フォトアルバム

2009年7月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

2009年7月 9日 (木)

主力残留! ファン・ペルシー、長期契約更新

090708persie_2 いやぁ、これはいいニュースだ。一番の不安の種が吹っ飛んだ!

昨シーズンはケガも殆どなく、アーセナルの屋台骨を支え続けたロビン・ファン・ペルシー。またしても無冠に終わり、契約期間が満了したこのシーズンは退団もやむなしか、と覚悟していたが契約更新したとの確報が飛び込んできた。来シーズンの挽回に向けてまずは大きなヤマを超えたって感じだ。

「僕の心はアーセナルとともにある。違うユニフォームを着ている自分の未来を描けないんだ。今はまさに想像すらできない。だって自分はこのクラブをとても愛しているからね。」

「この5年間、僕が戦ってきたそれぞれのシーズンを思い起こして欲しい。そしてヴェンゲル監督とクラブが与えてくれたサポート、ファンの応援とチームメイトの支えを思えば、これが正しい決断なんだ。」

「今までに普通とは違う事を成し遂げた選手たちを見れば、彼らの最高の時期は25歳から30歳の間なんだ。アーセナルでプレイするとしても、違う選択は常にあるよ。でも僕の心はアーセナルとともにある。」

最も不安だったファン・ペルシーが残ってくれた。あとの不安はアデバヨールだが、ミランからのコンタクトはどうなのだろうか?カカが抜けたにもかかわらず妙に静かなのが余計に心配だ。

そしてもう一つ、ケガから復帰できずに不本意なシーズンを送ってきたロシツキーもようやく戻ってこれるといったニュースが聞こえてきた。辛抱した甲斐があったと言える来季になりそうな予感?

2009年7月 8日 (水)

ドメーヌ・ドゥ・コロンビエール シャブリ プルミエ・クリュ フルショーム2007 AOCシャブリ プルミエ・クリュ

090604 シャブリ、白ワインの代表格でワインの事をよく知らない時でもこの名前だけは何故か知っていた。日本でもワインブーム以前はシャブリは高級ワインの代名詞的な存在だったと思う。

そんなシャブリだが今や不遇なワインの代名詞と言えるのかもしれない。かつての知名度が仇となり、今や当たり前すぎてワイン好きの間では敬遠されている感もある。それを反映するのか、昔に比べて今の方がグランクリュクラスでも安くなっている。そんな恩恵を受けることができる数少ないワインの一つだ。自分にとっては最初に好きになった白ワインでもあり、今でも思い入れの強いワインでもある。

このドメーヌ・ドゥ・コロンビエールは約130年の歴史を誇る伝統的な作り手。南西向きの日当たりのよい好条件の畑で栽培されたシャルドネ。かつての貝殻などが堆積して形成された石灰質土壌、いわゆるキンメリジャンの畑30haでグラン・クリュ、プルミエ・クリュ、シャブリ、プティ・シャブリといったそれぞれのクラスのシャブリを造っているがさて?

色は少し緑がかった艶のある健康的なレモンイエロー。香りは梨、アプリコット、ヨーグルトといった香りが感じられるが、若干おとなしめ。少しグラスを回すと根昆布水のようなヨードの香りも立ってくる。

口に含むと爽やかな柑橘系の酸と、それに覆いかぶさるようにしっかりしたミネラルの味わい。このミネラル感が舌の奥へと浸透していく力を持っていて、口中に潮の味わい、ニュアンスを大きく広げる。このミネラル感の力強さがインパクトがあり、エッジの利いたはっきりとした味わいを形作っている。そのバックにはライムのような若く青い柑橘系の味わいがあり、酸、ミネラル、旨みのバランスが保たれている。若干難点を言うなら、少し余裕のなさ、少しかちっとし過ぎる味わいかもしれないが、それとても決定的なものではなく、逆に個性と思わせる程度。

余韻も酸の活きの良さ、塩っぽいミネラル感が最後まで持続し、硬質な輪郭を感じさせながらゆっくりと収束していく。

シャブリらしい切れの良さ、ミネラル感を存分に表現している。何よりこれから暑くなる中でこのミネラル感は必ずや体に適度な塩分補給、癒しを与えてくれるはず。シャブリ、これからが旬のワインといえそうだ。

