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2016年1月13日 (水)

G.D.ヴァイラ ランゲ・フレイザ2008 DOCランゲ

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遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。スタンスは変えずにゆっくりと自己満足的にやっていきます。ブログなので、それが許されるかと(笑)

新年からいろいろ飲んでいたのだが、家呑みでのイタリアワインはこれが初呑み。ちょっとセラーで置いていたピエモンテのワインだけど、その理由も消極的で、わかる人であればフレイザ故のこと。

ピエモンテ土着品種の中でも、フレイザは軽め、弱発泡の作りが多いところだが、このワインに関しては値段も相応だった。だから買うには買ったのだが、やや使いづらさもあってしばらくセラーに置いていたのだが、この機をもって開けてみた。しかし、開けてみたら想像を全く超える味わいだった。やはりワインは奥深い。

G.D.ヴァイラはピエモンテで家族経営の作り手で、当然ながらバローロも醸すもののレパートリーは幅広く、バルベーラ、ドルチェット、その他ピエモンテで許される品種は栽培している。そしてその品種独特の味わいを重視しているところが、特徴。フレイザはピエモンテ州土着の品種で、通常は軽めのワインとして仕上げるところが多いはず、という印象だったが? 

色は濃密で黒々としたボリュームを感じさせる、深いダークルビー。香りはブラックベリー、スミレ、黒餡、墨汁、ややタールといった重さを感じさせる。

口に含むと濃密なリキュール的果実味と、その中にやや粗っぽく散らされた太めのタンニンが直後から迫ってくる。ただし、そのボリューム感も当初の印象からすれば、そのインパクトが収まればややスムージーな感じに素早く収束していく。当初のボリューム感に押されていた酸味も時間をおいて徐々にせり出してくるが、やや低めで落ち着きのある酸ゆえに全体の味わいを崩すとはなく、やや強めの前半から優しい中盤への自然な移行へとつなげる潤滑油的役割にはふさわしい。後半の熟したベリーの味わいはその厚みからすれば一見南のワインと思えるが、終始引き締まったボディが北ゆえの矜持を保つ。

余韻は中盤から広がる甘めの果実味がふくよかに広がるものの、細かなタンニンが適度にボリューム感を引き締めバランスを保ちつつ、厚みのある味わいを終始展開していく。

今まで何度かフレイザは飲んだことがあったけど、それとは全く別物の次元を表現した驚きのフレイザ。こういうのを飲むと、ワインって品種よりもやっぱり造り手なのかな、と思ってしまうのだが、そういう二元的な解釈で読めないところがワインの奥深さであり、素晴らしさ。ワインに限ったことではないけれど、この中間の表現にこそ真実があると思いつつ、今年も飲み続けていきたいと思います。

【エノテカ・イル・ソッフィオーネ(テラヴェール)6,000円?】

2015年12月31日 (木)

シャルトーニュ・タイエ キュヴェ・サンタンヌ ブリュットNV メルフィ(モンターニュ・ド・ランス)

151228chartognetailletジャック・セロス、その名は現代のシャンパーニュ界にあって最高峰の座を占めていることに異論はないだろう。そして、数多くの造り手がセロスの当主、「アンセルムの教え子」という修飾語付きで語られる。

若干32歳、アレクサンドル・シャルトーニュもまた、アンセルム・セロスに師事した造り手の一人だ。シャルトーニュ家の歴史は16世紀にまで遡り、メルフィもまたかつてはグラン・クリュに匹敵する産地であった。その名声を復活させるため、アレクサンドルは土壌、ひいてはテロワールにこだわり、徹底的な分析によって畑に最適なブドウを選び、今は単一区画・単一品種によるリューディ・シリーズを世に送っている。このオーソドックスなキュヴェは、シャルドネ50%、ピノ・ノワール50%により、ドサージュは5g/l。

色はややピンクグレーがかった、薄めのイエロー。泡は優しくゆっくりと立ち上がる。香りはライム、青リンゴ、はちみつ、ヨード、ややスモークの香りも感じられる。

口に含むと細かな泡の優しさとともに、ドライでピュアな果実味がストレートに迫ってくる。酸は柔らかく穏やかで、かつボディの膨らみは中程度なので、ややこじんまりとした感じは否めないものの、均整よくまとまり素朴さも感じさせる味わいは、負担感なく自然と体に染みわたってくる感覚。中盤から後半にかけて苦みがベースとなり、安定感をもたらす。

