜がふんだんに入っていて、トマトソースも味が濃く、最初甘いのかと思ったら後で辛みが結構効いてきた。

この日はグラスワイン2杯(700円+500円)と2皿(700円+1,000円)で3,000円を切る程度で収まった。一品の価格は抑えられているが、ボリュームもそこそこあり、気軽に楽しむには申し分ない。この日もあまり大きくないスペースは6時半を超えた時点でほぼ満席状態となっていた。

味の濃い野菜とミネラル分の多いワインを気軽に楽しむことのできるスペース、昼もやっているので次回はランチがてら昼酒タイムで利用したい。

ベジキッチン やまつじ

大阪市中央区道修町1-2-11 アルテビル道修町1F

06-6201-5550

10:00~22:00(21:00 LO)

日曜・祝日休

2009年6月15日 (月)

今度はトーレスだ!無敵スペイン、5-0でまたも快勝

090615torres スペイン強し、恐るべし。。。

今のスペイン代表に敵はいないかのようだ。南アフリカ、ヨハネスブルクで始まったコンフェデレーション・カップは各大陸のチャンピオン8チームが集まって4年に1度、ワールドカップの前年に翌年の本大会開催地で行われることになった。

今季はグループAはスペイン、南アフリカ、イラク、ニュージーランドグループBはイタリア、ブラジル、アメリカ、エジプトによるリーグ戦が行われ、上位2チームが準決勝に進む。このメンバーならグループAはスペイン、南アフリカ、グループBはブラジル、イタリアが有力だろうか。

そしてスペイン代表初戦はニュージーランドとの試合となり、前半わずか17分の間でフェルナンド・トーレスがハットトリックを達成し、試合を決めてしまった。今や決定力ではナンバー・ワンFWと言ってしまって過言じゃない。そしてもう1人のFW、ダビド・ビジャもこの試合5点目となるゴールを決めて、今大会でもトーレス-ビジャの2トップが機能しているようだ。

セスクもアゼルバイジャンでの頭部への負傷が心配されたが、この試合は中盤の右サイドで先発出場し、前半23分にスペインに4点目を追加するゴールを挙げた。その後もフル出場し、どうやら負傷の影響は殆どないようで安心だ。

次は17日のイラク戦。このまま行けばグループAの突破は間違いないだろうが、無敗で突破すればブラジルが記録した国際Aマッチでの最長連続無敗記録、35試合に並ぶことになる。そしてその記録を破るのは24日の準決勝、もしかしたらブラジル戦になるかもしれない。そんな期待が膨らむ順調な「スペイン無敵艦隊」発進となったようだ。

リヴィオ・ニコリーニ ネグラ・ピッコラ2004 ヴィノ・ダ・ターヴォラ

090528 ジャンシス・ロビンソンという人がいる。彼女の著作は理論的で正確な情報源であり、文庫本で出版された「世界一ブリリアントなワイン講座」は最高のガイドブックだと思っている。

その彼女の著作の中でもブドウ品種について書かれた「Vines, Grapes&Wines」は詳しさ、世界の品種を網羅した内容の豊富さで、未だにこれ以上の書籍を知らない。日本語訳がないのが残念だが、この本のおかげでメジャー以外の品種の面白さを知ったと思っている。

そんな本にも書かれていない品種もあるもので、このワインのピッコラネグラ種もそうした超マイナー品種のようだ。フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州でもスロヴェニア国境に位置するワイナリーの地名はカルソ、そして秋吉台カルストから連想されるように石灰質の土壌から生み出されるワインはミネラル分が豊富になるという。

色は少し濁りのあるロゼを若干濃くしたような、というよりロゼに近い明るいイチゴジュースのような色。グラスに注いだ瞬間強い発泡があるが、その後は泡もなくなり外観上はスティルワインと変わらなくなる。

口に含むと舌先に強いガス感を感じる。その後イチゴのような甘酸っぱさが広がり、その後軽いタンニンの収斂感が口の中を引き締める。味わいは若くまだ熟しが足りないベリーの果実味で、複雑味はないが軽快で活きのよさを感じさせる。口に含むと感じる粘土のような香りが鼻に残るところが好みを分けるかもしれない。

余韻は細く伸びやかな酸が戻ってきて、口の中に木イチゴの食後感のようなさわやさかをふわっと残しつつ引いていく。

個性的な味わいという程のインパクトはあまり感じないが、若いブドウをそのまま詰め込んでワインにしたような野性味、自然さを十分感じることができる。すなおにブドウをお酒にしたようなワイン、そんな表現が一番当てはまりそうだ。ただ、価格を考えると選ぶには難しいワインではあるかな?