【大丸梅田店 3,500円?】

2009年7月 7日 (火)

隠すひと、隠さないひと アトリエの巨匠に会いに行く

090706久々に凄い本に出会ったと思う。こんな事ができるなんて、それも日本人がやったなんて未だに信じられない。

アーティストは自分の多くを語らないものだと思っていた。彼らにとっては作品こそが全てであり、その過程、苦悩、格闘といったものの痕跡が残る仕事場、アトリエを見せることは本意ではないだろう。事実、この本でも何人かはアトリエを見せることを拒絶した。シャガール、ダリ、キリコ、ビュフェといった画家たちだが、彼らの作品を思えばそうした事も肯けるような気はする。しかしその他の画家たちは気さくにアトリエを公開してくれたようだ。アクセスは難しいが、一旦それを突破すればアーティスト自身はその事に抵抗感を示さない事は意外だ。

アトリエを公開する、しないにしろ、この本からはそれぞれのアーティストの生の声が聞こえてくる。それらは難解な言葉を尽くして語られてる美術書の文章とは全く違うシンプルなものだ。特に絵の具のチューブを踏みつけて作品を作り出すアルマンという画家のスタイル、これを「絵具で射精している」と表現したのは正に真実であろうし、写真を通してアーティストの素顔に触れ続けた筆者だからこそ見通せた事なのだろう。

当たって砕けろで当り続けたカメラマンの30余年にわたる無鉄砲な行動によって、二重三重のフィルターを通さずにアーティストの姿に迫る。すばらしい本に巡り合えたことが嬉しい。

アトリエの巨匠に会いに行く

南川 三治郎著

朝日新聞出版

1,000円(税別)

2009年7月 6日 (月)

安心させる空気に潜むもの ミヒャエル・ゾーヴァ展

090705 京都駅、JR伊勢丹7階の美術館「えき」で開催されている、ドイツの画家ミヒャエル・ゾーヴァ展へ。

絵本の挿絵をてかげているということで、色彩も明るくとても親しみやすい絵だ。動物や小さなキャラクターを可愛らしく描いている。挿絵だけに小さな作品が大きく、やはり細かいところまで見ようと思うと並ばざるを得ない。この日は休日ということもあって、かなりの鑑賞客が入館していたため、予想よりも時間がかかった。しかし、いつもなら並んでまでは見ない自分を並ばせるだけの力がこの作家の絵にはあると思う。

それは細部まで書きこまれた確かな描写力と、絵の中に潜ませた画家の遊び心が少しの皮肉心混じりで伝わってくるからだろう。中盤にある荒れ狂う大海原にポツンと動物を乗せた船が漂う絵などは、背景となる波と黒い雨雲の表現が真に迫っていた。そしてその動の中に動物たちの船だけがエアポケットに入って守られているかのように静寂を保っている。なんとも不思議な感覚だった。

動物達、特に豚のキャラクターが印象的だったが、もう一つ、「受胎告知」と題された絵では小さな翼を持った太っちょのおっさんにしか見えない天使が、空中から地上で畑仕事のマリアに救世主を身ごもることを伝える。その天使らしからぬ物体を怪訝そうに思いつつ、今から自分に起きるであろう事にも不安を感じる心情を、自然な表情で描いていた。同じテーマで数多く描かれてきた絵の中でも印象に残るものだった。

心の中に素直に入ってくる作品群。しかしそれだけではない、ただ通り過ぎずに何か不思議な棘のような感覚が心の中にしっかりと残る。シュルレアリスト的な作品にも通じるところがある、遊び心に満ちた展覧会だった。

ミヒャエル・ゾーヴァ展

2009年6月18日~7月12日

美術館「えき」KYOTO

2009年7月 4日 (土)

アラン・グライヨ クローズ・エルミタージュ ラ・ギロード2004 AOCクローズ・エルミタージュ

090704 赤ワインなんてどれも渋いだけで、味に違いなんかないと思っていた、飲み始めの約12年前。けれどもこの造り手のワインに出会ってしまい、ワインの奥深さ、キャラクターの確固たる違いを知ってしまった。