余韻は穏やかな甘さが口の中を薄皮で包むように広がり、最後までバランスの良さを保ちながらさわやかな柑橘の旨味を残してフィニッシュする。

均整の取れた味わいながら、アクセントとしてやや土っぽいニュアンスを残しているところが、テロワールを重視する彼なりのこだわりなのかもしれない。リューディ・シリーズもぜひ試しておきたいところ。

【wineshop recork(フィラディス)6,000円?】

2015年12月27日 (日)

シャルル・デュフール ビュル・ド・コントワール #3 エクストラ・ブリュットNV ランドルヴィーユ(コート・ド・バール)

151227charlesdufortシャンパーニュの3大産地はモンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブランであり、この3地域はシャンパーニュの中心都市であるエペルネ周辺に広がっている。しかし、昨今注目を浴びている第4の産地、コート・デ・バールは南に約100km離れ、そのすぐ南はシャブリが控えている。土壌も同じキンメリジャン、石灰岩土壌となる。

このコート・デ・バール、全体ではピノ・ノワールが優勢だが、ブルゴーニュに比べてやや寒冷な気候のため、シャルドネの栽培が難しいようだ。しかし、それでも造り手によっては白ブドウに果敢に挑戦しており、このシャルル・デュフールもその一人で、しかもピノ・ブランによるシャンパーニュを世に送って定評を得ている。

ビュル・ド・コントワール とは「カウンターの泡」という意味で、美味しさや快楽を皆で分かち合いたい、という思いが込められている。セパージュはピノ・ノワール55%、シャルドネ35%、ピノ・ブランが10%であり、2011年産のブドウを使用するが、2010年産の#2というキュヴェを40%ブレンドしている。マロラクティック発酵の後、澱引きをせずにそのままシュール・リー環境で9ヵ月間熟成、無清澄・ノンフィルターでビン詰めし、ドサージュは濃縮ブドウ果汁で5g/l。

色はややこもった感じのあるゴールドを帯びた濃い目のイエロー。泡は柔らかくゆっくりと立ち上る。香りは黄桃、カリンジャム、蜜、トースト、ブリオッシュ、シナモン、胡椒も感じられる。

アタックから充実感のある果実味とシナモン、酸化熟成のニュアンスをはっきりと感じる。泡はきめ細かく、濃い目の味わいに優しさと膨らみを与え、全体を調和する役割を果たしている。中盤から後半はややドライな味わいへと変化、その中でしっかりした苦み、ミネラル感が広がり、複雑さを表現する。

余韻は香ばしさと、すっきりした果実味がミネラル感とともに持続し、それらが自然に昇華して品の高いフィニッシュへと至る。

前半は充実の果実味で見せるが、中盤には苦み、ミネラルの印象がはっきりと感じられ、シャブリとの共通点を思わせる。これがテロワールというものの為せる業だろうか。フィニッシュの透明感ある味わいも素敵で、それぞれに豊かな表現力を示す。最近飲んだシャンパーニュでは出色の出来かも?Good JOB!

【今井商店(ヌーヴェル・セレクション)6,053円】

2015年12月25日 (金)

フランシス・ブラール ブラン・ド・ブラン ブリュット・ナチュレNV 

151224francisboulardクリスマスの夜は、何故か気取って、少々スノッブ的でも構わずに身を委ねたい。そんな夜だからシャンパーニュの、ちょっと気になる造り手と相対してみる。お供のミュージックは、ラヴェル「夜のガスパール」。

フランシス・ブラールはまだ日本では著名度が低いかもしれないが、フランス本国ではその評価はすさまじいものがある。価格は40ユーロ以下だが、その品質は名だたる造り手と既に伍するほどだ。2010年に父、レイモン・ブラールの3人の子供がそれぞれ独立、フランシスは娘デルフィーヌとともにビオディナミを実践、わずか年産25,000本ではあるが、フランシス・ブラールの名の下で自然なまでのシャンパーニュを世に送り出す。

このブラン・ド・ブランはシャルドネ100%、75%は2011年、残りは2009年、2010年のブドウをベースとし、ドサージュはなし。マロラクティック発酵を行う。

色は澄んでいて張りのある、明るめのゴールドイエロー。泡は細かめでやや弱い。香りは当初キノコ、土っぽさが感じられたが、その後フレッシュさのあるライム、グレープフルーツとともに、カマンベールの白カビチーズのニュアンスが広がる。