【Wine&Food MARUYAMA 4,980円】

2009年6月14日 (日)

ファブレガスはガナーズとともにタイトル奪取を!

090612cesc 移籍市場が急に慌ただしくなってきた。それも1チームの動向によって。

レアル・マドリードの「銀河系回帰作戦」によって、ミランのカカ、そしてついにマンUのC・ロナウドの移籍が決まった。特にミランはカカの穴をどう埋めてくるのだろうか?ミランはアデバヨールにも関心を示してきただけに、かなり心配。

で、かねてからレアルからのコンタクトも否定しなかったセスクだが当面はアーセナル残留の気持ちは変わってないようだ(と信じたい...)。

「もちろん、僕の将来はアーセナルとともにある。クラブとは長期の契約を結んでいるしね。最後まで全うする気持ちがなきゃ、そんな契約を結ぶ訳ないだろ?」

「ヴェンゲル監督は僕の言いたい事をちゃんと理解してくれているよ。誰だって他人が自分に関して言う事を止めることはできない。新聞記者たちは好きなことをなんだって書けるし、言えるものなんだ。僕はどのチームとも関係を一切持っていない。18歳の頃から彼らは僕が他のチームと接触しているような事を言い続けてきたよね。でも僕は今こうしてアーセナルにいるだろ?」

「僕は今感じていることを言いたいだけさ。それはこのアーセナルで長くプレイしたいという事、このチームでまだ獲得していないチャンピオンズ・リーグトロフィーを手にしたいという事なんだよ。プレミアやFAカップのトロフィーを獲得するためにもね。」

「今はそれが楽しみなんだ。だってこのチームの未来が明るいことを確信しているからね。」

カカの例もあるから楽観はできないけど、今はセスクが語る未来を信じたいし、そのためにはアーセナルの今の主力は絶対に抜けてほしくない。しかし荒れ模様の今季の移籍市場、しばらくは落ちつかない状況が続きそうな気配だ。。。

2009年6月13日 (土)

アレクサンドル・バン プイィ・フュメ2007 A0Cプイィ・フュメ

090612_2 夏、暑い夏。暑いのが実は大嫌いな自分としてはほんとうに憂鬱な季節が徐々に近づいてくる。でもそういう暑い季節に、思いっきり運動で汗を流すのも嫌いじゃない。なんか複雑?

暑くなるとやっぱすっきりした味わいが恋しくなる。それはワインも同じ。自然と青さの残るソーヴィニヨン・ブランの選択も増えてくる。

フランスでソーヴィニヨン・ブランを栽培している地域といえばまずロワール。その双璧がサンセールとプイィ・フュメだが、この両者だと高級なプイィ・フュメの方が若干知名度が低いかもしれない。パリの安いレストランなんかであれば、サンセールは置いてあってもフュメはない、ってところが結構あった。フュメの方が少し高め、ってこともあるんだろうけど、サンセールの方が気さくで親しみやすいというイメージがあるようだ。プイィ・フュメってなんか発音も難しいしね。

このアレクサンドル・バン、2007年が初ヴィンテージというホヤホヤの生産者。ティエリ・ピュズラも一目置いて、ブドウを買い付けるとのことだが、さて?

色は黄色の強い力強さ、太さを感じさせる麦藁色。少し薄く曇ったような印象を受ける。グラスの周りには少し泡が付いて、ガスを含んでいるようだ。香りはまず入ってくるのがマンゴー、ライチといった熱帯系の果物、その裏にはソーヴィニヨン・ブランらしい青い香り、青ネギ、ライムの香りも感じられる。

口に含むと一瞬面食らうのがソーヴィニヨン・ブランというよりもアルザスのゲヴュルツに近い香りと味わい。ただゲヴュルツにあるほろ苦い感覚はないのは品種のキャラクターだろうか。しかし、ボリュームのあるトロピカルな果実味、程よい甘さは他のフュメとはかなり異質。ガスは思ったほど強くなく、酸もまろやか。