アラン・グライヨ。この造り手のワインを幾度飲んできたことだろうか。ローヌでも高級とはみなされなかったクローズ・エルミタージュでシラー種によるワインを造っていたこの造り手は、その凝縮感、ボリューム感で、同じ土地の生産者とは一歩も二歩も違っていた。しかし、近年のワイン高騰によってこの造り手のワインもまたその当時とは倍近い価格になり、入手も困難になってしまった。残念至極ではあるが。

このワインはそのアラン・グライヨのクローズ・エルミタージュで作られるワインの上級キュベ。山の斜面の畑で造られるシラー100%のワインということだが、さてその違いは?

色は黒の強い、奥深さのある深遠な湿り気のある暗いルビー色。香りはスモークチップ、粗挽きの黒胡椒、ソーセージ、黒ゴムといった有機系、スパイスの香りが強い。

アタックは予想外に滑らかで自然。若干弱いかとも思うが、時間をおいて柔らかで丸みのある酸に乗る形で薬草系、シソを漬けたような味わいが上品に広がってくる。彼の作るオーソドックスなクローズに比べれば、若干拍子抜けかと思うほどに爆発的な広がりはない。しかし、そうした衝動を抑えながら徐々にアクセルを踏んでいくように、同じような凝縮した味わいを表に出していく。そして最終的には、「あ、やはりこれはアランのワインだ!」と思わせる香草を漬けこんだような独特のコクを演出していく。中盤は味わいの丸さを維持しながら、スパイシーでかつ野性味のあるローヌのシラーらしいキャラクターがどしっと現れる。

余韻は口の中にスモーキーな香りが満ちつつ、太さのある黒いベリーの甘さが強靭に舌の周りに張り付きながら、息の長い旨みを保ちつつ、ゆっくり、ゆっくりと引いていく。

アランの上級キュベということで、力で押していくようなワインを想像したが実際には全く逆で、力強さはそのままにそれをがむしゃらに発散させることなく上品にまとめあげたワインだった。旨いシラーを作り続けてくれるアラン・グライヨ、彼がいる以上自分の好きなワインがローヌだと言い切ることに全く迷いはないな。Good JOB!

【創酒タカムラ 6,000円?】

2009年7月 3日 (金)

ドメーヌ・ド・クルセル ポマール プルミエ・クリュ グラン・クロ・デ・ゼプノ 1997

090619_5最近不思議とヴィンテージ的に古いブルゴーニュを目にする機会が多くなってきたような気がする。それもお手頃な価格帯で、だ。

ブルゴーニュのピノ・ノワール、若くても魅力にあふれているが、やはりある程度の年月を経て熟成を重ねたものを味わいたい。それでも10年という時間はまだまだ短い内に入るのだろう。

ブルゴーニュでも力強く肉厚のワインを生み出すことで定評があるポマール。そしてその1級畑でも最高の評価を得ているのがグラン・クロ・デ・ゼプノ。このド・クルセルはこのポマールを本拠とした優れた造り手だ。

色はしっとりとした中にもぬくもりを感じさせる艶やかなルビー色。熟成の感じはそれほど感じず、外観上はまだまだ若い印象。香りは力強さがあり、焦げた香り、少し埃っぽさもあるが、その中には黒砂糖、プラムジャム、黒ゴム、砂鉄、血、炒ったアーモンド、オロロソシェリーの香りがあり、全体に甘さを感じさせる香りが強い。

口に含むと、最初からガツンとくる濃厚な甘苦さを伴った凝縮した果実味、そしてそこに太いが伸びのある酸、そしてパワフルなタンニンが一気呵成に攻め上がってくる。このインパクトに少々怖じ気づくが、しばらくすると押しの強さから一点、一気に引いて柔らかな味わいに転換する。中盤は黒糖を舐めた時のような複雑味のある甘さが広がり、それを最初の印象とは全く異なる繊細さで滑らかなタンニンが下支えする。

余韻は口の中に広がった甘苦さを息の長い酸が包み込みながら、仄かな焦がした香りを燻らせつつゆっくりと収束していく。

最初パワフル、後繊細、押しどころ、ひきどこををよくわかった、インパクトの強いワイン。これは若いヴィンテージではなかなか出てこない特徴だ。造り手も年月を経て飲まれることを意識した上で作っているに違いない。10年という決して長くはない時間の中で生まれた熟成の産物、その素晴らしさを感じさせてくれるワインだった。Good JOB!