アタックは細かくクリーミーな泡が舌先をくすぐるように弾け、その後ストレートでエッジのきいた酸が疾走し、その後ドライな果実味が訪れる。引き締まったボディだが果実味に凝縮感があり、その均衡はどちらかに偏ればバランスが崩れそうな、ともすれば危うい印象を受けるものの、その緊張を過ぎたころから後半に向けて酸に裏打ちされたボリューム感が内から湧き出るように膨らみを伴って広がる景色が、安らぎに満ちて心地よい。

余韻は終盤まで芯を通した酸をくるむように、薄皮の旨味が螺旋を描いていく立体感を感じながらフィニッシュに至る。

ブラン・ド・ブランらしい酸とともに、繊細さとふくよかさを両立する果実味の密な絡み合い。秀逸な造り手の今後をぜひとも楽しみたいところだが、年産25,000本というところが悲しくも悩みの種?

【今井商店 7,400円】

2015年12月20日 (日)

シャルル・エルナー セドゥクシオン2002 エペルネイ(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)

151220ellnerseduction2002シャンパーニュといえば、小規模なブドウ栽培者兼醸造者でもあるRM、レコルタン・マニピュランが脚光を浴び続けているが、当然シャンパーニュの歴史を作ってきた大手もまた、自社畑でのブドウ栽培によってRMのコンセプトを取り入れてきた。ネゴシアン・マニピュラン、NMは元々外部のブドウ栽培者からブドウを買い付けて醸造していた会社を指したが、最近はその定義もブドウ買いプラス自社栽培ということになっている。

このシャルル・エルナーもNMだが、その規模は大手に比べればかなり小さいものの、それでも年産約100万本だから、クリュッグ(約50万本)よりも大きい。エペルネィ近郊でシャルドネが50%、残りピノ・ノワールとピノ・ムニエを栽培し、フレッシュさを残すためマロラクティック発酵はせず、ヴァン・ド・レゼルヴは樽で熟成させる。ワイン自体魅力的だが、それを更に増すのは乾杯の気分を煽る、素敵なエティケット。華やかさの観点ではペリエ・ジュエのベル・エポックに勝るとも劣らないと思っているのだが?

色は全体に濃い目の色調で、茶色がかったゴールドイエロー。泡はやや弱めながら、可憐にゆっくりと立ち上る。香りは変色しかけたリンゴ、カラメル、幸水梨、焦がしバター、カカオ、枯葉のような土っぽさのニュアンスも感じられる。

口にすると、細かな泡の感覚とともに、熟成した果実味が細かな酸に包まれ、穏やかに、しかし力強く迫ってくる。スタートからの滑らかさが絶妙で、均整の取れたバランスは年月を経て余計なものを削ぎ落してきた故のものだろう。ボリューム感、グリップは中程度ながら、中盤から後半にかけて感じられるスパイシーさ、渋みが複雑さをもたらし、表現力を豊かなものにしている。

余韻はやや全体に濃い目の味わいがナチュラルに昇華して、予想外に優しく温和。程よい甘みが優しい浮遊感を醸しつつ、柔らかに長い斜面を下るように収束していく。

前半は濃い味わいだが、後半はそれが自然に解けていくような感覚で、後味もすっきりして何杯でもいけそうなシャンパーニュ。ヴィンテージの楽しさと熟成感がこの値段で楽しめるのはありがたい限り。

【フランスワイン専門店ラ・ヴィネ 7,500円】

2015年12月16日 (水)

ステファン・コキエット ラ・キュヴェ・デ・クレ ブラン・ド・ノワール ブリュト グラン・クリュNV シュイイ(コート・ド・ブラン) 

151213coquietteblancdenoirシャンパーニュの中では、ブラン・ド・ノワールもしくは黒ブドウ、すなわちピノ・ノワールかピノ・ムニエ主体のものが好みなので、白主体の造り手が時としてこうしたブドウで挑戦しているキュヴェがあると、思わず手を伸ばしてしまう。このシャンパーニュはまさにそうした挑戦の一つだろう。

シュイイはシャルドネ主体の生産地であり、このステファン・コキエットも父の時代はシャルドネのみで勝負していた。しかしステファンの代になってからピノ・ノワールに挑戦、このシャルドネはアイ村のピノ・ノワール100%によるものだから、グラン・クリュを名乗る。

色はややグレーがかったゴールドイエロー。泡は細かでひそやかに優しく立ち上る。香りは焦がしバター、茶色くなりかけたリンゴ、ブリオッシュ、カカオといった甘みと熟成を感じさせる香りが顕著。