そうしたトロピカルな味わいがいったん収まると、やはり清涼なハーブの香りがしっかりと感じられる。最初は強く感じた甘味だが、実は中盤に入ると綺麗な旨みに転換し、しつこさを全く残さない。これがニューワールドの肉厚なソーヴィニヨン・ブランとは決定的に違う点だ。

余韻も甘さの切れがよく、涼しい酸が覆うように戻ってきて口の中をさわやかに引き締める。

いわゆるオーソドックスなフュメとは違う、とてもフルーティで暖かさを感じるワインだ。しかしそのバックにはきっちりフュメらしい個性も感じられる、これは新たなフュメの可能性を感じさせるに足るワインだと思う。1瓶で2度美味しい、技ありワインのこれからの動向には注目しよう。Good JOB!

【創酒タカムラ 3,000円?】

悲しいか? チャイコフスキー交響曲第6番 悲愴

090612 クラシックが嫌いな人でも一度は聞いたことがある名前のはず。ロシアの作曲家チャイコフスキー。彼が作曲した交響曲の中でももっとも有名と思われるのが第6番、副題「悲愴」。

有名な割には何故か評価の低いチャイコフスキー。批評家にとってはこの種の劇的な音楽ってのはあまり評価できないようだ。ベートーベンでもとびきり楽しい第7、のだめで有名になったあの曲も、第5「運命」、第6「田園」、第9などと比べると一段低く見られている感じは否めない。聞いてみると、強弱のメリハリ、聞いていても少々恥ずかしくなるくらいに甘く流れるような弦楽の響きを効かせる場面があったと思えば、急に管楽器を力強く鳴らすような所もあったりで、こうしたわかりやすさみたいな所が評論家さんの嫌うところなのかもしれない。

そんな評価はさておきこの「悲愴」、題名から感じられる悲しい、暗い曲と思って聞くと、実はそうでもない。確かにそうした一面もあるが、ただ苦しさ、苦悩といったものだけではなく、未来への希望を失わない明るさを感じる場面も多い。

この曲がかつて最高の場面で使われた映画があった。それは松本零士氏の「さよなら銀河鉄道999」で、メーテルが生まれ故郷のラーメタル星に残り、地球に向かう星野鉄郎と永遠の別れをする場面でこの交響曲の第一楽章の主題が効果的に使われていた。愛する人との離別、それがこれから続いていく未来に向かう旅立ちでもあると納得する主人公の心情にうまく合致していたからこそ、このシーンは今まで記憶に深く刻まれたのだろう。

今でも日本人が好きな交響曲の中で上位に入るこの曲、それは単に悲しみだけではなく、悲しみの後にこそ見出される希望が表現されているからに違いない。だからこそ何度も聴いてみたくなるのだと思う。

チャイコフスキー 交響曲第6番 「悲愴」

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮 レニングラード交響楽団演奏 

2009年6月12日 (金)

スペイン強し!でもセスクは頭部を負傷。。。

090610cesc代表選はスペインばかりに興味があるように見えるけど、日本代表選も見てます。早々と南アフリカでのワールドカップ参戦を決めたのは本当に嬉しい限り。それにしても長谷部選手はドイツに行ってタフになったなぁ~。オーストラリア戦は出場停止で残念。

で、我らが(?)スペイン代表はアゼルバイジャン共和国の首都バクー(昔、地理の授業で油田の街として習った記憶が)での親善試合に臨み、結果はダビド・ビジャのハットトリックを含めて6-0の圧勝となった。国際Aマッチでは2007年2月以来32試合無敗記録を更新し、ブラジルが記録した最長記録35が見えて、世界ランキング1位のチーム力はまさに絶頂の極みといった感じだ。

しかしこの試合、セスクは前半戦で頭部を負傷するアクシデントに見舞われて、ネットをかぶっての痛々しい姿に。このネット、子供の頃自分も滑り台の鉄骨に座っていたらバランスを崩してコンクリート基礎に頭をぶつけて3針縫うケガを負った時にしばらくかぶらされた。やっぱりセスクでもこのネットはカッコよくないな。

彼の場合も7針を縫うケガだったようだ。

「ぶつかった瞬間、血を見た時は怖かったけど、縫合の後は出場する事ができたよ。」

しかし後半戦は大事を取って途中交代となったファブレガス。ワールドカップに向けたヨーロッパ予選はバカンス終了後の9月からのようだし、それまではケガは勿論無理のないようにやってもらいたい。