【Cave de Vin 5,600円?】

2009年7月 2日 (木)

酒飲みが黙して食す激旨ナポリピザ Pizzeria Esposito

今日はたまたま知った天満橋駅近くのピッツエリアに呑み助精鋭?6名で襲撃。しかし完全に白旗状態に陥った。今日は能書きはいらない。ただご覧あれ。

090701pizza1090701pizza2_2090701pizza3

                           

                 

                

               

本題ピザに入る前に食べた料理。この中では特に最初の三つ網モッツアレラ、今まで食べていたモッツアレラがウソ としか思えないようにミ ルキーで薫り高かった~。トマトも味が濃い。090701pizza4_3 090701pizza5_2                          090701pizza6_3                               

                             

090701pizza7_2 090701pizza8_2                              

                                 

                                

                               

ここからピザ5連発。4種チーズのCuatro Formaggi、野生のルッコラが大胆なProsciutto Crudo、定番Margherita、南イタリア産のオレガノの香り全開Marinara、そしてこの日のお薦め、トマト乗せDiavola。これをむさぼるようにあっという間に完食。ピザの生地がもちっとして、味は上品、しかしトマ トの甘さ、コクが効いていて、出てくる言葉はただ一つ、「旨~」。

090701pizza9_3090701pizza10_3

                                  

                                

                                

                              

いろんなワインがあるけど、この日はお店に敬意を表してカンパーニャ一本!グレコ、フィアーノ、アリアニコと飲み進む。特に白のグレコ、フィアーノは今まで飲んだものと全く違う果実味の濃さに少し驚き。何より驚きはいつも一人1本軽くいく猛者がたった3本でも文句を言わず、食べる方に集中した点。これは正に奇跡だし、ピザの味推して知るべし?

そしてデザートまで完全制覇。自分はバニラのジェラートにエクストラバージンオイルをかけて食べるという今までにない体験。しかしこれが旨すぎ!口にした時、滑らかな舌触りが倍増していて、そして何よりオリーブの鮮烈な青さが口の中に広がっていく。これは凄すぎ!

090701pizza11090701pizza12

この旨すぎPizzaは全て本格的窯から生まれる。店の中に薫る薪の香りも食欲をそそり立たせてくれる。酒飲みを黙らせて食い気に走らせ、しかもデザートまで出てくる言葉は「旨い!」

完全試合、シャットアウト。もう脱帽です。この日は次の店に行こうという気は全く起きませんでした。ナポリ仕込みピザとナポリワインの宴、言うことありません。。。

Pizzeria Esposito

http://www11.ocn.ne.jp/~esposito/

大阪市中央区船越町1-1-11-101

06-6809-2979

昼 11:30~15:00

夜 17:30~22:00

日曜、第3月曜休

2009年6月30日 (火)

ベルナール・モロー・エ・フィス サン・トーバン プルミエ・クリュ ガメイ2002

090602 赤だけじゃなく、白もボーヌに注目している。ただ、白の銘酒はムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェなどボーヌ地方に多く産出されている。そうなれば、価格も高いのはやむを得ないが、そんな地域の中でもあまり注目を浴びてこなかった地域がある。それがサン・トーバン。

この村の3分の2は1級畑に格付けされているからワインの品質は認められている。しかしモンラッシェの名を持つ地域に挟まれて、その名は広く知られることはなかった。けれどもようやくこの不遇だった地域に注目が集まりつつある。

アルベール・モローはシャサーニュ・モンラッシェに本拠を置くが、ボーヌ一帯で手広くワインを生産している。必ずしも絶賛されている生産者ではないが、さてどうだろうか?