口に含むと柔らかだが快活な泡が弾け、その直後にしっかりしたカカオのような苦みを伴う太めの果実味が迫ってくる。特徴的な苦みがベースに座り、味わいに安定感と複雑さをもたらし、中盤から後半にかけては凝縮感が適度にほどけて安らぎを感じる甘みのニュアンスが広がり、リッチな心地を演出する。

余韻は黒い果実のじっとりした甘みが細く長く広がり、そしてその旨味がゆっくりと自然に昇華していく。

ブラン・ド・ノワールらしい骨太の味わいを持ちながら、それに叶う酸味によって決して鈍重に陥らないバランス感覚が素敵。日本ではまだ広く名が知られていない生産者かもしれないが、注目度大。

【ワインハピネスコレクション(i-wine Happiness)7,000円?】

2015年12月13日 (日)

ステファン・コキエット カルト・ドール ブリュットNV シュイイ(コート・ド・ブラン)

151212coquiettecartedorシャンパーニュは大好きだが、やはり高価なものなので、選ぶ際には価格を第一に考えてしまう。その価格にしろ、安ければいいというわけではなく、定評のある造り手を中心にそのオーソドックスなキュヴェを普段は選んでいくことになる。

低価格帯のシャンパーニュでも品質の高い造り手は多いが、このステファン・コキエットもその一人だろう。エペルネに隣接し、グラン・クリュと評価されるシュイイを本拠にしており、当初は父の会社でワインを製造していたがm、1993年から瓶詰めを開始、今でも年産約5万本の小規模なRMだ。ブドウはシャルドネとピノ・ノワールのみを栽培し、このスタンダード・キュヴェであるカルト・ドールもアイおよびマロイ・シュル・アイ地区のピノ・ノワール67%、そしてシュイイ地区のシャルドネ33%によるもの。樹齢は45年、ドサージュは5g/l。

色は照りのある明るめのレモンイエロー。泡は細かに柔らかく立ち上る。香りは青リンゴ、ドライフルーツ、白桃、やや苦みを予感させるハーブ香、カモミール。

口に含むとクリーミーな泡が舌先で弾け、その直後溌溂としたストレートな酸が飛び込んでくる。充実度のある果実味は安定感をもたらし、穏やかな甘さで口の中を満たす。構造はややフラットで、膨らみも中程度だが、質感は十分あり、後半に向けてはピュアで透明度の高い味わいが程よいミネラル感のグリップによって優しく、しかし鮮明に浮かび上がる。

余韻はややドライな渇きを覚えつつ、落ち着きのある柔らかな甘みと細めの酸が螺旋を描くように流れ、クリアな後味に収斂していく。

スケール感は価格帯を考えればやや小ぶりではあるが、それゆえに負担感のない味わいが心地よく、果実味の凝縮感と品格、独特のシルキーさも印象深い。食事を通して使うよりも、アペリティフとしてその能力を十二分に発揮してくれるであろう、珠玉の一品というところかな。

【ワインハピネスコレクション(i-wine Happiness) 6,200円】

2015年12月12日 (土)

ティエリ・エ・パスカル・マトロ ヴォルネイ サントノ プルミエ・クリュ2008 AOヴォルネイ 1erクリュ 

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ブルゴーニュの難しいところは、エチケット上ではわからない事実が多すぎるということもあるに違いない。例として、このヴォルネイもその一つ。

コート・ド・ボーヌの中央に位置するヴォルネイ村は赤、つまりはピノ・ノワールの産地だが、その南ムルソー村は白、シャルドネの産地として今に至っている。斯様にくっきりと村の境界線で栽培するブドウが分かれるものでもなく、やはりどこにもグレーゾーンは存在する。それがヴォルネイ・サントノという畑だ。

この畑、ヴォルネイを名乗るものの実際にはムルソー村の北端に位置し、白ワインであればムルソーの1級を名乗るが、赤であればヴォルネイ・サントノで1級を名乗る。表土自体は赤のみを造るヴォルネイ側からこの一帯にかけて石灰岩の上に小石交じりの赤土が広がる土壌であるから、ムルソーに位置してもこの地はピノ・ノワールを栽培するに相応しい、ということなのだろう。

マトロはムルソーに本拠を置く生産者なので、白ワインに秀でていると評価されるが、ボーヌの各村で赤も生産している。その一つがやはりムルソー村に位置するサントノでの赤ワイン。