2009年6月10日 (水)

ブシャール・ペール・エ・フィス サヴィニ・レ・ボーヌ レ・ナルバントン2002 AOCサヴィニ・レ・ボーヌ ブルミエ・クリュ

090606 ブルゴーニュには小さなワイン生産者がひしめいてる。彼らの名前をすべて記憶にとどめるのは普通のワイン好きには不可能なほどだ。そしてそれらのワインは数も少なく高価格であることが多い。

そうした小さな生産者と対極的な地位にあるのは、ネゴシアン。ブルゴーニュで農家からワインを買い付けて売っている仲買人だが、今では自社畑も持ち決して仲介者だけの役割を果たしているわけではない。

こうしたこともあって、昨今のブルゴーニュにあってネゴシアンものは一段低い目で見られているような気がする。しかし価格と品質面で考えれば、一定のポリシーでワインを管理している彼らのワインはばらつきもなくリスクも少ない。では実際の味は?

色はくすみの少ない艶やかで柔らかい質感のある暗めのルビー色。香りはカシス、干しいちじく、黒糖、紅茶、ボリューム的には若干控え目の香り。

アタックは柔らかいが、徐々に若いブドウの果実味がゆっくりと角度を広げつつ正面に現れてくる。タンニンは繊細で細かい。細かいが伸びのある息の長い酸がベースにしっかり感じられる。膨らみのある味わいとは思わないが、一定の幅の中に細かな味わいの要素が妻ているような印象を受ける。

余韻は最初から一貫して下支えする繊細な酸が最後まで息切れせずに、品の良いブドウの甘さをたたえながら心地よい旨みを感じさせつつ引いていく。

複雑さ、ボリューム感には乏しいかもしれないが、全体のバランスと質感は高いレベルにある。2002年というブルゴーニュ当たり年にありつつ、繊細さを失うことがない品質が保持できるのはさすがブルゴーニュワインを知悉したネゴシアンのなせる業だろう。このヴィンテージ、このレベルを感じさせてくれるネゴシアンのワイン、もっと見直されるべきじゃないだろうか。

【Cave d'Orange 4,500円?】

2009年6月 9日 (火)

第2次大戦の足音を聞いたワイン ブルゴーニュ古酒のワイン会

090608 やっぱかなわないな、ブルゴーニュ好きの人には。。。自分はピノ・ノワール大好きだし、ブルゴーニュのワインも大好物?なのだが、自分からはブルゴーニュをテーマにしたワイン会は企画しない。というかできない。ブル好きの知識の深さには全く太刀打ちできないから。。。

この日は珍しいブルゴーニュが手に入りました、とのお誘いを受けて出かけたワイン会。目玉はなんと1937年ヴィンテージの今では存在しないドメーヌのワイン。そしてそれから10年遅れた1947年のワインとともに古酒を楽しむという凄いラインナップの会だ。1937年といえば第2次世界大戦が勃発する2年前、ヨーロッパに戦争の危機が迫りつつあった時代のワインだ。長い時を経て今ここにあるこのワインは一体どのような歴史を辿ってきたのが知る由もないが、薄汚れたラベルにはそうした時間の重みを感じさせる。

シャンパーニュで乾杯の後、090608_2 この日はまずメインとも言える2つの古酒から味わうことに。

①ジョセ・ミシェル ブリュット・スペシャル・クラブ2000

②ドメーヌ・グリヴレ シャンボール・ミュジニィ 1erクリュ ヴィーニュ・ド・シャトー1937

③リジェ・ベレール ボーヌ クロ・デュ・ロワ 1947

1937年の方は、色は濃いルビー色で思ったよりも熟成感のあるオレンジのニュアンスは少なく、とても70年前のワインとは思えない。しかし焦げた醤油、椎茸、腐葉土のような重めの香りはやはり時間を感じさせる。最初は酸が強くボディも弱めでやはりピークは過ぎているのか、と思ってしまったが時間とともにスケール感が出てきて、厚みも増してきた。しかし、会が終わる頃には再び序盤の軽めの味わいに戻っていた。おじいさんが魔法をかけられて束の間の若さを取り戻し、やがてその魔法が切れて現実に戻った、そんな印象だった。