色は照りがあり、表面に張り、緊張があるような硬い印象の黄金色。香りはカリン、ビワ、チューインガム、根昆布のようなヨードの香りも感じられる。

口に含むと少し酸化熟成を経たような香りがふくよかに広がり、直後に直線的で勢いのある酸が口の中心をまっすぐに突き進んでくる。メリハリがあり、中盤はミネラルの味わいが広がる。若干樽から来たニュアンスが重く感じるが、全体には活き活きした酸が味わいを引き締め、硬質な張りのある味わいを形作る。

余韻は香辛料のような香りを口の中に残しつつ、少しシェリーの印象も漂わせながら、最後まで酸とドライな味わいを保って引いていく。

決して上品な味わいではないけれど、主張のあるメリハリの利いた味わいは好感が持てる。そしてこの豊富なミネラル感は印象深い。2002年はブルゴーニュの白最高の年と評価が高いが、確かに色々な味わいの要素を感じとることができるワインだと思う。

【Marche北新地店 3,600円?】

紅茶のようなフリウリのロゼ ヴィエ・ディ・ロマンス チャントンス2005

090628 土曜日はアートクラブのカジュアルなワイン会に参加。そしていつものことながら、1本持ちこませてもらったのがこのワイン。

大好きなフリウリのワインだが、ロゼは初めてかも?造り手は最高の評価を得ているヴィエ・ディ・ロマンス。名前は「チャントンス2005」。ここの赤と白は何度か飲んだことがあるけれども、ロゼも造っているとは知らなかった。

しかしここのロゼ、メルロー100%で作っているのがさすがのこだわり。色は濃く紅茶のようだ。タンニンもロゼながらしっかりしており、赤ワインに近い味わい。香りはバラ、オレンジピール、ダージリンの甘い香り、残糖分は少ないドライな果実味、そして重心の低い酸がうまくそれぞれの味わいを繋いでいた。

このマンションに行く途中のグローリアスはこのヴィエ・ディ・ロマンスのワインをほぼ全種そろえているんだとか。このワインのほかにもう一本マルヴァジアを購入したけど、店主さんいわく抜栓して3日たたないと本当の良さがでないんだそうだ。うーん、難しいワインだけど、開けるのが楽しみ。

【グローリアス 4,800円?】

2009年6月28日 (日)

暗いだけではない 蟹工船

090627_5 最近ブームらしく、映画公開も予定されている「蟹工船」。昭和初期の労働運動弾圧の中で警察に拘引、虐殺された作者、小林多喜二の名前とともに、その作品名を知っている人は少なくないはず。そして自分もそうだったが、そうした暗さを敬遠して今まで読むことがなかった。

読み始めると予想通りに陰鬱な雰囲気が漂う。生地からあぶれて流れてきて、この仕事をするしかなかった工夫たちが劣悪な環境の中で働かされる。そして働かされて戻ってきた船室の中で交わされる雑多、猥雑な言葉。

監督はそうした工夫を容赦なく労働へと駆り立てる。支配者然した彼もまた、船を雇う資本家にとっては労働者に過ぎないのだが、この船では彼は確かに支配者だった。しかしその地位が脆く、自分たちとさして違わないあることに気が付きはじめた工夫たちはやがて集団行動をとる事で彼らに抗する術を知っていく。仲間の死、それが何もなかった事のように扱われるのを目にして、その死もまたやがて自分のものになりかねない事に気づいた彼らはついに直接行動に出る。そしてストライキを起こした彼らだったが、監督が密かに通報した軍によって簡単に鎮圧されてしまう。

ここまでであれば単に労働者の悲惨を綴ったものにすぎなく、後世に残るものにはならなかっただろう。それでも諦めない工夫達、彼らの経験がやがて次代の力となっていくという理想、そして彼らを直接搾取していた監督たちもまた搾取されるだけに過ぎなかった存在であることが明らかになっていく。最後にはそうした希望が読み取れるところに、この小説が読み継がれてきた力があるのだと思う。

蟹工船

小林多喜二著

岩波書店刊

500円(税別)