色は赤みの強い、チャーミングさを感じさせるルビー色。香りはスミレ、ラズベリーに加えて、ややインクっぽさ、スパイス、シナモンを感じさせる。

アタックはみずみずしい酸味とともに、やや硬めの果実味がパワフルに迫ってくる。7年を経ても、まだ角が取り切れていないポテンシャル。低めの酸はやや甘めの果実味と調和し、全体では落ち着きと安定を感じさせる。中盤からかすかに覗く後味のくどさも感じられるが、それでも密度の濃い凝縮した味わいは、最後までしっかりと品格を保って終盤へと誘う。

余韻は熟したベリーの甘味がふくよかに広がり、リッチさを感じさせながら長めの後味を残しつつ引いていく。

まだまだキープしていけば、余計なものをそぎ落として収斂していきそうなポテンシャルを感じさせてくれた。本当はもっと置いておけばいいんだろうけど、飲みたい時に飲まないといつ飲む?と思うのもホンネなので、飲み頃は一番難しい命題だ。

【エノテカ グランフロント店(エノテカ)7,800円?】

2015年12月 6日 (日)

ホッフキルシュ マキシマス ピノ・ノワール2009 ヘンティ(ビクトリア州) 

151206hochkirchpinotnoir2009あまり飲んでない印象かもしれないが、実はオーストリアのワインではシラーズよりもピノ・ノワールが好きなので、結構飲む機会はあるし、実際に買い求める事も多い。ただ、それほど安くはないので、その場合にはかなり選り好みをしてしまう。

オーストリアでも南部は緯度も低く、その中にあってヴィクトリア州は地形が南にせり出し、対岸がタスマニア島であることから、気候は冷涼な地区が多い。その冷涼さがピノ・ノワールに欠かせない芯のある酸を産み出す。だから、ヴィクトリア州、タスマニア州のワインは自分にとってツボにはまるワインというわけだ。

ホッフキルシュはメルボルンから西300kmに位置するハミルトンに位置し、1990年設立。1997年からはビオディナミに移行した。このピノ・ノワール、マキシムスは全て手摘みで収穫、野生酵母酵母により開放発酵槽で醗酵された後、4週間のマセラシオンを行い、フレンチオーク(25%新樽)に移され18ヶ月間熟成される。このキュヴェは最高のブドウが収穫されたときのみつくられ、2009年以降はリリースされていないそうだ。

色は濃密でしっとりとした質感のあるやや薄濁りのルビー色。香りは大地を最初から思わせる粘土のような重みを感じ、その後ラズベリー、紫蘇、黒胡椒が放たれる。

口に含むと、引き締まった果実味の中に芯のある酸味が中心を成し、拡散させない味わいのまとまりが感じられる。豊かな果実味には甘みの印象も伴うが、決して重々しさはなくチャーミングで節度の取れたボディ感。タンニンも細やかで、中盤から後半への意外なほどの抜けの良さが心地よい安堵感をもたらす。

余韻は細いがしたたかな酸が中軸を担い、その周りをソフトに包む落ち着いた甘みが長く残りつつ、優しく昇華していく。

凝縮感はあるがそれが負担感のない程度で収まっており、節度と品格をしっかりと保っている。オーストラリアの良いとこどりを表現したピノ・ノワール、休日にふさわしいリッチな気分を存分に感じさせてもらったかな。

【wineshop recork(kp Orchard Co.)5,000円?】 

2015年11月22日 (日)

ドメーヌ・ポンソ サン・ロマン キュヴェ・ド・ラ・メソンジュ2011 AOCサン・ロマン

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ブルゴーニュ有名ドメーヌものがかなりお高く感じられるようになったので、ボトルを購入してまで飲む機会というのは減った気がするが、それでもこういうあまり見ないもので値段も手ごろなのを見つけると、手を伸ばしてしまう。

ドメーヌ・ポンソと言えばモレ・サン・ドニを本拠とし、絶対的に赤ワインで有名な造り手だが、コルトン・シャルルマーニュといた白ワインももちろん手掛けている。最高にレア、といえばアリゴテで唯一のプルミエ・クリュを名乗れるクロ・デ・モン・リュイザンを単一所有している。いつかの機会にはぜひ飲みたいと思っているが、果たして?