090608_3 1947年の方は、香りが埃っぽさでかなり抵抗感はあったが、時間とともにそれも収まった。しかし味の方は酸に比べてボディの弱さは如何ともしがたく、やはりピークはすでに去っているようだった。そして時間をおいても味わいに変化は訪れなかった。

これらの古酒のコルク、時間とともに硬化してボロボロになっていた。結局抜くことができずにボトルの中に落ちてしまったようだったが、このコルクの屑もまた時間の証人のように思えてなんだか愛おしかった。

この後も古いブルゴーニュの銘酒、グランヴァン、特級畑のワインを堪能させてもらった。

④ミシェル・グイヤール ジュヴレ・シャンベルタン1993

⑤マルトレィ コルトン・シャルルマーニュ1997

⑥モーム シャルム・シャンベルタン1986

⑦モワヌ・ユドロ ボンヌ・マール1987

⑧クロ・デュ・ボワ カベルネ・ソーヴィニヨン プロプリエターズ・レゼルヴ 1978

村名ワインだけど、1993年のジュヴレはまだまだ長熟が期待できる若さ、果実味を保っていた。コルトン・シャルルマーニュは最初は薄っぺらい感じがして肩透かしを食らったが、時間とともに実力を発揮、ミネラル感、シェリーのような厚みがどんどん出てきた。最後のカリフォルニアはブラインドだったが、酸の細さと繊細な味わいに惑わされて全然的外れの答えをしてしまった。

こうして振り返ってみると凄いラインナップだ。こんなのは自分ではとても思いつかない世界だ。いやはや、ブルゴーニュの奥深さを体験させてもらった記憶に残る夜だった。

2009年6月 8日 (月)

サン・ジュゼッペ ロッソ・ディ・ステラ2005 IGT

090521_2 イタリアワインが好きなわりに、偏っていて「トスカーナは嫌いなんですか?」と聞かれることもあるけど、嫌いじゃない。でも、いいのは高すぎるし、他の地域の変なワイン探す方が性に合っている感じはしている。

それでも、やはりトスカーナのワインは素晴らしいと思っている。そしてこの造り手も好きな一人だ。サン・ジュゼッペ、オーナーは女性でステッラ・ディ・カンパールト女史。以前ここのロッソ・ディ・モンタルチーノを飲んでからファンになった。

このワインはなんとセパージュが明らかでない。フランス品種をつかっているらしく、メルローが25%使われているということだが、他は秘密だそうだ。ブドウの栽培はビオロジック、オーク樽で31カ月の長期熟成の後で、6ヶ月の瓶熟の後に出荷される。

色は濃く深みのあるルビー色で、周縁部まで稠密に色素が入っている。まだ褐色の熟成を感じさせる色合いは感じられない。凝縮感はあるが、まだそれほど年を経ていないという感覚。香りは巨峰、カシスジャム、ゴム風船、黒コショウ、ローズマリーとった熟れた果実とハーブの香りが交錯する。

口に含むと若く新鮮な果実の酸。そこに詰まっている果実味が豊かで、タンニンも細かだがボリューム感がある。詰まった感じで、甘さを感じるが充実したタンニンがその甘みを引き締めるような感じ。まだ硬さもあるが、ボリューム豊かな味わいはその硬さを圧倒するように口の中に広がり、中盤にビターチョコのような甘さの感覚を残す。

余韻も若干収斂感のあるタンニンはあるが、そこに覆いかぶさるように広がる熟したブドウの甘さが程よく相まって、長いコクのある旨みを残しつつ引いていく。

複雑さよりもストレートに果実のボリューム感を感じさせる。まだ少しほぐれない所は感じるが、それは若さゆえのことだろう。これが時を経て角が取れて、さらに熟成を経たならばどのようなワインになるんだろうか?長期熟成のポテンシャルを十二分に感じさせてくれたワイン。しかし残念ながら自分はそこまでの忍耐力はないな。。。

【酒喜屋 4,880円】

2009年6月 7日 (日)

流行りだけど、やっぱりロールケーキ

090606 仕事場からの帰り道に例の「堂島ロール」を売っている店があるけど、いつも大行列。ロールケーキは好きだけど、さすがに行列してまで買うほど辛抱強くないし、並んで人に見つかった時が恥ずかしい。

で、やはり帰り道なんだけど阪急梅田駅の2階改札を入ったところに新しいコーナーができていた。スイーツの店が4軒ほど入っていて、今後いろんな店が期間限定で出店していくんだとか。そう言えば京阪のどこかの駅でも同じようなコーナーが人気だという話を聞いたことがあるので、それを真似したのかな?