このサン・ロマンはヴィラージュものだが、サン・ロマン村自体にプルミエ・クリュはない。コート・ド・ボーヌの村々からはやや西に奥まったところにあり、ムルソーとモンテリーの間、オーセィ・デュレスの村を抜けたところにある。標高が高く約400m、気温は低いが地形が複雑で風の通りを遮り、ブドウの成熟に十分な環境となっている。

色はややグリーンと粘性を感じさせる落ち着いたゴールド。オレンジ、青リンゴ、白い花、ヨーグルト、カスタードといった甘さを感じさせる香りがあるが、やや閉じ気味。

口に含むと溌溂としたスレンダー、かつ冷涼な酸に導かれて、均整の取れたやや細身の果実味が広がってくる。ジューシーでまとまりのある味わいはブルゴーニュらしい品格を備えており、ややドライで後半には辛みさえも感じるミネラリーな味わいが複雑さを感じさせる。

余韻は最後まで息を切らさない酸のフレッシュさを残しつつ、樽のシャルドネらしいリッチなふくよかさが浮遊感をもたらし、その味わいがゆっくりと昇華していく。

全体に過不足なくまとめ上げられた、大手の余裕を感じさせる1本。あまり樽々しいシャルドネよりも僕はおとなしめの味が好みなので、こういうワインのほうが安心して楽しめるし、グラスを重ねる楽しみも生まれる。クセのあるワインも好きだけど、たまには王道で余裕をかましていいですか?

【エノテカ大阪店(エノテカ)6,000円?】

2015年11月17日 (火)

イル・マッロネート ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2008 DOCGブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

151115ilmarronetobrunello今週は特に予定がなかったので、久々に自宅でワインの飲み比べ、というかティスティングの練習。こういう場合は違うものよりも同じ種類のものを比較するほうが、より細かな違いを感じ取るという意味で勉強になる。この日は奮発してブルネッロ2連発。

イル・マッロネートの当主、アレッサンドロ・モーリ氏は元々法曹界の出身で、その父も弁護士のかたわらワイン造りに興味を示したことからこの道に入り、今ではすっかりワイン造りに専念することとなった。その主義はサンジョヴェーゼ1本集中、畑は自然に任せて除草剤の類は一切使用しない。ブドウは圧搾後ステンレスタンクで発酵、その後は2,500リットルの大樽で36か月熟成ののち、瓶熟10か月。

色はやや湿った感じのあるダークルビー。香りは木苺ジャム、カシス、干しブドウの甘さを呼び覚ます香りに加えて、ロシアンティー、ミント、ドライハーブの香りも感じられる。

アタックは瑞々しいストレートなベリーの酸に導かれて、細かなタンニンに満ちた果実味が口の中を弾むように入ってくる。角が取れた純度の高い酸が味わいの中核を成し、その周りに適度な旨み、膨らみが寄り添うように中盤の安定を形作る。濃密だがドライな果実味、滑らかな舌触りの体感が心地よく、全体にバランスの妙を感じさせながら後半の落ち着いたブルネッロらしい余裕の展開へと誘われる。

余韻は凝縮感と甘い果実のデュエットが細く長く続き、次の1杯を躊躇する気持ちにさせるほどの安寧を奏でていく。

前半の抑制を利かせた凝縮感、そこから昇華して後半の長い余韻の安らぎをもたらす展開、ブルネッロに期待する特質を的確に備えたワイン。やっぱブルネッロ、美味しいわー。

【Wineshop FUJIMARU(ラシーヌ)9,000円?】

2015年11月16日 (月)

イル・ボッロ アルパ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2007 DOCGブルネッロ・モンタルチーノ

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人には「サンジョヴェーゼはやや苦手」という割に、結構家では飲んだりしている。その場合は自分が好きそうな感じのものを選んで、1本ゆっくり愉しむ時が多い。そして、その時には勢いブルネッロを選らんだりしてしまう。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、サンジョヴェーゼの最高峰と言えるこのワインの特色は、生き生きとした酸味としっかりした酒質が両立しているところにある。上質のキャンティも同様に言えるが、ブルネッロはより安定感、重量感を伴っているところに自然と惹かれてしまうのだろう。

イル・ボッロはイタリアファッション界の雄、フェラガモ資本によるワイナリー。というか、フェラガモがイル・ボッロ村を含む地域を買収、リゾート地として開発した場所に新たに開いたワイナリーということで、その財力にも驚くが、そこから産み出すワインが軽くブルネッロとして世に出されることにも恐れ入る。ワイナリーとしての初リリースは1999年。

色は深みのあるやや黒味がかったルビー・ルージュ。香りは熟したストロベリー、赤い花、いちじく、ビターチョコ、バックにやや金属的香りも感じられる。

口に含むと熟したベリーの美味しい果実味がストレートに解き放たれる。快活だがしなやかさもある酸味の中庸さが好ましく、優しい序盤から中盤のブルネッロ独特の細かな渋みを伴った厚みのあるボディへと無理なくつながっていく構成が感じられる。中盤の落ち着き、バランス感覚は異論のないところだが、やや巧く流れすぎる感じが否めず、無理をしない安全運転といったところか。後半に至ってもその流れを崩さず、穏やかな時間が過ぎていく印象。

余韻はきびきびした酸味に彩られたしなやかで穏やかな甘さの果実感が舌を薄くくるむように広がり、そして適度な浮遊感とともに昇華していく。

ブルネッロに期待する特徴のすべてを過不足なく備えており、大手が財力をバックに短期間に開発したということを考えると十分な内容だと思う。ただ贅沢な要求だろうか、美味しいのだがやや個性に欠ける面は否めない。流麗すぎて、心に引っかかるもの、後に残るものというところが少ないのが正直なところではある。ワインとしては完成形に近いのだが、難しいところだ。

【エノテカ グランフロント店(エノテカ)6,000円】

2015年11月15日 (日)

ローズ・ド・ジャンヌ コート・ド・ヴァル・ヴィレーヌNV コート・デ・バール

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コート・デ・バール、シャンパーニュでは一段低く見られがちなこの地域は、シャンパーニュの畑の約5分の1を占めるほどの生産地でもある。そのすぐ南にはシャブリも控えており、したがって地質も同じくキンメリジャン、貝の化石を多く含む表土が覆う石灰岩土壌となる。この地のポテンシャルを疑うべくもないが、そこに集中する生産者は長く現れなかった。そして、昨今その先駆者、代表選手として取り上げる生産者の筆頭にセドリック・ブシャールを挙げることに関して異論はないだろう。

初リリースは2000年、「オートクチュールのシャンパーニュ」を唱えて単一区画、単一品種、単一収穫年のシャンパーニュのみを生産している造り手で、自社畑はわずか3.7haだが、個人の目が行き届く範囲としてはこれでも多いくらいなのだろう。ブドウは農薬を抑えたリュット・レゾネ、収量を抑えた上に選果し、圧搾は最初のテート・ド・キュヴェのみ。その後は自然酵母による発酵を経てステンレスタンクで熟成、ノン・ドサージュで瓶詰めし世に送り出す。このシャンパーニュは表面上NVだが、やはり単一年のピノ・ノワール100%によるもの。

色はやや浅くグリーンのニュアンスを帯びつつも、温かみのあるくすみを感じさせるゴールドイエロー。泡は力強く細かに全体から立ち上る。香りはブリオッシュ、クロワッサンに加えて、焦がしたフルーツ、リンゴ、カスタード、バックにやや土、鉄のニュアンスも感じる。

口に含むと優しい細やかな泡の歓迎が収まった後は、意外に静かな展開で戸惑う。自然すぎて物足りなさも一瞬感じるが、それが誤りであったことはその直後に判る。罪人を救うため釈迦が投げた蜘蛛の糸に似た細めの酸に導かれて、中盤は自然かつふくよかな果実の甘さ、豊かさが、ベートーベン交響曲9番第3楽章の導入部のような至福の平穏を奏でる。重厚さとは無縁の極上の浮遊感は、他のシャンパーニュとは一線を画す個性。泡、酸味、果実味、すべてが温かさ、ふくよかさを備えている以上、全体のバランスがどうしてとれないはずがあろうか。

余韻も後半からの豊かなバランス感覚から転じ、その味わいが扇を返すようになだらかに大きく展開して、最後に優しい苦みのアクセントを残して昇華するように散じる。

シャンパーニュを飲んでいるとどこかに技巧、それ故であろうかやや刺々しさをかんじていたのだが、彼のシャンパーニュに関してはそうした印象は皆無すぎて逆に物足りなさ感じたのだが、その直後の芳醇な味わいに逆に圧倒されてしまった。この味わいをノン・ドサージュで作り出すことに脱帽です。Good JOB!