この日は京都嵐山のARINKOという店が出店していて、バニラ、抹茶などいろんなロールケーキを売っていたが、ここはオーソドックスなバニラロールケーキをチョイス。

1個850円、普通のロールケーキの半分の大きさなので少し割高かもしれないが、2日で食べる分量からすれば丁度いい大きさ。卵の黄身を使っていないクリームという事で、スポンジも含めて真っ白なロールケーキ。

生クリームは確かにしつこさなくふわっとしていて、とても食べやすい。なかなかおいしいロールケーキだった。帰り道の楽しみが少し増えたかな?

2009年6月 6日 (土)

クロアット クラス ソーヴィニヨン・ブラン2005 DOCフリウリ・グラーヴェ

0905220 以前に北イタリアの土着品種ワインと料理のマリアージュを探る会、なんてのを実現した後、調子に乗って次は何?と考えた時にまず頭に浮かんできたのはフリウリのワインをメインにしたワイン会。

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州はオーストリアとスロヴェニアに国境を囲まれていて、歴史的にもオーストリア領だったからイタリアでも異質の地と言われる。だからこそ土着品種だけでなく、国際品種でもあるカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどが多く栽培されていて、土地の気候環境の影響を受けて他にはない個性を得ている。

このワインは当地の第一人者、ミアーニのエンツォ・ポントーニ氏が始めた新プロジェクト。氏が栽培、醸造を一手に行いつつもリーズナブルな価格を維持している。しかし収穫量も少なく、彼の人気も高いことから手に入れることはなかなか難しい。

色は強く緑がかった落ち着きのある黄金色。香りは青草、ライム、ミント、ポワロねぎといった青さを感じさせる香りが強い。

口に含むと張りのある直線的な酸、そこにハーブの青い香りが協力に結びついている。口の中に広がる清々しい芝の上に寝転がった時に感じたような香り。味わいは太さよりも、鮮烈でさわやかな青い柑橘系の味わいが主体。香りからの想像に近い味わいが広がる。

余韻も爽やかな酸と青い香りが口をリフレッシュしつつ、さわやかさを残しながら引いていく。

温暖化の影響なのかは分からないが、最近フランス、ロワールでも青いハーブの香り、昔の個性が失われつつらるように感じる。しかしそうした特性を未だに保っているのはさすが、フリウリたるゆえんだろうか?やはりフリウリのワインは奥が深い。。。

【? 4,200円?】

2009年6月 5日 (金)

Any Love by Luther Vandross

090604 アメリカの音楽チャートはカテゴリーがものすごく多様で、未だにどういう基準で集計しているのか分からない。

その代表格はブラック・チャート、いわゆるアフリカン・アメリカンの間で聞かれる曲を中心に集めたもの。そしてかつてそのブラックチャートを席巻していたアーティストがいた。

ルーサー・ヴァンドロス。80年代のR&B、ブラック・コンテンポラリーを代表する歌手としてブラックチャートのアルバムチャートでは発売する毎に第1位を獲得、グラミー賞も獲得していた。しかしあまりに甘い声、甘いメロウな曲は媚びるようで昔は大嫌いだった。でも時を経て、今その世界も許容できるようになった。というか、懐かしい思いさえする。やはり自分が年をとったということなのだろうか。ようやく彼の世界に自分が追いついたということなのだろうか。しかし彼はすでに世にない。2005年に56歳の若さで世を去った。

彼のナンバーの中でも特に甘い、本当に甘過ぎる曲、「Any Love」。しかし彼の艶過ぎる声がこの曲には憎いほど合っている。今宵は照明を落として、この曲の世界に浸りながらグラスのワインを傾けてみるか。

2009年6月 4日 (木)

日本のワインも試したい Cave d'Orange試飲会

仕事の後はフィットネスジムで2時間ほど汗を流してから、お目当ての北新地、Cave d'Orangeでの試飲会に。

3時からって案内だったのでもう残ってないかな?と思ってたけど幸い全種類残っていた。なかなか日本のワインを味わう機会ってないので、こういうチャンスをのがさないようにしないとね。