【エノテカ(エノテカ) 9,000円】

2015年11月14日 (土)

オーデックス・ジャパン&トゥルサン・フランス エスプリ 樹(ki)ブラン2014 AOCトゥルサン 

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 バロック、その耳に馴染む響きは美術の世界にあってこそだが、ワインにもその名を持つブドウがある。しかもそれはフランス、そしてそのブドウを主要品種とするAOCを持っている。その地は南フランスのトゥルサン、ここでそのブドウはかつて絶滅の危機に瀕しながら、一人のシェフとの出会いによって、その幸せな知る人ぞ尋ね来る隠者にも似た生活を送る今に至っている。

フランス南西部の温泉町、ウジェーヌ・レ・バンにある三ツ星レストラン、レ・プレ・ド・ウジェニーのシェフ、ミシェル・ゲラールがワイン造りを始めるにあたって着目したのが、この辺りに植わっていた地元品種のバロックだった。19世紀当初は病害に強い品種として栽培されていたが、20世紀に入って衰退し、2008年には112haと50年前に比べて約50分の1にまで落ち込んでしまった。しかしそのブドウに惚れ込んだゲラール氏によって、再び脚光を浴びつつある。このワインはインポーターであるオーデックスが現地企業と組んで生産するもので、2012年のヴィンテージではバロック40%、プティ・マンサン30%、ソーヴィニヨン・ブラン30%。

色は薄めのゴールドイエロー。香りはライム、オレンジの柑橘系の香りが主体的で、それに加えて乳酸、白い花、塩昆布の香りも感じられる。

口に含むとおおらかなアタック感、そこからじわじわと丸みのある好ましい果実味がゆっくりとしたペースで広がる。その果実味から染み出てくる落ち着いた酸味は、南のブドウらしく鷹揚だがしっかりした主張が感じられ、ふくよかな果実味のボディをまとめ上げるに相応しい弾力性をもって下支えする。中盤から後半にかけては複雑さこそ少ないものの、調和のとれた飲み飽きのしない優しい味わいが広がっていく。

余韻は後半からの展開そのままに、なだらかなスキー場の斜面を下るかのように自然な着地点を見出し、自然とフィニッシュする。

一言でいえばバランスの良いワイン、ということになるのだが、そのバランスの中にもしっかりした旨味、酸味の要素が感じられる。プティ・マンサンのボリューム感、ソーヴィニヨン・ブランのフレッシュさ、それを繋ぐバロックといったところだろうか。それでいて自然とグラスを重ねても負担感、飽きが来ないのがなにより。デイリーワインにふさわしい特質を備えたワインということなんだろうな。

【R -the wine shop-(オーデックス) 1,200円?】

2015年10月23日 (金)

ペリエ・ジュエ グラン・ブリュットNV エペルネィ

151023perrierjouetgrandbrutシャンパーニュは好きだけど、恥ずかしながらいわゆるトップ・キュヴェといったものを殆ど飲んだことがないという弱点がある。ボトルに直接描かれた花で印象的なペリエ・ジュエのベル・エポックもその1本。ボトルで買えば2万円を超すので、おいそれとは手を出せない。

それでも飲みたいとなれば、普通のキュヴェで我慢するしかないので、これを選んでみた。

アッサンブラージュはピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ40%、シャルドネ20%。ピノノワールが力強さを与え、ピノ・ムニエがそれをやや緩和しつつフルーティーさを加え、そしてシャルドネで溌剌とした酸でアクセントをもたらす、そんなコンセプトのようだ。

色は清々しいほのかに新緑のニュアンスを感じさせるレモンイエロー。泡は細かに優しくゆっくりと立ち上る。香りは黄桃、バニラ、焦がしバター、ブリオッシュ、ヘーゼルナッツ。

口に含むと柔らかく繊細な泡が舌先をくすぐるように弾け、その直後から若々しい酸味を伴った厚みのある果実味が押し寄せる。味わいは均整でバランスがとれており、甘みは個人的にはやや強く感じるものの、その調和を崩すまでには至らないギリギリの構成の妙を感じる。後半からは芯のある酸に支えられた豊かな甘み中心のまろやかさが口の中に広がり、膨らみと穏やかさをもたらす。

余韻は後半からのふくよかさを伴いつつ、繊細な甘さと細かな酸が交錯し、螺旋を描くように長い軌道を描いていく。

第一印象では、全体の調和が取れた非常に良くできたシャンパーニュだと感じた。通常のキュヴェでこれだから、旗艦のベル・エポックではどうなんだろう?飲む機会が訪れることを期待しつつ...

【成城石井(ペルノ・リカール・ジャパン) 6,900円】