で、この日は白赤11種類を一気に楽しむことができた。品種も日本の誇る土着品種、甲州からメジャーなカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローまでヴァラエティあるラインナップ。

090603japanwine1_2  今日のラインナップ。

①タケダ・ワイナリー 蔵王スター白2008(デラウェア・ベリーA)

②ルミエール ひかり甲州2005

③グレイスワイン 甲州 シュル・リー2008

④グレイスワイン 樽甲州2007

⑤五一わいん エステート・シャルドネ2007

090603japanwine2_2 ⑥アルプス ミュゼ・ドゥ・ヴァン 松本平ブラッククイーン2007

⑦タケダ・ワイナリー 蔵王スター2008(ベリーA)

⑧ルミエール シャトー・ルミエール2007

⑨アルプス ミュゼ・ドゥ・ヴァン 塩尻メルロー2006

⑩五一わいん エステート・メルロー2006

⑪グレイスワイン ルージュ茅ヶ岳2007

決して生産は簡単ではないので、価格的にフランス、ニューワールドに伍するには並大抵の努力じゃ太刀打ちできないのは理解できるし、飲めばその困難を克服するための努力が並大抵じゃないのが痛いほどよくわかる。しかしそんな同情ではなくて、正直日本ワインの先入観を超えたワインを想像しつつあるワイナリーが存在することが飲めば理解できる。

今回のワインでは①の白、②の樽を利かせた甲州の白、⑥の赤が印象を裏切る面白さがあった。①は食用デラウェアを用いているが、べたっとした甘さがなかった。きっと赤ブドウのベリーAが良い方向に引き締めているんだろう。②はシェリーのような酸化熟成の香りがフィットして、日本ワインらしくないキャラクターだった。そして⑥は直線的でかつ野性味のある酸もありながら、抑制の利いた果実味がのっている面白い個性的なワインだった。

最近の日本のワイン、本当に個性豊かで面白い。なかなか売るのは難しいんだろうけど、それでも意欲的に作っているワイナリーの顔が浮かんでくる、そんな温かみのあるワイン達がとても愛おしかった。

2009年6月 3日 (水)

ロマンティックが毒になる ウォーターハウス

090602_3 美しいだけじゃ魅かれない。その中に毒といっていいのだろうか、何か狂おしいまでのものが感じられなければ、それはただ表面をなぞるだけに終わる。

ビクトリア朝の唯美主義、美しさを求めた画家が多く輩出したが、なぜかこの画家に昔から表現しがたい魅力を感じていた。一見表面的な美だけを追及するかのような甘い感傷的な表現、最初はそんな印象を持っていた。しかし、いつからかこの画家の描く世界がずっと心の中に引っ掛かってはなれないことに気がついた。その理由は長く理解することができなかった。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス。彼の描く女性は全て怪しげな魅力を持っている。そしてその魅力がいつしか画家の描く女性の視線にあることに気がついた。全ての鑑賞者の視線を拒むような視線、こちらが合わせようとしても絶対に通う事がないその視線はすべてを拒絶しながら、それを受け入れて運命のままに滅びの道を進むヒロイン達の代弁者だ。そこに単なる悲劇ではなく自らが破滅を選択した孤高の尊厳、理性では計ることのできない人間の狂気が感じられるこそ、この画家の絵が現実感を帯びて目の前に現れるのだと思う。

このウォーターハウスの本格的な画集が初めて日本で出版された。そして最近は大型書店の美術コーナーでも大きく扱われている。決してメジャー級ではない画家がここまで関心を呼んでいるのも、なにか肯ける気がする。自分もその一人だから。

ウォーターハウス

ピーター・トリッピ著

ファイドン刊

6,480円(税別)

2009年6月 2日 (火)

柿の木が伸びる のびーる

090601どこまで伸びるのか、ってくらい伸びている。。。

3年前に買った、確か柿の一種の小さな鉢植えの木。これがすごい生命力で、毎年冬になると一旦全ての葉を落して丸裸になりいよいよ枯れたかな?と思うと、春にはまた新しい枝を伸ばして今年もこうしてワインボトル以上の高さに育った。

もうそろそろ切らなきゃ、と思うんだがここまで伸びるとなかなか切るのが惜しい。しかも一番伸びた枝は実は折れちゃってガムテープで繋いだ枝から伸びている。なんかけなげだなぁ。

幹は細いが、信じられないくらいの生命力を発揮するこの小さな木、鋏は入れたくないがそろそろどうにかしないと倒れてしまいそうなので、心を鬼にして。。。

で、その前に記念撮影という事で今回登場させました。

2009年6月 1日 (月)

パラスコス・エヴァンジェロス カイ2005 ヴェネツィア・ジューリアIGT

090512kai 北イタリアでも、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のワインに特別思い入れがあるかもしれない。ただ、この地域は他のイタリアに比べるとかなり異質な地域だ。それは歴史的にもイタリアよりオーストリアの支配下にあった時代が長かったという事情も一因としてあるかもしれない。

この地域には多くの土着品種が栽培されていて、クリアなものから濃い系のものまで、個性豊かなワインが揃っている。

このワインもラベルから異質だ。ギリシャ文字を大きく描いたこのワインの名前は「カイ」、これは今ではハンガリーの伝統的甘口ワイン、トカイと混同するためその名前が使えなくなった「トカイ・フリウラーノ」 にちなむ名前だとか。ギリシャ人のパラスコス・エヴァンジェロス氏がこの地の先駆者グラブナー、カステッラーダなどの影響を受けて、2003年からは亜硫酸無添加でワインを造っている。

色は梅酒のような赤味の入った薄オレンジで、ほんのりと濁りがある。香りは柿、枇杷、ドライフラワー、火薬のような香りも感じる。

アタックは色から受ける印象よりも鮮烈で透明感のある酸、その後でイースト、酵母の香りが広がり、硬質でミネラルの味わいが立ってくるが、強靭というほどの強さは持たず、上品さを保つ範囲でとどまっている。

余韻にしっかり現れてくる柑橘系の若い酸味。そして口の中にナッツを食べた時のような味わいが広がりつつ、心地よいほのかな苦みも感じさせながらゆっくりと収束していく。

色や澱の具合からするともっと強靭で押しの強い味わいを想像したが、以外に繊細でまとまりのある味わいだった。適度な荒さも感じさせながら、全体のバランスはうまく調和させているところが感銘的。土着品種を使いつつ、全体は上品さを失わないワインという意味ではお手本のようなワインではないだろうか。

【エーテルヴァイン 4,500円?】

英雄の影に生きた男達の人生 人はなぜ裏切るのか

090529 世界史の中で英雄を挙げろと言われて思いつくのは、自分であれば月並みだけれどアレクサンダー大王、チンギス・ハーン、そしてナポレオンだろうか。そしてこの3人に共通するのは戦争に強かったことだ。

歴史の中で戦争の果たす役割は大きい現実は否めない。国々の攻防を賭けて戦われた戦争は、そこに多くの人々の失われた命があるものの歴史の主要な舞台として語り継がれてきた。その中でもナポレオンの生涯が今でも人々の興味をひきつけてやまないのは、最後には権力を失い絶海の孤島で孤独の内に亡くなるという絶望を体験した故だろう。そのドラマには前二者にはない人間としてのドラマがある。

そして彼の栄光の影には周囲を取り巻いた人物たちの葛藤があるからこそ、ナポレオンという巨星の生きた時代を単なる英雄譚にさせない、人間味のあるものにしている。この親書でもそうしたナポレオンの栄光を支えながらやがて袂を分かった人たちの姿を通して、人間というものの複雑な心理を語っていく。

ナポレオンを決別した人物はやはりその栄光の凋落を察して、見限った人物が大半に違いない。しかしそれ以外にも、自分が今の社会に能力を最大限に活かすことに正直に生きた人物がいた。そうした人物が自分を離れた時はナポレオンもその行動には納得したという。そうした度量、清濁併せて受け入れる器量があったからこそ、コルシカという辺境の生まれでありながらフランス皇帝、一時はヨーロッパの覇者という高みにまで上ることが出来たのだろう。

組織心理学などといういかめしい副題が付いているが、そんな堅苦しさとは別に歴史に名を残した人物の生臭さ、そうしたものが歴史を動かしてきたという不合理さから自然に感じられる。それが歴史の面白さにつながっているんじゃないだろうか。

人はなぜ裏切るのか~ナポレオン帝国の組織心理学~

藤本ひとみ

朝日新聞社刊(朝日新書)

700円(税別)